説明

メタボリックシンドローム用健康食品

【課題】内臓脂肪の蓄積を未然に回避することができるのみならず、高血圧の抑制効果も優れており、健康食品として副作用なく長期間にわたって使用するには好適であるメタボリックシンドローム用健康食品を提供する。
【解決手段】スリランカにのみ自生する多年生蔓性木本であるコタラヒンブツ(kothala himubutu.salacia reticulata)の木部や葉部を微粒子状に粉砕した粉末又はコタラヒンブツの抽出物を含有したメタボリックシンドローム用健康食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタボリックシンドローム用健康食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メタボリックシンドロームは、最近の重要課題として取り上げられているが、これは、内臓脂肪の蓄積を基盤とした食後高血糖・血清脂質代謝異常・高血圧を呈する症候群であって、長期病態を持続することにより動脈硬化や心疾患系症状を呈して、死に至るおそれがあるものである。メタボリックシンドロームに対する治療薬は、現状では未だ少なく、予防薬や治療薬の開発が望まれている。
【0003】
一方、コタラヒンブツ(kothala himubutu.salacia reticulata)は、スリランカ民主社会主義共和国にのみ自生する多年生蔓性木本で、デチンムル科またはニシキギ科に分類されている。この植物の木部を粉砕した粉末やそれを煎じた抽出液が血糖降下に有効であることは現地では古くから知られていたが、その他の薬効について不明であった(非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】 北村博一監修、サラシア研究所編著、「神秘のサラシアダイエット」、史輝出版、1999年
【0005】
コタラヒンブツは、サラシノール(Salasinol)やコタラノール(Kotalanol)などの各種の有効成分を含有することが知られてきているが、未だ詳細な研究がなされておらず、一層の研究がなされる必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、内臓脂肪の蓄積を未然に回避することができるのみならず、高血圧の抑制効果も優れており、健康食品として副作用なく長期間にわたって使用するには好適であるメタボリックシンドローム用健康食品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するものであって、請求項1記載の発明は、コタラヒンブツを微粒子状に粉砕した粉末又はコタラヒンブツの抽出物を含有していることを特徴とするコタラヒンブツを含有する健康食品である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、コタラヒンブツに含有される各種の有効成分を効率良く使用することにより、コタラヒンブツの各種の有効成分を有効に含有する健康食品を提供することができるものであって、本発明によって得られるコタラヒンブツの有効成分は、内臓脂肪の蓄積を未然に回避することができるのみならず、高血圧の抑制効果も優れており、健康食品として副作用なく長期間にわたって使用するには好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で使用するコタラヒンブツは、スリランカ民主社会主義共和国の特産のつる性植物であって、乾燥状態のものを使用することが望ましいが、これに限らない。乾燥状態の程度は、水分率10%以下に設定することが望ましい。水分率10%より多量の水分率を有するコタヒンブツを乾燥することが望ましい。
【0010】
先ず、コタラヒンブツの木部や葉部を粉砕するが、この粉砕処理はジェットミル(ジェット粉砕機)などを使用して粉砕することが望ましいが、これに限らない。
【0011】
コンタラヒムブツの使用に際しては、粉砕物を熱水で抽出することが望ましいが、コタラヒンブツ粉砕物の重量に対して10〜1000倍程度の水を使用することが望ましいが、これに限らない。熱水の温度は80℃以上100℃以下の温度範囲内が望ましいが、加圧下で高温を採用することも可能である。なお、上記抽出にはアルコール類其の他の有機溶剤の使用も可能である。
【0012】
さらに、本発明のコタラヒンブツの粉末又は抽出物は、食品への添加物として使用されるが、健康食品に使用する食品としては、パン類、ご飯類、めん類、菓子類、水産加工品、乳製品、飲料、調味料、食品補助品などであって、これらに本発明のコタラヒンブツの粉末又は抽出物を混合して健康食品とすることができる。なお、本発明のコタラヒンブツの粉末は、直接飲料として使用することも可能であり、この場合には、粉砕物を熱水で抽出することが望ましいが、コタラヒンブツ粉砕物の重量に対して10〜1000倍程度の水を使用することが望ましいが、これに限らない。
【実施例】
【0013】
実施例1
コタラヒンブツの木部を粉砕して得られた微粉末を水に浸し、80℃に加熱し、2時間保持して抽出処理をした。冷却し、濾過によって固形分を除去して熱水抽出液を得た。得られた熱水抽出液を乾燥し、等量のシクロデキストリンを添加して粉末化して、本研究用のコタラヒムを得た。
【0014】
実験動物としては、自然発症2型糖尿病肥満モデルマウスであるTSOD(Tsumura,Suzuki,Obese,Diabetes)マウス24匹を用いた。これらのマウスは、3週齢のTSOD系雄性マウスであって、財団法人動物繁殖研究所(茨城県)より入手したものである。マウスは、室温23±2℃、湿度55±10%、1日12時間の昼夜サイクル下の飼育室で飼育し、粉末飼料MF(オリエンタル酵母株式会社)と水を自由に与え、1週間の予備飼育をした後に4週齢時より下記の本研究飼育に切り換えた。
【0015】
上記のマウス24匹を対照群、コタラヒム1%使用群(コタラヒム低用量群)、コタラヒム3%使用群(コタラヒム高用量群)の3群に各8匹ずつに群分けし、対照群には粉末飼料MFのみを、コタラヒム1%使用群には粉末飼料MFと1.0%のコタラヒム混餌飼料を、コタラヒム3%使用群には粉末飼料MFと3.0%のコタラヒム混餌飼料を、それぞれ自由摂取させ、12週齢時までの8週間にわたって飼育した。
【0016】
上記の本研究飼育開始時及び飼育中において、対照群、コタラヒム1%使用群、コタラヒム3%使用群の3群のマウスについて、体重変化、摂餌量、内臓脂肪量、皮下脂肪量、血圧などを測定して、対比した。
【0017】
体重変化について
体重は、実験開始時(0週)より終了時(8週)まで、1週間毎に測定した。
【0018】
1.対照群のマウスの体重変動は下記のとおりであった。

2.コタラヒム1%使用群のマウスの体重変動は下記のとおりであった。

3.コタラヒム3%使用群のマウスの体重変動は下記のとおりであった。

【0019】
対照群、コタラヒム1%使用群、コタラヒム3%使用群の3群のマウスについて、体重変化を対比したところ、コタラヒムを添加しない飼料で飼育したマウスは体重増加が大きく、肥満状態となったが、コタラヒム1%使用群、コタラヒム3%使用群のマウスは体重増加が少なく、肥満状態となるのを防止することができた。
【0020】
内臓脂肪量および皮下脂肪量の変化について
実験開始時(0週)、4週、実験終了時(8週)において、マウスをネンブタール麻酔(50mg/kg,i.p.)下で実験動物用X線CT装置La Theta(株式会社アロカ)にセットし、剣状突起から仙骨まで1.5mm間隔でスキャンして内臓脂肪重量および皮下脂肪重量を測定した。
【0021】
1.対照群のマウスの内蔵脂肪は下記のとおりであった。

2.コタラヒム1%使用群のマウスの内蔵脂肪は下記のとおりであった。

3.コタラヒム3%使用群のマウスの内蔵脂肪は下記のとおりであった。

【0022】
1.対照群のマウスの皮下脂肪は下記のとおりであった。

2.コタラヒム1%使用群のマウスの皮下脂肪は下記のとおりであった。

3.コタラヒム3%使用群のマウスの皮下脂肪は下記のとおりであった。

【0023】
対照群、コタラヒム1%使用群、コタラヒム3%使用群の3群のマウスについて、内臓脂肪及び皮下脂肪を対比したところ、コタラヒムを添加しない飼料で飼育したマウスは内臓脂肪及び皮下脂肪が顕著に増加したが、コタラヒム1%使用群、コタラヒム3%使用群のマウスは内臓脂肪及び皮下脂肪がほとんど増加しなかった。
【0024】
血圧について
本研究飼育後の各マウスを保定器THC−2(((株)Softron、東京)に保定し37℃に体温を保ちながら、尾を基部まで非観血式血圧測定器BP−98A((株)Softron、東京)のtail cuffに差し込み非観血で血圧を測定した。収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧についての測定結果を示す。
【0025】
1.対照群のマウスの各血圧は下記のとおりであった。

2.コタラヒム1%使用群のマウスの各血圧は下記のとおりであった。

3.コタラヒム3%使用群のマウスの各血圧は下記のとおりであった。

【0026】
本研究飼育後の対照群、コタラヒム1%使用群、コタラヒム3%使用群の3群のマウスについて、血圧を対比したところ、コタラヒムを添加しない飼料で飼育したマウスは血圧が高く、高血圧状態であったが、コタラヒム1%使用群、コタラヒム3%使用群のマウスは血圧が高くなく、健康状態であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コタラヒンブツを微粒子状に粉砕した粉末又はコタラヒンブツの抽出物を含有していることを特徴とするメタボリックシンドローム用健康食品。

【公開番号】特開2008−99652(P2008−99652A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310757(P2006−310757)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(507121943)コタラヒムジャパン株式会社 (1)
【出願人】(505365471)スカイ・イン・ジャパン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】