説明

マルチプルビュー方向表示装置

【課題】 表示装置の近くに位置する者と、表示装置から遠方に位置する者との両方にとって、見やすく、かつ、画像の全体を容易に理解できるように画像を表示できる表示装置を提供する。
【解決手段】 マルチプルビュー方向表示装置30は、横長の長方形形状をなす大型LCD(Liquid Crystal Display)である表示部32と、プログラムと画像データ等とを記憶するための記憶部56と、マウス及びキーボード等の入力デバイスであり、表示部32の表示面上の座標等を利用者から受付ける操作部58と、記憶部56に記憶されている画像データを読込んで表示部32に表示したり、操作部58が受付けた座標にマウスカーソル等を表示したりして、表示部32に表示されている画像データの表示制御を行なうための表示制御部54とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチプルビュー方向表示装置に関し、特に、複数の表示部を用いて、各表示部に表示倍率が異なる画像を表示するマルチプルビュー方向表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
講演会等、比較的大きな会場で行なわれるプレゼンテーションにおいて、大型液晶表示装置で画像の表示を行なう場合、表示された画像が、装置に近い観客にとっては見やすいものであっても、遠方の観客にとっては小さすぎて見づらい場合がある。画像を拡大して表示すれば遠方での見づらさは解消する。しかし、表示装置の近くに位置する講演者及び観客には、画像が拡大されたために見ることができる画像範囲が小さくなり、情報量が少なくなって画像の全体の内容を把握し難くなるという別の問題が生じる。
【特許文献1】特開2005‐78076
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1は、1つの表示面をある方向から見る場合と別の方向から見る場合とで、異なる画像をユーザに見せるようにするマルチプルビュー方向表示ディスプレイを開示している。特許文献1に開示の技術では、ディスプレイに対する方向によって異なる画像が見えるようにされているが、遠方の観客と近くの観客との双方にとって見やすい画像を表示するという課題は解決されていない。
【0004】
したがって、本発明の目的は、表示装置の近くに位置する者と、表示装置から遠方に位置する者との両方にとって、見やすく、かつ、画像の全体を容易に理解できるように画像を表示できるマルチプルビュー方向表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の局面に係るマルチプルビュー方向表示装置は、第1及び第2の画像信号を受け、第1の方向から見ると第1の画像信号による画像が、第1の方向とは異なる第2の方向から見ると第2の画像信号による画像が、それぞれ見えるように画像を表示面に表示するマルチプルビュー方向表示部と、第1の画像信号を受け、当該第1の画像信号による画像の部分画像の拡大画像を表すように第2の画像信号を生成し、マルチプルビュー方向表示部に与えるための表示制御手段とを含む。
【0006】
マルチプルビュー方向表示部は、第1の方向から見る者にとって第1の画像信号による画像を見せるようにし、また、第2の方向から見る者にとって第2の画像信号による画像を見せるようにする。表示制御手段は、第1の画像信号による部分画像の拡大画像を第2の画像信号として生成し、マルチプルビュー方向表示部に与える。したがって、比較的遠くにいる者には第2の画像が見え、比較的近くにいる者には第1の画像が見えるような位置及び姿勢でマルチプルビュー方向表示装置を設置することにより、マルチプルビュー方向表示装置から比較的遠い所にいる者が第2の方向から表示面を見る場合、それらの者にとって画像は見やすく、かつ画像の内容を把握しやすくなる。また、マルチプルビュー方向表示装置の近くにいる者が第1の方向から表示面を見る場合、第1の画像信号による画像をそのまま見ることができるので、それらの者にとっては画像の全体の内容を把握しやすい。その結果、表示装置の近くに位置する者と、表示装置から遠方に位置する者との両方にとって、見やすく、かつ、画像の全体を容易に理解できるように画像を表示できるマルチプルビュー方向表示装置を提供することができる。
【0007】
好ましくは、マルチプルビュー方向表示装置はさらに、表示面の部分領域を利用者に決定させるための領域決定手段を含む。表示制御手段は、第1の画像信号を受け、第1の画像信号による画像を生成するための手段と、領域決定手段において部分領域が決定されたことに応答して、第1の画像信号のうち、部分領域に表示される部分の画像を拡大して第2の画像信号を生成し、マルチプルビュー方向表示装置に与えるための手段とを含む。
【0008】
領域決定手段は、表示面の部分領域を利用者に決定させ、表示制御手段は、第1の画像信号のうち、決定された部分領域の画像を拡大して第2の画像信号を生成する。したがって、講演会等において講演者が当該マルチプルビュー方向表示装置を用いてプレゼンテーションを行なう場合、講演者が部分領域を適切に決定すれば、第2の画像信号による画像を遠方にいる観客に見せるようにしながら、それらの観客にとってわかりやすいプレゼンテーション提供することができる。
【0009】
より好ましくは、領域決定手段は、表示面上の第1の点と第2の点との、表示面上に定義された2次元座標系における座標の入力を利用者から受けるための入力手段と、第1の点と第2の点とを対角線上の頂点とする長方形領域を部分領域として定めるための手段とを含む。
【0010】
領域決定手段は、表示面上に定義された2次元座標系における第1及び第2の点を利用者から受けて、それらの点を頂点とする長方形領域を部分領域とする。したがって、利用者は、2つの点を入力するのみの簡単な操作で、部分領域を指定することができる。
【0011】
さらに好ましくは、領域決定手段は、数値と、表示面の1点の、表示面上に定義された2次元座標における座標との入力を利用者から受けるための入力手段と、表示面上において、入力手段の受けた座標に対応する点を1つの頂点とする長方形領域であって、面積が、入力手段の受けた数値に等しい長方形領域を部分領域として定めるための手段とを含む。
【0012】
領域決定手段は、数値と、表示面上に定義された2次元座標における座標とを利用者から受け、当該座標を1つの頂点とし、面積が当該数値に等しい長方形領域を部分領域として定める。したがって、利用者は、数値及び1つの座標を入力するのみの簡単な操作で、部分領域を指定することができる。
【0013】
さらに好ましくは、領域決定手段は、第1の表示部の表示面上の複数の領域を、利用者に入力させるための入力手段と、複数の領域のいずれかを利用者に選択させて、選択された領域を部分領域として定めるための手段とを含む。
【0014】
領域決定手段は、表示面上の複数の領域を利用者に入力させ、複数の領域のいずれかを利用者に選択させて、選択された領域を部分領域として定める。したがって、利用者が部分領域の候補となる領域を入力して、利用者は候補となる複数の領域の中から最も適切な領域を選択して、部分領域として指定することができる。
【0015】
さらに好ましくは、表示制御手段は、表示面上のカーソル位置にカーソル画像が表示されるように、第1の画像信号にカーソル画像信号を重畳してマルチプルビュー方向表示装置に与えるためのカーソル重畳手段と、第1の画像信号を受け、当該第1の画像信号による画像の部分画像の拡大画像を表すように第2の画像信号を生成するための手段と、カーソル画像が重畳された第1の画像信号を受け、当該第1の画像信号による画像の部分画像の拡大画像を表すように第2の画像信号を生成し、マルチプルビュー方向表示部に与えるための手段とを含む。
【0016】
表示制御手段は、表示面上のカーソル位置にカーソル画像を表示し、カーソル画像が重畳された第1の画像信号を受け、当該第1の画像信号による画像の部分画像の拡大画像を表すように第2の画像信号を生成して、マルチプルビュー方向表示部に与える。したがって、講演会等において、講演者が当該マルチプルビュー方向表示装置を用いてプレゼンテーションを行なう場合、第1及び第2の画像信号による画像にカーソル画像が表示されるので、利用者は、観客に注目して欲しい箇所をカーソル画像で指し示しながら説明することができ、観客にとって内容の把握が容易であるプレゼンテーションを提供することができる。
【0017】
さらに好ましくは、カーソル重畳手段は、表示面上のカーソル位置が部分領域内か外かを判定するための判定手段と、判定手段によってカーソル位置が部分領域外と判定されたことに応答して、カーソル位置に第1の表示形式でカーソル画像が表示されるように、第1のカーソル画像信号を第1の画像信号に重畳するための手段と、判定手段によってカーソル位置が部分領域内と判定されたことに応答して、カーソル位置に第2の表示形式でカーソル画像が表示されるように、第2のカーソル画像信号を第1の画像信号に重畳し、当該第1の画像信号による画像の部分画像の拡大画像を表すように第2の画像信号を生成し、マルチプルビュー方向表示部に与えるための手段とを含む。
【0018】
カーソル重畳手段は、カーソル位置が部分領域内か外かによって、カーソル画像の表示形式を変化させる。したがって、講演会等において、講演者が当該マルチプルビュー方向表示装置を用いてプレゼンテーションを行なう場合、講演者は、カーソル画像の表示形式を見ることによって、第2の画像信号による画像にカーソル画像が表示されていないことを把握することができ、第2の方向から表示面を見ている観客にとって、カーソル画像が見えないことを把握することができる。
【0019】
さらに好ましくは、カーソル重畳手段は、カーソル位置が部分領域内に位置するようにカーソル位置を規制するための手段と、カーソル位置に第1の表示形式でカーソル画像が表示されるように、カーソル画像信号を第1の画像信号に重畳するための手段と、第1の画像信号による画像の部分画像の拡大画像を表すように第2の画像信号を生成し、マルチプルビュー方向表示部に与えるための手段とを含む。
【0020】
カーソル重畳手段は、カーソル位置が部分領域内に位置するように規制する。したがって、当該マルチプルビュー方向表示装置の遠方にいる者であって、第2の方向から表示面を見る者にとっては、常にカーソル画像を見ることができ、当該マルチプルビュー方向表示装置を用いてプレゼンテーションを行なう講演者は、遠方にいる者がカーソル画像を見ることができているか否かを考慮することなく、プレゼンテーションを行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの機能及び名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0022】
[外観構成]
図1は、本発明の実施の形態に係るマルチプルビュー方向表示装置30の外観構成を示す。図1を参照して、本実施の形態に係るマルチプルビュー方向表示装置30は、横長の長方形形状をなす大型LCD(Liquid Crystal Display)である表示部32を含む。
【0023】
[ハードウェア構成]
図2は、マルチプルビュー方向表示装置30のハードウェア構成を示す。図2を参照して、マルチプルビュー方向表示装置30はさらに、プログラムと画像データ等とを記憶するための記憶部56と、マウス及びキーボード等の入力デバイスであり、表示部32の表示面上の座標等を利用者から受付ける操作部58と、記憶部56に記憶されている画像データを読込んで表示部32に表示したり、操作部58が受付けた座標にマウスカーソル等を表示したりして、表示部32に表示されている画像データの表示制御を行なうための表示制御部54とを含む。
【0024】
記憶部56は、画像データを記憶するための表示画像データ記憶部60を含む。
【0025】
表示部32は、表示画像データ記憶部60に記憶されている画像データの全体の画像を表示するための第1の表示部50と、第1の表示部50と同じ大きさであり、第1の表示部50に表示されている画像データの部分領域の画像を拡大して表示するための第2の表示部52とを含む。第1の表示部50と第2の表示部52とは、特許文献1に開示されている技術を使用して組合わされている。ただし、特許文献1の開示では、見る方向は表示面の左右方向の異なる方向となっているが、本実施の形態では、左右ではなく、上下方向の異なる角度から見ると一方の表示のみが見られるような構成となっている。
【0026】
図3(A)は、第1の表示部50に表示される画像の例を示す。図3(A)を参照して、画像80は、表示画像データ記憶部60に記憶されている画像データの全体を第1の表示部50に表示した画像である。図3(B)は、第2の表示部52に表示される画像の例を示す。図3(B)に示す画像は、この例では図3(A)に示す画像80の一部を拡大した画像である。
【0027】
第2の表示部52に表示する拡大画像の範囲をどのように指定するかについては、様々な方法が考えられる。本実施の形態では、以下に述べるようにして画像80の一部のみを第2の表示部52に表示する。
【0028】
図3(A)を参照して、画像80内には、マウスカーソル84が表示されている。この実施の形態では、利用者が、操作部58を用いてドラッグ等をすることにより、画像80内の部分領域82を選択することができる。選択された部分領域82内の画像を拡大して図3(B)に示すように第2の表示部52に表示する。本実施の形態では、部分領域82は、第1の表示部50に表示された画像80の大きさと同じ大きさにまで拡大されている。
【0029】
[利用例]
図4は、講演会等、比較的大きな会場で行なわれるプレゼンテーションにおいてマルチプルビュー方向表示装置30が利用されている場合に、マルチプルビュー方向表示装置30に向かって左側から見た場面を模式的に示す。図5は、当該プレゼンテーションにおいて、マルチプルビュー方向表示装置30の上側から見た場面を模式的に示す。図4及び図5を参照して、会場内には、マルチプルビュー方向表示装置30が比較的高い位置に配置されている。講演者100はマルチプルビュー方向表示装置30のすぐそばにいるものとする。会場内のマルチプルビュー方向表示装置30から比較的遠い所にはさらに、観客102A、102B、102C、及び102D等がいるものとする。
【0030】
図4から明らかなように、マルチプルビュー方向表示装置30の近くにいる者からマルチプルビュー方向表示装置30を見たときの視線と表示面とのなす角度は0度に近く、遠くにいる者からマルチプルビュー方向表示装置30を見たときの視線と表示面とのなす角度は90度に近い。したがって、マルチプルビュー方向表示装置30の近くにいる講演者100には、第1の表示部50に表示される画像のみが見え、遠くにいる者には第2の表示部52に表示される画像のみが見える。ここで、前述したとおり、第1の表示部50には画像の全体が表示され、第2の表示部52には画像の一部の拡大画像が表示されているものとする。
【0031】
講演者100は、マルチプルビュー方向表示装置30の近くにいるので、第1の表示部50に表示される全体の画像を容易に見ることができ、その内容を把握することができる。一方、観客102A等には、第2の表示部52に表示された拡大画像が見えるので、画像の全体を見ることはできないが、拡大画像の内容は容易に理解できる。その結果、近くにいる観客も、遠方にいる観客も画像をはっきりと見ることができ、しかもその内容を容易に理解することができる。
【0032】
[ソフトウェア構成]
図6は、マルチプルビュー方向表示装置30で実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。このプログラムを実質的にコンピュータである表示制御部54が実行することによりマルチプルビュー方向表示装置30の機能が実現される。
【0033】
図6を参照して、このプログラムは、利用者によって選択された画像データを表示画像データ記憶部60から読出すステップ150と、ステップ150の後、ステップ150において表示画像データ記憶部60から読出した画像データの全体を第1の表示部50に表示するステップ152と、ステップ152の後、操作部58が利用者から受付けた第1の表示部50の部分領域の座標を、操作部58から取得するステップ154と、ステップ154の後、ステップ154において取得された部分領域の画像を、第2の表示部52の表示面の大きさまで拡大して第2の表示部52に表示するステップ156とを含む。
【0034】
このプログラムはさらに、ステップ156の後、マウスカーソル84の現在の座標を操作部58から取得するステップ158と、ステップ158の後、ステップ158において取得した座標が、ステップ154でユーザから受付けた部分領域に含まれるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップ160と、ステップ160の判定結果がYESの場合に実行され、第1の表示部50及び第2の表示部52の両方において、矢印状のマウスカーソルをステップ158で取得された座標上に表示するステップ162と、ステップ160の判定結果がNOの場合に実行され、第1の表示部50のみにおいて円形のマウスカーソルを座標上に表示するステップ164とを含む。なお、第2の表示部52にマウスカーソルを表示する場合、その位置は、第1の表示部50でマウスカーソルを表示する位置を、部分領域82の拡大比率に応じて変換した位置となる。
【0035】
このプログラムはさらに、ステップ162及びステップ164のいずれかの後に、表示画像データ記憶部60に記憶されている別の画像データが利用者によって選択されたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップ166を含む。ステップ166の判定結果がYESの場合、制御はステップ150に戻り、ステップ166の判定結果がNOの場合、制御はステップ152に戻る。
【0036】
[動作]
図1〜図6を参照して、上記した構成を持つ本実施の形態に係るマルチプルビュー方向表示装置30は以下のように動作する。なお、これに先立ち、表示画像データ記憶部60には、画像80と、画像80と異なる予備画像とが記憶されているものとする。
【0037】
マルチプルビュー方向表示装置30が起動されると、表示制御部54は、表示画像データ記憶部60から画像80を取得して(図6に示すステップ150)、画像80を第1の表示部50に表示する(図6に示すステップ152)。第1の表示部50の初期位置(例えば画面の左上)にはマウスカーソル84が表示される。
【0038】
利用者が操作部58を操作して、第1の表示部50上においてマウスカーソル84を移動させて拡大すべき部分領域82を選択する。操作部58は、講演者100によって選択された部分領域82を受付け、表示制御部54に与える。
【0039】
表示制御部54は、操作部58から部分領域82の座標を取得して(図6に示すステップ154)、画像80のうち、部分領域82内の画像を、第2の表示部52に第1の表示部50に表示されている画像80と同じ大きさに拡大して表示する(図6に示すステップ156)。表示制御部54は、マウスカーソル84の現在の座標を操作部58から取得する(図6に示すステップ158)。ステップ158において取得された座標が部分領域82に含まれている場合、表示制御部54は、第1の表示部50の、取得された座標位置と、第2の表示部52の、取得された座標位置を部分領域82の拡大比率に応じて変換した位置とに、いずれも矢印の形状でマウスカーソルを表示する(図6に示すステップ162)。一方、ステップ158において取得された座標が部分領域82に含まれていない場合、表示制御部54は、取得された座標に円の形状でマウスカーソルを表示する(図6に示すステップ164)。
【0040】
ステップ162及びステップ164のいずれかの後、別の画像を表示するための利用者からの指示がなければ(図6に示すステップ166の判定結果がNO)、表示制御部54は、ステップ152〜164の処理を繰返す。一方、予備画像を表示するための利用者からの指示があれば(図6に示すステップ166の判定結果がYES)、表示制御部54は、予備画像に対してステップ150〜164の処理を行なう。
【0041】
[本実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、本実施の形態に係るマルチプルビュー方向表示装置30を用いることにより、講演会等、比較的大きな会場で行なわれるプレゼンテーションにおいて、第1の表示部50には、画像80の全体の画像が表示され、第2の表示部52には、画像80の部分領域82の画像が拡大されて表示される。したがって、マルチプルビュー方向表示装置30から離れた場所に位置する者には、第2の表示部52に表示された拡大画像が見え、その内容を容易に理解することができる。一方、マルチプルビュー方向表示装置30の近くにいる者には、第1の表示部50に表示されている画像が見える。この者は、マルチプルビュー方向表示装置30の近くにいるので、その画像が拡大されていなくても画像を明確に見ることができその内容を理解できる。したがって、マルチプルビュー方向表示装置30の近くにいる者も、マルチプルビュー方向表示装置30から遠方にいる者も、表示されている画像を明確に見ることができ、その内容を理解することができる。
【0042】
[変形例]
上記した実施の形態では、部分領域82は長方形領域であった。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されず、部分領域はどのような形状であっても良い。例えば、円、楕円、又は多角形等の形状でも良い。
【0043】
また、上記した実施の形態では、講演者100に1つの部分領域を選択させていた。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されず、講演者100に複数の部分領域を選択させても良い。その場合、複数の部分領域の中から、講演者100に1つの部分領域を選択させ、選択された部分領域の画像を第2の表示部52に表示すればよい。
【0044】
さらに、上記した実施の形態では、ドラッグの操作によって部分領域82を講演者100に選択させていた。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されない。長方形領域の場合、左上の座標と右下の座標が与えられれば、そのような領域は一意に定められる。講演者100に長方形領域の左上及び右下の座標をキーボードから1つずつ手動で入力させて、部分領域82を選択させても良い。
【0045】
また、講演者100に部分領域の面積の値を入力させて、部分領域を決定しても良い。例えば、講演者100が、長方形領域の左上の座標と、面積の値として6mとを入力したとする。その場合、入力された左上の座標から水平方向右側に2mで、かつ入力された左上の座標から垂直方向下側に3mの領域を部分領域として指定しても良い。また、長方形領域の縦と横との比率を講演者100に自由に決定させて、入力された左上の座標と面積とから部分領域を決定しても良い。
【0046】
さらに、上記した実施の形態では、図6に示すステップ160において、マウスカーソルの現在の座標が部分領域82に含まれる場合、矢印の形状でマウスカーソルを表示し、マウスカーソルの現在の座標が部分領域82に含まれる場合、円の形状でマウスカーソルを表示していた。こうすることにより、現在のマウス位置が、拡大領域内にあるか否かを第1の表示部を見ることができるものは容易に理解できる。講演をしている者にとっては、このように区別できるのは便利である。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されず、マウスカーソルの形状をそのように区別することは必須ではない。また、マウスカーソルの表示を区別する場合でも、マウスカーソルの表示形式は上に述べたものには限定されず、どのようなものでも良い。
【0047】
さらに、上記した実施の形態では、ステップ164において、マウスカーソルの現在の座標が部分領域82に含まれない場合、第1の表示部50にのみマウスカーソルを表示していた。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されない。マウスカーソルの現在の座標が部分領域に含まれない場合、部分領域の外部にマウスカーソルがはみ出さないように、強制的にマウスカーソルの座標を部分領域内に戻すようにしてもよい。
【0048】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態に係るマルチプルビュー方向表示装置30の外観構成を示す斜視図である。
【図2】マルチプルビュー方向表示装置30のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】表示部32に表示される画像の例を示す図である。
【図4】マルチプルビュー方向表示装置30の利用例を示す図である。
【図5】マルチプルビュー方向表示装置30の利用例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るマルチプルビュー方向表示装置30の機能を実現するコンピュータプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
30 マルチプルビュー方向表示装置
32 表示部
50 第1の表示部
52 第2の表示部
54 表示制御部
56 記憶部
58 操作部
60 表示画像データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の画像信号を受け、第1の方向から見ると前記第1の画像信号による画像が、前記第1の方向とは異なる第2の方向から見ると前記第2の画像信号による画像が、それぞれ見えるように画像を表示面に表示するマルチプルビュー方向表示部と、
前記第1の画像信号を受け、当該第1の画像信号による画像の部分画像の拡大画像を表すように前記第2の画像信号を生成し、前記マルチプルビュー方向表示部に与えるための表示制御手段とを含む、マルチプルビュー方向表示装置。
【請求項2】
前記マルチプルビュー方向表示装置はさらに、前記表示面の部分領域を利用者に決定させるための領域決定手段を含み、
前記表示制御手段は、
前記第1の画像信号を受け、前記第1の画像信号による画像を生成するための手段と、
前記領域決定手段において前記部分領域が決定されたことに応答して、前記第1の画像信号のうち、前記部分領域に表示される部分の画像を拡大して前記第2の画像信号を生成し、前記マルチプルビュー方向表示装置に与えるための手段とを含む、請求項1に記載のマルチプルビュー方向表示装置。
【請求項3】
前記領域決定手段は、
前記表示面上の第1の点と第2の点との、前記表示面上に定義された2次元座標系における座標の入力を前記利用者から受けるための入力手段と、
前記第1の点と前記第2の点とを対角線上の頂点とする長方形領域を前記部分領域として定めるための手段とを含む、請求項2に記載のマルチプルビュー方向表示装置。
【請求項4】
前記領域決定手段は、
数値と、前記表示面の1点の、前記表示面上に定義された2次元座標における座標との入力を前記利用者から受けるための入力手段と、
前記表示面上において、前記入力手段の受けた座標に対応する点を1つの頂点とする長方形領域であって、面積が、前記入力手段の受けた数値に等しい長方形領域を前記部分領域として定めるための手段とを含む、請求項2に記載のマルチプルビュー方向表示装置。
【請求項5】
前記領域決定手段は、
前記第1の表示部の表示面上の複数の領域を、前記利用者に入力させるための入力手段と、
前記複数の領域のいずれかを前記利用者に選択させて、選択された領域を前記部分領域として定めるための手段とを含む、請求項2に記載のマルチプルビュー方向表示装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記表示面上のカーソル位置にカーソル画像が表示されるように、前記第1の画像信号にカーソル画像信号を重畳して前記マルチプルビュー方向表示装置に与えるためのカーソル重畳手段と、
前記第1の画像信号を受け、当該第1の画像信号による画像の部分画像の拡大画像を表すように前記第2の画像信号を生成するための手段と、
前記カーソル画像が重畳された前記第1の画像信号を受け、当該第1の画像信号による画像の部分画像の拡大画像を表すように前記第2の画像信号を生成し、前記マルチプルビュー方向表示部に与えるための手段とを含む、請求項1に記載のマルチプルビュー方向表示装置。
【請求項7】
前記カーソル重畳手段は、
前記表示面上の前記カーソル位置が前記部分領域内か外かを判定するための判定手段と、
前記判定手段によって前記カーソル位置が前記部分領域外と判定されたことに応答して、前記カーソル位置に第1の表示形式でカーソル画像が表示されるように、第1のカーソル画像信号を前記第1の画像信号に重畳するための手段と、
前記判定手段によって前記カーソル位置が前記部分領域内と判定されたことに応答して、前記カーソル位置に第2の表示形式でカーソル画像が表示されるように、第2のカーソル画像信号を前記第1の画像信号に重畳し、当該第1の画像信号による画像の前記部分画像の拡大画像を表すように前記第2の画像信号を生成し、前記マルチプルビュー方向表示部に与えるための手段とを含む、請求項6に記載のマルチプルビュー方向表示装置。
【請求項8】
前記カーソル重畳手段は、
前記カーソル位置が前記部分領域内に位置するようにカーソル位置を規制するための手段と、
前記カーソル位置に第1の表示形式でカーソル画像が表示されるように、カーソル画像信号を前記第1の画像信号に重畳するための手段と、
前記第1の画像信号による画像の前記部分画像の拡大画像を表すように前記第2の画像信号を生成し、前記マルチプルビュー方向表示部に与えるための手段とを含む、請求項6に記載のマルチプルビュー方向表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−186727(P2009−186727A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26246(P2008−26246)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】