説明

ミスト発生装置

【課題】ミストと液剤とを同時又は順次噴霧することができるとともに、液剤を安定して噴霧することができるミスト発生装置を提供する。
【解決手段】ミスト発生装置は、貯水槽22の水Wを加熱してミストM1を発生させる加熱式のミスト発生部24と、発生したミストM1を吐出するためのミスト吐出口26とを備える。又、液剤M2を噴霧ノズル31の先端開口部31aから噴霧する液剤噴霧機構13を備える。そして、ミスト発生部24とミスト吐出口26との間のミスト移送経路25から分岐したミスト分岐通路42を有し該ミスト分岐通路42を通るミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱する伝熱手段41を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スチーム等のミストを噴霧するミスト発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体の肌や喉等に潤いを与えるべくスチーム等のミストを噴霧する加湿器や美顔器等のミスト発生装置の一つとしては、水からマイクロサイズの大径ミストを発生させる大径ミスト発生部と静電霧化機構を用いてナノサイズの小径ミストを発生させる小径ミスト発生部とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。このようなミスト発生装置では、異質の2種類のミストにて複合的な効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004―361009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなミスト発生装置における小径ミスト発生部に換えて保湿剤や美白剤などの液剤を噴霧ノズル(その先端開口部)から噴霧する液剤噴霧機構を設け、水から発生されたミストと、液剤(そのミスト)とを同時又は順次噴霧する装置が考えられる。しかしながら、このような場合では、液剤の原材料が例えば次回使用するまでに噴霧ノズルに固着して噴霧ノズルが詰まってしまうといった虞がある。このことは、例えば、次回使用する際の液剤の噴霧を困難とし、噴霧不良を発生させる原因となる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ミストと液剤とを同時又は順次噴霧することができるとともに、液剤を安定して噴霧することができるミスト発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、貯水槽からの水を加熱してミストを発生させる加熱式のミスト発生部と、発生した前記ミストを吐出するためのミスト吐出口とを備えたミスト発生装置であって、液剤を噴霧ノズルの先端開口部から噴霧する液剤噴霧機構と、前記ミスト発生部で発生した熱を前記噴霧ノズルに伝熱するための伝熱手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
同構成によれば、ミストと液剤とを同時又は順次噴霧することができる。しかも、伝熱手段によって、加熱式のミスト発生部で発生した熱を噴霧ノズルに伝熱できるため、例えば、噴霧ノズルの内部や先端開口部に固着してしまった液剤の粘度を低下させたり液剤の原材料を溶解することによって除去、又は液剤の原材料が噴霧ノズルに固着してしまう(噴霧ノズルが詰まってしまう)ことを予防することができる。よって、液剤を安定して噴霧することができる。尚、勿論、本来から加熱式のミスト発生部で発生される熱を用いるようにしたため、装置が大規模化してしまうことはない。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のミスト発生装置において、前記伝熱手段は、前記ミスト発生部と前記ミスト吐出口との間のミスト移送経路から分岐するとともに前記噴霧ノズルに隣接されたミスト分岐通路を有し、該ミスト分岐通路を通るミストの熱を前記噴霧ノズルに伝熱することを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、噴霧ノズルに隣接されたミスト分岐通路を通るミストの熱が噴霧ノズルに伝熱されるため、単にミスト発生部を噴霧ノズルに近づけただけの構成に比べて、ミスト発生部で発生した熱を噴霧ノズルに効率良く伝熱することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のミスト発生装置において、前記ミスト分岐通路には、分岐開閉弁が設けられたことを要旨とする。
同構成によれば、ミスト分岐通路には、分岐開閉弁が設けられるため、手動又は自動で、ミストをミスト分岐通路に適宜供給して、該ミストの熱を噴霧ノズルに適宜伝熱させることができる。即ち、伝熱が不要な場合に、不必要に伝熱してしまうこと、ひいては必要以上に液剤の粘度を低下させてしまうことを回避することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載のミスト発生装置において、タイマーと、前記タイマーの計測時間に基づいて前記分岐開閉弁を動作させる制御部とを備えたことを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、制御部によって、タイマーの計測時間に基づいて分岐開閉弁が動作されるため、例えば、タイマーによって液剤の噴霧終了後からの経過時間を計測し、その経過時間が予め設定された時間を超えた後に操作スイッチにて液剤の噴霧実行が操作されると、自動的にまずミストの熱を噴霧ノズルに伝熱するといったことが可能となる。即ち、前回の液剤の噴霧終了後から予め設定された時間を経過し噴霧ノズル内等で液剤の原材料が固着している可能性の高いとき等にミストの熱を噴霧ノズルに伝熱し、そうでないときには不必要に伝熱してしまうことを回避することができる。又、例えば、タイマーにて液剤の総噴霧時間を計測し、その総噴霧時間が予め設定された時間を超えると、自動的にミストの熱を噴霧ノズルに伝熱させるといったことが可能となる。これによって、例えば、液剤の原材料が噴霧ノズルに固着して噴霧ノズルが詰まってしまうといったことを自動的に予防することが可能となる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、請求項3に記載のミスト発生装置において、前記噴霧ノズル内の圧力を検出するための圧力センサーと、前記圧力センサーが検出した圧力に基づいて前記分岐開閉弁を動作させる制御部とを備えたことを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、制御部によって、圧力センサーが検出した圧力に基づいて分岐開閉弁が動作されるため、例えば、検出した圧力が予め設定された規定範囲外となった場合に自動的にミストの熱を噴霧ノズルに伝熱するといったことが可能となる。即ち、圧力センサーより下流側(先端開口部側)で液剤の原材料が固着し、検出した圧力が規定範囲を超えた場合や、圧力センサーより上流側で液剤の原材料が固着し、検出した圧力が規定範囲未満となった場合等に自動的にミストの熱を噴霧ノズルに伝熱するといったことが可能となる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項3に記載のミスト発生装置において、前記噴霧ノズル内における前記液剤の濃度を検出するための濃度センサーと、前記濃度センサーが検出した濃度に基づいて前記分岐開閉弁を動作させる制御部とを備えたことを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、制御部によって、濃度センサーが検出した液剤の濃度に基づいて分岐開閉弁が動作されるため、例えば、検出した濃度が予め設定された規定範囲外となった場合に自動的にミストの熱を噴霧ノズルに伝熱するといったことが可能となる。即ち、濃度センサーより下流側(先端開口部側)で液剤の原材料が固着し、検出した濃度が規定範囲を超えた場合や、濃度センサーより上流側で液剤の原材料が固着し、検出した濃度が規定範囲未満となった場合等に自動的にミストの熱を噴霧ノズルに伝熱するといったことが可能となる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、請求項3に記載のミスト発生装置において、前記液剤噴霧機構の使用回数をカウントするカウンターと、前記カウンターがカウントしたカウント値に基づいて前記分岐開閉弁を動作させる制御部とを備えたことを要旨とする。
【0018】
同構成によれば、制御部によって、カウンターがカウントしたカウント値(液剤噴霧機構の使用回数)に基づいて分岐開閉弁が動作されるため、例えば、カウント値(液剤噴霧機構の使用回数)が予め設定された回数を超えた後に操作スイッチにて液剤の噴霧実行が操作されると、自動的にまずミストの熱を噴霧ノズルに伝熱するといったことが可能となる。即ち、液剤噴霧機構の使用回数が予め設定された回数を超え噴霧ノズル内等で液剤の原材料が固着している可能性の高いとき等にミストの熱を噴霧ノズルに伝熱し、そうでないときには不必要に伝熱してしまうことを回避することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、請求項3乃至7のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、前記ミスト吐出口、又は前記ミスト移送経路における前記ミスト分岐通路より前記ミスト吐出口側には、前記分岐開閉弁が開状態のときに閉状態となる主経路開閉弁が設けられたことを要旨とする。
【0020】
同構成によれば、ミスト吐出口、又はミスト移送経路におけるミスト分岐通路よりミスト吐出口側(下流側)には、分岐開閉弁が開状態のとき(噴霧ノズルを洗浄するとき)に閉状態となる主経路開閉弁が設けられるため、高圧のミストによってミストの熱を噴霧ノズルに効率良く伝熱することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明では、請求項1に記載のミスト発生装置において、前記伝熱手段は、前記ミスト発生部と前記噴霧ノズルとを接続する金属部材を有することを要旨とする。
【0022】
同構成によれば、ミスト発生部と噴霧ノズルとが金属部材にて接続されるため、該金属部材を介する熱伝導にてミスト発生部で発生した熱を噴霧ノズルに効率良く伝熱することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ミストと液剤とを同時又は順次噴霧することができるとともに、液剤を安定して噴霧することができるミスト発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態におけるミスト発生装置の模式図
【図2】別例におけるミスト発生装置の模式図。
【図3】別例におけるミスト発生装置の模式図。
【図4】別例におけるミスト発生装置の模式図。
【図5】別例におけるミスト発生装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のミスト発生装置は、ケース11と、該ケース11内に略収容されたミスト発生吐出機構12及び液剤噴霧機構13と、同ケース11内に収容された制御部14及びタイマー15とを備える。
【0026】
ケース11には、上方(天方向)に開口したミスト用開口部11aと、側方(水平方向)に開口した液剤用開口部11bとが形成されている。尚、ケース11は、例えば、上方が開口した有底四角筒状のケース本体と、ケース本体の上端開口部を覆う蓋部材等からなるが、図1では、それらを一体的に模式的に図示している。又、本実施の形態の液剤用開口部11bは、ケース11の側面から側方(水平方向であって、図1中、左方向)に筒状に突出しケース11内外を連通する筒部11cの先端に形成されている。
【0027】
ミスト発生吐出機構12は、着脱可能なタンク21から水Wが供給される貯水槽22と、貯水槽22と連通管23を介して連通され該貯水槽22の水WからミストM1を発生させるミスト発生部24と、ミスト発生部24と連通されたミスト移送経路25を介して発生したミストM1を吐出するためのミスト吐出口26とを備える。
【0028】
前記ミスト発生部24は、水Wを加熱してミストM1を発生させる加熱式のものであって、ヒータ24aを備えたものである。又、前記ミスト吐出口26は、前記ミスト用開口部11aからケース11の外部に突出するとともに略直角に屈曲し、その吐出開口部26aが前記液剤用開口部11bと平行な方向(水平方向であって、図1中、左方向)を向くように設けられている。尚、このミスト吐出口26(吐出開口部26a)と、液剤用開口部11bとの位置関係はこれに限定されず、互いに平行な方向以外を向くように設けてもよい。
【0029】
液剤噴霧機構13は、保湿剤や美白剤などの液剤(そのミスト)M2を噴霧ノズル31の先端開口部31aから噴霧するためのものである。詳しくは、液剤噴霧機構13は、保湿剤や美白剤などの液剤を貯蔵するための液剤貯蔵部32と、ベンチュリー効果によって液剤貯蔵部32からの液剤を霧状(ミスト)として噴霧すべく設けられるエアポンプ33と、該エアポンプ33からの液剤(そのミスト)M2をその先端開口部31aから外部に噴霧するための前記噴霧ノズル31とを備える。尚、噴霧ノズル31の先端開口部31aは、ケース11における筒部11cの内側に配置され、液剤用開口部11bと平行な方向(即ち水平方向であって、図1中、左方向)を向くように設けられている。
【0030】
そして、制御部14は、図示しない操作スイッチ等の操作に基づいて種々の制御を行う。例えば、操作スイッチにて前記ミストM1と前記液剤M2とを交互に3分ずつ、それを2回繰り返して(合計12分)噴霧するための通常コースの操作(例えば、通常コースボタンを押す)が行われると、制御部14は、ヒータ24aに通電する制御と、エアポンプ33を駆動する制御とを交互に行い、これにより所望の動作が行われる。
【0031】
ここで、ミスト発生装置は、ミスト発生部24で発生した熱を噴霧ノズル31に伝熱するための伝熱手段41を備える。本実施の形態の伝熱手段41は、ミスト発生部24とミスト吐出口26との間のミスト移送経路25から分岐するとともに噴霧ノズル31に隣接されたミスト分岐通路42を有し、該ミスト分岐通路42を通るミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱する。
【0032】
詳しくは、本実施の形態のミスト分岐通路42は、噴霧ノズル31の先端側に沿って当接するとともに、その先端開口部42aは噴霧ノズル31の先端開口部31aと同方向を向いて該先端開口部31aと並設されている。又、ミスト分岐通路42には、開状態でミスト移送経路25と先端開口部42aとを連通状態とし、閉状態でミスト移送経路25と先端開口部42aとを非連通状態とする分岐開閉弁43が設けられている。
【0033】
そして、制御部14は、タイマー15の計測時間に基づいて前記分岐開閉弁43を動作させる。本実施の形態の制御部14は、タイマー15によって液剤M2の噴霧終了後からの経過時間を計測し、その経過時間が予め設定された時間(例えば72時間)を超えた後に操作スイッチにて液剤M2の噴霧実行(前記通常コースの実行を含む)が操作されると、ヒータ24aに通電するとともに分岐開閉弁43を開状態とし、自動的にミストM1をミスト分岐通路42に供給させて、該ミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱させる。
【0034】
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)ミストM1と液剤M2とを同時又は順次(交互に)噴霧することができる。しかも、伝熱手段41によって、加熱式のミスト発生部24で発生した熱を噴霧ノズル31に伝熱できるため、例えば、噴霧ノズル31の内部や先端開口部31aに固着してしまった液剤M2の粘度を低下させたり液剤M2の原材料を溶解することによって除去、又は液剤M2の原材料が噴霧ノズル31に固着してしまう(噴霧ノズル31が詰まってしまう)ことを予防することができる。よって、液剤M2を安定して噴霧することができる。尚、勿論、本来から加熱式のミスト発生部24で発生される熱を用いるようにしたため、装置が大規模化してしまうことはない。
【0035】
(2)噴霧ノズル31に隣接されたミスト分岐通路42を通るミストM1の熱が噴霧ノズル31に伝熱されるため、単にミスト発生部24を噴霧ノズル31に近づけただけの構成に比べて、ミスト発生部24で発生した熱を噴霧ノズル31に効率良く伝熱することができる。
【0036】
(3)ミスト分岐通路42には、分岐開閉弁43が設けられるため、手動又は自動(本実施の形態では自動)で、ミストM1をミスト分岐通路42に適宜供給して、該ミストM1の熱を噴霧ノズル31に適宜伝熱させることができる。即ち、伝熱が不要な場合に、不必要に伝熱してしまうこと、ひいては必要以上に液剤M2の粘度を低下させてしまうことを回避することができる。
【0037】
(4)制御部14によって、タイマー15の計測時間に基づいて分岐開閉弁43が動作される。よって、本実施の形態のように、例えば、タイマー15によって液剤M2の噴霧終了後からの経過時間を計測し、その経過時間が予め設定された時間(例えば72時間)を超えた後に操作スイッチにて液剤M2の噴霧実行が操作されると、制御部14によって、分岐開閉弁43が開状態とされ、自動的にまずミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱することができる。即ち、前回の液剤M2の噴霧終了後から予め設定された時間(例えば72時間)を経過し噴霧ノズル31内等で液剤M2の原材料が固着している可能性の高いとき等にミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱し、そうでないときには不必要に伝熱してしまうことを回避することができる。
【0038】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、タイマー15を備え、制御部14はタイマー15の計測時間に基づいて分岐開閉弁43を動作させるとしたが、これに限定されず、他の条件に基づいて分岐開閉弁43を動作させるようにしてもよい。
【0039】
例えば、図2に示すように、上記実施の形態のタイマー15に換えて噴霧ノズル31内の圧力を検出するための圧力センサー51を備え、制御部14は圧力センサー51が検出した圧力に基づいて分岐開閉弁43を動作させるようにしてもよい。このようにすると、例えば、検出した圧力が予め設定された規定範囲外となった場合に自動的にミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱するといったことが可能となる。即ち、圧力センサー51より下流側(先端開口部31a側)で液剤M2の原材料が固着し、検出した圧力が規定範囲を超えた場合や、圧力センサー51より上流側で液剤M2の原材料が固着し、検出した圧力が規定範囲未満となった場合等に自動的にミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱するといったことが可能となる。
【0040】
又、図2に示す圧力センサー51を、噴霧ノズル31内における液剤M2の濃度を検出するための濃度センサー52に変更し、制御部14は濃度センサー52が検出した濃度に基づいて分岐開閉弁43を動作させるようにしてもよい。このようにすると、例えば、検出した濃度が予め設定された規定範囲外となった場合に自動的にミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱するといったことが可能となる。即ち、濃度センサー52より下流側(先端開口部31a側)で液剤M2の原材料が固着し、検出した濃度が規定範囲を超えた場合や、濃度センサー52より上流側で液剤M2の原材料が固着し、検出した濃度が規定範囲未満となった場合等に自動的にミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱するといったことが可能となる。尚、この濃度センサー52としては、例えば、光学系のセンサーであって、光の透過率から濃度を検出するものなどを用いてもよいし、濃度を検出できれば光学系以外の他のセンサーで具体化してもよい。
【0041】
又、例えば、図3に示すように、上記実施の形態のタイマー15に換えて液剤噴霧機構13の使用回数(例えば、通常コースの操作(通常コースボタンを押す)が行われた回数)をカウントするカウンター53を備え、制御部14はカウンター53がカウントしたカウント値に基づいて分岐開閉弁43を動作させるようにしてもよい。このようにすると、例えば、カウント値(液剤噴霧機構13の使用回数)が予め設定された回数(例えば10回)を超えた後に操作スイッチにて液剤M2の噴霧実行(前記通常コースの実行を含む)が操作されると、自動的にまずミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱するといったことが可能となる。即ち、液剤噴霧機構13の使用回数が予め設定された回数を超え噴霧ノズル31内等で液剤M2の原材料が固着している可能性の高いとき等にミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱し、そうでないときには不必要に伝熱してしまうことを回避することができる。
【0042】
又、例えば、上記実施の形態では、タイマー15によって液剤M2の噴霧終了後からの経過時間を計測し、その経過時間が予め設定された時間(例えば72時間)を超えた後に操作スイッチにて液剤M2の噴霧実行が操作されると、ミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱するようにしたが、時間としての条件はこれに限定されず、他の時間に基づいてミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱する(分岐開閉弁43を動作させる)ようにしてもよい。例えば、タイマー15にて液剤M2の総噴霧時間を計測し、その総噴霧時間が予め設定された時間を超えると、自動的にミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱するようにしてもよい。このようにすると、例えば、液剤M2の原材料が噴霧ノズル31に固着して噴霧ノズル31が詰まってしまうといったことを自動的に予防することが可能となる。
【0043】
又、勿論、上記した以外の条件(例えば、操作スイッチの伝熱ボタンを押す等)でミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱するようにしてもよいし、上記した条件の複数を組み合わせた条件に基づいてミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱するようにしてもよい。
【0044】
・上記実施の形態では、ミスト発生部24、ミスト移送経路25及びミスト吐出口26は常に外部と連通していたが、図4に示すように、前記ミスト分岐通路42よりミスト吐出口26側に主経路開閉弁54を設け、制御部14は分岐開閉弁43を開状態とする(即ちミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱する)際、主経路開閉弁54を閉状態とするようにしてもよい。
【0045】
このようにすると、ミスト発生部24で発生されたミストM1の流れがミスト分岐通路42側に集中し、高圧のミストM1によって該ミストM1の熱を噴霧ノズル31に効率良く伝熱することができる。
【0046】
・上記実施の形態では、伝熱手段41は、ミスト分岐通路42を有し、該ミスト分岐通路42を通るミストM1の熱を噴霧ノズル31に伝熱するものとしたが、ミスト発生部24で発生した熱を噴霧ノズル31に伝熱できればよく、例えば、図5に示すように、ミスト発生部24と噴霧ノズル31とを接続する金属部材(伝熱性金属板)55からなる伝熱手段に変更してもよい。このようにすると、ミスト発生部24と噴霧ノズル31とが金属部材55にて接続されるため、該金属部材55を介する熱伝導にてミスト発生部24で発生した熱を噴霧ノズル31に効率良く伝熱することができる。尚、勿論、上記実施の形態のミスト分岐通路42を金属部材としての金属パイプとして、ミスト発生部24で発生した熱を金属パイプを介する熱伝導(ミストM1の移動に関係ない熱の移動)にて噴霧ノズル31に伝熱するとともに、ミストM1の熱を効率良く噴霧ノズル31に伝熱させるようにしてもよい。
【0047】
・上記実施の形態では、ミスト分岐通路42には、分岐開閉弁43が設けられるとしたが、これに限定されず、分岐開閉弁43を削除した構成としてもよい。
・上記実施の形態の液剤噴霧機構13は、ベンチュリー効果によって液剤を霧状(ミスト)として噴霧するものとしたが、液剤を噴霧ノズルの先端開口部から噴霧するものであればよく、例えば、液剤を静電霧化して(微細なミストとして)噴霧ノズルの先端開口部から噴霧するものに変更してもよい。
【符号の説明】
【0048】
13…液剤噴霧機構、14…制御部、15…タイマー、22…貯水槽、24…ミスト発生部、25…ミスト移送経路、26…ミスト吐出口、31…噴霧ノズル、31a…先端開口部、41…伝熱手段、42…ミスト分岐通路、43…分岐開閉弁、51…圧力センサー、52…濃度センサー、53…カウンター、54…主経路開閉弁、55…金属部材、W…水、M1…ミスト、M2…液剤(そのミスト)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水槽からの水を加熱してミストを発生させる加熱式のミスト発生部と、
発生した前記ミストを吐出するためのミスト吐出口と
を備えたミスト発生装置であって、
液剤を噴霧ノズルの先端開口部から噴霧する液剤噴霧機構と、
前記ミスト発生部で発生した熱を前記噴霧ノズルに伝熱するための伝熱手段と
を備えたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記伝熱手段は、
前記ミスト発生部と前記ミスト吐出口との間のミスト移送経路から分岐するとともに前記噴霧ノズルに隣接されたミスト分岐通路を有し、該ミスト分岐通路を通るミストの熱を前記噴霧ノズルに伝熱することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載のミスト発生装置において、
前記ミスト分岐通路には、分岐開閉弁が設けられたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
請求項3に記載のミスト発生装置において、
タイマーと、
前記タイマーの計測時間に基づいて前記分岐開閉弁を動作させる制御部と
を備えたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
請求項3に記載のミスト発生装置において、
前記噴霧ノズル内の圧力を検出するための圧力センサーと、
前記圧力センサーが検出した圧力に基づいて前記分岐開閉弁を動作させる制御部と
を備えたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項6】
請求項3に記載のミスト発生装置において、
前記噴霧ノズル内における前記液剤の濃度を検出するための濃度センサーと、
前記濃度センサーが検出した濃度に基づいて前記分岐開閉弁を動作させる制御部と
を備えたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項7】
請求項3に記載のミスト発生装置において、
前記液剤噴霧機構の使用回数をカウントするカウンターと、
前記カウンターがカウントしたカウント値に基づいて前記分岐開閉弁を動作させる制御部と
を備えたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項8】
請求項3乃至7のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、
前記ミスト吐出口、又は前記ミスト移送経路における前記ミスト分岐通路より前記ミスト吐出口側には、前記分岐開閉弁が開状態のときに閉状態となる主経路開閉弁が設けられたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項9】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記伝熱手段は、
前記ミスト発生部と前記噴霧ノズルとを接続する金属部材を有することを特徴とするミスト発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−175219(P2010−175219A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21576(P2009−21576)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】