説明

ミシンの円縫い装置

【課題】縫製したい円形の大きさに応じて位置調整を容易に行うことができ、使い勝手を向上させることができるミシンの円縫い装置を提供する。
【解決手段】ミシンの円縫い装置は、針板の上面に装着可能な本体ベースと、所定方向に移動可能に本体ベースに設けられた可動ベース部13と、加工布を貫通可能で凹部11aが形成された布針11及びこの布針11の基端部を固定保持する保持体31とを有する針部材14と、可動ベース部13に設けられ布針11の凹部11aを係脱可能にロックするロック手段と、可動ベース部13に設けられ操作者の手指による可動ベース部13の所定方向への移動操作が可能な操作部材18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針落点から離隔した側方位置で加工布に布針を貫通させ、その布針を中心として加工布を回転させつつ円縫いを行うミシンの円縫い装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ミシンを使用して円縫いを行う場合、布針が配置される円縫い装置をミシンに装着すると共に、針落点から側方に離隔した位置で加工布の一点を布針にて係止し、送り歯の布送りによって布針を中心に加工布を回転させつつ、縫針を装着した針棒を上下動させることにより円縫いが行われている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載された円縫い装置は、ミシンベッド又は針板の上面に装着可能な本体ベースと、当該本体ベースに左右方向へ移動可能に設けられた布針支持体(可動ベース部)と、この可動ベース部の布滑り部に支持される布固定針とを備えている。布固定針は左右方向に延びており、針落点寄りの右端部に上向きの布針を有すると共に、左端部において、前記布滑り部の下側に配置されたロック手段により保持される。
【0003】
この円縫い装置では、上面側に加工布を載置して回転させることから、円縫い装置と針板との間の段差を小さくするのが好ましい。即ち、布固定針や可動ベース部の上面と針板の上面との高さの差が大きい場合、その高さの差によって加工布に段差が生じた状態で縫製が行われ、円縫い模様の縫い始めの点と縫い終わりの点の位置がズレる虞がある。このため、可動ベース部は全体として板状をなすと共に、その上面において、三角形状をなす布滑り部が、加工布の回転の妨げとならないよう突出するにすぎず、可動ベース部及び布固定針は何れも厚み乃至高さ寸法が比較的小さく設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−253725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の円縫い装置では、円縫いを行う際、縫製したい円形の大きさに応じて可動ベース部を左右方向に移動させることにより、可動ベース部ひいては布針の位置調節が行われるようになっている。しかしながら、この円縫い装置は、前述のように可動ベース部を含め全体として平坦な構造をなすことから、可動ベース部の位置調節を行う場合、これをユーザ(操作者)が把持する適当な箇所がなく、可動ベース部の移動操作がやり難くなっていた。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、縫製したい円形の大きさに応じて位置調整を容易に行うことができ、使い勝手を向上させることができるミシンの円縫い装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明の請求項1のミシンの円縫い装置は、針落点から離隔した側方位置で加工布に布針を貫通させ、送り歯による布送りを介して前記布針を中心として前記加工布を回転させつつ円縫いを行うミシンの円縫い装置において、ミシンベッド又は針板の上面に装着可能な本体ベースと、所定方向に移動可能に前記本体ベースに設けられた可動ベース部と、加工布を貫通可能で係合部が形成された布針と、この布針の基端部を固定保持する保持体とを有する針部材と、前記可動ベース部に設けられ、前記布針の係合部を係脱可能にロックするロック手段と、前記可動ベース部に設けられ、操作者の手指による前記可動ベース部の前記所定方向への移動操作が可能な操作部材と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、操作者の手指により操作部材を摘む等して、可動ベース部の移動操作を行うことができるので、本体ベースに対する可動ベース部の相対的な位置を、縫製したい円形の大きさに応じて容易に調節することができる。また、布針に係合部が形成されており、ロック手段によって当該係合部をロックすることで針部材が可動ベース部に装着され、ロック手段による係合部との係合状態が解除されると、針部材は可動ベース部から取外し可能となるため、可動ベース部に対して針部材を確実に装着することができると共に、簡単に着脱することができ、総じて使い勝手のよいものとすることができる。
【0009】
請求項2のミシンの円縫い装置は、請求項1の発明において、前記操作部材は、前記可動ベース部の上面から突出する操作位置と、前記可動ベース部にその上面から突出しないように収まる収納位置とに切換え可能に構成されていることを特徴とする。
請求項3のミシンの円縫い装置は、請求項2の発明において、前記操作部材は、その基端部を揺動支点として前記可動ベース部に前記操作位置と前記収納位置との間で揺動可能に支持され、自重により揺動して前記収納位置に戻るように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4のミシンの円縫い装置は、請求項3の発明において、前記操作部材は、前記可動ベース部の移動方向と交差する方向へ揺動するよう前記揺動支点で支持されていることを特徴とする。
請求項5のミシンの円縫い装置は、請求項1乃至4の何れかの発明において、前記操作部材は、前記可動ベース部の手前側に配置されていることを特徴とする。
請求項6のミシンの円縫い装置は、請求項1乃至5の何れかの発明において、前記操作部材は、前記可動ベース部において前記針落点寄りの一方側端部と反対側の他方側端部に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1のミシンの円縫い装置によれば、操作者の手指により操作部材を摘む等して、可動ベース部の移動操作を行うことができるので、本体ベースに対する可動ベース部の相対的な位置を、縫製したい円形の大きさに応じて容易に調節することができる。また、布針に係合部が形成されており、ロック手段によって当該係合部をロックすることで針部材が可動ベース部に装着され、ロック手段による係合部との係合状態が解除されると、針部材は可動ベース部から取外し可能となるため、可動ベース部に対して針部材を確実に装着することができると共に簡単に着脱することができ、総じて使い勝手のよいものとすることができる。
【0012】
請求項2のミシンの円縫い装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、操作部材は、操作位置にて可動ベース部の上面から突出するため手指で把持し易く、操作性を良くすることができる。操作部材を使用しない時は収納位置に切換えることにより、可動ベース部の上面から突出しないように収納できるため、円縫いを行う際に、操作部材が加工布の回転の邪魔になることはなく、前述した円縫い模様の「ズレ」の問題を来すこともない。
【0013】
請求項3のミシンの円縫い装置によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、操作部材は基端部を揺動支点とする支持構造を有するので、簡単な構成で操作部材を操作位置と収納位置とに切換えることができる。そして、操作部材が自重により自動的に収納位置に戻るため、上記のように操作部材の位置を切換える構成でありながら操作の煩わしさがなく、又、操作部材が可動ベース部の上面から突出した状態で縫製が行われるのを防止することができる。
請求項4のミシンの円縫い装置によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、操作部材は可動ベース部の移動方向と交差する方向へ揺動するため、操作部材を操作位置に切換える際、可動ベース部を不用意に移動させることを防止することができる。
【0014】
請求項5のミシンの円縫い装置によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の効果に加え、操作部材は可動ベース部の手前側に配置されているため、操作部材の位置の切換えや移動操作を容易に行うことができ、操作性を向上させることができる。
請求項6のミシンの円縫い装置によれば、請求項1乃至5の何れかに記載の発明の効果に加え、操作部材を、可動ベース部の他方側端部に配置することで、針落点つまり縫針から極力離間させることができ、操作部材の操作性を良くすることができる。また、可動ベース部において針部材(布針)を針落点寄りの一方側端部に配置することができる等、小さな半径の円縫い模様の縫製を可能とする上で設計制約となることはない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、円縫い装置を装着した状態でのミシンの斜視図
【図2】円縫い装置の平面図
【図3】針ホルダ部分を分解した可動ベース部と、針部材とを示す斜視図
【図4】上部針ホルダを除いた状態における可動ベース部の前半部の拡大平面図
【図5】(a)はカバー部材がカバー位置に在る状態での針部材の正面図、(b)は(a)のVb−Vb線に沿って示す断面図、(c)はカバー部材が露出位置に在る状態での針部材を示す(b)相当図
【図6】針ホルダに針部材を装着した状態を示す可動ベース部の左側面図
【図7】(a)は図6のVIIa−VIIa線に沿って示す針ホルダ部分の拡大断面図、(b)はロック手段によるロックが解除された状態を示す(a)相当図
【図8】(a)は操作部材が収納位置に在る状態での可動ベース部近傍部の拡大斜視図、(b)は(a)のVIIIb−VIIIb線に沿って示す断面図
【図9】(a)は操作部材が操作位置に在る状態での可動ベース部近傍部の拡大斜視図、(b)は(a)のIXb−IXb線に沿って示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を家庭用ミシンに適用した一実施形態について、図1〜図9を参照しながら説明する。図1は、ミシンMに後述する円縫い装置を装着した状態の斜視図を示しており、操作者(ユーザ)が位置する方向を前方として説明する。
ミシンMは、ミシンベッドたるベッド部1と、ベッド部1の右端部に上方に延びるように立設された脚柱部2と、脚柱部2の上部に左方に延びるように突設されベッド部1に対向するアーム部3と、アーム部3の左部に設けられた頭部4とを一体に備えて構成されている。アーム部3内には、ミシン主軸(図示略)が左右方向に延びるように設けられていると共に、前記ミシン主軸を回転させるミシンモータ(図示略)が配設されている。
【0017】
詳しい図示は省略するが、頭部4には、下端に縫針5を装着した針棒5aが設けられており、この縫針5の近傍に、加工布CL(図6にのみ図示)を上方から押さえるための布押え6が配置されている。また、図示は省略するが、アーム部3内には、針棒5aをミシン主軸の回転に基づき上下動させる針棒駆動機構、針棒5aを布送り方向と直交する方向(左右方向)に揺動させる針棒揺動機構、天秤を針棒の上下動に同期して上下動させる天秤駆動機構等が配設されている。
ベッド部1の上面に設けられた針板1aの下側には、加工布CLを送る送り歯7(図2参照)を上下動させる送り歯上下動機構(図示略)、送り歯7を前後動させる送り歯前後動機構(図示略)、下糸が巻回された下糸ボビン(図示略)を収容し縫針5と協働して縫い目を形成する全回転釜(図示略)、上糸と下糸を切断する糸切り機構(図示略)等が設けられている。図2に示すように、針板1aには、送り歯7に形成された複数の歯部7aが出没可能な角穴1bと、縫針5を貫通可能な幅広で湾曲状の針穴1cとが形成されている。
【0018】
脚柱部2の前面には、大型でカラーの液晶ディスプレイ8が設けられ、この液晶ディスプレイ8には、メニュー画面や模様入力画面、模様選択画面等が表示される。アーム部3の前側には、縫製作業の起動と停止を指令する起動停止スイッチ9等、各種スイッチが設けられている。そして、針板1aの上面には、円縫いを行うための円縫い装置10が装着されている。この円縫い装置10は、針落点としての針穴1cから側方に離隔した側方位置で、加工布CLに後述する布針11(図3参照)を貫通させ、送り歯7により布針11を中心として加工布CLを回転させつつ針棒5aを上下動させて円縫いを行うようになっている。
【0019】
次に、円縫い装置10について、図2〜図6も参照しながら説明する。
円縫い装置10は、針板1aの上面に着脱可能に装着される本体ベース12と、この本体ベース12に移動可能に保持される可動ベース部13と、この可動ベース部13に対して係脱可能に装着される布針11を有する針部材14とを備えている。
【0020】
図2に示すように、本体ベース12は、針板1aにビス15により固定状態に取付けられる取付部12aと、この取付部12aから左方向に直線状に延びるガイド部12bとを一体に有している。取付部12aには前部側が開口した開口部12cが形成されていて、この開口部12cの内側に、前記布押え6が配置されている。ガイド部12bの前縁部には、可動ベース部13の位置合せの目安となる所定間隔毎(例えば5mm間隔)の目盛が付された目盛部12dが設けられている。ガイド部12bの後部には、左右方向に延びる直線状のレール溝12eが形成され、このレール溝12eの片側に、複数のV字溝が所定間隔毎(例えば5mm間隔)で形成されている。
【0021】
図3に示すように、可動ベース部13は、全体として平坦な形状をなしており、後部には、前記レール溝12eに係合可能な係合部16(図6参照)が裏側へ突出するように設けられている。この可動ベース部13は、レール溝12eに沿って所定方向(左右方向)へ移動可能で、係合部16がレール溝12eに係合することで任意の位置に保持される。尚、可動ベース部13が左右方向に移動する際、係合部16がレール溝12eの片側に設けられた複数のV字溝に間欠的に係合して、軽いノッチ感が付与される。
可動ベース部13は平面視にて、前半部の右部が針落点側へ張出すL字形状をなしており、当該前半部の右部に略矩形状のホルダ用収容窪み17が設けられ、前半部の左端部に後述する操作部材18を収容するための操作部材用収容窪み19が設けられている。
【0022】
ホルダ用収容窪み17(下部針ホルダ)は、その上面部に上部針ホルダ20が設けられると共に、上部針ホルダ20との間に配置される複数(例えば2つ)の係合爪21,22及び圧縮コイルばね23,24と、ホルダ用収容窪み17に対してスライド可能に配置される操作板25とを備えている。
詳細には、ホルダ用収容窪み17は、上部針ホルダ20の厚みの分だけ下方に窪む矩形状の第1窪み26と、この第1窪み26における左右方向の中間部にて下方に窪む第2窪み27とを有している。図3、図4に示すように、第2窪み27の略中央には、布針11の先端部の挿入を許容する挿入穴27aが形成されている。第1窪み26の左右の両側部には、平面視にて挿入穴27aを挟んで対向する位置に、第2窪み27に連通するばね収容部26a,26bが形成されている。第2窪み27の前部には、操作板25を前後方向にガイドする凹状の操作板ガイド部27bが外側へ連通し且つ張出すように形成され、このガイド部27bの中央部に、ピン状のガイド凸部27cが設けられている。また、第2窪み27には、挿入穴27aの後側に位置して、円形凸状をなす2つの支持部27d、27eが左右に並べて設けられている。尚、ホルダ用収容窪み17には、第1窪み26の四隅部に、上部針ホルダ20を組み付けるため凹状の取付部26c(図4参照)が夫々設けられている。
【0023】
図3に示すように、操作部たる操作板25は、ガイド孔25aが形成された被ガイド部25bと、この被ガイド部25bの前端部から下方に折曲された押圧部25cとを有する。このガイド孔25aは、前後方向に延びる長円状をなしており、ホルダ用収容窪み17のガイド凸部27cに嵌合することで、操作板25が前後方向に移動可能となっている(図4参照)。また、被ガイド部25bの後端部には、中央部が後方に突出する山形状の拡開部25dが形成されている。
【0024】
係合爪21,22は何れも前後方向に延びており、係合爪21は、左側の支持部27dに揺動可能に支持され、係合爪22は、右側の支持部27eに揺動可能に支持されている。図4に示すように、係合爪21及び係合爪22は、互いに挿入穴27a(詳細には後述する布針11の凹部11a、図7(a)参照)を挟んで対向し且つ対称的な形状をなしている。即ち、係合爪21,22の夫々の先端部は、操作板25の拡開部25dの側部に摺接可能な傾斜部21a,22aを有し、係合爪21の傾斜部21aと係合爪22の傾斜部22aとでV字状をなしている。
係合爪21には、当該V字状の谷部に位置して相手側(係合爪22)と当接可能な当接部21bが形成され、その直ぐ近傍に布針11の凹部11aに嵌合可能な嵌合部21cが形成されている。また、係合爪21には、ばね収容部26aに臨む部分が下方に折曲されたばね受け部21dが設けられている。ここで、係合爪21及び係合爪22は、ホルダ用収容窪み17を左右に2分し且つ挿入穴27a中心を通る直線L1(図4参照)を対称軸として、互いに線対称の形状である。従って、係合爪22は、係合爪21と同様に、相手側に当接可能な当接部22bと、布針11の凹部11aに嵌合可能な嵌合部22cと、ばね収容部26bに臨むばね受け部22dとを有する。
【0025】
圧縮コイルばね23は弾性部材として、ばね収容部26aに収容された状態で、ばね受け部21dに当接し、圧縮コイルばね24は弾性部材として、ばね収容部26bに収容された状態で、ばね受け部22dに当接している。これにより、係合爪21,22は、圧縮コイルばね23,24によって、布針11の凹部11aを挟む方向へ弾性付勢され、当接部21b,22bで互いに当接している。他方、操作板25は、ガイド孔25aの後側面とガイド凸部27cの後側面とが当接している状態で、拡開部25dにおいて傾斜部21a,22aと夫々当接している。
ここで、操作板25の押圧部25cを後方へ押圧操作すると、操作板25は、その拡開部25dが係合爪21,22の傾斜部21a,22aと当接し、そのまま摺接しながら後方へ移動する。このとき、係合爪21,22は、圧縮コイルばね23,24の弾性力に抗して、互いにハ字状をなすように拡げられるようになっている(図7(b)参照)。上記係合爪21,22、圧縮コイルばね23,24及び操作板25は、本発明のロック手段29を構成する。
【0026】
図3に示すように、上部針ホルダ20は第1窪み26に嵌合する矩形板状をなし、その上面は加工布CLが載置される載置面20aとされている。上部針ホルダ20は、載置面20aと可動ベース部13の上面13aとが面一になるように構成されており、載置面20aの略中央部に布針11が貫通する貫通孔20bが形成されている。また、載置面20aには、貫通孔20bの周りに放射状に延びる複数(例えば3つ)の溝部28a,28b,28cからなる平面視にてY字状の針ガイド28が形成されている。各溝部28a〜28cは、布針11の先端(後述の円錐部11c)をガイドする浅底な直線状をなし、中心の貫通孔20bに対し布針11の挿入を容易にすべく120度間隔で連なると共に、貫通孔20bの視認性を高める標示部として形成されている。上部針ホルダ20の四隅部には、ホルダ用収容窪み17の取付部26cに係合する被取付部20cが夫々設けられると共に、上部針ホルダ20の前端部には、操作板ガイド部27bに沿う張出部20dが設けられている。上記のように、ホルダ用収容窪み17は下部針ホルダとして、上部針ホルダ20及びロック手段29と共に布針11を着脱可能に装着するための針ホルダ30を構成し、可動ベース部13に一体的に設けられることとなる。
【0027】
続いて、針部材14について、図5(a)〜(c)も参照しながら説明する。ここで、図5(a)は針部材14の正面図を示しており、(b)は(a)のVb−Vb線に沿って示す断面図である。
針部材14は、布針11と、この布針11の基端部を固定保持する保持体31と、この保持体31に移動可能に設けられたカバー部材32と、これら保持体31とカバー部材32との間に収容されるように配置された圧縮コイルばね33とを備えている。
【0028】
布針11は、保持体31から伸長する円柱部11bと、この円柱部11bの先端に形成された円錐部11cとを有し、円柱部11bの先端寄りの部位に円錐部11cと離間して前記凹部11aが形成されている。円錐部11cは布針11の針先であって、前記の貫通孔20bや挿入穴27aへの布針11の挿入を容易にする先細りの形状をなす。凹部11aは、例えば円柱部11bの全周にわたって形成されていて、前記ロック手段29に係脱可能にロックされる係合部に相当する。図5(a)に示すように、凹部11aの上下両側部11d,11eは所定角度傾斜したテーパ状に形成され、その傾斜角は、加工布CLに対する布針11の抜き刺しが容易で且つロック手段29による凹部11aの係止状態が確保されるように設定されている。また、凹部11aと円錐部11cとの間の離間距離H(図5(c)参照)は、挿入穴27aにおいて布針11先端部の充分な保持効果が得られる寸法に設定されている。一方、針ホルダ30の貫通孔20bと挿入穴27aは、何れも布針11の受け部として、円柱部11bの外周面に沿う形状をなし、布針11先端部をその外周面で支持することで布針11のガタの発生を防止するように構成されている。これにより、布針11は、凹部11aでロック手段29の係合爪21,22に嵌合保持され、円柱部11bにおける凹部11aの直ぐ上側と下側とで、針ホルダ30の貫通孔20bと挿入穴27aとにより保持されることとなる。
【0029】
保持体31は、合成樹脂材料からなり、円筒部31aと円天井部31bとを一体に有し、全体として円筒キャップ状に形成されている。図5(a)、(b)に示すように、円筒部31aの下端寄りの部位には、一対の孔部31c,31dが、円筒部31aの軸線L2に対して対称な位置に180度間隔で設けられている。これら孔部31c,31dには、ピン34a,34bが夫々圧入により固着されている。ピン34a,34bは、一方の端部が円筒部31aの外周面と面一になるように配置され、且つ他方の端部のみが円筒部31aの径方向内側へ突出した状態で孔部31c,31dに固着されている。図5(b)に示すように、円天井部31bの中央部には下方に突出する筒状の針固定部31eが形成されると共に、その外周部にばね掛部31fが形成されている。針固定部31eには、円柱部11bの基端部が固着され、ばね掛部31fには、図5(b)中2点鎖線で示す圧縮コイルばね33の上端部が係止される。
【0030】
カバー部材32は、合成樹脂材料からなり、円筒状の胴部32aと、この胴部32aの下端部に一体形成されたフランジ部32bとを有する。胴部32aは、その外周面において保持体31の円筒部31aの内周面を摺動するように構成されている。胴部32aの中心部には、軸方向へ貫通する針挿通部32cが形成され、この針挿通部32cに布針11の円柱部11bが摺動可能に挿通される。また、胴部32aには、保持体31のピン34a,34bが挿通されるガイド溝32d、32eが設けられている。これらガイド溝32d、32eは、胴部32aにおいて軸方向へ延びる直線状をなし、前記軸線L2に対して対称な位置に180度間隔で形成されている。フランジ部32bは、胴部32aや円筒部31aに比し径大な円板状をなし、その下面部は加工布CLを押圧する布押し部32fとされている(図6参照)。
カバー部材32は、ガイド溝32d、32eにてピン34a,34bにガイドされることで、保持体31に対して、布針11の先端部(針先部分)以外の部分を囲うカバー位置(図5(a)、(b)参照)と布針11の下半部を露出させる露出位置(図5(c)参照)との間で移動可能に設けられている。
【0031】
圧縮コイルばね33は、上端部において保持体31のばね掛部31fに係止され、下端部においてカバー部材32の上端面32gを下方に付勢するように組み付けられた弾性部材である。この圧縮コイルばね33の弾性力により、カバー部材32は保持体31に対して相対的に、カバー位置側たる矢印D1方向(図5(c)参照)に付勢されている。
従って、図5(a)、(b)に示すように、針部材14は、針ホルダ30から外された不使用時において、カバー部材32がカバー位置に位置し、布針11の針先部分のみ露出させた状態となる。このため、ユーザに対する布針11の針先部分の注意喚起を図りつつ、ユーザの指が布針11の針先に誤って触れることを可及的に防止することができる。一方、図5(c)に示すように、針部材14は、布針11を加工布CLの円縫い中心位置に貫通させる場合に、圧縮コイルばね33の弾性力に抗して、カバー部材32を保持体31に対して押し上げ露出位置に移動させる。こうして、ユーザは、カバー部材32のフランジ部32bを把持する等して、カバー部材32の露出位置を維持した状態で、布針11を加工布CLへ貫通させ或は針ホルダ30へ装着することができる。
【0032】
ここで、針部材14の布針11が、可動ベース部13の針ホルダ30に装着されていない状態では、ロック手段29の係合爪21,22は、圧縮コイルばね23,24の弾性力によって、当接部21b,22bが互いに当接した位置に在る(図4参照)。この状態において、布針11を上部針ホルダ20の貫通孔20bから挿入すると、布針11は円錐部11cが係合爪21,22の嵌合部21c,22cに摺接しながら下方へ移動することで、係合爪21,22の間隔を若干、拡げることとなる。そして、布針11は、その凹部11aが嵌合部21c,22cに到達したときに、係合爪21,22に挟まれて嵌合支持され(図7(a)参照)、凹部11aの直ぐ上側と下側の円柱部11bが、針ホルダ30の貫通孔20bと挿入穴27aとにより保持される。これにより、針部材14の布針11が、針ホルダ30にガタが発生しないように装着される。
【0033】
針ホルダ30から針部材14を取外す場合、操作板25の押圧部25cを後方へ押圧操作する。このとき、図7(b)に示すように、操作板25は、その拡開部25dで係合爪21,22の傾斜部21a,22aと摺接しながら後方へ移動し、圧縮コイルばね23,24の弾性力に抗して係合爪21,22の間隔をハ字状に広げることで、布針11の凹部11aと係合爪21,22の嵌合部21c,22cとの係合、つまりロック手段29によるロック状態が解除される。この状態で、針部材14を針ホルダ30から外すことができる。
【0034】
図3、図4等に示すように、可動ベース部13の前端部における左右方向の中間部には湾状の切欠部35が形成されると共に、この切欠部35の下端部に、略三角形状の指標部35aが設けられている。指標部35aの先端部は、前述した本体ベース12の目盛部12dに付された針落点と布針11との間の距離(つまり円縫い模様の半径)を指し示す。これにより、本体ベース12に対し、可動ベース部13をレール溝12eに沿って左右方向に移動させる際、指標部35aが指し示す目盛部12dを目安に可動ベース部13の位置決めを行うことができる。
【0035】
さて、この可動ベース部13の移動操作に用いられる操作部材18、及び当該操作部材18を可動ベース部13に収容する操作部材用収容窪み19(以下、単に収容窪み19と称する)について、図8、図9も参照しながら説明する。ここで、図8(a)、図9(a)は可動ベース部13近傍部の拡大斜視図を示しており、図8(b)及び図9(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線及び図9(a)のIXb−IXb線に沿う縦断面図を示している。
【0036】
図4、図8、図9等に示すように、収容窪み19は、可動ベース部13手前側の前半部において、前述したホルダ用収容窪み17と反対側の左側端部に形成されている。この収容窪み19は、可動ベース部13の左隅部に形成された前部側凹部37と、前部側凹部37よりも幅狭で且つ後側に形成された後部側凹部38とからなり、平面視にて全体がT字状をなす。
【0037】
図9(a)に示すように、前部側凹部37は上方のみならず、前方及び左方が何れも開放されている。収容窪み19の底壁部40は、前部側凹部37に対応する部分にのみ形成されており、操作部材18の下側の空間(手指の先を入り込ませる空間S(図8(b)参照)を確保すべく、底壁部40の前端部を切欠いた第1切欠部40aと、後部側凹部38に対応する部分を切欠いた第2切欠部40bとを有する。尚、詳しくは後述するように、底壁部40は、揺動規制手段としても機能するもので、操作部材18の下面と当接することにより操作部材18の収納位置(図8参照)を保持するようになっている。
【0038】
後部側凹部38は、上方及び下方が開放されており、後部にはこれを跨ぐように左右方向に延びる支持ピン39と、この支持ピン39に比し径小な規制ピン41とが設けられている。詳細には、図4に示すように、後部側凹部38の左側壁部38aと右側壁部38bには、可動ベース部13の移動方向に沿うピン穴38cが夫々形成されており、このピン穴38cに支持ピン39が圧入により固着されている。また、後部側凹部38の左側壁部38aには、ピン穴38cの斜め前上方に位置して、左右に貫通するピン穴38dが形成されており、このピン穴38dに規制ピン41が圧入により固着されている。
【0039】
操作部材18(操作摘み)は、全体が収容窪み19に収まるT字状をなし、前部側凹部37に対応する手前側の摘み部43と、後部側凹部38に対応する基端側の取付部44とを一体に有する。
取付部44の後端部には貫通孔44aが形成されており、この貫通孔44aに支持ピン39が挿通されている。これにより、操作部材18は、支持ピン39を揺動支点C(図8(b)参照)として、可動ベース部13の移動方向と交差(直交)する方向へ揺動可能に取付けられている。また、図8(b)に示すように、取付部44には、貫通孔44aの外周縁部の前側に位置して上下に長い長孔44bが形成されている。前記規制ピン41は、長孔44bに挿通されており、長孔44bと共に揺動規制手段を構成する。即ち、操作部材18は、その揺動の際に長孔44b内にて規制ピン41により係止されることで、可動ベース部13の上面13aから突出する操作位置(図9参照)と、収容窪み19に前記上面13aから突出しないように収まる収納位置(図8参照)との間の揺動範囲に規制される。
【0040】
具体的には、操作部材18の上面18aを構成する、摘み部43の上面及び取付部44の上面は、収納位置において可動ベース部13の上面13aと面一になるように構成されている。また、図4、図8(a)に示すように、操作部材18の収納位置において、摘み部43の前端面及び左端面は、可動ベース部13の前端面及び左端面と夫々面一になるように構成されている。この摘み部43は、手指により摘まれる部位であり、平面視にて矩形状をなしている。摘み部43下面の手前側には、正面視にて上方へ円弧状に窪み且つ前述した空間Sを形成する凹状部43aが形成されている。摘み部43下面の後部は、収容窪み19の底壁部40に当接することで、操作部材18の収納位置が保持される。
図9(b)に示すように、操作部材18の揺動範囲αは、前記揺動規制手段によって、揺動支点Cを通る鉛直線L3を超えない手前側の範囲に規制されている。つまり、同図から明らかなように、操作部材18は、その重心が鉛直線L3の手前側に位置する範囲αで揺動し、操作位置側から自重により揺動して収納位置に戻るように構成されている。
【0041】
上記円縫い装置10の作用について説明する。
図2に示すように、ユーザは円縫いを行うに際して、先ず本体ベース12の取付部12aを、針板1aにビス15により固定状態に取付ける。
次いで、所望する円縫い半径になるように、予め可動ベース部13を本体ベース12に対して左右方向に移動させる。この場合、図8に示すように、操作部材18は、その上面18aが可動ベース部13の上面13aと面一になる収納位置にある。そこで、ユーザは、手指の先を操作部材18の下側の空間S側に入り込ませ、操作部材18の摘み部43を摘んで把持すると共に操作部材18を操作位置側へ移動させる(図9参照)。このとき、操作部材18は、可動ベース部13の移動方向と交差する方向へ揺動するため、可動ベース部13を不用意に左右方向へ移動させてしまうことがない。
【0042】
そして、操作部材18を、可動ベース部13の上面13aから突出した操作位置で、可動ベース部13ごと左右方向に移動させることにより、指標部35aが指し示す目盛部12dを目安に可動ベース部13の位置決めを行う。この位置決め後、ユーザは操作部材18を操作する必要がなく、操作部材18は、自重により操作位置側から自動的に収納位置に戻る。
その後、針部材14の布針11を加工布CLの円縫い中心位置に貫通させ、当該布針11を、可動ベース部13の針ホルダ30に装着する。この装着の際、針ホルダ30の針ガイド28を利用することで(つまり各溝部28a〜28cに布針11の円錐部11cをガイドさせることで)布針11を貫通孔20bに容易に挿入することができる。また、布針11は、針ホルダ30においてロック手段29により凹部11aがロックされると共に貫通孔20bと挿入穴27aとにより保持されることで、針ホルダ30に対してガタが発生しないように装着される(図7(a)参照)。一方、針部材14において、カバー部材32が圧縮コイルばね33の弾性力により下方へ付勢されているため、加工布CLは、針ホルダ30の載置面20aでカバー部材32の布押し部32fにより下方へ押圧される(図6参照)。
【0043】
これにより、円縫い装置10において、加工布CLの円縫い中心を布針11で係止した状態となる。そして、ユーザがミシンMを運転操作して円縫いを行うことができる。尚、同心状に複数の円縫いを行う場合等に、加工布CLを布針11で係止した状態で、前述した可動ベース部13の位置合わせを行うようにしてもよい。この場合、加工布CLの下側で操作部材18を操作することとなるが、操作部材18は、可動ベース部13の手前側に配置され且つ操作部材18の下側に手指の先を入り込ませる空間Sが形成されているため、操作部材18の位置の切換えや移動操作を容易に行うことができる。
円縫いを終えて、針ホルダ30から針部材14を取外すには、操作板25の押圧部25cを後方へ押圧操作する。これにより、図7(b)に示すように、針部材14は、布針11の凹部11aにおけるロック手段29によるロック状態が解除されため、針ホルダ30から外すことができる。
【0044】
以上のように本実施形態の円縫い装置10は、可動ベース部13に設けられ、ユーザの手指による可動ベース部13の所定方向への移動操作が可能な操作部材18を備えている。従って、ユーザの手指により操作部材18を摘む等して、可動ベース部13の移動操作を行うことができるので、本体ベース12に対する可動ベース部13の相対的な位置を、縫製したい円形の大きさに応じて容易に調節することができる。また、布針11に係合部としての凹部11aが形成されており、ロック手段29によって布針11の凹部11aをロックすることで針部材14が可動ベース部13に装着され、ロック手段29による凹部11aとの係合状態が解除されると、針部材14は可動ベース部13から取外し可能となるため、可動ベース部13に対して針部材14を確実に装着することができると共に簡単に着脱することができ、総じて使い勝手のよいものとすることができる。
【0045】
操作部材18は、可動ベース部13の上面から突出する操作位置と、可動ベース部13にその上面から突出しないように収まる収納位置とに切換え可能に構成されている。
これにより、操作部材18は、操作位置にて可動ベース部13の上面から突出するため手指で把持し易く、操作性を良くすることができる。操作部材18を使用しない時は収納位置に切換えることにより、可動ベース部13の上面から突出しないように収納できるため、円縫いを行う際に、操作部材18が加工布CLの回転の邪魔になることはなく、前述した円縫い模様の「ズレ」の問題を来すこともない。
【0046】
操作部材18は、その基端部を揺動支点Cとして可動ベース部13に操作位置と収納位置との間で揺動可能に支持され、自重により揺動して収納位置に戻るように構成されている。このように操作部材18の基端部を揺動支点Cとする支持構造によれば、簡単な構成で操作部材18を操作位置と収納位置とに切換えることができる。そして、操作部材18が自重により自動的に収納位置に戻るため、上記のように操作部材18の位置を切換える構成でありながら操作の煩わしさがなく、又、操作部材18が可動ベース部13の上面13aから突出した状態で縫製が行われるのを防止することができる。
【0047】
操作部材18は、可動ベース部13の移動方向と交差する方向へ揺動するよう揺動支点Cで支持されている。これによれば、操作部材18を操作位置に切換える際、可動ベース部13の移動方向と交差する方向へ揺動させることができ、可動ベース部13を不用意に移動させることを防止することができる。
操作部材18は、可動ベース部13の手前側に配置されているため、操作部材18の位置の切換えや移動操作を容易に行うことができる。殊に、加工布CLを布針11で係止した状態にあっては、加工布CLの下側で操作部材18を操作することとなるが、この操作を可動ベース部13の手前側で行うことができるので使い勝手がよく、実用上において有益なものとすることができる。
【0048】
操作部材18は、可動ベース部13において針落点寄りの一方側端部と反対側の他方側端部に配置されている。これによれば、操作部材18を、可動ベース部13において針落点つまり縫針5から極力離間させることができ、操作部材18の操作性を良くすることができる。また、可動ベース部13において針部材14(布針11)を針落点寄りの一方側端部に配置することができる等、小さな半径の円縫い模様の縫製を可能とする上で操作部材18が設計制約となることはない。
【0049】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
操作部材18は、可動ベース部13の所定方向への移動操作が可能なものであればよく、操作部材18の形状や可動ベース部13における配置構成等、適宜変更してもよい。例えば、可動ベース部13の揺動範囲を、自重による収納位置への復帰が可能な範囲で適宜設定してもよい。また、操作部材18の揺動範囲を規制する手段は、操作部材18及び可動ベース部13のうち一方に設けた係合部と他方に設けた被係合部から構成されていればよく、係合部としての規制ピン41や被係合部としての長孔44bに限定されるものではない。
また、ロック手段29は、2つの係合爪21,22に限られず、単数、或は3つ以上の複数の係合爪を備えた構成としてもよし、布針11は、加工布CLを貫通可能でロック手段29により係脱可能な係合部を有するものであればよい。
【符号の説明】
【0050】
M ミシン
CL 加工布
C 揺動支点
1 ミシンベッド
7 送り歯
10 円縫い装置
11 布針
11a 係合部
12 本体ベース
13 可動ベース部
14 針部材
18 操作部材
29 ロック手段
31 保持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針落点から離隔した側方位置で加工布に布針を貫通させ、送り歯による布送りを介して前記布針を中心として前記加工布を回転させつつ円縫いを行うミシンの円縫い装置において、
ミシンベッド又は針板の上面に装着可能な本体ベースと、
所定方向に移動可能に前記本体ベースに設けられた可動ベース部と、
加工布を貫通可能で係合部が形成された布針と、この布針の基端部を固定保持する保持体とを有する針部材と、
前記可動ベース部に設けられ、前記布針の係合部を係脱可能にロックするロック手段と、
前記可動ベース部に設けられ、操作者の手指による前記可動ベース部の前記所定方向への移動操作が可能な操作部材と、
を備えたことを特徴とするミシンの円縫い装置。
【請求項2】
前記操作部材は、前記可動ベース部の上面から突出する操作位置と、前記可動ベース部にその上面から突出しないように収まる収納位置とに切換え可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載のミシンの円縫い装置。
【請求項3】
前記操作部材は、その基端部を揺動支点として前記可動ベース部に前記操作位置と前記収納位置との間で揺動可能に支持され、自重により揺動して前記収納位置に戻るように構成されていることを特徴とする請求項2記載のミシンの円縫い装置。
【請求項4】
前記操作部材は、前記可動ベース部の移動方向と交差する方向へ揺動するよう前記揺動支点で支持されていることを特徴とする請求項3記載のミシンの円縫い装置。
【請求項5】
前記操作部材は、前記可動ベース部の手前側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のミシンの円縫い装置。
【請求項6】
前記操作部材は、前記可動ベース部において前記針落点寄りの一方側端部と反対側の他方側端部に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のミシンの円縫い装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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