説明

メタボリックシンドローム改善組成物

【課題】日常的に手軽かつ安全に摂取でき、改善効果に優れた、メタボリックシンドローム改善組成物を提供する。
【解決手段】ブドウの乳酸発酵物を有効成分として含有するメタボリックシンドローム改善組成物。乳酸発酵物は、ブドウを、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌で発酵して得られたものであることが好ましい。また、ブドウの種子及び/又は果皮を原料とすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブドウの乳酸発酵物を有効成分として含有するメタボリックシンドローム改善組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食生活の欧米化や、ライフサイクルなどの変化に伴い肥満が増加している。また、肥満の増加に伴いメタボリックシンドロームの患者が増加しつつある。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に、高血糖、高血圧、高脂血症などの複数の生活習慣病が複合した症候群であって、糖尿病、高血圧症、高脂血症の一歩手前の段階であっても、これらが内臓脂肪型肥満をベースに複数重なることによって、動脈硬化が進行し、ひいては心筋梗塞や脳卒中などに至ることがある。このように、メタボリックシンドローム状態の患者は、心筋梗塞や脳卒中が発症するリスクが高いことから、近年では、メタボリックシンドロームを改善する安全性の高い、医薬や機能性食品などが求められている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、ブドウ種子、カキ葉、プーアル茶、オトギリソウ、リンゴ、タラ、ウラジロガシ、バナバ葉、アカメガシワ、サンシュユ、訶子、トチュウ葉から選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分し、α−アミラーゼ阻害作用、リパーゼ阻害作用を有する抗肥満剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−227398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された抗肥満剤では、メタボリックシンドロームの改善作用は十分とは言えなかった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、日常的に手軽かつ安全に摂取でき、改善効果に優れた、メタボリックシンドローム改善組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するにあたり、本発明者は、種々の検討の結果、ブドウの乳酸発酵物を摂取することで、糖質等の消化吸収性が著しく抑制され、更には、急激な血糖値の上昇を抑制でき、過血糖症状及び過血糖に起因する肥満症、脂肪過多症、糖尿病等のメタボリックシンドローム関連症の予防及び治療に対し優れた効果を示し、メタボリックシンドロームの症状を改善できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明のメタボリックシンドローム改善組成物は、ブドウの乳酸発酵物を有効成分として含有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ブドウの乳酸発酵物を有効成分として含有するので、これを摂取することにより、ブドウよりも糖質等の消化吸収性が抑制され、急激な血糖値の上昇を抑制できる。その結果、過血糖症状及び過血糖に起因する肥満症、脂肪過多症、糖尿病等のメタボリックシンドローム関連症の予防及び治療に対し優れた効果を示し、メタボリックシンドロームの症状を改善できる。この理由は、詳細は明らかではないが、ブドウに含まれるポリフェノール類が、乳酸発酵により配糖体が切断されたり、有機酸が結合する等の要因により体内への吸収性が向上し、ポリフェノール類による生理活性効果が高まり、更には、ポリフェノール類等と、乳酸菌とが相乗的に作用しているのではないかと考えられる。
【0010】
本発明のメタボリックシンドローム改善組成物の前記乳酸発酵物は、ブドウを、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌で発酵して得られたものであることが好ましい。ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌でブドウを混合発酵することにより、ブドウに含まれるポリフェノール類等の体内への吸収性が高まり、更には、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとの相乗作用により、メタボリックシンドローム改善効果がより向上する。
【0011】
本発明のメタボリックシンドローム改善組成物は、ブドウの種子及び/又は果皮を原料とすることが好ましい。ブドウの種子や果皮には、アントシアニンやフラボノイドなどが多量に含まれているので、より優れた効果が得られ、更には、安価な原料素材なので、製造コストを抑えることができる。また、ブドウの種子や果皮は、渋みが強く、飲食し難いものであるが、乳酸発酵することにより、渋みなどが改善されて、風味が向上し、飲食し易くなる。
【0012】
本発明のメタボリックシンドローム改善組成物は、α−アミラーゼ阻害活性及び/又はα−グルコシダーゼ阻害活性を有するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のメタボリックシンドローム改善組成物によれば、これを摂取することにより糖質等の消化吸収性が抑制され、血糖値の急激な上昇を抑制できる。その結果、過血糖症状及び過血糖に起因する肥満症、脂肪過多症、糖尿病等のメタボリックシンドローム関連症を効果的に予防ないし治療でき、メタボリックシンドロームの症状を効率よく改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のメタボリックシンドローム改善組成物によるα−アミラーゼ阻害活性を示す図表である。
【図2】本発明のメタボリックシンドローム改善組成物によるα−グルコシダーゼ阻害活性を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のメタボリックシンドローム改善組成物は、ブドウの乳酸発酵物を有効成分として含有してなるものである。
【0016】
本発明において、原料となるブドウとしては、特に限定はなく、白系ブドウ、赤系ブドウ等のいずれでもよい。白系ブドウとしては、シャルドネ種、リースリング種、マスカット種などが挙げられる。赤系ブドウとしては、甲州種、巨峰種、ピオーネ種、カベルネ・フラン種、カベルネ・ソービニヨン種、メルロ種、ピノ・ノアール種、ピノ・ムニエ種、マスカット・ベリーA種、シラー種、ガメイ種、グルナッシュ種、ムールヴェードル種、サンソー種、グロロー種などが挙げられる。なかでも、赤系ブドウの果皮には、アントシアニンやフラボノイドなどが比較的多量に含まれているので、赤系ブドウが好ましく用いられる。原料ブドウの使用部位は、果皮、果肉、果汁、種子のいずれでも良いが、ポリフェノール類の含有量が高く、安価な原料素材であるという理由から、種子、果皮を用いることが好ましい。
【0017】
本発明において、原料ブドウの乳酸発酵に用いる乳酸菌としては、食品として利用可能なものであればいずれも好ましく用いることができる。例えば、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・アビウム、エンテロコッカス・デュランス、エンテロコッカス・マラドラートス、エンテロコッカス・カセリフラブス、エンテロコッカス・ガリナール、ロイコノストック・クレモリス、ロイコノストック・シトロボラム、ロイコノストック・メゼンテロイデス、ペディオコッカス・セルビシェ、ペディオコッカス・ハロフィルス、ストレプトコッカス・アセトイニカス、ストレプトコッカス・エビウム、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・サングィウス、ストレプトコッカス・ソイエ、ストレプトコッカス・デュランス、ストレプトコッカス・パラシトロボルス、ストレプトコッカス・ラクチス等の乳酸球菌、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベティクス等の乳酸桿菌、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロングム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ等のビフィズス菌等が挙げられる。なかでも、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを併用することが好ましい。ブドウを、ラクトバチルス・プランタルムと、ラクトバチルス・ブレビスとを含む乳酸菌で混合発酵することにより、ブドウに含まれるポリフェノール類等の配糖体が切断されたり、有機酸が結合してこれらの体内への吸収性が高まり、α−アミラーゼ阻害活性、α−グルコシダーゼ阻害活性等の点において、より優れた生理活性効果を示す。また、渋み、苦味、青臭さが低減され、風味が向上する。また、ブドウの種子や果皮に含まれるポリフェノール類と、ラクトバチルス・プランタルムと、ラクトバチルス・ブレビスとが相乗的に作用し、α−アミラーゼ阻害活性、α−グルコシダーゼ阻害活性等が相乗的に向上する。更には、これらの乳酸菌の有する様々な生理活性効果が得られる。
【0018】
本発明のメタボリックシンドローム改善組成物は、例えば以下のようにして製造することができる。
【0019】
原料ブドウとしては、ブドウの種子及び果皮を含むものが好ましく、それによって、ポリフェノール成分に富む発酵物が得られる。まず、原料ブドウを粉砕し、ブドウ粉砕物を得る。好ましくは、粒径が100μm以下となるまで粉砕する。ブドウ粉砕物の粒径が100μm以下であれば、ザラツキ感が無くなり、食感の良いものとなり、更には、乳酸菌による発酵効率も向上する。
【0020】
原料ブドウの粉砕方法は、湿式粉砕が好ましい。湿式粉砕は、例えば、磨砕機、カッター等を用いて行うことができる。
【0021】
次に、得られたブドウ粉砕物に適当量の水を加え、グルコース、酵母エキスなどの他の栄養源を加えた後、加熱殺菌して培地を調製する。
【0022】
培地中のブドウ粉砕物の濃度は、10〜40質量%が好ましく、25〜35質量%がより好ましい。ブドウ粉砕物の濃度が10質量%未満であると、得られる発酵物のポリフェノール含有量が少なくなるので、十分な効果が期待できないことがあり、更には、発酵物を粉末化する場合、手間や時間を要するので製造コストがかさむ。また、ブドウ粉砕物の濃度が40質量%を超えると、培地の粘度が上昇して攪拌し難くなり、乳酸発酵が不均一に行われる傾向にあり、更には、乳酸菌の増殖に時間がかかって生産性が低下する。
【0023】
培地の加熱殺菌は、110〜125℃で、10〜30分間行うことが好ましく、115〜120℃で、10〜20分間行うことがより好ましい。上記条件で加熱殺菌を行うことにより、ポリフェノール類の破壊や、雑菌などの繁殖を抑制できる。
【0024】
次に、上記培地に、乳酸菌を添加して乳酸発酵を行う。
【0025】
上記乳酸菌としては、前述したように、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含むものが好ましい。乳酸菌の添加量は特に限定されないが、培地1リットルに対して、1×10〜1×1010個となるように添加することが好ましく、ラクトバチルス・プランタルムの菌体数が1×10〜5×10個、ラクトバチルス・ブレビスの菌体数が1×10〜5×10個となるように添加することがより好ましい。
【0026】
乳酸発酵は、温度27〜37℃、pH3.8〜6、培養時間24〜72時間の条件で行うことが好ましく、より好ましくは、温度30〜33℃、pH4.5〜6、培養時間40〜50時間の条件で行う。また、乳酸発酵の進行に伴い培地のpHが低下し、乳酸菌が増殖しにくくなるため、培地にアルカリ剤を連続的あるいは間欠的に添加して、培地のpHが3.8〜6(好ましくはpH4.5〜6)となるように調整することが好ましい。アルカリ剤としては、水酸化カルシウムや、炭酸カルシウムなどのカルシウム塩が好ましく用いられる。カルシウム塩を添加することで、発酵によって形成された乳酸とカルシウムとが反応して、発酵物中に乳酸カルシウムが形成される。この乳酸カルシウムは、消化し易いカルシウム源として知られており、カルシウムを豊富に含むブドウ発酵物を得ることができる。
【0027】
このようにして乳酸発酵して得られるブドウの乳酸発酵物は、ポリフェノール類の体内への吸収性が高められている。この理由としては、乳酸発酵により、ポリフェノール類の配糖体が切断されたり、有機酸が結合したものによると考えられる。また、この乳酸発酵物には、乳酸発酵物の固形分100mg中に、乳酸菌が1×10〜1×1010個含まれていることが好ましく、1×10〜1×1010個含まれていることがより好ましい。ラクトバチルス・プランタルム及びラクトバチルス・ブレビスを併用する場合は、同発酵物の固形分100mg中に、ラクトバチルス・プランタルムの菌体数が1×10〜5×10個、ラクトバチルス・ブレビスの菌体数が1×10〜5×10個含まれていることが好ましい。
【0028】
そして、上記乳酸発酵物を、60〜80℃で、5〜10分間加熱殺菌し、必要に応じて、ガラクトオリゴ糖、ショ糖などの糖類や、果汁などを加えることで、液状のメタボリックシンドローム改善組成物が得られる。
【0029】
また、加熱殺菌後の上記乳酸発酵物を乾燥、粉末化することで、粉末状のメタボリックシンドローム改善組成物が得られる。加熱殺菌後の乳酸発酵物の乾燥方法としては、例えば熱風乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、真空乾燥などが挙げられるが、ポリフェノール類の破壊が少なく、優れた生理活性を維持し易いという理由から凍結乾燥が好ましい。凍結乾燥は、例えば、発酵物を−60〜−40℃で1〜3時間凍結し、圧力0.1mbr以下、時間24〜48時間、温度20〜30℃の条件で行うことが好ましい。
【0030】
本発明のメタボリックシンドローム改善組成物は、α−アミラーゼ阻害活性、α−グルコシダーゼ阻害活性等の点において、優れた生理活性効果を示す。そして、これを摂取することにより、ブドウよりも糖質の消化吸収性が著しく抑制され、食後血糖値の上昇抑制作用を有す。その結果、過血糖症状及び過血糖に起因する肥満症、脂肪過多症、糖尿病等のメタボリックシンドローム関連症の予防及び治療に対し優れた効果を示す。そして、医薬品、食品等の各種分野で用いられ、医薬の有効成分、食品原料等として使用することができる。
【0031】
例えば、医薬品とする場合には、薬学的に許容される基材や担体と共に製剤化し、医薬組成物として提供することができる。医薬組成物の形態としては、丸剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、ゼリー剤、トローチ剤等の剤型が例示できる。
【0032】
また、本発明のメタボリックシンドローム改善組成物を飲食品に添加して摂取する場合には、一般の食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品等に配合して用いることができる。
【0033】
本発明のメタボリックシンドローム改善組成物の有効摂取量は、成人一日当り、固形分換算で100mg〜3gが好ましい。
【実施例】
【0034】
[メタボリックシンドローム改善組成物の製造例]
(製造例1)
甲州種のブドウ果皮及び種子を1kgに、1Lの水を加え、微粒磨砕機を用いて湿式粉砕し、粒径100μm以下のブドウ粉砕物を得た。
このブドウ粉砕物2kgに、水1L、グルコース15g、酵母エキス6gを加え、pHを6とし、120℃、20分間加熱殺菌して培地を調製した。得られた培地のブドウ粉砕物濃度は33質量%であった。
上記培地に、ラクトバチルス・プランタルムを5ml(菌体数5×10個)、ラクトバチルス・ブレビスを5ml(菌体数5×10個)加え、培養温度を33±1℃に維持し、48時間発酵した。なお、発酵中、培地のpHが4.5を下回ったら、水酸化カルシウムを添加して、培地のpHを4.5〜6に維持した。
発酵終了後、70℃で10分間加熱殺菌し、ガラクトオリゴ糖300g、ブドウ果汁300mlを加え、液状のメタボリックシンドローム改善組成物を3600g得た。このメタボリックシンドローム改善組成物100mg(固形分)中に、ラクトバチルス・プランタルムの死菌体が1×10個、ラクトバチルス・ブレビスの死菌体が1×10個含まれていた。
【0035】
(製造例2)
製造例1において、培地の発酵終了後、70℃で10分間加熱殺菌し、培地全体を凍結させた後、圧力0.1mbr以下、24時間、30℃の条件で凍結乾燥して、粉末状のメタボリックシンドローム改善組成物を250g得た。このメタボリックシンドローム改善組成物100mg中に、ラクトバチルス・プランタルムの死菌体が1×10個、ラクトバチルス・ブレビスの死菌体が1×10個含まれていた。
【0036】
[α−アミラーゼ阻害活性試験]
アミラーゼ活性測定キット(商品名「アミラーゼテストワコー」、和光純薬工業製)を用い、以下の方法でα−アミラーゼ阻害活性を測定した。
α−アミラーゼ溶液2mlに、検体溶液A〜Eを1ml加え、37℃で5分間インキュベートした後、デンプン溶液を1ml添加して37℃で10分間インキュベートした。その後、沸騰水中で10分間インキュベートして反応を止めた。その後、ヨウ素液を10ml加えて、波長660nmの吸光度を測定した。
【0037】
検体溶液A:蒸留水
検体溶液B:蒸留水1mlにブドウ種子及び果皮の粉砕物を2mg溶解させたもの
検体溶液C:蒸留水1mlにブドウ種子及び果皮の粉砕物をラクトバチルス・プランタルムで乳酸発酵したブドウ発酵物を2mg溶解させたもの
検体溶液D:蒸留水1mlにブドウ種子及び果皮の粉砕物をラクトバチルス・ブレビスで乳酸発酵したブドウ発酵物を2mg溶解させたもの
検体溶液E:蒸留水1mlに製造例2のメタボリックシンドローム改善組成物を2mg溶解させたもの
【0038】
結果を図1に記す。図1に示すように、検体溶液C〜Eは、アミラーゼ阻害活性が強いことが分かる。特に、ブドウ種子及び果皮の粉砕物を、ラクトバチルス・ブレビスと、ラクトバチルス・プランタルムとで乳酸発酵したブドウ発酵物を含む検体溶液Eは、更に強い活性阻害を示した。
【0039】
[α−グルコシダーゼ阻害活性試験]
検体溶液F〜Jの0.3mlと、PBS緩衝液(pH=7.2)を用いて0.14U/mlに調整したα−グルコシダーゼ溶液(シグマ社製)1.5mlとを混合し、37℃で5分間反応させた。その後、PBS緩衝液(pH=7.2)を用いて5mMに調整したp−ニトロフェニル−α−D−グルコピラノシド溶液(和光純薬工業製)1.5mlを添加し、37℃で10分間反応させた。その後、蒸留水で10倍に希釈し、波長405nmの吸光度を測定した。なお、検体溶液Fを用いた時の値を100%とした。
【0040】
検体溶液F:蒸留水
検体溶液G:蒸留水1mlにブドウ種子及び果皮の粉砕物を10mg溶解させたもの
検体溶液H:蒸留水1mlにブドウ種子及び果皮の粉砕物をラクトバチルス・プランタルムで乳酸発酵したブドウ発酵物を10mg溶解させたもの
検体溶液I:蒸留水1mlにブドウ種子及び果皮の粉砕物をラクトバチルス・ブレビスで乳酸発酵したブドウ発酵物を10mg溶解させたもの
検体溶液J:蒸留水1mlに製造例2のメタボリックシンドローム改善組成物を10mg溶解させたもの
【0041】
結果を図2に記す。図2に示すように、ブドウ種子及び果皮の粉砕物を、ラクトバチルス・ブレビス及び/又はラクトバチルス・プランタルムとで乳酸発酵した、検体溶液H〜Jは、グルコシダーゼ阻害活性が強いことが分かる。特に、ブドウ種子及び果皮の粉砕物を、ラクトバチルス・ブレビスと、ラクトバチルス・プランタルムとで乳酸発酵したブドウ発酵物を含む検体溶液Jは、更に強い活性阻害を示した。
【0042】
α−アミラーゼ阻害活性やα−グルコシダーゼ阻害活性が向上することで、多糖類が分解されにくくなり、腸からの糖類の吸収性が低下し、食後の血糖値の上昇を抑制できる。よって、上記図1,2に示された結果より、本発明のメタボリックシンドローム改善組成物を摂取することで、糖類の体内への吸収を抑制でき、糖尿病などの治療や予防に有効であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブドウの乳酸発酵物を有効成分として含有することを特徴とするメタボリックシンドローム改善組成物。
【請求項2】
前記乳酸発酵物は、ブドウを、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌で発酵して得られたものである、請求項1に記載のメタボリックシンドローム改善組成物。
【請求項3】
ブドウの種子及び/又は果皮を原料とする、請求項1又は2に記載のメタボリックシンドローム改善組成物。
【請求項4】
α−アミラーゼ阻害活性を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタボリックシンドローム改善組成物。
【請求項5】
α−グルコシダーゼ阻害活性を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のメタボリックシンドローム改善組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−10648(P2011−10648A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190661(P2009−190661)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(597106806)日本・バイオ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】