説明

マークシート読取装置

【課題】さまざまなドロップアウトカラーで印刷されたマークシートを高速に処理する技術を提供する。
【解決手段】マークシート読取装置10は、マークシートの画像データを取得する画像データ取得部12と、画像データ取得部12で取得された画像データからマークシートの先端と後端のうち少なくとも一方に設けられた識別コード領域に印刷されたマークシートのドロップアウトカラーを識別するための識別コードを検出して、検出された識別コードからドロップアウトカラーを識別するドロップアウトカラー識別部13と、ドロップアウトカラー識別部13で識別されたドロップアウトカラーで印刷されたマークシートの部位のデータが除去されたドロップアウト済みの画像データからマークシートに記入されたマークの有無を検出するマーク検出部18と、を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マークシート読取装置に関し、特に、さまざまなドロップアウトカラーで印刷されたマークシートを処理するマークシート読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マークシートに記入されたマークの有無を検出するマークシート読取装置の分野では、ドロップアウトカラーを使用したマークシート読取装置が広く用いられている。
ドロップアウトカラーでマークシートに印刷された情報は、マークの有無を検出する処理の前に画像データから除去される。このため、ドロップアウトカラーは、マークの記入箇所を示す枠やその他人間への伝達事項など、マークの有無を検出する処理に不要な情報をマークシートに印刷するために用いられる。
【0003】
マークシートに使用されるドロップアウトカラーとしては、従来は、例えば、オレンジ色などのある程度限定された色が使用されていた。しかし、近年では、人間がより視認しやすい色をドロップアウトカラーとして使用したいという要請を受けて、さまざまな色がドロップアウトカラーとして使用されるに至っている。このため、現在では、さまざまなドロップアウトカラーで印刷されたマークシートが存在している。
【0004】
しかしながら、現在利用されているマークシート読取装置は、光源の波長やカラーフィルタの波長特性などに依存する予め決められた単色のドロップアウトカラーにのみ対応するもの(以降、SDOC型マークシート読取装置と記す。)がほとんどであり、特定のドロップアウトカラーで印刷されたマークシートにしか対応することができない。
【0005】
このような状況を踏まえて、近年、複数のドロップアウトカラーに対応したマークシート読取装置(以降、MDOC型マークシート読取装置と記す。)が提案され、さまざまなドロップアウトカラーで印刷されたマークシートへの対応が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−22498号公報
【特許文献2】特開2004−227254号公報
【特許文献3】特開2006−65519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、SDOC型マークシート読取装置では、イメージセンサなどによりマークシートの画像データが取得された時点で、すでにドロップアウトカラーで印刷されたマークシートの部位のデータが画像データから除去されている。
【0008】
これに対して、現在提案されているMDOC型マークシート読取装置は、マークシートの画像データを解析することによりマークシートに使用されているドロップアウトカラーを特定し、その後、ドロップアウトカラーで印刷された部位のデータをマークシートの画像データから除去する。
【0009】
このため、MDOC型マークシート読取装置は、SDOC型マークシート読取装置に比べて、マークシートの読取からマークの有無の検出までの一連の処理(以降、この一連の処理をまとめてマークシート処理と記す。)に、より多くの時間を要してしまう。
【0010】
このような実情を踏まえ、本発明は、さまざまなドロップアウトカラーで印刷されたマークシートを高速に処理する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、マークシートの画像データを取得する画像データ取得部と、画像データ取得部で取得された画像データから、マークシートの先端と後端のうち少なくとも一方に設けられた識別コード領域に印刷されたマークシートのドロップアウトカラーを識別するための識別コードを検出して、検出された識別コードからドロップアウトカラーを識別するドロップアウトカラー識別部と、ドロップアウトカラー識別部で識別されたドロップアウトカラーで印刷されたマークシートの部位のデータが除去されたドロップアウト済みの画像データから、マークシートに記入されたマークの有無を検出するマーク検出部と、を含むマークシート読取装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、さまざまなドロップアウトカラーで印刷されたマークシートを高速に処理する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1に係るマークシート読取装置の概略構成図である。
【図2】図1に例示されるマークシート読取装置で使用されるマークシートを例示した図である。
【図3】図1に例示されるマークシート読取装置の機能ブロック図である。
【図4】図1に例示されるマークシート読取装置によるマークシートの処理方法を例示したフローチャートである。
【図5】図1に例示されるマークシート読取装置で使用される識別コードとドロップアウトカラーの対応関係を例示した図である。
【図6】実施例2に係るマークシート読取装置の機能ブロック図である。
【図7】図6に例示されるマークシート読取装置によるマークシートの処理方法を例示したフローチャートである。
【図8】実施例3に係るマークシート読取装置の概略構成図である。
【図9】図8に例示されるマークシート読取装置の機能ブロック図である。
【図10】図8に例示されるマークシート読取装置によるマークシートの処理方法を例示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の各実施例に係るマークシート読取装置は、マークシートに印刷されているドロップアウトカラーを識別するための識別コードからマークシートのドロップアウトカラーを識別することで、さまざまなドロップアウトカラーで印刷されたマークシートを高速に処理するマークシート読取装置である。
【0015】
以下、図面を参照しながら、各実施例について説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本実施例に係るマークシート読取装置の概略構成図である。図2は、図1に例示されるマークシート読取装置で使用されるマークシートを例示した図である。図1及び図2を参照しながら、本実施例に係るマークシート読取装置10とマークシート読取装置10で使用されるマークシート20の構成について概説する。
【0017】
マークシート読取装置10は、図1に例示されるように、マークシート20を撮像してマークシート20の画像データを生成する撮像装置30と、画像データからマークの有無を検出する画像処理装置40と、を含んでいる。
【0018】
撮像装置30は、複数の波長の光からなる照明光を射出する光源31と、マークシート20のRGB多値画像データを生成するカラーセンサ32と、を含んでいる。カラーセンサ32は、さらに、赤色(R)の波長を検出するラインセンサ32aと、緑色(G)の波長を検出するラインセンサ32bと、青色(B)の波長を検出するラインセンサ32cとを含んでいる。画像処理装置40は、撮像装置30で生成されたマークシート20の画像データを記憶する画像メモリ41を含んでいる。
【0019】
マークシート読取装置10で使用されるマークシート20は、図2に例示されるように、マークシート20の先端と後端に設けられた識別コード領域(識別コード領域21a、識別コード領域21b)と、マークを記入するためのマーク記入領域22と、を有している。識別コード領域21a及び識別コード領域21bには、マークシート20のドロップアウトカラーを識別するための識別コードが印刷されている。
【0020】
なお、識別コード領域21aは、マークシート20が給紙方向に沿って先端側(識別コード領域21a側)から撮像装置30へ挿入される場合に用いられる。一方、識別コード領域21bは、マークシート20が給紙方向に沿って後端側(識別コード領域21b側)から撮像装置30へ挿入される場合に用いられる。なお、本実施例では識別コード領域をマークシートの先端と後端に設けられている場合で説明するが、これに限らず、マークシートの先端または後端のいずれか一方に設けるようにしても良い。その場合は、識別コード領域が印刷されている端部から撮像装置30へ挿入する。
【0021】
図3は、図1に例示されるマークシート読取装置の機能ブロック図である。主に図3を参照しながら、マークシート読取装置10の機能構成について概説する。
撮像装置30は、複数の波長の光からなる照明光を射出してマークシート20を照明する照明部11と、照明部11の光によるマークシート20の反射光からRGB多値画像データを取得する画像データ取得部12と、マークシート20のドロップアウトカラーを識別するドロップアウトカラー識別部13と、ドロップアウトカラーに該当する色のデータが除去されたRGB多値画像データを生成するドロップアウト処理部14と、RGB多値画像データを単色多値画像データに変換する単色化部15と、を含んでいる。照明部11は、図1に例示される光源31に該当し、画像データ取得部12は、図1に例示されるカラーセンサ32に該当する。
【0022】
画像処理装置40は、単色多値画像データを記憶する記憶部16と、2値画像データを生成するために単色多値画像データを2値化する2値化部17と、2値画像データからマークシート20に記入されたマークの有無を検出するマーク検出部18と、を含んでいる。記憶部16は、図1に例示される画像メモリ41に該当する。
【0023】
図4は、図1に例示されるマークシート読取装置によるマークシートの処理方法を例示したフローチャートである。図5は、図1に例示されるマークシート読取装置で使用される識別コードとドロップアウトカラーの対応関係を例示した図である。主に図3から図5を参照しながら、マークシート読取装置10によるマークシート20の処理方法について具体的に説明する。なお、以降では、図2に例示される矢印に沿ってマークシート20が撮像装置30へ挿入された場合を例に説明する。
【0024】
ステップS101では、マークシート20が撮像装置30に挿入されてマークシート読取装置10による処理が開始されると、照明部11が照明光を射出して挿入されたマークシート20を照明し、照明部11の光によるマークシート20の反射光から画像データ取得部12がマークシート20のRGB多値画像データを取得する。
【0025】
ステップS102では、ドロップアウトカラー識別部13は、画像データ取得部12で取得されたRGB多値画像データから、識別コード領域21aに印刷されたマークシート20のドロップアウトカラーを識別するための識別コードを検出する。そして、検出された識別コードから、挿入されたマークシート20のドロップアウトカラーを識別する。
【0026】
より具体的には、撮像装置30は、図5に例示されるような、識別コードとドロップアウトカラーの対応関係が規定されたテーブル(以降、DOCテーブルと記す。)を有していて、ドロップアウトカラー識別部13は、DOCテーブル19の識別コード記号の欄に記載されているパターンと一致する識別コードを識別コード領域21aから検出する。その後、ドロップアウトカラー識別部13は、検出された識別コードに対応する識別コード番号をDOCテーブル19から取得することにより、マークシート20のドロップアウトカラーを識別する。
【0027】
ステップS103では、ドロップアウト処理部14は、画像データ取得部12で取得されたRGB多値画像データからドロップアウトカラー識別部13で識別されたドロップアウトカラーに該当する色のデータを除去する。これにより、ドロップアウト処理部14は、ドロップアウトカラーで印刷されたマークシート20の部位のデータが除去されたドロップアウト済みのRGB多値画像データを生成する。
【0028】
より具体的には、ドロップアウト処理部14は、カラーセンサ32からの3ライン分の画像データ、即ち、ラインセンサ32aから出力される1ライン分のR多値画像データと、ラインセンサ32bから出力される1ライン分のG多値画像データと、ラインセンサ32cから出力される1ライン分のB多値画像データからなるRGB画像データ、が出力される毎に、そのRGB画像データからドロップアウトカラーに該当する色のデータを除去する。
【0029】
ステップS104では、単色化部15は、ドロップアウト処理部14で生成されたドロップアウト済みのRGB多値画像データをドロップアウト済みの単色多値画像データに変換して、画像処理装置40へ出力する。
【0030】
より具体的には、単色化部15は、ドロップアウト処理部14から出力されるRGB多値画像データのR多値画像データ、G多値画像データ、及びB多値画像データを平均化することにより、単色多値画像データを生成する。
【0031】
ステップS105では、記憶部16は、単色化部15から出力されたドロップアウト済みの単色多値画像データを記憶する。
ステップS106では、2値化部17は、記憶部16に記憶されたドロップアウト済みの単色多値画像データを2値化して、ドロップアウト済みの2値画像データを生成する。
【0032】
より具体的には、2値化部17は、単色多値画像データを解析して閾値を決定した後に、その閾値を基準として単色多値画像データを2値化する。このため、2値化部17は、適切な閾値を算出するために、記憶部16にマークシート20のマーク記入領域22全体の単色多値画像データが出力された後で2値化処理を実行する。
【0033】
最後に、ステップS107では、マーク検出部18は、2値化部17で生成されたドロップアウト済みの2値画像データからマークシート20に記入されたマークの有無を検出する。
【0034】
なお、ステップS101からステップS105までの処理は、先行するステップからの出力を受信すると直ぐに開始される。即ち、実質的にリアルタイム処理として実行される。一方、ステップS106及びステップS107の処理は、マーク記入領域22全体の画像データが生成された後に開始される。即ち、非リアルタイム処理として実行される。
【0035】
マークシート読取装置10は、マークシート20の識別コード領域に印刷された識別コードから、図5に例示されるDOCテーブル19などの対応表を用いて、ドロップアウトカラーを識別する。このため、マークシート読取装置10は、画像データを解析することによりドロップアウトカラーを識別するマークシート読取装置に比べて、より高速にドロップアウトカラーを識別することができる。
【0036】
また、画像解析によりドロップアウトカラーを識別するためには、通常、マークシート20全体の画像データが必要となる。このため、画像解析によりドロップアウトカラーを識別するマークシート読取装置では、ドロップアウトカラー識別処理の実行に際して待ち時間が発生する。これに対して、マークシート読取装置10は、識別コード領域をマークシートの先端または後端の少なくとも一方に設け、識別コードが印刷されている端部を先頭にして挿入することで、識別コード領域の画像データを取得後早期にドロップアウトカラー識別処理を実行することができる。
【0037】
このように、マークシート読取装置10では、ドロップアウトカラー識別処理自体の処理時間と、ドロップアウトカラー識別処理の実行に際して生じる待ち時間とを、共に短縮することができる。このため、マークシート処理全体の処理時間を短縮することができる。
【0038】
また、マークシート読取装置10では、カラーセンサ32からの3ライン分の画像データが出力される毎に、出力された画像データからドロップアウトカラーに該当する色のデータが随時除去される。このため、ドロップアウト処理の実行に際して生じる待ち時間が減少するため、マークシート処理全体の処理時間を短縮することができる。
【0039】
また、マークシート読取装置10では、識別コードからドロップアウトカラーを識別するため、画像解析では識別することが難しいドロップアウトカラーの僅かな違いも、確実に識別することができる。
【0040】
従って、本実施例に係るマークシート読取装置10によれば、さまざまなドロップアウトカラーで印刷されたマークシートを高速に処理することができる。
なお、図1では、3つのラインセンサからなるカラーセンサ32を例示したが、撮像装置30に含まれるカラーセンサの構成は、図1に例示される構成に限られない。撮像装置30は、少なくとも3つのラインセンサからなるカラーセンサを含んでもよい。
【0041】
また、図1では、RGB画像データを取得するために、複数の波長の光からなる照明光を射出する光源31を例示したが、撮像装置30に含まれる光源の構成は、図1に例示される構成に限られない。撮像装置30は、例えば、それぞれ異なる波長の光を射出する複数の光源を含んでもよい。
【0042】
また、図2では、マークシート20の先端と後端に識別コード領域が設けられたマークシート20を例示したが、マークシート読取装置10で使用されるマークシートの構成は、図2に例示される構成に限られない。マークシート読取装置10で使用されるマークシートは、マークシートの先端と後端のうち少なくとも一方に識別コード領域を含んでもよい。
【実施例2】
【0043】
図6は、本実施例に係るマークシート読取装置の機能ブロック図である。図6を参照しながら、本実施例に係るマークシート読取装置50の機能構成について概説する。
なお、図6に例示されるマークシート読取装置50は、撮像装置60と画像処理装置70を含み、撮像装置60は、図示しないが、図1に例示される撮像装置30と同様に、光源とカラーセンサを含み、画像処理装置70は、図示しないが、図1に例示される画像処理装置40と同様に、画像メモリを含んでいる。また、マークシート読取装置50で使用されるマークシートは、実施例1に係るマークシート読取装置10と同様であり、例えば、図2に例示されるマークシート20である。
【0044】
撮像装置60は、複数の波長の光からなる照明光を射出してマークシート20を照明する照明部51と、照明部51の光によるマークシート20の反射光からRGB多値画像データを取得する画像データ取得部52と、を含んでいる。なお、照明部51は、光源に該当し、画像データ取得部52は、カラーセンサに該当する。
【0045】
画像処理装置70は、画像データを記憶する記憶部53と、マークシート20のドロップアウトカラーを識別するドロップアウトカラー識別部54と、ドロップアウトカラーに該当する色データが除去されたRGB多値画像データを生成するドロップアウト処理部55と、RGB多値画像データを単色多値画像データに変換する単色化部56と、2値画像データを生成するために単色多値画像データを2値化する2値化部57と、2値画像データからマークシート20に記入されたマークの有無を検出するマーク検出部58と、識別コードとドロップアウトカラーの対応関係が規定されたDOCテーブル59と、を含んでいる。なお、記憶部53は、画像メモリに該当する。DOCテーブル59は、図5に例示されるDOCテーブル19と同様である。
【0046】
図7は、図6に例示されるマークシート読取装置によるマークシートの処理方法を例示したフローチャートである。図6及び図7を参照しながら、マークシート読取装置50によるマークシート20の処理方法について具体的に説明する。なお、以降では、図2に例示される矢印に沿ってマークシート20を撮像装置60へ挿入された場合を例に説明する。
【0047】
ステップS201では、マークシート20が撮像装置60に挿入されてマークシート読取装置50による処理が開始されると、照明部51が照明光を射出して挿入されたマークシート20を照明し、照明部11の光によるマークシート20の反射光から画像データ取得部52は、マークシート20のRGB多値画像データを取得し、画像処理装置70へ出力する。
【0048】
ステップS202では、記憶部53は、画像データ取得部52から出力されたRGB多値画像データを記憶する。
ステップS203では、ドロップアウトカラー識別部54は、画像データ取得部52で取得されて記憶部53に記憶されたRGB多値画像データから、識別コード領域21aに印刷されたマークシート20のドロップアウトカラーを識別するための識別コードを検出する。そして、検出された識別コードに対応する識別コード番号をDOCテーブル59(図5に例示)から取得することにより、マークシート20のドロップアウトカラーを識別する。
【0049】
ステップS204では、ドロップアウト処理部55は、画像データ取得部52に取得されて記憶部53に記憶されたRGB多値画像データから、ドロップアウトカラー識別部54で識別されたドロップアウトカラーに該当する色のデータを除去する。これにより、ドロップアウト処理部55は、ドロップアウトカラーで印刷されたマークシート20の部位のデータが除去されたドロップアウト済みのRGB多値画像データを生成する。
【0050】
ステップS205では、単色化部56は、ドロップアウト処理部55で生成されたドロップアウト済みのRGB多値画像データをドロップアウト済みの単色多値画像データに変換して記憶部53へ出力する。
【0051】
ステップS206では、記憶部53は、単色化部56から出力された単色多値画像データを記憶する。
ステップS207では、2値化部57は、記憶部53に記憶されたドロップアウト済みの単色多値画像データを2値化して、ドロップアウト済みの2値画像データを生成する。
【0052】
最後に、ステップS208では、マーク検出部58は、2値化部57で生成されたドロップアウト済みの2値画像データからマークシート20に記入されたマークの有無を検出する。
【0053】
なお、マークシート読取装置50で実行されるドロップアウトカラー識別処理(ステップS203)、ドロップアウト処理(ステップS204)、単色化処理(ステップS205)、2値化処理(ステップS207)の具体的な方法は、実施例1に係るマークシート読取装置10で実行される方法と同様である。
【0054】
また、ステップS201及びステップS202の処理は、先行するステップからの出力を受信すると直ぐに開始される。即ち、実質的にリアルタイム処理として実行される。一方、ステップS203からステップS208までの処理は、マーク記入領域22全体の画像データが生成された後に開始される。即ち、非リアルタイム処理として実行される。
【0055】
本実施例に係るマークシート読取装置50は、ドロップアウトカラー識別処理、ドロップアウト処理、及び単色化処理が画像処理装置(画像処理装置70)で実行される点が実施例1に係るマークシート読取装置10と異なるが、マークシート読取装置10と同様の機能を有している。
【0056】
具体的には、マークシート読取装置50は、マークシート20の識別コード領域に印刷された識別コードから、DOCテーブル59を用いて、ドロップアウトカラーを識別する。このため、マークシート読取装置50は、画像データを解析することによりドロップアウトカラーを識別するマークシート読取装置に比べて、より高速にドロップアウトカラーを識別することができる。
【0057】
従って、本実施例に係るマークシート読取装置50によれば、実施例1に係るマークシート読取装置10と同様に、さまざまなドロップアウトカラーで印刷されたマークシートを高速に処理することができる。
【実施例3】
【0058】
図8は、本実施例に係るマークシート読取装置の概略構成図である。図8を参照しながら、本実施例に係るマークシート読取装置について概説する。なお、本実施例に係るマークシート読取装置80で使用されるマークシートは、実施例1に係るマークシート読取装置10と同様であり、例えば、図2に例示されるマークシート20である。
【0059】
マークシート読取装置80は、図8に例示されるように、マークシート20を撮像してマークシート20の画像データを生成する撮像装置90と、画像データからマークの有無を検出する画像処理装置100と、を含んでいる。
【0060】
撮像装置90は、マークシート20に照射される光を射出する光源91と、マークシート20の画像データを生成するラインセンサ92と、を含んでいる。光源91は、さらに、各々が異なる波長の光を射出する複数の光源(光源91a、光源91b、光源91c)を含んでいる。画像処理装置100は、撮像装置90で生成されたマークシート20の画像データを記憶する画像メモリ101を含んでいる。
【0061】
図9は、図8に例示されるマークシート読取装置の機能ブロック図である。主に図9を参照しながら、マークシート読取装置80の機能構成について概説する。
撮像装置90は、照明光を射出してマークシート20を照明する照明部81と、照明部81の光によるマークシート20の反射光から多値画像データを取得する画像データ取得部82と、マークシート20のドロップアウトカラーを識別するドロップアウトカラー識別部83と、照明部81の動作を制御する切換部84と、を含んでいる。照明部81は、図8に例示される複数の光源91(光源91a、光源91b、光源91c)に該当し、画像データ取得部82は、図8に例示されるラインセンサ92に該当する。
【0062】
画像処理装置100は、多値画像データを記憶する記憶部85と、2値画像データを生成するために多値画像データを2値化する2値化部86と、2値画像データからマークシート20に記入されたマークの有無を検出するマーク検出部87と、を含んでいる。記憶部85は、図8に例示される画像メモリ101に該当する。
【0063】
図10は、図8に例示されるマークシート読取装置によるマークシートの処理方法を例示したフローチャートである。主に図8から図10を参照しながら、マークシート読取装置80によるマークシート20の処理方法について具体的に説明する。なお、以降では、図2に例示される矢印に沿ってマークシート20が撮像装置90へ挿入された場合を例に説明する。
【0064】
ステップS301では、マークシート20が撮像装置90に挿入されてマークシート読取装置80による処理が開始されると、照明部81が照明光を射出して挿入されたマークシート20を照明し、照明部81の光によるマークシート20の反射光から画像データ取得部82がマークシート20の多値画像データを取得する。
【0065】
ステップS302では、ドロップアウトカラー識別部83は、画像データ取得部82で取得された多値画像データから、識別コード領域21aに印刷されたマークシート20のドロップアウトカラーを識別するための識別コードを検出する。そして、検出された識別コードから、挿入されたマークシート20のドロップアウトカラーを識別する。
【0066】
より具体的には、マークシート読取装置80は、図5に例示されるような、識別コードとドロップアウトカラーの対応関係が規定されたテーブル(以降、DOCテーブルと記す。)を有していて、ドロップアウトカラー識別部83は、DOCテーブル88の識別コード記号の欄に記載されているパターンと一致する識別コードを識別コード領域21aから検出する。その後、ドロップアウトカラー識別部83は、検出された識別コードに対応する識別コード番号をDOCテーブル88から取得することにより、マークシート20のドロップアウトカラーを識別する。
【0067】
ステップS303では、切換部84は、ドロップアウトカラー識別部83で識別されたドロップアウトカラーに応じて、光源91から射出されてマークシート20に照射される光の波長を切り換える。
【0068】
より具体的には、切換部84は、光源91a、光源91b、光源91cのうち、ドロップアウトカラーで印刷されたマークシート20の部位でより多く吸収される波長の光を射出する光源を駆動させて、その光源によりマークシート20を照明する。
【0069】
ステップS304では、画像データ取得部82が、切換後の光源(照明部81)により照明されたマークシート20の多値画像データを取得して、画像処理装置100へ出力する。
【0070】
なお、ステップS304で取得されたマークシート20の多値画像データは、ステップS301で取得された多値画像データとは異なり、ドロップアウトカラーで印刷されたマークシート20の部位のデータが除去されたドロップアウト済みの多値画像データである。
【0071】
ステップS305では、記憶部85は、画像データ取得部82から出力されたドロップアウト済みの多値画像データを記憶する。
ステップS306では、2値化部86は、記憶部85に記憶されたドロップアウト済みの多値画像データを2値化して、ドロップアウト済みの2値画像データを生成する。
【0072】
より具体的には、2値化部86は、多値画像データを解析して閾値を決定した後に、その閾値を基準として多値画像データを2値化する。このため、2値化部86は、適切な閾値を算出するために、記憶部85にマークシート20のマーク記入領域22全体の多値画像データが出力された後で2値化処理を実行する。
【0073】
最後に、ステップS307では、マーク検出部87は、2値化部86で生成されたドロップアウト済みの2値画像データからマークシート20に記入されたマークの有無を検出する。
【0074】
なお、ステップS301からステップS305までの処理は、先行するステップからの出力を受信すると直ぐに開始される。即ち、実質的にリアルタイム処理として実行される。一方、ステップS306及びステップS307の処理は、マーク記入領域22全体の画像データが生成された後に開始される。即ち、非リアルタイム処理として実行される。
【0075】
マークシート読取装置80は、マークシート20の識別コード領域に印刷された識別コードから、図5に例示されるDOCテーブルなどの対応表を用いて、ドロップアウトカラーを識別する。このため、マークシート読取装置80は、画像データを解析することによりドロップアウトカラーを識別するマークシート読取装置に比べて、より高速にドロップアウトカラーを識別することができる。
【0076】
また、画像解析によりドロップアウトカラーを識別するためには、通常、マークシート20全体の画像データが必要となる。このため、画像解析によりドロップアウトカラーを識別するマークシート読取装置では、ドロップアウトカラー識別処理の実行に際して待ち時間が発生する。これに対して、マークシート読取装置80は、識別コード領域をマークシートの先端と後端の少なくとも一方に設けることで、識別コード領域の画像データを取得後早期にドロップアウトカラー識別処理を実行することができる。
【0077】
このように、マークシート読取装置80では、ドロップアウトカラー識別処理自体の処理時間と、ドロップアウトカラー識別処理の実行に際して生じる待ち時間とを、共に短縮することができる。このため、マークシート処理全体の処理時間を短縮することができる。
【0078】
また、マークシート読取装置80では、ドロップアウトカラー識別部83で識別されたドロップアウトカラーに応じて、光源91から射出されてマークシート20に照射される光の波長を切り換える。このため、画像データ取得部82で取得されるマーク記入領域22の画像データは、取得された時点ですでに、ドロップアウトカラーで印刷されたマークシート20の部位のデータが除去されたドロップアウト済みの画像データである。このため、ドロップアウト処理を別途実行する必要がなく、マークシート処理全体の処理時間を短縮することができる。
【0079】
従って、本実施例に係るマークシート読取装置80によれば、さまざまなドロップアウトカラーで印刷されたマークシートを高速に処理することができる。
なお、図8では、ドロップアウトカラーに応じて光源91から射出されてマークシート20に照射される光の波長を切り換えるために、各々が異なる波長の光を射出する複数の光源を含む撮像装置90を例示したが、撮像装置90の構成は、図8に例示される構成に限られない。撮像装置90は、例えば、複数の波長の光からなる照明光を射出する1つの光源と透過波長帯域の異なる複数の光学フィルタとを含み、光学フィルタによりマークシート20に照射される光の波長を切り換えてもよい。
【符号の説明】
【0080】
10、50、80 マークシート読取装置
11、51、81 照明部
12、52、82 画像データ取得部
13、54、83 ドロップアウトカラー識別部
14、55 ドロップアウト処理部
15、56 単色化部
16、53、85 記憶部
17、57、86 2値化部
18、58、87 マーク検出部
20 マークシート
21a、21b 識別コード領域
22 マーク記入領域
30、60、90 撮像装置
31、91、91a、91b、91c 光源
32 カラーセンサ
32a、32b、32c、92 ラインセンサ
40、70、100 画像処理装置
41、101 画像メモリ
84 切換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マークシートの画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データ取得部で取得された前記画像データから、前記マークシートの先端と後端のうち少なくとも一方に設けられた識別コード領域に印刷された前記マークシートのドロップアウトカラーを識別するための識別コードを検出して、検出された前記識別コードから前記ドロップアウトカラーを識別するドロップアウトカラー識別部と、
前記ドロップアウトカラー識別部で識別された前記ドロップアウトカラーで印刷された前記マークシートの部位のデータが除去されたドロップアウト済みの画像データから、前記マークシートに記入されたマークの有無を検出するマーク検出部と、を含む
ことを特徴とするマークシート読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマークシート読取装置において、さらに、
前記画像データ取得部で取得された前記画像データから、前記ドロップアウトカラー識別部で識別された前記ドロップアウトカラーに該当する色のデータを除去して、前記ドロップアウト済みの画像データを生成するドロップアウト処理部を含む
ことを特徴とするマークシート読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載のマークシート読取装置において、
前記画像データ取得部は、少なくとも3つのラインセンサからなるカラーセンサを含み、
前記ドロップアウト処理部は、前記少なくとも3つのラインセンサから少なくとも3ライン分の画像データが出力される毎に、前記少なくとも3ライン分の画像データから、前記ドロップアウトカラー識別部で識別された前記ドロップアウトカラーに該当する色のデータを除去するように構成される
ことを特徴とするマークシート読取装置。
【請求項4】
請求項1に記載のマークシート読取装置において、さらに、
前記マークシートに照射される光を射出する光源と、
前記ドロップアウトカラー識別部で識別された前記ドロップアウトカラーに応じて、前記光源から射出されて前記マークシートに照射される光の波長を切り換える切換部と、を含む
ことを特徴とするマークシート読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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