説明

マンコンベアの制御装置

【課題】乗り口側又は降り口側に改札機等のゲートが設置されているマンコンベアにおいて、ゲートにおいて乗客滞留が発生した場合に、ゲートでの乗客滞留を解消することができ、また、マンコンベアでの乗客蝟集の発生を未然に防止することが可能であるマンコンベアの制御装置を、簡潔な構成で提供する。
【解決手段】マンコンベアの制御装置において、乗り口から降り口へと利用者を運搬するマンコンベア1と、マンコンベア1の運転速度を制御する速度制御手段6と、を備え、速度制御手段6は、マンコンベア1の乗り口側及び降り口側の少なくともいずれか一方に設けられ利用者の通過の許可/不許可を制御するゲート2a等と通信可能に接続されるとともに、ゲート2a等から送信される通過許可信号、通過不許可信号及び故障信号の少なくともいずれか1つを含む信号に基づいてマンコンベア1の運転速度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マンコンベアの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のマンコンベアにおいては、マンコンベアの上流(乗り口)側又は下流(降り口)側に改札機等のゲートが設置されている場合がある。そして、この際、マンコンベアの動作はゲートの作動状況とは無関係である。従って、ゲートにおいて乗客滞留が発生しても、これとは関係無くマンコンベアは稼動する。このため、ゲートでの乗客滞留をさらに増長させ、マンコンベアの降り口での乗客蝟集に繋がるおそれがあるという問題がある。
【0003】
そこで、従来におけるマンコンベアの制御装置においては、マンコンベア(エスカレータ)の降り口付近の混雑を緩和することを目的とするものとして、撮影したエスカレータの降り口近傍の状況を撮影する撮像装置を含む画像処理装置を設け、この画像処理装置による画像処理結果に基づいて降り口付近の混雑状況を判断して、エスカレータの運転速度を調節する(減速又は停止させる)ものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、エスカレータの降り口付近や乗り口付近の人々を検出するセンサを設け、このセンサの検出結果に基づいて降り口付近の混雑度を算出して、この算出した混雑度に応じてエスカレータの運転速度を変化させるように構成したものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−244183号公報
【特許文献2】特開平10−081480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示された従来におけるマンコンベアの制御装置においては、エスカレータの乗り口や降り口近傍に、乗り口や降り口付近の状況を撮影して画像処理を行うカメラや画像処理装置を設ける必要がある。また、特許文献2に示された従来におけるマンコンベアの制御装置においては、エスカレータの乗り口や降り口近傍に、乗り口や降り口付近の人を検出するためのセンサを設ける必要がある。
【0007】
従って、これらの特許文献に示された従来におけるマンコンベアの制御装置においては、装置全体の構成が複雑化してしまうという課題がある。そして、このシステム構成の複雑化に起因して、装置を構成するための費用が多くかかってしまうという課題もある。
【0008】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、乗り口側又は降り口側に改札機等のゲートが設置されているマンコンベアにおいて、ゲートにおいて乗客滞留が発生した場合に、ゲートでの乗客滞留を解消することができ、また、マンコンベアでの乗客蝟集の発生を未然に防止することが可能であるマンコンベアの制御装置を、簡潔な構成で得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るマンコンベアの制御装置においては、乗り口から降り口へと利用者を運搬するマンコンベアと、前記マンコンベアの運転速度を制御する速度制御手段と、を備え、前記速度制御手段は、前記マンコンベアの乗り口側及び降り口側の少なくともいずれか一方に設けられ前記利用者の通過の許可/不許可を制御するゲートと通信可能に接続されるとともに、前記ゲートから送信される通過許可信号、通過不許可信号及び故障信号の少なくともいずれか1つを含む信号に基づいて前記マンコンベアの運転速度を制御する構成とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るマンコンベアの制御装置においては、簡潔な構成で、乗り口側又は降り口側に改札機等のゲートが設置されているマンコンベアにおいて、ゲートにおいて乗客滞留が発生した場合に、ゲートでの乗客滞留を解消することができ、また、マンコンベアでの乗客蝟集の発生を未然に防止することが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係るマンコンベアの制御装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るマンコンベアの制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るマンコンベアの制御装置の動作の流れを示すフロー図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係るマンコンベアの制御装置の動作の流れを示すフロー図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係るマンコンベアの制御装置の動作の流れを示すフロー図である。
【図6】この発明の実施の形態4に係るマンコンベアの制御装置の動作の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1から図3は、この発明の実施の形態1に係るものである。この図1において、1は設置された下階から上階へと利用者を運搬するエスカレータであるところのマンコンベアである。ここでは、マンコンベア1として、利用者を下階から上階へと運搬する上りエスカレータを例に挙げて説明する。しかし、もちろん、マンコンベア1は利用者を上階から下階へと運搬する下りエスカレータであってもよい。また、マンコンベア1は、エスカレータには限られず、いわゆる動く歩道であってもよい。
【0013】
マンコンベア1の下流(降り口)側には、下流側ゲート2が設置されている。この下流側ゲート2は、ゲートにおける操作内容等に基づいて、利用者の通過の許可(OK)・不許可(NG)を決定する。そして、この決定に基づいて、通過が許可された場合には、ゲートが開放された状態となり、このゲートを利用者が通過することが可能となる。一方、通過が許可されない場合には、ゲートが閉じた状態となり、利用者はこのゲートを通過することができない。このようにして、ゲートは利用者通過の許可/不許可を制御する。
【0014】
ここで、この下流側ゲート2の具体例について、例えば、マンコンベア1が駅舎に設置されている場合には、自動改札機が下流側ゲート2となる。また、さらに例えば、マンコンベア1が入退管理が実施されている建物内に設置されている場合には、入退管理ゲートが下流側ゲート2となる。なお、図1に示すように、マンコンベア1の上流(乗り口)側に、上流側ゲート3が設けられる場合もある。この上流側ゲート3は、下流側ゲート2と設置される位置が異なるだけで、同様の構成を有するものである。
このような構成においては、上流側ゲート3を通過した利用者がマンコンベア1の乗り口から搭乗する。そして、マンコンベア1の降り口から降りた利用者が、下流側ゲート2を通過する。
【0015】
マンコンベア1の内部では、乗客が搭乗する踏段が無端状に連結されて循環移動している。また、マンコンベア1の左右両側に立設された欄干の周縁には、踏段と同期して循環移動する無端状の移動手摺が設けられている。これらの踏段及び移動手摺の循環移動は、図示しない電源から電力供給を受けて回転駆動するモーター4により駆動されている。
【0016】
図2はマンコンベアの制御装置の構成を示すブロック図である。このモーター4には、マンコンベア1の備えるVVVFインバータ5(Variable Voltage Variable Frequency:可変電圧可変周波数制御)を介して電力が供給される。そして、このVVVFインバータ5の動作は、マンコンベア1の備える速度制御装置6により制御されている。
【0017】
速度制御装置6は、モーター4の回転数を制御することにより、マンコンベア1の運転速度を制御するためのものである。すなわち、速度制御装置6は、マンコンベア1の運転速度が所望の適切な速度となるように、VVVFインバータ5へと電圧・周波数指令を出力する。VVVFインバータ5は、電源から供給される電力の電圧及び周波数を、この速度制御装置6からの指令に基づいて変換する。そして、VVVFインバータ5により速度制御装置6の指令に従った電圧・周波数に変換された電力がモーター4へと供給される。こうして、モーター4の回転数はVVVFインバータ5を介して速度制御装置6により制御されて、速度制御装置6によりマンコンベア1の運転速度が制御される。
【0018】
下流側ゲート2は、マンコンベア1に備えられた入力I/F7(入力インターフェイス)を介して、速度制御装置6と通信可能に接続されている。ここでは、下流側ゲート2として複数(3つ)のゲート、第1の下流側ゲート2a、第2の下流側ゲート2b及び第3の下流側ゲート2cが設置されているとする。そして、これらのゲートは、それぞれが入力I/F7を介して速度制御装置6と通信可能に接続されている。
【0019】
これらの下流側ゲート2からは、各ゲートの動作状態に関する情報が信号として速度制御装置6へと送信されている。この下流側ゲート2から速度制御装置6へと送信される情報としては、下流側ゲート2のそれぞれにおける、利用者通過許可・不許可に関する情報、及び、各ゲートの故障に関する情報が挙げられる。具体的には、下流側ゲート2に対する操作等により利用者の通過が許可された場合には、下流側ゲート2は通過許可信号を出力する。従って、この通過許可信号から、速度制御装置6は下流側ゲート2を通過した人数を推定することができる。また、下流側ゲート2において利用者の通過が不許可となった場合には、下流側ゲート2は通過不許可信号を出力する。そして、下流側ゲート2が故障して動作不能等になった場合には、当該故障した下流側ゲート2から故障信号が速度制御装置6へと送信される。
【0020】
そして、速度制御装置6は、この下流側ゲート2からの通過許可・不許可信号や故障信号に基づいて、マンコンベア1の運転速度を制御する。すなわち、通過許可・不許可信号及び故障信号に基づいて、速度制御装置6はマンコンベア1の運転速度に対する減速・増速及び停止の判断を行う。
【0021】
図3のフロー図は、この実施の形態におけるマンコンベアの制御装置の動作、特に、下流側ゲート2からの通過許可信号に基づくマンコンベア1の運転速度制御動作を示すものである。
まず、ステップS1において、速度制御装置6は、下流側ゲート2から送信される通過許可(OK)信号の受信間隔が、予め定めた所定の規定時間以下であるか否かについて確認する。このステップS1において、通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下でないことが確認された場合には、マンコンベア1は通常の速度での運転が継続される。そして、このステップS1における確認が繰り返される。
【0022】
一方、ステップS1において、通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下であることが確認された場合には、ステップS2へと移行する。このステップS2においては、下流側ゲート2における利用者の通過間隔が詰まってきており混雑し始めている状況であると判断される。そこで、速度制御装置6は、この混雑を解消すべく、マンコンベア1の運転速度を減速するようにVVVFインバータ5へと指令を出力する。そして、この減速に係る指令を受けたVVVFインバータ5により、モーター4へと供給する電力の電圧・周波数が制御されてモーター4の回転数が減少し、マンコンベア1の運転速度が減速される。
【0023】
ステップS2に続くステップS3においては、速度制御装置6は、下流側ゲート2から送信される通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下である状態が、予め定めた一定時間以上継続しているか否かについて確認する。このステップS3において、通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下である状態が、前記一定時間以上継続していることが確認された場合には、ステップS4へと進む。
【0024】
このステップS4においては、ステップS2においてマンコンベア1の運転速度を減速した後も、通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下である状態が、前記一定時間以上継続しているということである。従って、下流側ゲート2における混雑状態が継続しており、下流側ゲート2での乗客滞留が増長してマンコンベア1の降り口での乗客蝟集に繋がるおそれがある。そこで、速度制御装置6は、マンコンベア1の運転を緩やかに停止するようにVVVFインバータ5へと指令を出力する。そして、この停止に係る指令を受けたVVVFインバータ5により、モーター4へと供給する電力の電圧・周波数が制御されてモーター4の回転数が減少して停止し、マンコンベア1の運転が緩やかに停止される。その後、ステップS6へと至り一連の動作フローは終了する。
【0025】
一方、ステップS3において、通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下である状態が、前記一定時間以上継続していないことが確認された場合には、ステップS5へと進む。このステップS5においては、ステップS2においてマンコンベア1の運転速度を減速した後、通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下である状態が継続せず解消されたということである。従って、下流側ゲート2における混雑状態は解消していると考えられる。そこで、速度制御装置6は、マンコンベア1の運転速度を増速するようにVVVFインバータ5へと指令を出力する。
【0026】
そして、この増速に係る指令を受けたVVVFインバータ5により、モーター4へと供給する電力の電圧・周波数が制御されてモーター4の回転数が増加し、マンコンベア1の運転速度が増速される。こうして、マンコンベア1の運転速度は通常時のものに復帰される。その後、ステップS1へと戻り、以上の動作フローが繰り返される。
なお、以上の構成においては、上流側ゲート3は必ずしも設けられている必要はない。また、下流側ゲート2は、ここで用いていない通過不許可信号や故障信号を出力しないようにしてもよい。
【0027】
以上のように構成されたマンコンベアの制御装置は、簡潔な構成で、降り口側に改札機等のゲートが設置されているマンコンベアにおいて、ゲートを通過する乗客が多く滞留が発生した場合に、マンコンベアの運転速度を減速又は停止してゲートでの乗客滞留を解消することができ、また、マンコンベアでの乗客蝟集の発生を未然に防止することが可能である。
そして、この乗客滞留が解消した場合には、マンコンベアを自動的に通常の運転速度に復帰して、運転効率を良好なものとすることができる。
【0028】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2に係るものである。前述した実施の形態1は、ゲートから送信される通過許可信号の間隔に基づいて、マンコンベアの運転速度を減速・停止等するものであった。これに対し、ここで説明する実施の形態2は、ゲートから送信される通過不許可信号に基づいて、マンコンベアの運転速度を減速・停止等するようにしたものである。
【0029】
すなわち、この実施の形態2においては、装置の構成は前述した実施の形態1のものと同様である。そして、マンコンベアの制御装置の動作、特に、下流側ゲート2からの信号に基づくマンコンベア1の運転速度制御動作が、実施の形態1と異なる。
図4は、この実施の形態2における下流側ゲート2からの通過不許可信号に基づくマンコンベア1の運転速度制御に係るマンコンベアの制御装置の動作を示すものである。
【0030】
まず、ステップS11において、速度制御装置6は、下流側ゲート2から送信される通過不許可(NG)信号を受信したか否かについて確認する。このステップS1において、通過不許可(NG)信号を受信していないことが確認された場合には、マンコンベア1は通常の速度での運転が継続される。そして、このステップS11における確認が繰り返される。
【0031】
一方、ステップS11において、通過不許可(NG)信号を受信したことが確認された場合には、ステップS12へと移行する。このステップS12においては、下流側ゲート2において通過不許可とされてゲートが閉じており、混雑し始めている状況であると判断される。そこで、速度制御装置6は、マンコンベア1の運転速度を減速するようにVVVFインバータ5へと指令を出力する。そして、この減速に係る指令を受けたVVVFインバータ5により、モーター4へと供給する電力の電圧・周波数が制御されてモーター4の回転数が減少し、マンコンベア1の運転速度が減速される。
【0032】
ステップS12に続くステップS13においては、速度制御装置6は、下流側ゲート2から送信される通過不許可(NG)信号が、予め定めた一定時間以上継続して受信されているか否かについて確認する。このステップS13において、通過不許可(NG)信号の受信が、前記一定時間以上継続していることが確認された場合には、ステップS14へと進む。
【0033】
このステップS14においては、ステップS12においてマンコンベア1の運転速度を減速した後も、通過不許可(NG)信号の受信が前記一定時間以上継続しているということである。従って、下流側ゲート2を利用者が通過できない状態が継続しており、下流側ゲート2での乗客滞留が増長しマンコンベア1の降り口での乗客蝟集に繋がるおそれがある。そこで、速度制御装置6は、マンコンベア1の運転を緩やかに停止するようにVVVFインバータ5へと指令を出力する。そして、この停止に係る指令を受けたVVVFインバータ5により、モーター4へと供給する電力の電圧・周波数が制御されてモーター4の回転数が減少して停止し、マンコンベア1の運転が緩やかに停止される。その後、ステップS16へと至り一連の動作フローは終了する。
【0034】
一方、ステップS13において、通過不許可(NG)信号の受信が前記一定時間以上継続していないことが確認された場合には、ステップS15へと進む。このステップS15においては、ステップS12においてマンコンベア1の運転速度を減速した後、通過不許可(NG)信号の受信が継続せず解消されたということである。従って、下流側ゲート2は開放されて混雑状態は解消していると考えられる。そこで、速度制御装置6は、マンコンベア1の運転速度を増速するようにVVVFインバータ5へと指令を出力する。
【0035】
そして、この増速に係る指令を受けたVVVFインバータ5により、モーター4へと供給する電力の電圧・周波数が制御されてモーター4の回転数が増加し、マンコンベア1の運転速度が増速される。こうして、マンコンベア1の運転速度は通常時のものに復帰される。その後、ステップS11へと戻り、以上の動作フローが繰り返される。
なお、以上の構成においては、上流側ゲート3は必ずしも設けられている必要はない。また、下流側ゲート2は、ここで用いていない通過許可信号や故障信号を出力しないようにしてもよい。
【0036】
以上のように構成されたマンコンベアの制御装置は、改札機等のゲートにおいて、通過不許可とされてゲートが閉じたことに起因して乗客滞留が発生した場合に、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0037】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3に係るものである。ここで説明する実施の形態3は、ゲートから送信される故障信号に基づいて、マンコンベアの運転速度を減速・停止等するようにしたものである。
すなわち、この実施の形態3においては、装置の構成は前述した実施の形態1等のものと同様である。そして、マンコンベアの制御装置の動作、特に、下流側ゲート2からの信号に基づくマンコンベア1の運転速度制御動作が、実施の形態1と異なる。
図5は、この実施の形態3における下流側ゲート2からの故障信号に基づくマンコンベア1の運転速度制御に係るマンコンベアの制御装置の動作を示すものである。
【0038】
まず、ステップS21において、速度制御装置6は、下流側ゲート2から送信される故障信号を受信したか否かについて確認する。このステップS21において、故障信号を受信していないことが確認された場合には、マンコンベア1は通常の速度での運転が継続される。そして、このステップS21における確認が繰り返される。
【0039】
一方、ステップS21において、故障信号を受信したことが確認された場合には、ステップS22へと移行する。このステップS22においては、下流側ゲート2において故障が発生しており、混雑し始めている状況であると判断される。そこで、速度制御装置6は、マンコンベア1の運転速度を減速するようにVVVFインバータ5へと指令を出力する。そして、この減速に係る指令を受けたVVVFインバータ5により、モーター4へと供給する電力の電圧・周波数が制御されてモーター4の回転数が減少し、マンコンベア1の運転速度が減速される。
【0040】
ステップS22に続くステップS23においては、速度制御装置6は、下流側ゲート2から送信される故障信号が、予め定めた一定時間以上継続して受信されているか否かについて確認する。このステップS23において、故障信号の受信が、前記一定時間以上継続していることが確認された場合には、ステップS24へと進む。
【0041】
このステップS24においては、ステップS22においてマンコンベア1の運転速度を減速した後も、故障信号の受信が前記一定時間以上継続しているということである。従って、下流側ゲート2を利用者が通過できない状態が継続しており、下流側ゲート2での乗客滞留が増長しマンコンベア1の降り口での乗客蝟集に繋がるおそれがある。そこで、速度制御装置6は、マンコンベア1の運転を緩やかに停止するようにVVVFインバータ5へと指令を出力する。そして、この停止に係る指令を受けたVVVFインバータ5により、モーター4へと供給する電力の電圧・周波数が制御されてモーター4の回転数が減少して停止し、マンコンベア1の運転が緩やかに停止される。その後、ステップS26へと至り一連の動作フローは終了する。
【0042】
一方、ステップS23において、故障信号の受信が前記一定時間以上継続していないことが確認された場合には、ステップS25へと進む。このステップS25においては、ステップS22においてマンコンベア1の運転速度を減速した後、故障信号の受信が継続せず解消されたということである。従って、下流側ゲート2は正常動作を再開しており混雑状態は解消していると考えられる。そこで、速度制御装置6は、マンコンベア1の運転速度を増速するようにVVVFインバータ5へと指令を出力する。
【0043】
そして、この増速に係る指令を受けたVVVFインバータ5により、モーター4へと供給する電力の電圧・周波数が制御されてモーター4の回転数が増加し、マンコンベア1の運転速度が増速される。こうして、マンコンベア1の運転速度は通常時のものに復帰される。その後、ステップS21へと戻り、以上の動作フローが繰り返される。
なお、以上の構成においては、上流側ゲート3は必ずしも設けられている必要はない。また、下流側ゲート2は、ここで用いていない通過許可信号や通過不許可信号を出力しないようにしてもよい。
【0044】
以上のように構成されたマンコンベアの制御装置は、改札機等のゲートにおいて、ゲートの故障に起因して乗客滞留が発生した場合に、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0045】
実施の形態4.
図6は、この発明の実施の形態4に係るものである。ここで説明する実施の形態4は、マンコンベアの上流側に設置されたゲートから送信される通過許可信号に基づいて、マンコンベアの運転速度を増速又は減速するようにしたものである。
【0046】
すなわち、この実施の形態4においては、装置の構成は前述した実施の形態1等のものとほぼ同様である。ただし、前述した実施の形態1から3においては、マンコンベア1の下流(降り口)側に設置された下流側ゲート2からの各信号に基づいてマンコンベア1の運転を制御するものであった。これに対し、ここで説明するものは、マンコンベア1の上流(乗り口)側に設置された上流側ゲート3からの信号に基づいてマンコンベア1の運転を制御するものである。従って、マンコンベア1の上流側に上流側ゲート3が設置されている必要がある。この上流側ゲート3は、下流側ゲート2と同じく、マンコンベア1の備える速度制御装置6と入力I/F7を介して通信可能に接続されている。
【0047】
そして、マンコンベアの制御装置の動作、特に、ゲートからの信号に基づくマンコンベア1の運転速度制御動作が、前述した実施の形態1等とは異なる。図6は、この実施の形態4における上流側ゲート3からの信号に基づくマンコンベア1の運転速度制御に係るマンコンベアの制御装置の動作を示すものである。
まず、ステップS31において、速度制御装置6は、上流側ゲート3から送信される通過許可(OK)信号の受信間隔が、予め定めた所定の規定時間以下であるか否かについて確認する。このステップS31において、通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下でないことが確認された場合には、マンコンベア1は通常の速度での運転が継続される。そして、このステップS31における確認が繰り返される。
【0048】
一方、ステップS31において、通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下であることが確認された場合には、ステップS32へと移行する。このステップS32においては、上流側ゲート3における利用者の通過間隔が詰まってきており混雑し始めている状況であると判断される。そこで、この上流側ゲート3における混雑を解消すべく、速度制御装置6は、マンコンベア1の運転速度を増速するようにVVVFインバータ5へと指令を出力する。そして、この増速に係る指令を受けたVVVFインバータ5により、モーター4へと供給する電力の電圧・周波数が制御されてモーター4の回転数が増加し、マンコンベア1の運転速度が増速される。
【0049】
ステップS32に続くステップS33においては、速度制御装置6は、上流側ゲート3から送信される通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下である状態が、予め定めた一定時間以上継続しているか否かについて確認する。このステップS33において、通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下である状態が、前記一定時間以上継続していることが確認された場合には、未だ上流側ゲート3における混雑は解消されていないと判断される。従って、通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下である状態が、前記一定時間以上継続していることが確認されなくなるまで、マンコンベア1の運転速度が通常より増速された状態が継続され、このステップS33での確認が繰り返される。
【0050】
そして、ステップS33において、通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下である状態が、前記一定時間以上継続していないことが確認された場合には、ステップS34へと進む。このステップS34においては、ステップS32においてマンコンベア1の運転速度を増速した後、通過許可(OK)信号の受信間隔が前記規定時間以下である状態が継続せず解消されたということである。従って、上流側ゲート3における混雑状態は解消していると考えられる。そこで、速度制御装置6は、マンコンベア1の運転速度を減速するようにVVVFインバータ5へと指令を出力する。
【0051】
そして、この減速に係る指令を受けたVVVFインバータ5により、モーター4へと供給する電力の電圧・周波数が制御されてモーター4の回転数が減少し、マンコンベア1の運転速度が減速される。こうして、マンコンベア1の運転速度は通常時のものに復帰される。その後、ステップS31へと戻り、以上の動作フローが繰り返される。
以上の構成においては、下流側ゲート2は必ずしも設けられている必要はない。また、上流側ゲート3は、ここで用いていない通過不許可信号や故障信号を出力しないようにしてもよい。
【0052】
なお、以上の実施の形態1から4の構成においては、下流側ゲート2や上流側ゲート3を図2に示すように複数設けるようにしてもよいし、それぞれ1台のみ設けるようにしてもよい。また、マンコンベア1についても、1台だけでなく複数台設けるようにしてもよい。そして、下流側ゲート2、上流側ゲート3やマンコンベア1を複数台設ける構成とした場合には、以上の実施の形態1から4における各々の動作を、それぞれのゲート及びマンコンベアにおいて取捨選択して行うようにしてもよい。
【0053】
すなわち、下流側ゲート2や上流側ゲート3及びマンコンベア1を、それぞれ複数台設けた場合に、複数の下流側ゲート2及び上流側ゲート3から送信される通過許可/不許可信号及び故障信号に基づいて、複数のマンコンベア1の運転速度(停止も含む)を制御するようにする。そして、この際、マンコンベア1に備える速度制御装置6とは別に、複数のゲートからの各信号を受信して複数のマンコンベア1の運転速度を制御する制御手段を設けるようにしてもよい。このようにすることにより、より効率よくマンコンベアを稼動させることが可能である。
【0054】
以上のように構成されたマンコンベアの制御装置は、簡潔な構成で、乗り口側に改札機等のゲートが設置されているマンコンベアにおいて、ゲートを通過する乗客が多く滞留が発生した場合に、マンコンベアの運転速度を増速してゲートでの乗客滞留を解消することができ、また、マンコンベアでの乗客蝟集の発生を未然に防止することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 マンコンベア
2 下流側ゲート
2a 第1の下流側ゲート
2b 第2の下流側ゲート
2c 第3の下流側ゲート
3 上流側ゲート
4 モーター
5 VVVFインバータ
6 速度制御装置
7 入力I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り口から降り口へと利用者を運搬するマンコンベアと、
前記マンコンベアの運転速度を制御する速度制御手段と、を備え、
前記速度制御手段は、前記マンコンベアの乗り口側及び降り口側の少なくともいずれか一方に設けられ前記利用者の通過の許可/不許可を制御するゲートと通信可能に接続されるとともに、前記ゲートから送信される通過許可信号、通過不許可信号及び故障信号の少なくともいずれか1つを含む信号に基づいて前記マンコンベアの運転速度を制御することを特徴とするマンコンベアの制御装置。
【請求項2】
前記ゲートは、前記マンコンベアの降り口側に設置される下流側ゲートであり、
前記速度制御手段は、前記下流側ゲートから送信される前記通過許可信号の受信間隔が所定の時間以下である場合に、前記マンコンベアの運転速度を減速させるよう制御することを特徴とする請求項1に記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項3】
前記ゲートは、前記マンコンベアの降り口側に設置される下流側ゲートであり、
前記速度制御手段は、前記下流側ゲートから送信される前記通過不許可信号を受信した場合に、前記マンコンベアの運転速度を減速させるよう制御することを特徴とする請求項1に記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項4】
前記ゲートは、前記マンコンベアの降り口側に設置される下流側ゲートであり、
前記速度制御手段は、前記下流側ゲートから送信される前記故障信号を受信した場合に、前記マンコンベアの運転速度を減速させるよう制御することを特徴とする請求項1に記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項5】
前記ゲートは、前記マンコンベアの乗り口側に設置される上流側ゲートであり、
前記速度制御手段は、前記上流側ゲートから送信される前記通過許可信号の受信間隔が所定の時間以下である場合に、前記マンコンベアの運転速度を増速させるよう制御することを特徴とする請求項1に記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項6】
前記マンコンベア及び前記ゲートは、それぞれ複数設けられ、
前記速度制御手段は、複数の前記ゲートから送信される前記通過許可信号、前記通過不許可信号及び前記故障信号の少なくともいずれかを含む全ての信号に基づいて、複数の前記マンコンベアの運転速度を制御することを特徴とする請求項1に記載のマンコンベアの制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−251842(P2011−251842A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128559(P2010−128559)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】