説明

マンホールと下水道本管との接続構造

【課題】施工が容易であるとともに止水性に優れ、マンホールの強度低下を招かないマンホールと下水道本管との接続構造の提供。
【解決手段】マンホールと下水道本管との接続構造Aは、ゴムパッキン4を装入した鋼製管2を、係止部24がマンホール内壁13に当接する様に、マンホール1の内側から取付孔12へ圧入し、ゴム円筒体3の径大部31を、マンホール1の外側へ突き出た鋼製管2の外周へマンホール1の外側で嵌め込み、下水道本管5をゴム円筒体3内で推進させて径小部32外周のステンレスバンド35を締め付けてゴム円筒体3に固定して施工される。ゴムパッキン4により止水する構造であるので、施工が容易であるとともに止水性に優れる。また、マンホール1の側壁11に、穴を開けたりアンカーボルト等を打ち込まないので、マンホール1の強度低下を招かない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールと下水道本管との接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下水道本管と汚水枡間の接続に、環状凸状を外周に設けたゴム継手を用いる技術が知られている(特許文献1参照)。
また、図10に示す様に、マンホール100の側壁101に、立坑102内からアンカーボルト103を打ち込み、可撓性円筒体104を取り付けた剛性管105のフランジ106(全周)に開けた連通孔107から突き出たアンカーボルト103にナット108を捩じ込んで固定する、下水道本管とマンホールとの接続構造Cも知られている。
【特許文献1】特開2002−54220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1は、ゴム継手による、下水道本管と汚水枡間の接続に手間がかかるという課題がある。
また、下水道本管とマンホールとの接続構造Cは、下記の課題を有する。
側壁101にアンカーボルト103を打ち込んで、ボルトにナット108を捩じ込む必要があるため、手間がかかる。
アンカーボルト103の打ち込みにより、マンホール100の強度が低下する。
二本以上の下水道本管を、別の方向からマンホール100に取り付ける場合、フランジ106どうしが干渉して下水道本管を一本しか取り付けられない場合がある。
全周フランジは、コストがかかる。
【0004】
本発明の目的は、施工が容易であるとともに止水性に優れ、マンホールの強度低下を招かないマンホールと下水道本管との接続構造の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(請求項1について)
請求項1のマンホールと下水道本管との接続構造は、立坑内に設置されるマンホールの側壁に設けた断面円形の取付孔へ、遊びがある状態に本管端部を嵌め込んだ断面円形の下水道本管を、剛性円管と可撓性円筒体と弾性パッキンとを具備する可撓ジョイントを用いて接続している。
【0006】
可撓ジョイントの剛性円管は、側壁より長い円筒部の外周の前後に一対のパッキンストッパーを周設して間に弾性パッキンを装入し、マンホール内壁へ当接する係止部を円管後端に設けている。
可撓ジョイントの可撓性円筒体は、マンホール外側へ突き出た円筒部の外周を外嵌する径大部、下水道本管の外周を外嵌する径小部、および径小部と径大部との間に位置する径拡部を有し、径大部外周および径小部外周に締具を取り付けている。
【0007】
施工は、以下の様に行う。
パッキンストッパー間に弾性パッキンを装入した剛性円管を、係止部がマンホール内壁に当接する様に、マンホールの内側から剛性円管を取付孔へ圧入する。なお、取付孔内壁と剛性円管外周面との間の隙間にシール材をマンホール外側から充填すれば止水性がより一層、向上する。
可撓性円筒体の径大部を、マンホール外側へ突き出た剛性円管の外周へマンホール外側で嵌め込む。
先端がマンホール内壁に臨む位置まで下水道本管を可撓ジョイント内で推進させ、径小部外周の締具を立坑内で締め付けて下水道本管を可撓性円筒体に固定する。
【0008】
請求項1のマンホールと下水道本管との接続構造は、一対のパッキンストッパー間に装入した弾性パッキンにより止水する構造であるので、施工が容易であるとともに止水性に優れる。また、マンホールの側壁に、穴を開けたりアンカーボルト等を打ち込まないので、マンホールの強度低下を招かない。
なお、剛性円管を取付孔へ圧入する際にマンホール内壁に係止部が当接すれば良く、剛性円管の後端をフランジ状にする必要はない。
【0009】
(請求項2について)
剛性円管の係止部を含む円管後端の曲率をマンホール内壁の曲率と同じにすれば、マンホール内壁面から、剛性円管の後端部分が食み出ない(マンホール内壁に当接する係止部は除く)ので、工事完了以降にマンホール内で行う保守作業の邪魔にならない。
一対のパッキンストッパーの周設曲率を取付孔内壁の曲率と同じにすれば、パッキンストッパー間に装入する弾性パッキンの配設曲率も取付孔内壁の曲率と同じになり、弾性パッキンによる止水能力が大幅に向上する。
弾性パッキンが取付孔内壁から食み出ないため、どんな曲率のマンホールや、角形のマンホールでも止水が可能となる。
【0010】
(請求項3について)
パッキンストッパー間に弾性パッキンを装入した剛性円管を、係止部がマンホール内壁に当接するまで、マンホールの内側から剛性円管を取付孔へ圧入する(剛性円管圧入工程)。圧入する際に、弾性パッキンのリブ山が取付孔の内壁へ押圧されて潰れることにより、高い止水性が得られる。なお、剛性円管圧入後に、取付孔内壁と剛性円管外周面との間の隙間にシール材をマンホール外側から充填すれば止水性がより一層、向上する。また、係止部がマンホール内壁に当接するまで圧入する際に、円管前端が取付孔からマンホール外側へ突き出る様に剛性円管の軸方向の長さが設定されている。
【0011】
径大部、径小部、および径拡部を有し、径大部外周および径小部外周に締具を取り付けた可撓性円筒体の径大部を、マンホール外側へ突き出た剛性円管前端の外周へマンホール外側で嵌め込む(可撓性円筒体嵌込工程)。
下水道本管の端部がマンホール内壁に臨む位置まで可撓性円筒体内を推進させ、径小部外周の締具をマンホール外で締め付け、下水道本管を可撓ジョイントに固定する(下水道本管固定工程)。
【0012】
施工現場で行う作業としては、下水道本管の端部がマンホール内壁に臨む位置まで可撓ジョイント内を推進させ、径小部外周の締具をマンホール外側で締め付け、下水道本管を可撓ジョイントに固定する。これ以外の作業は、全て施工現場以外の作業場(製造工場等)で行う。
【0013】
パッキンストッパー間に装入した弾性パッキンのリブ山を取付孔の内壁に押圧して潰すことにより止水する構造であるので、施工が容易であるとともに止水性に優れる。
マンホールの側壁に、穴を開けたりアンカーボルト等を打ち込む必要がないので、マンホールの強度低下を招かない。なお、マンホール内から剛性円管を取付孔へ圧入して係止部をマンホール内壁に当接させれば良いので、剛性円管の後端をフランジ状にする必要はない。
【0014】
(請求項4について)
請求項4のマンホールと下水道本管との接続構造は、立坑内に設置されるマンホールの側壁に設けた断面円形の取付孔へ、遊びがある状態に本管端部を嵌め込んだ断面円形の下水道本管を、剛性円管と可撓性円筒体と弾性パッキンとを具備する可撓ジョイントを用いて接続している。
【0015】
可撓ジョイントの剛性円管は、側壁より長い円筒部の外周の前後に一対のパッキンストッパーを周設して間に弾性パッキンを装入し、複数の固定具により取付孔内へ同軸的に固定される。
可撓ジョイントの可撓性円筒体は、マンホール外側へ突き出た円筒部の外周を外嵌する径大部、下水道本管の外周を外嵌する径小部、および径小部と径大部との間に位置する径拡部を有し、径大部外周および径小部外周に締具を取り付けている。
【0016】
施工は、以下の様に行う。
パッキンストッパー間に弾性パッキンを装入した剛性円管を、係止部がマンホール内壁に当接する様に、マンホールの内側から剛性円管を取付孔へ圧入する。なお、取付孔内壁と剛性円管外周面との間の隙間にシール材をマンホール外側から充填すれば止水性がより一層、向上する。
複数の固定具により剛性円管を取付孔へ同軸的に固定する。
可撓性円筒体の径大部を、マンホール外側へ突き出た剛性円管の外周へマンホール外側で嵌め込む。径大部外周の締具を締め付けて、可撓性円筒体の径大部を剛性円管へ固定する。端部の先端がマンホール内壁に臨む位置まで下水道本管を可撓ジョイント内で推進させ、径小部外周の締具をマンホール外で締め付けて下水道本管を可撓性円筒体に固定する。
【0017】
請求項4のマンホールと下水道本管との接続構造は、一対のパッキンストッパー間に装入した弾性パッキンにより止水する構造であるので、施工が容易であるとともに止水性に優れる。また、マンホールの側壁に、穴を開けたりアンカーボルト等を打ち込まないので、マンホールの強度低下を招かない。
複数の固定具により、取付孔内へ可撓ジョイントの剛性円管を同軸的に固定する構造であるので、マンホール内へ剛性円管後端(係止部)が突出しないとともに、剛性円管に係止部を設ける必要がない。
【0018】
(請求項5について)
円管後端の曲率をマンホール内壁の曲率と同じにすれば、マンホール内壁面から、剛性円管の後端部分が食み出ないので、工事完了以降にマンホール内で行う保守作業の邪魔にならない。
一対のパッキンストッパーの周設曲率を取付孔内壁の曲率と同じにすれば、パッキンストッパー間に装入する弾性パッキンの配設曲率も取付孔内壁の曲率と同じになり、弾性パッキンによる止水能力が大幅に向上する。
弾性パッキンが取付孔内壁から食み出ないため、どんな曲率のマンホールや、角形のマンホールでも止水が可能となる。
【0019】
(請求項6について)
以下に示す施工手順で、マンホールと下水道本管とを接続する。
施工現場以外の作業場(製造工場等)で、剛性円管の管外周の前後に周設した一対のパッキンストッパー間に弾性パッキンを装入する(パッキン装入工程)。
パッキンストッパー間に弾性パッキンを装入した剛性円管を、マンホール内壁に円管後端が臨む位置まで、マンホール外側から剛性円管を取付孔へ圧入する(剛性円管圧入工程)。圧入する際に、弾性パッキンのリブ山が取付孔の内壁へ押圧されて潰れることにより、高い止水性が得られる。なお、剛性円管圧入後に、取付孔内壁と剛性円管外周面との間の隙間にシール材をマンホール外側から充填すれば止水性がより一層、向上する。また、円管後端をマンホール内壁に臨む位置まで剛性円管を取付孔へ圧入した際に、円管前部が取付孔からマンホール外側へ突き出る様に剛性円管の軸方向の長さが設定されている。
【0020】
剛性円管後端に取り付けた複数の固定具により、剛性円管を取付孔へ同軸的に固定する(剛性円管固定工程)。
径大部、径小部、および径拡部を有し、径大部外周および径小部外周に締具を取り付けた可撓性円筒体の径大部を、マンホール外側へ突き出た剛性円管後端の外周へマンホール外側で嵌め込む(可撓性円筒体嵌込工程)。
下水道本管の端部の先端がマンホール内壁に臨む位置まで可撓ジョイント内を推進させ、径小部外周の締具をマンホール外側で締め付け、下水道本管をジョイントに固定する(下水道本管固定工程)。
【0021】
上記の手順で、マンホールと下水道本管とを接続する請求項6の施工方法は、以下の利点を有する。
下水道本管の端部の先端がマンホール内壁に臨む位置まで可撓ジョイント内を推進させ、径小部外周の締具をマンホール外側で締め付け、下水道本管を可撓ジョイントに固定する。これ以外の作業は製造工場で行うことができる。
【0022】
パッキンストッパー間に装入した弾性パッキンのリブ山を取付孔の内壁に押圧して潰すことにより止水する構造であるので、施工が容易であるとともに止水性に優れる。
マンホールの側壁に、穴を開けたりアンカーボルト等を打ち込む必要がないので、マンホールの強度低下を招かない。
なお、円管後端がマンホール内壁に臨む位置まで、マンホール外側から剛性円管を取付孔へ圧入して、剛性円管後端に取り付けた複数の固定具により、剛性円管を取付孔へ同軸的に固定すれば良いので、剛性円管の後端をフランジ状にする必要はない。
【0023】
(請求項7について)
以下に示す施工手順で、マンホールと下水道本管とを接続する。
施工現場以外の作業場(製造工場等)で、剛性円管の管外周の前後に周設した一対のパッキンストッパー間に弾性パッキンを装入する(パッキン装入工程)。
パッキンストッパー間に弾性パッキンを装入した剛性円管を、マンホール内壁に円管後端が臨む位置まで、マンホール外側から剛性円管を取付孔へ圧入する(剛性円管圧入工程)。圧入する際に、弾性パッキンのリブ山が取付孔の内壁へ押圧されて潰れることにより、高い止水性が得られる。なお、剛性円管圧入後に、取付孔内壁と剛性円管外周面との間の隙間にシール材をマンホール外側から充填すれば止水性がより一層、向上する。また、円管後端をマンホール内壁に臨む位置まで剛性円管を取付孔へ圧入した際に、円管前部が取付孔からマンホール外側へ突き出る様に剛性円管の軸方向の長さが設定されている。
【0024】
剛性円管後端に取り付けた複数の固定具により、剛性円管を取付孔へ同軸的に固定する(剛性円管固定工程)。
径大部、径小部、および径拡部を有し、径大部外周および径小部外周に締具を取り付けた可撓性円筒体の径大部を、マンホール外側へ突き出た剛性円管後端の外周へマンホール外側で嵌め込む(可撓性円筒体嵌込工程)。
径大部外周に取り付けた締具をマンホール外側で締め付けて、可撓性円筒体を剛性円管の円管前端に固定する(可撓性円筒体固定工程)。
下水道本管の端部の先端がマンホール内壁に臨む位置まで可撓ジョイント内を推進させ、径小部外周の締具をマンホール外側で締め付け、下水道本管を可撓ジョイントに固定する(下水道本管固定工程)。
【0025】
上記の手順で、マンホールと下水道本管とを接続する請求項7の施工方法は、以下の利点を有する。
下水道本管の端部の先端がマンホール内壁に臨む位置まで可撓ジョイント内を推進させ、径小部外周の締具をマンホール外側で締め付け、下水道本管を可撓ジョイントに固定する。これ以外の作業は製造工場で行うことができる。
【0026】
パッキンストッパー間に装入した弾性パッキンのリブ山を取付孔の内壁に押圧して潰すことにより止水する構造であるので、施工が容易であるとともに止水性に優れる。
マンホールの側壁に、穴を開けたりアンカーボルト等を打ち込む必要がないので、マンホールの強度低下を招かない。
なお、円管後端がマンホール内壁に臨む位置まで、マンホール外側から剛性円管を取付孔へ圧入して、剛性円管後端に取り付けた複数の固定具により、剛性円管を取付孔へ同軸的に固定すれば良いので、剛性円管の後端をフランジ状にする必要はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
マンホールと下水道本管との接続構造は、立坑内に設置されるマンホールの側壁に設けた断面円形の取付孔へ、剛性円管と可撓性円筒体と弾性パッキンとを具備する可撓ジョイントを用いて断面円形の下水道本管を接続している。
可撓ジョイントの剛性円管は、パッキンストッパー間に弾性パッキンを装入し、円管後端に係止部を設けている。また、可撓ジョイントの可撓性円筒体は、マンホール外側へ突き出た円筒部の外周を外嵌する径大部、下水道本管の外周を外嵌する径小部を有する。
【0028】
施工は、以下の様に行う。
弾性パッキンを装入した剛性円管を、係止部がマンホール内壁に当接する様に、マンホールの内側から剛性円管を取付孔へ圧入する。止水性向上のため、剛性円管圧入後に、取付孔内壁と剛性円管外周面との間の隙間にシール材をマンホール外側から充填する。
可撓性円筒体の径大部を、マンホール外側へ突き出た剛性円管の外周へマンホール外側で嵌め込む。
下水道本管の端部がマンホール内壁に臨む位置まで可撓ジョイント内を推進させ、径小部外周の締具をマンホール外側で締め付け、下水道本管を可撓ジョイントに固定する。
【0029】
このマンホールと下水道本管との接続構造は、装入した弾性パッキンにより止水する構造であるので、施工が容易であるとともに止水性に優れる。また、マンホールの側壁に、穴を開けたりアンカーボルト等を打ち込まないので、マンホールの強度低下を招かない。
【実施例1】
【0030】
本発明の実施例1(請求項1、2、3に対応)を図1〜図7に基づいて説明する。
図1に示す如く、マンホールと下水道本管との接続構造Aは、立坑10内に設置されるマンホール1の側壁11に設けた取付孔12へ、鋼製管2(剛性円管)とゴム円筒体3(可撓性円筒体)とゴムパッキン4(弾性パッキン)とを具備する可撓ジョイントj1を用いて下水道本管5を接続している。
【0031】
マンホール1(コンクリート製)は、接続式であり、複数個の円筒体を、接続部材とシール部材を用いて上下方向に積み重ねて形成され、立坑10内に立設される。このマンホール1の側壁11には、断面円形の取付孔12が穿設されている。
【0032】
鋼製管2(鋼鉄製)は、側壁11の肉厚より管の軸方向の寸法を長くした円筒部21の外周の前後にパッキンストッパー22、23を一体に周設し、マンホール内壁13へ当接させるための係止部24を円管後端に、上下二箇所(下のみでも良い)設けている。
鋼製管2の係止部24を含む円管後端の曲率はマンホール内壁13の曲率と同じに設定され、パッキンストッパー22、23の周設曲率は取付孔12の内壁の曲率と同じに設定されている。
【0033】
ゴム円筒体3は、取付孔12からマンホール1の外側へ突き出た鋼製管2の円筒部21の外周を外嵌する径大部31と、断面円形の下水道本管5(ヒューム管製)の外周を外嵌する径小部32と、径小部32と径大部31の間に位置する径拡部33とを有し、径大部外周および径小部外周にステンレスバンド34、35(締具)を取り付けている。
【0034】
ゴムパッキン4(弾性パッキン)は、鋼製管2の円筒部21の外周に周設したパッキンストッパー22、23間に装入されている。
なお、取付孔12の内壁と、鋼製管2の円筒部21の外周面との間の隙間s1には、シール材14がマンホール1の外側から充填されている。
【0035】
マンホールと下水道本管との接続構造Aの施工は、以下の様にして行う。
(1)マンホールの製造工場で、鋼製管2の円筒部21の外周に周設したパッキンストッパー22、23間にゴムパッキン4を装入する。
【0036】
(2)図3、図4に示す如く、係止部24がマンホール内壁13に当接する様に、マンホール1の内側から鋼製管2を取付孔12へ油圧ジャッキ15等で圧入する。なお、鋼製管2は、管の軸方向の寸法が側壁11の肉厚より長いので、円筒部前側25が取付孔12からマンホール1の外側へ突き出る。なお、止水性を向上させるため、取付孔12の内壁と鋼製管2の外周面との間の隙間にシール材14をマンホール1の外側から充填する。
【0037】
(3)マンホール1の外側からゴム円筒体3の径大部31を、マンホール1の外側に突き出た鋼製管2の円筒部前側25の外周へ嵌め込む(図5、図6参照)。なお、嵌め込む前に、径大部31の外周および径小部32の外周に、予めステンレスバンド34、35(締具)を取り付けておく(図5参照)。
【0038】
(4)端部51の先端52がマンホール内壁13に臨む位置まで、下水道本管5を可撓ジョイントj1内で推進させる(図7参照)。そして、径小部32の外周のステンレスバンド35をマンホール1の外側で締め付けて下水道本管5をゴム円筒体3に固定する(図1参照)。
【0039】
本実施例のマンホールと下水道本管との接続構造Aは、下記の利点を有する。
マンホールと下水道本管との接続構造Aは、パッキンストッパー22、23間に装入したゴムパッキン4により地下水を止水する構造であるので、施工が容易であるとともに止水性に優れる。また、マンホール1の側壁11に、取付孔12以外の穴を開けたりアンカーボルト等を打ち込まないので、マンホール1の強度低下を招かない。
なお、鋼製管2を取付孔12へ圧入する際にマンホール内壁13に係止部24が当接すれば良いので、鋼製管2の後端をフランジ状にする必要はない。
下水道本管5の端部の先端がマンホール内壁に臨む位置まで可撓ジョイントj1内を推進させ、径小部32の外周のステンレスバンド35をマンホール1の外側で締め付け、下水道本管5を可撓ジョイントj1に固定する。これ以外の作業は製造工場で行うことができる。
【0040】
鋼製管2の係止部24を含む円管後端の曲率をマンホール内壁13の曲率と同じにしているので、鋼製管2の円管後端部分がマンホール内へ食み出ない(マンホール内壁13に当接する係止部24は除く)ので、工事完了以降にマンホール1内で行う保守作業の邪魔にならない。
【0041】
また、パッキンストッパー22、23の周設曲率を取付孔12内壁の曲率と同じにしているので、パッキンストッパー22、23間に装入されるゴムパッキン4の配設曲率も取付孔12内壁の曲率と同じになり、ゴムパッキン4による止水能力が高い。
【0042】
鋼製管2を取付孔12へ圧入する際に、パッキンストッパー22、23間に装入したゴムパッキン4のリブ山が取付孔12の内壁によって押圧されて潰れて止水する構造であるので、施工が容易であるとともに止水性に優れる。また、取付孔12の内壁と鋼製管2の外周面との間の隙間にシール材14をマンホール1外から充填しているので止水性が更に向上する。
【実施例2】
【0043】
本発明の実施例2(請求項4、5、6に対応)を図8および図9に基づいて説明する。 図8に示す如く、マンホールと下水道本管との接続構造Bは、立坑10内に設置されるマンホール1の側壁11に設けた取付孔12へ、鋼製管6(剛性円管)とゴム円筒体3(可撓性円筒体)とゴムパッキン7(弾性パッキン)とを具備する可撓ジョイントj2を用いて下水道本管5を接続している。
【0044】
鋼鉄製の鋼製管6は、側壁11の肉厚より長い円筒状を呈し、外周の前後にパッキンストッパー61、62を一体に周設し、取付孔12内へ同軸的に鋼製管6を固定するためのボルト63とナット64(固定具)を複数組、取り付けている。なお、鋼製管6の円管後端の曲率はマンホール内壁13の曲率と同じに設定され、パッキンストッパー61、62の周設曲率は取付孔12の内壁の曲率と同じに設定されている。
【0045】
ゴムパッキン7(弾性パッキン)は、鋼製管6の外周に周設したパッキンストッパー61、62間に装入されている。なお、取付孔12の内壁と、鋼製管6の外周面との間の隙間s2には、シール材14がマンホール1の外側から充填されている。
【0046】
マンホールと下水道本管との接続構造Bの施工は、以下の様にして行う。
(1)マンホールの製造工場で、鋼製管6の外周に周設したパッキンストッパー61、62間にゴムパッキン7を装入する。
【0047】
(2)マンホール1の外側から鋼製管6を取付孔12へ圧入する(図9参照)。なお、鋼製管6は、管の軸方向の寸法が側壁11の肉厚より長いので、管前端部65が取付孔12からマンホール1の外側へ突き出る。なお、止水性を向上させるため、取付孔12の内壁と鋼製管6の外周面との間の隙間にシール材14をマンホール1の外側から充填する。
【0048】
(3)複数のボルト63とナット64により鋼製管6を取付孔12へ同軸的に固定する。(4)マンホール1の外側からゴム円筒体3の径大部31を、マンホール1の外側に突き出た鋼製管6の管前端部65の外周へ嵌め込む。なお、嵌め込む前に、径大部31の外周および径小部32の外周に、予めステンレスバンド34、35(締具)を取り付けておく。
【0049】
(5)端部51の先端52がマンホール内壁13に臨む位置まで、下水道本管5を可撓ジョイントj2内で推進させる。そして、径小部32の外周のステンレスバンド35をマンホール1の外側で締め付けて下水道本管5をゴム円筒体3に固定する(図8参照)。
【0050】
本実施例のマンホールと下水道本管との接続構造Bは、下記の利点を有する。
マンホールと下水道本管との接続構造Bは、パッキンストッパー22、23間に装入したゴムパッキン7により地下水を止水する構造であるので、施工が容易であるとともに止水性に優れる。また、マンホール1の側壁11に、取付孔12以外の穴を開けたりアンカーボルト等を打ち込まないので、マンホール1の強度低下を招かない。
【0051】
なお、鋼製管6を取付孔12へ圧入する際に、複数のボルト63とナット64により鋼製管6を取付孔12へ同軸的に固定すれば良いので、鋼製管6の後端をフランジ状にする必要がない。
下水道本管5の端部の先端がマンホール内壁に臨む位置まで可撓ジョイントj2内を推進させ、径小部32の外周のステンレスバンド35をマンホール1の外側で締め付け、下水道本管5を可撓ジョイントj2に固定する。これ以外の作業は製造工場で行うことができる。
【0052】
鋼製管6の円管後端の曲率をマンホール内壁13の曲率と同じにしているので、鋼製管6の円管後端部分がマンホール1内へ食み出ないので、工事完了以降にマンホール1内で行う保守作業の邪魔にならない。
【0053】
また、パッキンストッパー61、62の周設曲率を取付孔12内壁の曲率と同じにしているので、パッキンストッパー61、62間に装入されるゴムパッキン7の配設曲率も取付孔12内壁の曲率と同じになり、ゴムパッキン7が食み出さないため、止水が可能である。
【0054】
鋼製管6を取付孔12へ圧入する際に、パッキンストッパー61、62間に装入したゴムパッキン7のリブ山が取付孔12の内壁によって押圧されて潰れて止水する構造であるので、施工が容易であるとともに止水性に優れる。また、取付孔12の内壁と鋼製管6の外周面との間の隙間s2にシール材14をマンホール1内から充填しているので止水性が更に向上する。
【0055】
本発明は、上記実施例以外に、つぎの実施態様を含む。
a.ゴムパッキン4、7(弾性パッキン)は、水膨張ゴムでも良い。
b.ゴムパッキン4、7の形状を、マンホールの大ききや、形状に合わせることができるため、角形マンホール、マンホール側壁の曲率半径Rが大きいマンホール、マンホール側壁の曲率半径Rが小さいマンホールに対しても適用できる。
c.係止部24の数、ボルト63・ナット64の数は、任意である。パッキンストッパー22、62はなくても良い。
d.鋼製管6は、マンホール1内から取付孔12へ圧入しても良い。
e.係止部と固定具とを併設しても良い。
f.曲率半径の同一化は、正確でなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施例1に係るマンホールと下水道本管との接続構造の垂直方向の断面図である。
【図2】実施例1に係るマンホールと下水道本管との接続構造の水平方向の断面図である。
【図3】実施例1に係るマンホールと下水道本管との接続構造において、パッキンストッパー間に弾性パッキンを装入した鋼製管を、マンホール側から取付孔へ嵌め込むところを示す断面図である。
【図4】実施例1に係るマンホールと下水道本管との接続構造において、パッキンストッパー間に弾性パッキンを装入した鋼製管を取付孔へジャッキで圧入したところを示す断面図である。
【図5】実施例1に係るマンホールと下水道本管との接続構造において、(a)はゴム円筒体の径大部を鋼製管の円筒部前側の外周へ嵌め込むところを示す垂直方向の断面図であり、(b)はゴム円筒体の径大部を鋼製管の円筒部前側の外周へ嵌め込むところを示す水平方向の断面図である。
【図6】実施例1に係るマンホールと下水道本管との接続構造において、鋼製管の円筒部前側の外周へ嵌め込んだゴム円筒体の径大部を、ステンレスバンドを締め付けて鋼製管前部に固定するところを示す垂直方向の断面図である。
【図7】実施例1に係るマンホールと下水道本管との接続構造において、端部の先端がマンホール内壁に臨む位置まで、下水道本管をゴム円筒体内で推進させるところを示す垂直方向の断面図である。
【図8】実施例2に係るマンホールと下水道本管との接続構造において、鋼製管の円筒部前側の外周へ嵌め込んだゴム円筒体の径大部を、ステンレスバンドを締め付けて鋼製管前部に固定するところを示す垂直方向の断面図である。
【図9】実施例2に係るマンホールと下水道本管との接続構造において、パッキンストッパー間に弾性パッキンを装入した鋼製管を、立坑側から取付孔へ嵌め込むところを示す断面図である。
【図10】従来技術に係るマンホールと下水道本管との接続構造の垂直方向の断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 マンホール
2、6 鋼製管(剛性円管)
3 ゴム円筒体(可撓性円筒体)
4、7 ゴムパッキン(弾性パッキン)
5 下水道本管
10 立坑
11 側壁
12 取付孔
21 円筒部
22、23 パッキンストッパー
24 係止部
25 円筒部前側
31 径大部
32 径小部
33 径拡部
34、35 ステンレスバンド(締具)
63 ボルト(固定具)
64 ナット(固定具)
A、B マンホールと下水道本管との接続構造
j1、j2 可撓ジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立坑内に設置されるマンホールの側壁に設けた断面円形の取付孔へ、遊びがある状態に本管端部を嵌め込んだ断面円形の下水道本管を可撓ジョイントを用いて接続するマンホールと下水道本管との接続構造であって、
前記可撓ジョイントは、
前記側壁より長い円筒部の外周の前後に一対のパッキンストッパーを周設し、マンホール内壁へ当接する係止部を円管後端に設けた剛性円管と、
マンホール外側へ突き出た前記円筒部の外周を外嵌する径大部、前記下水道本管の外周を外嵌する径小部、および該径小部と前記径大部との間に位置する径拡部を有し、径大部外周および径小部外周に締具を取り付けた可撓性円筒体と、
パッキンストッパー間に装入される弾性パッキンとを具備することを特徴とするマンホールと下水道本管との接続構造。
【請求項2】
前記剛性円管の前記係止部を含む円管後端の曲率をマンホール内壁の曲率と同じにし、 前記一対のパッキンストッパーの周設曲率を取付孔内壁の曲率と同じにしたことを特徴とする請求項1に記載のマンホールと下水道本管との接続構造。
【請求項3】
立坑内に設置されるマンホールの側壁に設けた断面円形の取付孔へ、断面円形の下水道本管を、剛性円管、可撓性円筒体、および弾性パッキンを備えた可撓ジョイントを用いて接続するマンホールと下水道本管との接続方法であって、
円管後端に係止部を設けた前記剛性円管の管外周の前後に周設した一対のパッキンストッパー間に前記弾性パッキンを装入するパッキン装入工程と、
前記係止部がマンホール内壁に当接する様に、マンホールの内側から前記剛性円管を取付孔へ圧入する剛性円管圧入工程と、
径大部、径小部、および径拡部を有し、径大部外周および径小部外周に締具を取り付けた前記可撓性円筒体の前記径大部を、マンホール外側へ突き出た前記剛性円管の外周へマンホール外側で嵌め込む可撓性円筒体嵌込工程と、
前記下水道本管の端部がマンホール内壁に臨む位置まで可撓ジョイント内を推進させ、前記径小部外周の前記締具をマンホール外側で締め付ける下水道本管固定工程とからなるマンホールと下水道本管との接続方法。
【請求項4】
立坑内に設置されるマンホールの側壁に設けた断面円形の取付孔へ、遊びがある状態に本管端部を嵌め込んだ断面円形の下水道本管を可撓ジョイントを用いて接続するマンホールと下水道本管との接続構造であって、
前記可撓ジョイントは、
前記側壁より長い円筒部の外周の前後に一対のパッキンストッパーを周設し、複数の固定具により取付孔内へ同軸的に固定される剛性円管と、
マンホール外側へ突き出た前記円筒部の外周を外嵌する径大部、前記下水道本管の外周を外嵌する径小部、および該径小部と前記径大部との間に位置する径拡部を有し、径大部外周および径小部外周に締具を取り付けた可撓性円筒体と、
パッキンストッパー間に装入される弾性パッキンとを具備することを特徴とするマンホールと下水道本管との接続構造。
【請求項5】
円管後端の曲率をマンホール内壁の曲率と同じにし、
前記一対のパッキンストッパーの周設曲率を取付孔内壁の曲率と同じにしたことを特徴とする請求項3に記載のマンホールと下水道本管との接続構造。
【請求項6】
立坑内に設置されるマンホールの側壁に設けた断面円形の取付孔へ、断面円形の下水道本管を、剛性円管、可撓性円筒体、および弾性パッキンを備えた可撓ジョイントを用いて接続するマンホールと下水道本管との接続方法であって、
剛性円管の管外周の前後に周設した一対のパッキンストッパー間に弾性パッキンを装入するパッキン装入工程と、
マンホールの内壁に円管後端が臨む位置まで、マンホール外側から前記剛性円管を取付孔へ圧入する剛性円管圧入工程と、
剛性円管後端に取り付けた複数の固定具により、前記剛性円管を前記取付孔へ同軸的に固定する剛性円管固定工程と、
径大部、径小部、および径拡部を有し、径大部外周および径小部外周に締具を取り付けた可撓性円筒体の前記径大部を、マンホール外側へ突き出た前記剛性円管の外周へマンホール外側で嵌め込む可撓性円筒体嵌込工程と、
前記下水道本管の端部がマンホール内壁に臨む位置まで可撓ジョイント内を推進させ、前記径小部外周の前記締具を立坑内で締め付ける下水道本管固定工程とからなるマンホールと下水道本管との接続方法。
【請求項7】
立坑内に設置されるマンホールの側壁に設けた断面円形の取付孔へ、断面円形の下水道本管を、剛性円管、可撓性円筒体、および弾性パッキンを備えた可撓ジョイントを用いて接続するマンホールと下水道本管との接続方法であって、
剛性円管の管外周の前後に周設した一対のパッキンストッパー間に弾性パッキンを装入するパッキン装入工程と、
前記マンホールの内壁に円管後端が臨む位置まで、マンホール外側から前記剛性円管を取付孔へ圧入する剛性円管圧入工程と、
剛性円管後端に取り付けた複数の固定具により、前記剛性円管を前記取付孔へ同軸的に固定する剛性円管固定工程と、
径大部、径小部、および径拡部を有し、径大部外周および径小部外周に締具を取り付けた可撓性円筒体の前記径大部を、マンホール外側へ突き出た前記剛性円管の外周へマンホール外側で嵌め込む可撓性円筒体嵌込工程と、
径大部外周に取り付けた前記締具をマンホール外側で締め付けて、前記可撓性円筒体を前記剛性円管の円管前端に固定する可撓性円筒体固定工程と、
前記下水道本管の端部がマンホール内壁に臨む位置まで可撓ジョイント内を推進させ、前記径小部外周の前記締具を立坑内で締め付ける下水道本管固定工程とからなるマンホールと下水道本管との接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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