説明

マルチルーメン気管カテーテル

【課題】気管チューブのカフの上方に蓄積した汚染された分泌物の吸引を適切に行うことができる気管チューブを提供する。
【解決手段】マルチルーメン・気管チューブ(12)又はカテーテルが開示されている。前記チューブは、複数の吸引ルーメン(44)を有している。各吸引ルーメンは、吸引ポート(60)を有する。回転可能な吸引ポートカラー(38)が設けられている。前記吸引ポートカラーは、入口(64)及び出口(56)を有する。前記カラーは、各吸引ポートを覆い、複数の前記吸引ポートを選択的に塞ぎながら、残りのポートと前記出口との間の妨げられない連通を可能にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入院患者の機械的人工換気に使用され、前記患者の気管に挿入される気管チューブに関する。特に、本発明は、気管チューブのカフの上方に蓄積した汚染された分泌物を吸引及び/又は排出するための手段を有し、それによって前記汚染された分泌物が患者の肺に侵入する危険性を減少させるようにした気管チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
気管挿管は、気管チューブとして知られているチューブ状デバイスの、患者の気管への挿入を伴う。気管チューブは、気管を通って、第2胸部脊椎と第4胸部脊椎との間の位置の前方にある気管分岐部の上方の位置に至る。その後、気管チューブを介して、気体が患者の肺に導入される。
【0003】
気管挿管の主目的は、患者が病気によって通常の呼吸誘発性換気ができない場合、又は外科処置中に麻酔ガスを供給する場合に、患者の肺の機械的人工換気を行うことである。機械的人工換気を達成するための十分な気圧を生成するため、及び、チューブを通過した気体が漏れるのを防止するために、気管チューブの周りの通路を密封する必要がある。密封は、気管チューブの周囲に一体的に形成された可膨張性カフを使用して行われる。気管チューブが患者の気管に導入されたとき、可膨張性カフは、通常は、管状の気管内における気管分岐部の約3〜5センチメートル上方の位置に配置される。
【0004】
その後、可膨張性カフを、気管の壁と係合するように膨張させて、気管を密封する。このことにより、気管チューブを介して導入された気体がチューブの周りを単純に逆流するのを防止する。この種の処理は、慢性又は急性呼吸器疾患を有する患者に対して有効的であることが証明されているが、いくつかの合併症の一定のリスクがある。
【0005】
特に、気管挿管を受けている患者の多くは、挿管中に、喉頭蓋に気管チューブを通した後に汚染され蓄積された分泌物が気管及び肺に入ることによって引き起こされる可能性がある肺の感染に起因して肺炎を起す。喉頭蓋は、通常は、分泌物及び他の粒子状物質の進入を防止するために気管及び肺への入口を選択的に閉じるバルブとして機能する。しかし、気管チューブの挿管中は、喉頭蓋は開放位置に保たれる。そのため、通常は気管及び消化器系から離れる方向に導かれる分泌物は、その代わりに気管チューブの経路をたどり、気管チューブの可膨張性カフの上方に溜まる。
【0006】
前記感染性分泌物が肺に到達する危険が最も高いのは、機械的人工換気を停止したときである。特に、気管挿管の必要性がなくなり、患者から気管チューブを取り出すために気管チューブの可膨張性カフが収縮したときである。このとき、可膨張性カフの上方に溜まった感染性分泌物は自由になり、肺の中へ自由に流入することができる。その結果、気管支炎又は肺炎が急速に発症する。また、気管チューブカフを通り越した分泌物を吸い込むことによって、挿管中に感染性分泌物が肺へ到達するという危険性もある。
【0007】
これらの危険を解決するために、従来技術では、1つのルーメンを有する吸引チューブを、気管チューブに組み合わせることが知られている。吸引チューブは気管チューブに適切な方法で結合され、吸引チューブの端部は可膨張性カフの上方の位置に配置される。吸引チューブは、気管内における可膨張性カフの上方に溜まった分泌物を吸引又は排出する手段を提供する。しかし、このような従来技術のデバイスには、吸引チューブは1つのルーメンを使用しているため、気管粘膜に圧力を加える直接的な吸引がしばしば起こり、その結果、粘膜を損傷させるという欠点があった。
【0008】
米国特許第4,840,173号(Porter III)は、1つのルーメンを有する吸引チューブが一体化された気管内チューブを開示している。特に、この特許は、吸引チューブが換気チューブの外側に積層され、吸引チューブが可膨張性カフのすぐ上方の位置に配置されるように構成されたデバイスを開示している。吸引チューブは、可膨張性カフの上方に溜まった分泌物を排出するのに使用される複数の開口を有する。また、可膨張性カフは、当該可膨張性カフの他の部分よりも可撓性が低い部分を有している。前記部分は、可膨張性カフの可撓性材料が前記吸引チューブの開口から吸い上げられるのを防止するためのものであり、吸引チューブの端部に直接隣接している。この特許に開示されている気管内チューブは、1つのルーメンを有する吸引チューブは気管の粘膜に対して吸引力を発生させて粘膜を損傷させるという、上述した欠点を有している。さらに、この特許に開示されているデバイスは、比較的複雑なデザインであり、複雑な加工を必要とするため、高価な製品となる。
【0009】
米国特許第5,143,062号(Peckham)は、空気を循環させる2つのルーメンを有する気管内チューブを開示している。前記気管内チューブは、前記2つのルーメンの遠位端と連通され、可膨張性カフの近位に配置された吸引口を介して、間接的な優しい吸引を生成する。しかし、この設計では、分泌物の吸引に必要とされる適切な吸引を提供することができない。また、この設計では、閉塞しやすい。
【0010】
上記の特許文献に開示されている従来技術は、吸引力は粘膜に損傷を与えるほど強くはないが、可膨張性カフの上方に溜まった分泌物の吸引を、目的を達成するのに十分な形で適切に行うことができない。さらに、上記の特許文献並びに他の従来の気管内及び気管チューブは、国によって定められた床擦れ防止規格に基づいて患者の向きを変えた場合でも、分泌物を吸引する能力に欠いている。したがって、従来の気管内及び気管チューブは、患者が向きを変えた場合、又は、吸引ルーメンが分泌物によって閉塞された場合に、代わりとなる吸引能力を提供することができない。
【0011】
背景技術の欄で説明した従来のデバイスには、前記構造特性を有する気管チューブ及び吸引カテーテルシステムが開示されていないので、そのようなデバイスの必要性は明らかである。本発明は、上記課題を解決すべく、マルチルーメン気管チューブ、及び、前記気管チューブ内の任意の数のルーメンとの直接的吸引を外科チームに対して可能にするデバイスを備える吸引カテーテルシステムを提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、気管チューブを改良する。ある実施形態では、第1の壁、及び前記第1の壁と同心の第2の壁を有するチューブを提供する。前記第1の壁は、その第1の面に隣接する換気ルーメンを取り囲んで画定する。前記第1の壁の第2の面は、複数の隔壁で、前記第2の壁の第1の面に取り付けられる。これにより、前記第1の壁の前記第2の面、前記第2の壁の前記第1の面、及び隣接する隔壁の表面によって、複数の吸引ルーメンを画定することができる。前記各吸引ルーメンは、前記第2の壁の一部を貫通して形成された吸引ポートを有する。また、入口及び出口を有する吸引ポートカラーが設けられる。前記カラーは、前記チューブを取り囲んで前記吸引ポートを覆う。前記カラーは、前記入口と少なくとも1つの前記吸引ポートとの間での流体連通を可能にしながら他の吸引ポートを塞ぐように、選択的に位置させることができる。前記出口は、吸引源に接続するように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記吸引ポートカラーは、前記チューブの周りに回転することができる。他の実施形態では、ガイドが設けられる。前記ガイドは、前記チューブに結合され、前記各吸引ポート上に配置される。前記ガイドは、前記各吸引ポートと整列される開口部を有し、前記吸引ポートカラーは、前記ガイドに回転可能に取り付けられる。前記カラーは、内径、外径、及び前記外径の接線面に対して実質的に垂直に取り付けられたチューブ状の導管とを有する円筒状リングとして構成されている。前記カラーへの前記入口は、前記導管の一方の端部に、前記内径と一致して設けられる。前記出口は、前記導管の他方の端部に設けられる。前記入口は、任意のある時点において、1つの吸引ポートのみと、又は複数の吸引ポートと整列可能である。あるいは、前記入口は、任意のある時点において、吸引ポートと整列可能ではない。
【0014】
他の実施形態では、各々が吸引ポートを有する複数の吸引ルーメンと、出口を有する吸引ポートカラーとを備えた気管チューブが提供される。前記吸引ポートカラーは、出口と入口を有する。前記カラーは、各吸引ポートを覆い、前記カラーの一部は、前記複数のポートを選択的に塞ぐながら、残りのポートと前記出口との間の妨げられない連通を可能にする。前記チューブは、換気ルーメン並びに吸引ルーメンを含み、前記吸引ルーメンは、前記換気ルーメンの外径の周りに半径方向に配列される。前記各吸引ルーメンは、入口及び出口を含み、前記出口は、前記吸引ポートの少なくとも1つに対応する。前記チューブは、前記チューブの遠位端を取り囲んで密封する、かつ、患者の気管を密閉するように構成された可膨張性カフを備える。前記各吸引ルーメンは、前記可膨張性カフの近位に位置し、前記可膨張性カフの遠位に位置する吸引ポートの1つに通じる入口ポートを有する。
【0015】
本発明の他の目的、利点及び用途は、図面を参照しつつ行う、本発明の好適な実施形態に対する以下の説明から明確になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明の本質の説明のみを目的としたものであり、本発明を限定するものではない。したがって、当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱しない範囲内で、開示された実施形態に種々な変更が可能であろう。
【0017】
図1には、患者10の口14及び上気道系の気管16の中を通って延びる気管チューブ12が描かれている。気管チューブ12の遠位端18は、気管16における、右肺22に通じる右主気管支24と左肺26に通じる左主気管支28との第1分岐点20のかなり上方に位置する。図1には、左主気管支28から分れ左肺26に通じる典型的な副気管支が、説明目的のために示されている。
【0018】
気管チューブ12の遠位端18には、バルーン30が設けられている。バルーン30は、気管チューブ12の近位端36で標準的な気管チューブ・アダプタ34に結合されたコネクタ32を介しての患者10の機械的人工換気を容易にするために、膨張時には気管16の壁と係合する。患者10用の換気装置からの空気がコネクタ32の一方の脚片(leg)を通って気管チューブ12へ入り、前記空気が他方の脚片を通って前記換気装置へ戻ることを、当業者なら理解できるであろう。
【0019】
図2は、気管チューブ12の詳細を示している。この図2では、チューブ12が真っ直ぐな状態を示している。チューブ12には、カラー38が取り付けられている。カラー38は、カニューレ(チューブ12)の周りを回転し、ユーザー又は医療従事者が機能性を選択することを可能にする(詳細については後述する)。チューブ12に沿った所望の位置に、1つ又は複数の入口ポート40が設けられる。ある実施形態では、入口ポート40は、バルーン30の上側、すなわち、バルーン30と近位端36との間に設けられる。他の実施形態では、入口ポート40は、バルーン30の下側、すなわち、バルーン30と遠位端18との間に設けられる。ある実施形態では、入口ポート40は、バルーン30の両側に設けられる。
【0020】
図3に示すように、チューブ12は、チューブ12の長さに沿って少なくとも部分的に延びる複数の内部ルーメンを有するカニューレとして構成されている。図3の例では、チューブ12の中央に、換気ルーメンが設けられている。換気ルーメン42の周りには、少なくとも1つの吸引ルーメンを含む複数のルーメンが設けられている。例えば図3のような多くの実施形態は、換気ルーメン42の周りに半径方向に配列された複数の吸引ルーメン44を備える。第1の壁46が、換気ルーメン42を吸引ルーメン44から隔てている。この実施形態では、第2の壁48が、チューブ12の外壁を形成している。複数の隔壁50が、各吸引ルーメン44を互いに隔てるために設けられている。前記壁及び隔壁のそれぞれは、チューブ12の作成中に、チューブ12を構成する材料を、適切な金型を使用して押し出し成形することによって作成することができる。このように、1つの構成材に複数のルーメンを形成することは、効果的であると考えられる。いずれにしても、気管チューブ内にルーメンを設けるプロセスは、当業者なら理解できるであろう。
【0021】
図3に示すように、例えば膨張ルーメン52及びイリゲーション・ルーメン(irrigation lumen)54などのさらなるルーメンを設けることができる。膨張ルーメン52は、バルーン30を、バルーン30を膨張させることが可能なある手段と接続する。したがって、気管チューブ12を十分に密封された状態に保ちつつ、気管16内に望ましく配置することができる。イリゲーション・ルーメン54は、医療従事者が、患者10へ洗浄液の導入又は投薬をできるように設けられる。ある実施形態では、1つ又はそれ以上の吸引ルーメン44が、イリゲーション・ルーメンとして代替的に使用される。カラー38には、吸引源(図示せず)に通じる出口56が設けられる。また、ガイド58が設けられ、カラー38はガイド58の内側で回転可能である。
【0022】
図4は、一実施形態に係るカラー38の内部構造を示す部分切り取り図である。図4には、複数の吸引ルーメン44が、換気ルーメン42の周りに半径方向に配列されていることが見られる。この実施形態では、3つの吸引ルーメン44が、膨張ルーメン52が形成された領域を除いてカニューレ全体を実質的に取り囲んでいる。各吸引ルーメン44は、チューブの壁又は第2の壁48を貫通して延びる吸引ポート60を有している。カラー38は、出口56と入口64とを接続する通路又は導管62を有している。カラー38をチューブ12の周りに回転させることにより、ユーザー又は医療従事者は、カラー38の入口64を、吸引ルーメン44の特定の吸引ポート60と選択的に整列させることができる。当然のことながら、各吸引ルーメン44には、吸引ポート60と同様の、上記したような入口ポート40が設けられている。カラー38を所望の位置へ回転させることにより、ユーザー又は医療従事者に、患者10から流体を吸引する選択可能な手段が提供される。
【0023】
カラー38の入口64は、2つ以上の吸引ルーメン44と同時に接続できるように構成されている。この構成を可能にする方法の1つは、複数のルーメン44に隣接する吸引ポート60を、前記ルーメン44間の隔壁50の近傍に設けることである。或いは、隣接する吸引ポート60が交差する所に、隔壁50を設けないことである。いずれにしても、入口64を2つ以上の吸引ルーメン44と同時に接続させると、2つ以上のルーメンの吸引を行うことができる。さらに、カラー38は、全ての吸引ポート60を塞ぐことができる。このことにより、全ての吸引能力を効率的に除去することができる。
【0024】
図5は、一実施形態に係るカラー38の内部構造を詳しく説明するための図であり、図4に示したカラー38の垂直な部分切り取り図である。図5には、チューブ12、換気ルーメン42、吸引ルーメン44が描かれている。吸引ルーメン44は、第1の壁46によって換気ルーメン42から隔てられており、その反対側は第2の壁48と隣接している。隔壁50の1つが、壁として描かれている。吸引ポート60が、第2の壁48を貫通する通路を形成していることが明確に見られる。図5では、カラー38の入口64は、ルーメン44の吸引ポートと整列していない。そのため、流動又は吸引は行われていない。管状部材(カラー38)の適切な回転によって、吸引ポート60への通路又は導管62が形成されて吸引を可能にすることは容易に想像できるであろう。
【0025】
図5には、ガイド58及びカラー38の詳細を見ることができる。ある実施形態では、ガイド58のチューブ12に対する回転運動を防止するために、ガイド58はチューブ12に固定される。カラー38がガイド58に対して回転可能であることを確実にするために、適切な手段が取られるべきである。例えば、前記両部材の間には、フランジ状の接触部分66が設けられる。前記接触部分66は、吸引時に上気道系内への空気の漏出が起こらないように、又は、上気道系から周囲への流体の漏出が起こらないように、流体密封されるべきである。当業者であれば、これらの領域に適切な流体密封を設けることを、容易に理解及び実施できるであろう。
【0026】
使用中は、カラー38は、所望の吸引ルーメン44の位置へ回転される。例えば図3に描いたような表示68が設けられる。表示によって、ユーザーが、通路又は導管62を、特定の吸引ルーメンと適切に整列させることができる。このように、各吸引ルーメンに対応する表示が設けられる。代わりに又は加えて、カラー38は、各吸引位置並びに非吸引位置で、段階的にクリック、ロック又はスナップするように作成することができる。このことは、当該技術分野で周知の任意の手段によって達成し得る。前記図面から見て分るように、各吸引ルーメン44は双方向に使用することができる。すなわち、各吸引ルーメン44は患者内に流体を導入するのに使用することもできる。前記流体としては、薬剤、ルーメン又は患者の気管を洗浄する洗浄液、又は他の流体がある。
【0027】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」という用語は、包含的又は無制限を意味するものであり、追加的な未記載の構成要素、組成要素、又は方法ステップを排除するものではない。
【0028】
以上、いくつかの好ましい実施形態に関してそれらの特徴を説明したが、本発明はそのような実施形態により限定されない。むしろ、本発明の内容は、本発明の概念及び添付の特許請求の範囲に含まれる限り、あらゆる変形、変更並びに均等物を含むものであることを了解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】患者内に挿入された、本発明の一実施形態に係るマルチルーメン・カテーテルを示す概略図である。
【図2】図1に示したマルチルーメン・カテーテルの等角図である(真っ直ぐにした状態を示す)。
【図3】図1に示したマルチルーメン・カテーテルの切断図であり、前記カテーテル内の通路が見えるように、前記カテーテルの軸中心線から見た図である。
【図4】図1に示したマルチルーメン・カテーテルの切断図であり、ガイド及びカラーの一実施形態が見えるように、前記カテーテルの半径中心線から見た図である。
【図5】図1に示したマルチルーメン・カテーテルの切断図であり、ガイド及びカラーが見えるように、前記カテーテルの半径中心線から見た図である(図4に示したカテーテルを垂直方向から見た図である)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管チューブであって、
チューブ及び吸引ポートカラーを備え、
前記チューブは、第1の壁、及び前記第1の壁と同心の第2の壁を有し、
前記第1の壁は、その第1の面に隣接する換気ルーメンを取り囲んで画定し、
前記第1の壁の第2の面は、複数の隔壁で、前記第2の壁の第1の面に取り付けられ、
前記第1の壁の前記第2の面、前記第2の壁の前記第1の面、及び隣接する隔壁の表面によって、複数の吸引ルーメンが画定され、
前記各吸引ルーメンは、前記第2の壁の一部を貫通して形成された吸引ポートを有し、
前記吸引ポートカラーは、入口及び出口を有し、
前記カラーは、前記チューブを取り囲んで前記吸引ポートを覆い、
前記カラーは、前記入口と少なくとも1つの前記吸引ポートとの間での流体連通を可能にしながら他の吸引ポートを塞ぐように、選択的に位置させることができ、
前記出口は、吸引源に接続するように構成された
ことを特徴とする気管チューブ。
【請求項2】
請求項1に記載の気管チューブであって、
前記カラーは、前記チューブの周りに回転することができることを特徴とする気管チューブ。
【請求項3】
請求項1に記載の気管チューブであって、
膨張ルーメン及びイリゲーション・ルーメンのいずれかを含むことを特徴とする気管チューブ。
【請求項4】
請求項1に記載の気管チューブであって、
前記吸引ルーメンは、前記第1の壁の前記第2の面の周りに半径方向に配列されることを特徴とする気管チューブ。
【請求項5】
請求項1に記載の気管チューブであって、
前記チューブに結合され、前記各吸引ポート上に配置されたガイドを含み、
前記ガイドは、前記各吸引ポートと整列される開口部を有し、
前記吸引ポートカラーは、前記ガイドに回転可能に取り付けられることを特徴とする気管チューブ。
【請求項6】
請求項1に記載の気管チューブであって、
前記カラーは、内径、外径、及び前記外径の接線面に対して実質的に垂直に取り付けられたチューブ状の導管を有する円筒状リングを含み、
前記入口は、前記導管の一方の端部に前記内径と一致して設けられ、
前記出口は、前記導管の他方の端部に設けられたことを特徴とする気管チューブ。
【請求項7】
請求項1に記載の気管チューブであって、
前記入口は、どの時点でも、1つの吸引ポートのみと整列可能であることを特徴とする気管チューブ。
【請求項8】
請求項1に記載の気管チューブであって、
各吸引ポートは、複数の吸引ルーメンへの接続を提供することを特徴とする気管チューブ。
【請求項9】
請求項1に記載の気管チューブであって、
前記カラーは、当該カラーと前記チューブとの間での流体密封を提供し、選択された吸引ポートのみを介しての流体連通を可能にすることを特徴とする気管チューブ。
【請求項10】
請求項1に記載の気管チューブであって、
前記チューブの遠位端を取り囲んで密封する、患者の気管を密閉するように構成された可膨張性カフを備え、
前記各吸引ルーメンは、前記可膨張性カフの近位に位置し、前記可膨張性カフの遠位に位置する吸引ポートに通じる入口ポートを有することを特徴とする気管チューブ。
【請求項11】
気管チューブであって、
各々が吸引ポートを有する複数の吸引ルーメンと、
出口を有する吸引ポートカラーとを備え、
前記カラーは、各吸引ポートを覆い、
前記カラーの一部は、前記複数のポートを選択的に塞ぎながら、残りのポートと前記出口との間の妨げられない連通を可能にすることを特徴とする気管チューブ。
【請求項12】
請求項11に記載の気管チューブであって、
換気ルーメンを含み、
前記吸引ルーメンは、前記換気ルーメンの外径の周りに半径方向に配列されることを特徴とする気管チューブ。
【請求項13】
請求項11に記載の気管チューブであって、
前記各吸引ルーメンは、入口及び出口を有し、
前記出口は、前記吸引ポートの少なくとも1つに対応することを特徴とする気管チューブ。
【請求項14】
請求項11に記載の気管チューブであって、
前記チューブは、同軸方向に配向された複数のルーメンを有するカニューレを含み、
内側のルーメンは、換気ルーメンを含み、
外側のルーメンは、隔壁でさらに仕切られ、前記内側ルーメンの周りに同軸方向に配向された複数のルーメンを含むことを特徴とする気管チューブ。
【請求項15】
請求項11に記載の気管チューブであって、
前記チューブは、その内側に前記吸引ルーメンが設けられたカニューレを含み、
前記各吸引ルーメンは、隔壁によって互いに隔てられていることを特徴とする気管チューブ。
【請求項16】
請求項11に記載の気管チューブであって、
前記吸引ポートの少なくとも1つは、前記吸引ポートが2つ以上の吸引ルーメンと連通するように、前記隔壁の1つと交差することを特徴とする気管チューブ。
【請求項17】
請求項15に記載の気管チューブであって、
前記カラーの内面は、前記カニューレの外面に、液体密封が可能なように回転可能に取り付けられ、
前記カラーの内部には導管が形成され、
前記導管は、前記カラーの内面に形成された入口、出口、及び、前記入口と出口との間に形成された流体流路を有することを特徴とする気管チューブ。
【請求項18】
請求項15に記載の気管チューブであって、
前記カニューレの外面に取り付けられたガイドを含み、
前記ガイドは、前記吸引ポートと整列される開口部を有し、
前記カラーの内面は、前記ガイドの外面に回転可能に取り付けられ、
前記カラーが前記ガイドの周りを回転することにより、前記ポートのいくつかを選択的に塞ぐことを特徴とすると気管チューブ。
【請求項19】
請求項15に記載の気管チューブであって、
前記カニューレの遠位端を取り囲んで密封する、かつ、患者の気管を密閉するように構成された可膨張性カフを備え、
各吸引ルーメンは、前記可膨張性カフの近位に位置し、前記可膨張性カフの遠位に位置する吸引ポートの1つに通じる入口ポートを有することを特徴とする気管チューブ。
【請求項20】
請求項15に記載の気管チューブであって、
前記カラーは、全ての吸引ポートを選択的にかつ同時に塞ぐことを特徴とする気管チューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−504241(P2009−504241A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526000(P2008−526000)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/022825
【国際公開番号】WO2007/018729
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】