説明

マトリクスコンバータ装置及びその制御方法

【課題】転流中にスイッチングが完了するような短いPWM指令が発生した場合であっても、指令通りの精確な電圧を出力できるようにする。
【解決手段】交流電源電圧(1)とマトリクスコンバータ主回路(9)との間の各相に接続される入力フィルタ(2)と、交流電源電圧(1)の瞬時値を検出する電源電圧検出手段(3)と、双方向スイッチを駆動するためのゲートドライバ(4)と、コントローラ(6)と、交流電源電圧(1)の各相に入力側である交流電源の各相と出力側の各々の相を自己消弧能力をもつ双方向スイッチ(10〜18)で直接接続し、出力電圧指令に応じて交流電源電圧をPWM制御し、任意の交流及び直流電圧を出力するマトリクスコンバータにおいて、出力不可能な電圧指令が発生する場合、その出力不可能な電圧指令を保持し次の1キャリア制御周期に電圧指令が発生した場合、次回以降の制御時の電圧指令にその出力不可能な電圧指令を加算するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリクスコンバータを制御する出力電圧補償方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は従来のマトリクスコンバータのブロック回路図である。図において、1は三相交流電源、2は交流ラインフィルタ、3は電源電圧検出手段、4はゲートドライバ、5は転流切り替えシーケンス、6は出力電圧をPWM出力するためのコントローラ、7はマトリクスコンバータの転流を行うための各相出力電流の方向を判断するための電流方向検出回路群、8は交流モータ、9はマトリクスコンバータ、10〜18はマトリクスコンバータを構成する双方向スイッチである。マトリクスコンバータは1相につき3つの双方向スイッチグ素子を接続しているので、3相で合計9つの双方向スイッチング素子を備えている。このマトリクスコンバータに交流電源から三相交流電力を供給し、これら各双方向スイッチング素子を適切に制御して順次オン・オフ動作をさせるならば、直接変換により所望の電圧と周波数の三相交流電力が得られる。
【0003】
ここで出力電流が誘導性負荷の場合一般に、負荷端を開放すると、この負荷のリアクタンスに蓄えられたエネルギーでスイッチング素子の両端にサージ電圧が発生し、当該スイッチング素子を破壊する恐れがある。そこで、まず負荷端開放を防ぐための一般的なマトリクスコンバータの転流動作について説明する。
図7は一般的なマトリクスコンバータの転流をするときのマトリクスコンバータのU相の回路状態の一例を示す。R相の電圧は最大電圧EmaxでS相は中間電圧Emid、T相は最低電圧Eminとなっている。
図8は、図7の状態のときの一般的なマトリクスコンバータの転流タイムチャートを示す。図8のように転流動作を行うことで、サージ電圧が発生することなくマトリクスコンバータの転流を行うことができる。しかし、このような転流によるデッドタイムの影響により指令出力電圧に対して実際の出力電圧は誤差を生じる。
そこで、スイッチングパターンを切り替える際に電源短絡と負荷端子の開放が発生しないようにして負荷電流を転流させると共に、この負荷電流の転流の際にこれら各スイッチング素子の転流動作にデッドタイムを用いているマトリクスコンバータ装置の出力電圧は、交流電源の電圧と前記交流負荷の電流極性を検出し、これら電源電圧と負荷電流極性と前記スイッチング周波数とデッドタイム時間からスイッチング1サイクルの転流により発生する出力電圧の平均誤差電圧を演算し、当該電力変換装置に与える電圧指令値を、前記出力電圧平均誤差で補償している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図9は、特許文献1における出力電圧平均誤差補償回路を表したブロック回路図である。ここで、VU*、Vv*、Vw*は出力電圧指令であり、VU**、Vv**、Vw**は出力電圧平均誤差補償後の出力電圧指令である。図9のブロック回路において、最大電圧検出器は電源の各相電圧の最大値であるVmaxを検出し、最小電圧検出器は電源の各相電圧の最小値であるVminを検出することにより得られる。この最大線間電圧とゲイン(デッドタイム時間Tdとスイッチング1サイクルの周波数fsとの積)との乗算と、負荷電流の極性(正か負か零)との乗算を、第1乗算器21と第2乗算器20で行うことにより、出力電圧平均誤差が演算される。第2加算器25は、電圧指令値をこの出力電圧平均誤差で補償する演算を行う。
このように、従来の交流電源の各相と交流負荷の1つの相を該交流電源の各相に別個に設置したスイッチング素子を介して接続する回路を交流負荷の各相ごとに設ける構成のマトリクスコンバータ装置の出力電圧補償方法は、スイッチング1サイクルの平均誤差を計算して出力電圧を補償するのである。
【特許文献1】特開2005-20799号公報(11頁の図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の交流電源の各相と交流負荷の1つの相を該交流電源の各相に別個に設置したスイッチング素子を介して接続する回路を交流負荷の各相ごとに設ける構成のマトリクスコンバータ装置の出力電圧補償方法は、電源電圧と負荷電流極性と前記スイッチング周波数とデッドタイム時間からスイッチング1サイクルの転流により発生する出力電圧の平均誤差電圧を演算し、当該電力変換装置に与える電圧指令値を、前記出力電圧平均誤差で補償しているという理想値での補正となっている。しかし実際はキャリア周波数を高くした場合や微小の出力電圧を出力させる場合などデッドタイム以下のパルスを発生させるような場合などの非常に短いパルスは補償を行っても実際に発生してしまう半導体スイッチング素子の遅れやCPUなどの論理回路などの計算遅れによりスイッチングができない場合がある。
【0006】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、転流中にスイッチングが完了するような短いPWM指令が発生した場合であっても、指令通りの精確な電圧を出力できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
本発明は、交流電源の各相と負荷の1つの相を該交流電源の各相に別個に設置したスイッチング素子を介して接続する回路を前記交流負荷の各相ごとに設ける構成のマトリクスコンバータ装置で、これらのスイッチングパターンを切り替える際に電源短絡と負荷端子の開放が発生しないようにして負荷電流を転流させると共に、この負荷電流の転流の際にこれら各スイッチング素子の転流動作にデッドタイム時間を設けているマトリクスコンバータ装置の制御方法において、実際には出力不可能な短時間パルスが発生する際に、次回以降の制御時にその出力不可能なパルスを加算することで、時間平均的に指令通りの電圧を出力することを特徴とするマトリクスコンバータ装置の出力電圧補償方法であり、またその出力電圧補償方法は、保持する時間を任意に設定可能となっている。そして、その出力電圧補償方法は、出力不可能な短時間パルスを出力電圧指令として変換し、次回以降の出力電圧指令にその出力不可能な短時間パルスの出力電圧指令を足し合わせることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、転流中にスイッチングが完了するような短いPWM指令が発生した場合であっても、指令通りの精確な電圧を出力できる。
本発明によると、デッドタイムを考慮した際やキャリア周波数が非常に高い場合、非常に微小な電圧を出力する場合などに起こる出力不可能な短時間のパルスにおいて、あらかじめ出力可能な時間を設定するだけで、計算された出力パルスが設定値より小さい場合はそのパルスを出力せず次回の計算された出力電圧指令にそのまま足し合わされるので、非常に制御が簡単であり、かつ時間平均的に指令通りの電圧を出力することができる。そして、設定値を変えるだけでその設定値以下の出力パルスは発生させないため実際に起こるスイッチングの遅れなどにも設定値を変更するだけで簡単に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明のマトリクスコンバータ装置の出力電圧補償方法におけるフローチャート図である。図1においてステップS1はPWM演算をするステップである。ステップS2はPWMスイッチング時間計算(T0,T1)をするステップである。ここでT0は最小電圧接続時間であり、T1は最大電圧接続時間である。(T0−T1)は中間電圧接続時間である。
ステップS3は最大電圧接続時間T1とその設定値との大きさを比較するステップである。ステップS4はステップS3で最大電圧接続時間T1がその設定値より小さい場合、T1の値を次回のPWMスイッチング時間計算へ使用すると共に、T1を零とするステップである。
ステップS5は中間電圧接続時間(T0−T1)とその設定値との大きさを比較するステップである。ステップS6はステップ5で中間電圧接続時間(T0−T1)がその設定値より小さい場合、(T0−T1)の値を次回のPWMスイッチング時間計算へ使用すると共に、(T0−T1)を零とするステップである。
ステップS7はPWM出力をするステップである。ステップS8は次回のPWM演算をするステップである。ステップS9は次回PWMスイッチング時間計算(TONEXT,T1NXT)をするステップである。
【0011】
図1において、マトリクスコンバータ装置の出力電圧補償方法は、まずPWMパルスを出力するためのスイッチング時間の計算を行い、次に計算されたスイッチング時間T0とあらかじめデッドタイムを考慮したときに出力不可能な時間を設定した設定値と比較し、T0<設定値の場合はT0の値を次回のPWMパルスの計算値に足しこみ、今回のT0の計算値を0とし、PWMパルスを出力しない。次は、T1についてもT0と同様に、計算されたスイッチング時間T1とあらかじめデッドタイムを考慮したときに出力不可能な時間を設定した設定値と比較し、T1<設定値の場合はT1の値を次回のPWMパルスの計算値に足しこみ、今回のT1の計算値を0とし、PWMパルスを出力しないようにする。
【0012】
図2は最大電圧接続時間T1が設定値以下で、中間電圧接続時間(T0−T1)が設定値以下の場合の本発明の実施例を表した出力線間電圧パルス波形のタイムチャートである。図2において(A1)、(A2)は補償しない場合の出力線間電圧タイムチャートである。(B1)、(B2)が本発明の補償による出力線間電圧タイムチャートである。(B1)ではT1、(T0−T1)が設定値以下であるため出力線間電圧は出力されない。一方、次の1キャリア制御周期である(B2)は前の1キャリア制御周期で出力しなかった分(T1、T0)を足して出力する。
ここでのパルス波形は1サンプリング時間における最小電圧Eminを基準とした場合の出力電圧波形である。T1とT0-T1が設定値以下の場合にはそのときのスイッチング1サイクルはスイッチングが行われず、次回の最小電圧接続時間T0NEXT,最大電圧接続時間T1NEXTは、
【0013】
T0NEXT=T0NEXT+T0 ・・・(1)
T1NEXT=T1NEXT+T1 ・・・(2)
【0014】
となってPWM出力されることで時間平均的に指令通りのパルスが出力される。
図3はTO-T1<設定値で、T1>設定値の場合の本発明の実地例を表した出力電圧パルス波形のタイムチャートである。図2において(A1)、(A2)は補償しない場合の出力線間電圧タイムチャートである。(B1)、(B2)が本発明の補償による出力線間電圧タイムチャートである。(B1)ではT0が設定値以下であるためT0に関する部分の出力線間電圧は出力されない。一方、次の1キャリア制御周期である(B2)は前の1キャリア制御周期で出力しなかった分(T0)を足して出力する。
この場合は、図に示すようにT1は設定値以上であるのでそのスイッチング1サイクルT1時間のパルスが出力される。そして、TO-T1<設定値であるので、TO-T1のスイッチングパルスは出力されず次回のパルスに加算されるため次回のスイッチング時間T0NEXTとT1NEXTは、
【0015】
T0NEXT=T0NEXT+T0−T1 ・・・(3)
T1NEXT=T1NEXT ・・・(4)
【0016】
となってPWM出力されることで時間平均的に指令通りのパルスが出力される。
図4はT1<設定値で、TO-T1>設定値の場合の本発明の実施例を表した出力電圧パルス波形のタイムチャートである。図4において(A1)、(A2)は補償しない場合の出力線間電圧タイムチャートである。(B1)、(B2)が本発明の補償による出力線間電圧タイムチャートである。(B1)ではT1が設定値以下であるためT1に関する部分の出力線間電圧は出力されない。一方、次の1キャリア制御周期である(B2)は前の1キャリア制御周期で出力しなかった分(T1)を足して出力する。
この場合は、図に示すようにT0-T1は設定値以上であるのでそのスイッチング1サイクルT0-T1のパルスが出力される。そして、T1<設定値であるため、T1のスイッチングパルスは出力されず次回のパルスに加算されるため次回のスイッチング時間T0NEXTとT1NEXTは、
【0017】
T0NEXT=T0NEXT+T1 ・・・(5)
T1NEXT=T1NEXT+T1 ・・・(6)
【0018】
となってPWM出力されることで時間平均的に指令通りのパルスが出力される。
なお、最大電圧接続時間(T1)と中間電圧接続時間(T0−T1)が共に各々の設定値より大の場合は、
【0019】
T0NEXT=T0NEXT ・・・(7)
T1NEXT=T1NEXT ・・・(8)
【0020】
とし、何等の補償もせずにPWM出力する。
次に図5にマトリクスコンバータ用出力電圧補償方法のフローチャートを示す。
図5においてステップS20はPWM演算をするステップである。ステップS21はPWMスイッチング時間計算(T0,T1)をするステップである。ここでT0は最小電圧接続時間であり、T1は最大電圧接続時間である。(T0−T1)は中間電圧接続時間である。
ステップS22は最大電圧接続時間T1とその設定値との大きさを比較するステップである。ステップS23はステップS22で最大電圧接続時間T1がその設定値より小さい場合、T1で発生する電圧を次回のPWM演算へ使用すると共に、T1を零とするステップである。
ステップS24は中間電圧接続時間(T0−T1)とその設定値との大きさを比較するステップである。ステップS25はステップ24で中間電圧接続時間(T0−T1)がその設定値より小さい場合、(T0−T1)の値で発生する電圧を次回のPWM演算へ使用すると共に、(T0−T1)を零とするステップである。
ステップS26はPWM出力をするステップである。ステップS27は次回のPWM演算をするステップである。ステップS28は次回PWMスイッチング時間計算(TONEXT,T1NEXT)をするステップである。
ステップ27の電圧指令演算は次の(A)〜(D)の条件に場合分けして演算する。
【0021】
(A) T1<設定値 かつ T0-T1<設定値の場合
次回電圧指令=次回電圧指令+T1で発生する電圧+T0-T1で発生する電圧
(B) T1<設定値の場合
次回電圧指令=次回電圧指令+T1で発生する電圧
(C) T0-T1<設定値の場合
次回電圧指令=次回電圧指令+T0-T1で発生する電圧
(D) T1>設定値 かつ T0-T1>設定値の場合
次回電圧指令=次回電圧指令
【0022】
図5のマトリクスコンバータ用出力電圧補償方法は、まず従来通りに出力電圧指令を演算し、それによりPWMスイッチング時間を演算する。そして、まずT1がある設定値よりも小さい場合はそのT1に発生する出力電圧を演算する。そして、今回のPWMスイッチング時間T1は0secとし、そのT1に発生する出力電圧を次回以降の出力電圧指令に加算される。次のPWMスイッチング時間T0-T1についても同様にTO-T1が設定値以下の場合はそのPWMスイッチング時間TO-T1により発生する出力電圧を演算し、次回以降の出力電圧指令に加算するようにし、TO-T1=0secとする。以上により時間平均的に指令通りの出力電圧を出力することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例を示すマトリクスコンバータ装置における出力電圧補償方法のフローチャート
【図2】本発明の出力電圧補償方法の動作を示す出力線間電圧タイムチャート
【図3】本発明の出力電圧補償方法の動作を示す出力線間電圧タイムチャート
【図4】本発明の出力電圧補償方法の動作を示す出力線間電圧タイムチャート
【図5】本発明の実施例を示すマトリクスコンバータ装置における出力電圧補償方法のフローチャート
【図6】一般的なマトリクスコンバータのブロック回路図
【図7】一般的なマトリクスコンバータの転流をするときのマトリクスコンバータのU相の回路状態の一例
【図8】図6の状態のときのS相からR層へのスイッチング動作波形
【図9】特許文献1の出力電圧平均誤差補償回路を表したブロック回路図
【符号の説明】
【0024】
1 三相交流電源
2 交流ラインフィルタ
3 電源電圧検出手段
4 ゲートドライバ
5 転流切り替えシーケンス
6 コントローラ
7 電流方向検出回路群
8 交流モータ
9 マトリクスコンバータ
10〜18 双方向スイッチ
19 符号検出回路
20 第2乗算器
21 第1乗算器
22 第1加算器
23 最大電圧検出器
24 最小電圧検出器
25 第2加算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の各相と負荷の1つの相を該交流電源の各相に別個に設置したスイッチング素子を介して接続する回路を前記負荷の各相ごとに設ける構成のマトリクスコンバータ装置で、これらのスイッチングパターンを切り替える際に電源短絡と負荷端子の開放が発生しないようにして負荷電流を転流させると共に、この負荷電流の転流の際にこれら各スイッチング素子の転流動作にデッドタイム時間を設けているマトリクスコンバータ装置の制御方法において、
1キャリア制御周期内に出力不可能な電圧指令が発生する場合、前記出力不可能な電圧指令を保持し、次の1キャリア制御周期の電圧指令に前記出力不可能な電圧指令を加算して電圧指令を作成することを特徴とするマトリクスコンバータ装置の制御方法。
【請求項2】
予め設定された設定値より短い電圧指令が出力される場合、その電圧指令の時間を保持し、次の1キャリア制御周期の電圧指令に前記電圧指令を加算して電圧指令を作成することを特徴とする請求項1記載のマトリクスコンバータ装置の制御方法。
【請求項3】
予め設定された設定値より短い電圧指令が出力される場合、その電圧指令の時間から出力電圧を演算し、次の1キャリア制御周期の電圧指令に加算することを特徴とする請求項1記載のマトリクスコンバータ装置の制御方法。
【請求項4】
PWM演算をするステップ(S1)と、PWMスイッチング時間における最小電圧接続時間(T0)と最大電圧接続時間(T1)を求めるステップ(S2)と、
最大電圧接続時間(T1)とその最大電圧接続時間設定値とを比較するステップ(S3)と、
最大電圧接続時間T1がその最大電圧接続時間設定値より小さい場合、T1の値を次回のPWMスイッチング時間計算へ使用すると共に、T1を零とするステップ(S4)と、
中間電圧接続時間(T0−T1)とその中間電圧接続時間設定値との大きさを比較するステップ(S5)と、
中間電圧接続時間(T0−T1)がその中間電圧接続時間設定値より小さい場合、(T0−T1)の値を次回のPWMスイッチング時間計算へ使用すると共に、(T0−T1)を零とするステップ(S6)と、
PWM出力をするステップ(S7)と、
次の1キャリア制御周期でPWM演算をするステップ(S8)と、
次の最小電圧接続時間(TONEXT)、最大電圧接続時間(T1NEXT)を求め、
(A)最大電圧接続時間(T1)と中間電圧接続時間(T0−T1)が共に各々の設定値以下の場合、
T0NEXT=T0NEXT+T0 ・・・(1)
T1NEXT=T1NEXT+T1 ・・・(2)
(B)中間電圧接続時間(T0−T1)のみ設定値以下の場合、
T0NEXT=T0NEXT+T0−T1 ・・・(3)
T1NEXT=T1NEXT ・・・(4)
(C)最大電圧接続時間(T1)のみ設定値以下の場合、
T0NEXT=T0NEXT+T1 ・・・(5)
T1NEXT=T1NEXT+T1 ・・・(6)
(D)最大電圧接続時間(T1)と中間電圧接続時間(T0−T1)が共に各々の設定値より大の場合、
T0NEXT=T0NEXT ・・・(7)
T1NEXT=T1NEXT ・・・(8)
とするステップ(S9)とからなるマトリクスコンバータ装置の制御方法。
【請求項5】
PWM演算をするステップ(S20)と、
PWMスイッチング時間における最小電圧接続時間(T0)と最大電圧接続時間(T1)を求めるステップ(S21)と、
最大電圧接続時間(T1)とその最大電圧接続時間設定値とを比較するステップ(S22)と、
最大電圧接続時間T1がその最大電圧接続時間設定値より小さい場合、T1ので発生する電圧を次回のPWM演算へ使用すると共に、T1を零とするステップ(S23)と、
中間電圧接続時間(T0−T1)とその中間電圧接続時間設定値との大きさを比較するステップ(S24)と、
中間電圧接続時間(T0−T1)がその中間電圧接続時間設定値より小さい場合、(T0−T1)の値で発生する電圧を次回のPWM演算へ使用すると共に、(T0−T1)を零とするステップ(S25)と、
PWM出力をするステップ(S26)と、
次の1キャリア制御周期でPWM演算し、次の最小電圧接続時間(TONEXT)、最大電圧接続時間(T1NEXT)を求め、
(A)最大電圧接続時間(T1)と中間電圧接続時間(T0−T1)が共に各々の設定値以下の場合、
次回電圧指令=次回電圧指令+T1で発生する電圧+T0-T1で発生する電圧
(B)中間電圧接続時間(T0−T1)のみ設定値以下の場合、
次回電圧指令=次回電圧指令+T1で発生する電圧
(C)最大電圧接続時間(T1)のみ設定値以下の場合、
次回電圧指令=次回電圧指令+T0-T1で発生する電圧
(D)最大電圧接続時間(T1)と中間電圧接続時間(T0−T1)が共に各々の設定値より大の場合、
次回電圧指令=次回電圧指令
とするステップ(S27)とからなるマトリクスコンバータ装置の制御方法。
【請求項6】
交流電源電圧(1)とマトリクスコンバータ主回路(9)との間の各相に接続される入力フィルタ(2)と、交流電源電圧(1)の瞬時値を検出する電源電圧検出手段(3)と、双方向スイッチを駆動するためのゲートドライバ(4)と、コントローラ(6)と、交流電源電圧(1)の各相に入力側である交流電源の各相と出力側の各々の相を自己消弧能力をもつ双方向スイッチ(10〜18)で直接接続し、出力電圧指令に応じて交流電源電圧をPWM制御し、任意の交流及び直流電圧を出力するマトリクスコンバータ装置において、
出力不可能な電圧指令が発生する場合、その出力不可能な前記電圧指令を保持し、次の1キャリア制御周期に前記電圧指令が発生した場合、次回以降の制御時の電圧指令にその出力不可能な前記電圧指令を加算することを特徴とするマトリクスコンバータ装置。
【請求項7】
予め設定された設定値より短い電圧指令が出力される場合、その電圧指令の時間を保持し、次の1キャリア制御周期の電圧指令に前記電圧指令を加算して電圧指令を作成することを特徴とする請求項6記載のマトリクスコンバータ装置。
【請求項8】
予め設定された設定値より短い電圧指令が出力される場合、その電圧指令の時間から出力電圧を演算し、次の1キャリア制御周期の電圧指令に加算することを特徴とする請求項6記載のマトリクスコンバータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−148476(P2008−148476A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334112(P2006−334112)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】