説明

マンホール用内副管

【課題】内副管の設置が可能なサイズのマンホールにおいては内部作業スペースをより広く、そして、サイズ上から設置が不可能とされたマンホールにも作業スペースに問題無く使用することができるように改良された特に円形マンホールに有効で、しかも、地震等によって損傷することがない耐震化構造により流入管との接続を可能とした内副管を提供する。
【解決手段】流入管3に接続される継手管部1と、この継手管部1からマンホールBの底部B-1方向に垂設される流下管部2とで構成され、継手管部1は、マンホールBの削孔5内において上記流入管3に継手構造を介して接続される接続口1-1を備えると共に上記流下管部2の流下口1-2を備える。そして、流下管部2は、マンホールBの内面形状に沿う平面視略横長扁平状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流入管から流下する下水等の急激な落下によるマンホール(組立人孔及び現場打ち人孔)底部の洗堀防止(磨耗防止)及び下水等の飛散防止を図る目的で、マンホール内に取り付けられる内副管に関する。
【背景技術】
【0002】
地表勾配に応じて上流側の流入管と下流側の流出管とによって段差接合されるマンホールにおいては、流入管と流出管との落差が例えば60cm以上ある場合には流入管から流下する下水等の急激な落下によって、下水が飛散すると共に、マンホールの底部が洗堀されることを防止することを目的とし、副管がマンホールに取り付けられている。
そして、副管には、外付け設置型と内付け設置型とがあり、マンホールの大きさ等の現場の施工スペース等の都合上で使い分けられている。
一方、マンホールは、点検及び清掃等の維持管理上や地表勾配等に合せて必要な箇所に設置間隔をおいて構築されるものであり、また、下水量や起点、中間点、会合点等の設置箇所に応じた内径寸法のものが構築されるようになっている。そして、円形タイプと角形タイプがある。
因みに、現在知られている円形マンホールの内径寸法は、1号マンホールと称されているもので900mm、2号マンホールで1200mm、3号マンホールで1500mm等である。
【0003】
ところで、外付け設置型は、上流側の流入管が接続されるマンホールの外側に副管の設置と作業スペースを確保するために広い範囲を掘り起さなければならず、面倒で手間が掛かり等、工事が大規模となる。
また、外付け設置型は、流入管を設置する時に、これと同時に設置する必要があることやメンテナンスの容易性、破損して補修を行う場合、工事が大掛かりになってしまうこと等から、マンホールの内側での設置が可能な内付け設置型が有利である。この内付け設置型の副管構造及び設置・接続構造としては従来から種々提案され、知られている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1に開示されている副管構造は、マンホールの壁部と当接する一側部に同壁部の削孔の内径よりも大径とする流入口を備え、下端部には流出口を備えてなる継手と、この継手の流出口からマンホールの底部に向けて垂設される直管とからなり、該直管の管径は流入管の1/2以上で円形を呈している。一般に、流下管の内径がφ150mmで、流入管の内径がφ200mmの場合が多い。
【0005】
しかし乍ら、図1に示すように、マンホールの壁部内面には、点検及び清掃等の維持管理作業のために昇降用の足掛け杆が梯子状に入口から底部近傍に向けて設けられており、この足掛け杆の出っ張りに加えて内副管の出っ張りが加わり、結果として、マンホール内の作業スペースは狭くなり、維持管理作業に支障を来たすこととなる。
従って、特許文献1に開示されている内副管構造では、例えば内径が1200mmサイズの2号マンホール以上でなければ設置することができないと言ったマンホールのサイズが限定されると言う問題がある。
【0006】
【特許文献1】特許第3443118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、内副管の設置が可能なサイズのマンホールにおいては内部作業スペースをより広く、そして、サイズ上から設置が不可能とされたマンホールにも作業スペースに問題無く使用することができるように改良された特に円形マンホールに有効で、しかも、地震等によって損傷することがない耐震化構造により流入管との接続を可能とした内副管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、請求項1では、地表勾配に応じて間隔をおいて設置されると共に、流入管、流出管によって段差接合されるマンホールにおける内副管において、
流入管に接続される継手管部と、この継手管部からマンホールの底部方向に垂設される流下管部とで構成され、
上記継手管部は、マンホールの削孔内において上記流入管に継手構造を介して接続される接続口を備えると共に上記流下管部の流下口を備え、上記流下管部は、少なくともマンホールの内面形状に沿う平面視略横長扁平状に形成されていることを特徴とするマンホール用内副管にある。
【0009】
上記継手管部と流下管部とを一体に形成又は別途に形成し、施工現場において流下管部を継手管部の流下口に接続するようにするも良い。
そして、上記流下管部の短辺幅寸法としては、マンホールの壁部内面に梯子状に備えられる足掛け杆の出っ張り高さ以下にすることが好適なものとなる。
また、上記流下管部の開口断面積を、流入管の開口断面積の1/2以上に形成すると共に、流下管部の管内には流下する下水等の勢いを減衰するための落下吸収手段を備えることが好適なものとなる(請求項2)。
ここで、落下吸収手段の一例を挙げるならば、管内の上下方向に適宜の間隔をおいて両側短辺壁面から右下がり、左下がりのように下水受け板を交互に備える階段状に形成することができる。
【0010】
また、本発明では、上記に記載の継手構造が、軸方向に押し込むことで同軸方向に折り返すことができる可撓性を有するゴムソケットの一端側を、マンホール壁部の削孔内に位置させた流入管の管口外側に嵌着固定し、同ソケットの他端側を、流入管の外径より大径で前記削孔の内径より小径な継手管部の接続口外側に嵌着固定する。然る後に、前記接続口を前記流入管の外周面と削孔の内周面との間に押し込んで前記ゴムソケットを軸方向に折返し反転させた状態で、削孔の内周面と接続口の外周面との間、そして、接続口の内周面と流入管の管口外周面との間に充填部材を注入充填して連結固定する(請求項3)。
そして、上記削孔の内周面と接続口の外周面との間に充填する充填部材としては樹脂系シール材、モルタル、樹脂系モルタル等の連結材が挙げられ、上記接続口の内周面と流入管の管口外周面との間に充填する充填部材としては、発泡ウレタン又は発泡スチロール等の緩衝材が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の内副管は、請求項1では、流入管に継手管部を介して接続されて、マンホールの底部方向に垂設される流下管部を、マンホールの内面に面接触状態にて沿う壁面を有する平面視略横長扁平形状としてなることで、マンホールの内面から出っ張り高さは、従来の内副管構造(特許第3443118号)に比べてかなり低く抑えることができる。
従って、内副管の設置が可能であるマンホールサイズ、例えば内径が1200mm及び1500mmサイズのマンホールにおいては維持管理作業等の作業スペースをより広くすることができる。更には外付け設置型でなけば設置が不可能とされていた内径が900mmサイズの1号マンホールへの取付け設置をも可能となる等、汎用性の高い内副管を提供することができる。
また、外付け設置型でなけば設置が不可能とされていた流入管が複数あるマンホールへの内付け設置が可能になる。
【0012】
また、請求項2記載の構成により、請求項1記載の作用に加えて、流入管から流入される下水等を速やかにマンホールの底部側への流下させることができ、しかも、垂下管部内を流下する下水等の勢いは同管内の落下吸収手段によって減衰されてマンホールの底部に流下される。つまり、マンホール底部の洗堀防止(磨耗防止)及び下水等のマンホール内への飛散防止をも図ることができる。
【0013】
そして、請求項3記載の構成により、請求項1記載の作用に加えて、流入管と継手管部の接続口はゴムソケットで連結されるため可撓性が保持される。これによって、地震や地盤の不等沈下による地盤の変動に対して追随し、水密性の維持とマンホール(削孔)及び流入管の破損とを防ぐ耐震化構造にて内副管を取付け設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の最良の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の内副管Aを円形マンホールBに取り付けた状態の実施形態の一例を示す。
内副管Aは、流入管3に接続される継手管部1と、この継手管部1からマンホールBの底部(インバート)B-1方向に壁部B-2内面に沿わされて垂設される流下管部2とで構成され、上流側の流入管3から流入される下水等をマンホールBの底部B-1へと流下管部2内から流下させるようにしている。
図中4は、所定の段差でマンホールBに接続される下流側の流出管である。
【0016】
継手管部1は、マンホールBの削孔5の内径よりも小径で流入管3の外径よりも大径とするスリーブリング状に形成され、その一端側に流入管3の管口に後述する継手構造を用いて接続される接続口1-1を備え、それと反対側の他端側には点検口1-3を備えると共に、該点検口1-3の開口に沿わせたリング部の円形下半部側には流下管部2が連結される下向き開口で平面視略横長扁平状の流下口1-2を備えている。
図中6は、点検口を必要に応じて閉鎖する点検蓋である。
【0017】
上記流下口1-2は、流入管3から流入されてくる下水等を流下管部2へと流下誘導する役目を成し、マンホールBの壁部B-2と対面する長辺一側口壁1-20を同壁部B-2内面に沿わせた平面視円形状に形成して、該壁部B-2内面に面接触状態で沿わせられるようにしている。
【0018】
流下管部2は、マンホールBの削孔5の開口高さ位置から底部B-1に至る長さで、平面視が上記流入口1-2の開口形状と同径とする長辺一側壁2-1を壁部B-2内面に沿わせた円形状の平面視略横長扁平状に形成されている。
そして、流下管部2は、その開口断面積を、流入管3の開口断面積の1/2以上に形成して、継手管部1の流下口1-2に接続され、マンホールBの壁部B-1内面に面接触状態で沿わされた状態でマンホールBの底部B-1方向に垂設されるようにしている。
【0019】
また、この流下管部2の短辺幅寸法Lを、マンホールBの壁部B-2内面に、その出入り口7から底部B-1近傍に向けて梯子状に備えられる足掛け杆8の出っ張り高さL1以下に形成すると共に、管内には流下する下水等の勢いを減衰するための落下吸収手段が備えられている。
【0020】
上記落下吸収手段としては、下水等の流下勢いを減衰することができる構造であれば特に限定されるものではないが、本例では図4及び図5に示したように、流下管部2の管内の上下方向に適宜の間隔をおいて両側短辺壁面から右下がり、左下がりのように下水受け板9を交互に備える階段状に形成している。
【0021】
継手管部1の接続口1-1を流入管3の管口に接続するための継手構造は、本願出願人による特開2003−105788号、特開2003−232048号等に開示されている構成のものを用いることができる。
即ち、図2及び図3に示すように、軸方向に押し込むことで同軸方向に折り返すことができる可撓性を有するゴムソケット10の一端側を、マンホールBの削孔5内に位置させた流入管3の管口外側に締付バンド11で嵌着固定し、同ソケット10の他端側を、流入管3の外径より大径で前記削孔5の内径より小径な継手管部1の接続口1-1外側に締付バンド12で嵌着固定する。
然る後に、前記接続口1-1を前記流入管3の外周面と削孔5の内周面との間に押し込んで前記ゴムソケット10を軸方向に折返し反転させた状態で、削孔5の内周面と接続口1-1の外周面との間に、樹脂系シール材、モルタル、樹脂系モルタル等からなる連結材13を注入充填せしめて、継手管部1の接続口1-1の外周面をマンホールBの削孔5の内周面に連結固定する。
そして、接続口1-1の内周面と流入管3の管口外周面との間に、発泡ウレタン又は発泡スチロール等からなる緩衝材14を注入充填せしめて、接続口1-1の内周面を流入管3の管口外周面に連結固定するものである。
【0022】
尚、上記実施例1では、継手管部1の流下口1-2の口壁1-20及び流下管部2の長辺一側壁2-1をマンホールBの壁部B-2の内面に対して必ずしも面接触状態で沿わせる必要がなく、若干の隙間が生じても良い。
【0023】
また、本発明の具体的な実施例にあっては、前述の各実施例1構成に限定されるものではなく、請求項1〜3記載の要旨を免脱しない範囲で種々変更して行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明内副管をマンホールに取付け設置せしめた状態の実施形態の一例を示す縦断面図
【図2】同要部の拡大断面図
【図3】同横断平面図
【図4】内副管の正面図
【図5】内副管の斜視図
【符号の説明】
【0025】
A:内副管 1:継手管
1-1:接続口 1-2:流下口
2:流下管部 3:流入管
4:流出管 5:削孔
8:足掛け杆 9:下水受け板(落下吸収手段)
10:ゴムソケット(継手構造)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表勾配に応じて間隔をおいて設置されると共に、流入管、流出管によって段差接合されるマンホールにおける内副管において、
継手管部と、この継手管部からマンホールの底部方向に垂設される流下管部とで構成され、
上記継手管部は、マンホールの削孔内において上記流入管に継手構造にて接続される接続口を備えると共に上記流下管部の流下口を備え、
上記流下管部は、少なくともマンホールの内面形状に沿う平面視略横長扁平状に形成されていることを特徴とするマンホール用内副管。
【請求項2】
請求項1に記載の流下管部の開口断面積が、流入管の開口断面積の1/2以上に形成され、管内には流下する下水等の勢いを減衰するための落下吸収手段が備えられていることを特徴とするマンホール用内副管。
【請求項3】
上記継手構造は、軸方向に押し込むことで同軸方向に折り返すことができる可撓性を有するゴムソケットの一端側を、マンホールの削孔内に位置させた流入管の管口外側に嵌着固定し、同ソケットの他端側を、流入管の外径より大径で前記削孔の内径より小径な継手管部の接続口外側に嵌着固定し、然る後、前記接続口を前記流入管の外周面と削孔の内周面との間に押し込んで前記ゴムソケットを軸方向に折返し反転させた状態で充填部材を注入して連結固定せしめてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のマンホール用内副管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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