説明

メソポーラス材料の調製方法

メソポーラス材料を調製するための方法は、ゾルを調製し、前記ゾル材料を超臨界流体条件下で処理する過程を有する。超臨界液体条件下での処理は、規則的なメソポーラス材料を形成する。前記ゾルを基板に塗布してメソポーラス膜を形成し、次に超臨界流体条件下で前記膜を処理することができる。別の実施例では、前記方法が、ゾルを超臨界流体条件下で直接処理して、メソポーラス粉末材料を形成する過程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にメソポーラス材料の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば及び通常はメソポーラスシリカ(SiO)である規則的メソポーラス材料は、均一な直径及び構造を有する孔の配列を有する。これら細孔のサイズ及び孔の間隔は、数〜数十ナノメートルの間の範囲内にある。粉末及び薄膜双方におけるメソポーラス材料の調製は、通常鋳型に依存したものとして説明することができる。一般的な方法では、水溶液中で集合してミセル及び/又は様々な液体結晶相を形成する界面活性剤分子、イオン又は非イオンを、メソポーラス元素酸化物を形成するための鋳型として用いることができる。適正な条件下で、適当な無機化合物(無機メソポーラス構造内にカチオンを供給することからプリカーサとして説明することができる)を加水分解しかつ有機界面活性剤鋳型の周りに縮合させて、無機−有機ハイブリッド材料を形成する。か焼及び/又は化学抽出により有機化合物を注意深く除去することが高表面積を有するメソポーラス無機元素酸化物材料を生み出す。メソポーラス薄膜を調製するためには、元素酸化物の縮合の前に、無機プリカーサ及び有機鋳型の混合物を基板に塗布する。注意深くか焼することによって、硬いメソポーラス膜が得られる。
【0003】
シリカ(SiO)は、粉末及び膜双方の形態で調製するのに最も簡単な材料である。SiO膜を調製する際には、膜内に高配列の孔を示す安定な材料を製造するために、プリカーサ(メソポーラス構造におけるカチオンの供給源)材料の選択、反応物濃度、反応温度、反応時間、塗布方法及び条件、塗布した膜の厚さ、乾燥温度、乾燥時間、か焼温度、か焼時間などのようなプロセス変数について大きな注意を払わなければならない。例えば、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、セリア(CeO)及び酸化ハフニウム(HfO)のような他のカチオンをドープしたシリカなどの他の材料のメソポーラス膜の調製は、長距離範囲での規則的な細孔性のない粉末の不明確な構造のアグロメレーションとして膜の結晶化及び酸化物プリカーサの高速加水分解のために、粉末と比較して困難である。
【0004】
メソポーラス膜の多くの商業的用途にとって、高度に熱安定なコーティング又は薄膜として無機プリカーサ材料を加工することが基本である。しかしながら、一般に有機成分を除去しかつ重要なこととして有機鋳型の周囲にある構造の不明確な無機壁を高密度にするために使用される熱処理は、鋳型を利用した規則的メソポーラスネットワークの全体的な崩壊に至る可能性がある。これは特に、シリカ以外の固体の規則的メソポーラス材料の合成について当てはまる。
【0005】
メソポーラスチタニア薄膜を作ることは、とりわけそのフォトクロミックセル及び太陽電池セル、光触媒による生物分解表面コーティング、ガスセンサ及びフォトニックバンドギャップ材料における用途に有利である。しかしながら、簡単な加水分解及び縮合反応を用いてメソポーラスチタニア材料を調製しようとする試みは、熱ロバスト性の生成物を生み出す結果となっている。その結果、いくつかの合成後か焼方法を用いてメソポーラスチタニア材料の熱安定性を増す試みが行われている。粉末の合成については、最も熱的に安定な材料はCassiers他[1]が製造したと思われ、か焼していないメソポーラスチタニア粉末のアンモニアによる後処理が、600℃までの熱安定性を有するメソポーラス結晶チタニアを形成する結果となったことを報告している。しかしながら、それらの研究では、製造された物質が重要な長距離範囲での規則性を有するかどうかが明確でない。これまで作られている最も安定な膜はSanchez及びGrosso他[2]により合成され、高品質のメソポーラスTiO薄膜の調製に蒸発有機自己組織化(EISA)法が用いられている。これには、膜を合成した後に低温(〜500℃)でか焼すること、及び次に「遅らせた高速結晶化」と称する短時間の730℃への暴露を含む短い合成後処理を行うことが含まれる。この結果、500℃の温度まで長期間の熱安定性を有すると断言する材料が得られた。しかしながら、これらの生成物は、長距離範囲の規則的メソポーラス構造が部分的に崩壊することにより形成されることから、それが有する長距離範囲の規則性は制限されているに過ぎない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、これらの問題を解消して、メソポーラス薄膜材料を製造するための改善された方法が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ゾルを調製し、かつ前記ゾル材料を超臨界液体条件で処理する過程を有する、メソポーラス材料を調製するための方法が提供される。超臨界流体条件下での前記処理によって規則的メソポーラス材料を形成する。
【0008】
ある実施例では、前記メソポーラス材料がメソポーラス膜である。この場合、前記方法は前記ゾルを基板に塗布してメソポーラス膜を形成し、かつ次に前記膜を超臨界流体条件下で処理する過程を有することができる。
【0009】
別の実施例では、前記メソポーラス材料がメソポーラス粉末である。この場合、前記方法は、前記ゾルを超臨界流体条件で直接処理して、メソポーラス粉末材料を形成する過程を有することができる。
【0010】
或る実施例では、前記ゾル材料がシレート化剤の存在下で超臨界流体条件で処理される。前記シレート化剤を、前記超臨界流体処理の際に分解されてシリカを形成するシリコン含有材料から選択することができる。シレート化剤はシリコンアルコキシド又は有機シランとすることができる。前記シレート化剤は、テトラメチロキシシラン又はテトラメチルシランとすることができる。
【0011】
或る実施例では、前記ゾル材料が、チタネート剤の存在下で超臨界流体条件で処理される。前記チタネート剤は、超臨界流体処理の際に分解されてチタニアを形成することができるチタニウム含有材料から選択することができる。前記チタネート剤はチタニウムアルコキシドとすることができる。前記チタネート剤は、チタニウムテトライソプロポキシド又はチタニウムテトライソブトキシドとすることができる。
【0012】
別の実施例では、前記超臨界流体が、二酸化炭素、プロパン、エタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、アンモニア及び水のいずれか1つ又は複数から選択される。
【0013】
前記方法は、シレート化剤又はチタネート剤又は類似の無機化合物の存在下で500℃までの温度で行うことができる。前記超臨界流体処理を、前記流体の臨界圧力より大きい圧力で行い、かつ前記温度を前記流体の臨界温度より20℃低くすることができる。
【0014】
或る実施例では、超臨界流体での処理後に、前記メソポーラス材料が200乃至1000℃の間の温度で空気又は空気−オゾン混合物中でか焼される。
【0015】
或る実施例では、前記ゾルが表面活性剤鋳型、元素酸化物プリカーサ無機化合物、触媒、及び溶媒からなる。前記プリカーサ無機化合物は、最終的メソポーラス酸化物構造におけるカチオンの供給源として加水分解可能な化合物とすることができる。前記プリカーサ化合物はSi, Al, Ti, B, La, Zr, Hf, Y及びWのいずれか1つ又は複数から選択された化合物とすることができる。前記プリカーサ化合物はアルコキシド又は塩化物とすることができる。また、前記プリカーサ化合物には、硼素、ランタン、イットリウム及びハフニウムのアルコキシド又は塩化物が含まれる。
【0016】
ある場合には、前記溶媒が、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール及び1−ブタノールのいずれか1つ又は複数から選択されるアルコールである。
【0017】
ある実施例では、前記触媒が酸触媒である。前記酸は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、酢酸及びクエン酸のいずれか1つ又は複数から選択することができる。別の実施例では、前記表面活性剤が、ポリエチレン(PEO)、ポリプロピレン(PPO)、ポリアルキルオキサイド材料のトリブロック共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びセチルトリメチルアンモニウムブロミドのようなイオン極性基及びアルキル鎖からなるアニオン又はカチオン表面活性剤からなる群から選択される。
【0018】
或る実施例では、前記ゾルが、前記ゾル混合物を−4℃乃至80℃の温度に2時間まで加熱することによって調製される。
【0019】
前記方法は、前記ゾルを冷却しかつ所定量の水を−4℃乃至25℃の温度に制御して、2次無機プリカーサ化合物を添加して交差縮合プロセスを生じさせる前に、部分的に加水分解された生成物を製造する過程を有することができる。
【0020】
或る実施例では、調製された前記ゾルが、一定の時間0℃乃至80℃の温度で放置される。
【0021】
前記ゾル材料は、スピンコーティング又はディップコーティングで基板に塗布することができる。前記膜を20℃乃至200℃の温度で段階的に乾燥することができる。
【0022】
前記界面活性剤は、メソポーラス材料の孔径を制御するように選択することができる。
前記超臨界流体の圧力及びその温度は、メソポーラス材料の孔径を制御するように選択することができる。
【0023】
本発明によれば、本発明の方法により調製した規則的メソポーラス材料が提供される。この材料は、規則的メソポーラス膜材料又は規則的メソポーラス粉末材料とすることができる。
【0024】
別の側面では、本発明によれば、規則的な孔の配列を有するメソポーラス材料が提供される。孔径は1乃至30nm、好ましくは1乃至15nm、一般には1乃至5nmとすることができる。
【0025】
規則的メソポーラス材料は膜の形態又は粉末の形態とすることができる。メソポーラス材料は元素酸化物により形成することができる。
【0026】
本発明によれば、元素酸化物(シリカ、チタニア、ジルコニア、ドープドシリカ及び多くの他の元素酸化物を含む)の高品質元素酸化物膜を基板上に、スピンコーティング及び超臨界二酸化炭素(sc−CO)二酸化炭素における前記膜の後処理によって調製する簡単かつ再現可能な方法が提供される。本発明の合成方法によって、熱ロバスト性を高めた元素酸化物の結晶及びアモルファス膜を調製することが可能である。本願発明者らは、600℃までの温度に空気中で安定な熱安定長距離範囲規則的メソポーラス膜を調製できることを示した。さらに、配列の規則正しさは低いが850℃まで熱的に安定で構造の明確なメソポーラス膜を調製することができる。
【0027】
本発明によれば、その直径が1乃至30nm、通常は1乃至15nm及び一般に1乃至5nmである孔の規則正しい配列を有するポーラスが元素酸化物膜を形成するための方法が提供される。形成されるポーラス元素酸化物は、従来の方法で調製されたメソポーラス膜と比較して、熱安定性の向上を示す。反応条件及び使用する界面活性剤の量及び種類を注意深く制御することによって、メソポーラス層の孔寸法及び構造を事前に決定することができる。
【0028】
本発明によれば、より以前の従来方法で処理された材料よりも肉眼で見える割れが大幅に少ない、規則正しく熱安定な規則的メソポーラス膜が得られる。本発明は特に、その化学的特性のために、形成することが困難であるか又は低温で孔崩壊の傾向がある元素酸化物の熱安定な膜の調製に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は添付図面を参照しつつ、単なる実施例として以下に記載される詳細な説明からより明確に理解することができる。
図1は、本発明による方法を示すフロー図であり、規則的メソポーラス元素酸化物膜を形成する一般的な方法を示している。まず、元素酸化物ゾルを、ブロック1で示すように調製する。次に、前記ゾル−ゲルを基板上にデポジットして、ブロック2で示すように膜を形成する。次に、ブロック3で示すように、デポジットした通りの膜を乾燥させかつ高密度にする。前記膜を超臨界流体内で、かつシレート化剤、チタネート剤又は類似の薬剤(ブロック4)のような二次プリカーサ材料の存在下で処理して、ロバストな孔構造を有する規則的メソポーラス薄膜を作る。最後に、ブロック5で示すように、前記膜をか焼して、有機物のないメソポーラス酸化物膜を作成する。
【0030】
図2は、sc−CO/TMOS処理の有利な効果を示している。2シータ0乃至5℃の角度における低角度粉末X線回折(PXRD)データは、規則的メソポーラスサンプルがこの範囲内で十分に分離した特徴を示すことから、メソ細孔性を示すものである。sc−CO処理前の基板コーティングした材料のサンプルを、sc−CO処理後の類似のサンプルと比較した場合、sc処理した膜のさらなる熱ロバスト性が容易に観察される。未処理の膜の場合には、孔の崩壊が350℃で開始し(強度の喪失及びピークの移動によって示すように)かつXRD特徴がなくなる450℃で完了する。sc−CO/TMOS処理したサンプルは、未処理のサンプルよりも約250℃高い600℃を超える温度まで加熱するまで全く構造的変化を示さない。この温度以上では、多少の孔の凝結により説明されるいくらかの構造的変化が生じるが、大部分の細孔性は850℃で熱処理されるまで維持される。前記サンプルは、48時間800℃で加熱したときにメソ細孔性を維持する。
【0031】
図3は、作製されたチタニア膜のメソポーラス構造が600℃の加工温度まで高度に規則正しいことを示すTEM画像を表している(図3A)。この加工温度以上では、孔の細孔性によって相の規則性が低下し、孔がより大きくなることになる(図3B)。
【0032】
図4は、上述した膜の2次電子顕微鏡画像を示している。これらの膜は、膜の収縮及び合成時の割れの形成に関連する応力を防止するsc−CO/TMOSプロセスによって、肉眼で見える割れが存在しない。
【0033】
用語
本願では、規則的メソポーラス構造を、六方晶、立法晶又は層状構造として説明される対称性を有する規則的な配列に孔が構成されている構造として定義する。これにより、規則的メソポーラス構造は、例えば固体の粒子間のトラップ容積の結果生じた蛇行状のメソ細孔から形成されるランダムなメソポーラスと同じものではない。ここで形成される規則的メソポーラス構造は、頭字語MCM[Mobil Composition of Matter]又はSBA[Santa Barbara]を用いて先に説明した材料と類似するものである。本願では、有機鋳型を、溶媒−界面活性剤相互作用により定義される溶媒における界面活性剤分子の集合に由来する明確な正則構造配列として定義される。また、前記有機鋳型は、構造指向剤(SDA)として説明することができる。一般的な界面活性剤は、PEO60PPO20PEO60の化学式を有するポリエチレン(PEO)及びポリプロピレン(PPO)のトリブロック共重合体である。無機プリカーサは、他の化学化合物と反応して酸化物材料を生成する化合物である。前記酸化物材料は、有機鋳型構造の周囲に現れて、有機成分を除去する処理に対して残存する無機酸化物骨格を形成する。前記無機元素即ち前記プリカーサの元素は、周期表の典型元素又は遷移元素系列からのものとすることができる。一般に、これらはシリコン、硼素、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、又はセリウムとすることができる。最も適当な(必ずしも唯一ではないが)プリカーサはオルトケイ酸テトラエチル若しくはチタニウムテトライソプロポキシドのような元素アルコキシド化合物又は四塩化シリコン若しくは四塩化チタニウムのような元素ハロゲン化物である。前記プリカーサを(界面活性剤及び溶媒及び他の材料の存在下で)水及び加水分解触媒で処理して、水酸基を含む分子又は分子集合体を得る。これらの水酸基を含む種は、水又はHX(X=OR又はハロゲン化物)を除去することにより反応して、縮合反応として知られる−M−O−M−(Mはカチオンを表し、Oは酸素イオンを表す)結合を生成する。前記縮合反応の生成物は、元素酸化物、水酸化物及び無機−有機結合を含む、化学的、構造的及び化学量的に十分に明確でない固体又はゲルである。交差縮合は、2つの異なるカチオンが化学結合を介して結合されたゲルの成分であることを意味する用語である。注いだときに容易に流れる稀釈ゲルをゾルと称する。超臨界流体は、それ以下では状態変化が温度及び/又は圧力の変化により生じ得る臨界温度(T)又は臨界圧力(P)以上の元素、化合物又は混合物として定義される。本願では、シリル化剤を、本願発明者らの実験で使用した条件下で、SiOとのプリカーサとして作用し又はSi−OH結合と反応し得るシリコン含有化合物として定義する。か焼は、空気中での熱処理により有機鋳型を除去することとして定義される。別の実施例として、空気及びオゾンの混合物を有機鋳型の除去に用いることができる。
【0034】
使用した界面活性剤は、制限するものではないが、次のものの1つとすることができる。即ち、ポリエチレン(PEO)、ポリプロピレン(PPO)、ポリアルキルオキサイド材料のトリブロック共重合体、一般式PEOxPPOyPEOzを有するトリブロック中性界面活性剤(例えば、BASFのPluronic Materials、P127、P123、P65)、一般式PEOxPPOyを有するジブロック中性共重合体及びポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばCxH2X+1-O-(CH2-CH2O)ZH(例えば、Uniquemaから市販されているBrij材料、Brij56、Brij55)である。
【0035】
使用されるアルコール形の溶媒には、限定するものではないが、次のメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールの1つとすることができる。
【0036】
適当なシレート化剤は、限定するものではないが、次のテトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラプロポキシシラン(TPOS)、テトラブトキシシラン(TBOS)、テトラメチシラン、及びテトラエチシランの1つとすることができる。
【0037】
適当なチタネート剤は、限定するものではないが、例えば、必ずしもというわけではないが、チタニウムテトライソプロポキシド又はチタニウムテトライソブトシキドのようなチタニウムアルコキシドとすることができる。
【0038】
前記ゾルを調製するのに使用する元素酸化物源は、限定するものではないが、酵素、ランタン及びイットリウム、チタニウム又はジルコニウム、シリコン、タングステン、ハフニウムのアルコキシド又は塩化物とすることができる。
【0039】
或る実施例では、前記溶液を基板上に、エタノールで稀釈した前記溶液をスピンコーティングすることによってデポジットする。最適には、前記溶液を50%に稀釈するが、最終的な膜の所望の膜厚によって他の濃度に稀釈することができる。理想的には、前記溶液を100rpmで10秒間スピンコーティングし、次に1000乃至5000rpmで50秒間、その速度に5秒以上で勾配をもたせて、スピンコーティングする。その結果、目に見える割れのない、透明で均一に被覆された膜が得られる(図4)。
【0040】
別の実施例では、ディップコーティングを用いて、選択した基板を被覆することができる。ディップコーティングは通常、稀釈していない溶液で行われ、前記基板を浸漬しかつ毎分0.2〜2cmの速度で引き出す。最適には、前記基板を浸漬しかつ0.5cm/分で引き出す。また、前記溶液は、エタノール又は他の適当な溶媒で稀釈して、最終的な膜の厚さを制御することができる。
【0041】
元素酸化物メソポーラス膜の調製に使用される界面活性剤の濃度の制御によって、その結果得られる前記膜の孔構造を事前に決定することができる。六方晶及び層状構造は、それぞれ孔及びポーラス面の平行な配列を有する。立方晶構造は、表面への及び表面からの輸送を可能にする、膜全体を走るチャネルを有する。これは、吸収剤、触媒又はセンサデバイス及びセンサの用途に使用されるポーラス膜について望ましい特徴である場合がある。
【0042】
元素酸化物規則的メソポーラス膜は数段階で調製され、かつこれらは図1に概略的に示されている。
【0043】
工程1:最初の工程では、ゾルを適当な化合物から調製する。これは、メソポーラス材料の無機構造のプリカーサである。この化合物は、水酸化物種が形成されるように加水分解可能なものでなければならない。この水酸化物種は、縮合して元素−酸素−元素結合を形成するべきものである。前記プリカーサを次の成分、ほとんどの場合アルコール中にある適当な溶媒、構造指向剤(界面活性剤鋳型)の混合物、酸加水分解触媒、及び制御した量の水と混合する。前記ゾルを−5乃至80℃の温度で調製することができる。前記ゾルは清澄かつ目に見える粒子がない状態で、高品質の膜を作製すべきものである。重要なことは、部分的加水分解を用いて、混合カチオン組成のメソポーラス材料を作ることである。前記量の水及び前記温度を用いて、前記カチオンの1つの部分的に加水分解されたプリカーサ化合物を得ることができる。次に、2次プリカーサを加えて、交差縮合を可能にして、混合元素酸化物メソポーラス材料を生成する。冷却した溶液に2次アルコキシドを加えることによって、-Al-OH
+ OH-Si- …… -Al-O-Si- + H2Oのような反応を介して交差縮合を形成する2次プリカーサの反応が可能になる。
【0044】
これは、例えばアルミニウムのような元素が孔壁に直接組み込まれ、その結果としてメソポーラス膜の機械的強度及び接着を増している。
【0045】
工程2:工程1で生成されたゾルは、一定の時間放置する。これは1分から数日までであり、0乃至80℃の温度で行うことができる。このプロセスの目的は、前記ゾルの粘度を変えて膜の形成を可能にすることである。前記ゾルの粘度は、縮合プロセスにおける溶媒の蒸発及び無機ポリマ鎖の架橋のために時間及び温度によって増加する。前記ゾルは、適当なアルコールに希釈して、製造される膜の厚さを制御することができる。前記膜は、スピンコーティング又はディップコーティングによって、シリコン、ガラス、アルミナ、シリカなどのような基板に塗布すると最も好都合である。スピンコーティングの場合には、計量した1滴のゾルを基板の中央に置いて、50乃至10000回転/分の回転速度を用いることができる。ディップコーティングの場合には、サンプルをゾル中に配置し、かつ0.5mm/秒乃至数cm/秒の速度で取り出すことができる。前記ゾルは通常、0乃至40℃の温度で塗布する。
【0046】
工程3:スピンコーティングした又はディップコーティングしたままの膜は、更に処理して、無機壁の高密度化及び/又は無機−界面活性剤集合体の規則化(構造的な向き)を可能にすることが必要な場合がある。これには、工程2で記載されるように調製した、コーティングした状態の前記膜を2次的に熱処理する工程が含まれる。溶媒は、20乃至80℃の温度で数時間又は数日に亘って乾燥させることにより除去することができる。前記ゾルが規則的な構造を持たない場合には、前記溶媒の蒸発の際に、界面活性剤及び無機成分の濃度が、規則的なポーラス構造の集合を誘起するのに十分高いものになっている場合がある。二次的な段階では、より高温での処理が必要であり又は必要でない場合がある。これによって、孔壁を、以下に工程4において説明する超臨界流体処理に対して膜が残るように高密度化し、かつ基板への接着を促進させることができる。この処理は通常、60℃乃至200℃の温度で加熱する過程からなり、その温度は、有機界面活性剤分子の分解又は減成を生じさせる程度に高いものにすべきではない。
【0047】
工程4:これは超臨界流体処理であり、非常に高い熱安定性を有しかつ高度に規則化されたメソ細孔性を示す膜又は粉末を実現する役目を持っている。工程3で説明した前記膜を、制御された量のシレート化剤、チタネート剤又は類似の薬剤と共に高圧セル内に配置し、かつその圧力及び温度が臨界値以上にあるように流体に暴露させる。この処理の際に、サンプルを加熱して500℃までの温度で反応を生じさせることができる。本願発明者らは、超臨界流体で処理した膜の高い熱安定性を、Siの分散及びそのメソポーラスマトリックスとの相互作用に帰することができると考えている。超臨界流体シレート化処理の際に、前記シレート化剤からの追加のシリコン種が前記膜のメソポーラス壁構造内に浸透して、高圧下でのsc−COの高い浸透力によって表面及び表面近傍双方の部位を占めることができる。Si種のメソポーラス壁オキソ−ヒドロキソオリゴマとの相互作用が結局、前記膜を相当高い温度でか焼したときに更なる構造的な収縮に耐え得る緻密で高密度化された壁を導くことになる。従って、後処理した膜の高密度化した壁は、高温処理の際に孔が大きく収縮することなく、高い熱安定性を示す。
【0048】
工程5:前記基板及び膜を超臨界流体プロセス条件から取り出し、かつ更に空気又は空気/オゾン混合物中で数分乃至数日間に亘って200乃至1000℃の温度でか焼し、開口細孔(即ち、有機界面活性剤が存在しない)からなる膜を提供し、かつ全てのカチオン種が酸化物に転換される。
【実施例】
【0049】
本発明は、以下の実施例からより明確に理解される。
実施例1:メソポーラスチタニア膜の調製
メソポーラスチタニア膜を作るために、プリカーサ溶液を、チタニウムテトライソプロポキシド (Ti(i-PrO)4,
TTIP)、化学式EO18PO58EO18で与えられるポリブロック共重合界面活性剤、塩酸(HCL)及び無水エタノール(EtOH)を1.0TTIP:0.02界面活性剤:2.0HCL:35.2EtOHのモル比で用いて調製した。室温で15分乃至3時間に亘って撹拌することにより、清澄な溶液を得た。前記溶液をシリコン又はガラス基板上に滴下しかつ前記基板を3110rpmで20秒回転させた。得られた膜を空気中で60℃の環境温度で24時間熟成し、次に150℃で48時間アニールした。処理した膜の調製のために、前記基板上のチタニア膜を20cm高圧セル内に0.02cmのテトラメトキシシラン(TMOS)と共に置いた。前記セルを三方向弁を介してステンレス鋼の貯留槽(21cm)に取り付けた。高圧ポンプ(ISCO Instruments、PA)を用いて、前記貯留槽を介してCOを反応セル内に注入した。前記セルを炉内に配置し、300〜500℃に加熱しかつ同時に34.5〜48.3MPaに加圧した。この条件で約15分間反応を進行させた。膜を前記セルから取り出し、かつ通常の炉内で、空気中で様々な温度でそれぞれ1時間に亘ってか焼した。このプロセスにおいて熱分解で前記界面活性剤を除去して、規則的メソポーラス元素ケイ酸化物膜を得た。得られた膜は、シリコンが直接孔壁内に組み込まれ、それが膜の熱ロバスト性を増して、膜の構造的完全性を弱めることなく、前記膜上で次のプロセス運転を完了できるようにしている。
【0050】
この調製において、使用される各界面活性剤の量だけでなく、使用する界面活性剤の種類及び混合を注意深く選択することによって、孔のサイズ及び構造を変化させることができる。
【0051】
実施例2:メソポーラスジルコニア膜の調製
メソポーラスジルコニア膜を作るために、n−プロパノール(PrOH)中の70重量%溶液としてのジルコニウムプロポキシド(Zr(PrO))、化学式EO106PO70EO106のトリブロック共重合界面活性剤、塩酸(HCl)、及び無水エタノール(EtOH)を、1.0Zr(PrO):0.0075界面活性剤:3HCl:35.2EtOH:2.4PrOHのモル比で用いて、プリカーサ溶液を調製した。室温で3時間撹拌することによって、清澄な溶液を得た。前記溶液をシリコン又はガラス基板上に滴下し、前記基板を2500rpmで20秒間回転させた。得られた膜を、空気中で60℃の環境温度で12時間熟成させ、かつ次に150℃で24時間アニールした。処理した膜の調製のために、前記基板上のジルコニア膜を20cm高圧セル内に0.02cmのテトラメトキシシラン(TMOS)と共に置いた。前記セルは、三方向弁を介してステンレス鋼の貯留槽(60cm)に取り付けた。高圧ポンプ(ISCO Instruments、PA)を用いて、前記貯留槽を介してCOを前記反応セル内に注入した。前記セルを48.3MPaに加圧し、次に炉内に配置して100℃に加熱した。この条件で約15分間反応を進行させた。前記膜を前記セルから取り出して、通常の炉内で、空気中で様々な温度でそれぞれ1時間に亘ってか焼した。このプロセスで熱分解により前記界面活性剤を除去して、規則的メソポーラスジルコニア膜を得る。得られた膜は、シリコンが直接孔壁内に組み込まれ、それが膜の熱ロバスト性を増して、膜の構造的完全性を弱めることなく、前記膜上で次のプロセス運転を完了できるようにしている。
【0052】
この調製において、使用される各界面活性剤の量だけでなく、使用する界面活性剤の種類及び混合を注意深く選択することによって、孔のサイズ及び構造を変化させることができる。
【0053】
実施例3:メソポーラスシリカ膜の調製
EO20PO70EO20で表されるトリブロック界面活性剤1.4gを15cmの無水エタノールに加えて、1時間40℃で撹拌した。次に、0.5cmの0.1モルHClを加えた。これに続いて5cmのテトラエトキシシラン(TEOS)及び0.5cmの蒸留水を加えて、力強く撹拌した。これらの添加には約5分を要した。前記溶液を室温で3時間撹拌した。次に、作製した前記ゾルを12〜15時間室温で放置して、有効なスピンコーティングを可能にする適正な粘度のゾルを得た。得られたゾルを等量のエタノールで稀釈しかつ次にシリコン基板上に滴下し、かつ次に前記基板を3110rpmで20秒間回転させた。得られた膜を空気中で60℃の環境温度で24時間熟成させ、かつ次に150℃で48時間アニールした。このように加工された膜を、上述したようにsc−SO及びTMOS中で処理した。前記基板上のシリカ膜を20cm高圧セル内に0.02cmのテトラメトキシシラン(TMOS)と共に置いた。前記セルを炉内に配置して、300〜500℃で加熱しかつ同時に34.5〜48.3MPaに加圧した。この条件で約15分間反応を進行させた。前記膜を前記セルから取り出して、通常の炉内で、空気中で様々な温度でそれぞれ1時間に亘ってか焼した。このプロセスで熱分解により前記界面活性剤を除去し、規則的メソポーラスシリカ膜を得る。図5は、PXRDで示すように、か焼温度(熱分解に使用)の関数として膜のメソポーラス構造を示している。750℃の温度まで、前記膜は、1.5乃至2°(2シータ)の強い回折特徴によって示されるような十分に規則正しいメソポーラス構造を示す。前記膜が孔の崩壊を示し始めるのは、850℃の温度まで加熱したときだけである。この劣化温度は、非超臨界/TMOS処理したサンプルの場合よりも約300℃高い。
【0054】
前記基板にスピンコートするために用いた前記ゾルは、次のようにして調製することができる。C16H33(OCH2CH2)10OH)で示すようなトリブロックポリマ界面活性剤7gを13.5cmのEtOH、25cmのTEOS及び2.5cmの0.12モル塩酸と直接混合した。これを加熱しつつ、45℃で15分間撹拌した。次に、前記混合物を氷で25℃で冷却し、それにより、反応が数時間に亘って安定するように、シリコンプリカーサの加水分解の速度を効果的に低下させた。1gのアルミニウムsec−ブトキシドを添加し、かつ混合物を10分間25℃の温度で撹拌した。前記調製に続いて、前記ゾルを24時間室温で放置した。次に、シリコン基板を上述したようにコーティングし、かつ前記sc−CO/TMOS処理で加工した。この方法で類似の熱ロバスト性を有する類似の膜を調製した。唯一の差は、前記メソポーラス薄膜シリカの孔が、前記トリブロックポリマ界面活性剤で調製した膜の場合よりも互いにより接近していることであった。この場合に、孔間距離における変化は、界面活性剤の特性に関連するが、プロセス条件には関連しない。
【0055】
実施例4:メソポーラスチタニア膜の調製
メソポーラスチタニア膜を実施例1で定義した通りに調製したが、sc−CO及びチタニウムテトライソプロポキシド(TTIP)を用いて前処理し、かつ高い光触媒活性を有することを証明した。前記膜は、sc−CO及びTMOS処理した膜のように非常に類似した物理的及び構造的特徴を有していたが、より良好な光触媒特性を示した。sc−CO及びTTIP前処理したTiO薄膜の光触媒活性を、次のようにステアリン酸の分解に基づいて評価した。先ずメタノール中のステアリン酸0.02M溶液をスピンコーティングの方法によってチタニアコーティングしたシリコンウエハ上にコーティングした。前記シリコンウエハを室温で3100rpmで20秒間回転させた。前記膜を様々な時間間隔で254nmの波長のUV光で露光した。光触媒のプロセスは、3100〜2700cm―1の波長範囲でステアリン酸のC−H振動バンドの吸光度を測定することによって評価した。この波長範囲では、ステアリン酸が2つの強くかつ容易に観察できる特徴を示す。実施例1において調製したようなsc−CO/TMOS処理した膜を、光触媒実験の前に550℃で1時間か焼した。3100乃至2700cm−1の波数範囲におけるIRスペクトルをUV光照射の際における時間の関数として収集したが、これらはsc−CO/TTIP処理した薄膜によるステアリン酸の光劣化を示している(図8)。ステアリン酸のC−H振動バンドは、UV光の照射の際に徐々に消失し、かつ約75分後にC−Hピークが完全に消えて、ステアリン酸の完全な劣化を示している。この劣化時間は、sc−CO及びTTIP前処理無しで調製した類似のチタニア膜で観察されるものよりも大幅に速い。
【0056】
一般に、本発明は、超臨界流体処理を用いた規則的メソポーラス元素酸化物膜の形成に関するものである。本発明によれば、従来の方法で調製した材料よりも大きな熱ロバスト性を有する膜を調製する方法が提供され、かつ所定の場合には、材料の合成における経験上の重要な問題を解消する。この方法は簡単で、広範に適用することができる。この方法は特定の界面活性剤又はその混合物に限定されるものでなく、従って前記合成により、メソポーラス膜の孔のサイズ及び構造の制御を事前に決定することが可能になる。メソポーラス膜は、本発明の方法によって一様に形成することができる。この方法は、合成工程においてプリカーサの混合物を用いて混合メソポーラス(即ち、1つ以上のカチオンを含む)酸化物膜を調製するのに用いることができる。
【0057】
メソポーラス薄膜のようなメソポーラス材料は、光触媒、吸収剤を含む触媒として、及び半導体産業における誘電体材料として利用することができる。更に、メソポーラス薄膜は、専用の化学センサ、光電子デバイス、クロマトグラフィ固定相材料、ガラス分野での薄膜、太陽電池及び燃料セルにおける材料成分として潜在的な用途を有する。
【0058】
本発明は、上述した実施例への様々な変更及びその代替物をもって実行することができる。例えば、本発明はガラス、水晶、サファイア及びアルミナのような、シリコン以外の様々な異なる種類の基板上で実施することができる。
【0059】
特定の機器、パラメータ、方法及び材料を含む特定の実施例について説明したが、当業者であって本願の開示事項について利益を有するものであれば、詳細な部分、材料及び材料の構成、本発明の特徴を説明するために記載されかつ図示した工程における様々な他の変更を、本発明の要旨及び技術的範囲から逸脱することなく行い得ることが理解される。
本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、詳細に置いて様々に変更することができる。
【0060】
参考資料
1. Cassiers, K. Linssen,T.; Meynen,V.; Voort, P. Van Der; Cool, P.;
Vansant, E. F. Chem. Commun. 2003, 1178.
2. Grosso, D.; Soler-Illia,, G. J. de A. A.; Crepaldi, E. L.; Cagnol, F.;
Sinturel, C; Bourgeois, A.; Brunet-Bruneau, A.; Amenitsch, H.; Albouy, P. A.
and Sanchez, C. Chem. Mater. 2003, 15, 4562.
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明による方法を示すフロー図である。
【図2】PXRD(粉末X線回折)パターンを示す図であっって、(A)(左側)は未処理のものであり、(B)(右側)は様々な温度でそれぞれ1時間に亘ってか焼した超臨界二酸化炭素(sc−CO)/TMOS処理したメソポーラスチタニア薄膜である。
【図3】(A)600℃以下の温度、(B)600℃以上の温度におけるか焼後のsc−CO/TMOS処理したチタニア薄膜の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。
【図4】750℃でのか焼後のsc−CO/TMOS処理したチタニア膜の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【図5】様々な温度でそれぞれ1時間に亘ってか焼したsc−CO/TMOS処理したメソポーラスシリカ膜のPXRD(粉末X線回折)パターンを示す図である。
【図6】(a)sc−CO/TMOSにより後処理した(150℃で処理)メソポーラスジルコニア薄膜及び次に後処理後に(b)450℃、(c)750℃、(d)850℃、(e)950℃でか焼したそれらの低角度XRDパターンを示す図である。
【図7】(a)sc−CO/TMOSにより処理したメソポーラスジルコニア薄膜のTEM、及び次に後処理後に(b)450℃及び(c)750℃でか焼したそれらのTEM、(d)正方晶ジルコニアの結晶粒を示す(c)の高解像度電子顕微鏡写真である。
【図8】波長254nmのUV照射下で時間の関数としてステアリン酸層のIRスペクトルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゾルを調製し、かつ前記ゾル材料を超臨界液体条件で処理する過程を有する、メソポーラス材料を調製するための方法。
【請求項2】
超臨界流体条件下での前記処理によって規則的メソポーラス材料を形成する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メソポーラス材料がメソポーラス膜である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記メソポーラス材料がメソポーラス粉末である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が前記ゾルを基板に塗布してメソポーラス膜を形成し、かつ次に前記膜を超臨界流体条件下で処理する過程からなる請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記ゾルを超臨界流体条件で直接処理して、メソポーラス粉末材料を形成する過程からなる請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ゾル材料がシレート化剤の存在下で超臨界流体条件で処理される請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記シレート化剤が、前記超臨界流体処理の際に分解されてシリカを形成するシリコン含有材料から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記シレート化剤がシリコンアルコキシド又は有機シランである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シレート化剤が、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラプロポキシシラン(TPOS)、テトラブトキシシラン(TBOS)、テトラメチシラン、及びテトラエチシランの1つ又は複数から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シレート化剤がテトラメチロキシシラン又はテトラメチルシランである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ゾル材料が、チタネート剤の存在下で超臨界流体条件で処理される請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記チタネート剤がチタニウムアルコキシドである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記チタネート剤がチタニウムテトライソプロポキシド又はチタニウムテトライソブトキシドである請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記超臨界流体が、二酸化炭素、プロパン、エタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、アンモニア及び水のいずれか1つ又は複数から選択される請求項1乃至14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記処理が500℃までの温度で行われる請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記超臨界流体処理が、前記流体の臨界圧力より大きい圧力で行われ、かつ前記温度が前記流体の臨界温度より20℃低い請求項1乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
超臨界流体での処理後に、前記メソポーラス材料が200乃至1000℃の間の温度で空気又は空気−オゾン混合物中でか焼される請求項1乃至17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記ゾルが表面活性剤鋳型、元素酸化物プリカーサ無機化合物、触媒、及び溶媒からなる請求項1乃至18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記プリカーサ無機化合物が、最終的メソポーラス酸化物構造におけるカチオンの供給源として加水分解可能な化合物である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記プリカーサ化合物がSi, Al, Ti,
B, La, Zr, Hf, Y及びWのいずれか1つ又は複数から選択された化合物である請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記プリカーサ化合物がアルコキシドである請求項19乃至21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記プリカーサ化合物が塩化物である請求項19乃至21のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒がアルコールである請求項19乃至23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記アルコールがエタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール及び1−ブタノールのいずれか1つ又は複数から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記触媒が酸触媒である請求項19乃至25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記酸が塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、酢酸及びクエン酸のいずれか1つ又は複数から選択される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記表面活性剤が、ポリエチレン(PEO)、ポリプロピレン(PPO)、ポリアルキルオキサイド材料のトリブロック共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びセチルトリメチルアンモニウムブロミドのようなイオン極性基及びアルキル鎖からなるアニオン又はカチオン表面活性剤からなる群から選択される請求項19乃至27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記ゾルが、前記ゾル混合物を−4℃乃至80℃の温度に2時間まで加熱することによって調製される請求項1乃至28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記ゾルを冷却しかつ所定量の水を−4℃乃至25℃の温度に制御して、2次無機プリカーサ化合物を添加して交差縮合を生じさせる前に、部分的に加水分解された生成物を製造する過程を更に有する請求項1乃至29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
調製された前記ゾルを一定の時間0℃乃至80℃の温度で放置する請求項1乃至20のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記ゾル材料をスピンコーティング又はディップコーティングにより基板に塗布する請求項1乃至3、5及び7乃至28のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記膜を20℃乃至200℃の温度で段階的に乾燥する請求項1乃至3、5及び7乃至28のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記界面活性剤を選択して前記メソポーラス材料の孔径を制御する過程を有する請求項7乃至33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記超臨界流体の圧力及びその温度を選択して、前記メソポーラス材料の孔径を制御する過程を有する請求項1乃至34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
請求項1乃至35のいずれかに記載の方法により調製される規則的メソポーラス材料。
【請求項37】
請求項1乃至3、5及び7乃至35のいずれかに記載される方法により調製される規則的メソポーラス膜材料。
【請求項38】
請求項1、2、4及び6乃至35のいずれかに記載される方法により調製される規則的メソポーラス粉末材料。
【請求項39】
1乃至30nmの孔径を有する部分の規則的配列を有するメソポーラス材料。
【請求項40】
前記孔径が1乃至15nmである請求項39に記載のメソポーラス材料。
【請求項41】
前記孔径が1乃至5nmである請求項39又は40に記載のメソポーラス材料。
【請求項42】
膜の形態をなす請求項39乃至41のいずれかに記載のメソポーラス材料。
【請求項43】
粉末の形態をなす請求項39乃至41のいずれかに記載のメソポーラス材料。
【請求項44】
元素酸化物により形成される請求項39乃至43のいずれかに記載のメソポーラス材料。
【請求項47】
請求項36乃至44に記載されるメソポーラス材料の触媒、光触媒、吸収剤、誘電材料、化学センサ、光電子デバイス、クロマトグラフィ固定相材料、太陽電池又は燃料セルとしての使用。
【請求項48】
請求項37、39乃至42及び44のいずれかに記載されるメソポーラス材料の触媒、光触媒、吸収剤、誘電材料、化学センサ、光電子デバイス、クロマトグラフィ固定相材料、ガラス分野用の薄膜、太陽電池又は燃料セルとしての使用。

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2007−533583(P2007−533583A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507923(P2007−507923)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【国際出願番号】PCT/IE2005/000042
【国際公開番号】WO2005/100452
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(500489473)ユニバーシティ・カレッジ・コークーナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド,コーク (12)
【Fターム(参考)】