説明

マニュアル出力装置

【課題】迅速でかつ確実に、電子機器に関する所定の設定すべき情報をマニュアルとして出力することのできるマニュアル出力装置を提供することを目的とする。
【解決手段】マニュアル出力装置1は、電子機器の操作に関するマニュアル情報を記憶する印刷物情報格納メモリ60と、マニュアル情報に含まれる1つ以上の設定項目に対応する電子機器の設定対象部位について、当該設定項目に応じた設定が実施されているか否かを判定する初期設定自己診断部30と、電子機器の電源がオフ状態からオン状態に変化したことを検知する初期状態感知部20と、初期状態感知部20が電子機器の電源がオン状態に変化したことを検知するとともに、初期設定自己診断部30が未実施の設定対象部位があると判定したときに、当該設定対象部位に対応する設定項目をマニュアルとして印刷部4から出力させる制御部10とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力手段を備えた電子機器に設けられ当該電子機器の操作に関するマニュアルを出力するマニュアル出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばファクシミリ装置などの印刷機能を備えた電子機器の操作マニュアルは、製品とともに梱包箱に同梱されている場合が多い。そのため、ユーザは、電子機器の初期設定を行うときには、同梱されている操作マニュアルを熟読した後に設定作業を行う必要がある。この操作マニュアルは、当該電子機器が動作するのに必要な初期設定、基本的な機能、応用的な機能などの各種の操作についての記述内容になっている場合が多い。
【0003】
また、ユーザからの指示に応じて、予め記憶されている操作マニュアルデータを印刷出力するプリンタ装置(電子機器)が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
この(特許文献1)に記載されているプリンタ装置では、操作マニュアルデータをハードディスクに予め記憶しておき、ユーザによる操作パネルの操作指示に従ってハードディスクから操作マニュアルデータを読み出し、この読み出した操作マニュアルデータの全部あるいは一部(特定のページあるいは機能の範囲)を印刷出力する。
【特許文献1】特開平8−164658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の電子機器では、初期設定、基本的な機能、応用的な機能などの各種の操作についての記述内容の操作マニュアルを読む必要があるものの、この操作マニュアルはページ数が多いため、ユーザは操作マニュアルを十分に読まずに初期設定作業を実施して、誤った初期設定をしてしまうことが多かった。そのため、誤った初期設定に起因して当該電子機器が誤動作をするという問題点を有していた。
【0006】
特に、初心者にとっては、分量の多い(ページ数の多い)操作マニュアルの中から、例えば必要最小限の設定である初期設定の範囲(項目)を把握することは困難であった。そのため、初期設定の項目に関する内容を十分に読まずに初期設定作業を実施し、誤った初期設定を行う場合が多くあった。
【0007】
また、上記(特許文献1)に記載されているプリンタ装置では、予め記憶されている操作マニュアルデータの全部または一部を印刷出力することができるものの、操作マニュアルデータの全部を印刷出力する場合には、上記従来の電子機器の場合と同様に、初期設定の項目に関する内容を十分に読まずに初期設定作業を実施し、誤った初期設定を行う恐れがある。
【0008】
一方、操作マニュアルデータの一部(例えば初期設定の項目)を印刷出力する場合は、その範囲を特定するのが面倒であり、また、特に初心者にとっては初期設定の項目(範囲)を認識することが困難な場合があり、そのため、操作マニュアルデータの一部を印刷出力して、迅速に初期設定作業を実施することができないという問題点がある。
【0009】
そこで、本発明は、迅速でかつ確実に、電子機器に関する所定の設定すべき情報をマニュアルとして出力することのできるマニュアル出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために、本発明のマニュアル出力装置は、出力手段を備えた電子機器に設けられるマニュアル出力装置であって、前記電子機器の操作に関するマニュアル情報を記憶する記憶手段と、前記マニュアル情報に含まれる1つ以上の設定項目に対応する前記電子機器の設定対象部位について、当該設定項目に応じた設定が実施されているか否かを判定する判定手段と、前記電子機器の電源がオフ状態からオン状態に変化したことを検知する検知手段と、前記検知手段が前記電子機器の電源がオン状態に変化したことを検知するとともに、前記判定手段が未実施の前記設定対象部位があると判定したときに、当該設定対象部位に対応する設定項目をマニュアルとして前記出力手段から出力させる制御手段とを有する構成としたものである。
【0011】
本発明の好ましい形態において、前記出力手段は、印刷情報を印刷する印刷手段と表示情報を表示する表示手段とを備え、前記制御手段は、前記判定手段によって判定された未実施の前記設定対象部位に対応する設定項目をマニュアルとして、ユーザにより指定される前記印刷手段または前記表示手段から出力させる。
【0012】
本発明のさらに好ましい形態において、前記設定項目は、設定すべき設定内容を含むものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子機器の電源がオフ状態からオン状態に変化したときは、判定手段によって判定された未実施の設定対象部位に対応する設定項目がマニュアルとして出力手段から出力されるので、迅速でかつ確実に、電子機器に関する所定の設定すべき情報をマニュアルとして出力することができるという有効な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の請求項1に記載の発明は、出力手段を備えた電子機器に設けられるマニュアル出力装置であって、電子機器の操作に関するマニュアル情報を記憶する記憶手段と、マニュアル情報に含まれる1つ以上の設定項目に対応する電子機器の設定対象部位について、当該設定項目に応じた設定が実施されているか否かを判定する判定手段と、電子機器の電源がオフ状態からオン状態に変化したことを検知する検知手段と、検知手段が電子機器の電源がオン状態に変化したことを検知するとともに、判定手段が未実施の設定対象部位があると判定したときに、当該設定対象部位に対応する設定項目をマニュアルとして出力手段から出力させる制御手段とを有するマニュアル出力装置であり、電子機器の電源がオフ状態からオン状態に変化したときは、判定手段によって判定された未実施の設定対象部位に対応する設定項目がマニュアルとして出力手段から出力されるので、迅速でかつ確実に、電子機器に関する所定の設定すべき情報をマニュアルとして出力することができるという作用を有する。
【0015】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、出力手段は、印刷情報を印刷する印刷手段と表示情報を表示する表示手段とを備え、制御手段は、判定手段によって判定された未実施の設定対象部位に対応する設定項目をマニュアルとして、ユーザにより指定される印刷手段または表示手段から出力させるマニュアル出力装置であり、電子機器の電源がオフ状態からオン状態に変化したときは、判定手段によって判定された未実施の設定対象部位に対応する設定項目がマニュアルとして、ユーザにより指定される印刷手段または表示手段から出力されるので、迅速でかつ確実に、電子機器に関する所定の設定すべき情報をマニュアルとして出力することができるという作用を有する。
【0016】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、設定項目は、設定すべき設定内容を含むものであるマニュアル出力装置であり、電子機器の電源がオ
フ状態からオン状態に変化したときは、判定手段によって判定された未実施の設定対象部位に対応する、設定内容を含む設定項目がマニュアルとして出力手段から出力されるので、迅速でかつ確実に、電子機器に関する所定の設定すべき情報をマニュアルとして出力することができるという作用を有する。
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるマニュアル出力装置を適用した電子機器の要部を示す構成図、図2は図1に示したマニュアル出力装置の処理動作を示すフローチャート、図3はマニュアルの出力を説明する図、図4はマニュアルの出力を説明する図である。
【0019】
図1に示すように、電子機器は、マニュアルの出力制御を行うマニュアル出力装置1と、本機器に電力を供給する電源部2と、メッセージなどの表示情報を表示するディスプレイ等の表示部(表示手段)3と、マニュアルやFAX受信した内容などの印刷情報を印刷する印刷部(印刷手段)4と、電話回線やLAN(ネットワーク)との通信を司るインターフェース部5と、発信元の電話番号など登録情報を記憶する設定登録メモリ6とを備えている。
【0020】
インターフェース部5は、電話のモジュラジャックが挿入されるコネクタ、通信ケーブル(LANケーブル)が接続されるコネクタを備えている。
【0021】
設定登録メモリ6は、一定時間、電源部2の電源がオフ状態になっている場合は、記憶内容がクリアされるようになっている。
【0022】
この実施の形態1では、電子機器はファクシミリ装置を想定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、出力手段を備えた電子機器であれば良い。
【0023】
マニュアル出力装置1において、制御部(制御手段)10は、本電子機器全体を統括制御するとともにマニュアルの出力制御を行う。
【0024】
初期状態感知部(検知手段)20は、電源部2の電源の状態を監視し、その電源がオフ状態からオン状態に変化したことを検知する。
【0025】
初期設定自己診断部(判定手段)30は、電子機器(ファクシミリ装置)の初期設定が適切に実施されているか否か、すなわち、後述するマニュアル情報に含まれる1つ以上の設定項目に対応する電子機器の設定対象部位について、当該設定項目に応じた設定が実施されているか否かを判定する。
【0026】
印刷可否入力部40は、例えば操作パネルで構成され、ユーザ(電子機器使用者)が、マニュアルの印刷の可否(許可または不許可)を示す旨、およびマニュアルの印刷可否の問合せの可否(許可または不許可)を示す旨を入力するためのものである。
【0027】
プログラム格納メモリ50は、例えばROMで構成され、後述するマニュアルの出力制御の処理手順に対応するプログラム(ソフトウェア)を格納している。
【0028】
印刷物情報格納メモリ(記憶手段)60は、例えばROMで構成され、電子機器の操作
に関するマニュアル情報を格納している。ここでは、マニュアル情報は、電子機器の初期設定に必要な範囲の内容であり、具体的には、設定項目とこれに対応する設定内容とで構成されている。
【0029】
印刷完了情報格納メモリ70は、例えばRAMで構成され、印刷物情報格納メモリ60に格納されているマニュアル情報が印刷されたか否かを示す情報を格納する。
【0030】
問合せ可否情報格納メモリ80は、例えばRAMで構成され、マニュアルの印刷可否をユーザに問合せするか否かを示す情報を格納する。
【0031】
一時印刷物情報格納メモリ90は、例えばRAMで構成され、印刷物情報格納メモリ60に格納されているマニュアル情報の中から、電子機器の初期設定が必要と判断された部位のマニュアルのみが抽出された情報を一時的に格納する。
【0032】
次に、マニュアル出力装置によるマニュアルの出力制御動作について、図2を参照して説明する。
【0033】
ここで、印刷物情報格納メモリ60には、電子機器の初期設定時に、参照および確認するため、自宅(発信元)の電話番号の設定方法などの印刷すべき項目(設定項目)およびその内容(設定内容)のマニュアル情報が格納されているものとする。
【0034】
このマニュアル情報を印刷出力した印刷物の一例を、図3に示す。この図3において、上述した設定項目は「内容」の欄に対応し、また上述した設定内容は「実施」の欄に対応している。「内容」の欄には、各設定項目に関する設定手順、設定方法などが記述されている。また「実施」の欄には、該当する設定項目について設定したかをユーザがチェック可能なようにチェック欄が記述されている。
【0035】
ユーザが電子機器の電源部2の電源を投入(オン状態)すると(ステップS1)、初期状態感知部20が動作し、電子機器の電源がオフ状態からオン状態に変化したことを検知し、その旨を制御部10に通知する。制御部10は、プログラム格納メモリ50からプログラムを読み出して実行する。
【0036】
すなわち、制御部10は、印刷完了情報格納メモリ70を参照して、初期設定のマニュアルが印刷されたか否かを判断する(ステップS2)。
【0037】
ここで、印刷完了情報格納メモリ70は、マニュアル情報が印刷されている場合にはその旨を格納し、一方、マニュアル情報が印刷されていない場合(印刷未完了の場合)はクリアになっている。初期設定のときは当然、印刷完了情報格納メモリ70はクリアの状態になっている。
【0038】
ステップS2においてマニュアルは印刷されていないと判断した制御部10は、初期設定すべき設定対象の部位を特定するよう初期設定自己診断部30に依頼するとともに、この依頼に応答した初期設定自己診断部30からの結果を基に印刷内容を収集し、さらに、収集した印刷内容を基に、印刷物情報格納メモリ60から初期設定に適切であるマニュアル情報のみを一時印刷物情報格納メモリ90へ複製する(ステップS3)。
【0039】
これにより、設定状況に応じて、初期設定が必要なマニュアル情報のみが一時印刷物情報格納メモリ90に格納されることになる。
【0040】
なお、制御部10から初期設定すべき設定対象の部位を特定するよう依頼された初期設
定自己診断部30は、通信ケーブルのような物理的に接続しなければならない場合と、電話番号などの必要事項を登録しなければならない場合の2種類に対応して、初期設定すべき設定対象の部位を特定(判定)する。
【0041】
具体的には、初期設定自己診断部30は、例えば、物理的な設定の場合は、インターフェース部(設定対象部位)5から送出される信号に基づいて通信ケーブルなどが物理的に接続されている否かを判断するとともに、電話番号などの必要事項の設定の場合は、設定登録メモリ(設定対象部位)6の記憶内容に基づいて電話番号などの必要事項が設定されているか否かを判断する。
【0042】
ところで、ステップS3を終了した制御部10は、用紙が装填されているか否かを印刷部4に問合せるとともに、この問合せに対する印刷部4からの問合せ結果に基づいて用紙が装填されているか否かを判断する(ステップS4)。
【0043】
ステップS4において印刷部4に用紙が装填されていない場合は、用紙が装填されるまで待機状態となる。このとき、印刷テストを兼ねたマニュアルを印刷するために用紙を装填するように促すメッセージが、表示部3に表示される。
【0044】
ステップS4において、印刷部4に用紙が装填されたと判断した制御部10は、一時印刷物情報格納メモリ90に格納されている内容(マニュアル情報)を印刷部4へ転送して、印刷部4にマニュアルの印刷を実行させる(ステップS5)。マニュアルの印刷を終了したときには、図3に示すように印刷物P1が印刷部4から出力される。
【0045】
印刷部4によるマニュアルの印刷が実行されているときは、印刷テストを兼ねたマニュアルが印刷されている旨のメッセージが、表示部3に表示されるようになっている。
【0046】
次に、制御部10は、印刷が正常終了したかの確認を印刷部4に問合せるとともに、この問合せに応答した印刷部4からの問合せ結果に基づいて、印刷が正常に行われたか否かを判断する(ステップS6)。
【0047】
ステップS6において印刷が正常に行われていないと判断されたときは、印刷が失敗し再度印刷を実行する旨のメッセージが、表示部3に表示されることになる。このようなメッセージが表示部3に表示された後、上記ステップ4に処理が移行される。
【0048】
一方、ステップS6において印刷が正常に行われたと判断した制御部10は、印刷が完了した旨の情報を印刷完了情報格納メモリ70に格納する(ステップS7)。
【0049】
ステップS7が終了した後、この処理は正常終了する。このように処理が正常終了した場合は、オン状態の電源部2の電源が一旦遮断され、再度、電源が投入されない限り、プログラム格納メモリ50に格納されているプログラムは実行されることはない。
【0050】
すなわち、電源部2の電源はオン状態が維持されているので、制御部10によってプログラム格納メモリ50からプログラムが読み出され実行されることはなく、電子機器の通常の使用状態に移行することになる。この例では、電子機器としてのファクシミリ装置は、送受信処理が可能な状態となる。
【0051】
ところで、電子機器の電源部2の電源が切断される(電源がオフ状態になる)ケースには、引越しなど電子機器の移動のためにユーザが意図的に電源を切断した場合と、停電など意図しないで電源が切断される場合の2通りがある。前者の場合には、他の機器との接続が変更されるため、自宅の電話番号等の設定のために再度マニュアルが必要となり、こ
れに対し、後者の場合は、他の機器との接続の変更はないのでマニュアルは必要ないことになる。
【0052】
しかし、電子機器自体はマニュアルが必要であるか否かを判断することができない。そこで、電源部2の電源が一旦遮断され、再度投入された場合に、初期状態感知部20から電源が投入された旨が通知される制御部10は、上記ステップS2において、印刷完了情報格納メモリ70を参照して得られる印刷が完了した旨(印刷済データ)の情報に基づいて、初期設定のマニュアルが印刷されていると判断した場合は、問合せ可否情報格納メモリ80の記憶内容に基づいて、ユーザに対してマニュアルを印刷するのかの問合せが可能か否かを判断する(ステップS8)。
【0053】
ここで、問合せ可否情報格納メモリ80には、ユーザによる印刷可否入力部40の操作によって、マニュアルの印刷可否の問合せを許可しない旨(印刷可否の問合せ不許可の旨)が入力された場合には、その旨の情報が格納され、一方、マニュアルの印刷可否の問合せを許可する旨が入力された場合は、その旨の情報が格納される。なお、マニュアルの印刷可否の問合せを許可する旨が入力された場合は、問合せ可否情報格納メモリ80には何も格納されない。つまりメモリの内容はクリアになっている。
【0054】
さて、ステップS8において、問合せ可否情報格納メモリ80の内容がクリアになっていてマニュアルを印刷するのかの問合せが可能であると判断した制御部10は、マニュアルを印刷するかを問合せする旨のメッセージを表示部3に表示して、このメッセージに対するユーザからの応答があるまで待機する(ステップS9)。
【0055】
そして、上記メッセージに対する応答としてユーザが印刷可否入力部40を操作して入力情報(マニュアルを印刷するか否かを示す情報)を入力すると、制御部10は、その入力情報に基づいてマニュアルを印刷するか否かを判断する(ステップS10)。
【0056】
ステップS10においてマニュアルを印刷すると判断された場合には、ステップS3に処理が移行される。
【0057】
ステップS10においてマニュアルを印刷しないと判断した制御部10は、今後マニュアルを印刷するかを問合せする旨のメッセージを表示部3に表示して、このメッセージに対するユーザからの応答があるまで待機する(ステップS11)。
【0058】
そして、上記メッセージに対する応答としてユーザが印刷可否入力部40を操作して入力情報(今後マニュアルを印刷するか否かを示す情報)を入力すると、制御部10は、その入力情報に基づいて今後マニュアルを印刷するか否かを判断する(ステップS12)。
【0059】
ステップS12において今後マニュアルを印刷すると判断された場合には、この処理が終了される。
【0060】
ステップS12において今後マニュアルを印刷しないと判断した制御部10は、今後マニュアルを印刷しない旨の情報を問合せ可否情報格納メモリ80に格納し(ステップS13)、その後、この処理を終了する。
【0061】
以上の説明で、マニュアル出力装置1によるマニュアルの出力制御についての一連の処理が終了したことになる。
【0062】
ところで、電源部2の電源が投入され(オフ状態からオン状態にされ)、さらに印刷部4に用紙が装填されたときに、突然、マニュアルが印刷された場合、ユーザは戸惑う可能
性がる。
【0063】
これを回避する手段として、例えば、図4に示すような、印刷するための用紙P2を用意する。この用紙P2には、通常のカラーバー等の印刷テストを兼ねて、初期設定のマニュアルが印刷される旨を記述するようにする。そして、このような用紙P2を電子機器と一緒に梱包箱に同梱しておくことで、この用紙P2を印刷部4に装填するときに、ユーザはマニュアルが印刷されることを把握することが可能となる。
【0064】
また、他の回避手段としては、電源投入時にマニュアルが印刷される旨を記述したメッセージ(シールなど)を電子機器に貼付する。これにより、ユーザはそのメッセージを参照することでマニュアルが印刷されることを把握することが可能となる。
【0065】
なお、本実施の形態1において、印刷完了情報格納メモリ70および問合せ可否情報格納メモリ80は、揮発性メモリであり、所定の時間が経過した場合に、メモリ内容がクリアされる特徴を有している。また、印刷物情報格納メモリ60は不揮発性メモリであり、時間が経過してもメモリ内容はクリアされない。このことにより、所定の時間(期間)、電子機器に電源部2の電源がオフ状態のまま放置されていた場合には、再度、マニュアルを印刷する機能を復帰することができる。
【0066】
また、本実施の形態1では、マニュアルの出力形態は印刷部4による印刷出力としているが、本発明はこれに限定されることなく、次のようにしても良い。
【0067】
すなわち、ユーザが電子機器に備えられる操作パネル(図示せず)を操作して、出力形態として印刷モードあるいは表示モードの何れかを選択すると、マニュアル出力装置1の制御部10は、選択されたモードに応じた出力形態でマニュアルを出力する。例えば、表示モードが選択された場合は、初期設定すべきマニュアル情報を表示部3によって表示する。
【0068】
また、マニュアルの出力形態の他の例としては、音声出力とする。例えば、マニュアル情報に対応する音声情報をメモリ(ROM)に記憶しておき、電子機器の電源部2の電源が投入されたときに、初期設定すべきマニュアル情報を、前記メモリから読み出して音声出力するようにしても良い。この場合、周知の音声合成を用いることで実現することができる。
【0069】
さらに、本実施の形態1では、電子機器はファクシミリ装置としているが、本発明はこれに限定されることなく、電子機器は、常に電源がオン状態になっているコンピュータに備えられているサーバに接続され、常に電源がオン状態となっているプリンタ装置であっても良い。すなわち、常に電源をオン状態にしておく必要性のある、出力手段を備えた電子機器であれば良い。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態1によれば、電子機器の電源が投入されたときは、初期設定自己診断部30によって判定された未実施の設定対象部位に対応する初期設定すべき事項のみが、マニュアルとして表示部3あるいは印刷部4の出力手段から出力されるので、迅速でかつ確実に、電子機器に関する所定の設定すべき情報のみをマニュアルとして出力することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、迅速でかつ確実に、電子機器に関する所定の設定すべき情報をマニュアルとして出力することができるマニュアル出力装置を提供するものであり、ファクシミリ装置、プリンタ装置など、常に電源をオン状態にしておく必要性のある、出力手段を備えた電
子機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態1におけるマニュアル出力装置を適用した電子機器の要部を示す構成図
【図2】図1に示したマニュアル出力装置の処理動作を示すフローチャート
【図3】マニュアルの出力を説明する図
【図4】マニュアルの出力を説明する図
【符号の説明】
【0073】
1 マニュアル出力装置
2 電源部
3 表示部
4 印刷部
5 インターフェース部
6 設定登録メモリ
10 制御部
20 初期状態感知部
30 初期設定自己診断部
40 印刷可否入力部
50 プログラム格納メモリ
60 印刷物情報格納メモリ
70 印刷完了情報格納メモリ
80 問合せ可否情報格納メモリ
90 一時印刷物情報格納メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力手段を備えた電子機器に設けられるマニュアル出力装置であって、
前記電子機器の操作に関するマニュアル情報を記憶する記憶手段と、
前記マニュアル情報に含まれる1つ以上の設定項目に対応する前記電子機器の設定対象部位について、当該設定項目に応じた設定が実施されているか否かを判定する判定手段と、前記電子機器の電源がオフ状態からオン状態に変化したことを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記電子機器の電源がオン状態に変化したことを検知するとともに、前記判定手段が未実施の前記設定対象部位があると判定したときに、当該設定対象部位に対応する設定項目をマニュアルとして前記出力手段から出力させる制御手段と、
を有することを特徴とするマニュアル出力装置。
【請求項2】
前記出力手段は、
印刷情報を印刷する印刷手段と表示情報を表示する表示手段とを備え、
前記制御手段は、
前記判定手段によって判定された未実施の前記設定対象部位に対応する設定項目をマニュアルとして、ユーザにより指定される前記印刷手段または前記表示手段から出力させることを特徴とする請求項1記載のマニュアル出力装置。
【請求項3】
前記設定項目は、
設定すべき設定内容を含むものであることを特徴とする請求項1または2記載のマニュアル出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−80759(P2006−80759A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261062(P2004−261062)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】