説明

マルチピッチボルト、マルチピッチボルト及びナット

【課題】 ナットを手で簡単に送り操作できると共に、緩みが生じないように締め付けることができるマルチピッチボルトを提供する。
【解決手段】 マルチピッチボルト10のねじ山12cの側壁が、つるまき線に沿って回転する間にリード角の緩い区間とリード角の急な区間とが交代して、交互に連続している。このため、大きな実効的リードを持ちながら、リード角の緩い区間の摩擦力により強い緩み止め作用を奏する。マルチピッチボルト10のねじ山12cの側壁が、断面略円弧状に形成されているため、ナット20を手で簡単に送り操作ができる。最後に、工具を用いて締め付けることで、緩みが生じないようにナット20を締め付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のリードを有するマルチピッチねじ(ねじのねじ山が、つるまき線に沿って1回転する間にリード角の緩い区間とリード角の急な区間とが交代して、交互に連続するように形成されているマルチピッチねじ)を備えるマルチピッチボルトに関し、特に、土木建築分野においてコンクリート構築のために使用される型枠を締め付けるボルトに好適なマルチピッチボルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
締結用のねじの緩みについては多くの対策が立てられたが、いずれも完全ではなかった。従来のねじの概念「ある一定のピッチを持つ螺旋」を変えた複数のリードを持つねじ、即ち、ピッチが異なるリード部分が連続して設けられた「マルチピッチねじ」により、この問題が解決できることが、本件の発明者らの研究によって確認されている(非特許文献1)
【0003】
また、複数のリードを持つマルチピッチねじのボルトとナットの構成および組み合わせと、それらを送りねじ機構等に応用するものが、本件発明者らによって提案されている(特願2002−346891号)。
【0004】
同様に、回転ダイスを用いて製造できるマルチピッチねじ、および、その製造方法及び製造装置に関するもの、更には、マルチピッチねじを備えたナット部材に関するものが、本件発明者らによって先に提案されている(特願2004−230119号、特願2004−230120号)
【0005】
同様に、転造加工が容易な最適なねじ山を備えたマルチピッチねじ(ボルト部材)、それを製造する方法、および、製造装置が、本件発明者らによって先に提案されている。(特願2004−335315号)
【0006】
一方、コンクリート構築のための型枠締め付けに使用される締め付け具の従来技術としては、締め付けボルト(締付杵)とナットとの緩み止め防止のために、押さえ座金に弾性体から成る緩み止め片を取り付けたものが公知である(特許文献1)。
【0007】
なお、従来の型枠締め付け用のボルトとしては、用途によって種々のねじ形状のものが存在する。型枠の締め付け現場における作業性に優れたものとして、例えば図9および図10に示すものが公知である。図9(A)は従来技術に係る型枠用ボルトを示す側面図であり、図9(B)はナットを示す斜視図である。型枠用ボルト110には、ナット20が螺合される円弧状のねじ溝を有する円弧ねじ部15と、断面三角形状のねじ溝を有する普通ねじ部14と、スパナ等の締め付け工具が係合される両側面取り部16とが設けられている。普通ねじ部14は、コンクリート内に埋め込まれるセパレータ側に螺合され、円弧ねじ部15には、ナット20が係合され、型枠の締め付けが行われる。図10は、図9(A)に示すボルトに図9(B)に示すナットを係合させた状態の断面図である。ボルト110の円弧ねじ部15には、断面形状が略円弧状のねじ溝15bが形成されている。一方、ナット20のねじ孔22には、ねじ溝15bを反転した略円弧状にねじ山22bが形成されている。
【0008】
ここで、上記従来の型枠用ボルト110の円弧ねじ部15としては、例えば、円弧ねじ部15の直径D1が略12mm、ねじ溝15bの断面は半径r1が略2.2mmの円周S1の概ね1/4から1/3程度の円弧状、ねじのピッチP1が略4.2mm、リード角が略6度程度の比較的大きなねじ形状を備えたものが一般的である。一方、ナット20のねじ山22bは、型枠用ボルト110の円弧ねじ部15およびねじ溝15bに対して全体的に略0.1mm以上の大きなクリアランスを有するように設定されている。
【0009】
従って、これらの型枠用ボルト110とナット20の組合せを使用すれば、ナット20を手で簡単に螺合/送り操作ができ、最後の締め付けのみ工具で行えばよく、現場での作業効率が向上する利点がある。更に、上記のようにねじ溝15bの断面は大きく、かつ、広口の略円弧状に設定されているため、コンクリートの型枠内への流し込み時に円弧ねじ部15に飛散したコンクリートが付着しても、ナット20の取り外し(回転)によって、付着したコンクリートを簡単に排除できる。
【特許文献1】実公平6−29358号公報
【非特許文献1】日本機械学会論文集、C編、62巻(597号)、p1963−1968、「極端にゆるみにくいねじ締結体の開発」、藤井 洋、他、1996年。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の型枠用ボルトは、現場での作業性に優れ、また、付着したコンクリートが簡単に排除できるものの、コンクリートの流し込み時に気泡等を除去するために型枠あるいは流し込んだコンクリート内にバイプレータで振動を与えると、その振動によってボルトおよびナットの締め付けが緩みやすい欠点があった。更に、このように緩んだボルトおよびナットの締め付けは、人手によって個々に点検、締め直しが必要で、現場での作業が繁雑、非効率となる不都合があった。
【0011】
一方、前述の本件発明者らによって提案された緩み防止機能を有するマルチピッチねじのボルトとナットは、機械分野における比較的細かなねじ山/ねじ溝を備えた通常のねじ(断面が略三角形のねじ溝、ねじ山)を想定したものであった。このため、上記マルチピッチねじのボルトとナットを型枠用ボルトにこのまま適用すると、上記従来の型枠用ボルトが有する利点、即ち、「ナットをボルトに手で簡単に螺合/ネットの送り操作ができ、最後の締め付けのみ工具で行える効率の良さ」を損なうという課題が生じる。
【0012】
更に、型枠用ボルトの略円弧状の浅くて広口のねじ溝を形成するには、転造ダイス側のねじ山も断面が緩やかな略円弧状とする必要があり、転造時における転造ダイス側のねじ山の被転造部材への当たり面、あるいは食い込み部が、通常のねじ(断面が略三角形のねじ溝、ねじ山)の転造に比べて不安定となる。このため、この種のねじをねじの条線に沿って変化するマルチピッチねじとして形成するには、より転造が難しく、大量生産には不向きであった。
【0013】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ナットを手で簡単に送り操作できると共に、緩みが生じないように締め付けることができるマルチピッチボルト、マルチピッチボルト及びナットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1のマルチピッチボルトは、ねじ溝の側壁が、断面略円弧状に形成されると共に、つるまき線に沿って回転する間にリード角の緩い区間とリード角の急な区間とが交代して、交互に連続するように形成され、ねじ溝の底部に、V字状の溝部を設けたことを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、請求項4の発明では、ねじ山の側壁が、つるまき線に沿って回転する間にリード角の緩い区間とリード角の急な区間とが交代して、交互に連続している。このようにマルチピッチねじを形成することで、ねじ全体の実効的リードはリード角の緩い区間とリード角の急な区間との平均値となる。そして、ねじの緩みに対する対抗力は、軸方向の力によるリード角の緩い区間での相手の部材との摩擦力が支配的になるから、大きな実効的リードを持ちながら、リード角の緩い区間の摩擦力により強い緩み止め作用を奏する。
【0016】
また、ねじ山の側壁が、断面略円弧状に形成されているため、断面略円弧状のねじ溝側壁を有するナットを用いて、ナットを手で簡単に送り操作(締め付け)ができる。最後に、工具を用いて締め付けることで、ねじ山のリード角の緩い区間の摩擦力により強い緩み止め作用を奏する。即ち、緩みが生じないようにナットを締め付けることができる。
【0017】
請求項1では、ねじ溝の底部に、V字状の溝部を設けるため、転造ダイスのねじ山の頂部にV字状の凸部を設けることができる。請求項4では、ねじ溝の底部に、断面略半円弧状の溝部を設けるため、転造ダイスのねじ山の頂部に断面半円弧状の凸部を設けることができる。この凸部が被加工物(ボルト)に食い込むので、転造ダイスと被加工物との間で生じる応力が変化する上記ねじ山を容易に転造加工できる。なお、ねじ山の側壁は、ねじ山の中心線に対して対称となるように形成されていることが望ましい。これにより、ねじ山、ねじ溝が常に左右対称であり、被加工物(ボルト)の軸心を変動させる無理な力は発生せず転造加工が安定して行える。
【0018】
請求項2では、V字状の溝部の側壁が、ねじ溝の側壁の断面を構成する円弧の接線となるように形成されているので、段差がなく、形成が容易である。また、V字状の溝部の断面が略2等辺三角形となるように形成されているので、被加工物(ボルト10)の軸心を変動させる無理な力が発生せず、転造加工が安定して行える。
【0019】
請求項3では、V字状の溝部が一定リード角に形成されているため、被加工物(ボルト10)の軸心を変動させる無理な力は発生せず、被加工物(ボルト10)の転造加工が安定して行える。
【0020】
請求項5では、ナットのねじ溝の側壁が断面略円弧状であるので、ナットを手で簡単に送り操作(締め付け)ができる。最後に、工具を用いて締め付けることで、ねじ山のリード角の緩い区間の摩擦力により強い緩み止め作用を奏する。即ち、緩みが生じないようにナットを締め付けることができる。
【0021】
請求項6では、マルチピッチボルト側のねじ溝の底部にV字状又は半円弧状の溝部を設け、ナット側のねじ山の頂部に設けられた平面状の部分と組み合わせることで、該V字状又は半円弧状の溝部と頂部の間に断面が略二等辺三角形形状又は半円弧状の空間が形成される。このため、例えば、マルチピッチボルト及びナットがコンクリート構築のための型枠締め付けに使用される締め付け具として用いられた際に、マルチピッチボルトに付着したコンクリートが、ナットの回転で粉砕されてモルタル粉となって該空間内へ導かれ、無理なく排出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1〜図6を参照して本発明係るマルチピッチボルトを型枠用ボルトに適用した第1実施形態について説明する。始めに図1を参照して、本発明の実施形態における型枠用ボルト10の全体形状について説明する。型枠用ボルト10は金属製の棒状部材の一方にマルチピッチねじ部12が、他方に普通ねじ部14が一体に形成されており、その中ほどにスパナ等の締め付け工具が係合される両側面取り部16が設けられている。
マルチピッチねじ部12は従来の型枠用ボルトと同様に、大きな断面で広口の略円弧状のねじ溝を基本形とし、当該ねじ溝の基本形に後ほど詳述するマルチピッチねじの形状を重ねたねじ溝/ねじ山を有している。また、普通ねじ部14は機械分野における通常のねじ(断面が略三角形のねじ溝/ねじ山)と同様のねじ形状が設けられている。
【0023】
続いて図2を参照して、型枠用ボルト10に形成されたマルチピッチねじ部12の詳細形状について説明する。
図2(A)は、マルチピッチねじ部12を平面的に展開した説明図である。ねじ山12cとねじ山12cとの間にあるねじ溝(ねじ溝の側壁)12bの断面は、二点鎖線で示される円S2の円周の略1/4〜1/3程度の部分が通り抜ける形状に設定されている。ねじ山12c及びねじ溝12bは、一定の長さを進む毎に屈曲され、マルチピッチねじの形状を呈している。即ち、つるまき線に沿って1回転する間にリード角の緩い区間とリード角の急な区間とが交代して、交互に連続するように形成されている。
【0024】
また、上記のねじ溝12bの最底部の軌跡111および軌跡112はほぼ同一の長さを有する。マルチピッチねじ部12のリード角は、軌跡111および軌跡112と、型枠用ボルト10の軸線との平均角度によって定まる。第1実施形態においては、軌跡111によって定まるリード角がゼロ度、軌跡112によって定まるリード角が12度に設定されており、従来の型枠用ボルトと同程度に、平均リード角が約6度となっている。
【0025】
図2(B)は図1のA部の拡大断面図であり、ここでは、ナット20の断面も同時に示してあり、先に図2において模擬的に示した円S2が同様に二点鎖線で示されている。ナット20は、先に図9および図10で説明した従来技術のナット20と同様であり、ねじ山22bはねじ溝12bを反転した略円弧状で、その先端部に直線状のカット部22cが設けられた断面形状に設定されている。
【0026】
ここで、ねじ溝12bの両側部には上記の円S2の円弧に沿った円弧面(側壁)12d、12dが形成されており、ねじ溝12bの最底部には当該円弧面12dの略接線方向に沿った左右の平面部12e,12eが連接されている。従って、左右の平面部12e,12eによってねじ溝12bの最底部には下端の尖ったV字状の溝部12fが設けられている。
【0027】
ナット20のねじ山22bの側壁は、ねじ溝12bの左右の円弧面12d、12dと比較的大きな間隔(従来の型枠用ボルト10と同様に0.1mm程度以上)を有する設定となっている。このため、型枠用ボルト10にナット20を螺合した状態で、ナット20のねじ山22bがねじ溝12bに比較的大きな間隔を以て緩く係合しており、手で簡単にナットの送り操作ができるようになっている。
【0028】
図3および図4は、本発明の型枠用ボルト10を用いてコンクリート用型枠を締め付ける場合を説明する図である。
図4は、図3のB−B断面図に相当する。対向する型枠32、32の間にはセパレータ34が設けられ、コンクリートが流し込まれる空間を作り出している。セパレータ34の両端のねじ山34aは、略円錐状のストッパー36に設けられた一方のねじ孔36aに螺合される。また、ストッパー36の他方に設けられたねじ孔36bには、型枠32の穴32aを貫通して、型枠用ボルト10の普通ねじ部14の先端が螺合されている。型枠用ボルト10の他端のマルチピッチねじ部12に押さえ金具42を介してナット20を締め付けることで、型枠32を横ばた材38、縦ばた材40で押さえ付けている。
【0029】
上述したように、ナット20のねじ山22bがねじ溝12bに比較的大きな間隔を以て緩く係合しており、手で簡単にナット20の送り操作ができる。ナット20を手で送った後に、工具を用いてナット20を所定のトルク以上で締め付けると、図2(B)に示すナット20のねじ山22bが型枠締め付け用ボルト10のねじ溝12bの一方の側の円弧面12d側に押圧されて、部分的に弾性変形(一部塑性変形を伴う場合もある)する。これにより、ねじ山22bがねじ溝12bのリードがゼロの領域で接触し、マルチピッチねじの緩み止めにより、緩み防止効果が生じる。このため、コンクリートの流し込み時に気泡等を除去するために型枠あるいは流し込んだコンクリート内にバイプレータで振動を与えても、振動によってナット20が緩むことがなくなる。
【0030】
続いて、上記の型枠用ボルト10のマルチピッチねじ部12の転造加工を行うダイスについて、図5及び図6を参照して説明する。
図5(A)はマルチピッチねじの転造用のダイス50の側面図であり、図5(B)は、図5(A)のC−C断面図である。図6(A)は、複数の回転ダイスの内の少なくとも一つに形成したマルチピッチねじの転造用のねじ山、ねじ溝を説明用に平面的に展開して示した図である。ダイス50の外周には、ねじ山52及びねじ溝53が形成されている。ねじ山52及びねじ溝53は、先に説明の型枠用ボルト10のマルチピッチねじ部12のねじ溝12bとねじ山12cを略反転した形状に設定されている。ねじ山52の項部には、円弧面52aの接線に沿って形成される左右の平面部52b(平面的に展開されているために図では単純な平面あるいは平坦で示される)に囲まれた凸部52cが設けられている。なお、平ダイスにおいても本発明を実施することは可能であり、回転ダイスに限定されるものではない。
【0031】
図6(B)は、図6(A)に示す回転ダイス50によって型枠用ボルト10にマルチピッチねじ部12を転造加工する初期状態を模擬的に示す図である。図6(b)に示されるように、ダイス50のねじ山52の頂部に設けられた先の尖った凸部52cが型枠用ボルト10の円筒状の外周面に最初に食い込む。このため、位置決めが安定した状態で順次円弧面を有するねじ溝12bが転造加工される。
【0032】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態に係るマルチピッチねじ部12のねじ溝12bを示す図である。この実施形態においては、基本となる断面が円弧状のねじ溝12bの最底部に断面が小さな半円弧状の凹部12gが形成されており、この凹部12gが上記の溝部12fと同様の働きをする。
【0033】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態に係る型枠締め付け用ボルトのマルチピッチねじ部を平面的に展開した説明図である。図2(A)を参照して上述した第1実施形態では、ねじ溝12bの最底部の軌跡111によって定まるリード角がゼロ度、軌跡112によって定まるリード角が12度に設定されていた。これに対して、第3実施形態では、第1実施形態と同様にねじ山12cは、一定の長さを進む毎に屈曲され、マルチピッチねじの形状を呈している。即ち、つるまき線に沿って1回転する間にリード角の緩い区間とリード角の急な区間とが交代して、交互に連続するように形成されている。しかしながら、V字状の溝部12fは、一定リード角(例えば6度)に形成されている。第3実施形態では、V字状の溝部12fが一定リード角に形成されているため、転造加工の際にボルト10の軸心を変動させる無理な力は発生せず、ボルト10の転造加工が安定して行える。
【0034】
以上の説明から明らかなように、ねじ溝12bの最底部に溝部12fあるいは凹部12gを設けることにより、転造加工時の位置決めが安定し、加工が容易となる。
また、図2(B)に示されるように、ねじ溝12bの最底部に設けられた溝部12fとナット20のねじ山22bの先端部の間に、断面が略2等辺三角形の空間が形成される。このため、コンクリートの型枠内への流し込み時に円弧ねじ部15に飛散したコンクリートが付着しても、ナット20の回転で粉砕されたモルタルがこの断面略2等辺三角形の空間内に導かれ、無理なく排出される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態における型枠用ボルトを示す平面図である。
【図2】図2(A)は、図1に示す型枠締め付け用ボルトのマルチピッチねじ部を平面的に展開した説明図であり、図2(B)は、図1のA部を示す拡大断面図である。
【図3】第1実施形態に係る型枠用ボルトの使用例を説明する斜視図である。
【図4】図3中のB−B断面図である。
【図5】図5(A)はマルチピッチねじの転造用のダイスの側面図であり、図5(B)は、図5(A)のC−C断面図である。
【図6】図6(A)は、マルチピッチねじの転造用のねじ山、ねじ溝を説明用に平面的に展開して示した説明図であり、図6(B)はマルチピッチねじ部の加工を模擬的に示す説明図である。
【図7】第2実施形態に係るねじ溝の形状を示す断面図である。
【図8】第3実施形態に係る型枠締め付け用ボルトのマルチピッチねじ部を平面的に展開した説明図である。
【図9】図9(A)は従来技術に係る型枠用ボルトを示す側面図であり、図9(B)はナットを示す斜視図である。
【図10】図9に示す型枠用ボルトとナットの係合部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 型枠用ボルト
12 マルチピッチねじ部
12b ねじ溝
12c ねじ山
14 普通ねじ部
20 ナット
22 ねじ孔
22b ねじ山
22c カット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ溝の側壁が、断面略円弧状に形成されると共に、つるまき線に沿って回転する間にリード角の緩い区間とリード角の急な区間とが交代して、交互に連続するように形成され、ねじ溝の底部に、V字状の溝部を設けたことを特徴とするマルチピッチボルト。
【請求項2】
前記V字状の溝部の側壁が、前記ねじ溝の側壁の断面を構成する円弧の接線となり、且つ、前記V字状の溝部の断面が略2等辺三角形となるように形成されたことを特徴とする請求項1のマルチピッチボルト。
【請求項3】
前記V字状の溝部が、一定リード角に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のマルチピッチボルト。
【請求項4】
ねじ溝の側壁が、断面略円弧状に形成されると共に、つるまき線に沿って回転する間にリード角の緩い区間とリード角の急な区間とが交代して、交互に連続するように形成され、ねじ溝の底部に、断面略半円弧状の溝部を設けたことを特徴とするマルチピッチボルト。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1のマルチピッチボルトと、
ねじ山の側壁が断面略円弧状に形成されると共に、前記マルチピッチボルトのねじ溝の側壁と緩く係合するナットと、から成るマルチピッチボルト及びナット。
【請求項6】
前記ナットのねじ山の頂部が平面状に形成される請求項5のマルチピッチボルト及びナット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate