説明

マルチ装着ヘッド

【課題】基板への電気的な構成素子の高精度のかつ迅速な装着が可能となるようなマルチ装着ヘッドを提供する。
【解決手段】構成素子を基板に装着するためのマルチ装着ヘッドであって、支持体200が設けられており、該支持体200が、回転軸線Dを中心として回転可能に配置されており、該回転軸線Dに対して所定の角度を成す搭載方向に運動可能な複数の受取りツール210が設けられており、該受取りツール210が、支持体200に配置されており、受取りツール210によって構成素子300が受け取られるようになっている形式のものにおいて、各受取りツール210が固有の回転駆動装置を有しており、該回転駆動装置によって、受け取られた構成素子300が、それぞれ当該マルチ装着ヘッドの回転軸線Dに対して所定の角度を成して配置されたツール軸線215を中心として回転させられるように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成素子を基板に装着するためのマルチ装着ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
このような形式の装着ヘッドは、特にプリント配線板に構成素子を装着するための装置に使用される。この装置は、構成素子のための複数の受取りツールを備えた回転可能な少なくとも1つのマルチ装着ヘッドを有している。装着するための装置の主な使用はSMD技術に定着している。
【0003】
電気的な構成素子のための自動装着装置の分野には、いわゆる「ピック・アンド・プレース」法が十分に普及している。この方法は、構成素子が個々に受け取られ、センタリングされ、位置決めされ、プリント配線板もしくは基板に個々に搭載されることを意味している。このような過程は個々の各構成素子に対して実施される。
【0004】
「ピック・アンド・プレース」法のためのマルチ装着ヘッドは、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第19654172号明細書ならびにヨーロッパ特許出願公開第315799号明細書に基づき公知である。上述した両刊行物には、それぞれ構成素子のための複数の受取りツールを備えた回転可能な少なくとも1つのマルチ装着ヘッドが開示されている。「ピック・アンド・プレース」法により必要となる過程、たとえば受取り、センタリングおよび降下を実施することができるようにするためには、公知のマルチ装着ヘッドの各受取りツールが、それぞれ搭載方向にかつ搭載方向と逆方向に運動可能に配置されていて、回転軸線を中心として回転可能に支承されている。
【0005】
装着したい電気的な構成素子の正確な位置決めのためには、受取りツールに対する構成素子の正確な角度調整が必要となる。なぜならば、さもないと、誤装着が行われるからである。
【0006】
このためには、構成素子を受取りツールで受け取った後、装着したい構成素子が、受取りツールにおける設定された角度位置に位置するまで、受取りツールが外部の装置によって回転させられる。このためには、公知のマルチ装着ヘッドに回転装置が必要となる。この回転装置は外部から受取りツールに接続され、回転後に再び分離される。
【0007】
さらに、公知のマルチ装着ヘッドでは、装着したい構成素子を受取りツールに保持するために、しばしば真空が使用される。このために必要となる真空は装着ヘッドの外部で発生させられ、負圧管路を介して受取りツールの先端部にまで案内される。このためには、高い真空出力が必要となる。なぜならば、管路が極めて長いからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19654172号明細書
【特許文献2】ヨーロッパ特許出願公開第315799号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の課題は、基板への電気的な構成素子の高精度のかつ迅速な装着が可能となるようなマルチ装着ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、本発明によれば、請求項1記載の特徴を備えたマルチ装着ヘッドによって解決される。本発明の有利な構成は従属請求項に記載してある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、構成素子を基板に装着するためのマルチ装着ヘッドであって、支持体が設けられており、該支持体が、回転軸線を中心として回転可能に配置されており、該回転軸線に対して所定の角度を成す搭載方向に運動可能な複数の受取りツールが設けられており、該受取りツールが、支持体に配置されており、受取りツールによって、構成素子が受け取られるようになっている形式のものにおいて、各受取りツールが、1つまたはそれ以上のアクティブな駆動装置および/またはセンサを備えている。
【0012】
これによって、外部のアクチュエータと無関係に装着することが可能となる。これによって、装着精度が著しく改善される。なぜならば、外部のアクチュエータの接続もしくは分離が不要となるからである。
【0013】
特に各受取りツールは、アクティブな駆動装置としての固有の回転駆動装置を備えている。この回転駆動装置によって、受け取られた構成素子を、それぞれ支持体の回転軸線に対して所定の角度を成して配置されたツール軸線を中心として回転させることができる。回転駆動装置は、たとえば1つの構成ユニットにセンサと一緒に設けることができる。このセンサによって、回転駆動装置の回転運動ひいては装着したい構成素子の回転運動が検出可能となる。これによって、装着したい構成素子を回転させるための閉ループが提供されている。接続過程もしくは分離過程が不要となるので、これに相俟った、装着したい構成素子の回転運動の角度誤差も生ぜしめられない。さらに、外部のアクチュエータの接続もしくは分離のための時間を節約することができる。
【0014】
本発明によれば、各受取りツールが、構成素子を受取りツールに保持するためのアクティブな駆動装置としての真空発生器を有していてよい。この真空発生器は、特にベンチュリ管として形成されている。この場合、支持体は中空軸を備えている。この中空軸は回転軸線に対して同軸的に延びている。中空軸には受取りツールが取り付けられている。支持体の中空軸を通して、ベンチュリ管を圧縮空気で負荷することができ、これによって、装着したい構成素子を受取りツールで受け取りかつ保持するために必要となる真空を発生させることができる。このことは、真空発生器と受取りツールとの間に極めて短い真空管路しか必要とならないという利点を提供する。これによって、真空損失が回避され、各受取りツールにおけるコンスタントな真空レベルが可能となる。さらに、各受取りツールへのそれぞれ別個の真空供給は、1つの受取りツールからの1つの構成素子の落下時に残りの受取りツールにおける真空レベルが変化しないという利点を提供する。
【0015】
さらに、全ての受取りツールへの本来の圧縮空気供給によって、周辺空気圧への適合を実施することができる。このためには、受取りツールの真空発生器への圧縮空気供給部が比例弁を備えている。この比例弁によって、周辺圧に関連して供給圧が調整可能となる。周辺空気圧が高ければ高いほど、供給空気圧はますます少なく選択される。この結果、特に海抜上で空気消費量が著しく減少する。さらに、装着確実性が、受取りツールにおける不変の空気圧ひいては不変の真空レベルによって改善される。
【0016】
さらに、本発明によるマルチ装着ヘッドは噴射空気・真空装置を有していてよい。この噴射空気・真空装置によって、支持体の受取り・装着位置に位置する受取りツールに構成素子の受取り時に真空を供給しかつ構成素子の装着時に噴射空気衝撃を供給することが可能となる。これによって、一方では、構成素子を受け取るために適した真空レベルを受取りツールに加えることが可能となり、他方では、噴射空気衝撃による装着したい構成素子の加速させられた装着が可能となる。
【0017】
噴射空気・真空装置は、たとえばベンチュリ管を有していてよい。このベンチュリ管の廃空気側の出口は弁によって閉鎖可能である。ベンチュリ管の廃空気側の短時間の閉鎖時には、ベンチュリ管は真空を発生させず、噴射空気衝撃が伝達される。さらに、この場合、圧力センサが設けられていてよい。この圧力センサによって、ベンチュリ管の廃空気側の調整された閉鎖が可能となり、これによって、任意の圧力レベルを生ぜしめることができる。
【0018】
受取りツールは、たとえば中空軸として形成されたツール軸を有している。このツール軸はツール軸線に対して同軸的に延びている。中空軸を通して、受取りツールに設けられた真空発生器および/または噴射空気・真空装置によって受取りツールに加えられた真空もしくは噴射空気衝撃をツール軸の遠位の端領域に案内することができる。そこには、たとえば真空ピペットが設けられている。この真空ピペットには、装着したい構成素子が吸着されている。
【0019】
支持体はマルチ装着ヘッドに回転可能に取り付けられているので、回転対称的なエネルギ・データ伝達装置が必要となる。このエネルギ・データ伝達装置によって、アクティブな駆動装置および/またはセンサにエネルギを供給することができ、センサのデータを伝達することができる。この場合、第1の伝達部材はマルチ装着ヘッドのハウジングに固く取り付けられており、第2の伝達部材は、回転可能な支持体に固く取り付けられている。たとえばエネルギ・データ伝達装置は少なくとも1つのスリップリングを備えている。このスリップリングを介してエネルギならびにデータを伝達することができる。しかし、それぞれ一対の電気的な、たとえば誘導式の伝達器と一対の容量式の伝達器とを設けることも可能である。両伝達器はそれぞれマルチ装着ヘッドの回転軸線を中心として回転対称的に配置されている。両伝達器によって、エネルギおよびデータを非接触式に伝達することができる。このことは、摩耗なしのエネルギ・データ伝達の利点を提供する。
【0020】
この場合、容量式の伝達器は、第1の伝達部材にかつ第2の伝達部材に、特にそれぞれプレート状のアンテナとして形成されている。電磁式の伝達器は、第1の伝達部材に、支持体に向かって開放したU字形の横断面を備えた、環状に形成された磁気的に伝導性のボディを有していて、第2の伝達部材に、ほぼ方形の横断面を備えた、環状に形成された磁気的に伝導性のボディを有している。このボディは、エネルギ伝達のために使用される磁界の方向が、データ伝達のために使用される電界の方向に対してほぼ垂直であるように第1の伝達部材の開口内に配置されている。このことは、コンパクトに形成された非接触式のエネルギ・データ伝達の利点を提供する。このエネルギ・データ伝達時には、主として、雑音電界は生ぜしめられない。
【0021】
マルチ装着ヘッドのハウジングと、支持体とには、それぞれ被研削板が設けられていてよく、これによって、受取りツールの全ての位置もしくは受取りツールの選択された位置での圧縮空気および真空の回転対称的な伝達が可能となる。受取りツールの選択された1つの位置は、たとえば受取り・装着位置である。
【0022】
支持体には、少なくとも1つの制御装置が設けられていてよい。この制御装置によって、アクティブな駆動装置もしくはセンサを制御することができる。このためには、信号プロセッサが、それぞれ1つまたはそれ以上のアクティブな駆動装置もしくはセンサのために使用され得る。
【0023】
これによって、制御データもしくはセンサデータの中央以外での処理が可能となる。これによって、回転対称的なエネルギ・データ伝達装置を介して伝達したいデータ量が減少させられる。したがって、マルチ装着ヘッドの速度を増加させることができる。
【0024】
搭載方向での受取りツールの運動を可能にするためには、リニア駆動装置として、たとえば受取り・装着位置に位置する各受取りツールに係合するリニアモータが設けられている。したがって、受取り・装着位置に位置する受取りツールをリニアモータによって搭載方向に運動させることができる。
【0025】
装着したい構成素子を搭載方向に運動させるためのリニアモータの使用は、より正確な位置決め、運動させられる量の減少ならびにより短い走行時間の利点を提供する。
【0026】
マルチ装着ヘッドには、付加的に戻し手段が設けられていてよい。この戻し手段によって、リニアモータのスライダにばね力によって重力に抗して予荷重もしくはプリロードがかけられている。この場合、装着ヘッドの運転中には、このプリロードが空気圧によって補償されている。これによって、エネルギ供給の不足時にリニアモータのスライダがコントロールされずに滑落しないことが確保されている。これによって、装着平面の上方でのマルチ装着ヘッドの走行時に、マルチ装着ヘッドの損傷を回避することができる。
【0027】
たとえばマルチ装着ヘッドの回転軸線は装着平面に対して傾けられて配置されており、これによって、装着位置に位置する受取りツールは装着平面に対して垂直に配置されている。マルチ装着ヘッドへの受取りツールの円錐形の配置によって、構成素子カメラを装着位置と反対の側にかつ装着位置に向かい合わせて配置し、これによって、構成素子カメラの光学系の一部領域を、装着位置に位置する受取りツールで受け取られた構成素子の下方に位置決めすることができることが可能となる。これによって、受取りツールにおける受け取られた構成素子の正確な位置だけでなく、構成素子の高さも検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明によるマルチ装着ヘッドの有利な構成の側方の断面図である。
【図2】本発明によるマルチ装着ヘッドの有利な構成の部分的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0030】
図1および図2から明らかであるように、本発明によるマルチ装着ヘッドの有利な構成は、駆動軸110を備えた回転駆動装置100を有している。駆動軸110は、有利な構成によれば、支持体200の回転軸線Dに沿って延びている。駆動軸110への支持体200の接続領域には、一緒に少なくとも一対の被研削板150,250が設けられている。この場合、被研削板150は回転駆動装置100のハウジングに結合されている。被研削板250は、支持体200の、回転駆動装置100に面した側に取り付けられており、これによって、駆動軸110を介して供給された圧縮空気を1つまたはそれ以上の受取りツール210に引き続き案内することができる。駆動軸110を通して圧縮空気を受取りツール210に引き続き案内することができるようにするためには、駆動軸110が、図1から明らかであるように、中空軸として形成されている。
【0031】
さらに、支持体側の被研削板250の上側には開口が設けられている。この開口を通して圧縮空気を支持体200内で各受取りツールのために別個に案内することができ、これによって、真空を各受取りツール210のために真空発生器によって発生させることができる。このためには、支持体が各受取りツール210のためにベンチュリノズル220を有している。このベンチュリノズル220には、駆動軸110と被研削板150,250とを介して圧縮空気が供給され、これによって、真空が発生させられ、この真空を各ツール軸215に引き続き案内することができる。
【0032】
支持体200の、回転駆動装置100と反対の側の端領域には、キャップ235が設けられている。このキャップ235によって、複数のベンチュリノズル220の廃空気が迂回させられ、冷却のために受取りツール210に沿って案内される。これによって、受取りツール210に設けられた回転駆動装置を冷却するための別個の冷却装置を省略することができる。
【0033】
支持体はほぼ回転対称的に形成されていて、円錐台形のボディを有している。この場合、円錐台形の周面には、受取りツール210が均一に分配されて設けられている。それぞれ1つのリニアガイドによって、各受取りツール210が支持体200の周面に対して接線方向で搭載方向に線形に運動可能に配置されている。受取りツール210はそれぞれ連行体エレメント212を備えている。この連行体エレメント212は、それぞれ回転軸線Dに対して同心的に配置された軌道輪120に支持されている。
【0034】
この軌道輪120はマルチ装着ヘッドのハウジングに固く取り付けられており、これによって、軌道輪120は受取りツール210の環状のガイドのために働くことができる。受取り・装着位置Aでは、軌道輪120が連行体エレメント212の幅に対して遮断されている。これによって、マルチ装着ヘッドのハウジングに設けられた、スライダ520に固く取り付けられた連行体510を備えたリニア駆動装置が連行体エレメント212に係合することができ、受取り・装着位置Aに位置する相応の受取りツールを線形に搭載方向に運動させ、これによって、構成素子300が供給装置から取り出され、かつ/または構成素子300が基板に位置決めされる。この構成素子300は、たとえば真空ピペット260に真空によって吸着されている。この真空ピペット260は受取りツール210にそれぞれ遠位の端領域で固定されている。
【0035】
各受取りツール210は、中空軸として形成されたツール軸215を有している。このツール軸215には真空ピペット260が取り付けられている。この場合、この真空ピペット260はそれぞれツール軸215のツール軸線の方向でばね弾性的にかつ真空密に受取りツール210に配置されている。さらに、各受取りツールは、ツール軸215に結合された固有の電気的な回転駆動装置228と、この回転駆動装置228のための角度センサ217とを有している。したがって、この角度センサ217は回転駆動装置228および同じく支持体200に取り付けられた評価電子装置230と一緒に、真空ピペット260ひいては構成素子300の回転運動を検出するための閉ループを形成している。
【0036】
本発明の有利な構成によるマルチ装着ヘッドのハウジングと支持体200との間でエネルギおよびデータを伝達するために、一方では、1つまたは複数のスリップリングを回転駆動装置100と支持体200との間に設けることができる(図示せず)。
【0037】
しかし、回転駆動装置100と支持体200との間の非接触式のエネルギ・データ伝達手段を設けることも可能である。このためには、図1から明らかであるように、回転駆動装置100に、U字形の横断面を備えた、磁気的に伝導性の材料から成る環状のボディ410を備えた第1の伝達部材が配置されている。この場合、U字形の横断面によって形成された中空室は支持体200に向かって開放して形成されている。さらに、環状のボディ410と電磁的に相互作用するコイル(図示せず)が設けられている。さらに、回転駆動装置100では、環状のボディ410の領域にプレート状の回転対称的なアンテナ415が設けられている。このアンテナ415は、いずれにせよ、環形状に形成されている。
【0038】
支持体200には、駆動装置100のプレート状のアンテナ415に相応のアンテナ425が設けられている。さらに、支持体では、回転駆動装置100に面した側の領域に、方形の横断面を備えた、磁気的に伝導性の環状のボディ420を備えた第2の伝達部材が設けられている。この第2の伝達部材は、環状のボディ410のU字形の横断面によって生ぜしめられた中空室内でプレート状のアンテナ425と一緒に回転駆動装置100に対して相対的に回転可能であり、支持体200に固く取り付けられている。さらに、支持体200には、環状のボディ420に電磁的に作用接続されたコイル(図示せず)が設けられている。
【0039】
したがって、回転駆動装置100に対して相対的な支持体200の回転と無関係に常に、コイルと環状のボディ410;420とを介してエネルギを回転駆動装置100から支持体200に伝達することが可能となる。さらに、同じく回転駆動装置100に対して相対的な支持体200の回転と無関係にデータを両アンテナ415;425を介して回転駆動装置100と支持体200との間で両方向に交換することができる。
【0040】
伝達されたデータおよびエネルギは、受取りツール210の回転駆動装置を制御するために、受取りツールの回転駆動装置と受取りツール210の回転センサ217とに相俟って使用される。このためには、たとえば各受取りツール210に対して制御装置230が設けられている。この制御装置230は、特にデジタル式の信号プロセッサを有している。しかし、支持体200にただ1つのまたは僅かな個数の制御装置230を設けることおよびそれぞれ複数の受取りツール210または全ての受取りツール210をただ1つのデジタル式の信号プロセッサによって制御することも可能である。
【0041】
受取りツール210を連行体エレメント212を介してリニア駆動装置500によって搭載方向に運動させることができる受取り・装着位置Aでは、回転駆動装置100と支持体200との間に配置された、この位置で支持体200における各受取りツール210に対して透過性の被研削板(図示せず)を通して、付加的に真空管路225を介した真空もしくは圧縮空気の供給も可能となる。
【0042】
このためには、付加的な真空発生器が使用される(図示せず)。この真空発生器は受取り・装着位置で付加的な被研削板を介して、受取り・装着位置に位置する受取りツール210の真空管路225に接続されている。付加的な真空発生器は、たとえばベンチュリ管であってよい。このベンチュリ管は廃空気側で比例弁によって閉鎖することができる。弁が異なる程度に開放されると、任意の真空レベルを受取りツール210に実現することができる。
【0043】
これによって、構成素子300を供給装置(図示せず)から確実に取り出すことが可能となる。このためには、マルチ装着ヘッドが、受取り・装着位置に位置する受取りツール210の真空ピペット260で供給装置内の、取り出したい構成素子300の上方に移動させられ、次いで、リニア駆動装置によって構成素子300に向かって降下させられる。付加的に真空を加えることによって、構成素子の確実な取出しが可能となる。
【0044】
受け取られた構成素子300の降下時には、付加的な真空発生器によって受取り・装着位置で、この受取り・装着位置に位置する受取りツール210に圧縮空気衝撃を送ることが可能となる。この圧縮空気衝撃によって、加えられた真空が過剰に吹き出され、これによって、装着したい構成素子300が受取りツール210から離れる方向で、装着を被る基板(図示せず)に向かって押圧される。
【符号の説明】
【0045】
100 回転駆動装置、 110 駆動軸、 120 軌道輪、 150 被研削板、 200 支持体、 210 受取りツール、 212 連行体エレメント、 215 ツール軸、 217 角度センサ、 220 ベンチュリノズル、 225 真空管路、 228 回転駆動装置、 230 評価電子装置、 235 キャップ、 250 被研削板、 260 真空ピペット、 300 構成素子、 410 ボディ、 415 アンテナ、 420 ボディ、 425 アンテナ、 500 リニア駆動装置、 510 連行体、 520 スライダ、 A 受取り・装着位置、 D 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成素子を基板に装着するためのマルチ装着ヘッドであって、
−支持体(200)が設けられており、該支持体(200)が、回転軸線を中心として回転可能に配置されており、
−該回転軸線(D)に対して所定の角度を成す搭載方向に運動可能な複数の受取りツール(210)が設けられており、該受取りツール(210)が、支持体(200)に配置されており、受取りツール(210)によって、構成素子(300)が受け取られるようになっている形式のものにおいて、
各受取りツール(210)が、1つまたはそれ以上のアクティブな駆動装置(220,228)および/またはセンサ(217)を備えていることを特徴とする、構成素子を基板に装着するためのマルチ装着ヘッド。
【請求項2】
各受取りツール(210)が、固有の回転駆動装置(228)を有しており、該回転駆動装置(228)によって、受け取られた構成素子(300)が、それぞれ当該マルチ装着ヘッドの回転軸線(D)に対して所定の角度を成して配置されたツール軸線(215)を中心として回転させられるようになっている、請求項1記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項3】
各受取りツール(210)が、真空発生器(220)を有している、請求項1記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項4】
真空発生器(220)が、ベンチュリ管であり、支持体(200)が、回転軸線(D)に対して同軸的に中空軸(110)を有しており、該中空軸(110)に受取りツール(210)が取り付けられており、中空軸(110)を通してベンチュリ管が、圧縮空気で負荷されるようになっている、請求項3記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項5】
ベンチュリ管が、圧力調整のための調整器に接続されている、請求項3または4記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項6】
噴射空気・真空装置が設けられており、該噴射空気・真空装置が、受取りツール(210)の1つの受取り・装着位置(A)で、それぞれ該受取り・装着位置(A)に位置する受取りツール(210)に接続されており、受取り・装着位置(A)で構成素子が、受取り・装着位置(A)に位置する受取りツール(210)によって受け取られるようになっているかもしくは装着されるようになっており、噴射空気・真空装置によって、付加的に真空が、構成素子を受け取るために受取りツール(210)にもしくは付加的に噴射空気衝撃が、構成素子の装着の間、受取り・装着位置(A)に位置する受取りツール(210)に加えられるようになっているかもしくは放出されるようになっている、請求項1から5までのいずれか1項記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項7】
受取りツール(210)が、中空軸として形成されたそれぞれ1つのツール軸(215)をツール軸線に対して同軸的に有しており、各受取りツール(210)が、回転センサ(217)を有しており、該回転センサ(217)によって、ツール軸(215)の角度位置が検出されるようになっている、請求項1から6までのいずれか1項記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項8】
ツール軸(215)が、それぞれその遠位の端領域に真空ピペット(260)を備えている、請求項7記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項9】
支持体(200)と当該マルチ装着ヘッドのハウジング(100)との間に回転対称的なエネルギ・データ伝達装置が配置されており、該エネルギ・データ伝達装置によって、アクティブな駆動装置(220,228)および/またはセンサ(217)にエネルギが供給されるようになっており、エネルギ・データ伝達装置によって、センサのデータおよびデータが、センサに伝達されるようになっており、第1の伝達部材が、当該マルチ装着ヘッドのハウジング(100)に固く取り付けられており、第2の伝達部材が、回転可能な支持体(200)に固く取り付けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項10】
エネルギ・データ伝達装置が、少なくとも1つのスリップリングを有している、請求項9記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項11】
エネルギ・データ伝達装置が、それぞれ一対の電磁式の伝達器(410,420)と一対の容量式の伝達器(415,425)とを有しており、伝達器(410,420,415,425)が、それぞれ回転対称的に当該マルチ装着ヘッドの回転軸線を中心として配置されており、伝達器(410,420,415,425)によって、エネルギとデータとが非接触式に伝達されるようになっている、請求項9記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項12】
容量式の伝達器(415,425)が、第1の伝達部材と第2の伝達部材とにそれぞれプレート状のアンテナとして形成されており、電磁式の伝達器が、第1の伝達部材に、支持体に向かって開放したu字形の横断面を備えた、環状に形成された磁気的に伝導性のボディ(410)を有していて、第2の伝達部材に、ほぼ方形の横断面を備えた、環状に形成された磁気的に伝導性のボディ(420)を有しており、該ボディ(420)が、第1の伝達部材の開口内に配置されており、これによって、エネルギ伝達のために使用される磁界の方向が、データ伝達のために使用される電界の方向に対してほぼ垂直である、請求項11記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項13】
ハウジング(100)と支持体(200)とにそれぞれ少なくとも1つの被研削板(150,250)が、直接接触して配置されているように設けられており、これによって、圧縮空気と真空とが、外部の真空発生器によって支持体のアクティブな駆動装置(220)に加えられるようになっている、請求項9から12までのいずれか1項記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項14】
支持体(200)が、アクティブな駆動装置(220,228)もしくはセンサ(217)を制御しかつ/または調整するための少なくとも1つの制御装置(230)を有している、請求項1から13までのいずれか1項記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項15】
制御装置(230)が、少なくとも1つのデジタル式の信号プロセッサを有しており、該信号プロセッサによって、それぞれ1つまたはそれ以上のアクティブな駆動装置(220,228)もしくはセンサ(217)が制御可能である、請求項14記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項16】
付加的にリニアモータ(500)が設けられており、該リニアモータ(500)が、受取りツールに係合している限り、リニアモータ(500)によって、受取り・装着位置(A)に位置する受取りツール(210)が搭載方向に運動可能である、請求項1から15までのいずれか1項記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項17】
各受取りツールに連行体エレメント(212)が設けられており、該連行体エレメント(212)が、リニアモータ(500)のスライダ(520)の連行体(510)に係合されるようになっている、請求項16記載のマルチ装着ヘッド。
【請求項18】
付加的に、リニアモータ(500)と協働する戻し手段が設けられており、該戻し手段によってリニアモータのスライダ(520)に、ばね力によって重力に抗してプリロードがかけられており、当該装着ヘッドの運転中にプリロードが、空気圧によって補償されている、請求項16または17記載のマルチ装着ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−187983(P2011−187983A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116219(P2011−116219)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【分割の表示】特願2005−518409(P2005−518409)の分割
【原出願日】平成16年1月19日(2004.1.19)
【出願人】(509260488)エーエスエム アセンブリー システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (10)
【氏名又は名称原語表記】ASM Assembly Systems GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rupert−Mayer−Str. 44, D−81379 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】