説明

ミノキシジル含有製剤

【課題】長期にわたって着色が防止されたミノキシジル含有組成物を提供する。
【解決手段】ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸、EDTA−2Na、クエン酸イソプロピル、没食子酸プロピル、グアヤク酸、アルファチオグリセリン、ジクロルイソシアヌール酸カリウム、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、大豆レシチン、チオグリコール酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、2-メルカプトベンズイミダゾール、硫酸オキシキノリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の抗酸化剤を配合し、ミノキシジルの濃度が3〜10質量%であり、さらに1,3−ブチレングリコールを配合し、pHを5.5〜7.0としたミノキシジル含有組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経時的な着色を防止したミノキシジル含有組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ミノキシジルは、その育毛効果から外用育毛剤として期待されている成分である。
しかし、ミノキシジルを溶液状態で保存すると経時的に着色しやすいという欠点があり、商品価値の低下を招くおそれがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はミノキシジルを配合した組成物の着色を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般的に着色しやすい成分を液剤に配合するには、ジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤を配合して改善させることが考えられるが、ミノキシジル含有液剤にあってはジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤を配合すると着色を防止するどころかむしろ促進することを本発明者は発見した。
【0005】
そこで、この問題を解決すべく鋭意検討した結果、ミノキシジル含有液剤組成物のpHを5.5〜7.0に調整することによって、上記のような不利益が改善され液剤着色防止効果が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、抗酸化剤を配合し、pHが5.5〜7.0であるミノキシジル含有組成物である。
【0006】
また、本発明は、ミノキシジル含有組成物において、抗酸化剤を配合し、かつpHを5.5〜7.0とすることを特徴とする組成物の着色防止方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、長期にわたって着色が防止されたミノキシジル含有組成物の提供が可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において使用する抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸、EDTA−2Na、クエン酸イソプロピル、没食子酸プロピル、グアヤク酸、アルファチオグリセリン、ジクロルイソシアヌール酸カリウム、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、大豆レシチン、チオグリコール酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、2-メルカプトベンズイミダゾール、硫酸オキシキノリンからなる群より選ばれる1種又は2種が好ましい。また、抗酸化剤としては、生薬抽出物も使用でき、特にチョウジ、ゲンノショウコ、ダイオウ、オウバク、シャクヤク、ボタンピ、オウレン、チンピ、ホップ、オウゴン、ケイヒ、カンゾウ、キキョウ、ショウキョウ、コウカ、トウキの抽出物からなる群より選ばれる1種又は2種が好ましい。これらの生薬抽出物は、水、炭素数2〜4のアルコール(例えば、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等)又はその混合溶媒を抽出溶媒として使用することにより得ることができる。
【0009】
本組成物中の抗酸化剤の配合量は、ミノキシジル1質量部に対して0.001〜0.5質量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5質量部である。
【0010】
本発明の組成物は、pHを低くすると着色防止効果が小さくなることから、pHは5.5以上であることが好ましく、さらに好ましくは6.0以上である。
【0011】
また、本発明の組成物のpHを高くした場合にあっても十分な着色防止効果が得られなくなるため、pHは7.0以下が好ましく、さらに好ましくは6.5以下である。
【0012】
本発明の組成物のpH調整は、通常使用されるpH調整剤を使用することができ、具体的には、例えば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸やリン酸、塩酸、硫酸などの無機酸を挙げることができる。
【0013】
本発明の組成物においてミノキシジルの濃度は組成物全体の3〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは3〜5質量%である。
【0014】
本発明の組成物では、多価アルコール又はポリエチレングリコールを溶媒として配合することが好ましい。
【0015】
多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコールが好ましく、さらに好ましくは1,3-ブチレングリコールである。ポリエチレングリコールとしては、マクロゴール200およびマクロゴール400が好ましい。多価アルコール又はポリエチレングリコールの配合量はミノキシジル1質量部に対し1〜10質量部が好ましい。
【0016】
本発明の組成物の形態は、特に限定されるものではなく、ローション、エアゾール、ゲル等いずれでも採ることができ、その製造方法は、医薬品又は化粧料の製剤化における一般的な方法で調整することができる。
【0017】
なお、本発明の組成物は、必要に応じ、溶解補助剤(脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸グリセリド、植物油、アルキルグリセリルエーテル)、界面活性剤(非イオン性界面活性剤、レシチン誘導体、高分子乳化剤)、乳化安定剤、吸収促進剤などを配合することができる。
【実施例】
【0018】
以下、実施例および試験例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0019】
実施例1
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール30g、エタノール50g、ジブチルヒドロキシトルエン0.5gにリン酸0.5mLを添加し、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してローションタイプの組成物を調製した。組成物のpHは6.0であった。
【0020】
実施例2
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール30g、エタノール50g、ジブチルヒドロキシトルエン0.1gにリン酸0.6mLを添加し、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してローションタイプの組成物を調製した。組成物のpHは5.5であった。
【0021】
実施例3
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール30g、エタノール50g、ジブチルヒドロキシトルエン0.5gにクエン酸0.55gを添加し、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してローションタイプの組成物を調製した。組成物のpHは6.4であった。
【0022】
実施例4
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール30g、エタノール50g、ブチルヒドロキシアニソール0.5gにリン酸0.05mLを添加し、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してローションタイプの組成物を調製した。組成物のpHは7.0であった。
【0023】
実施例5
ミノキシジル5g、エタノール80g、ジブチルヒドロキシトルエン0.5gにリン酸0.5mLを添加し、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してローションタイプの組成物を調製した。組成物のpHは6.0であった。
【0024】
比較例1
ミノキシジル3g、1,3-ブチレングリコール30g、エタノール50g、ジブチルヒドロキシトルエン0.5gに精製水を加え,全量を100mLとし、撹拌溶解してローションタイプの組成物を調製した。組成物のpHは8.8であった。
【0025】
試験例
実施例1〜5、比較例1の組成物をそれぞれペット容器に充填し、50℃にて1ヶ月保存し、外観(色調)の観察を行った。この結果、比較例1においては着色が認められ商品性に問題があると判断されたが、実施例1〜5の組成物においては着色は認められないか、あるいは着色がわずかに認められた場合にあっても商品として問題ないと判断された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸、EDTA−2Na、クエン酸イソプロピル、没食子酸プロピル、グアヤク酸、アルファチオグリセリン、ジクロルイソシアヌール酸カリウム、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、大豆レシチン、チオグリコール酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、2-メルカプトベンズイミダゾール、硫酸オキシキノリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の抗酸化剤を配合し、ミノキシジルの濃度が3〜10質量%であり、さらに1,3−ブチレングリコールを配合し、pHを5.5〜7.0としたミノキシジル含有組成物。
【請求項2】
ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸、EDTA−2Na、クエン酸イソプロピル、没食子酸プロピル、グアヤク酸、アルファチオグリセリン、ジクロルイソシアヌール酸カリウム、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、大豆レシチン、チオグリコール酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、2-メルカプトベンズイミダゾール、硫酸オキシキノリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の抗酸化剤を配合し、ミノキシジルの濃度が3〜10質量%であり、さらに1,3−ブチレングリコールを配合し、pHを6.0〜6.5としたミノキシジル含有組成物。
【請求項3】
抗酸化剤がブチルヒドロキシトルエン又はブチルヒドロキシアニソールである請求項1〜2のいずれかに記載のミノキシジル含有組成物。
【請求項4】
ミノキシジルの濃度が、3〜5質量%である請求項1〜3のいずれかに記載のミノキシジル含有組成物。
【請求項5】
配合する抗酸化剤が、ミノキシジル1質量部に対し0.001〜0.5質量部である請求項1〜4のいずれかに記載のミノキシジル含有組成物。
【請求項6】
ミノキシジルの濃度が3〜10質量%であるミノキシジル含有組成物において、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸、EDTA−2Na、クエン酸イソプロピル、没食子酸プロピル、グアヤク酸、アルファチオグリセリン、ジクロルイソシアヌール酸カリウム、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、大豆レシチン、チオグリコール酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、2-メルカプトベンズイミダゾール、硫酸オキシキノリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上を配合し、さらに1,3−ブチレングリコールを配合し、かつpHを5.5〜7.0とすることを特徴とする組成物の着色防止方法。

【公開番号】特開2011−68695(P2011−68695A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2768(P2011−2768)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【分割の表示】特願2000−107028(P2000−107028)の分割
【原出願日】平成12年4月7日(2000.4.7)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】