マルチファンクションデバイス、ネットワークストレージサーバ、スキャンストレージシステム
【課題】 ストレージサーバから、データフォーマットや解像度をデバイスに指定させることにより、ユーザが送信するディレクトリごとにデータフォーマットのパラメータを設定するようなわずらわしさを軽減することができるマルチファンクションデバイス、ネットワークストレージサーバ、スキャンストレージシステムを提供する。
【解決手段】 設定された読み取りパラメータで画像データを読み取る読み取り手段を持ち、XML/SOAPを用いたスキャナサービスを利用可能なマルチファンクションデバイスにおいて、ストレージサーバに接続する手段と、ストレージサーバから受信した接続応答に応じて、読み取りパラメータを変更する手段と、前記変更手段によって変更された読み取りパラメータで画像を読み取る手段と、読み取った画像をストレージサーバに送信する手段と、を備えたことを特徴とする。
【解決手段】 設定された読み取りパラメータで画像データを読み取る読み取り手段を持ち、XML/SOAPを用いたスキャナサービスを利用可能なマルチファンクションデバイスにおいて、ストレージサーバに接続する手段と、ストレージサーバから受信した接続応答に応じて、読み取りパラメータを変更する手段と、前記変更手段によって変更された読み取りパラメータで画像を読み取る手段と、読み取った画像をストレージサーバに送信する手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WEBスキャンサービスを提供することが可能なマルチファンクションデバイス、および、WEBストレージサービスを提供するストレージサーバ、スキャンストレージシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のネットワークの普及により、WEBを利用したサービスがネットワーク上にたくさん構築されている。例えば、電車の時刻案内や、乗換え案内、ホームページの検索や、ニュース速報など、ユーザはWEBを利用してそれらの情報を得ることが可能となってきている。また、WEBの利用形態も、パーソナルコンピュータから、PDA端末、携帯電話端末など、さまざまなデバイスからネットワークにアクセスして、WEBを利用することが可能となってきている。
【0003】
このようなWEB上のサービスをより容易に利用することが可能とする技術がSOAP/XML技術である。SOAP/XML技術を用いたWEBサービスをネットワーク上に提供し、利用者はこのネットワーク上のさまざまなWEBサービスを利用して、目的とする処理を行うことが可能となってきている。
【0004】
SOAP/XMLを利用したWEBサービスは、上述したような従来のホームページ上で行われていたサービス(電車の時刻案内や乗換え案内、ニュース速報など)のみならず、さまざまな分野でそのサービスが提供されている。
【0005】
近年、このSOAP/XMLを用いたWEBサービスの一つとして、WEBストレージサービスが提供されている。クライアントは、WEBストレージサービスを提供しているサーバ上に、保存しておきたいデータを送信し、ネットワークに接続できる環境であれば、自由にそのサービスを利用して、そのデータを再利用することが可能となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
画像データを一元管理するようなストレージサーバにおいては、サーバや、ディレクトリによって、保存するデータフォーマットが決まっている場合が多い。例えば、インターネットからアクセスが多いようなディレクトリで、高解像度のデータばかりを保存している場合には、WEB上でそのデータのアクセスに非常に時間がかかることになる。逆に、写真のような画像を保存しておくようなサーバやディレクトリにおいては、高解像度のデータでなくては、意味がなかったりする。また、フォーマットも、PDFやTIFFやJPEGなどといった、さまざまなフォーマットがディレクトリ内にあると、クライアントがその画像をアクセスし閲覧するために必要なアプリケーションが煩雑になってしまう。
【0007】
以上のような理由から、ネットワーク上のストレージサーバはその利用目的に応じた解像度や、データフォーマットをあらかじめ決めておくことが多いのである。
【0008】
こうした環境下では、ストレージサーバを利用する際に、ユーザが、上述したようなデータフォーマットポリシーをあらかじめ知っておき、データを保存しようとするたびに、その決まったフォーマットに対応するためのパラメータフォーマットでデータを作成しなければならない。
【特許文献1】特開2002−158850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような背景の中、スキャナデバイスを搭載しているマルチファンクションプリンタ(MFP)では、スキャナでスキャンした画像をネットワーク上のストレージサーバに送信することが可能であり、さまざまなデータフォーマット、解像度でストレージサーバに読み取った画像を保存することができる。しかしながら、上述したように、近年のWEBストレージサービスに対して、スキャンした画像データを送信するような場合には、ユーザがあらかじめ、その保存すべきディレクトリや、保存すべきサーバで許されているデータフォーマット、解像度を知っておく必要があり、データをスキャンするたびに、デバイスに設定する必要がある。
【0010】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたものであり、WEBストレージサーバから、データフォーマットや解像度をデバイスに指定させることにより、このようなわずらわしさを軽減するマルチファンクションデバイス、ネットワークストレージサーバ、スキャンストレージシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
【0012】
設定された読み取りパラメータで画像データを読み取る読み取り手段を持ち、
XML/SOAPを用いたスキャナサービスを利用可能なマルチファンクションデバイスにおいて、
ストレージサーバに接続する手段と、
ストレージサーバから受信した接続応答に応じて、読み取りパラメータを変更する手段と、
前記変更手段によって変更された読み取りパラメータで画像を読み取る手段と、
読み取った画像をストレージサーバに送信する手段と、
を備えたことを特徴とするマルチファンクションデバイス。
【0013】
請求項1に記載のマルチファンクションデバイスにおいて、読み取りパラメータは、
解像度、データフォーマット、カラー指定を含むこと
を特徴とするマルチファンクションデバイス。
【0014】
ネットワークストレージサーバにおいて、
ディレクトリ毎に保存するパラメータを設定、変更、表示する手段と、
クライアントからのデータ保存要求を受信する手段と、
前記保存要求内の保存先のディレクトリに応じて、前記パラメータ設定手段により設定されたパラメータを生成する手段と、
前記パラメータをデータ保存要求の応答として、クライアントに送信する手段と、
を備えたことを特徴とするネットワークストレージサーバ。
【0015】
請求項3に記載のネットワークストレージサーバにおいて、パラメータは、
解像度、データフォーマット、カラー指定を含むこと
を特徴とするネットワークストレージサーバ。
【0016】
請求項1に記載のマルチファンクションデバイスおよび請求項3に記載のネットワークストレージサーバを備えたことを特徴とするスキャンストレージシステム。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ストレージサーバから、データフォーマットや解像度をデバイスに指定させることにより、ユーザが送信するディレクトリごとにデータフォーマットのパラメータを設定するようなわずらわしさを軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本実施例のネットワークデバイス装置として、ネットワーク接続機能を持つマルチファンクションデバイスがLANに接続している概略図である。
【0020】
101はLANに接続可能なマルチファンクションデバイス装置で、ネットワーク印刷サービスやスキャンサービスをローカルエリアネットワーク(LAN)100に提供している。同一のネットワーク上にPC103が接続している。
【0021】
LAN100はWAN(WideAreaNetwork)102に接続しており、このWAN上にはネットワークストレージサーバとして104が接続されている。
【0022】
本実施例では、マルチファンクションデバイス101がスキャナから読み取った画像データをストレージサーバ104に保存する。
【0023】
図2は、本実施例におけるマルチファンクションデバイスの概略を表すブロック図である。
【0024】
201はスキャナエンジン213を制御するスキャナエンジン制御部、202はCPU,203はプログラムが可能されているブートロム、204はRAM、205はパネルから設定された値を保持しておくための不揮発性のRAM(NVRAM)、206はプリンタエンジン212を制御するエンジン制御部、207はHDD、208はタイマ、209はパネルやボタンランプといったユーザインターフェース部分214を制御するI/O制御部、210はネットワーク制御部で、それぞれがバス211に接続している。
【0025】
図3は本デバイスが所有するユーザインターフェース部分である。
【0026】
301は大型タッチパネルで、ユーザはタッチパネルを操作することで、各種設定を行うことが可能である。図の画面はコピーの待機画面である。302はテンキーボタンで、1から0の数字を入力するのに使う。Sのボタンはサービスボタンで、このボタンを押下することにより、タッチパネル上に各種サービス画面が出現し、コピー以外のサービスを行うことができる。本実施例ではスキャンサービスを提供し、スキャナから読み取った画像をネットワークストレージサーバ104に転送する。Rのボタンは設定ボタンで、このボタンを押下することによって、タッチパネル上に、各種設定画面が出現し、パラメータの設定を行うことができる。303はスピーカで、音声やブザー等をここから出力する。304はランプで、印刷やコピーがジャムした場合には、ランプが点滅する。
【0027】
図4は図3図示のSボタンを押下したときにタッチパネル301上に表示されるスキャンサービスの画面である。ユーザは401にデータを転送する先のサーバ名を入力し、402にそのフォルダ名、403にユーザ名称、404にユーザのパスワードを入力し、OKボタンを押下する。その後、原稿をスキャナにセットして、図3図示のSTARTボタンを押下することによって、スキャナで原稿を読み取り、画像を目的のサーバに転送することになる。
【0028】
図5は図3図示のRボタンを押下したときにタッチパネル301上に表示される送信ファイルフォーマットのパラメータ設定画面である。従来であれば、ユーザは、あて先を変更する毎に、ファイルフォーマット501や解像度502、カラー指定503を設定する必要があった。本実施例のような対応をしていないストレージサーバに読み取った画像データを転送する場合には、これらを設定する必要がある。また、ストレージサーバがどんなフォーマットでも転送を許す場合には、このパラメータがデフォルト値となる。
【0029】
図6はストレージサーバ側の設定画面である。
【0030】
601はディレクトリのリストで、602がそのディレクトリに保存を許可するフォーマット、603は解像度、604はカラー指定を示している。
【0031】
例えば、“¥2001¥見積もり書”というディレクトリに保存されるデータのデータフォーマットはtiff、解像度は600dpi、Colorはカラーであることを示している。
【0032】
605は新規追加ボタンで、このリストに新たにディレクトリを追加したい場合に使用する。606は編集ボタンで、リスト内で編集したいディレクトリを選択し、その設定内容を変更することが可能となる。607は削除ボタンで、リスト内の必要のなくなったディレクトリの設定項目をリストから削除するためのものである。
【0033】
図7はデバイスとストレージサーバのシーケンスの概念図である。
【0034】
スキャナサービス画面で、ユーザがスキャナに原稿をセットしてSTARTボタンを押下するとcreate_scan_jobがストレージサーバに発行され、スキャンジョブ生成要求として、ストレージサーバへ通知される。
【0035】
ストレージサーバは、図6で図示したリストを検索して、該当するディレクトリの読み取りパラメータをcreate_scan_jobResponseとしてジョブ生成応答を返す。
【0036】
デバイスは、この応答に対応したパラメータでデータの読み取りを開始し、データ読み取り後、指定されたURIにユーザ名とパスワードでストレージサーバにログインする。
【0037】
ログイン後、読み取ったデータを所定のパスに転送して、処理が終了する。
【0038】
図8はSOAP/XML形式で記述されたcreate_scan_jobのフォーマットである。
【0039】
<requesting−storage−path>タグでデータ転送先のディレクトリが示されている。
【0040】
図9は、SOAP/XML形式で記述されたcreate_scan_jobResponseのフォーマットである。
【0041】
901は読み取りパラメータがセットされたレスポンスのフォーマットである。
902は読み取りパラメータがセットされていないレスポンスのフォーマットである。
【0042】
901ではデータ転送先として<data−sink−uri>のタグで示されたアドレスが指定されている。また<document−fomat>のタグでimage/tiffとしてTIFFフォーマットのデータを要求し、<document−resolution>のタグで600として600DPIの解像度をもつデータを要求している。<document−color>のタグでcolorとして、カラーデータを要求している。
【0043】
一方802では、読み取りパラメータのタグが何も設定されていないことから、どのようなフォーマットのデータでも送ってかまわないことを示している。
【0044】
図10は、デバイスの処理の流れを示したフローチャートである。
【0045】
図11は、ストレージサーバの処理の流れを示したフローチャートである。
【0046】
以下、図を用いて、本実施例の処理の流れを説明する。
【0047】
デバイスの処理について説明する。
【0048】
以下、ステップはSと示す。
【0049】
ユーザは、読み取る原稿をスキャナに設定し、図3に図示したsボタンにより、スキャナサービスを呼びだし、送信あて先を設定して、図3に図示したSTARTボタンを押下して、データを読み取らせ、設定されたあて先にスキャンデータを保存する。
【0050】
このSTARTボタンを押下されるとデバイスは、図5に図示した、送信ファイルフォーマット設定の各パラメータをデフォルト値として、スキャナ制御201に設定する(S1001)。本実施例の場合には、デフォルト値として、ファイルフォーマットはPDF、解像度は200DPI、カラー指定はBlackとなっている。
【0051】
次に、図4で図示した401のサーバ名、402フォルダ名、403ユーザ名を読み取り、図8に図示したようなフォーマットのcreate_scan_jobを生成し、401で指定されたストレージサーバに発行する(S1002)。そして、ストレージサーバからのcreate_scan_jobResponseをまつ(S1003)。
【0052】
create_scan_jobResponseを受信すると、図9のフォーマットの中から、各種パラメータのタグを検出し(S1004)、その設定値をスキャナ制御201に再設定する(S1005)。例えば、901のような応答が返された場合には、<document−format>のタグからファイルフォーマットはTIFFに、<document−resolution>のタグから解像度は600dpiに、<document−color>のタグからカラー指定はcolorに再設定される。
【0053】
これらのパラメータを用いて、スキャナ制御201を介してスキャナエンジン213に対して、データスキャンを開始する(S1006)。全データの読み取りが終了したら(S1007)、901で指定された<data−sink−uri>先に403ユーザ名と404パスワードでログインを行う(S1008)。ログイン後、指定されたフォルダ名402に、読み取ったデータを転送し処理が終了する(S1009)。
【0054】
1003で返されたcreate_scan_jobResponseが902のようなフォーマットであった場合には、各種パラメータのタグがないため、ファイルフォーマットの再設定は行われない。この場合には、1001で設定したパラメータ(ファイルフォーマット:PDF、解像度:200dpi、カラー指定:Black)でデータの読み取りが行われる。
【0055】
次に図11を用いて、ストレージサーバ側の処理の流れについて説明する。
【0056】
ストレージサーバのストレージサービスプログラムはクライアント(本実施例の場合ではデバイス)からのcreate_job_scanを待っている(S1101)。図8のようなcreate_job_scanを受信すると、<requesting−storage−path>のタグからデータを保存するディレクトリを抽出する(S1102)。本実施例の場合には“2002¥見積もり書”のディレクトリが抽出されることになる。
【0057】
ストレージサーバはこのディレクトリが図6で図示したテーブル上にあるかどうかを検索する(S1103)。検索は、リストの上から順番に行われる。“2002¥見積もり書”のディレクトリが、テーブル上にあると(S1104)、その読み取りパラメータを読み込む(S1105)。この場合では、formatはtiff、解像度は600dpi、Color指定はcolorなので、それらをcreate_scan_jobResponseに設定し、901のようなフォーマットを生成して、クライアントに応答する(S1106)。S1107で、テーブルすべての検索が終了して、テーブル上にディレクトリがなかった場合には902のようなフォーマットを生成して、クライアントに応答する(S1108)。
【0058】
901のように、応答のフォーマットには<data−sink−uri>のタグがある。クライアントはこのURIに対してデータを転送してくることになる。サーバはこのURIに転送されたデータを保存する。このURIはcreate_scan_jobResponse毎に生成し、クライアントに応答する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施例のネットワークデバイス装置として、ネットワーク接続機能を持つマルチファンクションデバイスがLANに接続している概略図
【図2】本実施例におけるマルチファンクションデバイスの概略を表すブロック図
【図3】本実施例のデバイスが持つユーザインターフェースを示す図
【図4】スキャンサービスの画面を示す図
【図5】送信ファイルフォーマットのパラメータ設定画面を示す図
【図6】ストレージサーバ側の設定画面を示す図
【図7】デバイスとストレージサーバのシーケンスフローの概略図
【図8】SOAP/XML形式で記述されたcreate_scan_jobのフォーマットを示す図
【図9】SOAP/XML形式で記述されたcreate_scan_jobResponseのフォーマットを示す図
【図10】デバイスの処理の流れを示したフローチャート
【図11】ストレージサーバの処理の流れを示したフローチャート
【符号の説明】
【0060】
100 LAN
101 マルチファンクションデバイス
102 WAN
103 PC
104 ネットワークストレージサーバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、WEBスキャンサービスを提供することが可能なマルチファンクションデバイス、および、WEBストレージサービスを提供するストレージサーバ、スキャンストレージシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のネットワークの普及により、WEBを利用したサービスがネットワーク上にたくさん構築されている。例えば、電車の時刻案内や、乗換え案内、ホームページの検索や、ニュース速報など、ユーザはWEBを利用してそれらの情報を得ることが可能となってきている。また、WEBの利用形態も、パーソナルコンピュータから、PDA端末、携帯電話端末など、さまざまなデバイスからネットワークにアクセスして、WEBを利用することが可能となってきている。
【0003】
このようなWEB上のサービスをより容易に利用することが可能とする技術がSOAP/XML技術である。SOAP/XML技術を用いたWEBサービスをネットワーク上に提供し、利用者はこのネットワーク上のさまざまなWEBサービスを利用して、目的とする処理を行うことが可能となってきている。
【0004】
SOAP/XMLを利用したWEBサービスは、上述したような従来のホームページ上で行われていたサービス(電車の時刻案内や乗換え案内、ニュース速報など)のみならず、さまざまな分野でそのサービスが提供されている。
【0005】
近年、このSOAP/XMLを用いたWEBサービスの一つとして、WEBストレージサービスが提供されている。クライアントは、WEBストレージサービスを提供しているサーバ上に、保存しておきたいデータを送信し、ネットワークに接続できる環境であれば、自由にそのサービスを利用して、そのデータを再利用することが可能となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
画像データを一元管理するようなストレージサーバにおいては、サーバや、ディレクトリによって、保存するデータフォーマットが決まっている場合が多い。例えば、インターネットからアクセスが多いようなディレクトリで、高解像度のデータばかりを保存している場合には、WEB上でそのデータのアクセスに非常に時間がかかることになる。逆に、写真のような画像を保存しておくようなサーバやディレクトリにおいては、高解像度のデータでなくては、意味がなかったりする。また、フォーマットも、PDFやTIFFやJPEGなどといった、さまざまなフォーマットがディレクトリ内にあると、クライアントがその画像をアクセスし閲覧するために必要なアプリケーションが煩雑になってしまう。
【0007】
以上のような理由から、ネットワーク上のストレージサーバはその利用目的に応じた解像度や、データフォーマットをあらかじめ決めておくことが多いのである。
【0008】
こうした環境下では、ストレージサーバを利用する際に、ユーザが、上述したようなデータフォーマットポリシーをあらかじめ知っておき、データを保存しようとするたびに、その決まったフォーマットに対応するためのパラメータフォーマットでデータを作成しなければならない。
【特許文献1】特開2002−158850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような背景の中、スキャナデバイスを搭載しているマルチファンクションプリンタ(MFP)では、スキャナでスキャンした画像をネットワーク上のストレージサーバに送信することが可能であり、さまざまなデータフォーマット、解像度でストレージサーバに読み取った画像を保存することができる。しかしながら、上述したように、近年のWEBストレージサービスに対して、スキャンした画像データを送信するような場合には、ユーザがあらかじめ、その保存すべきディレクトリや、保存すべきサーバで許されているデータフォーマット、解像度を知っておく必要があり、データをスキャンするたびに、デバイスに設定する必要がある。
【0010】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたものであり、WEBストレージサーバから、データフォーマットや解像度をデバイスに指定させることにより、このようなわずらわしさを軽減するマルチファンクションデバイス、ネットワークストレージサーバ、スキャンストレージシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
【0012】
設定された読み取りパラメータで画像データを読み取る読み取り手段を持ち、
XML/SOAPを用いたスキャナサービスを利用可能なマルチファンクションデバイスにおいて、
ストレージサーバに接続する手段と、
ストレージサーバから受信した接続応答に応じて、読み取りパラメータを変更する手段と、
前記変更手段によって変更された読み取りパラメータで画像を読み取る手段と、
読み取った画像をストレージサーバに送信する手段と、
を備えたことを特徴とするマルチファンクションデバイス。
【0013】
請求項1に記載のマルチファンクションデバイスにおいて、読み取りパラメータは、
解像度、データフォーマット、カラー指定を含むこと
を特徴とするマルチファンクションデバイス。
【0014】
ネットワークストレージサーバにおいて、
ディレクトリ毎に保存するパラメータを設定、変更、表示する手段と、
クライアントからのデータ保存要求を受信する手段と、
前記保存要求内の保存先のディレクトリに応じて、前記パラメータ設定手段により設定されたパラメータを生成する手段と、
前記パラメータをデータ保存要求の応答として、クライアントに送信する手段と、
を備えたことを特徴とするネットワークストレージサーバ。
【0015】
請求項3に記載のネットワークストレージサーバにおいて、パラメータは、
解像度、データフォーマット、カラー指定を含むこと
を特徴とするネットワークストレージサーバ。
【0016】
請求項1に記載のマルチファンクションデバイスおよび請求項3に記載のネットワークストレージサーバを備えたことを特徴とするスキャンストレージシステム。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ストレージサーバから、データフォーマットや解像度をデバイスに指定させることにより、ユーザが送信するディレクトリごとにデータフォーマットのパラメータを設定するようなわずらわしさを軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本実施例のネットワークデバイス装置として、ネットワーク接続機能を持つマルチファンクションデバイスがLANに接続している概略図である。
【0020】
101はLANに接続可能なマルチファンクションデバイス装置で、ネットワーク印刷サービスやスキャンサービスをローカルエリアネットワーク(LAN)100に提供している。同一のネットワーク上にPC103が接続している。
【0021】
LAN100はWAN(WideAreaNetwork)102に接続しており、このWAN上にはネットワークストレージサーバとして104が接続されている。
【0022】
本実施例では、マルチファンクションデバイス101がスキャナから読み取った画像データをストレージサーバ104に保存する。
【0023】
図2は、本実施例におけるマルチファンクションデバイスの概略を表すブロック図である。
【0024】
201はスキャナエンジン213を制御するスキャナエンジン制御部、202はCPU,203はプログラムが可能されているブートロム、204はRAM、205はパネルから設定された値を保持しておくための不揮発性のRAM(NVRAM)、206はプリンタエンジン212を制御するエンジン制御部、207はHDD、208はタイマ、209はパネルやボタンランプといったユーザインターフェース部分214を制御するI/O制御部、210はネットワーク制御部で、それぞれがバス211に接続している。
【0025】
図3は本デバイスが所有するユーザインターフェース部分である。
【0026】
301は大型タッチパネルで、ユーザはタッチパネルを操作することで、各種設定を行うことが可能である。図の画面はコピーの待機画面である。302はテンキーボタンで、1から0の数字を入力するのに使う。Sのボタンはサービスボタンで、このボタンを押下することにより、タッチパネル上に各種サービス画面が出現し、コピー以外のサービスを行うことができる。本実施例ではスキャンサービスを提供し、スキャナから読み取った画像をネットワークストレージサーバ104に転送する。Rのボタンは設定ボタンで、このボタンを押下することによって、タッチパネル上に、各種設定画面が出現し、パラメータの設定を行うことができる。303はスピーカで、音声やブザー等をここから出力する。304はランプで、印刷やコピーがジャムした場合には、ランプが点滅する。
【0027】
図4は図3図示のSボタンを押下したときにタッチパネル301上に表示されるスキャンサービスの画面である。ユーザは401にデータを転送する先のサーバ名を入力し、402にそのフォルダ名、403にユーザ名称、404にユーザのパスワードを入力し、OKボタンを押下する。その後、原稿をスキャナにセットして、図3図示のSTARTボタンを押下することによって、スキャナで原稿を読み取り、画像を目的のサーバに転送することになる。
【0028】
図5は図3図示のRボタンを押下したときにタッチパネル301上に表示される送信ファイルフォーマットのパラメータ設定画面である。従来であれば、ユーザは、あて先を変更する毎に、ファイルフォーマット501や解像度502、カラー指定503を設定する必要があった。本実施例のような対応をしていないストレージサーバに読み取った画像データを転送する場合には、これらを設定する必要がある。また、ストレージサーバがどんなフォーマットでも転送を許す場合には、このパラメータがデフォルト値となる。
【0029】
図6はストレージサーバ側の設定画面である。
【0030】
601はディレクトリのリストで、602がそのディレクトリに保存を許可するフォーマット、603は解像度、604はカラー指定を示している。
【0031】
例えば、“¥2001¥見積もり書”というディレクトリに保存されるデータのデータフォーマットはtiff、解像度は600dpi、Colorはカラーであることを示している。
【0032】
605は新規追加ボタンで、このリストに新たにディレクトリを追加したい場合に使用する。606は編集ボタンで、リスト内で編集したいディレクトリを選択し、その設定内容を変更することが可能となる。607は削除ボタンで、リスト内の必要のなくなったディレクトリの設定項目をリストから削除するためのものである。
【0033】
図7はデバイスとストレージサーバのシーケンスの概念図である。
【0034】
スキャナサービス画面で、ユーザがスキャナに原稿をセットしてSTARTボタンを押下するとcreate_scan_jobがストレージサーバに発行され、スキャンジョブ生成要求として、ストレージサーバへ通知される。
【0035】
ストレージサーバは、図6で図示したリストを検索して、該当するディレクトリの読み取りパラメータをcreate_scan_jobResponseとしてジョブ生成応答を返す。
【0036】
デバイスは、この応答に対応したパラメータでデータの読み取りを開始し、データ読み取り後、指定されたURIにユーザ名とパスワードでストレージサーバにログインする。
【0037】
ログイン後、読み取ったデータを所定のパスに転送して、処理が終了する。
【0038】
図8はSOAP/XML形式で記述されたcreate_scan_jobのフォーマットである。
【0039】
<requesting−storage−path>タグでデータ転送先のディレクトリが示されている。
【0040】
図9は、SOAP/XML形式で記述されたcreate_scan_jobResponseのフォーマットである。
【0041】
901は読み取りパラメータがセットされたレスポンスのフォーマットである。
902は読み取りパラメータがセットされていないレスポンスのフォーマットである。
【0042】
901ではデータ転送先として<data−sink−uri>のタグで示されたアドレスが指定されている。また<document−fomat>のタグでimage/tiffとしてTIFFフォーマットのデータを要求し、<document−resolution>のタグで600として600DPIの解像度をもつデータを要求している。<document−color>のタグでcolorとして、カラーデータを要求している。
【0043】
一方802では、読み取りパラメータのタグが何も設定されていないことから、どのようなフォーマットのデータでも送ってかまわないことを示している。
【0044】
図10は、デバイスの処理の流れを示したフローチャートである。
【0045】
図11は、ストレージサーバの処理の流れを示したフローチャートである。
【0046】
以下、図を用いて、本実施例の処理の流れを説明する。
【0047】
デバイスの処理について説明する。
【0048】
以下、ステップはSと示す。
【0049】
ユーザは、読み取る原稿をスキャナに設定し、図3に図示したsボタンにより、スキャナサービスを呼びだし、送信あて先を設定して、図3に図示したSTARTボタンを押下して、データを読み取らせ、設定されたあて先にスキャンデータを保存する。
【0050】
このSTARTボタンを押下されるとデバイスは、図5に図示した、送信ファイルフォーマット設定の各パラメータをデフォルト値として、スキャナ制御201に設定する(S1001)。本実施例の場合には、デフォルト値として、ファイルフォーマットはPDF、解像度は200DPI、カラー指定はBlackとなっている。
【0051】
次に、図4で図示した401のサーバ名、402フォルダ名、403ユーザ名を読み取り、図8に図示したようなフォーマットのcreate_scan_jobを生成し、401で指定されたストレージサーバに発行する(S1002)。そして、ストレージサーバからのcreate_scan_jobResponseをまつ(S1003)。
【0052】
create_scan_jobResponseを受信すると、図9のフォーマットの中から、各種パラメータのタグを検出し(S1004)、その設定値をスキャナ制御201に再設定する(S1005)。例えば、901のような応答が返された場合には、<document−format>のタグからファイルフォーマットはTIFFに、<document−resolution>のタグから解像度は600dpiに、<document−color>のタグからカラー指定はcolorに再設定される。
【0053】
これらのパラメータを用いて、スキャナ制御201を介してスキャナエンジン213に対して、データスキャンを開始する(S1006)。全データの読み取りが終了したら(S1007)、901で指定された<data−sink−uri>先に403ユーザ名と404パスワードでログインを行う(S1008)。ログイン後、指定されたフォルダ名402に、読み取ったデータを転送し処理が終了する(S1009)。
【0054】
1003で返されたcreate_scan_jobResponseが902のようなフォーマットであった場合には、各種パラメータのタグがないため、ファイルフォーマットの再設定は行われない。この場合には、1001で設定したパラメータ(ファイルフォーマット:PDF、解像度:200dpi、カラー指定:Black)でデータの読み取りが行われる。
【0055】
次に図11を用いて、ストレージサーバ側の処理の流れについて説明する。
【0056】
ストレージサーバのストレージサービスプログラムはクライアント(本実施例の場合ではデバイス)からのcreate_job_scanを待っている(S1101)。図8のようなcreate_job_scanを受信すると、<requesting−storage−path>のタグからデータを保存するディレクトリを抽出する(S1102)。本実施例の場合には“2002¥見積もり書”のディレクトリが抽出されることになる。
【0057】
ストレージサーバはこのディレクトリが図6で図示したテーブル上にあるかどうかを検索する(S1103)。検索は、リストの上から順番に行われる。“2002¥見積もり書”のディレクトリが、テーブル上にあると(S1104)、その読み取りパラメータを読み込む(S1105)。この場合では、formatはtiff、解像度は600dpi、Color指定はcolorなので、それらをcreate_scan_jobResponseに設定し、901のようなフォーマットを生成して、クライアントに応答する(S1106)。S1107で、テーブルすべての検索が終了して、テーブル上にディレクトリがなかった場合には902のようなフォーマットを生成して、クライアントに応答する(S1108)。
【0058】
901のように、応答のフォーマットには<data−sink−uri>のタグがある。クライアントはこのURIに対してデータを転送してくることになる。サーバはこのURIに転送されたデータを保存する。このURIはcreate_scan_jobResponse毎に生成し、クライアントに応答する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施例のネットワークデバイス装置として、ネットワーク接続機能を持つマルチファンクションデバイスがLANに接続している概略図
【図2】本実施例におけるマルチファンクションデバイスの概略を表すブロック図
【図3】本実施例のデバイスが持つユーザインターフェースを示す図
【図4】スキャンサービスの画面を示す図
【図5】送信ファイルフォーマットのパラメータ設定画面を示す図
【図6】ストレージサーバ側の設定画面を示す図
【図7】デバイスとストレージサーバのシーケンスフローの概略図
【図8】SOAP/XML形式で記述されたcreate_scan_jobのフォーマットを示す図
【図9】SOAP/XML形式で記述されたcreate_scan_jobResponseのフォーマットを示す図
【図10】デバイスの処理の流れを示したフローチャート
【図11】ストレージサーバの処理の流れを示したフローチャート
【符号の説明】
【0060】
100 LAN
101 マルチファンクションデバイス
102 WAN
103 PC
104 ネットワークストレージサーバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された読み取りパラメータで画像データを読み取る読み取り手段を持ち、
XML/SOAPを用いたスキャナサービスを利用可能なマルチファンクションデバイスにおいて、
ストレージサーバに接続する手段と、
ストレージサーバから受信した接続応答に応じて、読み取りパラメータを変更する手段と、
前記変更手段によって変更された読み取りパラメータで画像を読み取る手段と、
読み取った画像をストレージサーバに送信する手段と、
を備えたことを特徴とするマルチファンクションデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチファンクションデバイスにおいて、読み取りパラメータは、
解像度、データフォーマット、カラー指定を含むこと
を特徴とするマルチファンクションデバイス。
【請求項3】
ネットワークストレージサーバにおいて、
ディレクトリ毎に保存するパラメータを設定、変更、表示する手段と、
クライアントからのデータ保存要求を受信する手段と、
前記保存要求内の保存先のディレクトリに応じて、前記パラメータ設定手段により設定されたパラメータを生成する手段と、
前記パラメータをデータ保存要求の応答として、クライアントに送信する手段と、
を備えたことを特徴とするネットワークストレージサーバ。
【請求項4】
請求項3に記載のネットワークストレージサーバにおいて、パラメータは、
解像度、データフォーマット、カラー指定を含むこと
を特徴とするネットワークストレージサーバ。
【請求項5】
請求項1に記載のマルチファンクションデバイスおよび請求項3に記載のネットワークストレージサーバを備えたことを特徴とするスキャンストレージシステム。
【請求項1】
設定された読み取りパラメータで画像データを読み取る読み取り手段を持ち、
XML/SOAPを用いたスキャナサービスを利用可能なマルチファンクションデバイスにおいて、
ストレージサーバに接続する手段と、
ストレージサーバから受信した接続応答に応じて、読み取りパラメータを変更する手段と、
前記変更手段によって変更された読み取りパラメータで画像を読み取る手段と、
読み取った画像をストレージサーバに送信する手段と、
を備えたことを特徴とするマルチファンクションデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチファンクションデバイスにおいて、読み取りパラメータは、
解像度、データフォーマット、カラー指定を含むこと
を特徴とするマルチファンクションデバイス。
【請求項3】
ネットワークストレージサーバにおいて、
ディレクトリ毎に保存するパラメータを設定、変更、表示する手段と、
クライアントからのデータ保存要求を受信する手段と、
前記保存要求内の保存先のディレクトリに応じて、前記パラメータ設定手段により設定されたパラメータを生成する手段と、
前記パラメータをデータ保存要求の応答として、クライアントに送信する手段と、
を備えたことを特徴とするネットワークストレージサーバ。
【請求項4】
請求項3に記載のネットワークストレージサーバにおいて、パラメータは、
解像度、データフォーマット、カラー指定を含むこと
を特徴とするネットワークストレージサーバ。
【請求項5】
請求項1に記載のマルチファンクションデバイスおよび請求項3に記載のネットワークストレージサーバを備えたことを特徴とするスキャンストレージシステム。
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【公開番号】特開2006−197325(P2006−197325A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7613(P2005−7613)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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