マットレスの自動洗浄機
【課題】洗浄性能の大幅向上を図り且つ設置スペースの少ない構成方法を発案して、衛生面の改善と省力化に寄与する洗浄機を提供する。
【解決手段】マットレス４を洗浄槽となるケーシング１に挿入する際、各マットレスをターンテーブル３に外周を囲うように立てた形で、隣接部に空間域を設けるよう載置固定し、ケーシング内部に設置の液体噴出用ノズル７からの洗浄液やすすぎ用液がターンテーブルの回転速度を制御することによってマットレスの表裏に吹き付けられる構成とする。また、電子制御装置を付属せしめて、ターンテーブルの速度を変化させ遠心力でマットレス内部への液の浸透と脱水を行う工程やその後の乾燥工程を付加し得る構成とした。
【解決手段】マットレス４を洗浄槽となるケーシング１に挿入する際、各マットレスをターンテーブル３に外周を囲うように立てた形で、隣接部に空間域を設けるよう載置固定し、ケーシング内部に設置の液体噴出用ノズル７からの洗浄液やすすぎ用液がターンテーブルの回転速度を制御することによってマットレスの表裏に吹き付けられる構成とする。また、電子制御装置を付属せしめて、ターンテーブルの速度を変化させ遠心力でマットレス内部への液の浸透と脱水を行う工程やその後の乾燥工程を付加し得る構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明はベッド用マットレスに付着した汚れを除去する目的の技術に関し、特にマットレスを表と裏の両面からほぼ同時に洗浄し、短時間で清潔な状態に処理する自動洗浄機の構成手段に係るものである。
【背景技術】
【０００２】
老齢化社会の進行に伴い発生した療養・介護環境の改善に関するニーズによって、ベッド用のマットレスを清潔に保つことの必要性は益々拡大する傾向にあるが、従来マットレスの洗浄や消毒は、殆ど行われていないか極めて不十分な手作業で実施されていたため衛生状態は甚だ不満足なものであった。そのため病人、身障者、高齢者等への介護・療養環境の改善と感染防止のためにマットレスを清潔な状態に保つことが焦眉の急ともいうべき社会的要請事項となっている。
このようなニーズに応えるため、近年マットレスを丸ごと自動的に洗浄する装置が開発され、市場への導入が試みられているが、それらの装置は外形寸法や設置面積が大きく価額も高いため普及していない現状である。
【０００３】
ベッド用のマットレスは通常１００mm程度の厚さのポリウレタンその他の繊維質材料で製作されており、長期間使用していると食品や体液等からの汚れが付着し表面のみならず内部にも浸透していて容易に洗浄し難い状態となることが良く知られている。
従って、マットレスを清潔に保つためにやむを得ず、たわしやブラシ等を用いて手洗いの後、日光浴等の手段で乾燥処理をするのが一般的であった。しかしながらそれらの方法は洗浄・消毒効果が不十分で、とくに繊維の内部に浸透した汚れを除去することは極めて困難であった。
【０００４】
上記の課題を解決する目的で、洗剤の水溶液からなる洗浄液をシャワー状にマットレスの表面に吹き付けて洗浄し、すすぎ、脱水等の処理を自動的に行う機械も提案され実用化されつつあるが、それらの機械はマットレスを横長の方向に機械にセットし、マットレスの片面のみに洗浄液を塗布又は吹きつけ、且つ遠心力又は多数のスタンプによる押し圧力を利用して、マットレスの厚み方向の内部に浸透させて洗浄効果を得ることを主たる特徴としている。
【０００５】
これらの手段によれば、手洗いに比べて洗浄効果のバラツキが比較的少なく省力化も図れるが、最初に洗浄液が塗布されない面では洗浄効果が不十分で洗浄ムラが発生する他機械の設置スペースが大きく高価である等の問題があり、更にマットレスの変形や素材の劣化を伴う弊害があるため、市場でこの種機械の普及が進展しない原因となっていた。
【０００６】
それら各種の機械的なマットレス洗浄・脱水についての先行技術の例は下記のとおりであるが、前述の公知の構造を含めて何れもニーズに十分応えきれない構成であり、自動洗浄によるマットレスの清潔さと衛生的効果を得る目的に対しても不十分な技術内容であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２００２−１９１８９４号公報
【特許文献２】特開２００４−２１８９７７号公報
【特許文献３】特開２００７−３１５７３０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
この発明は、従来の技術及びそれを前提としたマットレス等の寝具の洗浄手段において、洗浄用機械の設置スペースを極力少なくし、比較的簡単でコンパクトな機器構成のもとで洗浄効果を高め、且つマットレス等の被洗浄物に変形等の悪影響の残らない自動洗浄機の基本的構成を提供することを第一の課題とし、併せて洗浄後の仕上げ工程として自動的に動作する脱水・消毒・乾燥手段を付加し得る応用技術の提供を第二の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記の課題を解決するために請求項１の発明は、マットレス等の被洗浄物を洗浄する際の洗浄室を形成するケーシング内にはモーターによって回転するターンテーブルを設け、マットレス等の被洗浄物は、取り付け具によって前記ターンテーブルの外周縁部を囲うように直立載置した状態において隣接する側縁と側縁との間に空間域を設けるように配置固定できる構成とし、前記ケーシングの外壁内面には洗浄液ないしすすぎ用液体を噴出するノズルを設け、前記ターンテーブルの回転の速さを制御することによって前記ノズルからの噴出液が前記マットレス等の被洗浄物の外側の他に内側にも前記の空間域を経て所定量吹き付け塗布されるように構成したことを特徴とするマットレスの自動洗浄機についてのものである。
【００１０】
請求項２の発明は、前記取り付け具は下部をターンテーブルの所定の位置に固定され、上部は回転軸を有するフランジ状に形成され、この回転軸はターンテーブルの回転軸と軸線が一致するように前記ケーシングの天井内面に設けた軸受けに嵌め込まれ、取り付け具全体はケーシング内に籠型のドラムフレームとなるよう構成され、マットレス等の被洗浄物が取り付け具に前記空間域を設けて装着と脱着ができる構成としたことを特徴とする請求項１に記載のマットレスの自動洗浄機についてのものである。
従ってこの発明によれば、前記取り付け具を予め回転できるようにターンテーブルに固着し、複数のマットレス等の被洗浄物をこの取り付け具に挿入すれば隣接する側縁と側縁との間に空間域が設けられるように配置固定できるようにしたものであるから、マットレス専用の洗浄機として有用である。
【００１１】
請求項３の発明は、前記ケーシングには開閉できる扉を設けると共に、洗浄工程及びすすぎ工程に使用する温水供給装置並びに前記ノズルへ液体を供給するポンプ及び運転動作を制御する電子制御装置を付属させ、洗浄液やすすぎ用液のノズルからの噴出液による洗浄工程やすすぎ工程終了後、自動的に前記ターンテーブルの回転を速くして遠心脱水作用を行う工程を設け得る構成にしたことを特徴とする請求項１及び請求項２に記載のマットレスの自動洗浄機についてのものである。
【００１２】
請求項４の発明は、前記遠心脱水作用を行う工程は、すすぎ工程とセットで複数回実施が可能な構成とし、最終の遠心脱水作用を行う工程終了後、付属の熱風供給装置によって熱風をケーシング内に吹き込みマットレス等の被洗浄物を消毒・乾燥させるための乾燥工程に入り得る構成にしたことを特徴とする請求項１から請求項３の何れにも記載のマットレスの自動洗浄機についてのものである。
【００１３】
請求項５の発明は、安全装置として少なくとも、扉が開いている場合は運転スタートができないよう、又運転中に扉が開いた場合は運転が停止するような扉安全装置、被洗浄物の位置や前記取り付け具に異変が発生した場合にセンサーによって自動的に運転を停止する安全装置、内部の温度が異常に上昇した際に温度を検知して運転を停止する安全装置を有することを特徴とする請求項１から請求項４の何れにも記載のマットレスの自動洗浄機についてのものである。
【発明の効果】
【００１４】
この発明は、以上説明したような手段で実施され、以下に示すような効果を奏する。
（１）比較的簡単な構成の下でマットレス等の被洗浄物の両面を自動的に洗浄することが可能であり、且つマットレス内部の汚れまで除去することができる。
（２）同一の洗浄槽内で洗浄・すすぎ・脱水・消毒・乾燥の機能を有する各工程の仕様と種類を選択し自動的に連続して作動する構成となし得るため、省力化に繋がり、ひいてはマットレス等の被洗浄物の衛生状態の改善に効果がある。
（３）マットレスを立てた状態で洗浄等の処理ができるので、マットレスの汚れの多い部分（両肩の当たる付近と排泄位置付近）を集中的に洗浄液をノズルから噴射塗布することが可能であるから、実際の使用上で効果的な洗浄作用がなされる。又マットレスの両肩の当たる付近が下方になるよう取り付け具に嵌め込むことによって、洗浄液等の液体が重力で自然に下方に溜まりやすくなり、部分的な汚れに対して際だった洗浄効果が期待できる。
【００１５】
（４）マットレスを立てた状態で同時に複数のマットレス等の被洗浄物の洗浄等の処理する構成であるから作業効率が高い。又従来の横置き型と比較して設置スペースが少なくて済み、且つ洗浄のためのマットレスの機械への着脱も簡単である。
（５）マットレス等の被洗浄物の取り付け具を、ケーシング内のターンテーブルへ着脱が可能な構成とした場合は、例えば金属製の什器類や車いす等マットレス以外の被洗浄物の洗浄機としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】この発明の実施例において断面を示す平面図である。
【図２】図１の状態からターンテーブルが回転して被洗浄物の位置が変化した 際の実施例の断面を示す平面図である。
【図３】この発明の実施例の断面を示す側面図である。
【図４】この発明の実施例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
図１，図２，図３において、先ず請求項１の発明を説明すれば、マットレス等の被洗浄物を洗浄する際の洗浄室を形成するケーシング１内の底部には、モーター２によって回転するターンテーブル３を設け、マットレス等の被洗浄物４は取り付け具５によってターンテーブル３の外周縁部を囲うように直立した状態に載置される。この際マットレス４と４’の隣接する側縁と側縁の間に空間域６を設けてターンテーブルに固定できる構成とする。なお、図では３枚のマットレスを同時に洗浄等の処理ができる実施例であるから空間域は６，６’，６”の３箇所となる。勿論類似の手段で２枚以上の複数枚のマットレス処理ができるため、例えば４枚の場合でも上記と同様隣接するマットレスの側縁と側縁の間に空間域６・・・を設けることも可能である。
【００１８】
前記ケーシング１の外壁内部には洗浄液ないしすすぎ用液体を噴出するノズル７，７’，７”を設け、例えばノズル７は洗浄液を、７’、７”は洗浄液の薄め液ないしすすぎ液を噴出させる構成とするが、その際ターンテーブルの回転の速さを制御して各ノズルからの噴出液が、前記空間域を経てマットレス等の被洗浄物の内側に吹きつけられる期間と外側に吹きつけられる期間を任意に設けることによって被洗浄物の内面外面のそれぞれに所定量の液体が塗布されるよう構成したマットレスの自動洗浄機を提供するものである。
【００１９】
又ノズルの設置数と設置位置は、有効な洗浄効果を得るために前記ケーシング１の外壁内部に適切な状態になるよう決められるが、各ノズルの役割が変化することも可能である。すなわち洗浄液用のノズルとすすぎ用のノズルは、液切替弁（図示せず）によって兼用することができるので被洗浄物の汚れの程度や期待する洗浄効果を勘案して適宜その役割を変化させて使用することができる。
なお、マットレスは汚れ程度の大きい肩の当たる部分を下方に位置するように取り付け具５に取り付けることによって、重力の作用で洗浄液の作用時間や浸透密度が多くなるため優れた洗浄効果が得られる。
【００２０】
次に請求項２の発明では、請求項１の発明においてマットレス等の被洗浄物の運転を円滑に実施する目的で、前記取り付け具５の下部を予めターンテーブル３の外周縁部を囲うように固定すると共に取り付け具５の上部は回転軸８を有するフランジ状に形成され、回転軸８はターンテーブル３の回転軸と軸線が一致し円滑に回転が行われるよう前記ケーシング１の天井内面に設けた軸受け９に嵌め込まれると共に取り付け具全体はケーシング内で前記の空間域６・・・を保持できる形に籠型のドラムフレーム１０となるよう構成される。この際マットレス４は各取り付け位置１１，１１’，１１”に順次挿入又は間引いて挿入し、着脱できる構成にすることが可能であり、その場合はマットレスのみの専用洗浄機として有用である。
【００２１】
請求項３の発明では、請求項１，請求項２の発明において、前記ケーシング１には開閉できる扉１２を設け、洗浄工程及びすすぎ工程に使用する温水供給装置（図示せず）や液体輸送のためのポンプ１３及び運転動作を制御するための電子制御装置１４を付属させ、洗浄工程に続くすすぎ工程終了後、自動的に前記ターンテーブル３の回転を速くしてマットレス等の被洗浄物の遠心脱水作用を行う工程としたものであるから、洗浄液等の液体がマットレスの繊維を通り抜けて内部まで清浄にする効果があり、更にすすぎ工程における洗剤を残さないための効果と被洗浄物の乾燥を促進する効果が期待できる。なお、温水供給装置はこの発明の機械に加熱装置（図示せず）を内蔵し外部からの供給温水を再加熱して洗浄やすすぎ性能と消毒作用に効果的な温水温度にする構成の下で前記ケーシングに付属せしめるのが望ましい。
【００２２】
請求項４の発明は、請求項１，請求項２，請求項３の発明において、前記の遠心脱水作用を複数回のすすぎ工程毎に実施すると共に、最終の遠心脱水作用を行う工程終了後前記ケーシング１に付属せしめる熱風供給装置１５を作用させて熱風をケーシング内に吹き込み、マットレス等の被洗浄物を湿熱効果による消毒と乾燥を行う工程に入る構成を提供するもので、この場合の熱風供給装置はケーシング１に電熱ヒーター又は燃料の燃焼式バーナー等の空気加熱装置を内蔵させ、得られた熱風を適温に制御の上送風機を用いてケーシング１内部に吹き込むのが望ましく、また、この工程では乾燥促進と乾燥の均一性を得るため、前記ターンテーブル３を回転させる手段も併せて提供するものである。なお、ノズルから噴出され被洗浄物に塗布された液体は、使用後前記ケーシングの下部から外部に排水される。
【００２３】
請求項５の発明は、請求項１から請求項４の全ての発明において、本洗浄機を運転する際の安全性を確保する目的で、少なくとも下記の安全装置を有することを特徴としたものである。則ち扉１２が開いている場合は機械の運転スタートができないよう、又運転中に扉１２が何らかの都合で開いた場合は直ちに運転が停止するようなセンサー１６からの信号によって動作する扉安全装置２０、被洗浄物が運転によって正常な位置でなくなった場合や前記取り付け具の揺れ、変形その他異変が生じた場合光センサー等の感知器１７によって自動的に運転を停止する安全装置、内部の温度が異常に上昇して被洗浄物にダメージを与える場合に運転を停止するためのセンサー１８を有する安全装置を付属せしめることとしている。
【００２４】
なお、この発明は上記の実施例に限定されず、マットレスを縦型に配置し、両面から洗浄液を塗布し且つ両面からのすすぎを行うことを可能にするこの発明の基本的構成概念前提として幾多の実施例が存在する。例えば被洗浄物の汚れの程度に応じて洗浄液を塗布する前に温水にて予洗浄を行う工程を追加したり、ケーシング１内の水蒸気を外部に放出するための排気口１９は、乾燥工程の湿度状況により開口部の面積を可変にする自動ダンパーを設けることが考えられる。
【符号の説明】
【００２５】
１ ケーシング
２ モーター
３ ターンテーブル
４，４’，４” マットレス等の被洗浄物
５ 取り付け具
６，６’，６” 空間域
７，７’，７” ノズル
８ 回転軸
９ 軸受け
１０ 籠型のドラムフレーム
１１，１１’，１１” 取り付け位置
１２ 扉
１３ ポンプ
１４ 電子制御装置
１５ 熱風供給装置
１６ センサー
１７ 感知器
１８ センサー
１９ 排気口
２０ 扉安全装置
２１ 洗剤タンク
【技術分野】
【０００１】
この発明はベッド用マットレスに付着した汚れを除去する目的の技術に関し、特にマットレスを表と裏の両面からほぼ同時に洗浄し、短時間で清潔な状態に処理する自動洗浄機の構成手段に係るものである。
【背景技術】
【０００２】
老齢化社会の進行に伴い発生した療養・介護環境の改善に関するニーズによって、ベッド用のマットレスを清潔に保つことの必要性は益々拡大する傾向にあるが、従来マットレスの洗浄や消毒は、殆ど行われていないか極めて不十分な手作業で実施されていたため衛生状態は甚だ不満足なものであった。そのため病人、身障者、高齢者等への介護・療養環境の改善と感染防止のためにマットレスを清潔な状態に保つことが焦眉の急ともいうべき社会的要請事項となっている。
このようなニーズに応えるため、近年マットレスを丸ごと自動的に洗浄する装置が開発され、市場への導入が試みられているが、それらの装置は外形寸法や設置面積が大きく価額も高いため普及していない現状である。
【０００３】
ベッド用のマットレスは通常１００mm程度の厚さのポリウレタンその他の繊維質材料で製作されており、長期間使用していると食品や体液等からの汚れが付着し表面のみならず内部にも浸透していて容易に洗浄し難い状態となることが良く知られている。
従って、マットレスを清潔に保つためにやむを得ず、たわしやブラシ等を用いて手洗いの後、日光浴等の手段で乾燥処理をするのが一般的であった。しかしながらそれらの方法は洗浄・消毒効果が不十分で、とくに繊維の内部に浸透した汚れを除去することは極めて困難であった。
【０００４】
上記の課題を解決する目的で、洗剤の水溶液からなる洗浄液をシャワー状にマットレスの表面に吹き付けて洗浄し、すすぎ、脱水等の処理を自動的に行う機械も提案され実用化されつつあるが、それらの機械はマットレスを横長の方向に機械にセットし、マットレスの片面のみに洗浄液を塗布又は吹きつけ、且つ遠心力又は多数のスタンプによる押し圧力を利用して、マットレスの厚み方向の内部に浸透させて洗浄効果を得ることを主たる特徴としている。
【０００５】
これらの手段によれば、手洗いに比べて洗浄効果のバラツキが比較的少なく省力化も図れるが、最初に洗浄液が塗布されない面では洗浄効果が不十分で洗浄ムラが発生する他機械の設置スペースが大きく高価である等の問題があり、更にマットレスの変形や素材の劣化を伴う弊害があるため、市場でこの種機械の普及が進展しない原因となっていた。
【０００６】
それら各種の機械的なマットレス洗浄・脱水についての先行技術の例は下記のとおりであるが、前述の公知の構造を含めて何れもニーズに十分応えきれない構成であり、自動洗浄によるマットレスの清潔さと衛生的効果を得る目的に対しても不十分な技術内容であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２００２−１９１８９４号公報
【特許文献２】特開２００４−２１８９７７号公報
【特許文献３】特開２００７−３１５７３０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
この発明は、従来の技術及びそれを前提としたマットレス等の寝具の洗浄手段において、洗浄用機械の設置スペースを極力少なくし、比較的簡単でコンパクトな機器構成のもとで洗浄効果を高め、且つマットレス等の被洗浄物に変形等の悪影響の残らない自動洗浄機の基本的構成を提供することを第一の課題とし、併せて洗浄後の仕上げ工程として自動的に動作する脱水・消毒・乾燥手段を付加し得る応用技術の提供を第二の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記の課題を解決するために請求項１の発明は、マットレス等の被洗浄物を洗浄する際の洗浄室を形成するケーシング内にはモーターによって回転するターンテーブルを設け、マットレス等の被洗浄物は、取り付け具によって前記ターンテーブルの外周縁部を囲うように直立載置した状態において隣接する側縁と側縁との間に空間域を設けるように配置固定できる構成とし、前記ケーシングの外壁内面には洗浄液ないしすすぎ用液体を噴出するノズルを設け、前記ターンテーブルの回転の速さを制御することによって前記ノズルからの噴出液が前記マットレス等の被洗浄物の外側の他に内側にも前記の空間域を経て所定量吹き付け塗布されるように構成したことを特徴とするマットレスの自動洗浄機についてのものである。
【００１０】
請求項２の発明は、前記取り付け具は下部をターンテーブルの所定の位置に固定され、上部は回転軸を有するフランジ状に形成され、この回転軸はターンテーブルの回転軸と軸線が一致するように前記ケーシングの天井内面に設けた軸受けに嵌め込まれ、取り付け具全体はケーシング内に籠型のドラムフレームとなるよう構成され、マットレス等の被洗浄物が取り付け具に前記空間域を設けて装着と脱着ができる構成としたことを特徴とする請求項１に記載のマットレスの自動洗浄機についてのものである。
従ってこの発明によれば、前記取り付け具を予め回転できるようにターンテーブルに固着し、複数のマットレス等の被洗浄物をこの取り付け具に挿入すれば隣接する側縁と側縁との間に空間域が設けられるように配置固定できるようにしたものであるから、マットレス専用の洗浄機として有用である。
【００１１】
請求項３の発明は、前記ケーシングには開閉できる扉を設けると共に、洗浄工程及びすすぎ工程に使用する温水供給装置並びに前記ノズルへ液体を供給するポンプ及び運転動作を制御する電子制御装置を付属させ、洗浄液やすすぎ用液のノズルからの噴出液による洗浄工程やすすぎ工程終了後、自動的に前記ターンテーブルの回転を速くして遠心脱水作用を行う工程を設け得る構成にしたことを特徴とする請求項１及び請求項２に記載のマットレスの自動洗浄機についてのものである。
【００１２】
請求項４の発明は、前記遠心脱水作用を行う工程は、すすぎ工程とセットで複数回実施が可能な構成とし、最終の遠心脱水作用を行う工程終了後、付属の熱風供給装置によって熱風をケーシング内に吹き込みマットレス等の被洗浄物を消毒・乾燥させるための乾燥工程に入り得る構成にしたことを特徴とする請求項１から請求項３の何れにも記載のマットレスの自動洗浄機についてのものである。
【００１３】
請求項５の発明は、安全装置として少なくとも、扉が開いている場合は運転スタートができないよう、又運転中に扉が開いた場合は運転が停止するような扉安全装置、被洗浄物の位置や前記取り付け具に異変が発生した場合にセンサーによって自動的に運転を停止する安全装置、内部の温度が異常に上昇した際に温度を検知して運転を停止する安全装置を有することを特徴とする請求項１から請求項４の何れにも記載のマットレスの自動洗浄機についてのものである。
【発明の効果】
【００１４】
この発明は、以上説明したような手段で実施され、以下に示すような効果を奏する。
（１）比較的簡単な構成の下でマットレス等の被洗浄物の両面を自動的に洗浄することが可能であり、且つマットレス内部の汚れまで除去することができる。
（２）同一の洗浄槽内で洗浄・すすぎ・脱水・消毒・乾燥の機能を有する各工程の仕様と種類を選択し自動的に連続して作動する構成となし得るため、省力化に繋がり、ひいてはマットレス等の被洗浄物の衛生状態の改善に効果がある。
（３）マットレスを立てた状態で洗浄等の処理ができるので、マットレスの汚れの多い部分（両肩の当たる付近と排泄位置付近）を集中的に洗浄液をノズルから噴射塗布することが可能であるから、実際の使用上で効果的な洗浄作用がなされる。又マットレスの両肩の当たる付近が下方になるよう取り付け具に嵌め込むことによって、洗浄液等の液体が重力で自然に下方に溜まりやすくなり、部分的な汚れに対して際だった洗浄効果が期待できる。
【００１５】
（４）マットレスを立てた状態で同時に複数のマットレス等の被洗浄物の洗浄等の処理する構成であるから作業効率が高い。又従来の横置き型と比較して設置スペースが少なくて済み、且つ洗浄のためのマットレスの機械への着脱も簡単である。
（５）マットレス等の被洗浄物の取り付け具を、ケーシング内のターンテーブルへ着脱が可能な構成とした場合は、例えば金属製の什器類や車いす等マットレス以外の被洗浄物の洗浄機としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】この発明の実施例において断面を示す平面図である。
【図２】図１の状態からターンテーブルが回転して被洗浄物の位置が変化した 際の実施例の断面を示す平面図である。
【図３】この発明の実施例の断面を示す側面図である。
【図４】この発明の実施例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
図１，図２，図３において、先ず請求項１の発明を説明すれば、マットレス等の被洗浄物を洗浄する際の洗浄室を形成するケーシング１内の底部には、モーター２によって回転するターンテーブル３を設け、マットレス等の被洗浄物４は取り付け具５によってターンテーブル３の外周縁部を囲うように直立した状態に載置される。この際マットレス４と４’の隣接する側縁と側縁の間に空間域６を設けてターンテーブルに固定できる構成とする。なお、図では３枚のマットレスを同時に洗浄等の処理ができる実施例であるから空間域は６，６’，６”の３箇所となる。勿論類似の手段で２枚以上の複数枚のマットレス処理ができるため、例えば４枚の場合でも上記と同様隣接するマットレスの側縁と側縁の間に空間域６・・・を設けることも可能である。
【００１８】
前記ケーシング１の外壁内部には洗浄液ないしすすぎ用液体を噴出するノズル７，７’，７”を設け、例えばノズル７は洗浄液を、７’、７”は洗浄液の薄め液ないしすすぎ液を噴出させる構成とするが、その際ターンテーブルの回転の速さを制御して各ノズルからの噴出液が、前記空間域を経てマットレス等の被洗浄物の内側に吹きつけられる期間と外側に吹きつけられる期間を任意に設けることによって被洗浄物の内面外面のそれぞれに所定量の液体が塗布されるよう構成したマットレスの自動洗浄機を提供するものである。
【００１９】
又ノズルの設置数と設置位置は、有効な洗浄効果を得るために前記ケーシング１の外壁内部に適切な状態になるよう決められるが、各ノズルの役割が変化することも可能である。すなわち洗浄液用のノズルとすすぎ用のノズルは、液切替弁（図示せず）によって兼用することができるので被洗浄物の汚れの程度や期待する洗浄効果を勘案して適宜その役割を変化させて使用することができる。
なお、マットレスは汚れ程度の大きい肩の当たる部分を下方に位置するように取り付け具５に取り付けることによって、重力の作用で洗浄液の作用時間や浸透密度が多くなるため優れた洗浄効果が得られる。
【００２０】
次に請求項２の発明では、請求項１の発明においてマットレス等の被洗浄物の運転を円滑に実施する目的で、前記取り付け具５の下部を予めターンテーブル３の外周縁部を囲うように固定すると共に取り付け具５の上部は回転軸８を有するフランジ状に形成され、回転軸８はターンテーブル３の回転軸と軸線が一致し円滑に回転が行われるよう前記ケーシング１の天井内面に設けた軸受け９に嵌め込まれると共に取り付け具全体はケーシング内で前記の空間域６・・・を保持できる形に籠型のドラムフレーム１０となるよう構成される。この際マットレス４は各取り付け位置１１，１１’，１１”に順次挿入又は間引いて挿入し、着脱できる構成にすることが可能であり、その場合はマットレスのみの専用洗浄機として有用である。
【００２１】
請求項３の発明では、請求項１，請求項２の発明において、前記ケーシング１には開閉できる扉１２を設け、洗浄工程及びすすぎ工程に使用する温水供給装置（図示せず）や液体輸送のためのポンプ１３及び運転動作を制御するための電子制御装置１４を付属させ、洗浄工程に続くすすぎ工程終了後、自動的に前記ターンテーブル３の回転を速くしてマットレス等の被洗浄物の遠心脱水作用を行う工程としたものであるから、洗浄液等の液体がマットレスの繊維を通り抜けて内部まで清浄にする効果があり、更にすすぎ工程における洗剤を残さないための効果と被洗浄物の乾燥を促進する効果が期待できる。なお、温水供給装置はこの発明の機械に加熱装置（図示せず）を内蔵し外部からの供給温水を再加熱して洗浄やすすぎ性能と消毒作用に効果的な温水温度にする構成の下で前記ケーシングに付属せしめるのが望ましい。
【００２２】
請求項４の発明は、請求項１，請求項２，請求項３の発明において、前記の遠心脱水作用を複数回のすすぎ工程毎に実施すると共に、最終の遠心脱水作用を行う工程終了後前記ケーシング１に付属せしめる熱風供給装置１５を作用させて熱風をケーシング内に吹き込み、マットレス等の被洗浄物を湿熱効果による消毒と乾燥を行う工程に入る構成を提供するもので、この場合の熱風供給装置はケーシング１に電熱ヒーター又は燃料の燃焼式バーナー等の空気加熱装置を内蔵させ、得られた熱風を適温に制御の上送風機を用いてケーシング１内部に吹き込むのが望ましく、また、この工程では乾燥促進と乾燥の均一性を得るため、前記ターンテーブル３を回転させる手段も併せて提供するものである。なお、ノズルから噴出され被洗浄物に塗布された液体は、使用後前記ケーシングの下部から外部に排水される。
【００２３】
請求項５の発明は、請求項１から請求項４の全ての発明において、本洗浄機を運転する際の安全性を確保する目的で、少なくとも下記の安全装置を有することを特徴としたものである。則ち扉１２が開いている場合は機械の運転スタートができないよう、又運転中に扉１２が何らかの都合で開いた場合は直ちに運転が停止するようなセンサー１６からの信号によって動作する扉安全装置２０、被洗浄物が運転によって正常な位置でなくなった場合や前記取り付け具の揺れ、変形その他異変が生じた場合光センサー等の感知器１７によって自動的に運転を停止する安全装置、内部の温度が異常に上昇して被洗浄物にダメージを与える場合に運転を停止するためのセンサー１８を有する安全装置を付属せしめることとしている。
【００２４】
なお、この発明は上記の実施例に限定されず、マットレスを縦型に配置し、両面から洗浄液を塗布し且つ両面からのすすぎを行うことを可能にするこの発明の基本的構成概念前提として幾多の実施例が存在する。例えば被洗浄物の汚れの程度に応じて洗浄液を塗布する前に温水にて予洗浄を行う工程を追加したり、ケーシング１内の水蒸気を外部に放出するための排気口１９は、乾燥工程の湿度状況により開口部の面積を可変にする自動ダンパーを設けることが考えられる。
【符号の説明】
【００２５】
１ ケーシング
２ モーター
３ ターンテーブル
４，４’，４” マットレス等の被洗浄物
５ 取り付け具
６，６’，６” 空間域
７，７’，７” ノズル
８ 回転軸
９ 軸受け
１０ 籠型のドラムフレーム
１１，１１’，１１” 取り付け位置
１２ 扉
１３ ポンプ
１４ 電子制御装置
１５ 熱風供給装置
１６ センサー
１７ 感知器
１８ センサー
１９ 排気口
２０ 扉安全装置
２１ 洗剤タンク
【特許請求の範囲】
【請求項１】
マットレス等の被洗浄物を洗浄する際の洗浄室を形成するケーシング内にはモーターによって回転するターンテーブルを設け、マットレス等の被洗浄物は、取り付け具によって前記ターンテーブルの外周縁部を囲うように直立載置した状態において隣接する側縁と側縁との間に空間域を設けるよう配置固定できる構成とし、前記ケーシングの外壁内面には洗浄液ないしすすぎ用液体を噴出するノズルを設け、前記ターンテーブルの回転の速さを制御することによって前記ノズルからの噴出液が前記マットレス等の被洗浄物の外側の他に内側にも前記の空間域を経て所定量吹き付けられるように構成したことを特徴とするマットレスの自動洗浄機。
【請求項２】
前記取り付け具は下部を前記ターンテーブルの所定の位置に固着され、上部は回転軸を有するフランジ状に形成され、この回転軸はターンテーブルの回転軸と軸線が一致するように前記ケーシング天井内面に設けた軸受けに嵌め込まれ、取り付け具全体はケーシング内に籠型ドラムフレームとなるよう構成され、マットレス等の被洗浄物が前記取り付け具に前記空間を設けて装着と脱着ができる構成としたことを特徴とする請求項１に記載のマットレスの自動洗浄機。
【請求項３】
前記ケーシングには開閉できる扉を設けると共に、洗浄工程及びすすぎ工程に使用する温水供給装置並びに前記ノズルへ液体を供給するポンプ及び運転動作を制御する電子制御装置を付属させ、洗浄液やすすぎ用液のノズルからの噴出液による洗浄工程やすすぎ工程終了後、自動的に前記ターンテーブルの回転を速くして遠心脱水作用を行う工程を設け得る構成にしたことを特徴とする請求項１及び請求項２に記載のマットレスの自動洗浄機。
【請求項４】
前記遠心脱水作用を行う工程は、すすぎ工程とセットで複数回実施が可能な構成とし、最終の遠心脱水作用を行う工程終了後、付属の熱風供給装置によって熱風をケーシング内へ吹き込みマットレス等の被洗浄物を消毒・乾燥させるための乾燥工程に入り得る構成にしたことを特徴とする請求項１から請求項３の何れにも記載のマットレスの自動洗浄機。
【請求項５】
安全装置として少なくとも、扉が開いている場合は運転スタートができないよう、又運転中に開いた場合は運転が停止するような扉安全装置、被洗浄物の位置や前記取り付け具に異常が発生した場合にセンサーによって自動的に運転を停止する安全装置、内部の温度が異常に上昇した際に温度を検知して運転を停止する安全装置を有することを特徴とする請求項１から請求項４の何れにも記載のマットレスの自動洗浄機。
【請求項１】
マットレス等の被洗浄物を洗浄する際の洗浄室を形成するケーシング内にはモーターによって回転するターンテーブルを設け、マットレス等の被洗浄物は、取り付け具によって前記ターンテーブルの外周縁部を囲うように直立載置した状態において隣接する側縁と側縁との間に空間域を設けるよう配置固定できる構成とし、前記ケーシングの外壁内面には洗浄液ないしすすぎ用液体を噴出するノズルを設け、前記ターンテーブルの回転の速さを制御することによって前記ノズルからの噴出液が前記マットレス等の被洗浄物の外側の他に内側にも前記の空間域を経て所定量吹き付けられるように構成したことを特徴とするマットレスの自動洗浄機。
【請求項２】
前記取り付け具は下部を前記ターンテーブルの所定の位置に固着され、上部は回転軸を有するフランジ状に形成され、この回転軸はターンテーブルの回転軸と軸線が一致するように前記ケーシング天井内面に設けた軸受けに嵌め込まれ、取り付け具全体はケーシング内に籠型ドラムフレームとなるよう構成され、マットレス等の被洗浄物が前記取り付け具に前記空間を設けて装着と脱着ができる構成としたことを特徴とする請求項１に記載のマットレスの自動洗浄機。
【請求項３】
前記ケーシングには開閉できる扉を設けると共に、洗浄工程及びすすぎ工程に使用する温水供給装置並びに前記ノズルへ液体を供給するポンプ及び運転動作を制御する電子制御装置を付属させ、洗浄液やすすぎ用液のノズルからの噴出液による洗浄工程やすすぎ工程終了後、自動的に前記ターンテーブルの回転を速くして遠心脱水作用を行う工程を設け得る構成にしたことを特徴とする請求項１及び請求項２に記載のマットレスの自動洗浄機。
【請求項４】
前記遠心脱水作用を行う工程は、すすぎ工程とセットで複数回実施が可能な構成とし、最終の遠心脱水作用を行う工程終了後、付属の熱風供給装置によって熱風をケーシング内へ吹き込みマットレス等の被洗浄物を消毒・乾燥させるための乾燥工程に入り得る構成にしたことを特徴とする請求項１から請求項３の何れにも記載のマットレスの自動洗浄機。
【請求項５】
安全装置として少なくとも、扉が開いている場合は運転スタートができないよう、又運転中に開いた場合は運転が停止するような扉安全装置、被洗浄物の位置や前記取り付け具に異常が発生した場合にセンサーによって自動的に運転を停止する安全装置、内部の温度が異常に上昇した際に温度を検知して運転を停止する安全装置を有することを特徴とする請求項１から請求項４の何れにも記載のマットレスの自動洗浄機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１０−２１３８７９（Ｐ２０１０−２１３８７９Ａ）
【公開日】平成２２年９月３０日（２０１０．９．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−６３７８２（Ｐ２００９−６３７８２）
【出願日】平成２１年３月１７日（２００９．３．１７）
【出願人】（５９１０４３６９５）アタム技研株式会社 (7)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年９月３０日（２０１０．９．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年３月１７日（２００９．３．１７）
【出願人】（５９１０４３６９５）アタム技研株式会社 (7)
【Ｆターム（参考）】
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