説明

メタ−およびパラ−アラミドステープル繊維のスクリムレスフィルタフェルトを含むバッグフィルタ

本発明は、管状部分、閉鎖端部および開口端部を有するバッグフィルタであって、管状部分が、50〜79重量パーセントのメタ−アラミドステープル繊維と、21〜50重量パーセントのパラ−アラミドステープル繊維とからなる繊維の均質ブレンドのニードルパンチバットから実質的になるスクリムレスフィルタフェルトを含み、ニードルパンチバットが、1平方ヤード当たり10〜17オンス(1平方メートル当たり340〜580グラム)の坪量を有する、バッグフィルタに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたろ過性能を有する高温用バッグフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
Forstenに付与された米国特許第4,100,323号明細書および米国特許第4,117,578号明細書に開示されているようなアラミドステープル繊維を含有する高温ガス用フィルタフェルトおよびバッグフィルタを用いて、アスファルトプラント、石炭プラントおよびその他工業会社に由来する粒状物質から環境を守ることができる。かかるプラントが環境へ大きな影響を与え得ること、およびフィルタが耐えなければならない極端な化学環境のために、ろ過効率を改善し得る何らかの改善が求められている。特に、業界における傾向は、道路の舗装が必要とされる場所で操作可能な、これまで以上に可搬性に優れたアスファルト製造設備および関連のバッグハウスに向いている。これらの可搬性バッグハウスは、概ね今までよりもコンパクトであり、長さが約6メートルの旧来の大きなバッグに対して、長さが約3.5メートルと小さめのバッグを用いる。従って、軽いフィルタバッグ重量で、改善された効率を提供することのできるフィルタバッグが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、管状部分と閉鎖端部と開口端部とを有するバッグフィルタであって、管状部分が、50〜79重量パーセントのメタ−アラミドステープル繊維と、21〜50重量パーセントのパラ−アラミドステープル繊維とからなる繊維の均質ブレンドのニードルパンチバットから実質的になるスクリムレスフィルタフェルトを含み、ニードルパンチバットが、1平方ヤード当たり10〜17オンス(1平方メートル当たり340〜580グラム)の坪量を有する、バッグフィルタに関する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】スクリムレスフィルタフェルトを有するバッグフィルタの一実施形態を示す。
【図2】表1のろ過性能データを表わす。
【図3】表2のろ過性能データを表わす。
【発明を実施するための形態】
【0005】
一実施形態において、本発明は、50〜79重量パーセントのメタ−アラミドステープル繊維と、21〜50重量パーセントのパラ−アラミドステープル繊維とからなる繊維の均質ブレンドのニードルパンチバットから実質的になるスクリムレスフィルタフェルトを含む管状部分を有するバッグフィルタに係わる。このスクリムレスフィルタフェルトは、100%メタ−アラミドフィルタフェルトに比べると、驚くべきろ過効率性能を有する。
【0006】
「スクリムレスフィルタフェルト」とは、フィルタフェルトが、高温ガスろ過バッグハウス中のバッグフィルタが空気圧変動から受けるであろう機械加工に対して安定であり、いずれのタイプの支持布スクリムも必要なく、また取り付けられてもいないことを意味する。スクリムレスフィルタフェルトは、繊維のニードルパンチバットから実質的になる。繊維のバットは、エアレイングまたはカーディング等の従来の不織シート形成プロセスから得ることができ、ある実施形態においては、アンニードル繊維の層を、従来の技術を用いてクロスラップして、フェルトに必要な十分な坪量の厚い繊維バットが形成される。不織布およびフェルトの製造に有用である業界において公知の方法の例である米国特許第2,910,763号明細書および第3,684,284号明細書に開示されているようなニードルパンチを用いるプロセスにより、繊維バットは、スクリムレスフィルタフェルトへと圧密される。
【0007】
ステープル繊維のバットは、50〜79重量パーセントのメタ−アラミドステープル繊維と、21〜50重量パーセントのパラ−アラミドステープル繊維の均質ブレンドからなる。ある実施形態において、ステープル繊維のバットは、50〜68重量パーセントのメタ−アラミドステープル繊維と、32〜50重量パーセントのパラ−アラミドステープル繊維の均質ブレンドからなる。好ましい実施形態において、メタ−とパラ−アラミドステープル繊維の両方共が捲縮されていて、両者共、1インチ当たり7〜14の捲縮(1cm当たり2.5〜5.5の捲縮)の捲縮頻度を有する。ステープル繊維は、バットおよびスクリムレスフェルトに、均質ブレンドとして配列される。すなわち、このタイプのステープル繊維は、バットおよびフェルトに、均一に混合および分配される。これによって、フェルトに均一な混合物を形成して、フェルトのいずれの部分においても、1つのタイプの繊維を高濃度に含んだ局所領域が一切ないようにする。
【0008】
均質ステープル繊維ブレンドは、多くの方法により形成することができる。例えば、一実施形態において、異なる種類のステープル繊維の梱から得た捲縮ステープル繊維の塊は、ピッカー等の装置により開いてから、空気搬送等の任意の利用可能な方法によりブレンドして、より均一な混合物を形成することができる。変形実施形態において、ピッカーにおいて繊維を開く前に、ステープル繊維をブレンドして、混合物を形成することができる。さらに他の可能な実施形態において、ステープル繊維は、カッターブレンドしてもよい。すなわち、繊維タイプのトウを結合してから、ステープルへと切断することができる。すると、繊維のブレンドを、不織フェルトへと変換することができる。一実施形態において、これには、カード等の装置を用いることにより繊維状ウェブを作製することが含まれる。ただし、繊維のエアレイング等の他の方法を用いることができる。必要なら、繊維状ウェブを、コンベヤを介して、クロスラッパー等の装置に送って、個々のウェブを一枚づつ互いにジグザグ構造に重ねていくことにより、クロスラップ構造を形成することができる。必要なら、重い坪量のステープル繊維のニードルパンチバットを、2つ以上の軽く圧密した低い坪量のバットから作製することができる。例えば、低い坪量のバットは、標準的なニードルパンチ機に軽く粘着または軽く圧密でき、これら低い坪量のバットの2つ以上を結合して、両側で一緒にニードルパンチすることにより互いに取り付けて、ろ過フェルトを生成することができる。
【0009】
スクリムレスフィルタフェルトは、アラミド繊維のブレンドからなる。これらの繊維は、例えば、175℃以上の高温ガスのろ過に特に有用だからである。ポリエステル等の繊維は、それらのガラス転移温度が比較的低い(約150℃)ため、高温では有用でない。すなわち、ガラス転移温度を超えると、繊維とフィルタバッグの機械的完全性が損なわれるであろう。フィルタバッグのフィルタ媒体中のポリエステル繊維(または比較的低ガラス転移温度の他の材料)の量がたとえ少量でも、高温での性能が損なわれる可能性がある。アラミド繊維は、200℃を超えるガラス転移温度を有するため、ポリエステルよりも高温で、より機械的にかなり安定であり、ポリエステル含有バッグを損傷するであろう200℃を超える温度変化に耐えることができる。
【0010】
メタ−アラミド繊維は、メタ−配向合成芳香族ポリアミドを含み、パラ−アラミド繊維は、パラ−配向合成芳香族ポリアミドを含む。ポリマーは、繊維へと成形するために、繊維形成分子量のものでなければならない。ポリマーは、ポリアミドホモポリマー、コポリマーおよび主に芳香族であるこれらの混合物を含むことができる。アミド(−CONH−)結合の少なくとも85%は、2つの芳香族環に直接付加している。環は、非置換または置換とすることができる。2つの環またはラジカルが、分子鎖に沿って互いにメタ配向であるときは、ポリマーはメタ−アラミドである。2つの環またはラジカルが、分子鎖に沿って互いにパラ配向であるときは、ポリマーはパラ−アラミドである。好ましくは、コポリマーは、ポリマーを形成するのに用いる第1級ジアミンの代替として10パーセント以下の他のジアミン、またはポリマーを形成するのに用いる第1級二酸塩化物の代替として10パーセント以下の他の二酸塩化物を有する。添加剤をアラミドと共に用いることができ、10重量パーセントまでの他のポリマー材料をアラミドとブレンドまたはボンドできることが分かっている。好ましいメタ−アラミドは、ポリ(メタ−フェニレンイソフタルアミド)(MPD−I)である。かかるメタ−アラミド繊維の1つは、E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DE(DuPont)より入手可能なNomex(登録商標)アラミド繊維であるが、メタ−アラミド繊維は、日本、東京の帝人(株)より入手可能な商標Tejinconex(登録商標)、Yantai Spandex Co.Ltd,Shandong Province,Chinaより入手可能なNew Star(登録商標)Meta−aramidおよびGuangdong Charming Chemical Co. Ltd.,Xinhui,Guangdong,Chinaより入手可能なChinfunex(登録商標)Aramid 1313として様々なスタイルで入手可能である。メタ−アラミド繊維は、元から耐炎性であり、数多くのプロセスを用いて乾式または湿式紡糸により紡糸することができる。しかしながら、米国特許第3,063,966号明細書、第3,227,793号明細書、第3,287,324号明細書、第3,414,645号明細書および第5,667,743号明細書には、本発明で用いることのできるアラミド繊維を製造する有用な方法が例示されている。
【0011】
一実施形態において、メタ−アラミド繊維は、少なくとも20%、より好ましくは、少なくとも25%の結晶化度を有する。例を挙げると、最終繊維の形成し易さのために、結晶化度の実際的な上限は50%である(ただし、これより高いパーセンテージも好適と考えられる)。通常、結晶化度は、25〜40%の範囲であろう。この結晶化度を有する市販のメタ−アラミド繊維の一例は、E.I.du Pont de Nemours&Company,Wilimington,Delawareより入手可能なNomex(登録商標)T450である。
【0012】
メタ−アラミド繊維の結晶化度は、2つの方法のうち1つにより求めることができる。第1の方法は、ボイドのない繊維で用いられ、第2は、ボイドが全くないわけではない繊維でのものである。
【0013】
第1の方法におけるメタ−アラミドのパーセント結晶化度は、まず、良品の実質的にボイドのない試料を用いて、結晶化度の線形較正曲線を生成することにより求められる。かかるボイドのない試料については、比体積(1/密度)は、二相モデルを用いた結晶化度に直接関連付けることができる。試料の密度は、密度勾配カラムで測定される。x−線散乱方法により非結晶と判断されたメタ−アラミドフィルムを測定したところ、平均密度が1.3356g/cm3とわかった。次に、完全結晶のメタ−アラミド試料の密度は、x−線ユニットセルの寸法から求めたところ、1.4699g/cm3であった。これら0%と100%の結晶化度の終点を定めると、密度が既知のボイドのない全ての実験試料の結晶化度を、線形関係式である:
【数1】

から求めることができる。
【0014】
多くの繊維試料がボイドが全くないわけではないので、結晶化度を求めるには、ラマン分光法が好ましい方法である。ラマン測定法は、ボイド含量に感受性がないため、1650cm-1でのカルボニル結合伸縮の相対強度を用いて、ボイドがあってもなくてもいずれの形態のメタ−アラミドの結晶化度を求めることができる。これを行うために、結晶化度と、1002cm-1でのリング伸縮モードの強度まで正規化された1650cm-1でのカルボニル結合伸縮の強度との間の線形関係を、結晶化度を予め求め、上述した密度測定から公知である、ボイドが最少の試料を用いて展開した。密度較正曲線に依存する次の経験的な関係式、
【数2】

(式中、I(1650cm-1)は、その点でのメタ−アラミド試料のラマン強度である)を、Nicolet型番910FT−ラマン分光計を用いて、パーセント結晶化度について展開した。この強度を用いて、実験試料のパーセント結晶化度をこの等式から計算する。
【0015】
メタ−アラミド繊維は、溶液から紡糸し、冷却し、追加で加熱または化学処理を行わずに、ガラス転移温度より低い温度を用いて乾燥すると、最小レベルのみの結晶化度を現す。かかる繊維は、ラマン散乱技術を用いて繊維の結晶化度を測定すると、15パーセント未満のパーセント結晶化度を有する。結晶化度の低いこれらの繊維は、加熱または化学的手段を用いることにより、結晶化できるアモルファスメタ−アラミド繊維と考えられる。結晶化度のレベルは、ポリマーのガラス転移温度またはそれ以上での加熱処理により増大することができる。一般的に、所望量の結晶化度を繊維に付与するのに十分な時間にわたって張力をかけて加熱ロールと繊維を接触させることにより、かかる熱は加えられる。
【0016】
m−アラミド繊維の結晶化度のレベルは、化学処理により増大することができ、ある実施形態においては、これには、布に組み込まれる前に繊維を着色、染色または疑染色する方法が含まれる。いくつかの方法は、例えば、米国特許第4,668,234号明細書、第4,755,335号明細書、第4,883,496号明細書および第5,096,459号明細書に開示されている。染色キャリアとしても知られている染色助剤を用いて、アラミド繊維の染料染着の増大を補助してもよい。有用な染料キャリアとしては、アリールエーテル、ベンジルアルコールまたはアセトフェノンが挙げられる。
【0017】
好ましいパラ−アラミドは、ポリ(パラ−フェニレンテレフタルアミド)(PPD−T)である。あるかかるパラ−アラミド繊維は、DuPontより入手可能なKevlar(登録商標)アラミド繊維である。ただし、パラ−アラミド繊維としては、日本、東京の帝人(株)より入手可能な商標Twaron(登録商標)も入手可能である。本明細書での目的のために、同じく、日本、東京の帝人(株)より入手可能で、コポリ(p−フェニレン/3,4’ジフェニルエステルテレフタルアミド)から作製される商標Technora(登録商標)繊維も、パラ−アラミド繊維と考えられる。パラ−アラミド繊維の製造方法は、概して、例えば、米国特許第3,869,430号明細書、第3,869,429号明細書および第3,767,756号明細書に開示されている。
【0018】
スクリムレスフィルタフェルトは、繊維の均質ブレンドのニードルパンチバットから実質的になり、軽量織布等の任意の支持スクリムにさらに取り付けられていないため、スクリムレスであるとされている。通常、かかるスクリムを用いて、機械的完全性および耐久性がフィルタフェルトに与えられる。従って、スクリムのないフィルタフェルトの構築には、フィルタバッグへと製造され、高温ガスバッグハウスにおいて高温ガスおよび圧力変動に晒される厳しさに耐えることができるであろう特定の機械的特徴をフェルトへ付与する必要がある。ニードルパンチバットは、1平方ヤード当たり10〜17オンス(1平方メートル当たり340〜580グラム)の坪量を有する。10oz/yd2(340g/m2)未満のスクリムレスフィルタフェルトは、機械加工に対して適切な安定性がない傾向があり、高温ガスろ過バッグハウスにおいてバッグフィルタ材料として用いると早期に破損する可能性がある。スクリムレスフィルタフェルトを介した圧力降下は坪量とともに増大するため、17oz/yd2(580g/m2)を超えるフィルタフェルト坪量は、通常、望ましくない。
【0019】
ある実施形態において、ニードルパンチバットは、バットが1平方インチ当たり約4200〜7200の全貫通数(1平方センチメートル当たり650〜1116の全貫通数)を有するようにニードルされる。実際の一実施形態において、これらの貫通数は、ニードルパンチバットの両側でほぼ等しく分かれる。すなわち、4200の全貫通数/in2(650の全貫通数/cm2)については、バットは圧密されると、約2100ニードル貫通数/in2(325貫通数/cm2)が、バットの一方の側または面でバットに、実質的に等数が、バットの他方の側または面に適用される。同様に、7200の全貫通数/in2(1116の全貫通数/cm2)については、3600ニードル貫通数/in2(558貫通数/cm2)が、一方の面でバットに、実質的に等数が、他方の面に適用される。スクリムレスフィルタフェルトの改善された耐久性が重要なこれらの実施形態については、スクリムがフェルトに存在しないため、少なくとも約4200の全貫通数/in2(650の全貫通数/cm2)が必要であると考えられる。約7200の全貫通数/in2(1116の全貫通数/cm2)を超える繊維のバットの圧密は、フェルトが過剰に圧縮されて、フェルトを介した圧力降下が大きくなるため、望ましくないと考えられる。
【0020】
ある実施形態において、スクリムレスフィルタフェルトのフェルトを通る平均排出粒子濃度の全質量により測定される、ASTM6830−02によるろ過効率は、乾燥基準での空気の立方メートル当たり0.02〜0.5ミリグラムである。他のある実施形態において、フェルトを通る平均排出粒子濃度の全質量は、乾燥基準での空気の立方メートル当たり0.05〜0.4ミリグラムである。これは、スクリムレスフィルタフェルトにとって、非常に低量の漏れであり、一般的に、メタ−アラミド繊維のみを含有する等価の坪量のスクリムレスフィルタフェルトで見られる量の半分より少ない。ある実施形態において、スクリムレスフィルタフェルトの漏れは、VDI3926による立方メートル当たりのミリグラムで、0.1〜0.4mg/m3であり、ある実施形態においては、スクリムレスフィルタフェルトの漏れは、VDI3926により、0.1〜0.25mg/m3である。VDIは、Verein Deutscher Ingenieure(The Association of German Engineers)である。
【0021】
図1に、スクリムレスフィルタフェルトを含むフィルタバッグの一実施形態を示す。フィルタバッグ1は、閉鎖端部2、開口端部3および管状部分4を有する。示した実施形態において、フィルタバッグはまた、バッグの開口端部に取り付けられた止め環5も有する。止め環は、ばね鋼または任意のその他の好適な材料で作製することができる。このバッグの管状部分4は、スクリムレスフィルタフェルトで構成されており、重なって、ステッチ7により縫われたシーム6が形成されている。本実施形態における閉鎖端部はまた、管状部分に用いるフェルトの端部に8でステッチされたスクリムレスフィルタフェルトで構成されている。図1は、好ましい実施形態を表わしているが、米国特許第3,524,304号明細書(Wittemeierら)、第4,056,374号明細書(Hixenbaugh)、第4,310,336号明細書(Peterson)、第4,481,022号明細書(Reier)、第4,490,253号明細書(Tafara)および/または第4,585,833号明細書(Tafara)に開示されているような他に可能性のあるバッグフィルタの構造、配置および特徴を用いてもよい。
【0022】
ある実施形態において、図1に示すフィルタバッグの閉鎖端部2は、管状部分に縫いつけられたスクリムレスフィルタフェルトのディスクである。他の実施形態において、閉鎖端部は、何か他の材料で作製することができる。例えば、ある状況では、金属閉鎖端部が必要かもしれない。他の実施形態において、閉鎖端部は、縫いつける以外に、何か他のやり方で、超音波、接着または熱シームまたはシールすることができる。別の実施形態において、スクリムレスフィルタフェルトを含むバッグの管状部分の一端にギャザーを寄せる、または折ってからシールして閉鎖端部を形成することができる。ある実施形態において、バッグの開口端部3にハードウェアを与えて、バッグをセルプレートに取り付けてもよい。他のある実施形態において、バッグの開口端部のサイズを変えて、特別に設計されたセルプレートにバッグを滑らせることによって滑り嵌めがなされるようにしてもよい。
【0023】
本明細書で用いる、「フィルタバッグ」には、図面に開示された一般的な型のフィルタバッグばかりでなく、フィルタポケットやエンベロープバッグをはじめとする多くのその他の異なる実施形態のバッグフィルタまたは管状フィルタも含まれることを指す。バッグの管状部分は、丸または円筒管に限定されるものではなく、フィルタポケットやエンベロープバッグに用いることのできる、例えば、平板管等のものも含まれる。
【0024】
試験方法
酸化アルミニウムダストを用いる手順ASTM D6830−02「Standard Test Method for Characterizing the Pressure Drop and Filtration Performance of Cleanable Filter Media」および手順VDI3926「Standard Test for the Evaluation of Cleanable Filter Media」を用いて、ろ過効率を測定した。これらは、フェルトのろ過効率を求めるのに、それぞれ、米国と欧州において実施されている標準的な試験である。排出濃度または漏れが大きければ大きいほど、ろ過効率が低くなる。ASTMとは、米国材料試験協会を表わす。
【0025】
例1
1フィラメント当たり2デニール(1フィラメント当たり2.2dtex)のメタ−アラミド繊維、具体的には、3−インチ(76mm)の切断長さを有するポリ(メタ−フェニレンイソフタルアミド)繊維(DuPontより入手可能な商標Nomex(登録商標))と、1フィラメント当たり1.5デニール(1フィラメント当たり1.7dtex)のパラ−アラミド繊維、具体的には、3−インチ(76mm)の切断長さを有するポリ(パラ−フェニレンテレフタルアミド)繊維(同じく、DuPontより入手可能な商標Kevlar(登録商標))とを含有する均質ステープル繊維ブレンドを、ステープル繊維を梱から結合および混合することにより作製した。標準的なカーディングおよびクロスラッピング機器を用いて、これらのステープル繊維を、クロスラップバットへと変換してから、両側で数回ニードルパンチして、フィルタフェルトを生成した(品目1−1〜1−5)。これは、まず、各側でバットを600貫通数/in2ニードルパンチして予備圧密した後、両側でさらにニードルパンチして、さらにバットを圧密することによりなされた。1200の予備圧密貫通数を含む各品目についての全貫通数を表1に示す。匹敵する重量の比較のフィルタフェルトを生成するために、上記の手順を繰り返して、1フィラメント当たり2デニール(1フィラメント当たり2.2dtex)の100パーセントのNomex(登録商標)メタ−アラミド繊維から、坪量15.3oz/yd2(520g/m2)を有する重いフィルタフェルトを作製した(品目A)。15.3oz/yd2(520g/m2)のフェルトを、慎重に剃って、坪量を取り除き、坪量13.56oz/yd2(460g/m2)(品目B)および11.15oz/yd2(380g/m2)(品目C)の100−パーセントのメタ−アラミド繊維フィルタフェルトを作製した。フェルトのろ過効率を、手順ASTM6830−02を用いて評価した。結果を表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
表1および図2に示すとおり、ブレンドは、匹敵する重量で、100%メタ−アラミドよりも低い平均排出濃度または高い効率を与える。これによって、バッグハウスが非常に効率的に機能するであろう。また、これによって、低坪量のバッグを用いる可能性が与えられる結果、操業費が下がる。これらのブレンドアラミド繊維フェルトから作製されたフィルタバッグは、アスファルトプラントの現在のEPA放出限界に合格するであろうし、将来におけるより高い放出基準に適合する可能性を有しており、175℃を超える温度での高温ガスの長時間ろ過等、超高温変動に耐え得るであろう。
【0028】
例2
例1のポリ(メタ−フェニレンイソフタルアミド)繊維およびポリ(パラ−フェニレンテレフタルアミド)繊維の55/45、67/33および75/25の重量比のメタ/パラ繊維ブレンドを含有する均質ステープル繊維ブレンドを、例1同様スクリムレスフィルタフェルトへと作製した(品目2−1〜2−8)。同じく、例1同様、匹敵する重量の比較のフィルタフェルトを生成するために、1フィラメント当たり2デニール(1フィラメント当たり2.2dtex)の100パーセントのNomex(登録商標)メタ−アラミド繊維から、坪量15.3oz/yd2(520g/m2)フィルタフェルトを、慎重に剃って、坪量を取り除き、2つの100−パーセントのメタ−アラミド繊維の比較フィルタフェルトを作製した(品目DおよびE)。全てのフェルトのろ過効率を、手順VDI3926を用いて評価した。結果を表2に示す。ブレンドスクリムレスフィルタフェルトは、匹敵する坪量の100%メタ−アラミドフェルトより、遥かに低い漏れであり、ASTM6830−2手順で示された結果が裏付けられた。図3は、表2のデータの線形近似の図である。
【0029】
【表2】

【0030】
例1または2で作製したスクリムレスフィルタフェルトはいずれも、バッグフィルタへと作製することができる。バッグフィルタは、閉鎖端部、開口端部および管状部分を有することができる。スクリムレスフィルタフェルトは、縁を重ねた円筒へと作製することができる。縁は、それらをステッチして、図1に示すようなシーム6を形成することにより取り付けることができ、フィルタバッグの管状部分を形成する。追加のスクリムレスフィルタフェルトを、ステッチすることにより管状部分の端部に取り付けると、バッグの閉鎖端部を形成することができる。必要なら、止め環をバッグの開口端部に取り付けることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状部分と閉鎖端部と開口端部とを有するバッグフィルタであって、前記管状部分が、
a)50〜79重量パーセントのメタ−アラミドステープル繊維と、
b)21〜50重量パーセントのパラ−アラミドステープル繊維と
からなる繊維の均質ブレンドのニードルパンチバットから実質的になるスクリムレスフィルタフェルトを含み、
前記ニードルパンチバットが、1平方ヤード当たり10〜17オンス(1平方メートル当たり340〜580グラム)の坪量を有する、バッグフィルタ。
【請求項2】
前記スクリムレスフィルタフェルトの、前記フェルトを通る平均排出粒子濃度の全質量により測定される、ASTM6830−02によるろ過効率が、乾燥基準での空気の立方メートル当たり0.02〜0.5ミリグラムである請求項1に記載のバッグフィルタ。
【請求項3】
前記スクリムレスフィルタフェルトの、前記フェルトを通る平均排出粒子濃度の全質量により測定される、ASTM6830−02によるろ過効率が、乾燥基準での空気の立方メートル当たり0.05〜0.4ミリグラムである請求項2に記載のバッグフィルタ。
【請求項4】
前記ニードルパンチバットが、1平方インチ当たり4200〜7200の全貫通数(1平方センチメートル当たり650〜1116の全貫通数)を有する請求項1に記載のバッグフィルタ。
【請求項5】
前記繊維の均質ブレンドが、
a)50〜68重量パーセントのメタ−アラミドステープル繊維と、
b)32〜50重量パーセントのパラ−アラミドステープル繊維と
からなる請求項1に記載のバッグフィルタ。
【請求項6】
前記スクリムレスフィルタフェルトの、前記フェルトを通る平均排出粒子濃度の全質量により測定される、ASTM6830−02によるろ過効率が、乾燥基準での空気の立方メートル当たり0.02〜0.5ミリグラムである請求項5に記載のバッグフィルタ。
【請求項7】
前記スクリムレスフィルタフェルトの、前記フェルトを通る平均排出粒子濃度の全質量により測定される、ASTM6830−02によるろ過効率が、乾燥基準での空気の立方メートル当たり0.05〜0.4ミリグラムである請求項5に記載のバッグフィルタ。
【請求項8】
前記ニードルパンチバットが、1平方インチ当たり4200〜7200の全貫通数(1平方センチメートル当たり650〜1116の全貫通数)を有する請求項5に記載のバッグフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−533429(P2012−533429A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521723(P2012−521723)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/042552
【国際公開番号】WO2011/011381
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】