説明

メタボリックシンドロームを治療するための方法

本発明は、少なくとも部分的には、対象においてメタボリックシンドロームを治療するための方法に関する。前記方法は、式(I)の化合物の有効量を対象に投与することを含む。式中、R及びRが独立にH又はメチルである式(I)の化合物及びそのエナンチオマー及び医薬適合性のその塩。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
メタボリックシンドロームは、インスリン抵抗性又は耐糖能異常に関連すると考えられている代謝系の異常の一群に関連する(Hansen,BC(1999)Ann NY Acad Sci 892:1)。メタボリックシンドロームは、次のうち3以上を併発する疾患として認識されている:腹部肥満、トリグリセリドレベル上昇、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールレベル低下、高血圧及び空腹時血糖値異常(インスリン感受性低下及び糖尿病発現リスク上昇の指標)(Expert panel on detection evaluation and treatment of high blood cholesterol in adults(2001)JAMA 285:2486−2497)。メタボリックシンドロームは、冠状動脈性心疾患(CHD)及び粥腫発生のリスクを顕著に上昇させ、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール上昇とは別の、冠状動脈性心疾患のリスク低下のための独立した標的として認められている。メタボリックシンドロームは、広く蔓延しており、米国において成人の4人に1人が罹患していると予想される(Ford,ESら、(2002)JAMA 287:356−359)。
【0002】
メタボリックシンドロームの異常の1つは、腹部肥満又は内臓脂肪蓄積である(Maison,P,ら(2001)Diabetes Care 24:1758−1763;DePres,J−P,ら、(2001)BMJ 322:716-720)。内臓脂肪は、身体の他の脂肪沈着(つまり、皮下脂肪)とは異なる、独特の内分泌及び代謝特性を有し、グルコース及び脂質代謝に悪影響を与える(Grundy,SM(2000)Endocrine 13:155−165)。内臓脂肪における蓄積は、インスリン抵抗性の上昇、異脂肪血症、高血圧及び冠状動脈性心疾患に直接相関する(Pouliot,M−C,ら(1994)73:460−468)。内臓脂肪は、コンピューター断層撮影法のような放射線学技術により最も正確に測定されるが、容易に測定でき、臨床家が追跡できる胴囲に密接に相関する。
【0003】
メタボリックシンドロームに対する一次治療として、体重減少及び身体活動の活発化が推奨されている。体重管理及び身体活動は、脂質及び非脂質代謝性リスク要因に対して独立に良い方向に影響を与えることが示されており、罹患率及び死亡率の低下に関与する。中程度の5%から10%の体重減少でさえ、臨床的に非常に有益である。個々のメタボリックシンドローム要素に対して安全かつ効果的な薬物療法が存在するにもかかわらず、メタボリックシンドローム全体に対する明確な薬物療法は確立されていない。
【発明の開示】
【0004】
ある実施形態において、本発明は、対象においてメタボリックシンドロームを治療するための方法に関する。前記方法には、メタボリックシンドロームに罹患している対象を事前に選択することと、前記対象が前記メタボリックシンドロームの治療を受けるように、有効量の式(I)の化合物を前記対象に投与することと、が含まれる。式(I)の化合物は:
【0005】
【化5】

(式中、R及びRが独立にH又はメチルである。)及びそのエナンチオマー及び医薬適合性のその塩である。
【0006】
ある実施形態において、本発明は、少なくとも部分的には、対象においてメタボリックシンドロームを治療するための方法に関する。前記方法には、前記対象が前記メタボリックシンドロームの治療を受けるように、式(I)の化合物の有効量を前記対象に投与することが含まれる。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、対象においてメタボリックシンドロームを治療するための方法に関する。前記方法には、メタボリックシンドロームの3以上の症候を発症している対象を事前に選択することが含まれる。前記方法には、前記対象が前記メタボリックシンドロームの治療を受けるように、式(I)の化合物の有効量を前記対象に投与することが含まれる。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも部分的に、メタボリックシンドロームを治療するために式(I)の化合物を使用するための説明書とともにパッケージされた、メタボリックシンドロームの治療のための式(I)の化合物の有効量を含有する、パッケージ化された医薬組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ある実施形態において、本発明は、少なくとも部分的には、対象においてメタボリックシンドロームを治療するための方法に関する。前記方法には、前記対象がメタボリックシンドロームに対して治療されるように、有効量の式(I)の化合物を前記対象に投与することが含まれる。式(I)の化合物は:
【0010】
【化6】

(式中、R及びRは、独立にH又はメチルである。)及びそのエナンチオマー及び医薬適合性のその塩である。式(I)の化合物はまた、本明細書中でシブトラミン化合物とも呼ばれ得る。R及びRがそれぞれメチルである化合物もまた、本明細書中でシブトラミンと呼ぶ。Rが水素であり、Rがメチルであるか、又はR及びRがそれぞれ水素である化合物は、本明細書中でシブトラミン代謝物と呼び得る。代謝性疾患を治療するためにシブトラミン化合物を使用するための方法はまた、「シブトラミン療法」と呼び得る。
【0011】
シブトラミンは、心臓血管系のリスク因子を有する肥満患者及び体重超過患者における臨床的に顕著な体重減少をもたらすことが注目され、普及してきた;シブトラミン又はシブトラミン代謝物で治療されている対象で観察される体重減少は、例えば腹部肥満の軽減、高密度リポタンパク質(HDL)及びトリグリセリド脂質プロファイルの改善など、メタボリックシンドロームの特徴である代謝リスク因子の改善に関与する。
【0012】
本発明の方法は、メタボリックシンドロームの対象に有効である。本発明の方法は、本発明の式(I)の化合物が本シンドロームの複数の異常性に対して良い方向の効果を与えるので、メタボリックシンドロームに比類なく効果的である。このように、本発明の方法は、異脂肪血症又は高血圧のような個々の代謝性疾患を標的とする他の療法とは異なる。
【0013】
臨床試験から、プラセボと比較して、シブトラミン化合物を摂取している患者におけるHDLコレステロール、トリグリセリドレベル、胴囲(腹部肥満の指標)及びインスリンレベルが顕著に改善することが明らかとなっている(Astrup,A,ら(2001)Int J Obes Relat Metab Disord 24(suppl 2):S104;James,WPTら(2000)Lancet 356:2119−2125)。空腹時血糖値の異常におけるシブトラミンの効果は、プロスペクティブに評価されていないが、シブトラミン療法に伴うインスリンレベルの低下から、インスリン感受性の改善が示唆され;プラセボと比較した際、空腹時血糖値レベルはシブトラミンにより顕著には変化しない。腹部肥満及びその関連代謝リスク因子におけるシブトラミン療法に伴う変化から、心臓病、発作及び糖尿病発症のリスクを低下させることが予想される。
【0014】
シブトラミン療法は、HDL及びトリグリセリド異脂肪血症、腹部脂肪蓄積の改善に効果を示し、インスリン抵抗性に対して良い影響を与える。さらに、体重減少及び維持は、メタボリックシンドロームの異常性全てに良い方向の影響を与え、一次治療とみなされる。
【0015】
肥満を伴う代謝性障害は以前から確認されているが、メタボリックシンドロームが正式に定義され、心臓血管系疾病、糖尿病及び死亡のリスク上昇を招く状態として認められたのは最近のことである。メタボリックシンドロームに対する治療ガイドラインは、体重管理及び身体活動を活発にすることに焦点を当てている。体重減少及び活動の活発化は、現在のところ、メタボリックシンドロームの要素全てに対して適応される介入に過ぎない。メタボリックシンドロームの対象に対する薬物療法は、他に、疾病特異的なもの、つまり、異脂肪血症に対する抗脂質療法及び血圧上昇に対する血圧降下療法である。近年、体重管理及び身体活動の活発化はまた、耐糖能異常患者における糖尿病発症を遅らせるための最適な治療法としても認められている(Tuomilehto,J.ら、(2001)344:1343−1350;Diabetes Prevention Research Group(2002)N Engl J Med 346:393−403)。
【0016】
本発明の式(I)の化合物を用いた治療は、メタボリックシンドロームの複数の異常に良い影響を与えるので、メタボリックシンドロームに対して比類なく効果的である。臨床試験から、プラセボと比較して、本発明の式(I)の化合物を摂取している患者におけるHDLコレステロール、トリグリセリドレベル、胴囲(腹部肥満の指標)及びインスリンレベル(インスリン抵抗性の指標)が顕著に改善することが明らかとなっている(James,WPTら(2000)Lancet 356:2119−2125)。このように、本発明の式(I)の化合物を用いた治療は、異脂肪血症、高血圧又は耐糖能異常のような個々の代謝性疾患を標的とする他の療法とは異なる。体重減少及び維持の効果が、食事及び運動のみによる体重管理が不可能な対象に拡大される。
【0017】
ある実施形態において、本発明の式(I)の化合物は、低カロリーの食事及び身体活動を活発にするプログラムと組み合わせて、メタボリックシンドロームの患者を治療するために使用することができる。
【0018】
「メタボリックシンドローム」という用語には、3以上の次の症候:腹部肥満、トリグリセリドレベル上昇、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールレベル低下、高血圧及び空腹時血糖値異常(インスリン感受性低下及び糖尿病発現リスク上昇の指標)の組み合わせが含まれる。
【0019】
「治療する」という用語には、メタボリックシンドロームの症候の3以上の改善又は軽減が含まれる。例えば、対象におけるメタボリックシンドロームの治療の結果、腹部肥満が軽減され、上昇したトリグリセリドレベルが低下し、高密度リポタンパク質コレステロールレベルが上昇し得る。別の例において、対象におけるメタボリックシンドロームの治療の結果、空腹時血糖値レベルが改善し、血圧が低下し、HDLコレステロールレベルが上昇し得る。メタボリックシンドロームの症候へ良い方向に影響を与える効果の他の組み合わせもまた含まれる。
【0020】
ある実施形態において、式(I)の化合物の有効量は、前記対象におけるトリグリセリドレベルを低下させるのに効果的である。さらなる実施形態において、式(I)の化合物は、前記対象におけるトリグリセリドレベルを、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上又は95%以上、低下させるのに有効である。好ましくは、前記対象におけるトリグリセリドレベルの低下率は、少なくとも19%である。
【0021】
別の実施形態において、式(I)の化合物の有効量は、前記対象における高密度リポタンパク質コレステロールレベルを上昇させるのに有効である。さらなる実施形態において、本有効量は、HDLコレステロールレベルを、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上又は50%以上、上昇させるのに有効である。好ましくは、前記対象におけるHDLレベルの上昇率は、少なくとも15%である。
【0022】
別の実施形態において、式(I)の化合物の有効量は、空腹時血糖値異常の治療に効果的である。さらなる実施形態において、前記対象の空腹時血糖値は、該対象の年齢、体重及び活動レベルに対して正常であるとみなされるレベルに調節される。
【0023】
別の実施形態において、式(I)の化合物の有効量は、対象における腹部肥満を軽減するのに有効である。ある実施形態において、前記対象の胴囲は、1インチ以上、2インチ以上、3インチ以上、4インチ以上、5インチ以上、6インチ以上、7インチ以上、8インチ以上、9インチ以上、10インチ以上、11インチ以上、12インチ以上、13インチ以上、14インチ以上、15インチ以上、16インチ以上、20インチ以上、24インチ以上、28インチ以上、32インチ以上、36インチ以上又は40インチ以上、小さくなる。別の実施形態において、前記対象の胴囲は、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上又は50%以上、小さくなる。好ましくは、前記対象の胴囲は、少なくとも8インチ小さくなる。
【0024】
「対象」という用語は、メタボリックシンドロームに罹患する可能性のある動物を含む。対象の例には、ウマ、ラット、ウサギ、マウス、ウシ、ブタ、クマ、イヌ、ネコ、フェレット、ウサギなどが含まれる。好ましい実施形態において、前記対象は霊長類、好ましくは、ヒトである。さらなる実施形態において、前記対象は、27以上、28以上、29以上、30以上、31以上、32以上、33以上、34以上、35以上、36以上、37以上、38以上、39以上、40以上、42以上、44以上、46以上、46以上又は48以上のBMI(ボディーマスインデックス、肥満度指数)を有する。
【0025】
ある実施形態において、本発明は、対象においてメタボリックシンドロームを治療するための方法に関する。本方法には、メタボリックシンドロームに罹患している対象を事前に選択することと、前記対象が前記メタボリックシンドロームの治療を受けるように、式(I)の化合物の有効量を前記対象に投与することと、が含まれる。
【0026】
「前もって選択する」という用語は、スクリーニングすること、及びメタボリックシンドローム又は2、3、4もしくは5種類のメタボリックシンドロームの症候の特定の組み合わせに罹患している対象を同定するための方法を含む。対象を前もって選択することは、前記症候の組み合わせに罹患している特定の患者を治療する医師により行われ得るか、又は症候の特定の組み合わせに罹患している人又はそれらの人の医療関係者に対して本薬剤を販売することにより行われ得る。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、対象においてメタボリックシンドロームを治療するための方法に関する。本方法には、2、3、4、5種類又はそれ以上のメタボリックシンドロームの症候に罹患している対象を前もって選択することが含まれる。本方法には、前記対象が前記メタボリックシンドロームの治療を受けるように、式(I)の化合物の有効量を前記対象に投与することが含まれる。症候の例には、腹部肥満、トリグリセリドレベル上昇、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールレベル低下、高血圧及び空腹時血糖値異常が含まれる。
【0028】
さらなる実施形態において、本発明は、第二の薬剤と組み合わせて式(I)の化合物を投与することによる、メタボリックシンドロームを治療するための方法に関する。
【0029】
第二の薬剤又は治療「と組み合わせて」という用語は、式(I)の化合物の、第二の薬剤又は治療との同時投与、式(I)の化合物を最初に投与し、続いて第二の薬剤を投与又は治療を行うこと、及び、第二の薬剤の投与又は治療を最初に行い、続いて式(I)の化合物を投与することを含む。第二の薬剤は、例えば高血圧の低下、食欲コントロールの促進など、メタボリックシンドロームの症候を治療、予防又は軽減することが本分野で公知であるあらゆる薬剤であり得る。さらに、前記第二の薬剤は、式(I)の化合物の投与と組み合わせて投与する場合に患者にとって有益なあらゆる薬剤であり得る。
【0030】
本発明の化合物及びその調製
ある実施形態において、本発明の化合物は、式I:
【0031】
【化7】

(式中、R及びRは独立にH又はメチルである。)及びそのエナンチオマー及び医薬適合性のその塩である。
【0032】
シブトラミン(式I、R=CH、R=CH)は、モノアミン再取り込み阻害剤の中でユニークな薬理学的プロファイルを有する。その薬理学的に活性のある代謝物(代謝物1、式IにおいてR=H、R=CH及び代謝物2、式IにおいてR=H、R=H)を介して、シブトラミンは、例えばフルオキセチンなどのセロトニン(5−HT)選択的再取り込み阻害剤、例えばデシプラミンなどのノルアドレナリン選択的再取り込み阻害剤、例えばブプロフェンなどのドーパミン選択的再取り込み阻害剤及びベンラファキシンなどのセロトニン−ノルアドレナリン再取り込み阻害剤とは異なり、3種類のモノアミン全ての再取り込みを阻害する。薬理学的作用のこのようなユニークな組み合わせにより、シブトラミン及び式Iの他の化合物がメタボリックシンドロームの治療に有効なものとなっている。
【0033】
シブトラミンは、摂食後に満腹感(又は飽満感)を誘導し、エネルギー消費に影響を与えることにより、主としてエネルギー摂取量を減少させるために作用する、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤である。シブトラミンを用いた治療により、食事摂取量が減少し、間食を取る傾向が抑えられる。シブトラミンは、拒食症(食欲減退)を誘導しない。体重減少とともに、通常、代謝速度が低下するが、しかし、シブトラミンは、通常は体重減少に伴う代謝速度低下を制限する。
【0034】
式Iの化合物は、不斉中心を有する。式(I)の化合物が1個の不斉中心を含有する場合、この化合物は2つのエナンチオマー形態で存在し得る。本発明は、個々のエナンチオマー及びエナンチオマーの混合物の使用を含む。エナンチオマーは、当業者に公知の方法により、例えば結晶化によって分離され得る、例えばジアステレオ異性体の塩又は錯体の形成により;例えば、結晶化、ガス液体クロマトグラフィーもしくは液体クロマトグラフィーによって分離され得るジアステレオマーの誘導体の形成を介して;一方のエナンチオマーをエナンチオマー特異的な試薬と選択的に反応させ(例えば、酵素による酸化又は還元)、続いて修飾又は非修飾エナンチオマーを分離することにより;又は、キラルな環境でのガス液体クロマトグラフィーもしくは液体クロマトグラフィー、例えば、キラルな支持体(例えば、キラルなリガンドを結合させたシリカ)又はキラルな溶媒の存在下でのガス液体クロマトグラフィーもしくは液体クロマトグラフィーにより、分割することができる。所望するエナンチオマーは、上記の分離手順のいずれかによって別の化学成分に変換される場合、所望するエナンチオマー形態を遊離させるためにさらなる段階が必要とされることが理解されるであろう。あるいは、光学活性のある試薬、基質、触媒もしくは溶媒を使用する不斉合成により、又は、一方のエナンチオマーを不斉変換によりもう一方のエナンチオマーに変換することにより、特定のエナンチオマーを合成することができる。
【0035】
光学活性前駆体からのエナンチオマー選択的な合成により、又は上述のようにして調製できるラセミ化合物を分解することにより、個々のエナンチオマーを調製することができる。式Iの二級アミンのエナンチオマーはまた、対応する一級アミンのラセミ体を調製し、その一級アミンを個々のエナンチオマーに分解し、次に、英国特許明細書第2098602号に記載されている方法により光学的に純粋な一級アミンエナンチオマーを所望する二級アミンに変換することによって調製することができる。式Iの化合物の具体的な例は、(+)−N−[1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−N−メチルアミン;(−)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル−3−メチルブチル}−N−メチルアミン;(+)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミン;(−)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミン;(+)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−N,N−ジメチルアミン;(−)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−N,N−ジメチルアミン;(+/−)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル}−N−メチルアミン;(+/−)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミン;(+/−)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−N,N−ジメチルアミン及び混合物、及び医薬適合性のその塩である。
【0036】
N,N−ジメチル−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミンなどの式Iの化合物及びその塩の調製は、英国特許明細書第2098602号及び米国特許第4,522,828号に記載されている。次の症状及び疾病の治療における式Iの化合物及びその塩の使用は、次に述べるとおりである:パーキンソン病の治療は、WO88/06444に記載されており;大脳機能疾患の治療は、米国特許第4,939,175号に記載されており;肥満の治療は、米国特許第5,436,272号に記載されており;耐糖能異常又はインスリン非依存性糖尿病のヒトの耐糖能の改善については、米国特許第第5,459,164号及び第5,942,549号に記載されており;うつの治療は、米国特許第6,552,087号に記載されており;ある種の薬物治療に伴う体重増加の緩和は、WO00/56313に記載されており;慢性疲労症候群の治療は、米国特許第6,376,551号に記載されており;薬物誤用から生じた疾患の治療は、WO00/56148に記載されており;肺高血圧の治療は、6,403,650に記載されており;月経障害の治療は、米国特許第6,372,797号に記載されており;月経前症候群の治療は、WO00/56150に記載されており;血小板凝集能の低下は、米国特許第6,380,260号に記載されており;摂食障害の治療は、米国特許第6,365,633号に記載されており;癌の治療は、米国特許WO00/56323に記載されており;変形性関節症の治療は、米国特許第6,232,347号に記載されており;心臓血管系疾患の治療は、米国特許第6,433,020号に記載されており;胆石の治療は、米国特許第6,376,552号に記載されており;神経因性疼痛の治療は、WO00/56318に記載されており;強迫神経症の治療は、WO00/56151に記載されており;起立性低血圧の治療は、米国特許第6,365,632号に記載されており;注意欠陥多動性障害の治療は、米国特許第6,372,798号に記載されており;性機能障害の治療は、米国特許第6,376,554号に記載されており;疼痛の治療は、米国特許第6,376,553号に記載されており;禁煙のための治療プログラムにおける使用は、WO00/43002に記載されており;裂孔ヘルニアの治療は、米国特許第6,288,125号に記載されており;不安障害の治療は、米国特許第6,355,685号に記載されており;睡眠時無呼吸の治療は、米国特許第6,365,631号に記載されており;妊娠後の体重減少の治療は、WO00/56317に記載されており;非運動活動熱産生の促進は、米国特許第6,441,046号に記載されており;耐糖能及びインスリン非依存性糖尿病のリスクが高い個体におけるインスリン抵抗性の軽減は、米国特許第6,174,925号に記載されており;尿失禁の治療は、米国特許第6,046,242号に記載されており;オルリスタットTMと組み合わせて式Iの化合物を使用することによる肥満の治療は、米国特許第6,403,641号に記載されており;膨張剤と組み合わせて式Iの化合物を使用することによる肥満の治療は、WO01/34140に記載されており;尿酸値低下は、米国特許第6,162,831号に記載されており;シブトラミン及びオルリスタットTMを用いた、肥満を伴う合併症状の治療は、WO01/00205に記載されており;脂質レベル低下のための使用は、米国特許第6,187,820号に記載されており;式Iの化合物及びオルリスタットTM以外のリパーゼ阻害剤を用いる肥満及び関連する合併症状の治療は、WO01/00187に記載されている。
【0037】
さらに別の実施形態において、本発明は、化合物式Iの塩酸塩に関するが、遊離塩基及び他の医薬適合性の塩もまた適切である。他の好ましい医薬適合性の塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩[例えば、(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩又は、ラセミ混合物を含むそれらの混合物]、コハク酸塩、安息香酸塩、及びグルタミン酸などのアミノ酸を伴う塩が含まれる。これらの塩は、当業者にとって公知の方法により調製され得る。
【0038】
さらに別の実施形態において、メタボリックシンドロームの治療における式(I)の化合物の塩酸塩の一水和物の使用が好ましい。
【0039】
医薬組成物
さらなる実施形態において、本発明はまた、パッケージ化された医薬組成物にも関する。このパッケージ化された医薬組成物は、メタボリックシンドロームの治療のための式(I)の化合物の有効量と、メタボリックシンドロームを治療するために本化合物を使用するための説明書とを含む。
【0040】
式Iの化合物は、あらゆる公知の医薬剤形で投与し得る。投与されるべき本化合物の量は、患者の年齢、症状の重症度及び患者の過去の病歴を含む数々の因子に依存し、常に、投与する医師の健全な判断の範囲内にあるが、本化合物の用量は、1回又は複数回の投与で与えられる、1日あたり0.1mgから50mgの範囲、好ましくは、1mgから30mgの範囲となることが通常は予想される。
【0041】
経口剤形は、本発明で使用するための好ましい組成物の1つであり、これらは、例えば、錠剤、カプセル、顆粒、シロップ及び水性懸濁液もしくは油性懸濁液のような、このような投与のための公知の医薬形態である。これらの組成物の調製において使用される賦形剤は、薬剤師の分野で公知の賦形剤である。錠剤は、例えば、リン酸カルシウムなどの増量剤;例えばトウモロコシデンプンなどの崩壊剤;例えばステアリン酸マグネシウムなどの滑剤;例えば微結晶性セルロース又はポリビニルピロリドンなどの結合剤及び公知の方法によりその混合物を錠剤化するための本分野で公知の他の任意の成分と、活性化合物との混合物から調製され得る。必要であれば、本錠剤は、例えば、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いた腸溶コーティングを含み得る、公知の方法及び賦形剤を用いて被覆し得る。本錠剤は、本発明の化合物を持続放出させるように、当業者に公知の方法で調剤し得る。このような錠剤は、必要であれば、例えば、酢酸フタル酸セルロースの使用によって、公知の方法による腸溶コーティングとともに与え得る。同様に、公知の方法により、さらなる賦形剤を伴う、又は伴わない、本活性化合物を含有する、例えば硬ゼラチンカプセル又は軟ゼラチンカプセルなどのカプセルを調製することができ、必要であれば公知の様式における腸溶コーティングとともに提供し得る。本カプセルの内容は、本活性化合物を持続放出させるように、公知の方法を用いて調剤し得る。本錠剤及びカプセルは、都合よく、それぞれ、本活性化合物 1mgから50mg、好ましくは5mg、10mg又は15mgを含有する。式(I)の化合物の好ましい用量は、5mg、10mg又は15mgである。シブトラミン HCl一水和物の好ましい用量は、5mg、10mg又は15mgである。シブトラミン代謝物の好ましい用量は、5mg、10mg又は15mgである。
【0042】
経口投与のための他の剤形には、例えば、カルボキシ−メチルセルロースナトリウムなどの非毒性懸濁剤の存在下で水性溶媒中に本活性化合物を含有する水性懸濁液及び適切な植物油、例えばラッカセイ油中に本発明の化合物を含有する油性懸濁液が含まれる。本活性化合物は、さらなる賦形剤とともに、又はさらなる賦形剤無しで、顆粒に調剤し得る。本顆粒は、患者によって直接摂取されるか、又は摂取前に適切な液体担体(例えば、水)に添加し得る。本顆粒は、例えば、液体溶媒中での分散を促進するための、酸及び炭酸塩又は重炭酸塩から形成される発泡性カップル(effervescent couple)などの、崩壊剤を含有し得る。
【0043】
治療的に活性のある式Iの化合物は、本活性化合物が口腔粘膜を介して投与されるように、患者がその口腔内に保持する組成物に調剤し得る。
【0044】
直腸投与に適切な剤形は、例えば、カカオバター又はポリエチレングリコールの基剤を伴う坐薬など、このような投与に対する公知の医薬形態である。
【0045】
非経口投与に適した剤形は、例えば、適切な溶媒中の滅菌懸濁液又は滅菌溶液など、このような投与に対する公知の医薬形態である。
【0046】
局所投与のための剤形は、薬理学的に活性のある本発明の化合物が皮膚との接触を維持するように、該化合物が分散されている、本化合物を経皮的に投与するための、マトリックスを含み得る。適切な経皮組成物は、医薬的に活性のある化合物を、ジメチルスルホキシド又はプロピレングリコールなどの有力な経皮吸収促進剤と一緒に、鉱物油、ペトロラタム及び/又はワックス(例えば、パラフィンワックス又はビーズワックス)などの局所用ビヒクルと混合することにより調製され得る。あるいは、本活性化合物は、医薬適合性のクリーム、ゲル又は軟膏基剤中に分散させ得る。局所製剤中に含有される活性化合物の量は、本局所製剤が皮膚上にあるとされる時間中に本化合物の治療上の有効量が送達されるような量であるべきである。
【0047】
治療的に活性のある式Iの化合物は、患者の口腔又は鼻腔にエアロゾルとして分散される組成物に調剤され得る。そのようなエアロゾルは、ポンプパック(pump pack)から、又は揮発性噴射剤を含有する加圧型パックから投与され得る。
【0048】
本発明の方法において使用される治療的に活性のある式Iの化合物はまた、例えば静脈内注射などによる外部ソースから、又は体内に置かれた本化合物のソースから、持続注入により投与される。内部ソースには、例えば浸透により継続的に放出される、注入すべき化合物を含有する埋め込み容器、及び、例えば、(a)ドデカン酸塩もしくは脂油性エステルなどの水に対して非常に難溶性の誘導体の形態で注入される化合物の油性懸濁液などの液体、又は(b)注入される化合物に対する、例えば、合成樹脂もしくはワックス物質などの埋め込まれた支持体の形態での固形物であり得る移植物が含まれる。この支持体は、化合物全てを含有する1個の物体、又はそれぞれが送達すべき化合物の一部を含有する一連の数個の物体であり得る。内部ソースに存在する活性化合物の量は、本化合物の治療的有効量が長時間にわたり送達されるような量であるべきである。
【0049】
いくつかの処方において、例えば、気流式粉砕(fluid energy milling)により得られるような、非常に小さいサイズの粒子の形態で本発明の化合物を使用するのは有益であり得る。
【0050】
本発明の組成物において、本活性化合物は、必要であれば、他の適合する薬理学的活性成分と組み合わせることができる。
【0051】
本発明は、さらに、メタボリックシンドロームを治療するための薬剤の製造における式Iの化合物の使用を提供する。メタボリックシンドロームの治療における式Iの化合物の効率は、適切な母集団における臨床試験及び下記に示すデータを用いて明らかにされる。
【0052】
本発明の例示
Sibutramine Trial of Obesity Reduction and Maintenance(STORM、肥満軽減及び維持のシブトラミン試験)研究グループ(James,WPTら(2000)Lancet 356:2119-2125)により、体重減少後の体重維持における塩酸シブトラミン一水和物(この例において、シブトラミンと呼ぶ。)の効果を調べた。この研究は、2年間にわたる、体重減少の維持における、食事及び運動と組み合わせたシブトラミン療法の効果を評価するために計画された、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験であった。最初の6ヶ月の間、605名の被験者をシブトラミンで治療し、低カロリーの食事及び身体活動の活発化についてカウンセリングを行った。最初の6ヶ月を完了した499名の被験者のうち94%(467名)が、≧5%体重減少を達成し、平均体重減少は、26lbsであった。続いて、全部で477名の被験者を無作為化して、シブトラミン又はプラセボを投与し、両方とも食事及び運動のカウンセリングを組み合わせ、被験者をさらに18ヶ月間追跡した。2年間の治療の終了時に、≧5%(69%と44%)及び≧10%(46%と21%)の体重減少を維持した人数は、シブトラミン治療した被験者においてプラセボ被験者よりも顕著に多く;2年の時点で、6ヶ月間の体重減少の少なくとも80%を維持したのは、この試験を完了したシブトラミン治療被験者のうち全部で43%であったが、これに対し、プラセボ治療患者では、16%であった。
【0053】
全被験者の基礎値と比較して、シブトラミン摂取と同時に体重を減少させ維持した被験者では、臨床的かつ統計学的にトリグリセリド、HDLコレステロール及び胴囲が有意に改善した。
【0054】
空腹時血糖値異常が顕著に変化したが、平均空腹時インスリンレベルは、2年の時点で低下し、このことから、インスリン感受性の全般的な改善が示唆される。
【0055】
シブトラミン療法の利点は、メタボリックシンドロームの対象にまで拡大できる。STORM試験の試験エントリー時点でメタボリックシンドロームであった被験者において、及び、少なくとも6ヶ月間の二重盲検、プラセボ対照、非糖尿病試験の統合分析により、シブトラミンの治療効果を調べた。被験者は、治療開始前に腹部肥満(胴囲)の増大、HDLコレステロール低下及びトリグリセリド(TG)上昇があり、また、少なくとも6ヶ月のシブトラミン療法を完了した者とした(統合分析被験者:266名シブトラミン、134名プラセボ;STORM:80名シブトラミン)。STORM試験の全被験者が試験の最初の6ヶ月間、シブトラミンを投与されたので、より長期にわたりシブトラミンを投与するためにその後に無作為化した被験者のみを含めた。各変数に対する分析は、治療開始から、6ヶ月目の後、最長で12ヶ月目(これを含める。)の最新の評価までの変化に基づいて行った。
【0056】
統合分析の結果から、プラセボ投与の被験者と比較して、シブトラミンで治療した被験者において、臨床的かつ統計学的に有意に体重減少が促進され、HDL、TG及び胴囲が改善したことが明らかになった。STORMデータもまた、シブトラミン治療群におけるこれらの変数に対する好ましい変化を示した。空腹時血糖値異常は、統合分析(26名プラセボ;45名シブトラミン)又はSTORM(10名患者、全員シブトラミン投与)において、治療開始前にごく少数の被験者でしか認められなかったが、プラセボと比較して、シブトラミン治療を受けた被験者において、体重減少、胴囲及び異脂肪血症で同様の改善が示された。
【0057】
均等物
当業者は、本明細書中に記載した本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識する、又は通常の実験のみを用いて確かめることができるであろう。このような均等物は、次の請求項により包含されるものとする。
【0058】
本明細書中で引用した全ての参考文献、特許及び特許明細書の内容全てを、明確に参照により組み込む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタボリックシンドロームに罹患している対象を事前に選択することと;
前記対象が前記メタボリックシンドロームに対して治療されるように、有効量の式(I)の化合物を前記対象に投与することと、を含み、
前記式(I)の化合物が、
【化1】

(式中、R及びRは、独立にH又はメチルである。)並びにそのエナンチオマー及び医薬適合性のその塩である、対象においてメタボリックシンドロームを治療する方法。
【請求項2】
対象が前記メタボリックシンドロームに対して治療されるように、有効量の式(I)の化合物を前記対象に投与することを含み、
前記式(I)の化合物が、
【化2】

(式中、R及びRは、独立にH又はメチルである。)並びにそのエナンチオマー及び医薬適合性のその塩である、対象においてメタボリックシンドロームを治療する方法。
【請求項3】
が水素である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
がメチルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
が水素である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
が水素である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項7】
がメチルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
が水素である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が、(+)−N−[1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−N−メチルアミン;(+)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミン;(+)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−N−N−ジメチルアミン;(−)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル−3−メチルブチル}−N−メチルアミン;(−)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミン;(−)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−N−N−ジメチルアミン又はそれらの混合物である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、医薬適合性の担体と組み合わせて投与される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記有効量が、前記対象におけるトリグリセリドレベルを低下させるのに有効である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記有効量が、高密度リポタンパク質コレステロールレベルを調節するのに有効である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記有効量が、前記対象の血圧を低下させるのに有効である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記有効量が、異常な空腹時血糖値を治療するのに有効である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記有効量が、腹部肥満を軽減するのに有効である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記対象がヒトである、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が第二の治療剤と組み合わせて投与される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項18】
メタボリックシンドロームの3以上の症候を発症している対象を事前に選択することと;
前記対象が前記メタボリックシンドロームに対して治療されるように、有効量の式(I)の化合物を前記対象に投与することと、を含み、
前記式(I)の化合物が、
【化3】

(式中、R及びRは、独立にH又はメチルである。)並びにそのエナンチオマー及び医薬適合性のその塩である、対象においてメタボリックシンドロームを治療する方法。
【請求項19】
前記対象が腹部肥満である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記対象が、高トリグリセリドレベルを呈している、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記対象が、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールレベル低下を呈している、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、異常な空腹時血糖値を呈している、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が、メタボリックシンドロームの4以上の症候を発症している、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が、メタボリックシンドロームの5以上の症候を発症している、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が、第二の薬剤と組み合わせて投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
メタボリックシンドロームの治療のための、有効量の式(I)の化合物と、メタボリックシンドロームを治療するために該化合物を使用するための説明書と、を含有し、前記式(I)の化合物が:
【化4】

(式中、R及びRは、独立にH又はメチルである。)並びにそのエナンチオマー及び医薬適合性のその塩である、パッケージ化された医薬組成物。

【公表番号】特表2007−501245(P2007−501245A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522678(P2006−522678)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/025105
【国際公開番号】WO2005/016269
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】