説明

マルチカップ

【課題】
1枚のカップホルダーに複数個のカップ容器が固定され、環境に配慮され、このカップ容器を切り離す際に、ミシン目通りに容易に切離しが可能で、かつカップホルダーがこのミシン目から折り曲がったりしないマルチカップの提供。
【解決手段】1枚の板紙製カップホルダー20と天面にフランジ部11を有する4個の紙製カップ容器10とで成り、これら紙製カップ容器10を切り離すためのミシン目30は、カップホルダー20の4辺にある切離し開始部32から紙製カップ容器10のフランジ部11端縁に沿って延び、隣合う紙製カップ容器10のフランジ部11端縁に渡って沿うように延びる曲線状を形成していて、隣合う4個の紙製カップ容器10同士の中心に対応するカップホルダー20の位置に開口した孔部44が刻設され、ミシン目の終端34がこの孔部44に接合しているマルチカップ1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヨーグルト等を充填したカップ容器を複数個まとめ、これらを1枚の板状の蓋材で連結固定した多連式のマルチカップに関するものであり、特に、環境に配慮され、板紙製の蓋材と紙製カップ容器とでなり、複数のカップ容器を切り離すためのミシン目等の形状に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヨーグルト、プリン等の食品を収納した複数個のカップ容器を1枚の蓋材(以下カップホルダーという)で連結し、そのカップホルダーの裏面に接着固定して販売形態とし、その食品を食するに際し、1個分のカップ容器を切り離すため、隣合うカップ容器間のカップホルダーに切り目等が施されている多連式のマルチカップが知られている。
【0003】
この事例として、例えば、図9の斜視図に示すように、2×2の配列で配置された4個のスチロール樹脂やポリプロピレン樹脂等でなり天面に開口部を有するプラスチック製カッフ容器(60)とそのフランジ部を兼ねたカップホルダー(50)とでなる成形体であって、該カッフ容器(60)の開口部(62)をアルミニウム箔を主体とした蓋材(56)でカップホルダー(50)を含めシールした4連式のマルチカップ(5)があり、1個分のカップ容器を切り離すためそれぞれのカップ容器(60)の間のカップホルダー(50)とアルミニウム箔を主体とした蓋材(56)に直線状の切り目(52)が施されたマルチカップ(5)がある。
【0004】
しかしながら、上記アルミニウム箔を主体とした蓋材(56)とスチロールやポリプロピレン等でなるプラスチック製のカップ容器(60)とそのカップホルダー(50)との成形物でなるマルチカップ(5)では、カップ容器(60)を切り離す際の切り目(52)は、カップホルダー(50)自体に剛性があるためその切り目(52)で折り曲がったりする問題はないが、環境に対する配慮の面においては、プラスチック製であること(省資源等の問題)に加え、シールされるアルミニウム箔を主体とする蓋材(56)は焼却処理に係わる環境上の問題点(焼却炉の損傷や、その焼却灰と埋立て場の雨水による排ガスの問題等)があった。
【0005】
上記環境上の問題点を解消するものとして、近年は、内面にポリエチレン等が積層された紙製のカップ容器とそれを連結・固定する板紙製のカップホルダーとでなる多連式のマルチカップがあり、それら紙製のカップ容器を切り離すため、紙製のカップ容器間のカップホルダーに直線状のミシン目が施されたマルチカップがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
以下に、上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平6−329169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の紙製でなるマルチカップの技術において、カップホルダーに剛性がなく、特に切り離すための直線状のミシン目では、カップ容器を切り離す際に、直線状のミシン目に沿って直線的に切り離せなかったり、この直線状のミシン目から外れて、必要としない他のカップ容器の天面を覆うカップホルダーまで切り取られるという問題点があった。さらにミシン目が直線状に設けられているので、カップホルダーを摘まんで持ち上げようとすると、食品が充填されたカップ容器の重さでこのミシン目からカップホルダーが折り曲がってしまい、このマルチカップを容易に持ち上げることができないことに加え、見栄えの点からも商品価値に欠けるものであった。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、裏面に接着層を有する1枚のカップホルダーで複数個のカップ容器を連結し固定してなるマルチカップにおいて、環境に配慮され、カップ容器を切り離す際に、切り離すために設けられるミシン目に沿って(ミシン目から外れたりせず)容易に切離しが可能で、かつカップホルダーを摘んで持ち上げる際に、このミシン目からカップホルダーが折り曲がったりせず、容易に持ち上げることができ、かつ見栄えの点からも商品価値に欠けることのないマルチカップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、少なくとも片面に熱接着層が施されている1枚の板紙製のカップホルダーと天面にフランジ部を有し内面が熱可塑性樹脂層で覆われている複数個の紙製カップ容器とで構成され、前記カップホルダーの熱接着層面に前記複数個の紙製カップ容器のフランジ部を接着せしめて固定し、該各紙製カップ容器を切り離すためのミシン目が隣合う紙製カップ容器間のカップホルダーに刻設されているマルチカップにおいて、
前記ミシン目の刻設は、前記カップホルダーの外周縁辺を切離し開始部とし、該切離し開始部から紙製カップ容器のフランジ部端縁に沿って延び、該紙製カップ容器と隣合う紙製カップ容器のフランジ部端縁に渡って沿うように延びる曲線を形成していることを特徴とするマルチカップとしたものである。
【0010】
また、請求項2の発明では、前記ミシン目の切離し開始部は、カップホルダーの外周縁辺に対し垂直になるように施されていることを特徴とする請求項1記載のマルチカップとしたものである。
【0011】
また、請求項3の発明では、前記複数個の紙製カップ容器を1列で配置したマルチカップであって、前記ミシン目の終端が前記切離し開始部が刻設されているカップホルダーの外周縁辺と対向する外周縁辺に接合していることを特徴とする請求項1または2記載のマルチカップとしたものである。
【0012】
また、請求項4の発明では、前記ミシン目の終端が前記切離し開始部とほぼ同様な形状であることを特徴とする請求項3記載のマルチカップとしたものである。
【0013】
また、請求項5の発明では、前記複数個の紙製カップ容器を縦横2つづつの配列で配置したマルチカップであって、前記複数個のうちの隣合う4個の紙製カップ容器同士の中心に対応するカップホルダーの位置に、開口した孔部が刻設されていて、前記ミシン目の終端が前記開口した孔部に接合していることを特徴とする請求項1または2記載のマルチカップとしたものである。
【0014】
また、請求項6の発明では、前記複数個の紙製カップ容器を縦横3つと2つ以上の配列で配置したマルチカップであって、前記複数個のうちの隣合う4個の紙製カップ容器同士の中心に対応するカップホルダーの位置に、開口した孔部が刻設されていて、前記ミシン目の終端が前記開口した孔部に接合し、かつ隣合う開口した孔部を結ぶミシン目の切離し開始部がいずれか1方の開口した孔部の端縁辺に刻設されていることを特徴とする請求項1または2記載のマルチカップとしたものである。
【0015】
さらにまた、請求項7の発明では、前記ミシン目の切離し開始部の先端に切込みが刻設
されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のマルチカップとしたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【0017】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、少なくとも片面に熱接着層が施されている1枚の板紙製のカップホルダーと天面にフランジ部を有し内面が熱可塑性樹脂層で覆われている複数個の紙製カップ容器とで構成されているので、環境(省資源と焼却処理)の面に配慮されたマルチカップを提供できる。
【0018】
さらに上記請求項1に係る発明によれば、前記カップホルダーの熱接着層面に前記複数個の紙製カップ容器のフランジ部を接着せしめて固定し、該各紙製カップ容器を切り離すためのミシン目が隣合う紙製カップ容器間のカップホルダーに刻設されているマルチカップにおいて、
前記ミシン目の刻設は、前記カップホルダーの外周縁辺を切離し開始部とし、該切離し開始部から紙製カップ容器のフランジ部端縁に沿って延び、該紙製カップ容器と隣合う紙製カップ容器のフランジ部端縁に渡って沿うように延びる曲線を形成していることによって、各紙製カップ容器の切り離しに際し、この紙製カップ容器のフランジ部端縁に沿って延びるミシン目通りに、即ちミシン目から外れることがなく切離しが可能なマルチカップとすることができ、かつカップホルダーを摘んで持ち上げてもそのミシン目から折り曲がったりせず、見栄えの点からも商品価値に欠けることのないマルチカップとすることができる。
【0019】
また、上記請求項2に係る発明によれば、前記ミシン目の切離し開始部は、カップホルダーの外周縁辺に対し垂直になるように施されていることによって、紙製カップ容器の切り離しに際し、この切離し開始部を起点とし、曲線状でなるミシン目に沿ってより容易に切離しし易いようにすることができる。この切離し開始部が外周縁辺に対し斜めになっているとミシン目通りに切り離せない危惧があるので好ましくはないものとなる。
【0020】
また、上記請求項3に係る発明によれば、前記複数個の紙製カップ容器を1列で配置したマルチカップの場合、前記ミシン目の終端が前記切離し開始部が刻設されているカップホルダーの外周縁辺と対向する外周縁辺に接合していることによって、紙製カップ容器の切り離しに際し、切離し開始部からミシン目の終端が刻設されている対向する外周縁辺まで容易に切離しし易いようにすることができる。
【0021】
また、上記請求項4に係る発明によれば、前記複数個の紙製カップ容器を1列で配置したマルチカップの場合のミシン目の終端が切離し開始部とほぼ同様な形状とすることによって、ミシン目の終端をも切離し開始部として紙製カップ容器を切り離すことが可能なマルチカップとすることができる。
【0022】
また、上記請求項5に係る発明によれば、前記複数個の紙製カップ容器を縦横2つづつの配列で配置したマルチカップの場合、前記複数個のうちの隣合う4個の紙製カップ容器同士の中心に対応するカップホルダーの位置に、開口した孔部が刻設されていて、前記ミシン目の終端が前記開口した孔部に接合していることによって、4方向から延びるミシン目の終端が開口した孔部に接合し易くなって、紙製カップ容器の切離しに際し、4個とも切り離しが容易にすることができる。
【0023】
さらにまた、上記請求項5に係る発明によれば、隣合う紙製カップ容器同士の中心に対応するカップホルダーの位置に開口した孔部を設けることによって、紙製カップ容器のカ
ップホルダーに対する位置合わせのために活用でき、また、この開口した孔部に指先を挿入し、この開口した孔部に接合しているミシン目に沿ってカップホルダーを引き裂き、個々の紙製カップ容器ごと切り離すことも可能なマルチカップとすることができる。
【0024】
また、上記請求項6に係る発明によれば、前記複数個の紙製カップ容器を縦横3つと2つ以上の配列で配置した場合のマルチカップであって、前記複数個のうちの隣合う4個の紙製カップ容器同士の中心に対応するカップホルダーの位置に、開口した孔部が刻設されていて、前記ミシン目の終端が前記開口した孔部に接合し、かつ隣合う開口した孔部を結ぶミシン目の切離し開始部がいずれか1方の開口した孔部の端縁辺に刻設されていることによって、4方向から延びるミシン目の終端が開口した孔部に接合し易くなって、紙製カップ容器の切離しに際し、複数個とも切り離しが容易にすることができる。
【0025】
さらにまた、上記請求項6に係る発明によれば、隣合う紙製カップ容器同士の中心に対応するカップホルダーの位置に開口した孔部を設けることによって、紙製カップ容器のカップホルダーに対する位置合わせのために活用でき、また、この開口した孔部に指先を挿入し、この開口した孔部に接合しているミシン目に沿ってカップホルダーを引き裂き、個々の紙製カップ容器ごと切り離すことも可能なマルチカップとすることができる。
【0026】
さらにまた、上記請求項7に係る発明によれば、前記ミシン目の切離し開始部の先端に切込みが刻設されていることによって、切離し開始部からの切離しがより容易なマルチカップとすることができる。
【0027】
従って本発明は、ヨーグルト等を充填したカップ容器を複数個まとめ、これらを1枚の板状の蓋材で連結固定した多連式のマルチカップの如き用途において、優れた実用上の効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明のマルチカップの一事例を示す概略説明図であり、図2から図6は、本発明のマルチカップの他の一事例を詳細に説明する図である。
【0030】
本発明は、例えば、図1の斜視図に示すように、複数個(4個)のヨーグルト等食品(図示せず)を充填した紙製カップ容器(10)をまとめ、これらを1枚の板紙でなるカップホルダー(20)の裏面に接着固定した多連式のマルチカップ(1)に関するもので、特に環境に配慮された紙製カップ容器(10)と板紙製のカップホルダー(20)とでなり、このマルチカップ(1)の使用に際し、複数個(4個)の紙製カップ容器(10)を切り離すためカップホルダー(20)に設けられるミシン目(30)の形状等に関するものである。
【0031】
本発明のマルチカップ(1)は、例えば図2(a)の上面図およびそのB−B面を表す図2(b)の断面図に示すように、少なくとも板紙層(22)の裏面に熱接着層(24)が施されている1枚の長方形状のカップホルダー(20)の熱接着層(24)面に、1列で配置した2個の食品(40)が充填されている紙製カップ容器(10A、10B)がそのフランジ部(11)で接着・固定されている。
【0032】
この紙製カップ容器(10A、10B)の内面とそれに連続しているフランジ部(11)の上面には、熱可塑性樹脂層(12)が施されていて、この熱可塑性樹脂層(12)で紙製カップ容器(10A、10B)がそのフランジ部(11)をカップホルダー(20)の裏面にある熱接着層(24)にヒートシールし易くするとともに、食品(40)に対する衛生性と耐水性を付与するようにしてある。
【0033】
このようにヒートシールされた2個の紙製カップ容器(10A、10B)の間のカップホルダー(20)に、これら紙製カップ容器(10A、10B)を切り離すためのミシン目(30)が施されていて、このミシン目(30)が長方形状のカップホルダー(20)の長辺を切離し開始部(32)として、この切離し開始部(32)から一方の紙製カップ容器(10A)のフランジ部(11)の端縁に沿って延び、さらにこの紙製カップ容器(10A)と隣合う紙製カップ容器(10B)のフランジ部(11)の端縁に渡り、その端縁に沿うように延びて、このミシン目(30)の終端(34)が、切離し開始部(32)のある長辺と反対側の辺まで延びるように刻設されている。
【0034】
このように、少なくとも板紙層(22)の裏面に熱接着層(24)が施されている1枚のカップホルダー(20)と、天面にフランジ部(11)を有し内面が熱可塑性樹脂層(12)で覆われている2個の紙製カップ容器(10A、10B)とで構成されているので、従来のプラスチック製のカップ容器とカップホルダーと、アルミニウム箔を主体とした蓋材とで構成されているマルチカップに比べ、環境(省資源と焼却処理)の面に配慮されたマルチカップ(1)とすることができる。
【0035】
また、カップホルダー(20)の熱接着層(24)面に着せしめて固定されている2個の紙製カップ容器(10A、10B)の間のカップホルダー(20)に各紙製カップ容器(10A、10B)を切り離すためのミシン目(30)が刻設されていて、このミシン目(30)は、カップホルダー(20)の長辺に設けた切離し開始部(32)から一方の紙製カップ容器(10A)のフランジ部(11)の端縁に沿って延び、この紙製カップ容器(10A)と隣合う紙製カップ容器(10B)のフランジ部(11)の端縁に渡り、それに沿うように延びる曲線状に形成されていることによって、2個の紙製カップ容器(10A、10B)の切り離しに際し、曲線状のミシン目(30)どおりに、即ちこのミシン目(30)から外れることがなく確実に切離しが可能なマルチカップ(1)とすることができる。
【0036】
また、この板紙製で剛性に欠けるカップホルダー(20)を指で摘んで持ち上げても、切り離すためのミシン目(30)が曲線状に形成されているため、従来の直線状のミシン目のように折り曲がったりしないので、商品価値にも優れるマルチカップ(1)とすることができる。
【0037】
また、本発明では、例えば、図2(a)に示すように、曲線状でなるミシン目(30)の切離し開始部(32)を、カップホルダー(20)の長辺に対し垂直になるように刻設しているもので、このような切離し開始部(32)とすることによって、紙製カップ容器(10A、10B)の切り離しに際し、この切離し開始部(32)を指で摘むための起点とし、曲線状でなるミシン目(30)に沿ってより容易に切離しし易いようにすることができる。
【0038】
また、本発明の1列で配置したマルチカップ(1)の事例として、例えば、図3の上面図に示すように、1枚の長方形状のカップホルダー(20)の熱接着層(図示せず)面に、1列で配置した3個の紙製カップ容器(10A、10B、10C)がそののフランジ部(11)で接着・固定されているものとすることもできる。
【0039】
これら3個の紙製カップ容器(10A、10B、10C)の間のカップホルダー(20)に、これら紙製カップ容器(10A、10B、10C)を切り離すための2本の曲線状のミシン目(30)が施されていて、このミシン目(30)が長方形状のカップホルダー(20)の長辺の2か所に切離し開始部(32)を設け、これら切離し開始部(32)か
ら紙製カップ容器(10A、10B)のフランジ部(11)の端縁に沿って延び、さらにこの紙製カップ容器(10A、10B)と隣合う紙製カップ容器(10B、10B)のフランジ部(11)の端縁に渡り、その端縁に沿うように延びて、この2本のミシン目(30)の終端(34)が、各切離し開始部(32)のある長辺と反対側の辺まで延びるように刻設されているマルチカップ(1)とすることもできる。
【0040】
また、本発明の1列で配置したマルチカップ(1)において、例えば、図2(a)および図3の上面図に示すように、曲線状でなるミシン目(30)の終端(34)がその反対側の長辺に刻設されている切離し開始部(32)とほぼ同様な形状、すなわちミシン目(30)の終端(34)も長辺に対し垂直に刻設されているマルチカップ(1)とするものである。
【0041】
このように、曲線状でなるミシン目(30)の終端(34)とその反対側の辺にある切離し開始部(32)の形状をほぼ同様に長辺に対し垂直にすることによって1列で配置したマルチカップの場合のミシン目(30)の終端(34)をも切離し開始部(32)として各紙製カップ容器(10A、10Bまたは10C)を切り離すことが可能なマルチカップ(1)とすることもできる。
【0042】
さらにまた、本発明では、例えば、図4の上面図に示すように、4個の紙製カップ容器(10)を縦横2つづつの配列で配置したマルチカップ(1)の場合であって、隣合う4個の紙製カップ容器(10)同士の中心に対応するカップホルダー(20)の位置に、開口した円形状の孔部(44)が刻設されていて、外周の4辺にある切離し開始部(32)から延びる曲線状のミシン目(30)の終端(34)がこの開口した円形状の孔部(44)に接合するようにしたことを特徴とするマルチカップ(1)とするものである。
【0043】
このような開口した円形状の孔部(44)を設けず、例えば、図8の上面図に示すように、外周の4辺にある切離し開始部(32)から延びる4本の曲線状のミシン目(30)の終端(30)が4個の紙製カップ容器(10)の中心でお互いに交わるようにしたものでもよいが、上記図4に示すように、隣合う4個の紙製カップ容器(10)同士の中心に対応するカップホルダー(20)の位置に、開口した孔部(44)を設け、曲線状のミシン目(30)の終端(34)をこの開口した孔部(44)に接合するようにすることによって、4方向から延びるミシン目(30)の終端(34)がこの開口した孔部(44)に接合し易くなり、そのため紙製カップ容器(10)の切離しに際し、4個ともより切り離しが容易になるようにしたものである。
【0044】
かつまた、この開口した孔部(44)を設けることによって、このカップホルダー(20)に対する各紙製カップ容器(10)の位置合わせのために活用することができ、さらにまた、例えばこの開口した孔部(44)に指先を挿入し、これに接合しているミシン目(30)に沿ってカップホルダー(20)を引き裂いて紙製カップ容器ごと切り離すこともできる。
【0045】
上記開口した孔部(44)の形状を、図1に示すように円形状としたが、四角形状、八角形状でもよく、中心部に収まる形状であれば極端には三角形状でもよく、特にその形状を限定するものではない。
【0046】
また、本発明では、例えば、図5の上面図に示すように、横3つ縦2つの配列で6個の紙製カップ容器(10)を配置したマルチカップ(1)の場合であって、隣合う4個の紙製カップ容器(10)同士の中心に対応するカップホルダー(20)の位置に、2個の開口した孔部(44)が刻設されていて、外周の4辺にある切り離し開始部(32)から延びる6本の曲線状のミシン目(30)の終端(34)が2個の開口した孔部(44)にそ
れぞれが接合するようにし、かつこの2個の開口した孔部(44)を結ぶ曲線状のミシン目(30)の開口部(32)が一方の孔部(44)の端縁辺に刻設されていることを特徴とするマルチカップ(1)とするものである。
【0047】
このように、特に食品が充填された6個(以上)の紙製カップ容器(10)でなるマルチカップ(1)の如く全体の重量が嵩んでも、そのミシン目(30)から折り曲がったりせず、商品価値に優れるマルチカップ(1)とすることができる。
【0048】
さらにまた、本発明では、例えば、図2(a)や図4などに示すように、曲線状のミシン目(30)の切離し開始部(32)の先端に切込み(33)が刻設されていることを特徴とするマルチカップ(1)とするもので、この切込み(33)によって、紙製カップ容器(10)を切り離す際に、この切込み(33)を起点とし切離し開始部(32)からの切離しがより容易になるマルチカップ(1)とすることができる。
【0049】
以下に、本発明のマルチカップ(1)を構成する紙製カップ容器(10)やカップホルダー(20)の材料構成や製法等について事例を挙げて説明する。
【0050】
まず、紙製カップ容器(10)としては、少なくとも内面に熱可塑性樹脂層を設けてなる加工紙で形成されてなり、その開口部にフランジ部(11)を備えたもので、この加工紙としては、例えば、図6の側断面図に示すように、内面側から順に熱可塑性樹脂層(12)、紙層(14)、熱可塑性樹脂層(12)、あるいは図2(b)の断面図に示すように、内面側から順に熱可塑性樹脂層(12)、紙層(14)などの積層体でなるものが使用される。
【0051】
上記熱可塑性樹脂層(12)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。また、紙層(14)としては、食品を充填することから特に衛生性(見た目も含め)を考慮して白色のカップ原紙が好適に使用される。
【0052】
また、紙製のカップホルダー(20)としては、少なくとも板紙の裏面に熱接着層を施した加工紙で形成されてなり、その事例として、例えば、図7の側断面図に示すように、表面から順にOPニス層(26)、絵柄層(25)、板紙層(22)、熱接着層(24)などの積層体でなるものが使用される。
【0053】
上記板紙層(22)としては、特に限定するものではないが、食品用を考慮して250〜300g/m2 程度の白色で衛生性に優れるカップ原紙あるいは塗工マニラボールのアイボリーやカードなど高級紙が好適に使用される。
【0054】
また、上記板紙層(22)の裏面に形成する熱接着層(24)としては、例えばヒートシール性に優れる直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン樹脂あるいはエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタアクリル酸共重合体(EMAA)等エチレン共重合樹脂のフィルムが好適に用いられる。
【0055】
上記のような構成の加工紙を所望の形状に打ち抜くとともに、所望の位置にミシン目(30)を施してカップホルダー(20)とし、その裏面に上記のような構成の紙製カップ容器(10)のフランジ部(11)を配置し、超音波シールやインパルスシール方式等で接着・固定してマルチカップ(1)とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のマルチカップの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明のマルチカップの一事例を説明するもので、(a)は、その上面図であり、(b)は、そのB−B面を表す断面図である。
【図3】本発明のマルチカップの他の一事例を示す上面図である。
【図4】本発明のマルチカップのさらに他の一事例を示す上面図である。
【図5】本発明のマルチカップのさらに他の一事例を示す上面図である。
【図6】本発明のマルチカップを構成する紙製カップ容器の加工紙の一事例を示す側断面図である。
【図7】本発明のマルチカップを構成するカップホルダーの加工紙の一事例を示す側断面図である。
【図8】本発明のマルチカップのさらに他の一事例を示す上面図である。
【図9】従来のマルチカップの一事例を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1‥‥マルチカップ
5‥‥従来のプラスチック製のマルチカップ
10‥‥紙製カップ容器
10A、10B、10C‥‥2連、3連でなる紙製カップ容器
11‥‥フランジ部
12‥‥熱可塑性樹脂層
14‥‥紙層
20‥‥カップホルダー
22‥‥板紙層
24‥‥熱接着層
25‥‥絵柄層
26‥‥OPニス層
30‥‥ミシン目
32‥‥ミシン目の切離し開始部
33‥‥切込み
34‥‥ミシン目の終端
40‥‥食品
44‥‥開口した孔部
50‥‥従来のカップホルダー
52‥‥直線状の切り目
56‥‥アルミニウム箔の蓋材
60‥‥カップ容器
62‥‥カップ容器の開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも片面に熱接着層が施されている1枚の板紙製のカップホルダーと天面にフランジ部を有し内面が熱可塑性樹脂層で覆われている複数個の紙製カップ容器とで構成され、前記カップホルダーの熱接着層面に前記複数個の紙製カップ容器のフランジ部を接着せしめて固定し、該各紙製カップ容器を切り離すためのミシン目が隣合う紙製カップ容器間のカップホルダーに刻設されているマルチカップにおいて、
前記ミシン目の刻設は、前記カップホルダーの外周縁辺を切離し開始部とし、該切離し開始部から紙製カップ容器のフランジ部端縁に沿って延び、該紙製カップ容器と隣合う紙製カップ容器のフランジ部端縁に渡って沿うように延びる曲線を形成していることを特徴とするマルチカップ。
【請求項2】
前記ミシン目の切離し開始部は、カップホルダーの外周縁辺に対し垂直になるように施されていることを特徴とする請求項1記載のマルチカップ。
【請求項3】
前記複数個の紙製カップ容器を1列で配置したマルチカップであって、前記ミシン目の終端が前記切離し開始部が刻設されているカップホルダーの外周縁辺と対向する外周縁辺に接合していることを特徴とする請求項1または2記載のマルチカップ。
【請求項4】
前記ミシン目の終端が前記切離し開始部とほぼ同様な形状であることを特徴とする請求項3記載のマルチカップ。
【請求項5】
前記複数個の紙製カップ容器を縦横2つづつの配列で配置したマルチカップであって、前記複数個のうちの隣合う4個の紙製カップ容器同士の中心に対応するカップホルダーの位置に、開口した孔部が刻設されていて、前記ミシン目の終端が前記開口した孔部に接合していることを特徴とする請求項1または2記載のマルチカップ。
【請求項6】
前記複数個の紙製カップ容器を縦横3つと2つ以上の配列で配置したマルチカップであって、前記複数個のうちの隣合う4個の紙製カップ容器同士の中心に対応するカップホルダーの位置に、開口した孔部が刻設されていて、前記ミシン目の終端が前記開口した孔部に接合し、かつ隣合う開口した孔部を結ぶミシン目の切離し開始部がいずれか1方の開口した孔部の端縁辺に刻設されていることを特徴とする請求項1または2記載のマルチカップ。
【請求項7】
前記ミシン目の切離し開始部の先端に切込みが刻設されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のマルチカップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−143551(P2008−143551A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331731(P2006−331731)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】