説明

マトリクス走査装置に適合可能な駆動システム

【課題】種々のタッチパネル又はマトリクス走査装置に適合可能な駆動システムを提供する。
【解決手段】本発明の駆動システムでは、多数の第1の駆動回路(11)が基板(10)の第1の方向に沿って第1の周辺部上に設けられ、第1の駆動回路は各々、マトリクス走査装置の少なくとも1本のコラム配線(12)に結合される。多数の第2の駆動回路(11)が基板(10)の第2の方向に沿って第2の周辺部上に設けられ、第2の駆動回路は各々、マトリクス走査装置の少なくとも1本のロウ配線(12)に結合される。マスターコントローラ(13)が第1の駆動回路及び第2の駆動回路を制御する。バス(14)がマスターコントローラ、第1の駆動回路及び第2の駆動回路に電気的に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、マトリクス走査装置に関し、特に、マトリクス走査装置に適合可能な駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、マトリクスの形態に構成されたコラム(列)配線及びロウ(行)配線を有するマトリクス走査装置である。タッチの検出は、一般に、ロウ配線を順次走査し、コラム配線からの応答を受け取ることによって行なわれる。タッチパネルの分解能が増大しているので、タッチ検出を達成するのに必要な配線の本数が多くなっている。しかしながら、配線の本数が多くなるということは、タッチパネルから広がる配線の本数の増大に対応するようタッチパネルの境界部スペースを多く取っておく必要があるということを意味しており、したがって、タッチパネルの嵩が大きくなり又はタッチパネルを小型化することが困難になる。
【0003】
さらに、従来型タッチパネルのロウ及びコラム配線に作動的に結合されたコントローラをタイヤの対応のタッチパネル用にのみ設計し、構成し、そして製造する場合がある。換言すると、各種のタッチパネルは、その専用のコントローラを必要とし、それによりコントローラを規格化することが困難になり、マンパワーが無駄になり、しかも市場に出すまでの時間が長くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の理由で、増大している境界部スペースの問題を解決することができ、しかも種々のタッチパネルに汎用的に適合可能な新規な駆動システムを提案する必要性が生じている。
【0005】
上述のことを考慮して、本発明の目的は、マトリクス走査装置に適合可能であって、マトリクス走査回路の境界部スペース上の配線の本数を実質的に減少させることができ、しかもマトリクス走査装置の種々のサイズに調節可能に適合可能な駆動システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、マトリクス走査操作装置に適合可能な駆動システムは、第1の駆動回路、第2の駆動回路、マスターコントローラ及び電気バスを有する。第1の駆動回路は、基板の第1の方向に沿って第1の周辺上に設けられ、各第1の駆動回路は、マトリクス走査装置の少なくとも1本のコラム配線に結合される。第2の駆動回路は、基板の第2の方向に沿って第2の周辺上に設けられ、各第2の駆動回路は、マトリクス走査装置の少なくとも1本のロウ配線に結合される。マスターコントローラは、第1の駆動回路及び第2の駆動回路を制御するよう構成されている。バスは、マスターコントローラ、第1の駆動回路及び第2の駆動回路に電気的に結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態としてのマトリクス走査装置に適合可能な駆動システムのブロック図である。
【図2】本発明の実施形態としての一駆動回路の詳細ブロック図である。
【図3】バスとロウ/コラム配線との間の駆動回路のマトリクスマルチプレクサの例示の結線状態を示す図である。
【図4】本発明のアナログ/ディジタルマルチプレクサの詳細ブロック図である。
【図5】バス及び駆動回路相互間の例示の結線状態を示す図である。
【図6】駆動回路の再設定及びID設定のタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、マトリクス走査装置、例えばタッチパネル又は液晶ディスプレイ(LCD)パネル(これらには限定されない)に適合可能な本発明の一実施形態としての駆動システムのブロック図である。
【0009】
この実施形態では、駆動システムは、駆動回路11、即ち、基板10の第1の方向(例えば、X軸)に沿って第1の周辺部上に設けられた第1の駆動回路(例えば、走査駆動回路)Xo〜Xm及び基板10の第2の方向(例えば、Y軸)に沿って第2の周辺部上に設けられた第2の駆動回路(例えば、データ駆動回路)Yo〜Ynの2つの群を含む。各駆動回路11は、マトリクス走査装置の1本又は2本以上のコラム/ロウ配線12に結合されている。例示の一実施形態では、基板10は、マトリクス走査装置としてのタッチパネルのガラス基板である。
【0010】
駆動システムは、第1の駆動回路Xo〜Xm及び第2の駆動回路Yo〜Ynを制御するよう構成されたマスターコントローラ13を更に有する。マスターコントローラ13は、通常、基板10の外部に設けられている(必ずしもそうである必要はない)。電気バス14がマスターコントローラ13、第1の駆動回路Xo〜Xm及び第2の駆動回路Yo〜Ynに電気的に結合されており、これらに信号を伝送するよう構成されている。バス14の1本又は2本以上のバス配線は、アナログチャネル(アナログモードにおいて)かディジタルチャネル(ディジタルモードにおいて)かのいずれかとして構成されるのがよい。一実施形態によれば、バス14は、信号を基板10とマスターコントローラ13との間にタイムシェアリング及び/又はバッチ方式で伝送するよう利用されるのがよい。したがって、マスターコントローラ13の入力/出力ピンの本数を実質的に減少させることができ、基板10の境界部スペースも又減少させることができる。
【0011】
図2は、本発明の実施形態としての一駆動回路11の詳細ブロック図である。この実施形態では、駆動回路11は、主要構成要素として、マトリクスマルチプレクサ(マトリクスMUX)110、アナログ/ディジタルマルチプレクサ(axdMUX)112及びレジスタコントローラ114を含む。レジスタコントローラ114は、バス14に電気的に結合されている。マトリクスマルチプレクサ110は、少なくとも1本のロウ/コラム配線12に電気的に結合されており、この配線12は、レジスタコントローラ114及びマスターコントローラ13から出たアナログ/ディジタル切替信号AXD0又はAXD1の制御下でマトリクスマルチプレクサ110を介してバス14の1本のバス配線と制御可能に連絡状態にある。アナログ/ディジタル切替信号AXD0は、第1の駆動回路Xo〜Xmを制御するために用いられ、アナログ/ディジタル切替信号AXD1は、第1の駆動回路Yo〜Ynを制御するために用いられる。例えば、マトリクスマルチプレクサ110は、レジスタコントローラ114及びアナログ/ディジタル切替信号AXD0/AXD1の制御下で第1の論理回路116により生じた第1の制御信号110Aによって制御可能である。この実施形態では、アナログ/ディジタル切替信号AXD0/AXD1が「1」である場合、バス14は、アナログモードに切り換えられ、他方、アナログ/ディジタル切替信号AXD0/AXD1が「0」である場合、バス14は、ディジタルモードに切り換えられる。図3は、バス14とマトリクス走査装置のコラム配線12との間における第1の駆動回路Xo〜Xmのマトリクスマルチプレクサ110の例示の結線状態を示している。バス14とコラム配線12との結線は、マスターコントローラ13によってロードされる記憶状態のレジスタコンテンツに従って構成される。
【0012】
図2に戻ってこれを参照すると、アナログ/ディジタルマルチプレクサ112は、レジスタコントローラ114及びアナログ/ディジタル切替信号AXD0/AXD1の制御下でバス14上に伝送されているアナログ/ディジタル信号を調整するために用いられる。例えば、アナログ/ディジタルマルチプレクサ112は、レジスタコントローラ114及びアナログ/ディジタル切替信号AXD0/AXD1の制御下で第2の論理回路118により生じた第2の制御信号112Aにより制御可能である。
【0013】
図4は、一実施形態としてのアナログ/ディジタルマルチプレクサ112の詳細ブロック図である。この実施形態では、バス配線D0は、構成済みの駆動回路(例えば、図1ではXo〜Xm)の全数を自動的に算出するために保留される。例えば、駆動回路11を設定した後、そのアナログ/ディジタルマルチプレクサ112のスイッチSWは、第2の制御信号112Aによって閉成され、かくして、バス配線ノードD0のところのあらかじめ定められた信号(例えば、「0」)は、バス配線ノードD0′に伝送される。接続状態の駆動回路の最後の駆動回路(例えば、図1のXm)は、そのバス配線ノードD0′のところの予め定められた信号をフィードバック信号FBK0又はFBK1として最終的にマスターコントローラ13に送り戻す(フィードバックする)。例えば、フィードバック信号FBK0は、第1の駆動回路Xmからフィードバックされ、フィードバック信号FBK1は、第2の駆動回路Ynからフィードバックされる。したがって、フィードバック信号FBK0/FBK1の検出時、マスターコントローラ13は、構成済みの駆動回路の全数を算出する。
【0014】
この実施形態では、バス14のうちの何本かのバス配線は、特定の動作モードに従って適合可能に利用できる。図5は、バス13及び第1の駆動回路Xo〜Xm相互間の例示の結線状態を示している。例えば、符号spi_miso,spi_mosi,spi_clkで示されたバス配線は、シリアル周辺インターフェイス(SPI)規格によって特定されたバス信号として用いられ、符号smartIO0,smartIO1,smartIO2で示されたバス配線は、駆動システムの種々の動作モードを構成するために用いられる。
【0015】
駆動システムをマトリクス走査装置で動作させることができる前に、駆動回路11は、リセットされると共にそれぞれの識別コード(ID)により設定されるべきである。図6は、駆動回路11をリセットすると共にID設定するタイミング図を示している。駆動回路11のそれぞれレジスタコントローラ114に記憶されたIDに基づいて、各駆動回路11をアドレスしてデータ/信号読出し又は書込みを実施することができる。
【0016】
特定の実施形態を図示すると共に説明したが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく種々の改造例を想到できることは理解されよう。なお、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載にのみ基づいて定められる。
【符号の説明】
【0017】
10 基板
11 駆動回路
12 コラム/ロウ配線
13 マスターコントローラ
14 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス走査装置に適合可能な駆動システムであって、
基板の第1の方向に沿って第1の周辺上に設けられた複数の第1の駆動回路を有し、各前記第1の駆動回路は、前記マトリクス走査装置の少なくとも1本のコラム配線に結合され、
基板の第2の方向に沿って第2の周辺上に設けられた複数の第2の駆動回路を有し、各前記第2の駆動回路は、前記マトリクス走査装置の少なくとも1本のロウ配線に結合され、
前記第1の駆動回路及び前記第2の駆動回路を制御するよう構成されたマスターコントローラを有し、
前記マスターコントローラ、前記第1の駆動回路及び前記第2の駆動回路に電気的に結合されたバスを有する、駆動システム。
【請求項2】
前記マトリクス走査装置は、タッチパネルである、請求項1記載の駆動システム。
【請求項3】
前記マスターコントローラは、前記基板の外部に設けられている、請求項1記載の駆動システム。
【請求項4】
前記バスの少なくとも1本のバス配線は、アナログモードにおけるアナログチャネルかディジタルモードにおけるディジタルチャネルかのいずれかとして構成されている、請求項1記載の駆動システム。
【請求項5】
前記マスターコントローラは、前記アナログモードと前記ディジタルモードを切り換えるために用いられるアナログ/ディジタル切替信号を出力する、請求項4記載の駆動システム。
【請求項6】
前記第1又は前記第2の駆動回路は、
前記バスに電気的に結合されたレジスタコントローラを有し、
少なくとも1本の前記ロウ又はコラム配線に電気的に結合されたマトリクスマルチプレクサを有し、前記配線は、前記レジスタコントローラ及びアナログ/ディジタル切替信号の制御下で前記バスの1本のバス配線と制御可能に連絡状態にあり、
前記レジスタコントローラ及び前記アナログ/ディジタル切替信号の制御下で前記バス上に移送された信号を調整するよう構成されたアナログ/ディジタルマルチプレクサを有する、請求項5記載の駆動システム。
【請求項7】
前記ロウ/コラム配線と前記バスとの接続は、前記レジスタコントローラに記憶されたレジスタコンテンツに従って構成される、請求項6記載の駆動システム。
【請求項8】
前記レジスタコンテンツは、前記マスターコントローラによりロードされる、請求項7記載の駆動システム。
【請求項9】
前記第1又は前記2の駆動回路は、前記レジスタコントローラ及び前記アナログ/ディジタル切替信号の制御下で第1の制御信号を発生させるよう構成された第1の論理回路を更に含む、請求項6記載の駆動システム。
【請求項10】
前記第1又は前記2の駆動回路は、前記レジスタコントローラ及び前記アナログ/ディジタル切替信号の制御下で第2の制御信号を発生させるよう構成された第2の論理回路を更に含む、請求項6記載の駆動システム。
【請求項11】
前記アナログ/ディジタルマルチプレクサは、関連の前記第1又は第2の駆動回路を設定した後に、あらかじめ定められた信号は前記アナログ/ディジタルマルチプレクサを通るよう前記第2の制御信号により閉成されるスイッチを含む、請求項10記載の駆動システム。
【請求項12】
前記マスターコントローラは、結合関係にある第1又は第2の駆動回路のうちの最後の回路から前記あらかじめ定められた信号を受け取るよう構成されたフィードバック信号ノードを有する、請求項11記載の駆動システム。
【請求項13】
前記マスターコントローラは、前記第1又は前記第2の駆動回路の前記レジスタコントローラにそれぞれ識別コード(ID)を出力する、請求項6記載の駆動システム。
【請求項14】
マトリクス走査装置に適合可能な駆動システムであって、前記駆動システムは、前記マトリクス走査装置の境界部スペース上の配線の量を実質的に減少させると共に前記マトリクス走査装置の種々のサイズに調節可能に適合可能である、駆動システム。
【請求項15】
前記マトリクス走査装置は、タッチパネルである、請求項14記載の駆動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−243299(P2012−243299A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267101(P2011−267101)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【出願人】(504272327)宸鴻光電科技股▲分▼有限公司 (30)
【氏名又は名称原語表記】TPK TOUCH SOLUTIONS INC.
【住所又は居所原語表記】6F,NO.13−18,Sec.6, Min Quan E.Rd.,Neihu Dist.,Taipei,Taiwan.
【Fターム(参考)】