説明

ミシンでの被加工布の縫いずれ防止装置

【課題】2枚の被加工布を縫い合わせる時、あるいは縫製物の異なった部品を縫い合わせる時、縫いずれないようにする。又被加工布の厚みによりストッパー金具で強弱の抵抗を掛けられるように調整出来る、縫いずれ防止針板を提供する。
【解決手段】針板案内溝10をもうけストッパー金具6を弾性体に溶着したT型弾性体7aを針板案内溝10にはめ込み、ネジ11ナット12で針板案内溝10に止め付ける。送り歯の楕円運動18により針板上面にあるT型又弾性体7aを上下に動かし被加工布の下側布に抵抗を設ける。T型弾性体7aを進行方向、前後17にスライドする事により、被加工布の厚みによる縫いズレをストッパー金具6の適切な位置で止め強弱の抵抗が掛けられ、調整が出来る。ストッパー金具6を押え金下面の幅より長くし下側被加工布に掛る抵抗を増大させて、2枚の被加工布を完全同調させる事を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本縫いミシンで2枚の被加工布を縫い合わせる時、下側被加工布が上側の被加工布よりより多く送られるのを防ぎ、上の被加工布と下の被加工布を完全に同調させて縫いあげるミシンの被加工布の縫いずれ防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の本縫いミシンでは、針板の下側に送り歯があり、上には押さえ金がある。この送り歯は楕円運動し針板上面に出没して2枚の被加工布が後へ送られる機構になっているが、被加工布が送られる時、上側にある押さえ金が接している上側の被加工布に抵抗が掛かり下側の被加工布が上側の被加工布より、より多く送られ縫いずれてしまうという問題があった。そのため針板上面に制止機構を設け送り歯に追従出来るようにストッパーを配置して下側被加工布に抵抗を設けるようにしていた。
ストッパーは押え金の幅より小さく下側被加工布に掛る抵抗が少なく、上側被加工布と完全同調出来なかった。又被加工布の厚みにより抵抗の強弱を調整出来なかった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開昭64−62190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、本縫いミシンの針板上面に制止機構を設けていたが、ストッパー(送り機構に合わせて上下する)の幅が押え金下面の幅より小さいため下側の被加工布に 掛る抵抗が少なかった。又被加工布の厚みに対して強弱の抵抗が掛けられる機構がなかった。本発明は、これらの問題を解決するためになされたものである。
【発明を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は本縫いミシン縫いずれ防止装置において、以上の問題を解決する。
トッパー金具の巾を押さえ金下面の巾より長めにする事により下側被加工布に強い抵抗を掛けられるようにし、そのストッパー金具を弾性体に溶着した部品をT型弾性体とする。そのT型弾性体を送り歯が針板上面に出没するのに合わせて追従出来るようにした。又T型弾性体が送り方向前後にスライド出来、被加工布の厚みに対して強弱の抵抗、調整出来るようにした。上下の被加工布が縫ずれなく完全同調出来る縫いずれ防止装置を提供する事を目的とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、ストッパー金具を押え金下面の幅より長くすることにより下側被加工布に強い抵抗を掛れるようになり、そのストッパー金具を弾性体に溶着しT型弾性体部品とする。送り歯が針板上面に出没することによりT型弾性体も追従し下側被加工布に抵抗を掛け続ける事が出来るようなった。T型弾性体のストッパー金具を押え金前上がり部分に当て、そのT型板弾性体を進行方向前後にスライドすることにより被加工布の厚み分の違いによる、縫いずれ方の違いを適切な位置でネジを固定し厚み分の調整が出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係るミシンでの被加工布の縫いずれ防止装置の要部の分解した構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るミシンでの被加工布の縫いずれ防止装置の全体の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るミシンでの被加工布の縫いずれ防止装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るミシンでの被加工布の縫いずれ防止装置の動作を説明するための側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るミシンでの被加工布の縫いずれ防止装置の動作を説明するための側面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るミシンでの被加工布の縫いずれ防止装置の動作を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、実施形態を説明する前に各図の概要について説明する。
〔図1〕は、本発明に係る針板1にストッパー金具6を弾性体7に溶着したT型弾性体7aを取り付けるための針板案内溝10を設け、T型弾性7aを9のネジ穴とバカ穴8に通し、ネジ11ナット12で取り付け可能な分解図の斜視図である5は針穴である。
〔図2〕は、発明に係る本縫いミシンに押さえ金2と針板案内溝10にT型弾性体7aを取り付け、送り歯3が沈んだ 全体の斜視図である。4は針、Aは被加工布を送り歯で送る方向である。
〔図3〕は、送り歯3に前側の山部分を削り、超合金を溶着した3a斜視図である。
〔図4〕は、針板1と押え金2の間に被加工布162枚を挟み、被加工布をA方向に送り歯が楕円運動18により送って行く。送り歯3が沈んだ側面図である。
〔図5〕は、本発明に係る、送り歯3が針板上面に上がりT型弾性体7aをB方向に持ち上げ、押え金前上がり15部分にストッパー金具6が当たり、下側被加工布に抵抗を掛けられる仕組みになっている側面図である。
〔図6〕は、送り歯3が針板上面より沈だとき、押え金前上がり15部分にストッパー金具との間に少量の隙間13が出来るのが薄い被加工布の調整である。逆に厚い被加工布の調整は押え前上がり15の部分にストッパー金具6が当たるまでT型弾性体7aを押し込み11のネジと12のナットで締め付け固定する。17は被加工布での特性によりT型弾性体をスライドさせ、適切な位置で調整しネジ11ナット12締め付け、縫いずれを防止する。
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基ついて説明する。
2枚の被加工布を針板1と押さえ金2の間に挟み、送り歯3の楕円運動18により2枚の生地をA方向送っていく時、針板案内溝10に取り付けたT型弾性体7aのストッパー金具6が送り歯3で持ち上げられて、下側被加工布に抵抗を掛け上側被加工布と縫いずれなく同調させる事が出来る。
【00010】
送り歯3が針板1の上面に出没するのに合わせてT型弾性体7aが追従し,ストッパー金具6も上下Bし、ストッパー金具は常に押さえ金前上がり15位置で下側被加工布に絶えず抵抗が掛る仕組みになっている。
【0011】
厚い被加工布は下側被加工布に抵抗が強く掛るように、送り方向、前後へT型弾性体7aを動かし、押さえ金前上がり15部分の13の隙間を無くし下側被加工布に抵抗を強く掛るようにする。又薄い被加工布は13の隙間を少量あけ下側被加工布に掛る抵抗を少なくし、適切な位置でT型弾性体をネジ11、ナット12で止めつける。
【0012】
ストッパー金具6の幅は押え金下面2幅より長くする事により下側被加工布への抵抗が増大し、押え金の抵抗で生じる上側被加工布との抵抗を打ち消し縫いずれなく同調出来るようになる。
【0013】
また、上記の実施の形態は、1本針本縫いミシンにおける被加工布、或いは縫製部品の縫いずれ防止装置としたが、2本針ミシン、環縫いミシン、ロックミシン等、多様なミシンに用いても同様な効果を得る事が出来る。
【符号の説明】
【0014】
1 針板
2 押さえ金
3 送り歯
3a 送り歯の前側をカットし超合金を溶着したもの
4 ミシン針
5 針穴
6 ストッパー金具
7 弾性体
7a ストッパー金具と弾性体を溶着したもの
8 バカ穴
9 ネジ穴
10 針板案内溝
11 ネジ
12 ナット
13 押え金とストッパー金具との隙間
15 押え金前上がり
16 被加工布
17 被加工布の厚みを調整するT型弾性体のスライド方向
18 送り歯楕円運動
A 送り方向
B 送り歯の楕円活動によるT型弾性体の動く上下方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押え金下面2の幅よりストッパー金具6を長くし、下側被縫製物に抵抗が強く掛るようにする。ミシンの送り機構を利用して針板1と押さえ金前上がり15部分にストッパー金具6が当たるようにするため、ストッパー金具6を弾性体7に溶着たT型弾性体7aを針板案内溝10に取り付け、送り歯が針板上面に上がる時、又沈む時にストッパー金具6が追従し上下することにより下側被加工布に抵抗を掛、縫いずれを防ぐ。又被加工布の厚み、特性に合わせてT型弾性体7aを送り方向前後17にスライド出来、適切な位置でネジ11、ナット12で固定し強弱の抵抗を調整出来ることを特徴とする.ミシンでの縫いずれ防止装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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