説明

マッシュドポテト

【課題】 コンニャクマンナンの機能性を十分に発揮できる量の摂取が可能な、保水性、保型性及び味、風味等に富んだマッシュドポテトを提供する。
【解決手段】 この発明のマッシュドポテトは、コンニャクマンナン50重量%以上を含有するコンニャクマンナンを生地に添加し、凝固剤を添加しないものであり、コンニャクマンナンの平均粒子径は177μm以下である。コンニャクマンナン1重量部に対し、水約100重量部以上を配合し、コンニャクマンナンを0.2重量%から30重量%添加した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は凝固剤を添加しないでコンニャクマンナンを添加したマッシュドポテトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にマッシュドポテトは、ジャガイモを原料として、ゆでたジャガイモを熱いうちに裏漉ししバターや牛乳、水等を加え手早く混ぜ合わせて、塩や胡椒などの調味料を加えたものであるが、原料であるジャガイモは澱粉で、調理後の経時により変化(老化現象)が生じたり、水分がにじみ出たりする欠点があった。
【0003】
また、コンニャクマンナン(グルコマンナン)をコロッケに添加するものとしては、特許文献1に記載の発明が知られているが、マンナンコロッケに限定したもので、主にコロッケの内部の水分によるべとつき及び軟性食感を改善しようとするものである。
【0004】
しかし上記発明のものはべとつき防止としてこんにゃくの凝固剤である水酸化カルシウムを添加しているため、コロッケ本来の風味等が低下するという欠点がある。そして、べとつき防止としてこんにゃくの凝固剤である水酸化カルシウムを添加しているため、コロッケ本来の風味等が低下するという欠点がある。
【特許文献1】特許公報第3602671号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上記のような問題点を解決するために、調理後の経時変化(老化現象)や水分の浸出、べとつき等を防止するとともに、マッシュドポテトの味や風味、食感等を保ちながら広汎な食材用途に使用でき、機能性食品としても有用なマッシュドポテトを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明のマッシュドポテトは、第1にコンニャクマンナン50重量%以上を含有するコンニャクマンナンを生地に添加し、凝固剤を添加しないことを特徴としている。
【0007】
第2に、コンニャクマンナンの平均粒子径が177μm以下であることを特徴としている。粒子径が177μmを越えると生地との均一な混合が不十分でコンニャク独特の食感が生じるので望ましくない。
【0008】
第3に、コンニャクマンナン1重量部に対し、水約100重量部以上を配合したことを特徴としている。水分が少なすぎる場合も上記同様生地との均一な混合、食感の点で望ましくない。
【0009】
第4に、コンニャクマンナンを0.2重量%から30重量%添加したことを特徴としている。コンニャクマンナンの量が上記より少ないとこの発明の企図する効果の発現が乏しく、多すぎると生地の味や食感に好ましくない影響を及ぼす。
【発明の効果】
【0010】
以上のように構成される本発明によれば、従来主としてヘルスフード(タブレットやカプセルなど)を中心に摂取していたものが、本発明により本来の食品の形態で摂取することが可能となった。言い換えれば、マッシュドポテト一食あたりの摂取量を、本来のその食品の味、風味、食感を損なわない範囲で一定量以上を添加することにより、ヘルスフードと同等若しくはそれ以上摂取した時と同等の効果が期待できる。
【0011】
マッシュドポテトは、多種多様な料理に使用されており、簡単に摂取出来て生理機能がプラスされる広汎な商品への使用が可能となった。
更に、マッシュドポテトは経時により変化が生じるが、コンニャクマンナンを添加することで品質の向上にも繋がる。
【0012】
また、食品への応用例としてはサラダやグラタン、シチュー、ケーキやパイ、パンなどあらゆる食品への応用が可能で、前記記載のように日常の食生活の中において、手軽に摂取することが出来て、生理機能効果を期待することが可能な食品を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明では、前述の課題などを解決するために種々検討を行った結果、コンニャクマンナンを添加することによる保水性、言い換えれば加水量を増やすことが出来、低炭水化物食品の一つとしての利用価値が見出された。また、澱粉の老化防止に重要なものであることがわかり、経時による変化がなく食味も全く変化が生じないという利点を見出した。
【0014】
本発明に用いるコンニャクマンナンは、D−グルコースとD−マンノースとがほぼ1:1.6の割合でβ−1,4結合した多糖類で、一般名をグルコマンナンとも呼ばれ、コンニャクイモの塊茎に約8〜10%程度存在している貯蔵性多糖類である。一般に、塊茎を水洗後、スライスして乾燥し澱粉質などを分離したものがこんにゃく精粉と呼ばれるものであるが、本例では更にアルコール精製により85%以上の高純度にしたコンニャクマンナンを用いる。
【0015】
本発明ではコンニャクマンナンをアルコール抽出により高純度に高めることにより、安全性の高いものを提供する。コンニャクマンナンは、産地や品種及びコンニャクイモの種類等によっても品質が異なるが、精製技術によってそれらを調整することが可能となる。
【0016】
また、精製度合いにより、本来の品質や機能性が低下することは周知のことである。
精製されたコンニャクマンナンの生理機能は、便秘改善やコレステロール低下作用、血糖値調節作用等が確認されており、特定保健用食品の関与する成分で「血中コレステロール低下作用」として効果があることが認められており、その摂取量は1日3g〜7.8gで有効とされている。
【0017】
また、その他の多くの生理機能については、臨床実験や動物実験で確認されており、本発明の実施例に用いるコンニャクマンナンとしては、商品名「レオレックスRS」、「レオレックスRX」(清水化学株式会社製)などが挙げられる。
【0018】
次に、実施例により具体的に発明の詳細を説明するが、本発明についてはこの具体例に限定されるものではない。
【0019】
[実施例]
市販品のマッシュドポテト50重量部に、コンニャクマンナン4重量部加えて混合した後、60〜70℃の温水400重量部を加え均一に混合する。混合5分後に、ビーカーに移してB形粘度計(BH型)を用いて粘度を測定した結果、約350,000mPa・sであった。また、50gをプラスチックシャーレに入れ、経時変化を調べた。
[比較例]
市販品のマッシュドポテト50重量部に、60〜70℃の温水400重量部を加え均一に混合する。混合5分後に、ビーカーに移してB形粘度計(BH型)を用いて粘度を測定した結果、約36,000mPa・sであった。また、50gをプラスチックシャーレに入れ、経時変化を調べた。
【0020】
その結果実施例では、コンニャクマンナンを添加した効果が顕著に出ており、保型性・食感などについても、従来のマッシュドポテトと大差なないものであった。これに対し、比較例ではコンニャクマンナンを添加してないので、作成後に離水現象が生じて保型性もなく、従来のマッシュドポテトとは異なるものであった。実施例及び比較例の経時変化を図1(A),(B)の写真に示す。
【0021】
図1(A),(B)から明らかなように実施例では、作成直後から1時間、5時間経過では、保水性、保型性共に維持しているのに対し、比較例のものは作成直後から型崩れ及び水分の浸出が発生していることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(A),(B)は本発明の実施例と比較例(対象区)保形性、保水性の経時変化を示す比較写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンニャクマンナン50重量%以上を含有するコンニャクマンナンを生地に添加し、凝固剤を添加しないマッシュドポテト。
【請求項2】
コンニャクマンナンの平均粒子径が177μm以下である請求項1に記載のマッシュドポテト。
【請求項3】
コンニャクマンナン1重量部に対し、水約100重量部以上を配合した請求項1又は2に記載のマッシュドポテト。
【請求項4】
コンニャクマンナンを0.2重量%から30重量%添加した請求項1又は3に記載のマッシュドポテト。

【図1】
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