説明

メカトロニクスアンロッキング装置

少なくとも一つの電気的作動部と一つの機構とを有するボーデン制御部用の駆動装置に関し、前記駆動装置は、前記ボーデン制御部に連結され、前記電気的作動部及び機構部は、少なくとも一つのハウジングに収納されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの電気的作動部と一つの機構とを有するボーデン制御部用の駆動装置に関する。前記駆動装置は、前記ボーデン制御部に連結され、前記電気的作動部及び機構部は、少なくとも一つのハウジングに囲まれている。
【背景技術】
【0002】
調節及び/又はアンロッキング機構は、例えば、WO 00/69670, US 4,448,381, G 84 32 489, DE 19 642 993, DE 100 218 63 A1, DE 203 204 19 U1 and DE 21 2006 000 002 U1などの従来技術から周知である。特に、自動車製造にあっては、周知のモジュールでさえ、簡素にすること、及び/又は自動車の組み立てを容易にすることの必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、簡素な構成及び簡素な組み立ての駆動装置の製造を容易とすることである。
【0004】
本発明の目的は、少なくとも一つの電気作動部及び一つの機構を有するボーデン制御部用の駆動装置によって達成される。前記制御部は前記ボーデン制御部に結合される。前記電気作動部及び機構は、少なくとも一つのハウジングに収納され、そのハウジングは前記機構と前記ボーデン制御部の間の結合領域にあって閉鎖可能なカバーを有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ボーデン制御部用の駆動装置に関する。ボーデン制御部の主要なこの種の作動装置の駆動装置は、例えば、調整のために車両のシートの背もたれをアンロックするため、或いはトランクの蓋等を開放するためにある。
【0006】
本発明によれば、前記駆動装置は少なくとも一つの、好ましくは二つ以上の、作動装置を有する。前記作動装置は、好ましくは電気モータであり、特に電気的に線形駆動する。本発明によれば、これらの作動装置は、機構と相互作用する。この機構は、一つ以上の歯車及び/又は一つ以上のレバーを有し、ボーデン制御部は前記機構における可動部品と、特に例えば歯車又はレバーのような出力部と、結合する。
【0007】
本発明によれば、前記作動装置及び機構は、少なくとも一つのハウジングによって囲まれている。前記ハウジングは、前記機構と前記ボーデン制御部の間の結合領域、すなわち、ボーデン制御部が前記機構に結合される前記機構の場所又は領域にあって閉鎖可能なカバーを有する。これは、非常に簡素な組み立でありながらも、ボーデン制御部を前記機構に結合し、さらにその後、前記カバーを閉鎖することを可能とする。前記機構と前記ボーデン制御部との間の前記結合領域は、機械的な影響及び/又は汚染から保護される。
【0008】
前記カバーは、好ましくは前記ハウジング上に、特に前記ハウジングの蓋上に、一体的な接合方法にて設けられる。前記蓋及びカバーは、好ましくは一体の部品にて提供され、前記接合は特にフィルムヒンジである。
【0009】
本発明の他の好ましい発明の主題によれば、前記作動部が位置づけられる前記ハウジングは、前記作動装置と相互作用し、後部を少なくとも一つの空間方向に固定するスプリング手段を備える。これは、前記作動装置に比較的に脆弱なハウジングを提供する、及び/又は本発明に係る前記駆動装置のハウジングが付加的な安定を前記作動装置の前記ハウジングに提供するので、クリップされるだけのハウジングを提供するのを可能とする。
【0010】
前記スプリング手段及び/又は前記カバーは、好ましくは前記ハウジングの蓋に取り付けられ、特に、各場合にあって、その上の部品と一体とされるように提供される。
【0011】
ハウジングは、好ましくは、パワーケーブル、特に電力ケーブルがそれぞれの作動部に送られるケーブルダクトを有している。ケーブルダクトは、好ましくは、前記パワーケーブルがケーブルダクトから外れるのを防ぐためにケーブル保持手段を有する。前記ケーブルダクトは、さらに好ましくは安定化手段を有する。
【0012】
前記ハウジングは、さらに好ましくはパワーターミナルカバーを有する。本発明の好ましい具現化例は、本発明に係る駆動装置のパワーターミナル領域、例えばプラグコネクタ領域が覆われ、たとえあったとしても機械的なストレス及び/又は汚れにパワーターミナル領域がわずかだけさらされるのを保証するという有利な特徴を有する。これらのパワーターミナルカバーは、好ましくは蓋の一部である。
【0013】
本発明は、以下の図1乃至12を参照して説明される。これらの説明は、単に具体例として与えられ、さらに全体的な発明のコンセプトを制限するものではない。前記説明は、本発明の手段に等しく適用される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1a】本発明に係る駆動装置の第1の具現化例を示す図である。
【図1b】本発明に係る駆動装置の第1の具現化例を示す図である。
【図2】スプリング手段を示す図である。
【図3a】図1に示される駆動装置の他の概観図である。
【図3b】図1に示される駆動装置の他の概観図である。
【図4a】パワーターミナル領域を示す図である。
【図4b】パワーターミナル領域を示す図である。
【図5】ケーブルダクトを示す図である。
【図6】図5に示されたケーブルダクトの詳細を示す図である。
【図7】本発明に係る駆動装置の他の具現化例を示す図である。
【図8】図7に示された駆動装置の分解図である。
【図9】開放された状態の前記カバーを示す図である。
【図10】閉鎖された状態の前記カバーを示す図である。
【図11】概略的な内部を示すために一部を切り取った状態の車両のシートバック調整デバイス用の作動部を示す図である。
【図12】概略的な内部を示すために一部を切り取った状態の車両のシートバック調整デバイス用の作動部を示す図である。
【図13】要求される最も悪い場合の力を示すことを意図した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明に係る駆動装置の第1の具現化例を示す。この第1の具現化例は、ハウジング14を有し、ハウジング14の蓋15は図1aにて省略されている。前記ハウジングにあって、二つの作動部1、1’が提供され、この場合に、例えば枢軸9の周りを回動されるように提供されるレバーである機械的な部品7のような、電気的な線形作動部を提供する。駆動装置の反対の領域にあって、このレバーは、ボーデン制御部(図示せず)のコアが挿入される、この場合は一つ目の、ケーブル結合デバイス8を有する。ボーデン制御部の被覆は、以下に詳細に示すようにハウジング14に固定されている。レバー7のレバー比は、作動部1、1’の比較的小さな動きがケーブル結合デバイス8の比較的大きな動きを導くように、徐々に増加する比として与えられる。作動部1、1’のそれぞれは、二部品設計とされるハウジング27を備え、前記二つの部品間の結合は、比較的弱い構成であり、わずかな力のみを吸収することができる。この理由のため、本発明に係る駆動装置のハウジング14、15は、この場合にあって、蓋15は、図2に示されるように、作動部1のハウジング27にて圧縮し、一方にて、付加的に前記作動部の二つのハウジング部を一緒に保持し、及び/又は、少なくとも一つの空間方向にあって、前記作動部を安定させるスプリング手段18を有する。各作動部は、図1bによく示されるような、カバー22が与えられる独立したパワーターミナル16を有している。その結果、例えば、ケーブル及び/又はプラグ結合ターミナルのような、前記パワーターミナルは、機械的な影響から十分に保護される。蓋15は、好ましくはラッチ結合によりハウジング14に結合されている。同じ蓋15はカバー19にも適用され、ハウジングへの結合は、同様に好ましくラッチング結合として提供される。これは、蓋15をハウジング14に、工具なしで固定することを可能とし、さらにカバー20をハウジングに、工具なしでロックすることを可能とする。
【0016】
図2は図1に示された駆動デバイスの断面を示す。スプリング手段18がどのように作動部1、1’のハウジングに対して前もって負荷がかけられるのが、さらには後者をそれによって一緒にホールドし、及び/又は適切な位置に作動部を固定するのかが明瞭に理解される。
【0017】
図3はカバー20の閉鎖状態を示す。図3aに示されているように、カバーリングデバイスは開いたカバーの状態で組み立てラインに供給される。ボーデンケーブル(図示せず)は、その後、ケーブル結合デバイス6を通過し、ボーデンケーブルの被覆は窪み21に固定され、ボーデンケーブルのコアは、レバー7に連結される。カバー20は、その後、閉鎖され(図3b)、ハウジング14にラッチされる。一方で、これは、特にレバー7の、機構を保護し、さらに他方で、ハウジング14とボーデン制御部の被覆の間の結合を保証する。
【0018】
図4は、本発明に係る駆動装置用の電力供給部を示す。図4aに見られるように、この場合の電力供給部は、プラグ結合の形の電気ターミナルである。これらのプラグ結合は、特に機械的な影響及び/又は汚れから、カバー22(図4bを参照)によって、守られる。このカバーは、好ましくは蓋上に、特に、一体部品として、提供される。
【0019】
図5は、前記蓋からハウジングの反対側に設けられるケーブルダクト24を示す。このダクトにあって、ケーブル28は張力がブラグ結合に作用しないような方法にて機械的にガイドされ、さらに安定される。このため、ケーブルダクトは、一方で、保持手段、この場合はケーブルがケーブルダクトから滑り出ないように固定する保持用の複数の縁25を有する。さらに、ケーブルダクトは、他方で、ケーブルダクトの安定性を高めるだけでなく、好ましくはケーブルダクトとケーブルとの間の摩擦力を高める複数のリブ26を有する。ケーブルダクト24は、ハウジング14の安定性を高めることができる。
【0020】
図6は、ケーブルダクトの詳細、この場合、特に、フレキシブルな保持縁として提供される、保持手段25を示す。
【0021】
図7は、本発明に対応して構成される駆動装置の概略的な斜視図を示す。この場合、駆動装置は、作動部用のハウジング14と、相互に接続するための機構用のハウジング2を有する。駆動装置は、背もたれ調整器をアンロックするために用いられる。一部だけを示すボーデンケーブル3は、駆動装置12から前記空間に延びる。
【0022】
図8は本発明に対応して構成された駆動装置12の分解図であり、駆動装置12は機構ハウジング2及びボーデンケーブル3、二つの留め用螺子4、4’及びハウジング2上にあって一体結合仕様部5として提供されるカバー20を有する。アダプターハウジング2は、ボーデンケーブルの被覆がハウジング2に結合される領域にあって、ボーデンケーブルがハウジング2にガイドされる手段による、ケーブル留め用ガイド6をも含む。この領域にあって、ボーデンケーブル、特にそのコアは、この場合はケーブル滑車7である機構にも接続される。螺子4、4’により、ハウジング2はハウジング14に固定される。本発明に対応して構成される駆動装置12は、さらに電気的作動部1、1’を備える。電気的作動部1、1’には、駆動スピンドル9、ハウジング2に関係する第1固定ピン10及び車両座席(図示せず)に関係する第2固定ピン10’が設けられる。
【0023】
図9は、ボーデン制御部3がケーブル滑車7に結合される、開放状態のカバー20を示す。カバー20は、接合部5の周りを旋回して閉鎖し、さらにカバー20は図10に示すようにハウジング2にラッチされる。ケーブル滑車7、ケーブル滑車7とボーデンケーブル3の間の結合部及びボーデンケーブル3のハウジング2への取り付け部は、これによって、保護され、安全に固定される。
【0024】
組み立ての順番を、以下に詳細に説明すると、
組み立てに先立って、作動部ハウジング14が先ず初めに機構的ハウジング2に、例えば第1固定ピン10を用いて事前に取り付けられ、例えば、この状態で、組み立てラインに供給される。ボーデンケーブル3のコアの端部は、その後、ケーブル滑車7にフックされる。ボーデンケーブル3の被覆は、機構ハウジング2に付属するケーブル留め用ガイド6に挿入される。最終組み立てステップにあって、カバー20は、ラッチング位置に達するまでぐるりと回される。駆動装置12全体は、その後、例えば車両座席に取り付けられる。
【0025】
図11及び12はそれぞれ例えば、車両の背もたれ調整デバイスをアンロックするための作動部1、1’の概略的な部分切り取り図である。作動部1が例えば1ストロークで17mm(1mmは作動部の遊びと見なされる)機能すると、レバー11は例えば31°回転し、ボーデンケーブル3’は例えば24mm、対応する方向にぴんと張られる。154Nは、例えば、作動部1’によって適用される力の値と見なされる。ケーブルに及ぼされる効果的な力、すなわち、この場合にあって、リクライナレバーピンは、例えば、垂直距離が33mmと43.9mmの間で変動するので、115Nと154Nの間で変動するであろう。図11を補助する矩形の箱によって囲まれているフィールドF11、F12及びF13で示される用語は、後述の表に示される。
【0026】
後述の表1の左側の欄にあって、フィールドの参照番号が挙げられており、一方それぞれに対応する用語が表1の右側の欄に示されている。
【0027】
【表1】

【0028】
図12を補助する矩形の箱によって囲まれているフィールドF21、F22、F23及びF24で示される用語は、後述の表に示される。
【0029】
後述の表2の左側の欄にあって、フィールドの参照番号が挙げられており、一方それぞれに対応する用語が表2の右側の欄に示されている。
【0030】
【表2】

【0031】
図13は要求される最悪の事態の力を示すことを意図した図である。アンロッキングユニットのための要求される最悪の事態の力は、150Nプラス摩擦ケーブルにおける摩擦損失である。
【符号の説明】
【0032】
1、1’ 電気的作動部
2 機構的ハウジング
3、3’ ボーデンケーブル
4、4’ 留め用螺子、むき出しの部分
5 ジョイント、ヒンジ
6 ケーブル留め用ガイド
7 機構的部品、ケーブル滑車、レバー
8 ケーブル結合デバイス
9 枢軸、駆動軸
10 第1固定ピン
10’ 第2固定ピン
11 レバー
12 駆動装置
13 機構
14 ハウジング
15 蓋
16 パワーターミナルカバー
17 蓋/ハウジング結合部、ラッチング結合部
18 スプリング手段
19 カバー/ハウジング結合部
20 カバー
21 ボーデンケーブルの被覆用の窪み
22 電気的ターミナル用のカバー
23 パワーターミナル、電気的ターミナル
24 ケーブルダクト
25 保持手段、保持縁
26 安定化手段、リブ
27 作動部1、1’のハウジング
28 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの電気的作動部(1、1’)及びボーデン制御部(3、3’)に結合される一つの機構(13)を有する、ボーデン制御部(3、3’)用の駆動装置(12)であって、
前記電気的作動部(1、1’)及び機構(13)は少なくとも一つのハウジング(2、14、15)によって囲まれており、前記ハウジング(2、14、15)は閉鎖可能なカバー(20)を、前記機構(13)及びボーデン制御部(3、3’)の間の結合領域に備えることを特徴とする、前記ボーデン制御部(3、3’)用の駆動装置(12)。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記作動部(1、1’)と相互に作用し、少なくとも一つの空間方向にて後部を固定するスプリング手段(18)を有することを特徴とする請求項1或いは請求項1の前提部に記載される駆動装置(12)。
【請求項3】
前記作動部(1、1’)は、前記ハウジング(14、15)によって安定的に固定され、及び/又は一緒に保持されるハウジング(27)を有することを特徴とする請求項1記載の駆動装置(12)。
【請求項4】
前記スプリング手段(18)及び/又は前記カバー(20)は、前記ハウジング(14、15)の蓋(15)に単数/複数個設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の駆動装置(12)。
【請求項5】
前記ハウジングはケーブルダクト(24)を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の駆動装置(12)。
【請求項6】
前記ケーブルダクト(24)はケーブル(28)用の保持手段(25)を有することを特徴とする請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ハウジング(14、15)はパワーターミナルカバー(22)を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記パワーターミナルカバー(22)は、前記蓋(15)の一部であることを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2012−533009(P2012−533009A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519928(P2012−519928)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004295
【国際公開番号】WO2011/023262
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(502156098)ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー (142)
【Fターム(参考)】