説明

マーキングペン用金属粉顔料インキ組成物

【課題】 金属粉顔料が分散安定性にすぐれて、中芯式マーキングペンに充填しても、中芯中にて金属粉顔料が沈降せず、また、ペン先にて目詰まりを起こさず、筆記性にすぐれ、しかも、得られる筆跡が格段に金属光沢にすぐれる金属粉顔料インキ組成物を提供する。
【解決手段】本発明によれば、(a)プロピレングリコールモノメチルエーテルからなる主溶媒92〜99重量%とエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルとプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルとジプロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種の副溶媒1〜8重量%からなる有機溶媒と(b)平均粒子径1〜10μmを有する金属粉顔料と(c)シクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂と(d)ポリエーテルリン酸エステルとを含有してなるマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物に関し、詳しくは、中芯式マーキングペンに用いても、保存安定性と筆記性にすぐれ、しかも、筆跡が金属光沢にすぐれるマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顔料として、アルミニウム粉や黄銅粉のような金属粉顔料を用いてなるマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物が種々、知られている。このようなインキ組成物を用いて筆記面上に筆記すれば、金属粉顔料が樹脂によって筆記面上に定着されて、金属光沢を有する筆跡を与える。
【0003】
このようなマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物の一例として、脂肪酸(塩)で表面処理したアルミニウム粉顔料と共に、有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを用い、樹脂としてフェノール樹脂を用いてなるものが知られている(特許文献1参照)。しかし、このマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物は、保存安定性のほか、インキ流出性等の筆記性にも問題がある。
【0004】
そこで、樹脂として、ケトン樹脂を用いて、保存安定性や筆記性の向上を図ったマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物も提案されているが(特許文献2参照)、所謂中芯式マーキングペンに充填した場合には、保存安定性や筆記性が尚、十分でない問題がある。
【0005】
更に、有機溶媒として、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルを用い、この有機溶媒に、インキ組成物に基づいて、平均粒径0.008〜0.05μmの範囲の顔料微粒子を5〜50重量%配合し、有機溶媒の見掛け比重を大きくして、これに主顔料となる平均粒径0.05〜0.3μmの範囲の金属粉顔料、例えば、アルミニウム粉や黄銅粉顔料を1〜20重量%の範囲で配合して、上記金属粉顔料の比重と上記有機溶媒の見掛け比重との差を小さくし、かくして、上記主顔料の沈降を防止するようにしたマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物が提案されている(特許文献3参照)。また、このマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物においては、これを消去性インキ組成物とするために、黒色顔料を用いるインキ組成物について、リン酸エステルを消去剤として配合することも提案されている。
【0006】
しかし、このような金属粉顔料インキ組成物においては、用いる金属粉顔料が微細であるので、得られる筆跡が金属光沢において十分ではない。
【特許文献1】特開平4−126782号公報
【特許文献2】特開平6−299114号公報
【特許文献3】特開2006−335927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の金属粉顔料インキ組成物における上述した問題を解決するためになされたものであって、金属粉顔料が分散安定性にすぐれるので、中芯式マーキングペンに充填しても、中芯中にて金属粉顔料が沈降せず、また、ペン先にて目詰まりを起こさず、筆記性にすぐれ、しかも、得られる筆跡が金属光沢に格段にすぐれる金属粉顔料インキ組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、そのような金属粉顔料インキ組成物を充填してなる中芯式マーキングペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
(a)プロピレングリコールモノメチルエーテルからなる主溶媒92〜99重量%とエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルとプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルとジプロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種の副溶媒1〜8重量%からなる有機溶媒と
(b)平均粒子径1〜10μmを有する金属粉顔料と
(c)シクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂と
(d)ポリエーテルリン酸エステルと
を含有してなるマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
(a)プロピレングリコールモノメチルエーテルからなる主溶媒92〜99重量%とエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルとプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルとジプロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種の副溶媒1〜8重量%からなる有機溶媒と
(b)平均粒子径1〜10μmを有する金属粉顔料と
(c)シクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂と
(d)ポリエーテルリン酸エステルと
(e)疎水性シリカと
を含有してなるマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物が提供される。
【0010】
更に、本発明によれば、上述したような金属粉顔料インキ組成物を充填してなるマーキングペンが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物は、有機溶媒として主溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテルと副溶媒であるエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルとプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルとジプロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種との所定の割合の混合物を用いると共に、金属粉顔料として平均粒子径1〜10μmのものを用い、更に、その金属粉顔料の分散剤としてポリエーテルリン酸エステルを用い、このポリエーテルリン酸エステルと組み合わせてケトン樹脂の一種であるシクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂を用いて、金属粉顔料の分散を助けることによって、インキ組成物における分散安定性を格段に改善し、かくして、本発明によれば、保存安定性と筆記性、即ち、マーキングペンからのインキ流出性にもすぐれると共に、得られる筆跡が金属光沢にすぐれるマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
マーキングペンは、通常、中空筒体からなるホルダーとこの中空筒体内のインキ貯蔵室とこれに連通する多孔質のペン先(チップ)とを備え、インキ組成物をこのインキ貯蔵室からペン先に供給して、筆記を可能とする筆記用具であり、従来、インキ貯蔵室の構造によって2種類に大別される。第1は、インキ貯蔵室が、単に、中空筒体内の中空の容器からなるものであって、このような形式のマーキングペンは、インキフリー式又は直液式と呼ばれている。第2は、インキ貯蔵室が、例えば、繊維束やフェルトのような液体保持性を有する多孔質物質からなり、この場合、インキ組成物はこれに吸蔵されて、貯蔵される。このような形式のマーキングペンは、中芯式又は中綿式と呼ばれている。インキフリー式、中芯式、いずれのマーキングペンにおいても、そのペン先は、通常、繊維束、フェルト、樹脂等からなる多孔性の成形物であって、インキ組成物は、上記インキ貯蔵室からペン先に毛細管現象によって供給されて、筆記を可能とする。
【0013】
本発明によるマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物において、有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルからなる主溶媒92〜99重量%とエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルとプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルとジプロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種の副溶媒1〜8重量%からなる。
【0014】
有機溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルのみを用いるときは、得られる筆跡の乾燥速度が速く、それに起因して、リーフィング性が悪くなるので、筆跡の金属光沢が低いが、本発明に従って、プロピレングリコールモノメチルエーテルを主溶媒とし、これよりも蒸気圧の低いエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルとプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルとジプロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種を副溶媒として上記主溶媒に対して上記割合にて併用することによって、筆跡の速乾性を失わずに、筆跡のリーフィング性を向上させることができ、かくして、筆跡の金属光沢を格段に高めることができる。本発明においては、このような有機溶媒は、インキ組成物に基づいて、通常、45〜70重量%の範囲で含まれる。
【0015】
本発明においては、金属粉顔料として、好ましくは、アルミニウム粉顔料又は黄銅粉顔料が用いられる。本発明によれば、このような金属粉顔料は、インキ組成物に基づいて、通常、5〜40重量%の範囲で用いられ、好ましくは、8〜35重量%の範囲で用いられる。インキ組成物における金属粉顔料の割合が5重量%よりも少ないときは、筆跡が十分な金属光沢をもたず、他方、40重量%を超えるときは、得られるインキ組成物の粘度が高すぎ、また、インキ組成物中の固形分量が多くなるので、筆記性が悪くなり、また、ペン先で目詰まりを生じる。特に、本発明においては、インキ組成物に基づいて、アルミニウム粉顔料は5〜20重量%の範囲、好ましくは、7〜18重量%の範囲で用いられ、また、黄銅粉顔料は20〜30重量%の範囲、好ましくは、22〜28重量%の範囲で用いられる。
【0016】
更に、本発明においては、得られる筆跡が金属光沢にすぐれるように、金属粉顔料は、平均粒子径が1〜10μmの範囲にあることが好ましく、特に、2〜6μmの範囲にあることが好ましい。本発明において、金属粉顔料の平均粒子径はレーザー光散乱法による平均体積径である。
【0017】
本発明によれば、上述したような金属粉顔料として、STAPA 15、20、30,40、ROTOSAFE 760 013、STANDART CHROMAL X(以上、エカルトベルケ製)、アルペーストWXM0660、WXM0650(以上、東洋アルミニウム(株)製)等のアルミニウム粉顔料、OFFSET SUPER 3000、ROTOFLEX XA4−209、ROTOSAFE 700 421、ROTOVARIO 580 442(以上、エカルトベルケ製)、700、7000、MH−670、MH−770(以上、福田金属(株)製)等の黄銅粉顔料を挙げることができる。
【0018】
本発明によれば、金属粉顔料インキ組成物において、筆跡が筆記面に対して高い接着性を有すると共に、後述するリン酸エステルとの協力の下に金属粉顔料の分散性を高め、インキ組成物に高い静止粘度を与えて、マーキングペンの保存時に金属粉顔料が沈降してハードケーキを生成するのを防止し、かくして、保存安定性を高めるために、インキ組成物に基づいて、シクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂が5〜30重量%の範囲で用いられ、好ましくは、7〜25重量%の範囲で用いられる。
【0019】
インキ組成物におけるシクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂の割合が5重量%よりも少ないときは、得られるインキ組成物のハードケーキ化防止の効果が殆どなく、得られるインキ組成物は保存安定性に劣ることとなる。しかし、インキ組成物におけるシクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂の割合が30重量%よりも多いときは、得られるインキ組成物が高せん断速度での粘度も高くなって、筆記性に劣ることとなる。
【0020】
更に、本発明によれば、得られる筆跡の金属光沢を低下させることなく、金属粉顔料を有機溶媒中に安定に分散させて、金属粉顔料が中芯中に沈降してハードケーキを形成することを防止するために、ポリエーテルリン酸エステルが分散剤として、インキ組成物に基づいて、1〜10重量%、好ましくは、1.5〜8重量%の範囲で用いられる。インキ組成物に基づいて、ポリエーテルリン酸エステルの割合が1重量%よりも少ないときは、インキ組成物中、金属粉顔料が十分に分散されず、得られるインキ組成物が保存安定性に劣り、また、ペン先にて目詰まりを生じるおそれがある。しかし、インキ組成物に基づいて10重量%よりも多いときは、却って、インキ組成物の分散破壊を起こして、金属粉顔料のペン先からの円滑な流出を阻害する。
【0021】
上記ポリエーテルリン酸エステルとしては、より詳細には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸のモノ又はジエステルや、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸のモノ又はジエステル、それらのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が用いられる。これらは、アニオン界面活性剤の一種である。このようなポリエーテルリン酸エステルの具体例としては、例えば、ディスパロンDA−375(楠本化成(株)製)を挙げることができる。
更に、本発明によるマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物は、揺変剤として、疎水性シリカをインキ組成物に基づいて0.1〜5重量%、好ましくは、0.5〜4重量%の範囲で含有することができる。また、このような疎水性シリカは、平均一次粒子径が5〜15nmの範囲にあることが好ましい。このような疎水性シリカの具体例として、例えば、レオロシールMT−10、DM−30、HM−20L、HM−30S、PM−20(以上、(株)トクヤマ製)等を挙げることができる。
【0022】
一般的に、粒子を分散させた懸濁液に揺変性を与えるための揺変剤、例えば、高級脂肪酸アミドは、従来、粒子を擬似凝集の形態にすることによって揺変性を生じさせるので、結果的に、その粒子の粒径を大きくし、従って、インキ組成物において、そのような従来の揺変剤を用いれば、筆記に際して、インキ組成物がペン先から円滑に流出しないおそれがあるが、しかし、一方において、インキ組成物の揺変性をもたせない場合には、ペン先を下に向けて放置すれば、中芯中にて金属粉顔料が沈降し、また、ペン先にて目詰まりを起こすおそれがある。
【0023】
ここに、本発明によれば、揺変剤として、疎水性シリカを用いる。疎水性シリカは、それ自体が網目構造を形成して揺変性を発現するので、金属粉顔料の分散剤として、前述したように、ポリエーテルリン酸エステルを用い、更に、シクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂によっても、金属粉顔料の分散を助けることによって、インキ組成物において、金属粉顔料粒子は、個々の粒子として分散した状態でインキ組成物の静止粘度を高める。
【0024】
即ち、本発明によれば、金属粉顔料に擬似凝集の形態をとらせることなしに、揺変性を発現させるので、中芯式マーキングペンに用いても、保存安定性にすぐれるインキ組成物を得ることができ、長期間にわたる保存の後に筆記しても、形成される筆跡に濃度の濃淡差を生じさせない。従って、本発明による金属粉顔料インキ組成物においては、マーキングペンの保存時に金属粉顔料の沈降を抑えるので、ペン先にて目詰まりがなく、ペン先から円滑にインキ組成物が流出し、しかも、前述したように、金属光沢にすぐれる筆跡を与える。
【0025】
本発明によるマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物は、必要に応じて、レベリング剤、スリップ剤、垂れ防止剤等、塗膜の改質に際して通常、用いられる添加剤を適宜に用いることができる。
【0026】
本発明によるマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物は、その製造方法において何ら制限されるものではないが、例えば、次のような方法によって製造することができる。有機溶媒にシクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂を加え、必要に応じて、例えば、50℃程度に加熱し、1時間攪拌し、樹脂を溶媒に溶解させて、樹脂溶液を調製する。得られた樹脂溶液を室温まで放冷した後、これに分散剤と金属粉顔料を加え、攪拌混合して、インキ組成物を得る。
【0027】
揺変剤を含むインキ組成物を製造する場合は、例えば、疎水性シリカを前記主溶媒及び副溶媒の少なくとも1種に分散させ、得られた分散体をインキ組成物に加えて、攪拌混合すればよい。このように、疎水性シリカを前記主溶媒及び副溶媒の少なくとも1種に分散させて分散体を調製するときも、本発明によれば、これら疎水性シリカの分散体を調製するために用いた有機溶媒の量を含めて、インキ組成物における全有機溶媒が主溶媒92〜99重量%と副溶媒1〜8重量%からなるものとする。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1〜3及び比較例1〜4
第1表に示す成分からなるインキ組成物をそれぞれ調製し、これを中芯式マーキングペンに充填した。この中芯式マーキングペンを用いて筆記し、下記のようにして、得られた筆跡の金属光沢と連続筆記性を調べ、また、マーキングペンの保存安定性を調べた。
【0029】
【表1】

【0030】
第1表において、インキ組成物の成分の詳細は以下のとおりである。
有機溶媒1:プロピレングリコールモノメチルエーテル
有機溶媒2:エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル
有機溶媒3:プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル
【0031】
金属粉顔料1:ROTOSAFE 700 421(エカルトヴェルケ製、レーザー光散乱法による平均体積径4μm)
金属粉顔料2:STAPA 40(エカルトヴェルケ製、レーザー光散乱法による平均体積径5μm))
金属粉顔料3:アルペースト WXM0660(東洋アルミニウム(株)製、レーザー光散乱法による平均体積径4.5μm))
【0032】
ケトン樹脂:ハロン80(本州化学工業(株)製シクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂)
尿素樹脂:LAROPAL A81(BASF製尿素−ホルムアルデヒド樹脂)
分散剤:ディスパロンDA−375(楠本化成(株)製)
【0033】
疎水性シリカ:レオロシールHM−20L分散体(固形分20重量%、疎水性シリカ20重量%をエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル10重量%とプロピレングリコールモノメチルエーテル70重量%からなる混合溶媒に加え、低速3本ロールに3回通して分散体を調製した。電子顕微鏡観察によるシリカの平均一次粒子径は12nm)
【0034】
第1表において、インキ組成物の物性の詳細は以下のとおりである。
粘度1:ELD型粘度計において1.34°コーンを用いてせん断速度9.6(1/秒で測定した粘度
粘度2:ELD型粘度計において1.34°コーンを用いてせん断速度195.1(1/秒)で測定した粘度
【0035】
光沢度:インキ組成物を黒アート紙上に20μmのバーコーターで塗り、乾燥させた後、光沢度計にて測色した。
連続筆記距離:角度65°、筆記荷重50g、速度7cm/秒でJIS筆記試験紙に連続した円を筆記して、筆記可能距離を目視で判定した。
【0036】
保存安定性1:マーキングペンを正立及び倒立の状態でそれぞれ4週間放置した後、筆記性を評価した。正立及び倒立での保存の後、相互に筆跡の濃度に濃淡差がないときをA、正立での保存の後、筆記したとき、幾分、筆跡の濃度が薄くなるときをB、筆記し始めたときは筆跡が掠れるが、連続した円を5回以下、筆記した後は、筆記が可能となるときをC、筆記を試みても、掠れて、筆記することができないか、又は金属粉顔料がペン先から全く流出しないときをDとした。
【0037】
保存安定性2:マーキングペンを正立及び倒立の状態でそれぞれ8週間放置した後、保存安定性1と同様にして、筆記性を評価した。
【0038】
第1表に示す結果から明らかなように、本発明のインキ組成物によれば、保存安定性にすぐれるのみならず、筆記性にすぐれ、更に、得られる筆跡は高い金属光沢を有する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)プロピレングリコールモノメチルエーテルからなる主溶媒92〜99重量%とエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルとプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルとジプロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種の副溶媒1〜8重量%からなる有機溶媒と
(b)平均粒子径1〜10μmを有する金属粉顔料と
(c)シクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂と
(d)ポリエーテルリン酸エステルと
を含有してなるマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物。
【請求項2】
(a)プロピレングリコールモノメチルエーテルからなる主溶媒92〜99重量%とエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルとプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルとジプロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種の副溶媒1〜8重量%からなる有機溶媒と
(b)平均粒子径1〜10μmを有する金属粉顔料と
(c)シクロヘキサノン−ホルムアルデヒド樹脂と
(d)ポリエーテルリン酸エステルと
(e)疎水性シリカと
を含有してなるマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物。
【請求項3】
金属粉顔料が黄銅顔料又はアルミニウム顔料である請求項1又は2に記載のマーキングペン用金属粉顔料インキ組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の金属粉顔料インキ組成物を充填してなるマーキングペン。



【公開番号】特開2009−209249(P2009−209249A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53027(P2008−53027)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(390039734)株式会社サクラクレパス (211)
【Fターム(参考)】