ミックス型駐車装置
【課題】自動車と自動二輪車を混在で収容でき、自動二輪車の駐車の利便性を図った機械式の駐車装置を提供する。
【解決手段】自動車を載せたパレット52を搬送して建物内に駐車させる駐車装置において、パレット52上に、自動二輪車の前輪を保持して係留するための係留ホルダーを設けて自動二輪車を搭載するための自動二輪車専用パレット61を重ねて載置すると共に、パレット52の長手方向に沿って移動自在に設け、自動二輪車専用パレット61の移動方向の搬出入口に自動二輪車の搬出入を案内するためのフラップ装置を設けたものである。
【解決手段】自動車を載せたパレット52を搬送して建物内に駐車させる駐車装置において、パレット52上に、自動二輪車の前輪を保持して係留するための係留ホルダーを設けて自動二輪車を搭載するための自動二輪車専用パレット61を重ねて載置すると共に、パレット52の長手方向に沿って移動自在に設け、自動二輪車専用パレット61の移動方向の搬出入口に自動二輪車の搬出入を案内するためのフラップ装置を設けたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車を載せたパレットを搬送して建物内に駐車させる駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体駐車場として使用される従来の機械式の駐車装置は、立体駐車場の入口から入庫した自動車を空の車両用パレット上に搭載し、これを昇降装置で昇降させたり(エレベータ方式)、車両用パレットを吊り下げるハンガー(ケージ)を昇降装置で垂直循環させながら昇降させたりする(垂直循環方式)ことで、建物内の上下左右に車両用パレットを格納して自動車を収容している。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−242278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、道路交通法の改正により、特に自動車の駐車に関する規定が改正された。新しい道路交通法によると、「自動車」の定義に大型自動二輪車及び普通自動二輪車が加わることになり、路上に自動二輪車を駐車することが禁止されるようになった。このように路上に自動二輪車を駐車することができなくなったため、自動二輪車用の駐車場の需要が高まってきている。
【0006】
しかしながら、従来、自動二輪車は平面駐車場に駐車することが多く、狭い場所や土地では多数の自動二輪車を効率よく駐車させることができなかった。
【0007】
また、従来の機械式の駐車装置は、多数の自動車を効率よく駐車できるものの、自動二輪車を収容できなかった。
【0008】
特に、従来の垂直循環方式の機械式駐車場では、狭いスペースを有効に利用するために、高さが低いハンガーを用いることが一般的であり、このような場合、自動二輪車を駐車することが難しかった。さらに、運転手が自動二輪車に乗ったまま駐車しようとすると、ハンガーパイプや油受けに接触してしまうおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、自動車と自動二輪車を混在で収容でき、自動二輪車の駐車の利便性を図った機械式の駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、自動車を載せたパレットを搬送して建物内に駐車させる駐車装置において、上記パレット上に、自動二輪車の前輪を保持して係留するための係留ホルダーを設けて自動二輪車を搭載するための自動二輪車専用パレットを重ねて載置すると共に、上記パレットの長手方向に沿って移動自在に設け、上記自動二輪車専用パレットの移動方向の搬出入口に自動二輪車の搬出入を案内するためのフラップ装置を設けたミックス型駐車装置である。
【0011】
請求項2の発明は、上記フラップ装置が、自動二輪車専用パレットの一端に起倒するように回動自在に設けられたフラップ板と、フラップ板が起立したときフラップ板をロックするフラップロック機構とを備えた請求項1記載のミックス型駐車装置である。
【0012】
請求項3の発明は、上記フラップロック機構が、上記フラップ板にスライド自在に設けられフラップ板の回動軸と平行に延びるストッパーピンと、ストッパーピンを上記フラップ板から出没させるべく軸方向にスライドさせる操作部と、上記自動二輪車専用パレットに設けられ上記フラップ板から突出したストッパーピンを係止する係止部とを備えた請求項2記載のミックス型駐車装置である。
【0013】
請求項4の発明は、上記係止部が、上記自動二輪車専用パレットに設けられ上記フラップ板が起立したときフラップ板の側部に臨む係止板と、該係止板に形成され上記ストッパーピンを挿入させるピン穴とを備え、上記操作部は上記ストッパーピンをフラップ板から突出させる方向に弾発付勢するスプリングを有し、上記ストッパーピンの先端には、上記フラップ板の起立方向の回動により上記係止板がストッパーピンに干渉するとき、上記係止板に当接してストッパーピンを没入させるように案内する傾斜面が形成された請求項3記載のミックス型駐車装置である。
【0014】
請求項5の発明は、上記自動二輪車専用パレットには、上記フラップ板が傾倒するときフラップ板の勢いを吸収するダンパーが設けられた請求項2〜4のいずれかに記載のミックス型駐車装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、自動二輪車を自動車と混在して駐車することが可能となり、土地の有効活用が可能となり、入出庫口が狭い場合でも自動二輪車を簡単に駐車できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(a)は、本発明の前提となるミックス型駐車装置の主要部の平面図、図1(b)はその側面図、図1(c)は図1(b)の1C線矢視図である。
【図2】図1(a)に示したミックス型駐車装置の主要部の2A線矢視図(正面図)である。
【図3】図1(a)に示したミックス型駐車装置の主要部の3A−3A線断面図である。
【図4】ハンドル部部分の側面図である。
【図5】垂直循環方式のミックス型駐車装置の部分断面図である。
【図6】図6(a)は、図5に示した垂直循環方式のミックス型駐車装置のハンガー部分の側面図、図6(b)はその6B−6B線断面図である。
【図7】本発明の実施の形態を示す自動二輪車専用パレットの平面図である。
【図8】自動二輪車専用パレットの側面図である。
【図9】自動二輪車専用パレットの背面図である。
【図10】フラップ装置の背面図である。
【図11】ロックを解除したフラップ装置の背面図である。
【図12】フラップ装置の側面図である。
【図13】フラップロック機構の作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面にしたがって説明する。
【0018】
まず、本実施形態の前提となるミックス型駐車装置の全体構成を、図5および図6(a)、図6(b)を用いて説明する。
【0019】
図5および図6(a)、図6(b)に示すように、ミックス型駐車装置1は、立体駐車場として使用される垂直循環方式の機械式駐車装置(タワーパーキング)であり、建物s内に複数個のパレットとしての車両用パレット52を格納し、これら車両用パレット52に自動車cや自動二輪車mなどの車両を搭載して駐車させるものである。
【0020】
各車両用パレット52は、それぞれハンガー53でその下部に吊り下げられる。ハンガー53は、少なくとも車両用パレット52の長手方向(自動二輪車mの入出庫方向)が開放形成される。
【0021】
図6(a)および図6(b)では、ハンガー53が、車両用パレット52の両端部を下方から吊り下げるハンガー枠体53f,53fと、両端部がチェーン54に連結され、ハンガー枠体53f,53fの上部同士を連結するハンガーパイプ55とからなる例を示した。ハンガーパイプ55の両端には、チェーン54に供給した潤滑油の余剰分を受ける油受け56が設けられる。
【0022】
ミックス型駐車装置1では、これら各車両用パレット52がそれぞれ下部に設けられた複数個のハンガー53を、チェーン54やスプロケット、スプロケットの駆動装置を用いて建物s内で垂直方向に循環させ、自動車cと自動二輪車mとを混在して収容する。
【0023】
この垂直循環方式のミックス型駐車装置1では、自動車cが立体駐車場の入出庫口eから入庫する場合は、入庫に先立ち、空状態の車両用パレット52を有するハンガー53を入出庫口eまで下降移動させて停止する。停止した車両用パレット52上に自動車cを搭載し、満状態の車両用パレット52をハンガー53ごと適宜上昇移動させて停止することで、建物s内に自動車cを収容する。
【0024】
建物s内の入出庫口e下部には、さらに車両用パレット52を旋回させるターンテーブルなどの旋回装置を設けてもよい。この旋回装置を建物s外の入出庫口e近傍に設けてもよい。また、入出庫口eに開閉扉57を設けてもよい。
【0025】
ここで、上述した車両用パレット52上に設けられる自動二輪車専用パレットのより詳細な構成と、その周辺部とを、図1(a)〜図1(c)および図2を用いて説明する。
【0026】
図1(a)〜図1(c)および図2に示すように、ミックス型駐車装置1は、2台の自動二輪車m1,m2を搭載するための自動二輪車専用パレット2を備える。
【0027】
この自動二輪車専用パレット2は、車両用パレット52上の後端部(図1(a)および図1(b)では右側、あるいは自動二輪車の入出庫口側)に重ねて載置されると共にその長手方向に沿って移動自在に設けられるパレット本体3a,3bと、各パレット本体3a,3bの下部に設けられ、車両用パレット52の長手方向に沿って車両用パレット52の全長よりもやや短く形成されるはしご形のパレットフレーム(台車フレーム)4と、各パレット本体3a,3bごとに車両用パレット52上の長手方向に沿って形成された走行軌道としての2本のガイドレール5,5とを有する。
【0028】
パレット本体3aとフレーム4とでスライドパレット(スライド台車)SPを構成するため、自動二輪車専用パレット2は、2つのスライドパレットSPを有する。
【0029】
パレット本体3a上の先端部には、自動二輪車m1の前輪ftのみを保持してパレット本体3aに係留するための係留ホルダー(ホルダースタンド)6が設けられる。パレット本体3b上にも同様に、自動二輪車m2を係留するための係留ホルダー6が設けられる。
【0030】
自動二輪車m1,m2としては、例えば、ビッグアメリカン、ビッグスクーター、オンロード、オフロード、ネイキッド、レーサーレプリカ、ツアラー、ストリート、スクーターなど、排気量が50ccの小型バイクから大型バイクまでのほぼすべてのタイプの自動二輪車を使用できる。
【0031】
パレット本体3a,3bは、鋼板、SUSなどの金属で細長いほぼ平板状に形成される。車両用パレット52の長さと幅は、普通自動車が1台搭載できるように設定する。車両用パレット52の長さLは470〜530cmとし、幅Wは200〜220cmとした。このパレット本体3a,3bは、少なくとも車両用パレット52の後端部に収容された位置からパレット本体3a,3bの全体が車両用パレット52外に出るまで移動可能である。
【0032】
また、各パレット本体3a,3bに各係留ホルダー6,6を、ボルトやナットなどの締結手段で取付け固定して設けた。これら係留ホルダー6,6により、パレット本体3a上に1台の自動二輪車m1を係留でき、パレット本体3b上に1台の自動二輪車m2を係留できる。
【0033】
係留ホルダー6は、鋼板、SUSなどの金属で形成される。この係留ホルダー6は、側面視でほぼL字状に曲げられた枠体7に、前輪ftを受ける下受け部8と上受け部9を、スプリングで枠体7の長手方向の外側に向かって付勢させて回動可能に設けたものである。
【0034】
係留ホルダー6に対して垂直になるように自動二輪車を進入させると、まず下受け部8に前輪ftが載ってホールドされ、さらに自動二輪車を前進させると、前輪ftが枠体7を乗り越え、さらに前輪ftが上受け部9でホールドされると共に、前輪ft自身の重さで上受け部9に前輪ftが押し付けられる。これにより、自動二輪車を前輪ftのみで保持して真っ直ぐな状態で係留できる。このような係留ホルダー6としては、例えば、株式会社ワイズギア製のバイクホルダースタンドがある。
【0035】
パレットフレーム4の両側には、ガイドレール5,5上を走行するための走行車輪10が設けられる。パレットフレーム4の先端部の両側に2輪の走行車輪10を設け、パレット本体近傍の両側に2輪の走行車輪10を設けた。
【0036】
より詳細には図3に示すように、各ガイドレール5,5は、2本の横断面視でL形部材35,35を対向させてコ字状に組み合わせ、その開放側をパレットフレーム4の外側面に臨むように設置して構成される。
【0037】
さらに、各ガイドレール5,5は、車両用パレット52が中央部58の両側にこれより1段低い車両用通路59が形成されるため、片側のガイドレール5が車両用パレット52の中央部58上に設置され、反対側のガイドレール5が車両用パレット52の車両用通路59上に設置される。すなわち、両ガイドレール5,5を段違いに設置する。これら両ガイドレール5,5の設置に合わせて、走行車輪10もパレットフレーム4の両側に段違いに設ける。
【0038】
これにより、自動二輪車専用パレット2では、各パレット本体3a,3bとそのパレットフレーム4からなるスライドパレットSPが、車両用パレット52の長手方向に沿って形成されたガイドレール5,5に係合して移動自在に支持される。
【0039】
図1(a)〜図1(c)および図2に戻り、パレットフレーム4の後端には、車両用パレット52の長手方向に沿ってスライドパレットSPを移動させるためのハンドル部11が設けられる。このハンドル部11は、自動二輪車の満空時に起立し、自動二輪車の乗降時に倒れるように、パレットフレーム4の後端部に回動自在に設けられる(図4参照)。ハンドル部11は、運転手や駐車場の管理人が握るためのハンドル12と、自動二輪車の自動二輪車専用パレット2への乗降を案内するフラップ13と、そのフラップ13の先端に設けられ、ハンドル部11の床面への衝撃を緩和する板バネ部材14とを有する。
【0040】
さらにハンドル部11には、ハンドル部11の起立状態を維持・解除するためのハンドル部ロック15が設けられる。
【0041】
また、パレットフレーム4の先端部には、自動二輪車専用パレット2のスライドパレットSPの移動を許可・禁止するためのスライドロック16が設けられる。このため、ハンドル部11には、スライドロック16の施錠・解除を遠隔で行うためのスライドロック用レバーがさらに設けられているとよい。
【0042】
一般に、自動車専用パレットには、1台の自動車の満空状態を判断するための投光器と受光器からなる光センサが備えられ、その光センサが昇降装置やピックアップ装置と共に制御手段に接続され、その制御手段により、すべての自動車専用パレットの満空状態を監視している。
【0043】
しかし、自動二輪車専用パレット2には、満状態で2台の自動二輪車m1,m2が搭載されるため、光センサだけでは自動二輪車m1,m2の満空状態(0台、1台、2台の状態)を判断するのは難しい。
【0044】
そこで、自動車専用パレット2上あるいは裏面には、光センサの代わりに、各係留ホルダー6の近傍にロードセルなどの荷重センサを設け、その荷重センサを上述した制御手段に接続することで、自動二輪車m1,m2の満空状態を判断するとよい。
【0045】
パレット本体3a上には、自動二輪車m1の座席部分を上方から固定するためのタイダウン装置17が設けられる。タイダウン装置17は、パレット本体3a上に起立した片側ポール18と、その片側ポール18に一端が取り付けられ、中間止め金具としてのベルト挿通部材19を挿通した上で自動二輪車m1の座席部分に掛けられる自動巻取り・ラチェット締込式のタイダウンベルト20と、そのタイダウンベルト20の他端に取り付けられたフック21が掛けられて固定される止め金具22とからなる。
【0046】
このタイダウン装置17では、予めタイダウンベルト20がベルト挿通部材19を挿通している。このため、係留ホルダー6に自動二輪車m1を係留した後、ユーザーや駐車場の管理人が自動二輪車m1の座席部分にタイダウンベルト20を掛け、止め金具22にフック21を掛けた上で、タイダウンベルト20を自動巻取りして長さを調整すれば、自動二輪車m1のサイズにかかわらず、タイダウンベルト20をn形に巻き掛けて自動二輪車m1をより確実に固定できる。
【0047】
ポール18の高さHpは、ユーザーや駐車場の管理人による自動二輪車の固定作業を簡単にするため、自動二輪車の座席高さよりも若干高くする。高さHpは90〜110cmにした。
【0048】
次に、自動二輪車m1の入庫手順を説明する。
【0049】
まず、運転手が自動二輪車m1を駐車作業に充分余裕のある位置に引かれた停止線に停車させ、自動二輪車m1を降りる。運転手(あるいは駐車場の管理人)は、制御手段を有する操作盤を操作し、空状態のスライドパレットSPを有するハンガー53を入出庫口eまで下降移動させて停止させる。
【0050】
パレットフレーム4のスライドロック16を解除し、運転手がハンドル部11を持ってスライドパレットSPを引き出す。運転手は、スライドロック16を施錠し、ハンドル部ロック15を解除してハンドル部11を倒し、フラップ13をセットし、自動二輪車m1に乗り、自動二輪車m1をフラップ13上を通って最徐行運転して係留ホルダー6に前輪ftを固定する。運転手は自動二輪車m1を降り、自動二輪車m1の座席部分を上方からタイダウン装置17で固定する。
【0051】
その後、運転手はハンドル部11を起こしてハンドル部ロック15を施錠し、再びスライドロック16を解除し、ハンドル部11を持ってスライドパレットSPを押し入れ、車両用パレット52上に完全に重なるまで載置させる。さらに、運転手は再びスライドロック16を施錠し、操作盤にて完了操作を行う。
【0052】
もう一方の自動二輪車m2の入庫手順の場合は、タイダウン装置17の作業を省略する以外、自動二輪車m1の入庫手順と同じである。また、出庫手順は、入庫手順と逆の作業をすればよい。
【0053】
作用を説明する。
【0054】
ミックス型駐車装置1は、自動二輪車専用パレット2を、車両用パレット52上に重ねて載置すると共に、車両用パレット52の長手方向に沿って移動自在に設けている。
【0055】
このため、ミックス型駐車装置1では、従来は自動二輪車の収容が非常に困難であった機械式の立体駐車場でも、自動二輪車m1,m2と自動車を混在で収容できる。
【0056】
従来多くの場合、自動二輪車を平面に駐車するしか方法はなかったが、ミックス型駐車装置1によれば、自動二輪車を立体的に駐車することが可能となり、土地の有効活用が可能となる。しかも、ミックス型駐車装置1では、自動二輪車の盗難被害防止や、路上駐車防止も図れる。
【0057】
特に、ミックス型駐車装置1では、図6(a)および図6(b)のように高さが低い(約140〜180cm)ハンガー53を用いるような垂直循環方式の機械式駐車場でも、自動二輪車専用パレット2のスライドパレットSPをスライド移動させることで、自動二輪車m1,m2を簡単に駐車できる。
【0058】
さらに、ミックス型駐車装置1では、スライドパレットSPをハンガー53の外部に引き出した位置で自動二輪車を駐車するため、運転手が自動二輪車に乗ったまま駐車でき、ハンガーパイプ55や油受け56に接触することがない。
【0059】
また、ミックス型駐車装置1では、車両用パレット52から自動二輪車専用パレット2やガイドレール5,5を比較的簡単に着脱できるため、自動車や自動二輪車の駐車台数の需要や変化に応じてハンガー53で吊り下げるパレットの種類を適宜変更することもできる。
【0060】
ミックス型駐車装置1は、自動二輪車専用パレット2のスライドパレットSPがガイドレール5,5に係合して移動自在に支持されるため、自動二輪車専用パレット2のスライドパレットSPをより簡単にスライド移動させることができる。
【0061】
また、自動二輪車専用パレット2は、車両用パレット52の長手方向に沿って移動させるためのハンドル部11を備えているので、自動二輪車専用パレット2の引き出しや押し入れが簡単である。
【0062】
ミックス型駐車装置1は、ハンドル部11に、自動二輪車専用パレット2への自動二輪車の乗降を案内するフラップ13を設けているため、立体駐車場の入出庫口eと自動二輪車専用パレット2間に段差があっても、自動二輪車専用パレット2への乗り降りが容易である。
【0063】
さらに、ミックス型駐車装置1では、パレット本体3a,3b上に、ボルトやナット、あるいは必要に応じてタッププレートなどの簡便な締結手段を用いて係留ホルダー6,6を設置している。
【0064】
このため、ミックス型駐車装置1によれば、機械式駐車場を新設する場合に限らず、既設の機械式駐車場の車両用パレットを若干改造すればよく、各種部品の取付け作業や装置の製造が簡単であり、低コストである。
【0065】
ミックス型駐車装置1では、タイダウン装置17により、係留ホルダー6に係留した自動二輪車m1を、自動二輪車専用パレット2上に傷つけることなく、より確実に固定できる。
【0066】
このため、ミックス型駐車装置1によれば、パレットの引き出し・押し入れ、昇降時などの機械振動や、比較的弱い地震動などの衝撃がパレットに加わっても、自動二輪車m1,m2のパレット外への墜落あるいは転落、パレット内での転倒を防止でき、自動二輪車m1や装置本体が壊れるのを防ぐことができる。
【0067】
特に、パレットに強い衝撃が加わった場合には、係留ホルダー6に自動二輪車を係留するだけでは、前輪と後輪を結ぶ線に対し、自動二輪車がローリングすることがある。ミックス型駐車装置1では、タイダウン装置17を用いることで、自動二輪車m1のローリングも防止できる。
【0068】
さらに、ミックス型駐車装置1では、自動二輪車m1の座席部分をタイダウンベルト20で上方から押さえつけて固定しており、係留ホルダー6の下受け部8や上受け部9に、前輪ftがより効果的に押し付けられるため、タイダウン装置17と係留ホルダー6の相乗効果により、自動二輪車専用パレット2上に自動二輪車m1を固定できる。
【0069】
上述の前提技術に変更を加えた本発明の好適実施の形態について述べる。なお、上述と同様の構成については同符号を付し、説明を省略する。
【0070】
図7、図8及び図9に示すように、車両用パレット52上には、自動二輪車を駐車するための自動二輪車専用パレット61が車両用パレット52の長手方向に移動自在に設けられ、自動二輪車専用パレット61上には、自動二輪車の前輪を保持して係留するための係留ホルダー6が設けられ、車両用パレット52と自動二輪車専用パレット61には、自動二輪車専用パレット61の長手方向の移動を規制するロック機構62が設けられる。
【0071】
自動二輪車専用パレット61は、車両用パレット52の左右の車両用通路59上に、後述するスライドガイド63を介してスライド自在に、かつ、車両用パレット52の長手方向の一端に形成された車両進入口64から出没するように設けられる。スライドガイド63は、車両用通路59上に固定される基部65と、基部65の左右両側に左右方向に延びる軸回り回転自在に設けられた複数のガイドローラ66とからなる。自動二輪車専用パレット61は、スライドガイド63のガイドローラ66に係合され、ガイドローラ66上で車両用パレット52の長手方向にスライドするスライダー部67と、スライダー部67上に設けられ自動二輪車を載置するためのパレット本体68とを備える。スライダー部67は、前後方向に延びると共に断面コ字状に形成されガイドローラ66に係合される左右一対のサイドフレーム69と、これらサイドフレーム69間に掛け渡して設けられたクロスフレーム70とからなり、略梯子状に形成される。パレット本体68は、前後方向に長い鋼板の下面に補強フレーム71を設けて構成され、スライダー部67の一端側に設けられる。
【0072】
また、自動二輪車専用パレット61の移動方向の一端には、二輪車搬出入口72が形成されると共に自動二輪車を案内するためのフラップ装置73が設けられている。
【0073】
図10、図11及び図12に示すように、フラップ装置73は、スライダー部67の端部に起倒するように左右に延びる枢支軸85回り回動自在に設けられたフラップ板74と、フラップ板74が起立したときフラップ板74をロックするフラップロック機構75とを備える。
【0074】
フラップ板74は、鉛直に起立したとき自動二輪車の落下を防止する柵として機能し、倒されたとき入出庫用のスロープとして機能する。フラップ板74が起立したときフラップ板74の車両進入方向後側に位置される背面79には、自動二輪車専用パレット61を長手方向にスライドさせるためのスライド用取っ手76が設けられ、正面80には、自動二輪車を走行させるための走行路(図示せず)が設けられている。また、フラップ板74の左右両側には、フラップ板74を起倒させるための起倒用取っ手77が設けられ、自動二輪車専用パレット61には、フラップ板74が傾倒するときフラップ板74の勢いを吸収するためのダンパー78が設けられている。ダンパー78は、ピストン状に形成されたガススプリングからなり、一端を自動二輪車専用パレット61の係止板86に連結されると共に、他端をフラップ板74の背面79側に連結されている。
【0075】
フラップロック機構75は、フラップ板74にスライド自在に設けられフラップ板74の回動軸と平行に延びる左右一対のストッパーピン81と、これらストッパーピン81をフラップ板74から出没させるべく軸方向にスライドさせる操作部82と、自動二輪車専用パレット61に設けられフラップ板74から突出したストッパーピン81を係止する係止部83と、自動二輪車専用パレット61に設けられ起立したフラップ板74の車両進入方向への回動を規制する起立ストッパ84とを備える。
【0076】
図10、図12及び図13に示すように、係止部83は、自動二輪車専用パレット61に設けられフラップ板74が起立したときフラップ板74の側部に臨む係止板86と、係止板86に形成されストッパーピン81を挿入させるピン穴87とからなる。係止板86は、スライダー部67の左右両側に車両進入方向後方に延びると共に上下に延びて形成されている。ピン穴87は、ストッパーピン81と略同径の円形に形成されており、ストッパーピン81が挿入されたとき、ストッパーピン81をガタなく留められるようになっている。係止板86の車両進入方向後方の端部には、後述するストッパーピン81の傾斜面88に当接する縁を成す切欠89が形成されている。切欠89は、係止板86をくの字に切り欠いてなり、上側の縁にストッパーピン81の傾斜面88を当接させるようになっている。
【0077】
ストッパーピン81は、フラップ板74の左右両側に先端を側方に向けて配置されており、フラップ板74の背面79から車両進入方向後方に延びる複数のガイド板90に挿通されている。また、ストッパーピン81は断面円形に形成されており、ストッパーピン81の先端には、フラップ板74の起立方向の回動により係止板86がストッパーピン81に干渉するとき、係止板86に当接してストッパーピン81を没入させるように案内する傾斜面88が形成されている。具体的には、傾斜面88は、ストッパーピン81の端部を斜めに切り欠いて形成されており、ストッパーピン81はフラップ板74が起立したとき車両進入方向に向くようにフラップ板74に設けられている。
【0078】
操作部82は、2つのストッパーピン81を同時に操作するためのリンク機構からなり、ストッパーピン81の基端部に車両進入方向に延びる軸回り回動自在に連結されフラップ板74の幅方向中央に延びる一対のサイドロッド91と、サイドロッド91に車両進入方向に延びる軸回り回動自在に連結されると共にフラップ板74に車両進入方向に延びる支軸92回りに回動自在に枢支される一対の回動板93と、これら回動板93に支軸92から離間すると共にサイドロッド91から離間して連結されフラップ板74の先端側に延びるセンターロッド94と、センターロッド94の先端に設けられたロック解除ハンドル95とを備える。回動板93は略三角形状に形成されており、支軸92に角部を枢支され、他の2つの角部にサイドロッド91とセンターロッド94を連結されている。センターロッド94は、フラップ板74に設けられたロッドガイド96に軸方向にスライド可能に支持されており、先端側に移動することで回動板93をそれぞれ回動させ、回動板93を介してサイドロッド91をフラップ板74の幅方向内側に引くようになっている。また、操作部82は、ストッパーピン81をフラップ板74から突出させる方向に弾発付勢するスプリング97を有する。スプリング97は、引張バネからなり、一端をフラップ板74の側部に連結されると共に他端を支軸92とサイドロッド91間の回動板93に連結される。また、フラップ板74には、回動板93のロック解除方向の回動を規制する回動板ストッパ98が設けられる。
【0079】
起立ストッパ84は、スライダー部67の車両進入方向後方の端部両側に上方に延びて設けられた取付板99と、取付板99に螺合され車両進入方向に延びる位置調整ボルト100とからなる。
【0080】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0081】
自動二輪車専用パレット61上に自動二輪車を駐車する場合、自動二輪車専用パレット61を車両進入方向後方に引き出し、起立されているフラップ板74のロックを解除しながらフラップ板74を車両進入方向後方に倒す。図11に示すように、フラップ板74のロック解除はロック解除ハンドル95を上方に引くことで行う。これにより、2つの回動板93がそれぞれの支軸92を中心としてフラップ板74の幅方向中央側の角部を上方に移動させるように回動し、スプリング97が弾性変形して伸長すると共にそれぞれのサイドロッド91がフラップ板74の幅方向中央側にスライドし、ストッパーピン81が係止板86のピン穴87から抜き出される。また、ロック解除ハンドル95はフラップ板74の車両進入方向後側に設けられているため、ロック解除ハンドル95を引くことでフラップ板74が車両進入方向後方に引かれ、ストッパーピン81がピン穴87から抜けると同時にフラップ板74が傾倒を始める。
【0082】
フラップ板74はダンパー78に勢いを吸収されて緩やかに傾倒され、先端が着地することで止まる。これにより、地面と自動二輪車専用パレット61との間にフラップ板74からなるスロープが形成される。フラップ板74上で自動二輪車を走行させて自動二輪車専用パレット61上に乗り入れる。
【0083】
自動二輪車専用パレット61上に自動二輪車が駐車されたら、フラップ板74を起こす。フラップ板74は、ガススプリングからなるダンパー78に起立方向の回動を補助されるため、人手で容易に起こすことができる。
【0084】
図10及び図13(a)に示すように、ストッパーピン81はスプリング97によりフラップ板74から突出する方向に弾発付勢されているため、フラップ板74が起立方向に回動することでストッパーピン81の傾斜面88が係止板86の縁に当接する。ストッパーピン81にはフラップ板74の幅方向中央に向かう力が作用し、図13(b)に示すように、ストッパーピン81が係止板86から退避するようにスライドして係止板86の縁を越える。図13(c)に示すように、フラップ板74が更に回動してストッパーピン81がピン穴87の位置に至ると、ストッパーピン81はピン穴87に挿入される。これにより、フラップ板74は車両進入方向後方への回動を規制されると共に、起立ストッパ84により車両進入方向への回動を規制され、完全にロックされる。
【0085】
このように、自動二輪車専用パレット61の移動方向の二輪車搬出入口72に自動二輪車の搬出入を案内するためのフラップ装置73を設けたため、自動二輪車専用パレット61と自動二輪車が走行する地面との間に段差があっても地面から自動二輪車専用パレット61上に自動二輪車を容易に載せることができると共に自動二輪車専用パレット61から地面に自動二輪車を容易に降ろすことができる。
【0086】
フラップ装置73が、自動二輪車専用パレット61の一端に起倒するように回動自在に設けられたフラップ板74と、フラップ板74が起立したときフラップ板74をロックするフラップロック機構75とを備えるため、車両用パレット52又は自動二輪車専用パレット61が移動したときなど、起立したフラップ板74が倒れるのを確実に防ぐことができる。
【0087】
フラップロック機構75が、フラップ板74にスライド自在に設けられフラップ板74の回動軸と平行に延びるストッパーピン81と、ストッパーピン81をフラップ板74から出没させるべく軸方向にスライドさせる操作部82と、自動二輪車専用パレット61に設けられフラップ板74から突出したストッパーピン81を係止する係止部83とを備えるため、簡易な構造で容易にフラップ板74をロックできる。
【0088】
係止部83は、自動二輪車専用パレット61に設けられフラップ板74が起立したときフラップ板74の側部に臨む係止板86と、係止板86に形成されストッパーピン81を挿入させるピン穴87とを備え、操作部82はストッパーピン81をフラップ板74から突出させる方向に弾発付勢するスプリング97を有し、ストッパーピン81の先端には、フラップ板74の起立方向の回動により係止板86がストッパーピン81に干渉するとき、係止板86に当接してストッパーピン81を没入させるように案内する傾斜面88が形成されるものとしたため、フラップ板74の起立に連動してフラップ板74をロックでき、ロックの手間を省くことができると共に、人為的なミスでフラップ板74のロックを忘れるのを防ぐことができ、安全性を高めることができる。
【0089】
自動二輪車専用パレット61には、フラップ板74が傾倒するときフラップ板74の勢いを吸収するダンパー78が設けられるものとしたため、フラップ板74が地面に叩き付けられて破損するのを防ぐことができると共に、作業者の安全を守ることができ、大きな音の発生を防ぐことができる。
【0090】
なお、上述の実施の形態では、ミックス型駐車装置が、垂直循環方式の機械式駐車装置(タワーパーキング)である場合について説明したが、これに限るものではない。ミックス型駐車装置は、自動車を載せたパレットを搬送して建物内に駐車させるものであれば他のタイプのものであってもよい。例えば、ミックス型駐車装置は、地上の建物内に、車両用パレットを載置するための棚を多段に設けると共に各棚に沿って昇降するエレベータを設け、このエレベータで各棚に車両用パレットを受け渡すようにしたエレベータパーキングであってもよく、地下の建物内で車両用パレットを循環又は移動させて格納する地下式パーキングであってもよく、建物内に上下左右に移動自在なシャトルを設け、このシャトルで車両用パレットを搬送するシャトルパーキングであってもよく、地下空間に上下に延びるフレームを昇降自在に設け、このフレームに2段以上の複数段のパレットを設けた昇降式の二・多段パーキングであってもよく、地上階に複数のパレットを横行自在に設けると共に、パレット1つ分の空きスペースを形成し、二階、又は地下階に上記空きスペースに昇降可能なパレットを設けたスライド・昇降併用式の二・多段パーキングであってもよい。
【0091】
また、起立ストッパ84は、取付板99にゴム、樹脂、バネ等からなる弾性体を設けて構成してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 ミックス型駐車装置
2,61 自動二輪車専用パレット
3a,3b,68 パレット本体
6 係留ホルダー
52 車両用パレット
SP スライドパレット
72 二輪車搬出入口(搬出入口)
73 フラップ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車を載せたパレットを搬送して建物内に駐車させる駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体駐車場として使用される従来の機械式の駐車装置は、立体駐車場の入口から入庫した自動車を空の車両用パレット上に搭載し、これを昇降装置で昇降させたり(エレベータ方式)、車両用パレットを吊り下げるハンガー(ケージ)を昇降装置で垂直循環させながら昇降させたりする(垂直循環方式)ことで、建物内の上下左右に車両用パレットを格納して自動車を収容している。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−242278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、道路交通法の改正により、特に自動車の駐車に関する規定が改正された。新しい道路交通法によると、「自動車」の定義に大型自動二輪車及び普通自動二輪車が加わることになり、路上に自動二輪車を駐車することが禁止されるようになった。このように路上に自動二輪車を駐車することができなくなったため、自動二輪車用の駐車場の需要が高まってきている。
【0006】
しかしながら、従来、自動二輪車は平面駐車場に駐車することが多く、狭い場所や土地では多数の自動二輪車を効率よく駐車させることができなかった。
【0007】
また、従来の機械式の駐車装置は、多数の自動車を効率よく駐車できるものの、自動二輪車を収容できなかった。
【0008】
特に、従来の垂直循環方式の機械式駐車場では、狭いスペースを有効に利用するために、高さが低いハンガーを用いることが一般的であり、このような場合、自動二輪車を駐車することが難しかった。さらに、運転手が自動二輪車に乗ったまま駐車しようとすると、ハンガーパイプや油受けに接触してしまうおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、自動車と自動二輪車を混在で収容でき、自動二輪車の駐車の利便性を図った機械式の駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、自動車を載せたパレットを搬送して建物内に駐車させる駐車装置において、上記パレット上に、自動二輪車の前輪を保持して係留するための係留ホルダーを設けて自動二輪車を搭載するための自動二輪車専用パレットを重ねて載置すると共に、上記パレットの長手方向に沿って移動自在に設け、上記自動二輪車専用パレットの移動方向の搬出入口に自動二輪車の搬出入を案内するためのフラップ装置を設けたミックス型駐車装置である。
【0011】
請求項2の発明は、上記フラップ装置が、自動二輪車専用パレットの一端に起倒するように回動自在に設けられたフラップ板と、フラップ板が起立したときフラップ板をロックするフラップロック機構とを備えた請求項1記載のミックス型駐車装置である。
【0012】
請求項3の発明は、上記フラップロック機構が、上記フラップ板にスライド自在に設けられフラップ板の回動軸と平行に延びるストッパーピンと、ストッパーピンを上記フラップ板から出没させるべく軸方向にスライドさせる操作部と、上記自動二輪車専用パレットに設けられ上記フラップ板から突出したストッパーピンを係止する係止部とを備えた請求項2記載のミックス型駐車装置である。
【0013】
請求項4の発明は、上記係止部が、上記自動二輪車専用パレットに設けられ上記フラップ板が起立したときフラップ板の側部に臨む係止板と、該係止板に形成され上記ストッパーピンを挿入させるピン穴とを備え、上記操作部は上記ストッパーピンをフラップ板から突出させる方向に弾発付勢するスプリングを有し、上記ストッパーピンの先端には、上記フラップ板の起立方向の回動により上記係止板がストッパーピンに干渉するとき、上記係止板に当接してストッパーピンを没入させるように案内する傾斜面が形成された請求項3記載のミックス型駐車装置である。
【0014】
請求項5の発明は、上記自動二輪車専用パレットには、上記フラップ板が傾倒するときフラップ板の勢いを吸収するダンパーが設けられた請求項2〜4のいずれかに記載のミックス型駐車装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、自動二輪車を自動車と混在して駐車することが可能となり、土地の有効活用が可能となり、入出庫口が狭い場合でも自動二輪車を簡単に駐車できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(a)は、本発明の前提となるミックス型駐車装置の主要部の平面図、図1(b)はその側面図、図1(c)は図1(b)の1C線矢視図である。
【図2】図1(a)に示したミックス型駐車装置の主要部の2A線矢視図(正面図)である。
【図3】図1(a)に示したミックス型駐車装置の主要部の3A−3A線断面図である。
【図4】ハンドル部部分の側面図である。
【図5】垂直循環方式のミックス型駐車装置の部分断面図である。
【図6】図6(a)は、図5に示した垂直循環方式のミックス型駐車装置のハンガー部分の側面図、図6(b)はその6B−6B線断面図である。
【図7】本発明の実施の形態を示す自動二輪車専用パレットの平面図である。
【図8】自動二輪車専用パレットの側面図である。
【図9】自動二輪車専用パレットの背面図である。
【図10】フラップ装置の背面図である。
【図11】ロックを解除したフラップ装置の背面図である。
【図12】フラップ装置の側面図である。
【図13】フラップロック機構の作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面にしたがって説明する。
【0018】
まず、本実施形態の前提となるミックス型駐車装置の全体構成を、図5および図6(a)、図6(b)を用いて説明する。
【0019】
図5および図6(a)、図6(b)に示すように、ミックス型駐車装置1は、立体駐車場として使用される垂直循環方式の機械式駐車装置(タワーパーキング)であり、建物s内に複数個のパレットとしての車両用パレット52を格納し、これら車両用パレット52に自動車cや自動二輪車mなどの車両を搭載して駐車させるものである。
【0020】
各車両用パレット52は、それぞれハンガー53でその下部に吊り下げられる。ハンガー53は、少なくとも車両用パレット52の長手方向(自動二輪車mの入出庫方向)が開放形成される。
【0021】
図6(a)および図6(b)では、ハンガー53が、車両用パレット52の両端部を下方から吊り下げるハンガー枠体53f,53fと、両端部がチェーン54に連結され、ハンガー枠体53f,53fの上部同士を連結するハンガーパイプ55とからなる例を示した。ハンガーパイプ55の両端には、チェーン54に供給した潤滑油の余剰分を受ける油受け56が設けられる。
【0022】
ミックス型駐車装置1では、これら各車両用パレット52がそれぞれ下部に設けられた複数個のハンガー53を、チェーン54やスプロケット、スプロケットの駆動装置を用いて建物s内で垂直方向に循環させ、自動車cと自動二輪車mとを混在して収容する。
【0023】
この垂直循環方式のミックス型駐車装置1では、自動車cが立体駐車場の入出庫口eから入庫する場合は、入庫に先立ち、空状態の車両用パレット52を有するハンガー53を入出庫口eまで下降移動させて停止する。停止した車両用パレット52上に自動車cを搭載し、満状態の車両用パレット52をハンガー53ごと適宜上昇移動させて停止することで、建物s内に自動車cを収容する。
【0024】
建物s内の入出庫口e下部には、さらに車両用パレット52を旋回させるターンテーブルなどの旋回装置を設けてもよい。この旋回装置を建物s外の入出庫口e近傍に設けてもよい。また、入出庫口eに開閉扉57を設けてもよい。
【0025】
ここで、上述した車両用パレット52上に設けられる自動二輪車専用パレットのより詳細な構成と、その周辺部とを、図1(a)〜図1(c)および図2を用いて説明する。
【0026】
図1(a)〜図1(c)および図2に示すように、ミックス型駐車装置1は、2台の自動二輪車m1,m2を搭載するための自動二輪車専用パレット2を備える。
【0027】
この自動二輪車専用パレット2は、車両用パレット52上の後端部(図1(a)および図1(b)では右側、あるいは自動二輪車の入出庫口側)に重ねて載置されると共にその長手方向に沿って移動自在に設けられるパレット本体3a,3bと、各パレット本体3a,3bの下部に設けられ、車両用パレット52の長手方向に沿って車両用パレット52の全長よりもやや短く形成されるはしご形のパレットフレーム(台車フレーム)4と、各パレット本体3a,3bごとに車両用パレット52上の長手方向に沿って形成された走行軌道としての2本のガイドレール5,5とを有する。
【0028】
パレット本体3aとフレーム4とでスライドパレット(スライド台車)SPを構成するため、自動二輪車専用パレット2は、2つのスライドパレットSPを有する。
【0029】
パレット本体3a上の先端部には、自動二輪車m1の前輪ftのみを保持してパレット本体3aに係留するための係留ホルダー(ホルダースタンド)6が設けられる。パレット本体3b上にも同様に、自動二輪車m2を係留するための係留ホルダー6が設けられる。
【0030】
自動二輪車m1,m2としては、例えば、ビッグアメリカン、ビッグスクーター、オンロード、オフロード、ネイキッド、レーサーレプリカ、ツアラー、ストリート、スクーターなど、排気量が50ccの小型バイクから大型バイクまでのほぼすべてのタイプの自動二輪車を使用できる。
【0031】
パレット本体3a,3bは、鋼板、SUSなどの金属で細長いほぼ平板状に形成される。車両用パレット52の長さと幅は、普通自動車が1台搭載できるように設定する。車両用パレット52の長さLは470〜530cmとし、幅Wは200〜220cmとした。このパレット本体3a,3bは、少なくとも車両用パレット52の後端部に収容された位置からパレット本体3a,3bの全体が車両用パレット52外に出るまで移動可能である。
【0032】
また、各パレット本体3a,3bに各係留ホルダー6,6を、ボルトやナットなどの締結手段で取付け固定して設けた。これら係留ホルダー6,6により、パレット本体3a上に1台の自動二輪車m1を係留でき、パレット本体3b上に1台の自動二輪車m2を係留できる。
【0033】
係留ホルダー6は、鋼板、SUSなどの金属で形成される。この係留ホルダー6は、側面視でほぼL字状に曲げられた枠体7に、前輪ftを受ける下受け部8と上受け部9を、スプリングで枠体7の長手方向の外側に向かって付勢させて回動可能に設けたものである。
【0034】
係留ホルダー6に対して垂直になるように自動二輪車を進入させると、まず下受け部8に前輪ftが載ってホールドされ、さらに自動二輪車を前進させると、前輪ftが枠体7を乗り越え、さらに前輪ftが上受け部9でホールドされると共に、前輪ft自身の重さで上受け部9に前輪ftが押し付けられる。これにより、自動二輪車を前輪ftのみで保持して真っ直ぐな状態で係留できる。このような係留ホルダー6としては、例えば、株式会社ワイズギア製のバイクホルダースタンドがある。
【0035】
パレットフレーム4の両側には、ガイドレール5,5上を走行するための走行車輪10が設けられる。パレットフレーム4の先端部の両側に2輪の走行車輪10を設け、パレット本体近傍の両側に2輪の走行車輪10を設けた。
【0036】
より詳細には図3に示すように、各ガイドレール5,5は、2本の横断面視でL形部材35,35を対向させてコ字状に組み合わせ、その開放側をパレットフレーム4の外側面に臨むように設置して構成される。
【0037】
さらに、各ガイドレール5,5は、車両用パレット52が中央部58の両側にこれより1段低い車両用通路59が形成されるため、片側のガイドレール5が車両用パレット52の中央部58上に設置され、反対側のガイドレール5が車両用パレット52の車両用通路59上に設置される。すなわち、両ガイドレール5,5を段違いに設置する。これら両ガイドレール5,5の設置に合わせて、走行車輪10もパレットフレーム4の両側に段違いに設ける。
【0038】
これにより、自動二輪車専用パレット2では、各パレット本体3a,3bとそのパレットフレーム4からなるスライドパレットSPが、車両用パレット52の長手方向に沿って形成されたガイドレール5,5に係合して移動自在に支持される。
【0039】
図1(a)〜図1(c)および図2に戻り、パレットフレーム4の後端には、車両用パレット52の長手方向に沿ってスライドパレットSPを移動させるためのハンドル部11が設けられる。このハンドル部11は、自動二輪車の満空時に起立し、自動二輪車の乗降時に倒れるように、パレットフレーム4の後端部に回動自在に設けられる(図4参照)。ハンドル部11は、運転手や駐車場の管理人が握るためのハンドル12と、自動二輪車の自動二輪車専用パレット2への乗降を案内するフラップ13と、そのフラップ13の先端に設けられ、ハンドル部11の床面への衝撃を緩和する板バネ部材14とを有する。
【0040】
さらにハンドル部11には、ハンドル部11の起立状態を維持・解除するためのハンドル部ロック15が設けられる。
【0041】
また、パレットフレーム4の先端部には、自動二輪車専用パレット2のスライドパレットSPの移動を許可・禁止するためのスライドロック16が設けられる。このため、ハンドル部11には、スライドロック16の施錠・解除を遠隔で行うためのスライドロック用レバーがさらに設けられているとよい。
【0042】
一般に、自動車専用パレットには、1台の自動車の満空状態を判断するための投光器と受光器からなる光センサが備えられ、その光センサが昇降装置やピックアップ装置と共に制御手段に接続され、その制御手段により、すべての自動車専用パレットの満空状態を監視している。
【0043】
しかし、自動二輪車専用パレット2には、満状態で2台の自動二輪車m1,m2が搭載されるため、光センサだけでは自動二輪車m1,m2の満空状態(0台、1台、2台の状態)を判断するのは難しい。
【0044】
そこで、自動車専用パレット2上あるいは裏面には、光センサの代わりに、各係留ホルダー6の近傍にロードセルなどの荷重センサを設け、その荷重センサを上述した制御手段に接続することで、自動二輪車m1,m2の満空状態を判断するとよい。
【0045】
パレット本体3a上には、自動二輪車m1の座席部分を上方から固定するためのタイダウン装置17が設けられる。タイダウン装置17は、パレット本体3a上に起立した片側ポール18と、その片側ポール18に一端が取り付けられ、中間止め金具としてのベルト挿通部材19を挿通した上で自動二輪車m1の座席部分に掛けられる自動巻取り・ラチェット締込式のタイダウンベルト20と、そのタイダウンベルト20の他端に取り付けられたフック21が掛けられて固定される止め金具22とからなる。
【0046】
このタイダウン装置17では、予めタイダウンベルト20がベルト挿通部材19を挿通している。このため、係留ホルダー6に自動二輪車m1を係留した後、ユーザーや駐車場の管理人が自動二輪車m1の座席部分にタイダウンベルト20を掛け、止め金具22にフック21を掛けた上で、タイダウンベルト20を自動巻取りして長さを調整すれば、自動二輪車m1のサイズにかかわらず、タイダウンベルト20をn形に巻き掛けて自動二輪車m1をより確実に固定できる。
【0047】
ポール18の高さHpは、ユーザーや駐車場の管理人による自動二輪車の固定作業を簡単にするため、自動二輪車の座席高さよりも若干高くする。高さHpは90〜110cmにした。
【0048】
次に、自動二輪車m1の入庫手順を説明する。
【0049】
まず、運転手が自動二輪車m1を駐車作業に充分余裕のある位置に引かれた停止線に停車させ、自動二輪車m1を降りる。運転手(あるいは駐車場の管理人)は、制御手段を有する操作盤を操作し、空状態のスライドパレットSPを有するハンガー53を入出庫口eまで下降移動させて停止させる。
【0050】
パレットフレーム4のスライドロック16を解除し、運転手がハンドル部11を持ってスライドパレットSPを引き出す。運転手は、スライドロック16を施錠し、ハンドル部ロック15を解除してハンドル部11を倒し、フラップ13をセットし、自動二輪車m1に乗り、自動二輪車m1をフラップ13上を通って最徐行運転して係留ホルダー6に前輪ftを固定する。運転手は自動二輪車m1を降り、自動二輪車m1の座席部分を上方からタイダウン装置17で固定する。
【0051】
その後、運転手はハンドル部11を起こしてハンドル部ロック15を施錠し、再びスライドロック16を解除し、ハンドル部11を持ってスライドパレットSPを押し入れ、車両用パレット52上に完全に重なるまで載置させる。さらに、運転手は再びスライドロック16を施錠し、操作盤にて完了操作を行う。
【0052】
もう一方の自動二輪車m2の入庫手順の場合は、タイダウン装置17の作業を省略する以外、自動二輪車m1の入庫手順と同じである。また、出庫手順は、入庫手順と逆の作業をすればよい。
【0053】
作用を説明する。
【0054】
ミックス型駐車装置1は、自動二輪車専用パレット2を、車両用パレット52上に重ねて載置すると共に、車両用パレット52の長手方向に沿って移動自在に設けている。
【0055】
このため、ミックス型駐車装置1では、従来は自動二輪車の収容が非常に困難であった機械式の立体駐車場でも、自動二輪車m1,m2と自動車を混在で収容できる。
【0056】
従来多くの場合、自動二輪車を平面に駐車するしか方法はなかったが、ミックス型駐車装置1によれば、自動二輪車を立体的に駐車することが可能となり、土地の有効活用が可能となる。しかも、ミックス型駐車装置1では、自動二輪車の盗難被害防止や、路上駐車防止も図れる。
【0057】
特に、ミックス型駐車装置1では、図6(a)および図6(b)のように高さが低い(約140〜180cm)ハンガー53を用いるような垂直循環方式の機械式駐車場でも、自動二輪車専用パレット2のスライドパレットSPをスライド移動させることで、自動二輪車m1,m2を簡単に駐車できる。
【0058】
さらに、ミックス型駐車装置1では、スライドパレットSPをハンガー53の外部に引き出した位置で自動二輪車を駐車するため、運転手が自動二輪車に乗ったまま駐車でき、ハンガーパイプ55や油受け56に接触することがない。
【0059】
また、ミックス型駐車装置1では、車両用パレット52から自動二輪車専用パレット2やガイドレール5,5を比較的簡単に着脱できるため、自動車や自動二輪車の駐車台数の需要や変化に応じてハンガー53で吊り下げるパレットの種類を適宜変更することもできる。
【0060】
ミックス型駐車装置1は、自動二輪車専用パレット2のスライドパレットSPがガイドレール5,5に係合して移動自在に支持されるため、自動二輪車専用パレット2のスライドパレットSPをより簡単にスライド移動させることができる。
【0061】
また、自動二輪車専用パレット2は、車両用パレット52の長手方向に沿って移動させるためのハンドル部11を備えているので、自動二輪車専用パレット2の引き出しや押し入れが簡単である。
【0062】
ミックス型駐車装置1は、ハンドル部11に、自動二輪車専用パレット2への自動二輪車の乗降を案内するフラップ13を設けているため、立体駐車場の入出庫口eと自動二輪車専用パレット2間に段差があっても、自動二輪車専用パレット2への乗り降りが容易である。
【0063】
さらに、ミックス型駐車装置1では、パレット本体3a,3b上に、ボルトやナット、あるいは必要に応じてタッププレートなどの簡便な締結手段を用いて係留ホルダー6,6を設置している。
【0064】
このため、ミックス型駐車装置1によれば、機械式駐車場を新設する場合に限らず、既設の機械式駐車場の車両用パレットを若干改造すればよく、各種部品の取付け作業や装置の製造が簡単であり、低コストである。
【0065】
ミックス型駐車装置1では、タイダウン装置17により、係留ホルダー6に係留した自動二輪車m1を、自動二輪車専用パレット2上に傷つけることなく、より確実に固定できる。
【0066】
このため、ミックス型駐車装置1によれば、パレットの引き出し・押し入れ、昇降時などの機械振動や、比較的弱い地震動などの衝撃がパレットに加わっても、自動二輪車m1,m2のパレット外への墜落あるいは転落、パレット内での転倒を防止でき、自動二輪車m1や装置本体が壊れるのを防ぐことができる。
【0067】
特に、パレットに強い衝撃が加わった場合には、係留ホルダー6に自動二輪車を係留するだけでは、前輪と後輪を結ぶ線に対し、自動二輪車がローリングすることがある。ミックス型駐車装置1では、タイダウン装置17を用いることで、自動二輪車m1のローリングも防止できる。
【0068】
さらに、ミックス型駐車装置1では、自動二輪車m1の座席部分をタイダウンベルト20で上方から押さえつけて固定しており、係留ホルダー6の下受け部8や上受け部9に、前輪ftがより効果的に押し付けられるため、タイダウン装置17と係留ホルダー6の相乗効果により、自動二輪車専用パレット2上に自動二輪車m1を固定できる。
【0069】
上述の前提技術に変更を加えた本発明の好適実施の形態について述べる。なお、上述と同様の構成については同符号を付し、説明を省略する。
【0070】
図7、図8及び図9に示すように、車両用パレット52上には、自動二輪車を駐車するための自動二輪車専用パレット61が車両用パレット52の長手方向に移動自在に設けられ、自動二輪車専用パレット61上には、自動二輪車の前輪を保持して係留するための係留ホルダー6が設けられ、車両用パレット52と自動二輪車専用パレット61には、自動二輪車専用パレット61の長手方向の移動を規制するロック機構62が設けられる。
【0071】
自動二輪車専用パレット61は、車両用パレット52の左右の車両用通路59上に、後述するスライドガイド63を介してスライド自在に、かつ、車両用パレット52の長手方向の一端に形成された車両進入口64から出没するように設けられる。スライドガイド63は、車両用通路59上に固定される基部65と、基部65の左右両側に左右方向に延びる軸回り回転自在に設けられた複数のガイドローラ66とからなる。自動二輪車専用パレット61は、スライドガイド63のガイドローラ66に係合され、ガイドローラ66上で車両用パレット52の長手方向にスライドするスライダー部67と、スライダー部67上に設けられ自動二輪車を載置するためのパレット本体68とを備える。スライダー部67は、前後方向に延びると共に断面コ字状に形成されガイドローラ66に係合される左右一対のサイドフレーム69と、これらサイドフレーム69間に掛け渡して設けられたクロスフレーム70とからなり、略梯子状に形成される。パレット本体68は、前後方向に長い鋼板の下面に補強フレーム71を設けて構成され、スライダー部67の一端側に設けられる。
【0072】
また、自動二輪車専用パレット61の移動方向の一端には、二輪車搬出入口72が形成されると共に自動二輪車を案内するためのフラップ装置73が設けられている。
【0073】
図10、図11及び図12に示すように、フラップ装置73は、スライダー部67の端部に起倒するように左右に延びる枢支軸85回り回動自在に設けられたフラップ板74と、フラップ板74が起立したときフラップ板74をロックするフラップロック機構75とを備える。
【0074】
フラップ板74は、鉛直に起立したとき自動二輪車の落下を防止する柵として機能し、倒されたとき入出庫用のスロープとして機能する。フラップ板74が起立したときフラップ板74の車両進入方向後側に位置される背面79には、自動二輪車専用パレット61を長手方向にスライドさせるためのスライド用取っ手76が設けられ、正面80には、自動二輪車を走行させるための走行路(図示せず)が設けられている。また、フラップ板74の左右両側には、フラップ板74を起倒させるための起倒用取っ手77が設けられ、自動二輪車専用パレット61には、フラップ板74が傾倒するときフラップ板74の勢いを吸収するためのダンパー78が設けられている。ダンパー78は、ピストン状に形成されたガススプリングからなり、一端を自動二輪車専用パレット61の係止板86に連結されると共に、他端をフラップ板74の背面79側に連結されている。
【0075】
フラップロック機構75は、フラップ板74にスライド自在に設けられフラップ板74の回動軸と平行に延びる左右一対のストッパーピン81と、これらストッパーピン81をフラップ板74から出没させるべく軸方向にスライドさせる操作部82と、自動二輪車専用パレット61に設けられフラップ板74から突出したストッパーピン81を係止する係止部83と、自動二輪車専用パレット61に設けられ起立したフラップ板74の車両進入方向への回動を規制する起立ストッパ84とを備える。
【0076】
図10、図12及び図13に示すように、係止部83は、自動二輪車専用パレット61に設けられフラップ板74が起立したときフラップ板74の側部に臨む係止板86と、係止板86に形成されストッパーピン81を挿入させるピン穴87とからなる。係止板86は、スライダー部67の左右両側に車両進入方向後方に延びると共に上下に延びて形成されている。ピン穴87は、ストッパーピン81と略同径の円形に形成されており、ストッパーピン81が挿入されたとき、ストッパーピン81をガタなく留められるようになっている。係止板86の車両進入方向後方の端部には、後述するストッパーピン81の傾斜面88に当接する縁を成す切欠89が形成されている。切欠89は、係止板86をくの字に切り欠いてなり、上側の縁にストッパーピン81の傾斜面88を当接させるようになっている。
【0077】
ストッパーピン81は、フラップ板74の左右両側に先端を側方に向けて配置されており、フラップ板74の背面79から車両進入方向後方に延びる複数のガイド板90に挿通されている。また、ストッパーピン81は断面円形に形成されており、ストッパーピン81の先端には、フラップ板74の起立方向の回動により係止板86がストッパーピン81に干渉するとき、係止板86に当接してストッパーピン81を没入させるように案内する傾斜面88が形成されている。具体的には、傾斜面88は、ストッパーピン81の端部を斜めに切り欠いて形成されており、ストッパーピン81はフラップ板74が起立したとき車両進入方向に向くようにフラップ板74に設けられている。
【0078】
操作部82は、2つのストッパーピン81を同時に操作するためのリンク機構からなり、ストッパーピン81の基端部に車両進入方向に延びる軸回り回動自在に連結されフラップ板74の幅方向中央に延びる一対のサイドロッド91と、サイドロッド91に車両進入方向に延びる軸回り回動自在に連結されると共にフラップ板74に車両進入方向に延びる支軸92回りに回動自在に枢支される一対の回動板93と、これら回動板93に支軸92から離間すると共にサイドロッド91から離間して連結されフラップ板74の先端側に延びるセンターロッド94と、センターロッド94の先端に設けられたロック解除ハンドル95とを備える。回動板93は略三角形状に形成されており、支軸92に角部を枢支され、他の2つの角部にサイドロッド91とセンターロッド94を連結されている。センターロッド94は、フラップ板74に設けられたロッドガイド96に軸方向にスライド可能に支持されており、先端側に移動することで回動板93をそれぞれ回動させ、回動板93を介してサイドロッド91をフラップ板74の幅方向内側に引くようになっている。また、操作部82は、ストッパーピン81をフラップ板74から突出させる方向に弾発付勢するスプリング97を有する。スプリング97は、引張バネからなり、一端をフラップ板74の側部に連結されると共に他端を支軸92とサイドロッド91間の回動板93に連結される。また、フラップ板74には、回動板93のロック解除方向の回動を規制する回動板ストッパ98が設けられる。
【0079】
起立ストッパ84は、スライダー部67の車両進入方向後方の端部両側に上方に延びて設けられた取付板99と、取付板99に螺合され車両進入方向に延びる位置調整ボルト100とからなる。
【0080】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0081】
自動二輪車専用パレット61上に自動二輪車を駐車する場合、自動二輪車専用パレット61を車両進入方向後方に引き出し、起立されているフラップ板74のロックを解除しながらフラップ板74を車両進入方向後方に倒す。図11に示すように、フラップ板74のロック解除はロック解除ハンドル95を上方に引くことで行う。これにより、2つの回動板93がそれぞれの支軸92を中心としてフラップ板74の幅方向中央側の角部を上方に移動させるように回動し、スプリング97が弾性変形して伸長すると共にそれぞれのサイドロッド91がフラップ板74の幅方向中央側にスライドし、ストッパーピン81が係止板86のピン穴87から抜き出される。また、ロック解除ハンドル95はフラップ板74の車両進入方向後側に設けられているため、ロック解除ハンドル95を引くことでフラップ板74が車両進入方向後方に引かれ、ストッパーピン81がピン穴87から抜けると同時にフラップ板74が傾倒を始める。
【0082】
フラップ板74はダンパー78に勢いを吸収されて緩やかに傾倒され、先端が着地することで止まる。これにより、地面と自動二輪車専用パレット61との間にフラップ板74からなるスロープが形成される。フラップ板74上で自動二輪車を走行させて自動二輪車専用パレット61上に乗り入れる。
【0083】
自動二輪車専用パレット61上に自動二輪車が駐車されたら、フラップ板74を起こす。フラップ板74は、ガススプリングからなるダンパー78に起立方向の回動を補助されるため、人手で容易に起こすことができる。
【0084】
図10及び図13(a)に示すように、ストッパーピン81はスプリング97によりフラップ板74から突出する方向に弾発付勢されているため、フラップ板74が起立方向に回動することでストッパーピン81の傾斜面88が係止板86の縁に当接する。ストッパーピン81にはフラップ板74の幅方向中央に向かう力が作用し、図13(b)に示すように、ストッパーピン81が係止板86から退避するようにスライドして係止板86の縁を越える。図13(c)に示すように、フラップ板74が更に回動してストッパーピン81がピン穴87の位置に至ると、ストッパーピン81はピン穴87に挿入される。これにより、フラップ板74は車両進入方向後方への回動を規制されると共に、起立ストッパ84により車両進入方向への回動を規制され、完全にロックされる。
【0085】
このように、自動二輪車専用パレット61の移動方向の二輪車搬出入口72に自動二輪車の搬出入を案内するためのフラップ装置73を設けたため、自動二輪車専用パレット61と自動二輪車が走行する地面との間に段差があっても地面から自動二輪車専用パレット61上に自動二輪車を容易に載せることができると共に自動二輪車専用パレット61から地面に自動二輪車を容易に降ろすことができる。
【0086】
フラップ装置73が、自動二輪車専用パレット61の一端に起倒するように回動自在に設けられたフラップ板74と、フラップ板74が起立したときフラップ板74をロックするフラップロック機構75とを備えるため、車両用パレット52又は自動二輪車専用パレット61が移動したときなど、起立したフラップ板74が倒れるのを確実に防ぐことができる。
【0087】
フラップロック機構75が、フラップ板74にスライド自在に設けられフラップ板74の回動軸と平行に延びるストッパーピン81と、ストッパーピン81をフラップ板74から出没させるべく軸方向にスライドさせる操作部82と、自動二輪車専用パレット61に設けられフラップ板74から突出したストッパーピン81を係止する係止部83とを備えるため、簡易な構造で容易にフラップ板74をロックできる。
【0088】
係止部83は、自動二輪車専用パレット61に設けられフラップ板74が起立したときフラップ板74の側部に臨む係止板86と、係止板86に形成されストッパーピン81を挿入させるピン穴87とを備え、操作部82はストッパーピン81をフラップ板74から突出させる方向に弾発付勢するスプリング97を有し、ストッパーピン81の先端には、フラップ板74の起立方向の回動により係止板86がストッパーピン81に干渉するとき、係止板86に当接してストッパーピン81を没入させるように案内する傾斜面88が形成されるものとしたため、フラップ板74の起立に連動してフラップ板74をロックでき、ロックの手間を省くことができると共に、人為的なミスでフラップ板74のロックを忘れるのを防ぐことができ、安全性を高めることができる。
【0089】
自動二輪車専用パレット61には、フラップ板74が傾倒するときフラップ板74の勢いを吸収するダンパー78が設けられるものとしたため、フラップ板74が地面に叩き付けられて破損するのを防ぐことができると共に、作業者の安全を守ることができ、大きな音の発生を防ぐことができる。
【0090】
なお、上述の実施の形態では、ミックス型駐車装置が、垂直循環方式の機械式駐車装置(タワーパーキング)である場合について説明したが、これに限るものではない。ミックス型駐車装置は、自動車を載せたパレットを搬送して建物内に駐車させるものであれば他のタイプのものであってもよい。例えば、ミックス型駐車装置は、地上の建物内に、車両用パレットを載置するための棚を多段に設けると共に各棚に沿って昇降するエレベータを設け、このエレベータで各棚に車両用パレットを受け渡すようにしたエレベータパーキングであってもよく、地下の建物内で車両用パレットを循環又は移動させて格納する地下式パーキングであってもよく、建物内に上下左右に移動自在なシャトルを設け、このシャトルで車両用パレットを搬送するシャトルパーキングであってもよく、地下空間に上下に延びるフレームを昇降自在に設け、このフレームに2段以上の複数段のパレットを設けた昇降式の二・多段パーキングであってもよく、地上階に複数のパレットを横行自在に設けると共に、パレット1つ分の空きスペースを形成し、二階、又は地下階に上記空きスペースに昇降可能なパレットを設けたスライド・昇降併用式の二・多段パーキングであってもよい。
【0091】
また、起立ストッパ84は、取付板99にゴム、樹脂、バネ等からなる弾性体を設けて構成してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 ミックス型駐車装置
2,61 自動二輪車専用パレット
3a,3b,68 パレット本体
6 係留ホルダー
52 車両用パレット
SP スライドパレット
72 二輪車搬出入口(搬出入口)
73 フラップ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車を載せたパレットを搬送して建物内に駐車させる駐車装置において、上記パレット上に、自動二輪車の前輪を保持して係留するための係留ホルダーを設けて自動二輪車を搭載するための自動二輪車専用パレットを重ねて載置すると共に、上記パレットの長手方向に沿って移動自在に設け、上記自動二輪車専用パレットの移動方向の搬出入口に自動二輪車の搬出入を案内するためのフラップ装置を設けたことを特徴とするミックス型駐車装置。
【請求項2】
上記フラップ装置が、上記自動二輪車専用パレットの一端に起倒するように回動自在に設けられたフラップ板と、該フラップ板が起立したときフラップ板をロックするフラップロック機構とを備えた請求項1記載のミックス型駐車装置。
【請求項3】
上記フラップロック機構が、上記フラップ板にスライド自在に設けられフラップ板の回動軸と平行に延びるストッパーピンと、該ストッパーピンを上記フラップ板から出没させるべく軸方向にスライドさせる操作部と、上記自動二輪車専用パレットに設けられ上記フラップ板から突出した上記ストッパーピンを係止する係止部とを備えた請求項2記載のミックス型駐車装置。
【請求項4】
上記係止部は、上記自動二輪車専用パレットに設けられ上記フラップ板が起立したときフラップ板の側部に臨む係止板と、該係止板に形成され上記ストッパーピンを挿入させるピン穴とを備え、上記操作部は上記ストッパーピンを上記フラップ板から突出させる方向に弾発付勢するスプリングを有し、上記ストッパーピンの先端には、上記フラップ板の起立方向の回動により上記係止板がストッパーピンに干渉するとき、上記係止板に当接してストッパーピンを没入させるように案内する傾斜面が形成された請求項3記載のミックス型駐車装置。
【請求項5】
上記自動二輪車専用パレットには、上記フラップ板が傾倒するときフラップ板の勢いを吸収するダンパーが設けられた請求項2〜4のいずれかに記載のミックス型駐車装置。
【請求項1】
自動車を載せたパレットを搬送して建物内に駐車させる駐車装置において、上記パレット上に、自動二輪車の前輪を保持して係留するための係留ホルダーを設けて自動二輪車を搭載するための自動二輪車専用パレットを重ねて載置すると共に、上記パレットの長手方向に沿って移動自在に設け、上記自動二輪車専用パレットの移動方向の搬出入口に自動二輪車の搬出入を案内するためのフラップ装置を設けたことを特徴とするミックス型駐車装置。
【請求項2】
上記フラップ装置が、上記自動二輪車専用パレットの一端に起倒するように回動自在に設けられたフラップ板と、該フラップ板が起立したときフラップ板をロックするフラップロック機構とを備えた請求項1記載のミックス型駐車装置。
【請求項3】
上記フラップロック機構が、上記フラップ板にスライド自在に設けられフラップ板の回動軸と平行に延びるストッパーピンと、該ストッパーピンを上記フラップ板から出没させるべく軸方向にスライドさせる操作部と、上記自動二輪車専用パレットに設けられ上記フラップ板から突出した上記ストッパーピンを係止する係止部とを備えた請求項2記載のミックス型駐車装置。
【請求項4】
上記係止部は、上記自動二輪車専用パレットに設けられ上記フラップ板が起立したときフラップ板の側部に臨む係止板と、該係止板に形成され上記ストッパーピンを挿入させるピン穴とを備え、上記操作部は上記ストッパーピンを上記フラップ板から突出させる方向に弾発付勢するスプリングを有し、上記ストッパーピンの先端には、上記フラップ板の起立方向の回動により上記係止板がストッパーピンに干渉するとき、上記係止板に当接してストッパーピンを没入させるように案内する傾斜面が形成された請求項3記載のミックス型駐車装置。
【請求項5】
上記自動二輪車専用パレットには、上記フラップ板が傾倒するときフラップ板の勢いを吸収するダンパーが設けられた請求項2〜4のいずれかに記載のミックス型駐車装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−257072(P2009−257072A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64624(P2009−64624)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000198363)石川島運搬機械株式会社 (292)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【出願人】(000227043)日精株式会社 (68)
【出願人】(000228523)日本ケーブル株式会社 (96)
【出願人】(598117975)株式会社ワイズギア (18)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000198363)石川島運搬機械株式会社 (292)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【出願人】(000227043)日精株式会社 (68)
【出願人】(000228523)日本ケーブル株式会社 (96)
【出願人】(598117975)株式会社ワイズギア (18)
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