説明

メタデータを基礎にした不正防止身分証明カードシステム

機密文書の真正性を確認する方法であって、すべてが前記機密情報の製造に関連し、かつすべてが一般に知られているわけではない、ステガノグラフィ技術により符号化された人物識別情報、装置識別情報、材料識別情報、または機密文書製造地理的位置の1つ以上によって機密文書を符号化してメタデータを生成するステップと、機密文書を走査して前記メタデータを取得するステップと、データベースにより前記メタデータを確認するステップと、提供されたメタデータの1つ以上が正確に一致すれば、識別情報を受け入れるステップと、を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にセキュアドキュメント(secure document:以下、「機密文書」という)の認証の分野に関し、より詳細には、認証目的のための機密文書へのメタデータの埋め込みに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、機密文書、例えば運転免許証などは、通常、所有者の写真と個人データ情報により該免許証の認証を許可している。運転免許証は、運転免許証の偽所有者の写真を真の所有者の個人情報などとともに貼りつけて不正にコピーされるケースが多かった。
【0003】
米国特許第6,343,138号などに開示される透かし(ウォーターマーキング)技術では、かかる機密文書に目に見えないマークをつけている。この技術では、スキャナなどが文書をスキャンし、著作権などを示す透かしがあれば、コピーを禁じる。
【0004】
しかしながら、この技術では、不正に透かしパラメータを入手し、この不正な透かしを機密文書に貼りつけるのを防ぐことができない。この場合、不正な機密文書には透かしが含まれるため、上記の技術による検出を逃れることができる。
【0005】
このため、不正な透かしなどでも検出できるように、機密文書にメタデータを貼り付けたいという要望がある。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,343,138号明細書
【特許文献2】米国特許第5,859,920号明細書
【特許文献3】米国特許第6,278,791号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するものである。簡単に要約すると、本発明の一態様によれば、本発明は、機密文書の真正性を確認する方法であって、(a)すべてが前記機密文書の製造に関連し、かつすべてが一般に知られているわけではない、ステガノグラフィ技術により符号化された人物識別情報、装置識別情報、材料識別情報、または機密文書製造地理的位置の1つ以上によって機密文書を符号化してメタデータを生成するステップと、(b)機密文書を走査して前記メタデータを取得するステップと、(c)データベースにより前記メタデータを確認するステップと、(d)提供されたメタデータの1つ以上を正確に一致させることにより前記機密文書を確認するステップと、を含む。
【0008】
本発明の上記及びその他の態様、目的、特性及び効果は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明及び請求の範囲を考慮し、かつ添付の図面を参照することにより、より明確に理解される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、機密文書の不正な透かしを検出するという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を詳細に説明するにあたり、ここで使用される、機密文書(セキュアドキュメント)という用語について説明する。ここでは、機密文書は、単なる例として、身分証明(ID)バッジ、運転免許証、出生証明書、パスポート、ビザ、実物証明書、法律文書、卒業証書、貨幣、株券及び債権などを含む。一般に、機密文書とは、そのソースの確認及び認証、またはその真正性が求められる、個人的な、商業上の、法律的なまたは法律貨幣に関する任意の文書である。
【0011】
図1には、本発明のセキュアドキュメントシステム10が示されている。システム10は、認可された機密文書製造者、例えば、国営の運転免許場などによって操作される撮像機構20を含む。撮像機構20は、好ましくは、デジタルカメラ30を含み、またはフィルム撮像後に取り込み、特有のメタデータでフィルムをデジタル化し、人物、すなわちID所有者のデジタル画像を撮影する。撮像機構20はさらに、デジタルカメラ30に接続されたパーソナルコンピュータ40を含む。コンピュータ40は、メタデータを表す透かしをデジタル画像に埋め込むためのアルゴリズムを有する。透かしは、イーストマンコダックカンパニーに譲渡された、ダリ−他(Daly et al.)による、"Method For Embedding Digital Information In An Image"(「画像に対するデジタル情報の埋め込み方法」)と称する米国特許第5,859,920号に記載の技術により生成することができる。デジタル出力器50、例えばプリンタがデジタルカメラ30及びパーソナルコンピュータ40に接続され、透かしが埋め込まれたデジタル画像のハードコピー45を出力する。あるいは、透かしは、目に見ることのできる、1次元または2次元のバーコードまたは他の任意の適切な可視識別情報でもよい。バーコードの生成は当業界で周知であり、ここでは詳細に説明しない。
【0012】
透かしには、全地球測位識別情報(全地球測位システム(GPS)で実行される)、位置(site)識別情報、撮像装置識別情報、プリンタまたは媒体/材料識別情報、オペレータ識別情報及び画像処理仕様、取り込み用のルックアップテーブル、装置操作状況、プリンティング及び/または包括識別情報などのメタデータを含む。かかるメタデータは、それを不正に得ることが事実上不可能である点で特異である。上記の取り込み、処理、及び出力のメタデータには、例えば、装置識別情報、装置の状況または較正状態、装置のGPS位置、当該装置または位置に特有の画像処理指定子、透かしパラメータなどを特定的に含む。これらのパラメータを、ここでは、「機密文書の製造に関し、かつすべてが一般に知られているわけではない、人物識別情報、装置識別情報、材料識別情報、または機密文書製造地理的位置」と定義する。これらの項目は、何者かが偽造機密文書を製造する、あるいは「システムを打破する」ために、予測したり事実を検出しようとしても非常に難しい。すなわち、当該システムだけが、これらのデータを生成して記憶でき、後に、ハードコピー出力に埋め込まれた情報が走査によって検出されて、これらのデータが有効化され、あるいは確認される。このメタデータ情報は、中央データベース局70に送られ、有線または無線接続により、ネットワーク接続を介して、中央データベース80に保管される。
【0013】
一例をあげると、機密文書の所有者は、空港55において、公的当局、例えば航空施行当局(airline enforcement authorities)に機密文書45を提示して認証を求める。公的当局はその機密文書45を走査し、スキャナ60によって透かしを読み取る。スキャナ60には、任意の適当な透かし読み取りアルゴリズムを備えることができる。このようなアルゴリズムは当業界で周知であり、ここでは詳細に説明しない。いずれにせよ、このようなアルゴリズムは、イーストマンコダックカンパニーに譲渡された、ホンシンガー他(Honsinger et al.)による、"Lossless Recovery of An Original Image Containing Embedded Data"(「埋め込みデータを有するオリジナル画像の損失のない復元」)と称する米国特許第6,278,791号に記載されている。スキャナ60は、認可された機密文書製造者による機密文書すべてに埋め込まれたすべてのメタデータを保有する中央データベース80を備える中央データベース局70に対し、通常は有線接続と無線接続いずれかの、ネットワーク接続を有している。スキャナ60は、読み取った透かしから得られたメタデータを中央データベース局70に送り、中央データベース局70がメタデータを確認する。中央データベース80は、当該メタベースが正確あるいは不正確であることを確認し、不正確である場合には、機密文書45が不正であるかもしれない旨を示す。この情報はスキャナ60に送り返される。スキャナ60は、グラフィックディスプレイを備え、メタデータの適合または不適合を表示する。公的当局は、表示された認証結果にもとづき、適当な処置を行うことができる。
【0014】
以上、好ましい実施形態に関連して本発明を説明したが、発明の範囲を逸脱することなく、当業者によって変更及び修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の機能的外観図である。
【符号の説明】
【0016】
10 セキュアドキュメントシステム、20 撮像機構、30 デジタルカメラ、40 パーソナルコンピュータ、45 ハードコピー、50 デジタル出力器、55 空港、60 スキャナ、70 中央データベース局、80 中央データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機密文書の真正性を確認する方法であって、
(a)すべてが前記機密文書の製造に関連し、かつすべてが一般に知られているわけではない情報である、ステガノグラフィ技術により符号化された人物識別情報、装置識別情報、材料識別情報、または機密文書製造地理的位置の1つ以上によって前記機密文書を符号化してメタデータを生成するステップと、
(b)機密文書を走査してメタデータを取得するステップと、
(c)データベースにより前記メタデータを確認するステップと、
(d)提供されたメタデータの1つ以上を正確に一致させることにより前記機密文書を確認するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記メタデータを符号化するステップは、メタデータを構成する、全地球測位識別情報、撮像装置識別情報、プリンタまたは媒体/材料識別情報、オペレータ識別情報及び画像処理仕様、取り込みまたは出力のためのルックアップテーブル、装置動作状況、またはプリンティング識別情報を、個別にあるいは任意に組み合わせて符号化するステップを含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、ステップ(d)には、メタデータのそれぞれを正確に一致させるステップを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、機密文書を符号化するステップ(a)は、ステガノグラフィ技術によって符号化されたメタデータの代わりに、前記メタデータを有する可視要素を前記機密文書に配置するステップを含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、さらに、身分証明バッジ、運転免許証、出生証明書、パスポート、ビザ、実物証明書、法律文書、卒業証書、貨幣または株券または債券のいずれかを前記機密文書として提供するステップとをさらに含む、方法。
【請求項6】
機密文書の真正性を確認するシステムであって、
(a)すべてが前記機密文書の製造に関連し、かつすべてが一般に知られているわけではない情報である、人物識別情報、装置識別情報、材料識別情報、または機密文書製造地理的位置の1つ以上からステガノグラフィ技術により符号化されたメタデータを有する機密文書を生成する機密文書作成システムと、
(b)前記機密文書メタデータを有するメタデータデータベースと、
(c)前記機密文書を読み取って前記メタデータを取出し、該取出された機密文書メタデータを前記データベースの機密文書メタデータに対して確認する、取出し装置と、
を備えるシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記機密文書メタデータは、該機密文書メタデータを構成する、全地球測位識別情報、撮像装置識別情報、プリンタまたは媒体/材料識別情報、オペレータ識別情報及び画像処理仕様、取り込みまたは出力のためのルックアップテーブル、装置動作状況、またはプリンティング識別情報を、個別にあるいは任意の組み合わせで含む、システム。
【請求項8】
請求項6に記載のシステムであって、さらに、前記機密文書に埋め込まれたメタデータをステガノグラフィ技術により符号化かつ復号化するソフトウェアベースのアルゴリズムをさらに含む、システム。
【請求項9】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記機密文書を作成する機密文書作成システムは、ステガノグラフィ技術により符号化されたメタデータの代わりに、前記機密文書に配置された可視要素を含むことでメタデータを形成する、システム。


【図1】
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【公表番号】特表2007−520946(P2007−520946A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549363(P2006−549363)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/000193
【国際公開番号】WO2005/069953
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】