説明

ミスト回収装置、液体噴射装置及びミスト回収装置の制御方法

【課題】排気ダクトからの液だれを抑制することができるミスト回収装置、液体噴射装置及びミスト回収装置の制御方法を提供する。
【解決手段】プリンターに設けられたミスト回収装置13は、インクの噴射に伴って生じたミストを吸引して回収するもので、外気を吸引するための吸気部16が下方に向けて延設された排気ダクト15と、下端部が排気ダクト15の外側に配置されるとともに上端部が排気ダクト15内に配置されるように吸気部16に取り付けられた多孔質シート21と、を備え、多孔質シート21の毛管力による液体の吸引圧は、多孔質シート21における上端と下端との水頭差(Hu−Hb)と同等以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト回収装置、液体噴射装置及びミスト回収装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体に対して液体を噴射する液体噴射装置として、インクジェット式プリンターが広く知られている。こうしたプリンターのうちには、搬送される用紙(媒体)に対して、液体噴射ヘッドに設けられたノズルからインク(液体)を噴射することで印刷処理を施すものがあった(例えば、特許文献1)。
【0003】
そして、特許文献1のプリンターにおいては、インクを噴射した際に生じるミストを回収するために、排気ダクトと排気ファンとを備えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−271316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のプリンターは、排気ダクトの内壁に付着したミストが液滴となってたれ落ち、用紙を汚染してしまうのを抑制するために、液滴を受け止めるための可動式のキャップと、排気ダクト内を払拭するワイパーとを設けていた。
【0006】
しかし、こうしたキャップやワイパーを設けると構成が複雑になる上、液だれを予防するために排気ダクト内を頻繁に払拭しなければならず、メンテナンスに手間がかかってしまうという問題があった。そのため、排気ダクトからの液だれを抑制しつつミストを回収することが望まれていた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、排気ダクトからの液だれを抑制することができるミスト回収装置、液体噴射装置及びミスト回収装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のミスト回収装置は、液体の噴射に伴って生じたミストを吸引して回収するミスト回収装置であって、外気を吸引するための吸気部が下方に向けて延設された排気ダクトと、下端部が前記排気ダクトの外側に配置されるとともに上端部が前記排気ダクト内に配置されるように前記吸気部に取り付けられた液体吸収部材と、を備え、前記液体吸収部材の毛管力による液体の吸引圧は、該液体吸収部材における上端と下端との水頭差と同等以上である。
【0009】
この構成によれば、吸気部は排気ダクトから下方に向けて延設されているので、ミストが吸気部に付着すると液だれを招く虞があるが、吸気部には液体吸収部材が取り付けられているので、液体吸収部材の毛管力によって液体が吸収される。そして、液体吸収部材の毛管力による液体の吸引圧は、液体吸収部材における上端と下端との水頭差と同等以上である。そのため、液体吸収部材は排気ダクトの外側に配置された下端部から排気ダクト内に配置された上端部まで液体を吸い上げることができる。したがって、排気ダクトからの液だれを抑制することができる。
【0010】
本発明のミスト回収装置において、前記排気ダクト内に連通する前記吸気部の上端部は前記排気ダクトの内底部から環状に突設され、前記液体吸収部材の上端部は、その先端が前記吸気部の上端部を乗り越えるとともに前記排気ダクトの内底部から離間した状態を維持しつつ前記排気ダクト内に向けて延びるように屈曲されている。
【0011】
この構成によれば、吸気部の上端部が排気ダクトの内底部から環状に突設されているので、排気ダクト内に回収された液体は吸気部の上端部によって排気ダクト内からたれ落ちないようにせき止められる。また、液体吸収部材の上端部は、その先端が吸気部の上端部を乗り越えるとともに排気ダクトの内底部から離間した状態を維持しているので、排気ダクトの内底部にたまった液体との接触を抑制することができる。さらに、液体吸収部材の上端部は、その先端が排気ダクト内に向けて延びるように屈曲されているので、上端側から流出した液体が吸気部を通じて排気ダクトの外にたれ落ちるのを抑制することができる。
【0012】
本発明のミスト回収装置は、前記排気ダクト内の気体を排気する排気ファンをさらに備え、前記排気ファンは、前記排気ダクト内に前記液体吸収部材における上端と下端との水頭差よりも大きい負圧を発生させる。
【0013】
この構成によれば、排気ファンは排気ダクト内に液体吸収部材における上端と下端との水頭差よりも大きい負圧を発生させるので、液体吸収部材に吸収された液体をその上端部から排出させることができる。これにより、液体吸収部材に吸収された液体を下端側から上端側へ向けて流動させ、液体吸収部材が飽和状態になった後にも継続的に液体を吸収することができる。
【0014】
本発明のミスト回収装置において、前記排気ファンは前記排気ダクトの水平方向における一端側に設けられる一方、前記吸気部は前記排気ダクトの水平方向における他端側において前記排気ダクトの底部から下方に延設される。
【0015】
この構成によれば、吸気部は排気ダクトの底部から下方に延設されるが、排気ファンは排気ダクトの水平方向における一端側に設けられるので、吸気部を通じて排気ダクト内に回収されたミストは水平方向に運ばれる。したがって、排気ダクトに対して吸気部を短くすることで、液だれを抑制することが可能になる。
【0016】
本発明のミスト回収装置は、前記排気ファンの制御を行う制御手段をさらに備え、前記制御手段は、前記液体の噴射が終了したときに、前記液体が噴射されているときよりも回転数を上げて前記排気ファンを駆動させた後に、該排気ファンの駆動を停止させる。
【0017】
この構成によれば、液体の噴射時よりも回転数を上げて排気ファンを駆動させることで排気ダクト内の負圧を増し、液体の噴射時よりも液体吸収部材の飽和度を低下させることができる。そして、液体吸収部材の飽和度を低下させることで、排気ファンの駆動が停止されている間の液だれを抑制することができる。一方、液体の噴射時には、液体がたれ落ちない程度の負圧になるように排気ファンの回転数を低く抑えることができる。
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、媒体に対して液体を噴射するノズルを有する液体噴射ヘッドと、上記ミスト回収装置と、を備える。
この構成によれば、液体を噴射する際に生じるミストを、ミスト回収装置によって回収することができる。また、ミスト回収装置において排気ダクトからの液だれを抑制することで、たれ落ちた液体による媒体の汚染を抑制することができる。
【0019】
本発明の液体噴射装置において、前記媒体は搬送方向に沿って搬送されるとともに、前記液体噴射ヘッドは前記媒体の搬送経路の上方に配置され、前記排気ダクトは前記搬送方向において前記液体噴射ヘッドの下流側に配置されるとともに、前記吸気部は前記媒体側に向けて延設される。
【0020】
この構成によれば、媒体は搬送方向に沿って搬送されるので、媒体の搬送に伴って搬送方向が流れ方向となる気流が生じる。また、液体噴射ヘッドは媒体の搬送経路の上方に配置されるので、液体の噴射に伴って生じたミストは気流にのって搬送方向の下流側に運ばれる。そして、排気ダクトは液体噴射ヘッドの搬送方向における下流側に配置されるので、気流にのって搬送方向に流れるミストを効率よく回収することができる。また、吸気部をノズルの近傍まで延設すると噴射された液体の飛翔方向を乱してしまう虞があるが、吸気部は媒体側に向けて延設されているので、液体の飛翔方向を乱すことなくミストを回収することができる。
【0021】
本発明の液体噴射装置において、前記排気ダクトは前記媒体の搬送経路の上方に配置されるとともに、前記吸気部の下端部は前記搬送方向における上流側よりも下流側の方が前記媒体に近接する位置まで延設され、前記液体吸収部材は、前記吸気部に形成された吸気孔の前記搬送方向における下流側に設けられる。
【0022】
この構成によれば、吸気部の下端部は、搬送方向における下流側が媒体に近接する位置まで延設されているので、延設された部分で気流の流れ方向を変化させ、気流に含まれるミストを、吸気部を通じて排気ダクト内に効率よく回収することができる。また、吸気部に形成された吸気孔の搬送方向における下流側においては、吸気部に気流がぶつかるために液滴が生じやすいが、ここに液体吸収部材を設けることで液だれを効果的に抑制することができる。
【0023】
上記目的を達成するために、本発明のミスト回収装置の制御方法は、前記液体の噴射時に、前記排気ダクト内に前記液体吸収部材における上端と下端との水頭差より大きい負圧が発生するように前記排気ファンを駆動させて、ミストを含む外気を前記排気ダクト内に吸引させるミスト回収ステップと、前記液体の噴射が終了したときに、前記排気ダクト内に前記液体の噴射時より大きい負圧が発生するように前記排気ファンを駆動させて、前記液体吸収部材に吸収された液体を前記排気ダクト内に吸い出させる液体回収ステップと、該液体回収ステップの後に、前記排気ファンの駆動を停止させる停止ステップと、を備える。
【0024】
この構成によれば、液体の噴射時には、排気ダクト内に生じた負圧で液体の噴射に伴って生じたミストを吸引することができる。そして、排気ダクト内には液体吸収部材における上端と下端との水頭差より大きい負圧が発生するので、液体吸収部材が飽和状態になった後には、負圧によって液体吸収部材に吸収された液体をその上端部から吸引することで、下端側から液だれさせることなく、排気ダクト内に回収することができる。また、液体の噴射が終了したときに、排気ダクト内に液体の噴射時よりも大きい負圧が発生するので、この負圧によって液体吸収部材の飽和度を液体の噴射時よりも低下させることができる。したがって、ミストが発生する液体の噴射時だけでなく、液体の噴射及び吸引を停止した後にも、排気ダクトからの液だれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態のプリンターの概略構成を示す断面図。
【図2】図1におけるA―A矢視断面図。
【図3】実施形態のプリンターの電気的構成を示すブロック図。
【図4】ミスト回収装置の作用を説明するための模式図。
【図5】ミストの回収を実行させる際の処理を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンター(以下、単に「プリンター」と表記する)に具体化した実施形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、矢印X方向を左方、−X方向を右方、矢印Y方向を後方、−Y方向を前方、 矢印Z方向を重力方向となる下方、−Z方向を上方とする。また、X方向及び−X方向を含めて左右方向又はX軸方向といい、Y方向及び−Y方向を含めて前後方向又はY軸方向といい、Z方向及び−Z方向を含めて上下方向又はZ軸方向という。さらに、図面において、「○」の中に「×」が記載された矢印は、紙面の表から裏に向かう方向を示す。
【0027】
図1に示すように、プリンター11は、液体としてのインクを噴射する液体噴射ヘッド12と、インクの噴射に伴って生じたミストを吸引して回収するミスト回収装置13と、図示しない搬送装置とを備えている。搬送装置は、媒体としての用紙Pを搬送方向Xに搬送するもので、例えば用紙Pを挟持しつつ搬送する搬送ローラー対や用紙Pを吸着しつつ搬送する搬送ベルトなどを採用することができる。
【0028】
液体噴射ヘッド12は、用紙Pの搬送経路に沿って所定の間隔を有して複数(本実施形態では4つ)配置されている。なお、液体噴射ヘッド12の数は任意に変更することができる。また、各液体噴射ヘッド12には、インクの噴射口を形成するノズル14が設けられている。
【0029】
各液体噴射ヘッド12は、用紙Pの搬送経路の上方に配置される。そして、用紙Pは搬送方向Xに搬送されつつ、その上面側に各液体噴射ヘッド12から噴射されたインクを受容することで、印刷(記録)処理が施される。
【0030】
図2に示すように、ノズル14は、用紙Pの幅方向となるY軸方向に沿って、用紙Pの全幅をカバーするように複数設けられる。また、Y軸方向に並ぶ各ノズル14は、同一のインクを噴射するノズル列Nを形成している。すなわち、プリンター11は、液体噴射ヘッド12が移動することなく、用紙Pの全幅に亘る印刷を行うことが可能なラインヘッド式プリンターである。
【0031】
ミスト回収装置13は各液体噴射ヘッド12の搬送方向Xにおける下流側に配置される。また、ミスト回収装置13は、排気ダクト15と、排気ダクト15に設けられた外気を吸引するための吸気部16と、排気ダクト15内の気体を排気するための排気ファン17と、フィルター18と、液体吸収部材としての多孔質シート21とを有する。
【0032】
排気ダクト15は略水平方向となるY軸方向に延びるとともに、用紙Pの搬送経路の上方に配置される。排気ファン17は、排気ダクト15のY軸方向における一端側(後端側)に設けられている。
【0033】
排気ファン17が回転することで、排気ダクト15内には排気方向Yに流れる気流Foが生じるとともに、排気ダクト15内に負圧が発生する。また、フィルター18は、排気方向Yにおいて排気ファン17の上流側に配置されるとともに、ミストなどの浮遊物質を気流Foから分離する。
【0034】
吸気部16は、排気ダクト15のY軸方向における他端側(前端側)において、排気ダクト15の底部から用紙Pの上面側に向けて、下方に延設されている。また、吸気部16には、上下方向に延びる吸気孔19が形成されている。なお、吸気部16及び吸気孔19は、Y軸方向においてノズル列Nに対応する長さを有している。
【0035】
図1に示すように、吸気部16は、排気ダクト15の底部に孔を設け、この孔に上端部が貫入されることで排気ダクト15と接続されている。そして、吸気部16の上端部は、排気ダクト15の内底部から吸気孔19を囲むように環状に突設されることで、突設部20を形成している。なお、吸気部16のZ軸方向(上下方向)における長さは、排気ダクト15のY軸方向における長さよりも短くなっている。また、吸気部16の下端部は、搬送方向Xにおける上流側よりも下流側の方が用紙Pに近接する位置まで延設されている。
【0036】
多孔質シート21はシート状の多孔体であって、吸気部16に形成された吸気孔19の搬送方向Xにおける下流側に設けられる。また、多孔質シート21は、下端部が排気ダクト15の外側に配置されるとともに上端部が排気ダクト15内に配置されるように吸気部16に取り付けられている。
【0037】
多孔質シート21の下端部は、吸気部16の下端部の下方まで延設されている。また、多孔質シート21の上端部は、その先端が吸気部16の上端部(突設部20)を乗り越えるとともに排気ダクト15の内底部から離間した状態を維持しつつ排気ダクト15内に向けて延びるように屈曲されている。
【0038】
多孔質シート21には、上端部から下端部まで連続する気泡が形成されている。そして、こうした連続気泡が形成する微細な気孔22(図4参照)によって毛管力が生じることで、多孔質シート21はインクを吸収するようになっている。また、多孔質シート21の毛管力によるインクの吸引圧は、多孔質シート21における上端と下端との水頭差(Hu−Hb、図4参照)と同等以上になっている。すなわち、多孔質シート21に対するインクの浸透高さは、多孔質シート21のZ軸方向における長さと同じかそれよりも大きくなっている。これにより、多孔質シート21は、排気ファン17が駆動されない状態においても、その下端側に付着したインク滴を排気ダクト15内まで吸い上げる程の毛管力を有している。
【0039】
多孔質シート21は、例えばウレタンやPVA(ポリビニルアルコール)からなるスポンジや不織布から構成することができる。なお、多孔質シート21に対する液体の浸透高さは気孔22の径や液体に対する親和性(撥液性)によって異なるが、本実施形態においては、吸気部16のZ軸方向における長さをカバーすべく、20mm〜50mmの浸透高さが得られる多孔質シート21を用いている。また、排気ファン17は、排気ダクト15内に多孔質シート21における上端と下端との水頭差よりも大きい負圧を発生させるようになっている。
【0040】
次に、プリンター11の電気的構成について説明する。
図3に示すように、プリンター11は、制御手段としての制御装置50を備えている。制御装置50は、CPU51、RAM52、ROM53、ヘッド駆動回路54及びタイマー55を有している。
【0041】
ROM53には、CPU51により実行される制御プログラムや、この制御プログラムの実行に際して参照される閾値のデータ等が記憶されている。また、RAM52には、CPU51の演算結果や制御プログラムを実行して処理する各種データなどが一時的に記憶される。
【0042】
制御装置50は、ヘッド駆動回路54を介して液体噴射ヘッド12によるインクの噴射動作を制御する。また、制御装置50は、排気ファン17の制御を行う。排気ファン17は、制御装置50の制御によって回転数を変化させることができるようになっている。なお、制御装置50やCPU51などは、その制御内容に応じて複数個設けてもよく、例えばミスト回収装置13の制御のみを行う制御装置を備えるようにしてもよい。
【0043】
次に、プリンター11の作用について説明する。
図1に示すように、プリンター11においては、用紙Pの搬送に伴って、搬送方向Xが流れ方向となる気流Fm(搬送気流)が生じる。また、各液体噴射ヘッド12からのインクの噴射に伴って各ノズル14の周辺にインクのミストが発生すると、そのミストは気流Fmにのって搬送方向Xの下流側に向けて運ばれる。
【0044】
こうしたミストが下流側に位置する液体噴射ヘッド12などに付着すると、汚染が生じてしまう。そこで、プリンター11では、ミスト回収装置13によってインクの噴射に伴って発生するミストを回収するようにしている。
【0045】
具体的には、排気ファン17を駆動して排気ダクト15内に気流Foを発生させるとともに、気流Foによって吸気孔19を上方に流れる気流Fiを発生させる。そして、気流Fiによって気流Fmを吸気孔19内に吸引することで、気流Fmに含まれるミストを排気ダクト15内に回収する。
【0046】
ここで、排気ダクト15内に回収されたインクは自重によって排気ダクト15の内底部にたまるが、突設部20によってせき止められるので、たまった液滴は吸気孔19を通じて用紙Pの上に落下することなく、排気ダクト15内に保持される。また、排気ダクト15の内底部にたまった液滴は、排気ダクト15の後端側(排気方向Yにおける下流側)の開口を通じて排出される。なお、排気ダクト15の内底部にたまったインクを排出しやすくなるように、排気ダクト15又はその内底部を前側から後側に向けて下方に傾斜させてもよい。
【0047】
図4に示すように、排気ファン17の駆動が開始されると、気流Fi,Fmが吸気部16を通じて排気ダクト15内に吸引されるとともに、多孔質シート21の表面に付着したインク滴が多孔質シート21の気孔22内に吸着される。なお、図4においては、表現を簡素化するために気孔22を直線状に図示しているが、気孔22は任意の形状にすることができる。
【0048】
ここで、飽和度Sr=(気孔22中のインクの体積)/(気孔22の体積)として、Sr<1を不飽和状態といい、Sr≧1を飽和状態という。そして、インクの吸収が進んで多孔質シート21が飽和状態に至ると、インクの表面張力が作用しなくなるので、毛管力による吸引圧はゼロになる。このとき、気孔22内のインクは上側の水面から下側の水面まで連続した液柱とみることができる。
【0049】
多孔質シート21の飽和度Srが1を超えて、例えば1.2程度になると、インクの液だれが発生する。そこで、ミストが発生するインクの噴射時には、排気ファン17の駆動によって排気ダクト15内に多孔質シート21における上端と下端との水頭差(Hu−Hb)よりも大きい負圧Pjを発生させる。このとき、気孔22内のインクによって構成される液柱の下側の水面には大気圧Paが作用している。そのため、負圧Pjによって気孔22の上端側からインクが吸引され、多孔質シート21の上端部付近の飽和度Srが低下する。すると、飽和度の高い下端側から飽和度の低い上端側へインクが拡散したり、液柱が上方に引き上げられたりすることで、気孔22中をインクが上方に流動する。
【0050】
なお、多孔質シート21に対するインクの浸透高さは、多孔質シート21のZ軸方向における長さよりも大きくなっているので、多孔質シート21は吸収したインクを毛管力のみで排気ダクト15内まで吸い上げることができる。すなわち、多孔質シート21が飽和するまでは、排気ファン17を駆動しなくても液だれを抑制することができる。したがって、多孔質シート21が飽和するまでは、排気ダクト15内の負圧が多孔質シート21における上端と下端との水頭差よりも小さくてもよいので、ミストを含む外気を吸引できる程度の回転数で排気ファン17を駆動すればよい。
【0051】
特に、プリンター11において、用紙Pに対する印刷を行っているときにミスト回収装置13が強く吸引しすぎると、用紙Pに対するインク滴の飛翔方向を乱す虞があるので好ましくない。そこで、制御装置50は、用紙Pに対する印刷時には、多孔質シート21からインク滴がたれ落ちない程度に回転数を抑えて排気ファン17を駆動させる。
【0052】
ただし、この状態で印刷が終了し、排気ファン17を停止すると、例えば環境温度が上昇してインクの表面張力が低下した場合などに、多孔質シート21に吸収されたインクが用紙Pやその搬送経路上にたれ落ちる虞がある。そのため、制御装置50は、液体噴射ヘッド12によるインクの噴射が終了したときに、液体噴射ヘッド12がインクを噴射しているときよりも回転数を上げて排気ファン17を駆動させた後に、排気ファン17の駆動を停止させる。すなわち、印刷が終了した後であれば強い吸引を行っても印刷品質を低下させることがないので、多孔質シート21の飽和度が十分に低下するように排気ダクト15内に印刷時よりも大きい負圧Pe(Pe>Pj)を発生させる。この場合、多孔質シート21の飽和度を十分に低下させるために、多孔質シート21の毛管力を考慮して、負圧Peを多孔質シート21における上端と下端との水頭差の2倍より大きく設定することが好ましい。
【0053】
多孔質シート21の上端部の飽和度は、例えば、印刷中には0.8程度、印刷終了時には0.6程度にしておくとよい。これにより、排気ファン17の停止後に環境温度が上昇した場合などにも、飽和度の高い下側から飽和度の低い上側へインクが拡散するので、インクがたれ落ちるのを抑制することができる。なお、印刷時及び印刷終了時にどの程度多孔質シート21の飽和度を低下させるかは、任意に設定することができる。
【0054】
次に、プリンター11において、制御装置50がミスト回収装置13によるミストの回収を実行させる際の処理について説明する。
図5に示すように、制御装置50は、図示しないホストコンピューター等からの印刷指令を受信すると、ステップS11として排気ファン17の駆動を開始させる。また、続くステップS12として、制御装置50は液体噴射ヘッド12を制御して印刷を開始させる。すなわち、制御装置50は、インクの噴射時に、排気ダクト15内に多孔質シート21における上端と下端との水頭差より大きい負圧Pjが発生するように排気ファン17を駆動させて、ミストを含む外気を排気ダクト15内に吸引させる(ミスト回収ステップ)。
【0055】
次に、ステップS13として、制御装置50は、印刷指令に基づく印刷が終了したか否かを判定する。そして、印刷が終了していない場合には、再度ステップS13の判定を繰り返す。
【0056】
一方、ステップS13において制御装置50が印刷が終了したと判定すると、制御装置50はステップS14に進み、液体噴射ヘッド12がインクを噴射しているときよりも回転数を上げて排気ファン17を駆動させる。すなわち、インクの噴射が終了したときに、
排気ダクト15内にインクの噴射時より大きい負圧Peが発生するように排気ファン17を駆動させる。これにより、多孔質シート21に吸収されたインクを排気ダクト15内に吸い出させ、多孔質シート21の飽和度をインクの噴射時よりも低下させる(液体回収ステップ)。
【0057】
次に、ステップS15として、制御装置50はタイマー55による計時を開始する。
続いて、ステップS16として、制御装置50はタイマー55による計時時間Tが閾値Taを超えたか否かを判定する。そして、計時時間Tが閾値Ta以下であった場合には、再度ステップS16の判定を繰り返す。
【0058】
一方、タイマー55による計時時間Tが閾値Taを超えると、制御装置50はステップS17に進み、排気ファン17の駆動を停止させて(停止ステップ)、処理を終了する。なお、閾値Taは、多孔質シート21に吸収されたインクを排気ダクト15内に吸い出して飽和度を低下させるための時間として予め実験等に基づいて規定し、ROM53に記憶させておくことができる。また、複数の閾値TaをROM53に記憶させておき、環境条件などに応じて閾値Taを変化させるようにしてもよい。
【0059】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)吸気部16は排気ダクト15から下方に向けて延設されているので、ミストが吸気部16に付着すると液だれを招く虞があるが、吸気部16には多孔質シート21が取り付けられているので、多孔質シート21の毛管力によってインクが吸収される。そして、多孔質シート21の毛管力によるインクの吸引圧は、多孔質シート21における上端と下端との水頭差(Hu−Hb)と同等以上である。そのため、多孔質シート21は排気ダクト15の外側に配置された下端部から排気ダクト15内に配置された上端部までインクを吸い上げることができる。したがって、排気ダクト15からの液だれを抑制することができる。
【0060】
(2)吸気部16の上端部が排気ダクト15の内底部から環状に突設されているので、排気ダクト15内に回収されたインクは吸気部16の上端部によって排気ダクト15内からたれ落ちないようにせき止められる。また、多孔質シート21の上端部は、その先端が吸気部16の上端部を乗り越えるとともに排気ダクト15の内底部から離間した状態を維持しているので、排気ダクト15の内底部にたまったインクとの接触を抑制することができる。さらに、多孔質シート21の上端部は、その先端が排気ダクト15内に向けて延びるように屈曲されているので、上端側から流出したインクが吸気部16を通じて排気ダクト15の外にたれ落ちるのを抑制することができる。
【0061】
(3)排気ファン17は排気ダクト15内に多孔質シート21における上端と下端との水頭差よりも大きい負圧を発生させるので、多孔質シート21に吸収されたインクをその上端部から排出させることができる。これにより、多孔質シート21に吸収されたインクを下端側から上端側へ向けて流動させ、多孔質シート21が飽和状態になった後にも継続的にインクを吸収することができる。
【0062】
(4)吸気部16は排気ダクト15の底部から下方に延設されるが、排気ファン17は排気ダクト15の水平方向における一端側に設けられるので、吸気部16を通じて排気ダクト15内に回収されたミストは水平方向に運ばれる。したがって、排気ダクト15に対して吸気部16を短くすることで、液だれを抑制することが可能になる。
【0063】
(5)インクの噴射時よりも回転数を上げて排気ファン17を駆動させることで排気ダクト15内の負圧を増し、インクの噴射時よりも多孔質シート21の飽和度を低下させることができる。そして、多孔質シート21の飽和度を低下させることで、排気ファン17の駆動が停止されている間の液だれを抑制することができる。一方、インクの噴射時には、インクがたれ落ちない程度の負圧になるように排気ファン17の回転数を低く抑えておくことで、インクの飛翔方向の乱れを抑制することができる。
【0064】
(6)インクを噴射する際に生じるミストを、ミスト回収装置13によって回収することができる。また、ミスト回収装置13において排気ダクト15からの液だれを抑制することで、たれ落ちたインクによる用紙Pの汚染を抑制することができる。
【0065】
(7)用紙Pは搬送方向Xに沿って搬送されるので、用紙Pの搬送に伴って搬送方向Xが流れ方向となる気流Fmが生じる。また、液体噴射ヘッド12は用紙Pの搬送経路の上方に配置されるので、インクの噴射に伴って生じたミストは気流Fmにのって搬送方向Xの下流側に運ばれる。そして、排気ダクト15は液体噴射ヘッド12の搬送方向Xにおける下流側に配置されるので、気流Fmにのって搬送方向Xに流れるミストを効率よく回収することができる。また、吸気部16をノズル14の近傍まで延設すると噴射されたインクの飛翔方向を乱してしまう虞があるが、吸気部16は用紙P側に向けて延設されているので、インクの飛翔方向を乱すことなくミストを回収することができる。
【0066】
(8)吸気部16の下端部は、搬送方向Xにおける下流側が用紙Pに近接する位置まで延設されているので、延設された部分で気流Fmの流れ方向を変化させ、気流Fmに含まれるミストを、吸気部16を通じて排気ダクト15内に効率よく回収することができる。また、吸気部16に形成された吸気孔19の搬送方向Xにおける下流側においては、吸気部16に気流Fmがぶつかるために液滴が生じやすいが、ここに多孔質シート21を設けることで液だれを効果的に抑制することができる。
【0067】
(9)排気ダクト15内に生じた負圧Pjでインクの噴射に伴って生じたミストを吸引することができる。そして、排気ダクト15内には多孔質シート21における上端と下端との水頭差より大きい負圧Pjが発生するので、多孔質シート21が飽和状態になった後には、負圧Pjによって多孔質シート21に吸収されたインクをその上端部から吸引することで、下端側から液だれさせることなく、排気ダクト15内に回収することができる。また、インクの噴射が終了したときに、排気ダクト15内にインクの噴射時よりも大きい負圧Peが発生するので、この負圧Peによって多孔質シート21の飽和度をインクの噴射時よりも低下させることができる。したがって、ミストが発生するインクの噴射時だけでなく、インクの噴射及び吸引を停止した後にも、排気ダクト15からの液だれを抑制することができる。
【0068】
(10)多孔質シート21はシート状の多孔体であるので、吸気部16に貼り付けられても、排気ダクト15内への気体の流入を妨げることがない。
(11)多孔質シート21の下端部は、吸気部16の下端部の下方まで延設されているので、吸気部16を伝って滴るインク滴をもれなく吸収することができる。
【0069】
(12)吸気部16に形成された吸気孔19は上下方向に延びる態様となっているので、排気ダクト15内に吸引される気体の流れを乱したり妨げたりすることがない。すなわち、吸気孔19が屈曲していたり吸気部16に段差があったりすると、そこにミストがぶつかって液滴が付着してしまう。特に、空間中に拡散したミストではなく、延設された吸気部16で噴射によって生じたばかりの濃いミストを吸引する場合には、屈曲部などに液滴が付着しやすい。その点、吸気孔19内で気流Fiの流れを乱さないようにすることで、液だれを招く液滴の付着を抑制することができる。
【0070】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・多孔質シート21は、吸気孔19の周囲を囲むように、吸気孔19の搬送方向Xにおける上流側にも設けてもよい。
【0071】
・排気ダクト15内に突設部20を設けず、排気ダクト15の内底部から吸気部16が下方に延設されるようにしてもよい。この場合にも、排気ダクト15の内底部から多孔質シート21の上端部が突設する態様にしておけば、吸気孔19を通じてインクがたれ落ちるのを抑制することができる。また、多孔質シート21の上端部が排気ダクト15の内壁に沿って延設されるようにしてもよい。
【0072】
・印刷が開始されて一定時間が経過した場合、あるいは、印刷量(噴射されるインク量)が所定量以上となった場合に、排気ファン17を駆動するようにしてもよい。
・液体噴射ヘッド12は、重力方向Zと一致する真下にインクを噴射するものに限らず、例えば傾斜しつつ搬送される用紙Pに向けて斜め下方向にインクを噴射するようにしてもよい。また、各図中において、搬送方向X、排気方向Y及び重力方向Zは互いに直交する態様で図示されているが、各方向の交差角度は90度でなくてもよい。
【0073】
・用紙Pの搬送経路は正面視直線状でなくてもよく、例えば円筒状の支持部材に用紙Pを巻き掛けつつ搬送するようにしてもよい。
・吸気部16の下端部が用紙P又は用紙Pの搬送経路と平行をなすようにしてもよい。
【0074】
・排気ダクト15は水平方向に延設された状態で、例えばX軸方向などに屈曲させてもよい。
・吸気部16は、排気ダクト15と一体的に成形してもよいし、排気ダクト15の内底部から上方に突設する突設部20と、排気ダクト15から下方に延びる部分とを、それぞれ別個の部材から構成してもよい。
【0075】
・排気ダクトが循環流路の一部を構成している場合などには、排気ファン17に代えて、気体を流動させるためのファンを設ければよい。また、排気ファン17を備えず、排気ダクトが連通する空間内との圧力差でミストを排気ダクト内に吸引するようにしてもよい。
【0076】
・ミスト回収装置13を液体噴射ヘッド12の搬送方向Xにおける上流側やY軸方向における両側に配置してもよい。
・排気ファン17の制御は、制御装置50によって自動的に行わず、手動で行ってもよい。
【0077】
・媒体は、用紙に限らず、プラスチックフィルムやシール、金属箔、板、布など、液体を受容可能な任意の素材及び形状のものに変更することができる。
・プリンターはラインヘッド式プリンターに限らない。例えば、媒体の搬送方向Xと交差する走査方向(用紙Pの幅方向となるY軸方向)に沿って往復移動するキャリッジと、該キャリッジに支持された液体噴射ヘッドとを備えたシリアル式プリンターとしてもよい。そして、シリアル式プリンターでは、キャリッジの搬送方向Xにおける下流側に、Y軸方向に延びる排気ダクト及び吸気部を有するミスト回収装置を配置することで、効率よくミストを回収することができる。あるいは、液体噴射ヘッドの走査方向における一方又は両方に吸気部を配置してもよい。この場合には、可撓性を有する管路によって排気ダクトを構成すれば、排気ファン等をキャリッジに搭載しなくてもよい。
【0078】
・上記各実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンターに具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよく、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。
【符号の説明】
【0079】
11…液体噴射装置としてのプリンター、Pe,Pj…負圧、12…液体噴射ヘッド、13…ミスト回収装置、14…ノズル、15…排気ダクト、16…吸気部、17…排気ファン、19…吸気孔、21…液体吸収部材としての多孔質シート、50…制御手段としての制御装置、P…媒体としての用紙、X…搬送方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の噴射に伴って生じたミストを吸引して回収するミスト回収装置であって、
外気を吸引するための吸気部が下方に向けて延設された排気ダクトと、
下端部が前記排気ダクトの外側に配置されるとともに上端部が前記排気ダクト内に配置されるように前記吸気部に取り付けられた液体吸収部材と、を備え、
前記液体吸収部材の毛管力による液体の吸引圧は、該液体吸収部材における上端と下端との水頭差と同等以上であることを特徴とするミスト回収装置。
【請求項2】
前記排気ダクト内に連通する前記吸気部の上端部は前記排気ダクトの内底部から環状に突設され、
前記液体吸収部材の上端部は、その先端が前記吸気部の上端部を乗り越えるとともに前記排気ダクトの内底部から離間した状態を維持しつつ前記排気ダクト内に向けて延びるように屈曲されていることを特徴とする請求項1に記載のミスト回収装置。
【請求項3】
前記排気ダクト内の気体を排気する排気ファンをさらに備え、
前記排気ファンは、前記排気ダクト内に前記液体吸収部材における上端と下端との水頭差よりも大きい負圧を発生させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のミスト回収装置。
【請求項4】
前記排気ファンは前記排気ダクトの水平方向における一端側に設けられる一方、前記吸気部は前記排気ダクトの水平方向における他端側において前記排気ダクトの底部から下方に延設されることを特徴とする請求項3に記載のミスト回収装置。
【請求項5】
前記排気ファンの制御を行う制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記液体の噴射が終了したときに、前記液体が噴射されているときよりも回転数を上げて前記排気ファンを駆動させた後に、該排気ファンの駆動を停止させることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のミスト回収装置。
【請求項6】
媒体に対して液体を噴射するノズルを有する液体噴射ヘッドと、
請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載のミスト回収装置と、を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項7】
前記媒体は搬送方向に沿って搬送されるとともに、前記液体噴射ヘッドは前記媒体の搬送経路の上方に配置され、
前記排気ダクトは前記搬送方向において前記液体噴射ヘッドの下流側に配置されるとともに、前記吸気部は前記媒体側に向けて延設されることを特徴とする請求項6に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記排気ダクトは前記媒体の搬送経路の上方に配置されるとともに、前記吸気部の下端部は前記搬送方向における上流側よりも下流側の方が前記媒体に近接する位置まで延設され、
前記液体吸収部材は、前記吸気部に形成された吸気孔の前記搬送方向における下流側に設けられることを特徴とする請求項7に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
請求項5に記載のミスト回収装置の制御方法であって、
前記液体の噴射時に、前記排気ダクト内に前記液体吸収部材における上端と下端との水頭差より大きい負圧が発生するように前記排気ファンを駆動させて、ミストを含む外気を前記排気ダクト内に吸引させるミスト回収ステップと、
前記液体の噴射が終了したときに、前記排気ダクト内に前記液体の噴射時より大きい負圧が発生するように前記排気ファンを駆動させて、前記液体吸収部材に吸収された液体を前記排気ダクト内に吸い出させる液体回収ステップと、
該液体回収ステップの後に、前記排気ファンの駆動を停止させる停止ステップと、を備えることを特徴とするミスト回収装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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