説明

マルチタッチの操作方法及びそのシステム

【課題】表示装置上のカーソルを制御するマルチタッチの操作方法を提供する。
【解決手段】表示範囲中にマッピングポイント及びマッピング領域を設定する。操作範囲の入力信号に基づき、マッピング領域のカーソルの位置を決定する。操作範囲中にマッピングポイントと位置対応関係を有するクイックポイントを設定する。入力装置からカーソルの移動ベクトルを入力すると、カーソルの移動ベクトルに基づき、表示装置のカーソル位置を移動させる上、マッピング領域の位置を新たに設定する。入力装置がクイックポイントのトリガ信号を受信すると、マッピング領域及びカーソルを対応するマッピングポイントに移動させる。マッピング領域中のオブジェクトを選択し、マルチタッチ入力機能を起動すると、第1の制御ポイント及び第2の制御ポイントによって生成される相対変位量に基づき、オブジェクトの操作属性を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチタッチの操作方法及びそのシステムに関し、特に、異なる装置間において実行されるマルチタッチの操作方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩に伴い、各種入力装置も発展している。特に、タッチモニタの発展により、ユーザは、指を用いてタッチモニタ上の各ターゲット(アプリケーションプログラムのウィンドウ、画像、アプリケーションプログラムの内蔵機能など)を選択することができる。特に、マイクロソフト社の7代目のオペレーションシステム(以下Windows(登録商標)7という)においては、タッチモニタに関連する機能が内蔵されている。
【0003】
ユーザは、タッチモニタ100上において指をスライドさせることにより、モニタ上のターゲット110のズーム又は移動を行うことができる。図1を参照する。図1は、従来技術によるマルチタッチの操作方法を示す模式図である。Windows(登録商標)7のマルチタッチ機能は、複数の指を移動させることにより、ターゲット110を操作するものである。マイクロソフト社は、マルチタッチ機能を利用して行う操作をWindows(登録商標)タッチジェスチャと定義している。現在、Windows(登録商標)7は、ズーム、パン、回転、プレスアンドタップなどのWindows(登録商標)タッチジェスチャをサポートしている。例を挙げると、ユーザが2本の指でタッチモニタ100上の任意の画像ファイルをクリックすると、Windows(登録商標)7は、マルチタッチ機能を起動する。ユーザが2本の指間の距離を大きくするほど、画像ファイルが拡大され、反対に、2本の指間の距離を短くするほど、画像ファイルが縮小される。
【0004】
タッチパネル付き表示装置のコストは、サイズに正比例するため、大型のタッチパネル付き表示装置は、同一の寸法の表示装置より、値段が数倍高い可能性がある。大型のタッチパネル付き表示装置は、操作する上で大きな負担となるため、ユーザにとって必須の装置ではない。そこで、小型のタッチ制御装置又はタッチパネル付き表示装置(touch and display device)を用いて大型のタッチパネル付き表示装置を操作する技術が案出された。小型のタッチパネル付き表示装置は、操作を楽に行うことができる。しかし、小型のタッチパネル付き表示装置は、画素をマッピング(mapping)する方式により、大型サイズのタッチパネル付き表示装置の座標を小型のタッチパネル付き表示装置に投影するものであるため、カーソルの変位量が過大となる欠点を有する。即ち、小型のタッチ制御装置の操作範囲は狭いため、大型のタッチパネル付き表示装置上に投影する際、所定の比率で変位量を拡大する必要がある。このため、ユーザが小型のタッチパネル付き表示装置を介してカーソル操作を行う際、僅かな距離を移動させた場合でも、大型のタッチパネル付き表示装置上のカーソルが移動する距離は大きくなってしまう。このため、マッピングによる方式は、操作上不便であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−345065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、マルチタッチ入力機能を有する入力装置を介して実行され、表示装置上のカーソルを制御するために用いられるマルチタッチの操作方法を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、表示装置、コンピュータ及び入力装置を含むマルチタッチの入力システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明は、マルチタッチ入力機能を有する入力装置を介して実行され、表示装置上のカーソルを制御するために用いられるマルチタッチの操作方法を提供するものである。
【0008】
本発明のマルチタッチの操作方法は、入力装置の操作範囲及び表示装置の表示範囲を取得するステップと、表示範囲中において、少なくとも1つのマッピングポイント及びマッピング領域を設定し、操作範囲の入力信号に基づき、マッピング領域のカーソルの位置を決定するステップと、操作範囲中において、マッピングポイントと位置対応関係を有する少なくとも1つのクイックポイントを設定するステップと、入力装置からカーソルの移動ベクトルを入力すると、カーソルの移動ベクトルに基づき、表示装置のカーソル位置を移動させる上、マッピング領域の位置を新たに設定するステップと、マッピング領域中の少なくとも1つのオブジェクトを選択した上、マルチタッチ入力機能を起動すると、第1の制御ポイント及び第2の制御ポイントによって生成される相対変位量に基づき、入力装置がオブジェクトの操作属性を変更するステップ(入力装置は、カーソルの現在位置を第1の制御ポイントと見なし、第2の制御ポイントは、第1の制御ポイントの位置とは異なる他の押圧信号である)と、入力装置がクイックポイントのトリガ信号を受信すると、マッピング領域及びカーソルを対応するマッピングポイントに移動させるステップと、を含む。
【0009】
本発明は、表示装置、コンピュータ及び入力装置を備えるマルチタッチの入力システムをさらに提供する。表示装置は、表示範囲中にカーソルを表示する。表示範囲中には、少なくとも1つのマッピングポイントが設定される。コンピュータは、表示装置と電気的に接続される。コンピュータは、受信したカーソル移動信号に基づき、表示装置中のカーソルの所在地を新たに表示する。入力装置は、コンピュータと接続される。入力装置には、操作範囲を表示することができる。入力装置は、操作範囲を介し、カーソル移動信号を受信する。入力装置は、カーソル移動信号に基づき、対応するカーソルの移動ベクトルを生成する。操作範囲は、マッピングポイントと位置対応関係を有する少なくとも1つのクイックポイントをさらに含む。入力装置がクイックポイントのトリガ信号を受信すると、マッピング領域及びカーソルを対応するマッピングポイントに移動させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、小型の入力装置により、大型の表示装置に対してマルチタッチ操作を行うことができる。例えば、ユーザは、入力装置を介し、表示装置上のカーソルを移動させることができる。入力装置がカーソルの移動信号を継続して受信すると、マッピングプロセスが領域対応表に基づき、入力装置のカーソルの移動ベクトルを表示装置のカーソルの移動ベクトルに変換する。また、ユーザは、入力装置のマルチタッチ機能を使用することにより、表示装置の画面中のオブジェクトに対し、対応する操作を行うことができる。また、入力装置上には、複数のクイックポイントが設定される。ユーザが各クイックポイントをトリガすると、カーソル及びマッピング領域が表示装置の対応する位置に移動する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来技術によるマルチタッチの操作方法を示す模式図である。
【図2】本発明のアーキテクチャを示す模式図である。
【図3】本発明のコンピュータを有する表示装置を示す模式図である。
【図4】本発明の運転工程を示す流れ図である。
【図5】本発明のマッピング領域を示す模式図である。
【図6】本発明のカーソルとマッピング領域との相対位置を示す模式図である。
【図7】本発明のカーソルを移動した際に表示されるマッピング領域を示す模式図である。
【図8】本発明のカーソル処理の運転工程を示す流れ図である。
【図9】本発明を操作する状態を示す模式図である。
【図10】本発明を操作する状態を示す模式図である。
【図11】本発明のオブジェクトをズームさせる前の状態を示す模式図である。
【図12】本発明のオブジェクトをズームさせた後の状態を示す模式図である。
【図13】本発明のオブジェクトを回転させる前の状態を示す模式図である。
【図14】本発明のオブジェクトを回転させた後の状態を示す模式図である。
【図15】本発明のマッピング領域中の複数のオブジェクトを移動させる前の状態を示す模式図である。
【図16】本発明のマッピング領域中の複数のオブジェクトを移動させた後の状態を示す模式図である。
【図17】本発明のマッピング領域中に存在する複数のオブジェクトを回転させる前の状態を示す模式図である。
【図18】本発明のマッピング領域中に存在する複数のオブジェクトを回転させた後の状態を示す模式図である。
【図19】本発明のマッピング領域を移動させる前の入力装置の画像を示す模式図である。
【図20】本発明のマッピング領域を移動させた後の入力装置の画像を示す模式図である。
【図21】本発明の他の実施形態を示し、マッピングポイントを示す模式図である。
【図22】本発明の他の実施形態を示し、クイックポイントを示す模式図である。
【図23】本発明の他の実施形態による運転工程を示す流れ図である。
【図24】本発明の他の実施形態を示し、クイックポイント及びマッピングポイントを示す模式図である。
【図25】本発明の他の実施形態を示し、マッピング領域の切換を行う前の状態を示す模式図である。
【図26】本発明の他の実施形態を示し、マッピング領域の切換を行った後の状態を示す模式図である。
【図27】本発明の他の実施形態を示し、マッピング領域の切換を行った後の状態を示す模式図である。
【図28】本発明の他の実施形態を示し、マッピング領域の切換を行った後の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特徴及び構造を説明するために、本発明の実施形態を図面に沿って以下に示す。
【0013】
図2及び図3を参照する。図2は、本発明のアーキテクチャを示す模式図である。図3は、本発明のコンピュータを有する表示装置を示す模式図である。図2及び図3に示すように、本発明は、計算処理機能を有する表示装置(図2参照)に応用したり、独立したコンピュータ中に応用したりすることができる。各部材の接続及び運転関係を明確にするために、独立したコンピュータ中に応用した場合を例示し、説明を行う。本発明は、コンピュータ210、表示装置220及び入力装置230を含む。コンピュータ210は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ノートブック型コンピュータ(notebook)又はオールインワン型コンピュータ(All-in-one PC)である(これらのみに限定されない)。コンピュータ210中には、マッピングプロセス211が保存される。表示装置220は、コンピュータ210と電気的に接続される。表示装置220は、コンピュータ210が出力する画像を表示するために用いられる。出力される画像は、カーソル240、デスクトップ及び各種オブジェクト610である。本発明におけるオブジェクトは、画像ファイル、ディレクトリアイコン(icon)、ファイルアイコン又は各アプリケーションプログラムのアイコンである。
【0014】
一般に、表示装置220は、800×600画素(Pixel)、1024×768画素又は1920×1200画素などの1種類以上の表示範囲221を有する。そのため、コンピュータ210がオペレーションシステムを実行する際、オペレーションシステムを介し、表示装置220の現在の表示範囲221又はサポート可能な表示範囲221を取得することができる。
【0015】
本発明中の入力装置230は、マルチタッチ入力機能を有する電子装置である。入力装置230は、PDA(personal digital assistant)、デジタイザ(Digitizer)、携帯電話又はタブレット型コンピュータ(tablet)である。入力装置230がコンピュータ210と接続されると、コンピュータ210は、マッピングプロセス211の運転を開始する。これにより、入力装置230の操作範囲231(図5等を参照)及び表示装置220の表示範囲221が取得される。入力装置230とコンピュータ210とは、USB(Universal Serial Bus)、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))などを介して接続される。
【0016】
コンピュータ210は、取得した入力装置230の操作範囲231及び表示装置220の表示範囲221に基づき、マッピングプロセス211を運転する。図4は、本発明の運転工程を示す流れ図(フローチャート)である。図4に示すように、本発明の運転工程は、以下S310〜S340のステップを含む。
【0017】
S310:入力装置がコンピュータと電気的に接続されると、マッピングプロセスをロードし、入力装置の操作範囲及び表示装置の表示範囲をそれぞれ取得する。
【0018】
S320:カーソルを初期座標上に設定する上、カーソル及び操作範囲に基づき、表示装置中にマッピング領域を設定する。
【0019】
S330:入力装置からカーソルの移動ベクトルを取得する上、カーソルの移動ベクトルに基づき、表示装置上のカーソル位置を移動させる上、マッピング領域の位置を新たに設定する。
【0020】
S340:ユーザがマッピング領域から少なくとも1つのオブジェクトを選択した上、マルチタッチ入力機能を起動すると、第1の制御ポイント及び第2の制御ポイントによって生成される相対変位量に基づき、入力装置がオブジェクトの操作属性を変更する。
【0021】
まず、図1乃至3、及び図5において、入力装置230及び表示装置220をコンピュータ210とそれぞれ接続する。入力装置230及び表示装置220がコンピュータ210とそれぞれ接続されると、マッピングプロセス211が入力装置230をカーソル240の初期位置に対応させる初期化処理を実行し始める。表示装置220の表示範囲221は、入力装置230の操作範囲231と同一でないため、表示装置220上のカーソル240と入力装置230とを対応させる処理を行う必要がある。これにより、入力装置230を表示装置220のカーソル240に正確に対応させることができる。
【0022】
一般に、コンピュータ210は、起動してオペレーションシステムの運転が開始されると、表示装置220の表示範囲221を取得することができる。このため、入力装置230がコンピュータ210と接続された際、初期処理を行うのに都合がよいように、マッピングプロセス211は、先に、オペレーションシステムから現在の表示範囲221を取得することができる。当然、マッピングプロセス211は、入力装置230が接続された際、表示範囲221を取得する処理を開始してもよい。
【0023】
カーソル240の初期化処理を行う過程において、カーソル240を表示装置220の中央、四隅又は他の位置に設定することができる。これにより、入力装置230を表示装置220の所定領域に正確にマッピングすることができる。また、カーソル240の所在地を明確に説明するため、カーソル240の位置を初期座標と定義する。
【0024】
カーソル240の位置の初期化が完了した後、マッピングプロセス211は、カーソル240の所在地に基づき、表示範囲221中からマッピング領域310を設定する。図5を参照する。図5は、本発明のマッピング領域を示す模式図である。図5に示すように、マッピング領域310は、表示装置220上に物体が表示されるわけではない。このため、図5中、マッピング領域310は、点線の枠で表示する。マッピング領域310の範囲が操作範囲231の大きさによって決定される以外に、表示範囲221に基づき、入力装置230に様々なマッピング関係を提供することができる。前述のマッピング関係を実現するために、マッピングプロセス211は、操作範囲231及び表示範囲221に基づき、領域対応表(図示せず)を生成する。領域対応表中には、表示装置220の操作可能な範囲に対応するマッピング領域310が記録される上、表示装置220のX軸及びY軸の比率に対応するマッピング領域310のX軸及びY軸が記録される。
【0025】
例えば、マッピング領域310のX軸及びY軸と、表示装置220のX軸(左右方向)及びY軸(上下方向)と、が1:1のマッピング関係で対応する場合、マッピング領域310の1つの画素が表示装置220の1つの画素位置に対応することを示す。また、マッピング領域310のX軸と、表示装置220のX軸と、が1:1のマッピング関係で対応する上、マッピング領域310のY軸と、表示装置220のY軸と、が1:2のマッピング関係で対応する場合、マッピング領域310のX軸上の1つの画素が表示装置220の1つの画素位置に対応するが、Y軸上の移動は、マッピング領域310の1つの画素が表示装置220の2つの画素に対応することを示す。同様の原理により、本発明は、様々なマッピング関係に応用することができる。しかし、ここでは、これ以上例示しない。
【0026】
領域対応表から、対応するマッピング関係を決定すると、コンピュータ210が表示装置220上において、カーソル240を含むマッピング領域310を設定する。本発明においては、カーソル240は、マッピング領域310内の位置のみに限定されない。しかし、説明に都合がよいように、以下に示す説明においては、マッピング領域310の中心点をカーソル240の所在地とする。図6を参照する。図6は、本発明のカーソルとマッピング領域との相対位置を示す模式図である。
【0027】
図5乃至図7を合わせて参照する。図7は、カーソルを移動した際に表示されるマッピング領域を示す模式図である。まず、カーソル240及びマッピング領域310の初期化が完了すると(図5参照)、カーソル240は、表示範囲221の中央(初期座標)に配置される。ユーザが入力装置230を介してカーソル240を操作すると、コンピュータ210が入力装置230からカーソルの移動ベクトルを取得する(初期座標に対するベクトル値)。また、カーソル240の移動ベクトルに基づき、表示装置220上のカーソル240の位置を移動する。また、表示範囲221中におけるマッピング領域310の位置を新たに設定する。
【0028】
入力装置230の移動計算方式は、1インチに含まれる画素量(DPI(dot per inch))が用いられる。入力装置230は、表示装置220のカーソル240に移動量に対し、以下に示す調整を行う必要がある。また、コンピュータ210は、領域対応表に基づき、入力装置230が取得したカーソル240の移動ベクトルから、カーソル240が表示装置220上を移動する距離を計算する。
【0029】
表示装置220の表示範囲221が1024×768の解析度で、入力装置230の操作範囲231が70×50画素の大きさであり、X軸及びY軸が共に1:10のマッピング関係であると仮定して説明を行う。マッピングプロセス211(図3を参照)がカーソル240の初期化動作を完了すると、マッピングプロセス211がカーソル240を表示装置220の座標(512,384)上に表示して、この座標を初期座標とする。マッピングプロセス211は、初期座標を軸心とし、表示装置220上に1つの70×50画素の大きさマッピング領域310を設定する(図7参照)。
【0030】
ユーザが入力装置230を介してカーソル240を移動させると、入力装置230は、カーソル240の移動ベクトルを生成する。タッチパネルを入力装置230とする場合、ユーザが指でタッチパネル上を押圧すると、コンピュータ210は、押圧された位置を基準座標とする。タッチパネル上を指が移動するに従い、コンピュータ210は、入力装置230が出力する信号を取得し続ける上、基準座標及び指の現在の位置座標に基づき、対応するカーソル240の移動ベクトルを生成する。ユーザが基準座標からX軸に沿って左から右に10個の画素を移動させ、Y軸に沿って下から上に20個の画素を移動させた場合、コンピュータ210は、最終的に1組(10,20)のカーソル240の移動ベクトルを取得する。コンピュータ210は、カーソルの移動ベクトルに基づき、表示装置220中のカーソル240をX軸に沿って左から右に1つの画素(10/10=1)移動させ、Y軸に沿って下から上に2つの画素(20/10=2)移動させる。最後に、カーソル240は、表示装置220中の(513,386)の座標位置に移動する。
【0031】
入力装置230の操作範囲231は、表示装置220の表示範囲221より小さいため、ユーザの指が操作範囲231の辺縁に到達する状況が発生する。カーソル240及びマッピング領域310を移動させ続けるために、本発明は、以下S510及びS520に示すカーソル240中断処理を提供する。図8〜図10を同時に参照する。
【0032】
S510:入力装置がカーソルの移動ベクトルの受信を中断すると、コンピュータが中断時のカーソルの位置を記録する。
【0033】
S520:新たなカーソルの移動ベクトルを受信すると、コンピュータは、前回の中断時のカーソルの位置を起点とし、新たなカーソルの移動ベクトルに基づき、表示装置上のカーソルを移動させる上、マッピング領域の位置を新たに設定する。
【0034】
図9乃至10において、ユーザの指が入力装置230の辺縁に移動した場合(図9参照)、ユーザは、カーソル240を継続して移動させることができないため、入力装置230から指を離す必要がある。この際、コンピュータ210(図3参照)は、カーソル240の現在位置を記録する。ユーザは、指を入力装置230の操作範囲231中の任意の位置に置き、カーソル240の操作を継続することができる(図10を参照。点線の指が移動前の位置を示す)。コンピュータ210(図3参照)は、新たなカーソル240の移動ベクトルを受信して、カーソル240の前回の中断時の位置を起点とする。コンピュータ210は、新たなカーソル240の移動ベクトルに基づき、表示装置220上のカーソル240を移動させる上、マッピング領域310の位置を新たに設定する。これにより、マッピング領域310も新たな位置に移動するため、入力装置230とマッピング領域310との位置対応関係が同期する。
【0035】
次に、図11において、ユーザは、マッピング領域310中から制御するオブジェクト610を選択し、マルチタッチ入力機能を起動することができる。ユーザは、指をマッピング領域310中の任意のオブジェクト610に移動し、オブジェクト610をクリックすることにより、オブジェクト610を選択する動作を完了することができる。ユーザが第1の指で入力装置230を押圧すると、その位置が第1の制御ポイントと定義される。ユーザが第2の指で入力装置230を押圧すると、第2の指の位置が第2の制御ポイントと定義される。コンピュータ210が第1の制御ポイント及び第2の制御ポイントを同時に受信した場合、コンピュータ210は、マルチタッチ入力機能が起動されたと見なす。
【0036】
コンピュータ210がマルチタッチ入力機能が起動されたことを受信すると、コンピュータ210は、入力装置230が受信した複数の指(入力装置230が受信した第1の制御ポイント及び第2の制御ポイント)の相対変位量に基づき、オブジェクト610の操作属性を変更する。操作属性は、オブジェクト610の座標位置、表示範囲221又は回転角度を含む。例えば、ユーザは、2つの指間の距離(入力装置230が受信する第1の制御ポイントと第2の制御ポイントとの間の距離)を変更することにより、オブジェクト610の画像サイズを変更することができる(図11及び図12参照)。ユーザは、2つの指間の相対位置(第1の制御ポイントと第2の制御ポイントとの相対位置)を変更することにより、オブジェクト610の配置角度を回転させることができる(図13及び図14参照)。
【0037】
上述のように、本発明は、マッピング領域310中において、1つのオブジェクト610に対して制御処理を行うほか、マッピング領域310中の2つ以上のオブジェクト610の処理を行う際にも応用することができる。図15及び図16を参照する。図15は、本発明のマッピング領域中の複数のオブジェクトを移動させる前の状態を示す模式図である。図16は、本発明のマッピング領域中の複数のオブジェクトを移動させた後の状態を示す模式図である。図15及び図16に示すように、マッピング領域310中に複数のオブジェクト610が同時に存在する場合、ユーザは、まず、マッピング領域310中から任意の1つのオブジェクト610を選択する(例えば、1つの指でオブジェクト610をクリックし、選択のトリガ信号とする)。次に、ユーザがもう1つの指で他のポイントを押圧することにより、マルチタッチ入力機能が起動する。ユーザがマルチタッチ入力機能を起動すると、コンピュータ210が第1の制御ポイントと第2の制御ポイントとの間の位置変化に基づき、オブジェクト610の回転又は移動を決定する。図17及び図18を参照する。図17は、本発明のマッピング領域中に存在する複数のオブジェクトを回転させる前の状態を示す模式図である。図18は、本発明のマッピング領域中に存在する複数のオブジェクトを回転させた後の状態を示す模式図である。ユーザがもう1つの指で他のオブジェクト610を押圧した場合、コンピュータ210は、2つの指間の位置変化に基づき、2つのオブジェクト610の位置を変更する。
【0038】
上述の実施形態は、画像表示機能を有さない入力装置230を例示して説明したものである。本発明は、画像表示機能を有する入力装置230に応用することができる。図19及び図20を参照する。図19は、本発明のマッピング領域310を移動させる前の入力装置230の画像を示す模式図である。図20は、本発明のマッピング領域310を移動させた後の入力装置230の画像を示す模式図である。本発明を画像表示機能を有する入力装置230(タブレット型コンピュータ、タッチパネル付き携帯電話など)に応用した場合、コンピュータ210がマッピング領域310の設定を完了した後、コンピュータ210は、マッピング領域310中の画像を入力装置230に伝送する。即ち、コンピュータ210は、カーソル240及びマッピング領域310を移動させると同時に、マッピング領域310中の画像を入力装置230に伝送する。
【0039】
上述の実施形態のほか、本発明は、以下に示す技術手段を組み合わせることができる。これにより、表示範囲221におけるマッピング領域310の切換を高速に行うことができる。本実施形態は、コンピュータ210、表示装置220及び入力装置230を含む。表示装置220の表示範囲221は、少なくとも1つのマッピングポイント910をさらに含む(図21参照)。マッピングポイント910は、表示範囲221の任意の位置に配置することができる。入力装置230の操作範囲231は、少なくとも1つのクイックポイント920をさらに含む(図22参照)。マッピングポイント910の数は、クイックポイント920と等しい。操作範囲231の各クイックポイント920の所在地は、表示範囲221の各マッピングポイント910の所在地に対応する。即ち、各クイックポイント920は、各マッピングポイント910に対応するが、その位置は限定されない。
【0040】
図23を参照する。図23は、本発明の他の実施形態を示す流れ図である。クイックポイント920及びマッピングポイント910に対するカーソル240の処理制御は、以下S910〜S960に示すステップを含む。
【0041】
S910:入力装置の操作範囲及び表示装置の表示範囲を取得する。
【0042】
S920:表示範囲中において、少なくとも1つのマッピングポイント及びマッピング領域を設定し、操作範囲の入力信号に基づき、マッピング領域のカーソルの位置を決定する。
【0043】
S930:操作範囲中において、マッピングポイントと位置対応関係を有する少なくとも1つのクイックポイントを設定する。
【0044】
S940:入力装置からカーソルの移動ベクトルを入力すると、カーソルの移動ベクトルに基づき、表示装置のカーソル位置を移動させる上、マッピング領域の位置を新たに設定する。
【0045】
S950:マッピング領域中の少なくとも1つのオブジェクトを選択した上、マルチタッチ入力機能を起動すると、第1の制御ポイント及び第2の制御ポイントによって生成される相対変位量に基づき、入力装置がオブジェクトの操作属性を変更する。ここで、入力装置は、カーソルの現在位置を第1の制御ポイントと見なし、第2の制御ポイントは、第1の制御ポイントの位置とは異なる他の押圧信号である。
【0046】
S960:入力装置がクイックポイントのトリガ信号を受信すると、マッピング領域及びカーソルを対応するマッピングポイントに移動させる。
【0047】
本実施形態においては、図24乃至28において、表示装置220中に少なくとも1つのマッピングポイント910が配置される。また、操作範囲231中には、複数のマッピングポイント910と位置対応関係を有する少なくとも1つのクイックポイント920が設定される。ここで、位置対応関係とは、操作範囲231中のクイックポイント920の位置に基づき、表示範囲221中の相対位置にマッピングポイント910が設定されることを指す。マッピングポイント910及びクイックポイント920は、画面上に実際に表示することができる。例えば、透明のカラーブロックの方式により、表示装置220上の対応する位置に表示される。当然、マッピングポイント910及びクイックポイント920は、画面上に表示しなくてもよい。
【0048】
仮に、図24の操作範囲231中に9個のクイックポイント920(黒色の領域)を設定した場合、表示範囲221中にも9個のマッピングポイント910(黒色点線の領域)が設定される。クイックポイント920及びマッピングポイント910の数及び位置は、各製品の実際の状況に基づき変更され、これのみに限定されない。9個のクイックポイント920の配置位置は、マッピングポイント910と一致し、黒色の点線は、クイックポイント920とマッピングポイント910との対応関係を示す。即ち、図24の左上角のクイックポイント920は、左上角のマッピングポイント910に対応する。同様に、図24の右上角のクイックポイント920は、右上角のマッピングポイント910に対応する。
【0049】
前述の実施形態と同様に、入力装置230がカーソル240の移動ベクトルを取得すると、表示範囲221上のカーソル240がそれに伴って移動すると共に、カーソル240の位置に基づき、マッピング領域310を設定する。ユーザがマッピング領域310中の少なくとも1つのオブジェクト610(図11等を参照)を選択して、マルチタッチ入力機能を起動すると、第1の制御ポイント及び第2の制御ポイントによって生成される相対変位量(カーソル240の移動ベクトル)に基づき、入力装置230がオブジェクト610の操作属性を変更する。
【0050】
入力装置230がカーソル240を制御する速度を高めるために、本実施形態においては、表示範囲221中において、カーソル240及びマッピング領域310の位置を高速に切り換えるメカニズムが加えられる。入力装置230は、クイックポイント920のトリガ信号を受信すると、マッピング領域310及びカーソル240を対応するマッピングポイント910に移動させる。トリガ信号は、キーを押し続けたり、複合キーにより、生成させることができる。複合キーによる場合を例示すると、ユーザがコントロールキーを押圧した上、クイックポイント920をクリックすると、カーソル240を対応するマッピングポイント910に直接移動させる上、カーソル240の位置に基づき、マッピング領域310の位置を新たに設定することができる。
【0051】
図25及び図26を参照する。カーソル240が図25に示す位置に存在する際、ユーザがカーソル240及びマッピング領域310を表示範囲221中のマッピングポイント910(図22参照)上に高速に移動させたい場合、コントロールキーを押圧した上、入力装置230上の操作範囲231中央のクイックポイント920をクリックすると、表示装置220上のカーソル240が図25に示す位置から、図26に示す位置に直接移動する。また、図26のカーソル240位置に基づき、マッピング領域310の位置が新たに設定される。
【0052】
ここでは、図25の左上角のマッピングポイントを例示して説明を行う。また、説明に都合が良いように、右上角のマッピングポイントを第1のマッピングポイント911と定義し、対応するクイックポイントを第1のクイックポイント921と定義する。入力装置230が第1のクイックポイント921に対応する信号を検出すると、それと同時に、表示装置220上において、カーソル240が第1のマッピングポイント911上に移動する。また、マッピング領域310が表示範囲221の辺縁を超えないようにするために、カーソル240がマッピング領域310の左上角に存在すると見なし、新たなマッピング領域310を設定する(図27参照)。
【0053】
同様の原理により、入力装置230が図28の右下角のクイックポイント920(図22参照)のトリガ信号を受信すると、表示装置220は、カーソル240を右下角のマッピングポイント910(図21参照)に移動させる上、カーソル240の位置に基づき、カーソル240が右下角に存在するマッピング領域310を設定する(図28参照)。
【0054】
本発明の好適な実施形態を示したが、これらは、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において変更及び修飾を行うことができる。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の記載内容に準ずる。
【符号の説明】
【0055】
100 タッチモニタ
110 ターゲット
210 コンピュータ
211 マッピングプロセス
220 表示装置
221 表示範囲
230 入力装置
231 操作範囲
240 カーソル
310 マッピング領域
610 オブジェクト
910 マッピングポイント
911 第1のマッピングポイント
920 クイックポイント
921 第1のクイックポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチタッチ入力機能を有する入力装置を介して実行され、表示装置上のカーソルを制御するために用いられるマルチタッチの操作方法であって、
前記入力装置の操作範囲及び前記表示装置の表示範囲を取得するステップと、
前記表示範囲中において、少なくとも1つのマッピングポイント及びマッピング領域を設定し、前記操作範囲の入力信号に基づき、前記マッピング領域のカーソルの位置を決定するステップと、
前記操作範囲中において、前記マッピングポイントと位置対応関係を有する少なくとも1つのクイックポイントを設定するステップと、
前記入力装置からカーソルの移動ベクトルを入力すると、前記カーソルの移動ベクトルに基づき、前記表示装置の前記カーソル位置を移動させる上、前記マッピング領域の位置を新たに設定するステップと、
前記マッピング領域中の少なくとも1つのオブジェクトを選択した上、前記マルチタッチ入力機能を起動すると、第1の制御ポイント及び第2の制御ポイントによって生成される相対変位量に基づき、前記入力装置が前記オブジェクトの操作属性を変更するステップ(前記入力装置は、前記カーソルの現在位置を前記第1の制御ポイントと見なし、前記第2の制御ポイントは、前記第1の制御ポイントの位置とは異なる他の押圧信号である)と、
前記入力装置が前記クイックポイントのトリガ信号を受信すると、前記マッピング領域及び前記カーソルを対応する前記マッピングポイントに移動させるステップと、を含むことを特徴とするマルチタッチの操作方法。
【請求項2】
前記マッピング領域を設定するステップは、
前記操作範囲及び前記表示範囲に基づき、領域対応表を生成するステップと、
前記領域対応表中から前記マッピング領域の範囲を取得するステップと、
前記表示装置上において、前記カーソルを含む前記マッピング領域を設定するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチタッチの操作方法。
【請求項3】
前記カーソルの移動ベクトルを取得するステップは、
前記操作範囲及び前記表示範囲に基づき、領域対応表を生成するステップと、
前記領域対応表に基づき、前記入力装置が取得した前記カーソルの移動ベクトルから、前記カーソルの前記表示装置上の移動距離を計算するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチタッチの操作方法。
【請求項4】
前記カーソルの移動ベクトルを取得するステップは、
前記入力装置が前記カーソルの移動ベクトルの受信を中断すると、中断時の前記カーソルの位置を記録するステップと、
前記カーソルの新たな移動ベクトルを受信すると、前回の中断時の前記カーソルの位置を起点とし、前記カーソルの新たな移動ベクトルに基づき、前記表示装置上の前記カーソルを移動させる上、前記マッピング領域の位置を新たに設定するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のマルチタッチの操作方法。
【請求項5】
前記オブジェクトの前記操作属性は、座標位置、表示範囲又は回転角度を含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチタッチの操作方法。
【請求項6】
前記入力装置が表示機能を有する場合、前記表示装置中に前記マッピング領域を設定すると、前記表示装置の前記マッピング領域中の画像を前記入力装置中に伝送して表示することを特徴とする請求項1に記載のマルチタッチの操作方法。
【請求項7】
前記カーソルの移動ベクトルを入力すると、前記表示装置中における前記マッピング領域の所在地を新たに設定する上、前記マッピング領域中の画像を前記入力装置中に表示することを特徴とする請求項6に記載のマルチタッチの操作方法。
【請求項8】
前記表示装置及び前記入力装置と電気的に接続されるコンピュータをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチタッチの操作方法。
【請求項9】
表示装置、コンピュータ及び入力装置を備えるマルチタッチの入力システムであって、
前記表示装置は、表示範囲中にカーソルを表示し、前記表示範囲中には、少なくとも1つのマッピングポイントが設定され、
前記コンピュータは、前記表示装置と電気的に接続され、前記コンピュータは、受信したカーソル移動信号に基づき、前記表示装置中の前記カーソルの所在地を新たに表示し、
前記入力装置は、前記コンピュータと接続され、操作範囲を表示する上、前記操作範囲を介し、前記カーソル移動信号を受信し、前記カーソル移動信号に基づき、対応するカーソルの移動ベクトルを生成し、前記操作範囲は、前記マッピングポイントと位置対応関係を有する少なくとも1つのクイックポイントを含み、前記入力装置は、前記クイックポイントのトリガ信号を受信すると、前記マッピング領域及び前記カーソルを対応する前記マッピングポイントに移動させることを特徴とするマルチタッチの入力システム。
【請求項10】
前記クイックポイントの数は、前記マッピングポイントの数に対応することを特徴とする請求項9に記載のマルチタッチの入力システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2013−33462(P2013−33462A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−143111(P2012−143111)
【出願日】平成24年6月26日(2012.6.26)
【出願人】(511288544)昆盈企業股▲ふん▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】