説明

メタデータ共有システム、サーバ装置、クライアント装置及びメタデータ共有方法

【課題】メタデータを複数のユーザで共有するメタデータ共有システムにおいて、メタデータを要求する際、対象となるコンテンツを正しく特定すること。
【解決手段】クライアント1は、メタデータを生成するメタデータ生成部113と、サーバ2に所望のメタデータを要求するメタデータ要求部118を備える。サーバ2は、クライアント1から受信したメタデータを管理するメタデータ管理部212と、クライアント1から要求されたメタデータを配信するメタデータ配信部217を備える。メタデータ生成部113は、メタデータの属するコンテンツの情報としてEPG情報を記述し、メタデータ管理部212は、EPG情報を基にコンテンツを識別して、該コンテンツ毎にメタデータを管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送番組などのコンテンツに関連する情報を記述したメタデータを複数のユーザで共有するメタデータ共有システム、及びこれに用いるサーバ装置とクライアント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のテレビジョン受信装置では、放送番組などのコンテンツを視聴するとき、コンテンツ本体とともに、登場する人物や物に関する説明文や関連するコンテンツを入手して併せて視聴することができる。この説明文や関連コンテンツへのリンク先を記述した情報などは「メタデータ」と呼ばれる。メタデータはネットワークを介してサーバから入手することができるが、メタデータを利用し易いものとするために、次のような提案がなされている。
【0003】
例えば特許文献1には、個々の視聴者が作成したメタデータを公開し、これにより多数の視聴者がこれらのメタデータを共有することを目的としたメタデータ共有システムが開示される。そのためメディアデータ視聴装置は、メディアデータに関する情報を記述するメタデータを作成するメタデータ作成手段と、メタデータを蓄積するメタデータ蓄積手段と、メタデータ作成手段で作成されたメタデータをサーバに向けて送信すると共にサーバよりメタデータを受信してメタデータ蓄積手段に蓄積させる通信手段とを備える構成としている。
【0004】
また特許文献2には、視聴者の手元にあるビデオとネットワーク上にあるメタデータとを組み合わせてハイパーメディアを楽しむ場合に、メタデータのダウンロードによる視聴者の待ち時間をなくすことを目的としたクライアント装置が開示される。そのためクライアント装置は、再生中の画像のタイムスタンプをサーバ装置へ送信するタイムスタンプ送信手段と、各タイムスタンプにおける画像の内容に関連した情報を有するメタデータを、動画像の再生に同期させてストリーミング配信でサーバ装置から受信するメタデータ受信手段と、画像の再生に同期させて、受信したメタデータを表示、または、メタデータに基づいて制御を行う制御手段とを備える構成としている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−193871号公報
【特許文献2】特開2004−120440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
メタデータを提供するサーバ装置は、メタデータをコンテンツ毎に分類して蓄積しておき、クライアント装置からの検索要求に応じて検索結果を送信する。その場合クライアント装置は、検索項目としてコンテンツ名を指定し、サーバ装置は指定されたコンテンツ名に対応するメタデータを提供する。1つのコンテンツに対してメタデータが複数存在すれば、ユーザはその中から所望のメタデータを選択すれば良い。しかし、類似のコンテンツがあり誤って指定した場合、検索要求のやり直しになり時間と費用の無駄使いとなる。すなわち、メタデータを要求する番組の検索に際し、ユーザの視聴する番組とサーバ装置の所有するメタデータに対応する番組とは、同一の番組を指定しなければならない。
【0007】
しかしながら、メタデータを複数のユーザで共有するメタデータ共有システムにおいては、次のような理由により、番組を特定する際正しく特定できない恐れがある。
(1)録画時刻などを条件に番組を検索する場合、同一番組でありながら使用環境やユーザにより録画開始時刻・録画時間がずれることがあり、番組が一致しない原因となる。
(2)地上デジタル放送では、ハイビジョン放送1チャンネル当たりSD放送で最大3チャンネルを同時に放送する「マルチ編成」が採用されているので、これらを区別して特定しなければならない。
(3)同一番組でありながら、キー局と地方局では異なる日時に放送される場合があり、放送日時だけでは正しく特定できない。
【0008】
これに関し前記特許文献1では、放送開始時刻、放送総時間、放送局名を条件にメディアデータ(番組)の検索を行うことが記載されるが、上記の理由で検索条件が十分とは言えない。また前記特許文献2では、ビデオコンテンツの特定情報として、ビデオと共に記録されているコンテンツIDやファイル名などを用いることが記載されるが、上記の理由は考慮されていない。
【0009】
本発明は、上記の課題を鑑み、メタデータを複数のユーザで共有するメタデータ共有システムにおいて、メタデータを要求する際、対象となるコンテンツを正しく特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のメタデータ共有システムは、サーバ装置と複数のクライアント装置をネットワークを介して接続し、コンテンツに関連する情報を記述したメタデータを複数のクライアント装置で共有するものであって、サーバ装置は、クライアント装置から受信したメタデータを管理するメタデータ管理部と、受信したメタデータを蓄積する記憶部と、クライアント装置から要求されたメタデータを配信するメタデータ配信部とを備え、クライアント装置は、メタデータを生成するメタデータ生成部と、サーバ装置に所望のメタデータを要求するメタデータ要求部と、生成したメタデータをサーバ装置に送信すると共にサーバ装置から要求したメタデータを受信する通信部とを備える。クライアント装置のメタデータ生成部は、メタデータの属するコンテンツの情報として当該コンテンツのEPG情報をメタデータに記述し、サーバ装置のメタデータ管理部は、EPG情報を基にコンテンツを識別して、該コンテンツ毎にメタデータを管理する。
【0011】
本発明のサーバ装置は、クライアント装置から受信したメタデータを管理するメタデータ管理部と、受信したメタデータを蓄積する記憶部と、クライアント装置から要求されたメタデータを配信するメタデータ配信部とを備える。メタデータ管理部は、メタデータに記述されたEPG情報を基に当該メタデータの属するコンテンツを識別して、該コンテンツ毎にメタデータを管理するメタデータリストを生成し、メタデータ配信部は、メタデータリストに基づきクライアント装置から要求されたメタデータの属するコンテンツを特定し、該当するメタデータを配信する。
【0012】
本発明のクライアント装置は、メタデータを生成するメタデータ生成部と、サーバ装置に所望のメタデータを要求するメタデータ要求部と、生成したメタデータをサーバ装置に送信すると共にサーバ装置から要求したメタデータを受信する通信部と、サーバ装置から取得したメタデータをコンテンツと共に再生するコンテンツ再生部とを備え、メタデータ生成部は、メタデータの属するコンテンツの情報として当該コンテンツのEPG情報をメタデータに記述する。
【0013】
本発明のメタデータ共有方法では、クライアント装置はコンテンツに対応したメタデータを生成すると共に、該メタデータの属するコンテンツの情報として当該コンテンツのEPG情報をメタデータに記述し、生成したメタデータをサーバ装置に送信し、サーバ装置はクライアント装置から受信したメタデータを蓄積すると共に、メタデータに記述されたEPG情報を基に当該メタデータの属するコンテンツを識別して、該コンテンツ毎にメタデータを管理するメタデータリストを生成し、クライアント装置はサーバ装置から視聴するコンテンツのメタデータリストを入手して、所望のメタデータをサーバ装置に要求し、サーバ装置は要求されたメタデータを検索して、該当するメタデータをクライアント装置に送信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザがメタデータを要求する際、対象となるコンテンツを正しく特定することができ、メタデータの検索の精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明によるメタデータ共有システムの第1の実施例を示す構成図である。このシステムは、複数のクライアント装置1がネットワーク3を介してサーバ装置2に接続された構成である。以下、クライアント装置1をクライアント、サーバ装置2をサーバと呼ぶ。クライアント1は映像コンテンツ11に対応したメタデータ10を生成し、サーバ2にアップロード31する。サーバ2は、受信したメタデータ20がどのコンテンツ対応するメタデータであるかを判別し、コンテンツ毎のメタデータリスト21を用いて管理する。クライアント1は、視聴するコンテンツに対応するメタデータリスト21を参照して、その中から所望のメタデータ20を選んでサーバ2に要求する。サーバ2から所望のメタデータ10をダウンロード32し、データの内容を解析して視聴するコンテンツと同期して表示12する。
【0017】
以下、各装置の構成と動作を説明する。まず、クライアント装置1の構成を説明する。
図2は、クライアント1のハードウェア構成の一例を示す図である。CPU101はクライアント全体の動作を制御し、メタデータの生成やコンテンツの表示を実行する。ROM102とRAM103は、CPU101の動作を実行させるプログラムを格納する。ネットワークI/F104は、ネットワーク3を介してサーバ2に接続する。記憶部107はHDDなどの大容量の記憶装置で、入手した映像コンテンツなどを蓄積する。グラフィックコントローラ108は映像や各種情報の表示制御を行い、表示部109は、グラフィックコントローラ108の制御で描画された映像を表示する。すなわち、外部のサーバから取得したメタデータを表示し、メタデータを生成するための画面を表示する。指示入力部106は、ユーザからの操作を受け付けるキーボードやリモコン受光部などで、ユーザI/F105は受け付けた操作データをCPU101に送る。
【0018】
図3は、クライアント1の機能構成の一例を示す図である。記憶部111に保持された映像コンテンツに対して、ユーザは指示入力部112からメタデータの元になるデータ(例えばメッセージ)を入力する。入力されたデータはメタデータ生成部113にてメタデータ10の形式に変換される。メタデータの生成は、その種類に応じて、メッセージ生成部114、ハイライト生成部115、関連情報生成部116、その他117などに分担して行われる。
【0019】
メタデータの種類として、メッセージ生成部114は、映像コンテンツに含まれるシーンあるいはイメージにメッセージを付与して、他のユーザにそのメッセージを提示する機能を有する。ハイライト生成部115は、映像コンテンツのハイライトを再生するために、ハイライト再生開始時刻、ハイライト再生時間長などを記述する。関連情報生成部116は、映像コンテンツの関連情報を検索するために、シーンに対応した字幕情報などから抽出可能なキーワードを記述する。
【0020】
メタデータ生成部113にて生成されたメタデータ10は、通信部119からネットワーク3を介してサーバ2にアップロード送信される。
【0021】
一方メタデータ要求部118は、通信部119からネットワーク3を介してサーバ2にメタデータリスト21を要求する。そして指示入力部112により所望のメタデータ20を選択し、サーバにそのメタデータのダウンロードを要求する。
【0022】
コンテンツ再生部120は、サーバよりダウンロードしたメタデータ10について、メタデータ解釈部121により記述されているデータを解釈する。そして合成実行部122は、取得したメタデータの情報を記憶部111から再生した映像コンテンツに同期させて、表示部123にて合成画像として表示させる。
【0023】
次に、サーバ装置2の構成を説明する。
図4は、サーバ2のハードウェア構成の一例を示す図である。CPU201はサーバ全体の動作を制御し、メタデータの管理と各クライアントからの要求に応じて配信する。ROM202とRAM203は、CPU201の動作を実行させるプログラムを格納する。ネットワークI/F204は、ネットワーク3を介してクライアント1に接続する。記憶部205はHDDなどの大容量の記憶装置で、クライアント1に配信するメタデータやメタデータリストを蓄積する。また記憶部205には、クライアント1から送信されたメタデータを追加して蓄積する。
【0024】
図5は、サーバ2の機能構成の一例を示す図である。クライアント1からネットワーク3を介してアップロード送信されたメタデータ20は、通信部211により受信され、メタデータ管理部212に渡される。メタデータ解釈部213は受け取ったメタデータに記述されている情報を解釈し、映像コンテンツID生成部214は対応する映像コンテンツを判別して映像コンテンツIDを生成する。メタデータリスト生成部215は、該当するコンテンツ毎にメタデータリスト21を生成し、受け取ったメタデータ20と共に記憶部216に保存する。
【0025】
一方通信部211は、クライアント1からメタデータ20及びメタデータリスト21のダウンロード要求を受けると、メタデータ配信部217の要求解釈部218は要求内容を解釈し、該当するコンテンツとメタデータを判別する。そして検索部219は、記憶部216から該当するメタデータ20を検索し、通信部211から要求元のクライアントへダウンロード送信する。
【0026】
次に、本実施例のメタデータ共有システムにおける動作を、(1)クライアントによるメタデータ生成とサーバへのアップロード処理、(2)クライアントからサーバへメタデータの要求とダウンロード処理、の順に説明する。
【0027】
図6は、メタデータ生成とアップロード処理のフローチャートを示す。以下の処理は、クライアント1のCPU101によって進められる。ここでは、メタデータの例として、メッセージ生成部114によりメッセージを生成する場合を示す。
【0028】
記憶部111から対象となる映像コンテンツの再生を開始する(S601)。メタデータとして、まず、対象コンテンツのタイトルや放送日時など、コンテンツ属性を示す情報を記述する(S602)。具体的には、コンテンツ情報として、当該コンテンツに対応するEPG(電子番組ガイド)情報を利用する。EPG情報としては、放送局、チャンネル、放送日時、番組タイトルや、映像コンテンツを受信した地域の情報等を用いる。次に、メッセージのようにコンテンツ内の特定の再生時刻(再生位置)に対応するメタデータを生成するならば、対応する再生時刻に移動する(S603)。指示入力部112から、その時刻に対応するメタデータ(メッセージ)を入力する(S604)。同様に他の再生時刻に対応するメタデータも生成するならば(S605)、その再生時刻に移動してメタデータの生成を繰り返す。
【0029】
メタデータの生成が完了すれば、メタデータが完全かどうかを検証し(S606)、間違っていれば、記述ルールを参照して修正・統合・補完等の処理を行う(S607)。完成したメタデータを記憶部111に保存する(S608)。生成したメタデータを他のユーザと共有するならば(S609)、通信部119からネットワーク3を介してサーバ2にアップロードし(S610)、処理を終了する。
【0030】
上記の処理S602においては、メタデータ生成のため、EPG情報からコンテンツ情報を取得するようにしたので、対象となるコンテンツを一意に特定することができる。すなわち、ユーザの使用環境により録画開始時刻が異なった場合や、SD放送時のマルチ編成の際などでも、EPG情報から取得したコンテンツ情報であれば互いに一致する。よって、メタデータ検索において対象とするコンテンツが誤ることがなく、信頼性の高い検索が可能となる。
【0031】
図7は、メタデータ生成時の画面の例を示す図である。表示部123には、ユーザが操作するメタデータ生成GUI701が表示され、ユーザは指示入力部112より操作入力を行う。
【0032】
選択欄702では記憶部111が有する対象コンテンツを選択し、選択欄703ではメタデータの種類を選択する。ここでは、生成するメタデータとしてメッセージを選択している。画面704には選択されたコンテンツが再生表示され、再生画面に同期して、再生位置を示すプログレスバー705と再生時刻706が表示される。操作ボタン707は、再生、一時停止、早送り、巻き戻し、停止等の操作を行い、再生位置(再生時刻)を移動させる。プログレスバー705の移動によっても再生位置の移動が可能である。
【0033】
再生画面をメッセージを入力したい再生位置に移動すると、メッセージ欄708にメッセージを入力し、OKボタン709で確定する。OKボタンで確定する毎に、入力したメッセージは記憶部111に保存される。入力したメッセージについて、画面上での表示位置の指定(ボタン710)や文字色の変更(ボタン711)なども可能である。指定しなければデフォルト値となる。他の再生位置に対しても入力するメッセージがあれば、同様の操作を繰り返す。生成したメタデータは、共有ボタン712を押すことでサーバにアップロードして、他のユーザと共有することができる。
【0034】
図8は、生成したメタデータの記述例である。図7のGUI701からユーザにより指定され入力されたメタデータ(メッセージ)は、メタデータ生成部113(メッセージ生成部114)により、図8に示す記述のメタデータ801に変換される。ここでは所定の記述ルールに従って、メタデータの属性やメッセージが記述されている。メタデータの属性には、EPG情報から取得したコンテンツの情報802が含まれている。なお、ユーザはGUIを用いず、直接図8に示すメタデータ801を記述してもよい。
【0035】
次にサーバは、クライアントからアップロードされたメタデータについて、コンテンツ毎に分類して管理する。
図9は、サーバによるメタデータ受信のフローチャートである。以下の処理は、サーバ2のCPU201によって進められる。
【0036】
クライアント1が送信したメタデータを受信すると(S901)、メタデータ解釈部213はメタデータが属するコンテンツを判別する(S902)。そのとき、メタデータに含まれるコンテンツの属性情報を読み取り、所属先のコンテンツを判別する。記憶部216に、そのコンテンツに対応するメタデータリストが存在しているかどうか判定し(S903)、存在していなければ、メタデータリスト生成部215は新たにメタデータリストを生成する(S904)。このとき、映像コンテンツID生成部214は、各メタデータに含まれるコンテンツの属性情報より映像コンテンツIDを生成してメタデータリストに記述する。メタデータリストが既に存在していれば、該当するメタデータリストに、受信したメタデータのメタデータ属性を追加する(S905)。受信したメタデータは、更新したメタデータリストと共に記憶部216に保存する(S906)。
【0037】
図10は、サーバにて作成したメタデータリストの一例である。メタデータリスト1001には、メタデータが属するコンテンツを特定するためのコンテンツ属性1002と、メタデータを識別するためのメタデータインデックス情報1006を有する。
【0038】
コンテンツ属性1002には、映像コンテンツID1003、映像コンテンツタイトル1004、映像コンテンツ放送日時1005が含まれる。メタデータインデックス情報1006には、各メタデータのメタデータID1007、メタデータ種別1008、メタデータ作成者1009、メタデータ名称1010、アップロード日時1011、サイズ1012が含まれる。
【0039】
ここに映像コンテンツID1003は、映像コンテンツの属性より生成された各コンテンツに固有の情報である。具体的には、そのコンテンツに対応するEPG情報、例えば放送局、チャンネル、放送日時、番組タイトルや、映像コンテンツを受信した地域情報等から生成する。これにより、同一の映像コンテンツに対しては常に一意の映像コンテンツIDを割り当てることが可能であり、また異なるコンテンツで同じ映像コンテンツIDが生成されることは無い。よってサーバは、各メタデータを保存する際、所属先であるコンテンツを正しく管理することが可能となる。
【0040】
次に、クライアントがサーバにメタデータを要求してダウンロードする処理を説明する。
図11は、サーバとクライアントで行うダウンロードのための通信を示す図である。クライアント1は、メタデータを利用して視聴したいコンテンツがあれば、サーバ2にその映像コンテンツのメタデータリストを要求する(処理1101)。サーバの要求解釈部218は要求を解釈し、その映像コンテンツに対応するメタデータ及びメタデータリストが存在すれば、クライアント1にメタデータリストを送信する(処理1102)。もし存在しなければ、存在しない旨のメッセージを送信する。
【0041】
クライアント1は受信したメタデータリストを表示部123に表示し、ユーザは所望のメタデータを指示入力部112にて選択する。メタデータ要求部118は選択されたメタデータをサーバに要求する(処理1103)。サーバ2の検索部219は、要求を受けたメタデータを記憶部216から検索しクライアント1にダウンロード送信する(処理1104)。
【0042】
図12は、サーバがクライアントから要求されたメタデータをダウンロードするフローチャートを示す。この処理はサーバのCPU201によって進められる。クライアントからメタデータリストの要求を受信すると(S1201)、要求解釈部218はEPG情報などのコンテンツ情報を参照して対象となるコンテンツを特定する(S1202)。記憶部216から該当するコンテンツのメタデータリストを読み出して、クライアントに送信する(S1203)。
【0043】
クライアントからリストに記載されたメタデータの要求があれば(S1204)、サーバの検索部219は記憶部216から要求されたメタデータを検索する(S1205)。該当するメタデータが存在すれば(S1206でYes)、クライアントに該当メタデータを送信する(S1207)。存在しなければ(S1206でNo)、クライアントに、要求されたメッセージが存在しないというメッセージを送信する(S1208)。引き続きクライアントから要求を受信すれば、上記の処理を繰り返す。
【0044】
図13は、クライアントがメタデータを要求する画面の例を示す図である。表示部123には、メタデータ選択GUI1301が表示される。選択欄1302にてメタデータを利用して視聴したいコンテンツを選択し、「リストを取得」ボタン1303を押してサーバにリストを要求する。サーバより、選択したコンテンツのメタデータリスト1001を受信し、GUI1301に表示される。ユーザは表示されたメタデータインデックス情報1304から所望のメタデータを選択し、「OK」ボタン1305で確定してサーバに要求する。すると、サーバから所望のメタデータを受信することができる。
【0045】
サーバから受信したメタデータは、コンテンツ再生部120のメタデータ解釈部121により記述を解釈され、合成実行部122はメタデータを対応する映像コンテンツに合成して表示部123に表示する。
【0046】
図14は、映像コンテンツと対応するメタデータの表示画面例である。ここでは、図7と図8で生成したメタデータ(メッセージ)を受信して表示する例を示す。表示画面1401には、コンテンツの対応時刻1402に、メタデータに記述されたメッセージ1403が表示される。これにより、あるユーザAが生成してサーバにアップロードしたメタデータを、他のユーザBが共有することが可能となる。ユーザBが対応する映像コンテンツを所有するならば、そのメタデータをダウンロードして、映像コンテンツと同時に再生表示することが可能となる。
【0047】
実施例1のメタデータ共有システムによれば、複数のユーザが各々の嗜好に応じたメタデータを作成しサーバを介して共有することにより、他のユーザが作成したメタデータを利用してコンテンツを視聴することが可能となる。その際ユーザは、1つのコンテンツに属する複数メタデータから所望のメタデータを選択して視聴することができる。またユーザが要求するメタデータの属するコンテンツに対して、サーバはEPG情報などを元にコンテンツを正しく特定することができるので、コンテンツの指定の誤りによる検索のやり直しがなく、メタデータの検索の精度が向上する。
【実施例2】
【0048】
前記実施例1では、要求されたメタデータに対しEPG情報を基に所属するコンテンツを特定し、同一のコンテンツのメタデータを配信するシステムを述べた。しかし、同一のコンテンツであってもEPG情報が異なる場合にはコンテンツIDが異なり、それに属するメタデータは検索対象から漏れることになる。例えば、ある番組と同じ番組の再放送時、またはキー局と地方局など異なる放送局で同じ番組を放送した場合、または同内容のDVDなどパッケージメディアが存在する場合などにこのような不都合が発生する。
【0049】
実施例2では、コンテンツIDが異なっても、同内容のコンテンツのメタデータを取得する例を述べる。メタデータ共有システムの構成は実施例1と同様であるが、サーバはコンテンツ対応テーブルを有し、コンテンツIDが異なっても、同内容のコンテンツをグループとして管理する。
【0050】
図15は、サーバが所有するコンテンツ対応テーブルの例を示す。コンテンツ対応テーブルは、サーバのメタデータ管理部212にて作成し、記憶部216に保存する。コンテンツ対応テーブル1501には、同内容と判別されたコンテンツをグループ番号1502でまとめて、これに含まれる映像コンテンツID1503を管理する。図では、グループ#1には4個の映像コンテンツIDを含んでいる。
【0051】
テーブルの作成に必要な情報は、コンテンツホルダーや広告主等が一括で作成してサーバにアップロードしても良いし、ユーザが同一のコンテンツを発見する毎に、サーバにその情報を提供しても良い。例えば、コンテンツのEPG情報から生成した映像コンテンツIDをサーバに送信することにより、サーバはコンテンツ対応テーブル1501の該当するグループ欄1502に映像コンテンツIDを追加する。EPG情報を有さない、DVD等パッケージメディアのコンテンツのメタデータを生成する場合は、DVDが有する再生制御用の特定のファイル容量やトラック毎のファイルの容量等から映像コンテンツIDを生成してもよい。コンテンツの内容自体が同じでも録画開始時間やCM挿入位置などにより、それぞれのPTS(プレゼンテーション・タイム・スタンプ)が異なる場合は、メタデータ生成時に、ユーザがメタデータ内に対応位置を書き込んでも良い。
【0052】
図16は、サーバとクライアントで行うダウンロードのための通信を示す図である。ユーザが視聴するコンテンツを選択すると、クライアント1は同内容と思われるすべてのコンテンツの一覧をサーバ2に要求する(処理1601)。サーバはコンテンツ対応テーブル1501から該当するコンテンツを特定し、同一グループに含まれるすべてのコンテンツ一覧をクライアントに送信する(処理1602)。クライアントはコンテンツ一覧からメタデータを取得したいコンテンツを選択し、サーバにメタデータリストを要求する(処理1603)。以降の処理は実施例1(図11)と同様で、クライアントは所望のメタデータを取得する。
【0053】
図17は、クライアントがサーバからメタデータをダウンロードするフローチャートを示す。メタデータを利用して視聴したいコンテンツを選択する(S1701)。映像コンテンツIDが異なるものを含めて同内容のコンテンツ一覧を取得するのであれば(S1702)、サーバにコンテンツ一覧を要求する(S1703)。サーバからコンテンツ一覧を受信し(S1704)、コンテンツ一覧の中にメタデータを所望するコンテンツが有れば(S1705)、該当コンテンツを選択し、サーバにメタデータリストを要求する(S1706)。サーバから該当コンテンツに対応するメタデータリストを受信し(S1707)、所望のメタデータが有れば(S1708)、該当メタデータを選択し、サーバにメタデータを要求する(S1709)。サーバからメタデータを受信し(S1710)、ダウンロードを終了する。
【0054】
図18は、サーバがクライアントから要求されたメタデータをダウンロードするフローチャートを示す。クライアントからコンテンツ一覧の要求を受信すると(S1801)、コンテンツ対応テーブル1501より、コンテンツIDは異なるが内容は同じコンテンツを特定して(S1802)、対応するコンテンツ一覧をクライアントに送信する(S1803)。クライアントから、クライアントが選択したコンテンツのメタデータリストの要求を受信すると(S1804)、対応するコンテンツのメタデータリストをクライアントに送信する(S1805)。以降は実施例1のサーバの処理(図12)と同様であり、クライアントに該当するメタデータを送信する。
【0055】
図19は、クライアントがコンテンツ一覧を要求する画面の例を示す図である。表示部123には、コンテンツ一覧取得GUI1901が表示される。選択欄1903にてメタデータを利用して視聴したいコンテンツを選択すると、該当コンテンツの画像1902が表示される。さらに、同じ番組、すなわち映像コンテンツIDは異なるが同内容のコンテンツのメタデータも探すボタン1904を押すと、サーバにコンテンツ一覧の要求が送信される。そして、サーバのコンテンツ対応テーブルから生成したコンテンツ一覧1905を受信して表示する。ここでは、同一コンテンツの4個の番組が表示されている。ユーザはコンテンツ一覧1905の中から所望するコンテンツを選択し、そのメタデータリストをサーバに要求する(ボタン1906)。メタデータリスト取得以降の処理は実施例1(図13)と同様である。
【0056】
このように実施例2によれば、コンテンツIDが異なっても、同内容のコンテンツのメタデータを取得することができるので、再放送や地方局放送などで異なる日時に放送される番組に対してもメタデータを拡張して有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明によるメタデータ共有システムの一実施例を示す構成図(実施例1)。
【図2】クライアントのハードウェア構成の一例を示す図。
【図3】クライアントの機能構成の一例を示す図。
【図4】サーバのハードウェア構成の一例を示す図。
【図5】サーバの機能構成の一例を示す図。
【図6】メタデータ生成とアップロードのフローチャートを示す図。
【図7】メタデータ生成時の画面の例を示す図。
【図8】生成したメタデータの記述例を示す図。
【図9】サーバによるメタデータ受信のフローチャートを示す図。
【図10】サーバにて作成したメタデータリストの一例を示す図。
【図11】サーバとクライアントで行うダウンロードのための通信を示す図。
【図12】サーバがメタデータをダウンロードするフローチャートを示す図。
【図13】クライアントがメタデータを要求する画面の例を示す図。
【図14】映像コンテンツと対応するメタデータの表示画面例を示す図。
【図15】サーバが所有するコンテンツ対応テーブルの例を示す図(実施例2)。
【図16】サーバとクライアントで行うダウンロードのための通信を示す図。
【図17】クライアントがメタデータをダウンロードするフローチャートを示す図。
【図18】サーバがメタデータをダウンロードするフローチャートを示す図。
【図19】クライアントがコンテンツ一覧を要求する画面の例を示す図。
【符号の説明】
【0058】
1…クライアント装置
2…サーバ装置
3…ネットワーク
101…CPU
106,112…指示入力部
107,111…記憶部
109,123…表示部
113…メタデータ生成部
118…メタデータ要求部
120…コンテンツ再生部
201…CPU
205,216…記憶部
212…メタデータ管理部
213…メタデータ解釈部
214…映像コンテンツID生成部
215…メタデータリスト生成部
217…メタデータ配信部
218…要求解釈部
219…検索部
801…メタデータ記述例
1001…メタデータリスト
1501…コンテンツ対応テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置と複数のクライアント装置をネットワークを介して接続し、コンテンツに関連する情報を記述したメタデータを該複数のクライアント装置で共有するメタデータ共有システムにおいて、
上記サーバ装置は、
上記クライアント装置から受信したメタデータを管理するメタデータ管理部と、
受信したメタデータを蓄積する記憶部と、
上記クライアント装置から要求されたメタデータを配信するメタデータ配信部とを備え、
上記クライアント装置は、
メタデータを生成するメタデータ生成部と、
上記サーバ装置に所望のメタデータを要求するメタデータ要求部と、
生成したメタデータを上記サーバ装置に送信すると共に上記サーバ装置から要求したメタデータを受信する通信部とを備え、
上記クライアント装置の上記メタデータ生成部は、メタデータの属するコンテンツの情報として当該コンテンツのEPG情報をメタデータに記述し、
上記サーバ装置の上記メタデータ管理部は、上記EPG情報を基にコンテンツを識別して、該コンテンツ毎にメタデータを管理することを特徴とするメタデータ共有システム。
【請求項2】
請求項1に記載のメタデータ共有システムにおいて、
前記サーバ装置の前記メタデータ管理部は、前記EPG情報が異なっても同内容のコンテンツをグループとして管理するコンテンツ対応テーブルを有し、
前記メタデータ配信部は、前記クライアント装置からメタデータを要求されたとき、上記コンテンツ対応テーブルを参照し、同一のグループに含まれる同内容のコンテンツに属するメタデータを配信することを特徴とするメタデータ共有システム。
【請求項3】
サーバ装置と複数のクライアント装置をネットワークを介して接続し、コンテンツに関連する情報を記述したメタデータを該複数のクライアント装置で共有するメタデータ共有システムにおけるサーバ装置であって、
上記クライアント装置から受信したメタデータを管理するメタデータ管理部と、
受信したメタデータを蓄積する記憶部と、
上記クライアント装置から要求されたメタデータを配信するメタデータ配信部とを備え、
上記メタデータ管理部は、メタデータに記述されたEPG情報を基に当該メタデータの属するコンテンツを識別して、該コンテンツ毎にメタデータを管理するメタデータリストを生成し、
上記メタデータ配信部は、上記メタデータリストに基づき上記クライアント装置から要求されたメタデータの属するコンテンツを特定し、該当するメタデータを配信することを特徴とするサーバ装置。
【請求項4】
サーバ装置と複数のクライアント装置をネットワークを介して接続し、コンテンツに関連する情報を記述したメタデータを該複数のクライアント装置で共有するメタデータ共有システムにおけるクライアント装置であって、
メタデータを生成するメタデータ生成部と、
上記サーバ装置に所望のメタデータを要求するメタデータ要求部と、
生成したメタデータを上記サーバ装置に送信すると共に上記サーバ装置から要求したメタデータを受信する通信部と、
上記サーバ装置から取得したメタデータをコンテンツと共に再生するコンテンツ再生部とを備え、
上記メタデータ生成部は、メタデータの属するコンテンツの情報として当該コンテンツのEPG情報をメタデータに記述することを特徴とするクライアント装置。
【請求項5】
請求項4に記載のクライアント装置であって、
前記メタデータ生成部は、前記コンテンツのEPG情報として、放送局、チャンネル、放送日時、番組タイトル、コンテンツを受信した地域の情報を用いることを特徴とするクライアント装置。
【請求項6】
サーバ装置と複数のクライアント装置をネットワークを介して接続し、コンテンツに関連する情報を記述したメタデータを該複数のクライアント装置で共有するメタデータ共有方法において、
上記クライアント装置はコンテンツに対応したメタデータを生成すると共に、該メタデータの属するコンテンツの情報として当該コンテンツのEPG情報をメタデータに記述し、生成したメタデータを上記サーバ装置に送信し、
上記サーバ装置は上記クライアント装置から受信したメタデータを蓄積すると共に、メタデータに記述されたEPG情報を基に当該メタデータの属するコンテンツを識別して、該コンテンツ毎にメタデータを管理するメタデータリストを生成し、
上記クライアント装置は上記サーバ装置から視聴するコンテンツのメタデータリストを入手して、所望のメタデータを上記サーバ装置に要求し、
上記サーバ装置は要求されたメタデータを検索して、該当するメタデータを上記クライアント装置に送信することを特徴とするメタデータ共有方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−163600(P2009−163600A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2017(P2008−2017)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】