説明

ミリ波イメージング装置

【課題】得られる画像の解釈が容易な結像レンズ系を備え、効率的なミリ波イメージングが可能なミリ波イメージング装置を提供すること。
【解決手段】単位画素ミリ波送信器3の配列と単位画素ミリ波受信器2の配列と結像レンズ系1とからなり、単位画素ミリ波送受信器3が射出する電磁波が結像レンズ系1によって相異なる結像点に結像し、結像面にある物体のミリ波に対する応答を単位画素ミリ波受信器2の配列で受信し、該物体のミリ波像を与えるミリ波イメージング装置(a)、あるいは、単位画素ミリ波送信器3と単位画素ミリ波受信器2と結像レンズ系1とからなり、単位画素ミリ波送信器3が射出する電磁波が結像レンズ系によって相異なる結像点に結像するように走査され、結像面にある物体のミリ波に対する応答を単位画素ミリ波受信器2で受信し、該物体のミリ波像を与えるミリ波イメージング装置(b)を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミリ波帯電磁波を用いたイメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可視光に対して不透明なある種の媒質は、周波数が30GHzから300GHzにあるミリ波帯電磁波に対しては半透明に振舞う。こうした媒質には、人間が身にまとう衣類、住宅建材として使用される木材などがある。たとえば、危険物を身に潜ませた人物を特定する際に、あるいは木造住宅中に潜むシロアリ食害を特定する際に、かかる電磁波を使用した非破壊検査技術が確立されるならば、その有用性は極めて大きい。
【0003】
媒質を透視する技術には、X線CT、超音波イメージング、核磁気共鳴イメージングなどが挙げられる。
【0004】
X線CTによる場合、X線の透過能が大きいゆえに、媒質よりの反射信号を検知することがむずかしく、X線発生装置とX線検知装置を対向して配置する必要が生ずる。媒質透視を行うにあたって、反射信号を検知が可能となれば、単一の送受信器による簡素な装置構成が可能であり、適用領域の拡大という観点からも強く望まれるところであるが、X線CTはこのような要件を満たしていない。また、X線CTにおいては、得られた像は実像の空間スペクトルに該当し、適当な画像処理を介して初めて人が理解できる像となる。像処理を必ず必要とすることも、X線CTの装置規模の簡素化が難しいものとなる要因をなしている。
【0005】
装置規模の大なることは超音波イメージング、核磁気共鳴イメージングにおいても同様であって、万人が容易に使用することのできるような簡素な透視技術を提供することが求められる。X線はまた健康被害の恐れのあることもX線CTの欠点といえる。
【0006】
ミリ波帯電磁波は周波数がX線、可視光に比し、格段に低く、媒質を傷つける恐れはまずもってない。また、反射信号を受けて透視像を得ることが可能であり、大変魅力的なイメージング手法といえる。ミリ波帯電磁波を媒質に照射する際には、なるべく開口の大きなアンテナを単独で用いる形態と、アンテナから放射された電磁波を結像レンズ系を用いて媒質中に結像させる形態の二つが考えられる。前者では実像のフーリエ像が得られるために逆フーリエ変換を施す画像処理が不可避となる。内部の散乱過程がX線の場合のように先験的にわからないため、人間による恣意が介在してしまう。後者の場合には結像点の実像がそのまま得られるため、透視像の解釈に恣意が介在しない。
【0007】
さて一方、ミリ波帯電磁波信号検知は、ミリ波帯信号をアンテナによって受信の後、ショットキダイオードに代表される非線形素子を用いて、包絡線二乗検波もしくはヘテロダイン検波を行う。媒質の異なる点の像を得るためには、検波器の配置を走査するか、もしくは、検波器アレイを構築して撮像の一括化を行う必要が生ずる。大開ロアンテナを単独で用いる際には比較的素直な検出器の走査/アレイ化(下記特許文献1参照)が可能である。一方の結像レンズ系による場合には、ミリ波帯電磁波送受信器が大規模なものになるためその重量が増加し、走査する際には走査時間が大となり、また、レンズ系を含めてアレイ化を施すならば、空間的余裕に困難が生じ、あるいは集積回路化の原理的に難しいレンズ系を複数必要とすることはコストの観点からも困難を呈する。
【0008】
得られる画像の解釈が容易な結像レンズ系を伴うミリ波イメージング装置において効率的な検出器走査方法あるいはアレイ化方法が与えられれば、非常に多くの場で利益を与えることが可能となる。
【0009】
【特許文献1】特開平7−134174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、得られる画像の解釈が容易な結像レンズ系を備え、効率的なミリ波イメージングが可能なミリ波イメージング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明では、請求項1に記載のように、
単位画素ミリ波送信器の配列と単位画素ミリ波受信器の配列と結像レンズ系とからなり、該単位画素ミリ波送受信器が射出する電磁波が該結像レンズ系によって結像面上の相異なる結像点において結像するように配置され、該結像面にある物体のミリ波に対する応答を該単位画素ミリ波受信器の配列で受信し、該物体のミリ波像を与えることを特徴とするミリ波イメージング装置を構成する。
【0012】
また、本願発明では、請求項2に記載のように、
単位画素ミリ波送信器と単位画素ミリ波受信器と結像レンズ系とからなり、該単位画素ミリ波送信器が射出する電磁波が該結像レンズ系によって結像面上の相異なる結像点において結像するように走査され、該結像面にある物体のミリ波に対する応答を該単位画素ミリ波受信器で受信し、該物体のミリ波像を与えることを特徴とするミリ波イメージング装置を構成する。
【0013】
また、本願発明では、請求項3に記載のように、
結像レンズ系と単位画素ミリ波送受信器の配列とからなり、該単位画素ミリ波送受信器が射出する電磁波が該結像レンズ系によって結像面上の相異なる結像点において結像するように配置され、該結像面にある物体のミリ波像を与えることを特徴とするミリ波イメージング装置を構成する。
【0014】
また、本願発明では、請求項4に記載のように、
単一の結像レンズ系と単位画素ミリ波送受信器とからなり、該送受信器が射出する電磁波が該結像レンズ系によって結像面上の相異なる結像点において結像するように走査され、該結像面にある物体のミリ波像を与えることを特徴とするミリ波イメージング装置を構成する。
【0015】
また、本願発明では、請求項5に記載のように、
前記単位画素ミリ波送受信器において、ミリ波帯の発振周波数f1で発振する第一の発振器の出力を、発振周波数f2で発振する第二の発振器の出力で第一の電磁波変調スイッチにおいて変調し、該第一の電磁波変調スイッチの出力を信号分離器およびアンテナを経て放射させ送信信号とし、該送信信号に対する物体からの応答信号を該アンテナおよび該信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を測定信号入力とし該第二の発振器の出力を参照信号として振幅位相検出器を駆動し出力を得ることを特徴とする請求項3または4に記載のミリ波イメージング装置を構成する。
【0016】
また、本願発明では、請求項6に記載のように、
前記単位画素ミリ波送受信器において、ミリ波帯の発振周波数f1で発振する第一の発振器1の出力を、発振周波数f2で発振する第二の発振器の出力で第一の電磁波変調スイッチにおいて変調し、該第一の電磁波変調スイッチの出力を信号分離器および第一のアンテナを経て放射させポラライザを透過せしめ送信信号とし、該送信信号に対する物体からの応答信号を該ポラライザを透過せしめ該第一のアンテナおよび信号分離器を経て第一の電磁波検出器に与え、該第一の電磁波検出器の出力を測定信号入力とし該第二の発振器の出力を参照信号として第一の振幅位相検出器を駆動し出力を得るとともに、該ポラライザで反射せしめた電磁波を第二のアンテナを経て第二の電磁波検出器に与え、該第二の電磁波検出器の出力を測定信号入力とし該第二の発振器の出力を参照信号として第二の振幅位相検出器を駆動し出力を得ることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置を構成する。
【0017】
また、本願発明では、請求項7に記載のように、
前記単位画素ミリ波送受信器において、周波数f1で発振する第一の発振器の出力を、周波数f2で発振する第二の発振器の出力によって第一の電磁波変調スイッチにおいて変調し、f2とは異なる周波数f3で発振する第三の発振器の出力によって第二の電磁波変調スイッチにおいて変調し、信号分離器、アンテナおよび結像レンズ系を経てターゲットに入射せしめ、該ターゲットよりの散乱波を該結像レンズ系、アンテナおよび信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を振幅位相検出器において該第二の発振器の出力と該第三の発振器の出力のうちの一方を参照信号として同期検波することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置を構成する。
【0018】
また、本願発明では、請求項8に記載のように、
前記単位画素ミリ波送受信器において、周波数Q1をもって発振する第一のレーザの出力を周波数f1で発振する第一の発振器の出力によって変調器において変調し、周波数Q2をもって発振する第二のレーザの出力と信号結合器において合波し、光電気変換器によって電気信号に変換し、該電気信号をf1とは異なる周波数f2で発振する第二の発振器の出力によって電磁波変調スイッチにおいて変調し、信号分離器、アンテナおよび結像レンズ系を経てターゲットに入射せしめ、該ターゲットよりの散乱波を該結像レンズ系、アンテナおよび信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を振幅位相検出器において該第一の発振器の出力と該第二の発振器の出力のうちの一方を参照信号として同期検波することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置を構成する。
【0019】
また、本願発明では、請求項9に記載のように、
前記単位画素ミリ波送受信器において、周波数Q1をもって発振する第一のレーザの出力を周波数f1で発振する第一の発振器の出力によって第一の変調器において変調し、周波数Q2をもって発振する第二のレーザの出力と信号結合器において合波し、f1とは異なる周波数f2で発振する第二の発振器の出力で第二の変調器において変調し、光電気変換器によって電気信号に変換し、該電気信号を信号分離器、アンテナおよび結像レンズ系を経てターゲットに入射せしめ、該ターゲットよりの散乱波を該結像レンズ系、アンテナおよび信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を振幅位相検出器において該第一の発振器の出力と該第二の発振器の出力のうちの一方を参照信号として同期検波することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置を構成する。
【0020】
また、本願発明では、請求項10に記載のように、
前記単位画素ミリ波送受信器において、周波数f1で発振する第一の発振器の出力を、周波数f2で発振する第二の発振器の出力によって第一の電磁波変調スイッチにおいて変調し、f2とは異なる周波数f3で発振する第三の発振器の出力によって第二の電磁波変調スイッチにおいて変調し、信号分離器、アンテナおよび結像レンズ系を経てターゲットに入射せしめ、該ターゲットよりの散乱波を該結像レンズ系、アンテナおよび信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を振幅位相検出器において該第二の発振器の出力と該第三の発振器の出力のうちの一方を参照信号として同期検波し、他方を位相乱雑化信号とすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置を構成する。
【0021】
また、本願発明では、請求項11に記載のように、
前記単位画素ミリ波送受信器において、周波数Q1をもって発振する第一のレーザの出力を周波数f1で発振する第一の発振器の出力によって変調器において変調し、周波数Q2をもって発振する第二のレーザの出力と信号結合器において合波し、光電気変換器によって電気信号に変換し、該電気信号をf1とは異なる周波数f2で発振する第二の発振器の出力によって電磁波変調スイッチにおいて変調し、信号分離器、アンテナおよび結像レンズ系を経てターゲットに入射せしめ、該ターゲットよりの散乱波を該結像レンズ系、アンテナおよび信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を振幅位相検出器において該第一の発振器の出力と該第二の発振器の出力のうちの一方を参照信号として同期検波し、他方を位相乱雑化信号とすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置を構成する。
【0022】
また、本願発明では、請求項12に記載のように、
前記単位画素ミリ波送受信器において、周波数Q1をもって発振する第一のレーザの出力を周波数f1で発振する第一の発振器の出力によって第一の変調器において変調し、周波数Q2をもって発振する第二のレーザの出力と信号結合器において合波し、f1とは異なる周波数f2で発振する第二の発振器の出力で第二の変調器において変調し、光電気変換器によって電気信号に変換し、該電気信号を信号分離器、アンテナおよび結像レンズ系を経てターゲットに入射せしめ、該ターゲットよりの散乱波を該結像レンズ系、アンテナおよび信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を振幅位相検出器において該第一の発振器の出力と該第二の発振器の出力のうちの一方を参照信号として同期検波し、他方を位相乱雑化信号とすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置を構成する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施によって、単位画素ミリ波送信器の配列と単位画素ミリ波受信器の配列と結像レンズ系とからなり、該単位画素ミリ波送受信器が射出する電磁波が該結像レンズ系によって結像面上の相異なる結像点において結像するように配置され、該結像面にある物体のミリ波に対する応答を該単位画素ミリ波受信器の配列で受信し、該物体のミリ波像を与えるミリ波イメージング装置を構成すれば、得られる画像の解釈が容易な結像レンズ系を備え、効率的なミリ波イメージングが可能なミリ波イメージング装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0025】
まず、図1から図3を用いて、本発明の構成を説明する。ここでは単位画素ミリ波送信器、単位画素ミリ波受信器あるいは単位画素ミリ波送受信器の配列として一次元のものを議論の対象とする。
【0026】
(実施形態1)
図1(a)には、本発明の実施形態1の構成例を記載した。二つの凸レンズからなる単一の結像レンズ系1と単位画素ミリ波受信器2の配列と単位画素ミリ波送信器3とからなっている。凸レンズとしてはたとえば単一の誘電体凸レンズやフレネル帯板あるいは複数のレンズの組み合わせを与える。各単位画素ミリ波送信器3から送信されたミリ波は空間的に広がりつつ結像レンズ系1に至り、結像面上のそれぞれに相異なる固有の結像点に至る。結像点はターゲットたる物体の内部に存在するように送信器3の配列と結像レンズ系1の配置を設計することがいつでもできる。そして物体からの前方散乱ミリ波を結像レンズ系1で受け受信器2の配列で受信することによって結像面にある物体ミリ波像の一次元スライス(物体との交線)を得ることができる。装置を、物体と相対的に、図に示したx方向とy方向とに直角をなす方向に移動させながら、上記の一次元スライスを得ていくことによって、物体の二次元スライスが得られる。
【0027】
(実施形態2)
図1(b)には、本発明の実施形態2の構成を記載した。二つの凸レンズからなる単一の結像レンズ系1と少数の単位画素ミリ波送信器3および単位画素ミリ波受信器2からなっている。図では単一の単位画素ミリ波送信器3および単位画素ミリ波受信器2を用いる場合について記載している。単位画素ミリ波送信器3から送信されたミリ波は空間的に広がりつつ結像レンズ系1に至り、結像面上のそれぞれに相異なる固有の結像点に至る。結像点はターゲットたる物体の内部に存在するように送信器3の配列と結像レンズ系1の配置を設計することがいつでもできる。そして物体からの前方散乱ミリ波を結像レンズ系1で受け受信器2で受信することによって物体ミリ波像の特定部位の画素値を得ることができる。この送信器3および受信器2を軸線上に走査することによって、物体ミリ波像の一次元スライスを得ることができる。
【0028】
(実施形態3)
図2(a)のように、単位画素ミリ波送受信器4を記載する。これは送受信部5と信号処理部6とからなり、信号を生成/変調/送信/受信/検波を行う機能を有する。送信されたミリ波が物体のある部位にあたり散乱された信号を再び受信する。像の単位画素を構成する検波値を与える。生成/変調/検波を行う部位を信号処理部6とし、送信/受信を行う部位を送受信部として機能分化して記載している。図2(b)には、本発明の実施形態3の構成を記載した。単一の結像レンズ系1と単位画素ミリ波送受信器4の配列からなっている。結像レンズ系1としてはたとえば単一の誘電体凸レンズやフレネル帯板あるいは複数のレンズの組み合わせを与える。単位画素ミリ波送受信器4は同図に示した空聞二次元座標系において関数:y=f(x)に沿って配列される。関数形として例えば、線状:y=c(一定)、あるいは円状:y=y+{r−(x−x)}0.5などが挙げられる。各単位画素ミリ波送受信器4から送信されたミリ波は空間的に広がりつつ結像レンズ系1に至り、結像面上のそれぞれに固有の結像点に至る。結像点はターゲットたる物体の内部に存在するように送受信器4の配列と結像レンズ系1の配置を設計することがいつでもできる。そして物体からの散乱ミリ波を結像レンズ系1で受け送受信器4の配列で受信することによって物体ミリ波像の一次元スライスを得ることができる。
【0029】
(実施形態4)
図2(c)には本発明の実施形態4の構成を記載した。単一の結像レンズ系1と少数の単位画素ミリ波送受信器4からなっている。図では単一の単位画素ミリ波送受信器4を用いる場合について記載している。単位画素ミリ波送受信器4から送信されたミリ波は空間的に広がりつつ結像レンズ系1に至り結像面上の固有の結像点に至る。結像点はターゲットたる物体の内部に存在するように送受信器4の配列と結像レンズ系1の配置を設計することがいつでもできる。そして物体からの散乱ミリ波を結像レンズ系1で受け同送受信器4で受信することによって物体ミリ波像の特定部位の画素値を得ることができる。この送受信器4を関数:y=f(x)にそって走査することとともにこの画素値記録を行うことによって物体ミリ波像の一次元スライスを得ることができる。複数の単位画素ミリ波送受信器4を用いて、それぞれの走査領域を併せて、y=f(x)の定義域すべてを包含するように設計することで、より短時間に同様の一次元スライスを得ることができる。
【0030】
(実施形態5)
図3(a)には、本発明の実施形態5において用いる単位画素ミリ波送受信器4の構成をブロック図で表した。図中、第一の発振器7の発振周波数f1はミリ波帯にあり、第二の発振器8の発振周波数f2は例えばkHz程度の低周波帯にある。第一の電磁波変調スイッチ9は第一の発振器7の出力である周波数f1のミリ波帯信号を第二の発振器8の出力である周波数f2の低周波信号で強度変調する作用を果たす。このような電磁波変調スイッチはダイオードの整流作用を利用するなどして容易に実現できる。第一の電磁波変調スイッチ9の出力が信号分離器10に与えられる。信号分離器10は三つのポートを持ち、ポート1(図中、P1で表示)から入力された信号をポート2(図中、P2で表示)に出力し、ポート2に入力された信号をポート3(図中、P3で表示)より出力する作用を持つ。この機能はサーキュレータや方向性結合器といった素子を用いることで実現できる。この還流性を用いれば、ポート1より入力された信号をポート2に渡し、ターゲットたる物体内部からの散乱信号を再びポート2より受けた後に、これをポート3に渡すことができる。信号分離器10のポート2からの出力は接続されるアンテナ11より空間に放射される。物体よりの散乱信号はアンテナ11に至り、信号分離器10のポート2に至り、そのポート3より出力される。ポート3に接続された第一の電磁波検出器12はミリ波応答強度に応じた振幅が周波数f2の第二の発振器8の出力信号に与えられる形の応答を行う。あるいは、電磁波検出器として、周波数f1の第一の発振器7の出力をともに与えることでなる、いわゆるホモダイン検波器を採用することも可能である。図3(a)には、この際のホモダイン検波器と第一の発振器7との間の信号の流れを破線矢印で示した。検出器の出力を同一の発振器の出力信号によってダウンコンバートすることによってミリ波強度を与えることが可能である。第一の振幅位相検出器13はこの作用を具現化する要素であり、ロックイン増幅器などが仕様を満足する。
【0031】
配列化に際しては、例えば第一の振幅位相検出器13を共用とし、各々の送受信器の応答を切り替える方式も考えられる。
【0032】
(実施形態6)
図3(b)には、本発明の実施形態6において用いる単位画素ミリ波送受信器の構成をブロック図で表した。図中、第一の発振器7の発振周波数f1はミリ波帯にあり、第二の発振器8の発振周波数f2は例えばkHz程度の低周波帯にある。第一の電磁波変調スイッチ9は第一の発振器7の出力である周波数f1のミリ波帯信号を第二の発振器8の出力である周波数f2の低周波信号で強度変調する作用を果たす。このような電磁波変調スイッチはダイオードの整流作用を利用するなどして容易に実現できる。第一の電磁波変調スイッチ9の出力が信号分離器10に与えられる。信号分離器10は三つのポートを持ち、ポート1(図中、P1で表示)から入力された信号をポート2(図中、P2で表示)に出力し、ポート2に入力された信号をポート3(図中、P3で表示)より出力する作用を持つ。この機能はサーキュレータや方向性結合器といった素子を用いることで実現できる。この還流性を用いれば、ポート1より入力された信号をポート2に渡し、ターゲットたる物体内部からの散乱信号を再びポート2より受けた後に、これをポート3に渡すことができる。信号分離器10のポート2からの出力は接続されるアンテナ11より空間に放射される。放射されたミリ波信号は一般によい直線偏波を有する。本実施形態では、電磁波伝搬方向に対してπ/4の角度を持たせてポラライザ14を配置する。このポラライザ14を経たミリ波信号は結像レンズ系1に渡された後ターゲットたる物体に至る。物体よりの散乱信号はポラライザ14に至り、透過した成分はアンテナ11に至り、信号分離器10のポート2に至り、そのポート3より出力される。ポート3に接続された第一の電磁波検出器12はミリ波応答強度に応じた振幅が周波数f2の発振器の出力信号に与えられる形の応答を行う。検出器の出力を同一の発振器の出力信号によってダウンコンバートすることによってミリ波強度を可視化することが可能である。第一の振幅位相検出器13はこの作用を具現化する要素であり、ロックイン増幅器などが仕様を満足する。
【0033】
ポラライザ14で反射された成分はπ/2だけ伝搬方向が屈曲し、送信アンテナ11の他に用意されているアンテナ15によって受信される。これを第二の電磁波検出器16で受け、第二の振幅位相検出器17によって可視化される。電磁波検出器12、16としては周波数f1の第一の発振器7の出力を同時に入力として受け入れてなる、いわゆるヘテロダイン検波器を採用することもできる。図3(b)には破線矢印でホモダイン検波器を採用する場合の信号の流れを示した。
【0034】
また、配列化に際しては、例えば振幅位相検出器13、17を共用とし、各々の送受信器の応答を切り替える方式も考えられる。
【0035】
(実施形態7)
以下の実施形態7〜9においては、相異なる周波数の2つの低周波信号で変調した送信信号をターゲットに照射し、その散乱波を受信し、前記低周波信号のうちの1つを参照信号として振幅位相検出器によって評価し、他の1つを位相乱雑化信号とすることによって、入射波と散乱波との重ね合わせによる干渉縞を低減することが可能なイメージング装置の例を示す。
【0036】
図4に、実施形態7の構成をブロック図を示す。図中、第一の発振器7の発振周波数f1はミリ波帯にあり、第二の発振器8の発振周波数f2、第三の発振器18の発振周波数f3は例えばkHz程度の低周波帯にあり、f2とf3とは異なるものとする。
【0037】
第一の電磁波変調スイッチ9は第一の発振器7の出力である周波数f1のミリ波帯信号を第二の発振器8の出力である周波数f2の低周波信号で変調する作用を果たし、第二の電磁波変調スイッチ19は第一の電磁波変調スイッチ9の出力である周波数f1のミリ波帯信号を第三の発振器18の出力である周波数f3の低周波信号で変調する作用を果たす。周波数f1の信号の周波数あるいは信号位相などを変調して位相乱雑化を行う位相乱雑化信号は、第一の電磁波変調スイッチ9に与える第二の発振器8の出力信号であって、第二の電磁波変調スイッチ19の作用はミリ波信号に対する強度変調などである。強度変調による場合には、第二の電磁波変調スイッチ19はダイオードの整流作用を利用するなどして容易に実現できる。その出力が信号分離器10に与えられる。
【0038】
信号分離器10は三つのポートを持ち、ポート1(図中、P1で示す)から入力された信号をポート2(図中、P2で示す)に出力し、ポート2に入力された信号をポート3(図中、P3で示す)より出力する作用をもつ。たとえば、サーキュレータや方向性結合器として知られる素子がこの機能を実現する。この還流性を用いれば、ポート1より入力された信号をポート2にわたし、ターゲット20からの散乱信号を再びポート2より受けたのちに、これをポート3にわたすことができる。
【0039】
信号分離器10のポート2からの出力は接続されるアンテナ11より空間に放射される。放射された電磁波は結像レンズ系1に至り、その結像作用によってターゲット20内部で結像するように配置する。ここに結像レンズ系1とは、誘電体レンズ、フレネルレンズといったミリ波帯レンズを一つ以上構成要素として含み、出力する電磁波が結像する形態に設計されている準光学系のことを意味している。
【0040】
ターゲット20よりの散乱波は、結像レンズ系1およびアンテナ11を経て、信号分離器10の作用で入射波と分離され第一の電磁波検知器12に送られる。第一の電磁波検知器12はミリ波信号強度に応じた振幅が周波数f3の第三の発振器18の出力信号に与えられる形の応答を行う。そこで、その出力を同一の発振器の出力信号によって同期検波することによって微弱な信号検波を可能とし、ミリ波強度を可視化することができる。図4中の第一の振幅位相検知器13はこの作用を具現化する要素であり、通常ロックイン増幅器などとして装置化されているもので実現される。第二の発振器8がこの場合、送信波位相の乱雑化を行う。
【0041】
第一の振幅位相検知器13の出力はモニタ21に入力され、モニタ21はその入力によってターゲット20のミリ波像(ミリ波イメージ)を表示する。
【0042】
図4で明らかなように、第一の発振器7と第二の発振器8は配置される順番には任意性がある。すなわち、第一の振幅位相検知器13の参照信号として第二の発振器8の出力である周波数f2の信号を、位相乱雑化信号として第三の発振器18の出力である周波数f3の信号をそれぞれ用いることも可能である。
【0043】
(実施形態8)
図5に、本発明の実施形態8の構成をブロック図で表した。図5(a)は、図5(b)中に示す周波数f1で発振する第四の発振器22内部のブロック図を与える。Aと示したポートが図5(a)および(b)で合致するものと約束する。そして、図5(b)中のAと示したポート以下は、図4に示した実施形態7の構成と同一であり、その動作機構も実施形態7と同じである。
【0044】
発振周波数f1はミリ波帯にあり、発振周波数f3は例えばkHz程度の低周波帯にある。第二の電磁波変調スイッチ19は第四の発振器22の出力である周波数f1のミリ波帯信号を第三の発振器18の出力である周波数f3の低周波信号で変調する作用を果たす。その出力が信号分離器10に与えられる。信号分離器10のポート2(P2)からの出力は接続されるアンテナ11より空間に放射される。放射された電磁波は結像レンズ系1に至り、その結像作用によってターゲット20内部で結像するように配置する。ターゲット20よりの散乱波は、結像レンズ系1およびアンテナ11を経て、信号分離器10の作用で入射波と分離され第一の電磁波検知器12に送られる。第一の電磁波検知器12はミリ波信号強度に応じた振幅が周波数f3の発振器18の出力信号に与えられる形の応答を行う。そこで、その出力を同一の発振器の出力信号によって同期検波することによってミリ波強度を可視化することが可能である。図5(b)は以上の信号の流れを表現している。
【0045】
周波数f1で発振する第四の発振器22の内部の信号の流れを図5(a)を用いて説明する。周波数Q1をもって発振する第一のレーザである可変波長光源23の出力を、周波数f2で発振する第二の発振器8の出力で変調器25において変調し、周波数Q2をもって発振する第二のレーザである可変波長光源24の出力と、光カプラなどで構成される信号結合器26において合波する。合波された光波を光電気変換器27に入力する。これによって光波信号の包絡検波が果たされる。Q1やQ2は百テラヘルツを越えるような値を持つものの、その差分をミリ波帯に設定することが可能である。この差分としてミリ波帯発振周波数f1を与えることができる。この周波数f1の光電気変換器27の出力は第二の発振器8の出力で変調されているから、このようにして、第二の発振器8の出力で変調されたミリ波帯信号を光電気変換器27からポートAに出力することができる。ポートA以下の信号の流れは実施形態7と同じである。
【0046】
第一の振幅位相検知器13の出力はモニタ21に入力され、モニタ21はその入力によって、ターゲット20のミリ波像(ミリ波イメージ)を表示する。
【0047】
なお、第一の振幅位相検知器13の参照信号として第二の発振器8の出力である周波数f2の信号を、位相乱雑化信号として第三の発振器18の出力である周波数f3の信号をそれぞれ用いることも可能である。
【0048】
なお、請求項8、11に記載の周波数f1、第一の発振器、周波数f2、第二の発振器、電磁波変調スイッチは、それぞれ、本実施形態における周波数f2、第二の発振器8、周波数f3、第三の発振器18、第二の電磁波変調スイッチ19に相当する。
【0049】
(実施形態9)
図6に、本発明の実施形態9の構成をブロック図で表した。図6(a)は、図6(b)中に示す周波数f1で発振する第五の発振器28内部のブロック図を与える。A、Bと示したポートが図6(a)および(b)で合致するものと約束する。そして、図6(b)中のAと示したポート以下は、図4に示した実施形態7の構成と同一であり、その動作機構も実施形態7と同じである。
【0050】
周波数f1で発振する第五の発振器28の内部の信号の流れを、図6(a)を用いて説明する。周波数Q1をもって発振する第一のレーザである可変波長光源23の出力を、周波数f2で発振する第2の発振器8の出力によって第一の変調器29において変調し、周波数Q2をもって発振する第二のレーザである可変波長光源24の出力と、光カプラなどで構成される信号結合器26を通じて合波する。合波された光波を周波数f3で発振する第三の発振器18の出力によって第二の変調器30において変調し、光電気変換器27に入力する。第三の発振器18の出力はポートBとして外部に取り出せる形態とする。
【0051】
光電気変換器27においては、上記したように、光波信号の包絡検波が果たされる。Q1やQ2は百テラヘルツを越えるような値を持つものの、その差分をミリ波帯に設定することが可能である。この差分としてミリ波帯発振周波数f1を与えることができる。発振周波数f1はミリ波帯に設定する。
【0052】
本実施形態における信号の流れを図6(b)を用いて説明する。周波数f1で発振する第五の発振器28の出力が信号分離器10に与えられる。信号分離器10のポート2(P2)からの出力は接続されるアンテナ11より空間に放射される。放射された電磁波は結像レンズ系1に至り、その結像作用によってターゲット20内部で結像するように配置する。ターゲット20よりの散乱波は信号分離器10の作用で入射波と分離され第一の電磁波検知器12に送られる。第一の電磁波検知器12はミリ波信号強度に応じた振幅が周波数f3の第三の発振器18の出力信号に与えられる形の応答を行う。そこで、その出力を同一の発振器の出力信号によって同期検波することによってミリ波強度を可視化することが可能である。第一の振幅位相検知器13の参照信号はしたがってポートBから供給される。
【0053】
なお、請求項9、12に記載の周波数f1、第一の発振器、周波数f2、第二の発振器は、それぞれ、本実施形態における周波数f2、第二の発振器8、周波数f3、第三の発振器18に相当する。
【0054】
なお、第一の振幅位相検知器13の参照信号として第二の発振器8の出力である周波数f2の信号を、位相乱雑化信号として第三の発振器18の出力である周波数f3の信号をそれぞれ用いることも可能である。
【0055】
図7から図10を用いて本発明の動作を説明する。結像レンズ系における像の空間分解能は結像点におけるビーム径(集光径)dで与えられる。集光径dは波長をλ、レンズ系の開口数をNAと書くとき、d=0.61λ/NAと与えられる。本発明で使用するミリ波帯電磁波の波長は3mm以下程度であり、要求される空間解像度はやはりミリメートル程度であることを想定している。したがって、NAは1に比べてあまり小さくすることは応用上許されない。よく知られるように、NAは結像レンズ系の焦点距離をf、レンズの有効径をD、またレンズ系の倍率をMとするときに、NA=D/{2f(1+M)}と与えられる。たとえば倍率を2倍、焦点距離を200mmとしてNA=1を与えるためには、レンズ有効径D=1200mmが求められる。
【0056】
可視光領域における写真乾板のような面状検波媒体の存在しないミリ波帯においては、検波器を複数設けて走査する手法によらなければならない。通常、ミリ波帯における光学設計には、ミリ波ビームが主軸から遠方には至らないという近似のもとに成立するガウシアン光学を拠り所としている。これが故に、レンズ系と検波装置を一体として空間的に走査する手法にのみ報告例があり、主軸以外からのレンズ系へのミリ波ビーム入射による撮像の有効性はこれまで主張されておらず報告例もない状況にある。しかるに有効径が1200mmにも及ぶ巨大なレンズ系を検波装置ごと空間的に走査することは実用上困難といわざるを得ない。
【0057】
本発明では単一のレンズ系に対して検波装置のみを走査する手法を提案することによって、この困難を取り除くことに成功する。図7には主軸を取り巻くように一次元的に配列された単位画素送受信器配列による撮像の様子を示している。互いに鏡映の像関係となるが、実像強度に相応する強度分布を撮像することが理解される。配列の配置を図2(b)、図2(c)に示す関数:y=f(x)に沿った形態とするなどの工夫をもって、コマ収差、像のディストーションなどから解放された像を得ることができる。
【0058】
図8には周波数100GHzのミリ波帯電磁波を、焦点距離640mmおよび200mmの誘電体凸レンズからなる結像レンズ系に入射し、結像レンズ系より出てのミリ波ビームプロファイルを伝搬方向に記録する実験の結果を示している。結像位置にいたるまでビームの集光が進み、結像点ではビーム径が10mm以下程度にまで集中している様子が確認される。
【0059】
図9には、入射ミリ波ビーム中心が結像レンズ系の主軸上に存する場合および主軸上から位置200mmに存する場合の結像面上でのビームプロファイルを計測した結果を示した。図9(a)が主軸から外れた位置からの入射時の、図9(b)が主軸上からの入射時のプロファイルをそれぞれ示している。図中、AおよびBとした結像点は互いに100mm程度乖離しており、ターゲット内部の異なる位置情報を抽出しうることを示している。
【0060】
図10には、実際の反射像の振る舞いを計測した結果を示す。図10(a)は入射ミリ波ビーム中心が主軸上にある時に、図10(b)は主軸上から位置200mmに存する時に、図10(c)は主軸上から位置300mmに存在する時にターゲット(半径10mmの空隙12個が周期的に整列した金属板)からの反射波より得たミリ波像をそれぞれ示す。像の配置が100mm程度だけ徐々にシフトしていく様が確認される。本発明に示す検波器配列/検波器走査方式によって、ターゲットの適正なミリ波像が獲得されることの原理的な確認がなされたことになる。図10には収差の影響が無視できずに像歪みが見られるが、これは設計の最適化を通じて解消され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態1と実施形態2の構成を説明する図であり、(a)本発明の実施形態1の構成を説明する図、(b)本発明の実施形態2の構成を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態3と実施形態4の構成を説明する図であり、(a)単位画素ミリ波送受信器を表す図、(b)本発明の実施形態3の構成を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態5と実施形態6の構成を説明する図であり、(a)本発明の実施形態5の構成を説明する図、(b)本発明の実施形態6の構成を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態7の構成を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態8の構成を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態9の構成を説明する図である。
【図7】本発明に係るミリ波イメージング装置の動作を説明する図である。
【図8】ミリ波帯準光学系におけるレンズの特性を説明する図である。
【図9】本発明の効果を実証する実験結果を示す図であり、(a)主軸から距離200mmだけ離れた位置での結像面上でのビームプロファイル、(b)主軸上での結像面上でのビームプロファイルである。
【図10】本発明の効果を実証する実験結果を示す図であり、(a)入射ミリ波ビーム中心が主軸上にある場合の撮像結果、(b)入射ミリ波ビーム中心が主軸から200mmだけ離れた位置にある場合の撮像結果、(c)入射ミリ波ビーム中心が主軸から300mmだけ離れた位置にある場合の撮像結果である。
【符号の説明】
【0062】
1:結像レンズ系、2:単位画素ミリ波受信器、3:単位画素ミリ波送信器、4:単位画素ミリ波送受信器、5:送受信部、6:信号処理部、7:第一の発振器、8:第二の発振器、9:第一の電磁波変調スイッチ、10:信号分離器、11:アンテナ、12:第一の電磁波検出器、13:第一の振幅位相検出器、14:ポラライザ、15:アンテナ、16:第二の電磁波検出器、17:第二の振幅位相検出器、18:第三の発振器、19:第二の電磁波変調スイッチ、20:ターゲット、21:モニタ、22:第四の発振器、23、24:可変波長光源、25:変調器、26:信号結合器、27:光電気変換器、28:第五の発振器、29:第一の変調器、30:第二の変調器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位画素ミリ波送信器の配列と単位画素ミリ波受信器の配列と結像レンズ系とからなり、該単位画素ミリ波送受信器が射出する電磁波が該結像レンズ系によって結像面上の相異なる結像点において結像するように配置され、該結像面にある物体のミリ波に対する応答を該単位画素ミリ波受信器の配列で受信し、該物体のミリ波像を与えることを特徴とするミリ波イメージング装置。
【請求項2】
単位画素ミリ波送信器と単位画素ミリ波受信器と結像レンズ系とからなり、該単位画素ミリ波送信器が射出する電磁波が該結像レンズ系によって結像面上の相異なる結像点において結像するように走査され、該結像面にある物体のミリ波に対する応答を該単位画素ミリ波受信器で受信し、該物体のミリ波像を与えることを特徴とするミリ波イメージング装置。
【請求項3】
結像レンズ系と単位画素ミリ波送受信器の配列とからなり、該単位画素ミリ波送受信器が射出する電磁波が該結像レンズ系によって結像面上の相異なる結像点において結像するように配置され、該結像面にある物体のミリ波像を与えることを特徴とするミリ波イメージング装置。
【請求項4】
単一の結像レンズ系と単位画素ミリ波送受信器とからなり、該送受信器が射出する電磁波が該結像レンズ系によって結像面上の相異なる結像点において結像するように走査され、該結像面にある物体のミリ波像を与えることを特徴とするミリ波イメージング装置。
【請求項5】
前記単位画素ミリ波送受信器において、ミリ波帯の発振周波数f1で発振する第一の発振器の出力を、発振周波数f2で発振する第二の発振器の出力で第一の電磁波変調スイッチにおいて変調し、該第一の電磁波変調スイッチの出力を信号分離器およびアンテナを経て放射させ送信信号とし、該送信信号に対する物体からの応答信号を該アンテナおよび該信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を測定信号入力とし該第二の発振器の出力を参照信号として振幅位相検出器を駆動し出力を得ることを特徴とする請求項3または4に記載のミリ波イメージング装置。
【請求項6】
前記単位画素ミリ波送受信器において、ミリ波帯の発振周波数f1で発振する第一の発振器1の出力を、発振周波数f2で発振する第二の発振器の出力で第一の電磁波変調スイッチにおいて変調し、該第一の電磁波変調スイッチの出力を信号分離器および第一のアンテナを経て放射させポラライザを透過せしめ送信信号とし、該送信信号に対する物体からの応答信号を該ポラライザを透過せしめ該第一のアンテナおよび信号分離器を経て第一の電磁波検出器に与え、該第一の電磁波検出器の出力を測定信号入力とし該第二の発振器の出力を参照信号として第一の振幅位相検出器を駆動し出力を得るとともに、該ポラライザで反射せしめた電磁波を第二のアンテナを経て第二の電磁波検出器に与え、該第二の電磁波検出器の出力を測定信号入力とし該第二の発振器の出力を参照信号として第二の振幅位相検出器を駆動し出力を得ることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置。
【請求項7】
前記単位画素ミリ波送受信器において、周波数f1で発振する第一の発振器の出力を、周波数f2で発振する第二の発振器の出力によって第一の電磁波変調スイッチにおいて変調し、f2とは異なる周波数f3で発振する第三の発振器の出力によって第二の電磁波変調スイッチにおいて変調し、信号分離器、アンテナおよび結像レンズ系を経てターゲットに入射せしめ、該ターゲットよりの散乱波を該結像レンズ系、アンテナおよび信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を振幅位相検出器において該第二の発振器の出力と該第三の発振器の出力のうちの一方を参照信号として同期検波することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置。
【請求項8】
前記単位画素ミリ波送受信器において、周波数Q1をもって発振する第一のレーザの出力を周波数f1で発振する第一の発振器の出力によって変調器において変調し、周波数Q2をもって発振する第二のレーザの出力と信号結合器において合波し、光電気変換器によって電気信号に変換し、該電気信号をf1とは異なる周波数f2で発振する第二の発振器の出力によって電磁波変調スイッチにおいて変調し、信号分離器、アンテナおよび結像レンズ系を経てターゲットに入射せしめ、該ターゲットよりの散乱波を該結像レンズ系、アンテナおよび信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を振幅位相検出器において該第一の発振器の出力と該第二の発振器の出力のうちの一方を参照信号として同期検波することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置。
【請求項9】
前記単位画素ミリ波送受信器において、周波数Q1をもって発振する第一のレーザの出力を周波数f1で発振する第一の発振器の出力によって第一の変調器において変調し、周波数Q2をもって発振する第二のレーザの出力と信号結合器において合波し、f1とは異なる周波数f2で発振する第二の発振器の出力で第二の変調器において変調し、光電気変換器によって電気信号に変換し、該電気信号を信号分離器、アンテナおよび結像レンズ系を経てターゲットに入射せしめ、該ターゲットよりの散乱波を該結像レンズ系、アンテナおよび信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を振幅位相検出器において該第一の発振器の出力と該第二の発振器の出力のうちの一方を参照信号として同期検波することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置。
【請求項10】
前記単位画素ミリ波送受信器において、周波数f1で発振する第一の発振器の出力を、周波数f2で発振する第二の発振器の出力によって第一の電磁波変調スイッチにおいて変調し、f2とは異なる周波数f3で発振する第三の発振器の出力によって第二の電磁波変調スイッチにおいて変調し、信号分離器、アンテナおよび結像レンズ系を経てターゲットに入射せしめ、該ターゲットよりの散乱波を該結像レンズ系、アンテナおよび信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を振幅位相検出器において該第二の発振器の出力と該第三の発振器の出力のうちの一方を参照信号として同期検波し、他方を位相乱雑化信号とすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置。
【請求項11】
前記単位画素ミリ波送受信器において、周波数Q1をもって発振する第一のレーザの出力を周波数f1で発振する第一の発振器の出力によって変調器において変調し、周波数Q2をもって発振する第二のレーザの出力と信号結合器において合波し、光電気変換器によって電気信号に変換し、該電気信号をf1とは異なる周波数f2で発振する第二の発振器の出力によって電磁波変調スイッチにおいて変調し、信号分離器、アンテナおよび結像レンズ系を経てターゲットに入射せしめ、該ターゲットよりの散乱波を該結像レンズ系、アンテナおよび信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を振幅位相検出器において該第一の発振器の出力と該第二の発振器の出力のうちの一方を参照信号として同期検波し、他方を位相乱雑化信号とすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置。
【請求項12】
前記単位画素ミリ波送受信器において、周波数Q1をもって発振する第一のレーザの出力を周波数f1で発振する第一の発振器の出力によって第一の変調器において変調し、周波数Q2をもって発振する第二のレーザの出力と信号結合器において合波し、f1とは異なる周波数f2で発振する第二の発振器の出力で第二の変調器において変調し、光電気変換器によって電気信号に変換し、該電気信号を信号分離器、アンテナおよび結像レンズ系を経てターゲットに入射せしめ、該ターゲットよりの散乱波を該結像レンズ系、アンテナおよび信号分離器を経て電磁波検出器に与え、該電磁波検出器の出力を振幅位相検出器において該第一の発振器の出力と該第二の発振器の出力のうちの一方を参照信号として同期検波し、他方を位相乱雑化信号とすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のミリ波イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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