説明

ミキサドラム駆動装置

【課題】商用電源からの充電を頻繁にせずとも回転電動機を用いてミキサドラムを回転駆動することができるミキサドラム駆動装置を提供することである。
【解決手段】本発明の課題解決手段は、ミキサ車Vの架台Cに回転自在に搭載されるミキサドラムMと、ミキサドラムMを回転駆動する駆動源Dとを備えたミキサドラム駆動装置Sにおいて、駆動源DがミキサドラムMを回転駆動する回転電動機5と、当該回転電動機5に電力を供給する電源Batと、ミキサドラムMの回転によって発電して電源Batを充電する発電機6とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミキサドラム駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミキサ車は、モルタルやレディミクストコンクリート等(以下、「生コン」という)を架台に回転自在に搭載されるミキサドラム内に積載して、生コン工場から工事現場まで運搬するものである。
【0003】
そして、このミキサ車は、生コンを運搬するにあたり、生コンの品質劣化および固化を防止するためにミキサドラムを正回転させてミキサドラム内の取付けられた螺旋状の複数のブレードで絶えず攪拌しつづけるようにしている。また、ミキサ車は、ミキサドラムを先程とは逆回転させることでミキサドラム内の生コンを排出することができ、コンクリート打設現場に到着すると、上記のようにミキサドラムを逆回転させて生コンを打設箇所へ供給することができる。
【0004】
上述のようにミキサ車にあっては、生コンがミキサドラム内に投入されると排出されるまでは、常に、これを回転させる必要があり、その駆動源としては、ミキサ車のエンジンを用いるのが一般的である。具体的には、PTO(Power Take Off)を介してエンジンの回転動力を油圧ポンプへ伝達し、油圧ポンプから吐出される圧油を油圧モータへ供給してこれを駆動し、油圧モータの回転でミキサドラムを回転駆動するようにしている。
【0005】
このようなエンジンのみでミキサドラムを駆動するミキサドラム駆動装置では、特に、ミキサドラムを高速回転させる場合、エンジンの回転数を上げる必要があり、回転数を上げると騒音が発生するとともに燃料消費が激しくなる。
【0006】
また、生コンをミキサドラムに積載している間は、固化を防止する等の理由から、常にミキサドラムを回転し続ける必要があるので、エンジンを停止することができない。そのため、打設現場で排出の順番待ちでミキサ車を停車中であっても、エンジンを駆動し続ける必要がある。
【0007】
そこで、この問題を解決するため、エンジンによる主油圧ポンプの駆動に併せて、回転電動機で補助油圧ポンプを駆動して、ミキサドラムを回転駆動するミキサドラム駆動装置も提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−278430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この特開2007−278430号公報に開示されたミキサドラム駆動装置では、エンジンで駆動される主ポンプを回転電動機で駆動される補助ポンプで補助することで、騒音や燃料消費の低減を図ることができるが、回転電動機の駆動にはミキサ車のバッテリから電力供給する必要がある。
【0010】
しかしながら、生コンを積載したミキサドラムを回転駆動するには大電力を要するので、エンジンの回転によって発電するオルタネータの発電だけでは発電量が不足する可能性があって、商用電源からバッテリの充電を頻繁に行わなくてはならない場合がある。
【0011】
そこで、本発明は上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、商用電源からの充電を頻繁にせずとも回転電動機を用いてミキサドラムを回転駆動することができるミキサドラム駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するために、本発明の課題解決手段は、ミキサ車の架台に回転自在に搭載されるミキサドラムと、当該ミキサドラムを回転駆動する駆動源とを備えたミキサドラム駆動装置において、上記駆動源が上記ミキサドラムを回転駆動する回転電動機と、当該回転電動機に電力を供給する電源と、上記ミキサドラムの回転によって発電して上記電源を充電する発電機とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のミキサドラム駆動装置によれば、商用電源からの充電を頻繁にせずとも回転電動機を用いてミキサドラムを回転駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施の形態におけるミキサドラム駆動装置を示す図である。
【図2】ミキサドラムを架台に搭載したミキサ車の側面図である。
【図3】ミキサドラムを架台に搭載したミキサ車の架台に搭載されたミキサドラムの背面図である。
【図4】一実施の形態の一変形例におけるミキサドラム駆動装置における発電機の設置位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明する。一実施の形態におけるミキサドラム駆動装置Sは、図1および図3に示すように、ミキサ車Vの架台Cに回転自在に搭載されるミキサドラムMと、ミキサドラムMを回転駆動する駆動源Dとを備えて構成されている。
【0016】
ミキサ車Vは、架台Cに取り付けた脚Tに回転自在に備え付けられた一対のローラR,Rを備えるとともに、ミキサドラムMおよび駆動源Dを架台Cに搭載している。ミキサドラムMは、後端が開口する有底筒状に形成され、前端となる底部の軸心部が駆動源Dに連結されるドラムシェル1と、ドラムシェル1の後端側外周に設けられるローラリング2とを備えている。また、ミキサドラムMは、図2および図3に示すように、ローラリング2を上記ローラR,Rで下から支持するようにして、架台Cに回転自在に取り付けられている。これにより、ミキサドラムMは、後端側が上方に持ち上げられた前傾姿勢で上記架台Cに取り付けられている。
【0017】
なお、図示はしないが、ドラムシェル1の内周側には、複数の螺旋状のブレードが設けられており、駆動源Dで正転されると、内部に積載される生コンを当該ブレードによって内部側に移動させながら攪拌し、逆転されると、該生コンを当該ブレードによって後端側に移動させてミキサドラムM内から排出することができるようになっている。
【0018】
駆動源Dは、ミキサドラムMのドラムシェル1の前端となる底部の軸心部に出力軸を連結した油圧モータ3と、油圧モータ3へ圧油を供給する油圧ポンプ4と、油圧ポンプ4を回転駆動する回転電動機5と、回転電動機5に電力を供給する電源Batと、ミキサドラムMの回転によって発電して電源Batを充電する発電機6とを備えている。したがって、回転電動機5で駆動される油圧ポンプ4で油圧モータ3を駆動することで、ミキサドラムMを回転駆動することができる。
【0019】
また、この実施の形態では、ミキサ車VのエンジンEによって回転駆動されて油圧モータ3へ圧油を供給する主油圧ポンプ7を備えている。このエンジンEを動力源とした主油圧ポンプ7を回転電動機5で駆動する油圧ポンプ4で油圧モータ3の駆動を補助することもできるし、逆に、回転電動機5で駆動する油圧ポンプ4をエンジンEを動力源とした主油圧ポンプ7で油圧モータ3の駆動を補助することもできるし、また、回転電動機5で駆動する油圧ポンプ4のみで油圧モータ3を駆動することができる。
【0020】
具体的には、油圧モータ3は、この場合、双方向回転可能に設定されており、ループ状の管路8で主油圧ポンプ7に接続されている。主油圧ポンプ7は、双方向吐出型の油圧ポンプとされている。そして、油圧ポンプ4は、管路8の油圧モータ3と主油圧ポンプ7との間の一方をタンク10に接続する管路9の途中に設けられている。なお、管路8の油圧モータ3と主油圧ポンプ7との間の他方もまた、管路11によってタンク10に接続されている。
【0021】
この場合、回転電動機5は、一方向へのみ回転するように電源Batに接続されていて、油圧ポンプ4も回転電動機5によってタンク10から油を吸いこんで油圧モータ3へ向けて吐出するようになっている。また、管路9と管路11の途中には、方向切換弁12が設けられており、この方向切換弁12は、油圧モータ3を正回転及び逆回転させるように、油圧ポンプ4の吐出した圧油を油圧モータ3へ送る二つの位置と、油圧モータ3を経由せずに油圧ポンプ4の吐出した圧油をタンク10へ戻す位置の三つの位置を備えた4ポート3位置の方向切換弁とされている。
【0022】
発電機6は、ドラムシェル1のローラリング2を下方から支持するローラRの回転軸に入力軸6aを接続していて、ミキサドラムMの回転によってローラRが回転すると発電するようになっている。また、発電機6は、電源Batへ充電回路13を介して接続されており、電源Batを発電によって充電することができるようになっている。なお、電源Batは、エンジンEの回転によって発電するオルタネータ14によっても充電されるようになっている。
【0023】
このミキサドラム駆動装置Sでは、ミキサドラムMが回転駆動されると、発電機6が発電して電源Batを充電するので、オルタネータ14のみで電源Batを充電する従来のミキサドラム駆動装置に比較して、発電量が増加する。このように本発明のミキサドラム駆動装置Sでは、発電量が増加するので、電源Batを商用電源からの充電頻度を減少させることができる。したがって、本発明のミキサドラム駆動装置Sによれば、商用電源からの充電を頻繁にせずとも回転電動機5を用いてミキサドラムMを回転駆動することができる。
【0024】
なお、発電機6は、ミキサドラムMの回転を利用して発電することができればよいので、たとえば、図4に示すように、ミキサドラムMの外周の任意の位置に接して回転する回転子6bを設けておき、当該回転子6bに入力軸6aを連結してもよい。発電機6の入力軸6aがローラRに連結される場合には、回転子6bを別途に設けずともよいので、部品点数を少なくすることができ、コストを低減することができる。また、入力軸6aとローラRとの間、入力軸6aと回転子6bとの間に、変速機を設けるようにしてもよい。
【0025】
また、上記したところでは、エンジンEの動力によっても油圧モータ3を駆動して、ミキサドラムMを回転させることができるようになっているが、回転電動機5のみでミキサドラムMを回転させる場合には、主油圧ポンプ7を廃止してもよい。
【0026】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
3 油圧モータ
4 油圧ポンプ
5 回転電動機
6 発電機
Bat 電源
C 架台
D 駆動源
M ミキサドラム
R ローラ
S ミキサドラム駆動装置
V ミキサ車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキサ車の架台に回転自在に搭載されるミキサドラムと、当該ミキサドラムを回転駆動する駆動源とを備えたミキサドラム駆動装置において、上記駆動源が上記ミキサドラムを回転駆動する回転電動機と、当該回転電動機に電力を供給する電源と、上記ミキサドラムの回転によって発電して上記電源を充電する発電機とを備えたことを特徴とするミキサドラム駆動装置。
【請求項2】
発電機は、回転が入力される入力軸を備え、当該入力軸の回転によって発電するように設定され、上記ミキサドラムを回転自在に支持するローラを上記入力軸に連結したことを特徴とする請求項1に記載のミキサドラム駆動装置。
【請求項3】
発電機は、回転が入力される入力軸と、上記ミキサドラムの外周に接して当該ミキサドラムの回転によって回転するとともに上記入力軸に連結される回転子とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のミキサドラム駆動装置。
【請求項4】
駆動源は、上記回転電動機によって回転駆動される油圧ポンプと、当該油圧ポンプから突出される油圧によって駆動される油圧モータとを備え、当該油圧モータの回転を上記ミキサドラムへ伝達して当該ミキサドラムを回転駆動することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のミキサドラム駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−200923(P2012−200923A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65505(P2011−65505)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】