説明

マレイミド系重合体

【課題】
新規なマレイミド系重合体を提供すること。
【解決手段】
下記式(1)で表される構造単位と、下記式(2)で表される構造単位と、を有するマレイミド系重合体。
【化1】


【化2】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マレイミド系重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マレイミド系重合体としては、N−アリールマレイミドとメタクリル酸エステルとの共重合体(特許文献1〜4)、マレイミド類とスチレン類との共重合体(特許文献5)、マレイミド類とアクリロニトリルとスチレン類との共重合体(特許文献5〜7)等が開示されている。
【0003】
また、非特許文献1〜3には、エチレン系不飽和化合物とマレイミドとのラジカル共重合が記載されている。
【0004】
さらに、非特許文献1〜3には、マレイミド類とイソブチレンとのラジカル共重合が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭43−9753号公報
【特許文献2】特開昭61−141715号公報
【特許文献3】特開昭61−171708号公報
【特許文献4】特開昭62−109811号公報
【特許文献5】特開昭47−6891号公報
【特許文献6】特開昭61−76512号公報
【特許文献7】特開昭61−276807号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Omayu, A.;Matsumoto, A.,Macromol.Chem.Phys.,2008,209,2312
【非特許文献2】Omayu, A.;Ueno, T.;Matsumoto, A.,Macromol.Chem.Phys.,2008,209,1503
【非特許文献3】Omayu, A.;Yoshioka, S.;Matsumoto, A.,Macromol.Chem.Phys.,2009,210,1210
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、新規なマレイミド系重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、下記式(1)で表される構造単位と、下記式(2)で表される構造単位と、を有するマレイミド系重合体を提供する。
【化1】


[式中、Rはアルキル基又はアリール基を示す。]
【化2】


[式中、Rは炭素数2〜10のアルキル基又は−(CH−C(CH−CH(式中、mは1〜1750の整数を示す。)で表される基を示す。]
【0009】
本発明はまた、下記式(3)で表される構造単位を有するマレイミド系重合体を提供する。
【化3】


[式中、Rはアルキル基又はアリール基を示し、Rは炭素数2〜10のアルキル基又は−(CH−C(CH−CH(式中、mは1〜1750の整数を示す。)で表される基を示す。]
【0010】
本発明はさらに、下記式(4)で表される構造を有するマレイミド系重合体を提供する。
【化4】


[式中、nは1〜900の整数を示し、Rはアルキル基又はアリール基を示し、Rは炭素数2〜10のアルキル基又は−(CH−C(CH−CH(式中、mは1〜1750の整数を示す。)で表される基を示す。nが2以上の整数であるとき、複数存在するR及びRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0011】
本発明に係るマレイミド系重合体は、式(1)で表される構造単位と、式(2)で表される構造単位とを有し、耐熱性に優れる。本発明に係るマレイミド系重合体が、耐熱性に優れる理由は、必ずしも明らかではないが、式(2)で表される構造単位が、Rにおいて炭素数2〜10のアルキル基又はポリイソブチレン骨格(−(CH−C(CH−CHで表される基)を有しているためと考えられる。
【0012】
本発明に係るマレイミド系重合体は、下記式(5)で表されるマレイミド化合物と下記式(6)で表されるオレフィン化合物とをラジカル共重合してなるマレイミド系重合体であることが好ましい。このようなマレイミド系重合体は、式(1)で表される構造単位と式(2)で表される構造単位とを単量体単位とするマレイミド系重合体であり、このようなマレイミド系重合体によれば、同一分子内に式(1)及び式(2)で表される構造単位を複数有するため、上述した本発明の効果がより確実に奏されるようになる。
【化5】


[式中、Rはアルキル基又はアリール基を示す。]
【化6】


[式中、Rは炭素数2〜10のアルキル基又は−(CH−C(CH−CH(式中、mは1〜1750の整数を示す。)で表される基を示す。]
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、新規なマレイミド系重合体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るマレイミド系重合体の好適な実施形態について以下に説明する。
【0015】
本実施形態に係るマレイミド系重合体は、下記式(1)で表される構造単位と、下記式(2)で表される構造単位とを有する。式中、Rはアルキル基又はアリール基を示し、Rは炭素数2〜10のアルキル基又は−(CH−C(CH−CH(式中、mは1〜1750の整数を示す。)で表される基を示す。
【0016】
【化7】

【0017】
【化8】

【0018】
式(1)におけるアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状であってよく、直鎖状又は分岐状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。また、アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜15のアルキル基がより好ましい。
【0019】
式(1)におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。
【0020】
アリール基としては、炭素数6〜60のアリール基が好ましく、炭素数6〜16のアリール基がより好ましい。また、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、ピレニル基等が例示できる。
【0021】
式(2)における炭素数2〜10のアルキル基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。これらは直鎖状、分岐状又は環状であってもよい。
【0022】
同一のマレイミド系重合体中に、−(CH−C(CH−CHで表される基が複数ある場合、それぞれの基におけるmは、互いに同一でも異なっていてもよい。また、mは、例えば、1〜1500とすることができる。
【0023】
本実施形態に係るマレイミド系重合体は、優れた耐熱性を有する。本実施形態に係るマレイミド系重合体が、優れた耐熱性を有する理由は、必ずしも明らかではないが、式(2)で表される構造単位が、炭素数2〜10のアルキル基又はポリイソブチレン骨格(−(CH−C(CH−CHで表される基)を有しているためと考えられる。
【0024】
また、本実施形態のマレイミド系重合体は、式(2)におけるRが−(CH−C(CH−CHで表される基であると、低温での流動性に一層優れるようになるとともに、耐熱性に一層優れるようになる。したがって、Rは−(CH−C(CH−CHで表される基であることが好ましい。
【0025】
が−(CH−C(CH−CHで表される基である場合には、mを小さくすることにより、ガラス転移温度を高くすることができ、mを大きくすることにより、ガラス転移温度を低くすることができる。すなわち、本実施形態に係るマレイミド系重合体は、その用途に応じて適宜ガラス転移温度を設定することができる。
【0026】
本実施形態に係るマレイミド系重合体は、衝撃吸収材料、ガラスシーラントの用途においては、ガラス転移温度が−90〜25℃であることが好ましく、−85〜0℃であることがより好ましい。また、耐熱性及び成形性に優れる樹脂材料としての用途では、ガラス転移温度が80〜450℃であることが好ましく、100〜400℃であることがより好ましい。すなわち、本実施形態に係るマレイミド系重合体のガラス転移温度Tgは、好ましくは−90〜450℃であり、より好ましくは−85〜400℃である。
【0027】
本実施形態に係るマレイミド系重合体の5%重量減少温度T95は、好ましくは200〜550℃であり、より好ましくは220〜500℃である。さらに、本実施形態に係るマレイミド系重合体の重量減少の微分曲線のピーク温度を示すTmaxは、好ましくは220〜600℃であり、より好ましくは250〜550℃である。このように耐熱性に優れるマレイミド系重合体は、例えば上記用途の他、耐水性に優れたシーリング材等の用途に好適に使用することができる。
【0028】
本実施形態に係るマレイミド系重合体の重量平均分子量Mwは、例えば、200〜300000とすることができる。また、200〜200000とすることもできる。
【0029】
本実施形態に係るマレイミド系重合体の数平均分子量Mnは、例えば、200〜200000とすることができる。また、200〜100000とすることもできる。
【0030】
本実施形態に係るマレイミド系重合体の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnは、例えば、1〜10とすることができる。また、1〜5とすることもできる。
【0031】
本実施形態に係るマレイミド系重合体は、下記式(3)で表される構造単位を有するものであってもよい。式中、R及びRは、上記と同義である。
【0032】
【化9】

【0033】
このような構造単位を有するマレイミド系重合体は、耐熱性に一層優れる。このような効果が奏される理由は、必ずしも明らかではないが、式(2)で表されるような構造単位が、式(1)で表されるようなマレイミド骨格の近傍に存在していることが一因と考えられる。
【0034】
また、本実施形態に係るマレイミド系重合体は、下記式(4)で表される構造を有するものであってもよい。式中、R及びRは、上記と同義であり、nは1〜900の整数を示す。nが2以上の整数であるとき、複数存在するR及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
【0035】
【化10】

【0036】
このようなマレイミド系重合体は、流動性及び耐熱性に一層優れる。このような効果が奏される理由は、必ずしも明らかではないが、式(3)で表される構造単位が、マレイミド系重合体全体にわたって連続して形成されるためと考えられる。
【0037】
式(4)中、nは、例えば、1〜900とすることができる。また、2〜500とすることもできる。
【0038】
また、Rが−(CH−C(CH−CHで表される基であるとき、マレイミド系重合体の流動性と耐熱性の双方に一層優れるようになる観点から、mとnとの積(m×n)は、20〜900であることが好ましく、25〜450であることがより好ましい。
【0039】
本実施形態に係るマレイミド系重合体は、下記式(5)で表されるマレイミド化合物と下記式(6)で表されるオレフィン化合物とをラジカル共重合してなるマレイミド系重合体であることが好ましい。式中、R及びRは、上記と同義である。
【0040】
【化11】

【0041】
【化12】

【0042】
このようなマレイミド系重合体は、式(1)で表される構造単位と式(2)で表される構造単位とを単量体単位とするマレイミド系重合体、ということもできる。
【0043】
式(6)で表されるオレフィン化合物のうち、Rが−(CH−C(CH−CHで表される基であるオレフィン化合物としては、mが1であるジイソブチレン、重量平均分子量が170〜100000、数平均分子量が170〜80000であるポリイソブチレン等が挙げられる。
【0044】
本実施形態に係るマレイミド系重合体は、式(1)で表される繰り返し単位と、式(2)で表される繰り返し単位とからなるマレイミド系重合体であってもよい。ここで、当該マレイミド系重合体は、式(1)で表される繰り返し単位及び式(2)で表される繰り返し単位以外に、末端基を有していてもよい。
【0045】
なお、Rが−(CH−C(CH−CHで表される基であるオレフィン化合物は、例えば、イソブチレンを、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素等のフリーデルクラフツ系触媒でカチオン重合することで製造することができる。このような製造方法としては、米国特許第4152499号明細書、特開平10−306128号公報、等に記載されている製造方法が挙げられる。また、原料として、イソブチレンと、1−ブテン、2−ブテン等のブテン類と、の混合物を用いることもできる。
【0046】
(マレイミド系重合体の製造方法)
本実施形態に係るマレイミド系重合体は、例えば、式(5)で表されるマレイミド化合物と式(6)で表されるオレフィン化合物とを、ラジカル共重合する共重合工程を備える製造方法により製造することができる。
【0047】
共重合工程は、例えば、上記マレイミド化合物と、上記オレフィン化合物と、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルと、溶媒とを含有する混合液を、減圧条件下、所定の反応温度で、所定の反応時間反応させることにより、行うことができる。
【0048】
共重合工程における上記オレフィン化合物の使用量は、上記マレイミド化合物1モルに対して、0.8〜10モルであることが好ましく、0.9〜5モルであることがより好ましい。
【0049】
また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの使用量は、上記マレイミド化合物1モルに対して、0.001〜0.15モルとすることが好ましく、0.01〜0.10とすることがより好ましい。
【0050】
また、溶媒の使用量は、上記混合液におけるマレイミド化合物の濃度が0.01〜10mol/Lとなるような量であることが好ましく、0.1〜5mol/Lとなるような量であることがより好ましい。
【0051】
減圧条件は、例えば、上記混合液を耐圧容器に入れた後、冷却して混合液を固化させ、次いで耐圧容器内を減圧し、密封することにより調整することができる。なお、減圧条件において、真空度は0.5Torr以下とすることができる。また、真空度は0.1Torr以下とすることもできる。
【0052】
反応温度は、例えば、−80〜150℃とすることができ、40〜100℃としてもよい。また、反応時間は、例えば、0.5〜40時間とすることができ、3〜8時間としてもよい。
【0053】
なお、本製造方法においては、反応温度を高くすること、上記混合液における上記マレイミド化合物及び上記オレフィン化合物の濃度を低くすること、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの使用量を多くすること、連鎖移動剤を用いること、等によって、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの小さい重合体を得ることができる。
【0054】
また、本製造方法においては、反応温度を低くすること、上記混合液における上記マレイミド化合物及び上記オレフィン化合物の濃度を高くすること、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの使用量を少なくすること、ビスマレイミドなどの多官能性モノマーを少量添加すること、等によって、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの大きい重合体を得ることができる。
【0055】
また、共重合工程は、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル以外のラジカル開始剤を用いて行うこともできる。共重合工程で用いられるラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーブチルピバレート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系開始剤;等が挙げられる。
【0056】
式(6)で表されるオレフィン化合物のうち、Rが−(CH−C(CH−CHで表される基であるオレフィン化合物は、例えば、mが互いに異なる複数のオレフィン化合物を含有するオレフィン群として提供される場合がある。そして、このようなオレフィン群は、式(6)で表されるオレフィン化合物の異性体をさらに含有する場合がある。上記の共重合工程によれば、このような異性体を含有するオレフィン群を用いた場合であっても、本実施形態に係るマレイミド系重合体を容易に製造することができる。
【0057】
共重合工程では、上記マレイミド化合物及び上記オレフィン化合物以外の単量体をさらに上記混合液に含有させ、共重合に供してもよい。このような単量体としては、例えば、アルキルアクリレート等のアクリレート類;アルキルメタアクリレート等のメタアクリレート;スチレン、メチルスチレン等のスチレン類;酢酸ビニル;塩化ビニル;等が挙げられる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0059】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0060】
実施例で得られた重合体の物性値は、以下に示す方法により求めた。
(1)重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn
重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnは、標準ポリスチレン換算GPC装置CCPDRE−8020(東ソー(株)製)を用いて測定し、流出溶媒にはTHFを用いた。
(2)分子量分布
上記(1)により得られた重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnを、分子量分布を示す値とした。
(3)ガラス転移温度測定(DSC)
ガラス転移温度(Tg)は、DSC6200(セイコー電子工業(株)製)を用いて測定した。
(4)熱分解温度測定(TG/DTA)
TG/DTA6200(セイコー電子工業(株)製)を用いて、昇温・降温速度を10℃/分、窒素雰囲気で測定し、5%重量減少温度T95と、重量減少の微分曲線のピーク温度を示すTmaxを求めた。
(5)核磁気共鳴分光法(NMR)
BRUKER製AV300(300MHz)を用い、ケミカルシフトはCDClH:7.26ppm、13C:77.0ppm)を基準として、NMRスペクトルを求めた。
【0061】
(実施例1)
10mL用のメスフラスコに、N−メチルマレイミド111mg(東京化成工業(株)製、1.0mmol)、下記式(7)で表されるポリイソブチレン1.30g(重量平均分子量2300、数平均分子量1300)及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル16.4mg(東京化成工業(株)製、0.1mmol)を加えた後に、1,2−ジクロロエタン(和光純薬(株)製)を加えることで全量を10mLとした。なお式中、mは上記と同義である。
【0062】
【化13】

【0063】
この混合溶液を20mLの2方コックが接続されているパイレックス(登録商標)製容器に移した後に−78℃に冷却した。混合溶液が固化したことを確認後に真空ポンプを用いてパイレックス(登録商標)製反応容器を0.1Torrまで減圧し、溶封した。
【0064】
その反応溶液を60℃の水浴に浸し、5時間振とうさせた後に室温まで冷却させた。その後、反応容器を開封し、200mLのメタノール中に反応混合物を流し込んだところ、粘着性の不溶物が生成し、デカンテーションによってメタノールを除去した。その粘着性の不溶物を100mLのメタノールで再度洗浄し、1Torr、40℃の真空乾燥機にて4時間乾燥することで、粘着性無色透明液体としてマレイミド系重合体(1.27g)が得られた。その対理論収率は90%であった。
【0065】
得られた粘着性液体は、H−NMRによって、N−メチルマレイミドと上記ポリイソブチレンとが共重合したマレイミド系重合体であることが確認された。
【0066】
得られたマレイミド系重合体について、GPC測定を行ったところ、重量平均分子量Mwは3800であり、数平均分子量Mnは2600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.4であった。
【0067】
また、得られたマレイミド系重合体について、DSC測定及びTG/DTA測定を行ったところ、ガラス転移温度Tg、5%重量減少温度T95、重量減少の微分曲線のピーク温度を示すTmaxは、それぞれ表1に示すとおりであった。
【0068】
(実施例2)
式(8)で表されるポリイソブチレンとして、重量平均分子量4100、数平均分子量1800であるポリイソブチレン1.80gを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、粘着性液体としてマレイミド系重合体1.72gを得た。その対理論収率は90%であった。
【0069】
得られた粘着性液体は、H−NMRによって、N−メチルマレイミドと上記ポリイソブチレンとが共重合したマレイミド系重合体であることが確認された。
【0070】
得られたマレイミド系重合体について、GPC測定を行ったところ、重量平均分子量Mwは5800であり、数平均分子量Mnは3600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.6であった。
【0071】
また、得られたマレイミド系重合体について、DSC測定及びTG/DTA測定を行ったところ、ガラス転移温度Tg、5%重量減少温度T95、重量減少の微分曲線のピーク温度を示すTmaxは、それぞれ表1に示すとおりであった。
【0072】
(実施例3)
ポリイソブチレンにかえて、ジイソブチレン448mg(東京化成工業(株)製、4.0mmol)を用いたこと、N−メチルマレイミドを444mg(4.0mmol)用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、白色固体としてマレイミド系重合体526mgを得た。その対理論収率は59%であった。
【0073】
得られた粘着性液体は、H−NMRによって、N−メチルマレイミドとジイソブチレンとが共重合したマレイミド系重合体であることが確認された。参考までにH−NMRスペクトルの測定結果を以下に示す。
H−NMR:δ 4.0−2.6(N上のメチル基、)、2.4−0.8(ポリマー主鎖のジイソブチレン部分、t−ブチル基、t−ブチル基α位のメチレン基、主鎖に直結したメチル基)
【0074】
得られたマレイミド系重合体について、GPC測定を行ったところ、重量平均分子量Mwは21400であり、数平均分子量Mnは12400であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。
【0075】
また、得られたマレイミド系重合体について、DSC測定及びTG/DTA測定を行ったところ、ガラス転移温度Tg、5%重量減少温度T95、重量減少の微分曲線のピーク温度を示すTmaxは、それぞれ表1に示すとおりであった。
【0076】
(実施例4)
N−メチルマレイミドにかえてN−フェニルマレイミド346mg(東京化成工業(株)製、2.0mmol)を用い、ポリイソブチレンにかえてジイソブチレン224mg(東京化成工業(株)製、2.0mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、白色固体としてマレイミド系重合体400mgを得た。その対理論収率は70%であった。
【0077】
得られた粘着性液体は、H−NMRによって、N−フェニルマレイミドとジイソブチレンとが共重合したマレイミド系重合体であることが確認された。参考までにH−NMRスペクトルの測定結果を以下に示す。
H−NMR:δ 7.8−6.8(N上のフェニル基)、4.3−2.8(マレイミド骨格中のポリマー主鎖)、2.7−0.4(ポリマー主鎖のジイソブチレン部分、t−ブチル基、t−ブチル基α位のメチレン基、主鎖に直結したメチル基)
【0078】
得られたマレイミド系重合体について、GPC測定を行ったところ、重量平均分子量Mwは12500であり、数平均分子量Mnは9600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.3であった。
【0079】
また、得られたマレイミド系重合体について、DSC測定及びTG/DTA測定を行ったところ、ガラス転移温度Tg、5%重量減少温度T95、重量減少の微分曲線のピーク温度を示すTmaxは、それぞれ表1に示すとおりであった。
【0080】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造単位と、下記式(2)で表される構造単位と、を有するマレイミド系重合体。
【化1】


[式中、Rはアルキル基又はアリール基を示す。]
【化2】


[式中、Rは炭素数2〜10のアルキル基又は−(CH−C(CH−CH(式中、mは1〜1750の整数を示す。)で表される基を示す。]
【請求項2】
下記式(3)で表される構造単位を有するマレイミド系重合体。
【化3】


[式中、Rはアルキル基又はアリール基を示し、Rは炭素数2〜10のアルキル基又は−(CH−C(CH−CH(式中、mは1〜1750の整数を示す。)で表される基を示す。]
【請求項3】
下記式(4)で表される構造を有するマレイミド系重合体。
【化4】


[式中、nは1〜900の整数を示し、Rはアルキル基又はアリール基を示し、Rは炭素数2〜10のアルキル基又は−(CH−C(CH−CH(式中、mは1〜1750の整数を示す。)で表される基を示す。nが2以上の整数であるとき、複数存在するR及びRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項4】
下記式(5)で表されるマレイミド化合物と下記式(6)で表されるオレフィン化合物とをラジカル共重合してなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマレイミド系重合体。
【化5】


[式中、Rはアルキル基又はアリール基を示す。]
【化6】


[式中、Rは炭素数2〜10のアルキル基又は−(CH−C(CH−CH(式中、mは1〜1750の整数を示す。)で表される基を示す。]

【公開番号】特開2012−36234(P2012−36234A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174778(P2010−174778)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(506122327)公立大学法人大阪市立大学 (122)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】