説明

メタルオンメタルモジュール式ハイブリッドライナー

【課題】人工関節用の改善されたメタルオンメタルモジュール式ハイブリッドライナーを提供する。
【解決手段】内面を有するシェルを備えている人工関節アセンブリ。また、人工関節アセンブリは、外面を有する支持部材34を備えている。上記支持部材34の外面が上記シェル12の内面に隣接するように、上記支持部材34は上記シェル12に収納されている。さらに、関節アセンブリは、上記シェル12の内面または上記支持部材の外面に対して、この面の一部のみを覆うように、強固に固定される圧縮部材50,56を備えている。上記圧縮部材50,56は、上記シェル12または支持部材34の材料と異なる材料から作製されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工関節に関し、より詳細には、人工関節用のメタルオンメタルモジュール式ハイブリッドライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
この項目における記載は、本開示に関連する背景となる情報を述べているに過ぎず、先行技術を構成するものではない。
【0003】
人工関節は、関節炎、変質および変形などによる痛みを緩和し得る。例えば、人工股関節アセンブリは、大腿骨部材(すなわち、切除された大腿骨に取り付けられる構成部材)および骨盤部材(すなわち、骨盤に取り付けられる構成部材)をしばしば備えており、大腿骨部材は、動作可能な状態で骨盤部材に連結されて、解剖学的な股関節の構造を再現する。より詳細には、人工股関節アセンブリの上記骨盤部材は、シェル(shell)およびライナー(liner)を備え得る。シェルは臼蓋窩内において患者の骨盤に固定され、シェルはライナーを収納する。ライナーは、シェルに固定され、人工関節の大腿骨部材の頭部に連結される。したがって、ライナーは大腿骨部材の頭部を収納し、この頭部がライナーの内側面に接合している。
【0004】
多くの場合、シェルおよびライナーは、テーパ固定によって、相対的な回転動作をしないように保護されている。さらに、いくつかのアセンブリでは、シェルおよびライナーは、リング固定機能を用いて保持されている。特に、リング部材は、シェルおよびライナーのうちの1つ、または両方に取り付けられ、ライナーが軸方向に移動してシェルから外れることを防止する。さらに、いくつかの人工関節のアセンブリは、シェルとライナーとの間に配置される、ポリマーから構成される内部部材を備えている。内部部材は、ライナーの外面を覆い、シェルに対する内部部材の挿入時に、シェルに対して十分に適合するように、復元可能に収縮し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
人工関節アセンブリが開示されている。アセンブリは内面を有するシェルを備えている。また、アセンブリは外面を有する支持部材を備えている。支持部材は、当該支持部材の外面がシェルの内面に隣接するように、シェルに収納されている。さらに、関節アセンブリは、シェルの内面または支持部材の外面に強固に固定されて、該面の一部のみを覆っている圧縮部材を備えている。圧縮部材は、シェルまたは支持部材と異なる材料から作製されている。
【0006】
他の局面において、人工関節アセンブリのライナーアセンブリが開示されている。関節アセンブリは、リング部材と、当該リング部材を収納する溝が形成された内面を有するシェルとを備えている。ライナーアセンブリは、外面を有する支持部材を備えている。支持部材は、当該支持部材の外面がシェルの内面に隣接するように、シェルに収納されている。さらに、ライナーアセンブリは、支持部材の外面に強固に固定される圧縮部材を備えている。圧縮部材は、支持部材と異なる材料から作製されている。圧縮部材は、リング部材を収納して、支持部材とシェルとの間の相対的な回転を制限する溝を有している。
【0007】
他の局面において、人工関節アセンブリが開示されている。このアセンブリは、金属材料またはセラミック材料から作製されているシェルを備えている。また、この関節アセンブリは、金属材料またはセラミック材料から作製されている支持部材を備えている。支持部材はシェルに収納されている。さらに、この関節アセンブリは、凸部および陥凹面を有する回転防止装置を備えている。凸部は、シェルまたは支持部材に固定されており、陥凹面は、シェルおよび支持部材のうちの凸部が固定されていない方に形成されている。陥凹面は、凸部を収納してシェルと支持部材との間の相対的な回転を制限する。
【0008】
そしてさらに、他の局面において、人工関節アセンブリをインプラントする(implanting)方法が開示されている。この方法は、溝を有するシェルを選択する工程を包含する。また、この方法は、支持部材と圧縮部材とを備えているライナーアセンブリを選択する工程を包含する。圧縮部材は、支持部材の外面に強固に固定される。そして、圧縮部材は、支持部材の外面の一部のみを覆っており、溝を有している。圧縮部材は、支持部材と異なる材料から作製されている。さらに、この方法は、リング部材を有するシェル内に、ライナーアセンブリを固定する工程を包含する。当該工程において、リング部材がシェルの溝および圧縮部材の溝に配置されるように、ライナーアセンブリを固定する。
【0009】
さらに他の局面において、人工関節アセンブリが開示されている。この関節アセンブリは、内面、溝およびリムを有する、金属からなるシェルを備えている。また、この関節アセンブリは、外面、リムおよび頂部を有する、金属からなる支持部材を備えている。支持部材は、当該支持部材の外面がシェルの内面に隣接するようにシェルに収納されている。さらに、この関節アセンブリは、シェルのリムから突出する凸部、および支持部材のリム上に設けられている陥凹面を有している回転防止装置を備えている。凸部が支持部材とシェルとの間の相対的な回転を制限するために、陥凹面によって収納されている。さらに、この関節アセンブリは、支持部材の外面のリムに強固に固定されている、ポリマーからなる環状の第1の圧縮部材を備えている。第1の圧縮部材は、溝を有しており、陥凹面と凸部との間に配置されている。また、第1の圧縮部材は、シェルおよび支持部材の弾性係数よりも低い弾性係数を有している。さらに、この関節アセンブリは、支持部材の外面のうちのリムと頂部との間に強固に固定されている、ポリマーからなる環状の第2の圧縮部材を備えている。また、第2の圧縮部材は、シェルおよび支持部材の弾性係数よりも低い弾性係数を有する。さらに、この関節アセンブリは、シェルの溝および第1の圧縮部材の溝の内部に配置されているリング部材を備えている。リング部材は、シェルから離れる方向への支持部材の軸方向移動を制限する。
【0010】
さらなる適用可能な範囲は、本明細書の記載から明らかになるであろう。本明細書の記載および具体例は、説明のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定することを意図していないと理解すべきである。
【0011】
本明細書において詳細に説明される図面は、説明のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定することが、決して意図されているものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の種々の実施形態に係る人工関節アセンブリの分解図である。
【図2】図1の人工関節アセンブリの断面図である。
【図3】図1の人工関節アセンブリのライナーアセンブリの斜視図である。
【図4】図3のライナーアセンブリの断面図である。
【図5】図3のライナーアセンブリの支持部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の記載は、本質的に単なる例示であり、本開示、出願または使用を限定することが意図されるものではない。すべての図面を通して、対応する符号は、類似であるか、または対応する部材および特徴を示していると理解されるべきである。
【0014】
始めに図1および図2を参照にして、人工関節アセンブリ10について説明する。一般的に、人工関節アセンブリ10は、シェル12、ライナーアセンブリ14およびリング部材16を備えている。図示されている本実施形態において、関節アセンブリ10は、例えば、人工股関節アセンブリ10である。しかし、関節アセンブリ10は、股関節以外の好適な任意の関節に有用であり得る。関節アセンブリ10は、頭部18、頸部20および脚部(図示せず)を有する大腿骨部材17に対して、作動可能に連結され得る。大腿骨部材17は切除された大腿部(図示せず)に固定され得、頭部18はライナーアセンブリ14に収納され得る。より詳細には、頭部18は、ライナーアセンブリ14において回転運動をするように、ライナーアセンブリ14に作動可能に連結され得る。
【0015】
さらに、シェル12は、骨盤22の臼蓋窩23に収納されており、骨盤22に固定して連結され得る。いくつかの実施形態において、シェル12は、1つ以上の止め具24を介して骨盤22に固定されている。より詳細には、シェル12は、1つ以上の開口25を有しており(図1)、止め具24は、対応する開口25内を通って伸びて、シェル12を骨盤22に取り付けている。他の実施形態において、骨セメントまたは接着剤など(図示せず)が、骨盤22にシェル12を固定するために用いられる。さらに、いくつかの実施形態において、止め具24、および骨セメントもしくは接着剤など(図示せず)の両方が、この目的のために用いられる。しかし、シェル12が、任意の好適な方法において骨盤22に固定され得ることについて、十分に理解される。さらに、シェル12は、さらなる詳細について以下に記載されるようにライナーアセンブリ14を収納している。
【0016】
シェル12は、内面26(すなわち、支持−はめ込み面)および外面28(すなわち、骨はめ込み面)を有するように、半球状の形状を有し得る。外面28は、骨盤22に対するシェル12の固定を容易にするために、比較的に多くの孔を有し得る。また、骨盤22に対するシェル12の取り付けに用いられる場合、止め具24が内面26より低い位置に配置されるように、開口25は、内面26に空けられた皿穴を有し得る。さらに、シェル12は、軸Xを有している。さらに、シェル12はリム30および溝32を有している。いくつかの実施形態において、溝32は、環状であり、表面26から内部に向って軸Xを横切るように延びている。
【0017】
シェル12は、任意の好適な材料から作製され得る。例えば、いくつかの実施形態において、シェル12は、金属(例えばコバルト、クロム、チタンおよびチタン合金など)から作製されている。また、いくつかの実施形態において、シェル12はセラミック材料から作製されている。シェル12は任意の好適な製造工程を用いて作製され得る。例えば、いくつかの実施形態において、シェル12は、成型、すなわち鋳造される(wrought)。
【0018】
さらに、いくつかの実施形態において、リング部材16は、実質的に平らであり、かつ実質的に環状である。図1に示されるいくつかの実施形態において、リング部材16には、不連続になるように切り目が入れられている。図2に示されるように、リング部材16は、内部幅Wおよび外部幅W’を規定する。リング部材16に切り目が入れられているため、リング部材16が曲がって、内部幅Wおよび外部幅W’を変化させ得る。
【0019】
次に図1から図5を全体的に参照して、ライナーアセンブリ14について詳述する。ライナーアセンブリ14は支持部材34を備えている。支持部材34は、外面36(すなわち、シェルはめ込み面)、内面38(すなわち、関節接合面)およびリム40を有するように、半球状の形状を有し得る。さらに、支持部材34は、リム40に隣接して内面38に形成された丸み部(radius)41を有し得る。いくつかの実施形態において、丸み部41は、約0.50インチから約0.250インチであり得る。さらに、支持部材34は頂部42を有し得る。いくつかの実施形態において、支持部材34は、シェル12と軸Xを実質的に共有している。
【0020】
さらに、いくつかの実施形態において、支持部材34は第1の凹部44および第2の凹部46(図5)を有し得る。図5に示される実施形態において、第1の凹部44および第2の凹部46の両方は環状である。第1の凹部44は支持部材34のリム40に隣接して配置され得る。第2の凹部46は支持部材34のリム40と頂部42との間に配置され得る。さらに、第1の凹部44は下部リップ(lower lip)45を有し得る。下部リップ45は図2に示されるような幅W’’を有している。
【0021】
さらに、図2および図4に示されるように、上記ライナーアセンブリ14は第1の圧縮部材50を備え得る。第1の圧縮部材50は実質的に環状であり得る。また、第1の圧縮部材50は、第1の凹部44内に配置され得、支持部材34のリム40を取り巻いて延ばされ得る。さらに、第1の圧縮部材50は、第1の凹部44から外に延びている外側部分52(図4)を有し得る。第1の圧縮部材50が支持部材34の外面36の一部のみを覆っていることについて、十分に理解される。さらに、いくつかの実施形態において、圧縮部材50は支持部材34に強固に固定されている。
【0022】
また、第1の圧縮部材50は溝54を有し得る。いくつかの実施の形態において、図4に示されるように、溝54は、環状であり、第1の凹部44に配置され、第1の凹部44を取り巻いて延びている。後述するように、溝54は、リング部材16を収納しており、それによってシェル12に対してライナーアセンブリ14を作動可能に固定している。
【0023】
さらに、ライナーアセンブリ14は、第2の圧縮部材56を備え得る。いくつかの実施の形態において、第2の圧縮部材56は、環状の形状を有しており、第2の凹部46に配置されている。さらに、図4に示すように、第2の圧縮部材56は、第2の凹部46の外側に延びている外側部分58を有し得る。第2の圧縮部材56が支持部材34の外面36の一部のみを覆っていることについて、十分に理解される。さらに、いくつかの実施の形態において、第2の圧縮部材56は支持部材34に強固に固定されている。
【0024】
第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56は、任意の好適な材料から作製され得る。例えば、いくつかの実施の形態において、第1の圧縮部材50および/または第2の圧縮部材56は、ポリエチレンまたはPEEKといったポリマー材料から作製されている。したがって、いくつかの実施形態において、第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56は、支持部材34およびシェル12と異なる材料から作製されている。さらに、いくつかの実施形態において、第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56は、支持部材34およびシェル12の弾性係数よりも低い弾性係数を有している。よって、第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56は、後述するように、シェル12とライナーアセンブリ14との間により強固に適合するために、ゆがみおよび/または変形を生じ得る。
【0025】
さらに、第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56は、任意の好適な製造工程を用いて、支持部材34に取り付けられ得る。例えば、いくつかの実施の形態において、第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56は、射出成形または直接圧縮成形によって、支持部材34に取り付けられる。第1の凹部44および第2の凹部46は、第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56と支持部材34と間のはめ込みを強化するために、ありつぎ(dovetailed)、または他のアンダーカット(undecut)が形成され得る。また、外面36は、第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56とのはめ込みを容易にするために、第1の凹部44および第2の凹部46の中に、ざらつきのある粗面を有し得る。さらに、第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56は、接着剤を介して支持部材34に固定され得る。さらに、第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56が、支持部材34のかわりにシェル12に固定され得ることについて、十分に理解される。
【0026】
図1および2を参照することによって、人工関節アセンブリ10の組み立てについて詳述する。初めに、シェル12、ライナーアセンブリ14、リング部材16および大腿骨部材17のそれぞれは、患者の解剖学的寸法および/または他の要素に応じて、個別に選択される。それからシェル12が骨盤22に固定される。上述のように、シェル12は、止め具24および/または骨セメントもしくは接着剤などを介して、骨盤22の臼蓋窩23内に固定され得る。それから、リング部材16は、軸方向に沿ってシェル12の溝32に移動させられる。
【0027】
続いて、シェル12が、ライナーアセンブリ14を収納して、シェル12の内面26がライナーアセンブリ14の外面36に隣接するように、ライナーアセンブリ14は軸Xに沿ってシェル12に移動させられる。リング部材16を第1の圧縮部材50の溝54に入れるために十分なほどにライナーアセンブリ14を移動させるまで、リング部材16が、より広い幅Wまで弾性的に曲がり得ることについて、十分に理解される。リング部16が第1の圧縮部材50の溝54およびシェル12の溝32に配置されると、リング部材16は、ライナーアセンブリ14およびシェル12をともに作動可能に固定し、シェル12から離れる方向へのライナーアセンブリ14のX軸方向移動を制限する。さらに、リング部材16が溝54および32に配置されると、リング部材16は、ライナーアセンブリ14およびシェル12の両方に隣接して、シェル12とライナーアセンブリ14との間の相対的な移動を実質的になくす。
【0028】
さらに、支持部材34の下部リップ45が、リング部材16の内部の幅Wよりも大きな幅W’’を有することについて、十分に理解される。したがって、支持部材34は、シェル12とライナーアセンブリ14との間の強固なはめ込みを維持するために、第1の圧縮部材50を補強し得る。
【0029】
さらに、第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56がシェル12の内面26に接触することによって、圧縮状態、変形および/またはゆがみを生じ得ることについて、十分に理解される。よって、第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56は、シェル12に接してゆがみ(bias)、シェル12の内面26と支持部材34の外面36との間にある隙間を実質的になくして、シェル12と支持部材34との間の微細動作を実質的になくし得る。よって、第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56は、シェル12とライナーアセンブリ14とをより強固にはめ合わせることができ、シェル12とライナーアセンブリ14との間におけるより効率的な負荷の分配を促進し得る。また、例えば、骨盤22に固定されている状態でシェル12が変形した場合、第1の圧縮部材50および第2の圧縮部材56は、ライナーアセンブリ14とシェル12との間に生じる隙間を実質的に埋めることができる。
【0030】
次に、大腿部(図示せず)にすでに取り付けられている大腿骨部材17が、ライナーアセンブリ14に連結される。より詳細には、大腿骨部材17の頭部18が、ライナーアセンブリ14に作動可能に連結される。よって、頭部18はライナーアセンブリ14の内面38に接合される。支持部材34の丸み部41が、大腿骨部材17の頸部20とライナーアセンブリ14との衝突による負荷または応力を効率的に分配し得ることについて、十分に理解される。よって、ライナーアセンブリ14が、シェル12に連結された状態を維持し易くなり、大腿骨部材17が、ライナーアセンブリ14との衝突による欠けを生じにくくなる。
【0031】
また、図1、2および3に示すように、関節アセンブリ10は回転防止装置60を備えている。一般的にいえば、回転防止装置60は、複数の陥凹面62および複数の凸部64備えている。図示される実施形態において、陥凹面62が支持部材34のリム40に形成されており、凸部64はシェル12のリム40に固定されている。しかし、陥凹面62がシェル12に形成され得ること、および凸部64が支持部材34に固定され得ることについて、十分に理解される。
【0032】
図1、2および3に示される実施形態において、陥凹面62は、ライナーアセンブリ14の内部に向かって軸Xに対して横方向に延びている。そして、複数の陥凹面62は、支持部材34のリム40を取り囲んで等間隔に並んでいる。また、凸部64は、シェル12のリム40に固定されており、シェル12のリム40から軸Xに向かって延びている。また、凸部64は、シェル12のリム40を巡って等間隔に並んでいる。さらに、第1の圧縮部材50は、陥凹面62のそれぞれを実質的に覆うように、支持部材34に取り付けられている。
【0033】
組み立ての間に、ライナーアセンブリ14はシェル12に押し込まれ、陥凹面62は対応する凸部64を収納する。第1の圧縮部材50が、凸部64と陥凹面62との間に配置されていることについて、十分に理解される。第1の圧縮部材50は、凸部64と陥凹面64との間の圧入が十分に可能なように、収縮し、ゆがむ。よって、第1の圧縮部材50は、シェル12に接してゆがみ、凸部64と陥凹面62との間の微細動作を実質的になくす。また、凸部64と陥凹面62との接触によって、軸Xを中心とする回転が実質的に制限され、第1の圧縮部材50は、シェル12とライナーアセンブリ14との間に強固なはめ込みを実質的にもたらす。また、陥凹面62は、ライナーアセンブリ14とシェル12との間の負荷がよりよく分配されるように、第1の圧縮部材50を補強することについて、十分に理解される。
【0034】
要約すれば、人工関節アセンブリ10は、シェル12とライナーアセンブリ14との間において高い強度の連結をもたらす。例えば、骨盤22に連結されている時にシェル12が変形したとしても、シェル12はライナーアセンブリ14に強固に固定され得る。さらに、第1圧縮部材50および第2の圧縮部材56は、シェル12とライナーアセンブリ14との間の強固なはめ込みを維持するために、ゆがみおよび/または変形を生じ得る。また、シェル12およびライナーアセンブリ14は、簡単な取り付けによって、リング部材16および回転防止装置60を用いて強固に固定され得る。さらに、凹部44および46が局在しているので、支持部材34は、現状の技術の類似する装置よりも大きな厚みを有し得ることについて、十分に理解される。そして、この厚みによって、支持部材34が、予定される許容範囲に収まるように、より製造し易くなり得ることについて、十分に理解される。
【0035】
さらに、以上の記載は、本開示の例示的な実施形態を開示し、説明しているに過ぎない。以下の特許請求の範囲に規定される精神および範囲から逸脱することなく、明細書の記載、ならびに添付の図面および特許請求の範囲に基づいて、種々の変更、改変および変形が例示的な実施形態になされ得ることは、当業者であれば容易に認識される。例えば、本明細書に記載された方法の各ブロックの順番は、本開示の範囲から逸脱することなく、変更され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面を有するシェルと、
外面を有する支持部材と、
圧縮部材とを備えており、
上記支持部材は、該支持部材の上記外面が上記シェルの上記内面と隣接するように、上記シェルに収納されており、
上記圧縮部材は、上記シェルの上記内面および上記支持部材の上記外面のうちの1つの面に強固に固定されて、該面の一部のみを覆っており、上記シェルおよび支持部材の材料と異なる材料から作製されている、人工関節アセンブリ。
【請求項2】
上記支持部材が凹部を有し、上記圧縮部材が該凹部内に配置されている、請求項1に記載の人工関節アセンブリ。
【請求項3】
上記圧縮部材が上記凹部の外に延びている、請求項2に記載の人工関節アセンブリ。
【請求項4】
上記支持部材がリムを有しており、上記圧縮部材が、環状でありかつ上記リムの周囲に延びている、請求項1に記載の人工関節アセンブリ。
【請求項5】
上記支持部材が、リムおよび該リム上に内側に向かう丸み部を有している、請求項1に記載の人工関節アセンブリ。
【請求項6】
上記支持部材が、上記シェルと上記支持部材との間の相対的な回転を制限する、凸部および陥凹面のうちの少なくとも1つを有しており、
上記圧縮部材が、上記凸部および陥凹面のうちの少なくとも1つと上記シェルとの間に配置されるように、上記凸部および陥凹面のうちの少なくとも1つを覆っている、請求項1に記載の人工関節アセンブリ。
【請求項7】
上記支持部材が頂部およびリムを有しており、
上記圧縮部材が、上記頂部と上記リムとの間にて上記支持部材に強固に固定されている、請求項1に記載の人工関節アセンブリ。
【請求項8】
上記圧縮部材の弾性係数が上記支持部材の弾性係数よりも低い、請求項1に記載の人工関節アセンブリ。
【請求項9】
上記シェルが金属から作製されており、上記支持部材が金属から作製されており、上記圧縮部材がポリマーから作製されている、請求項1に記載の人工関節アセンブリ。
【請求項10】
上記シェルが溝を有しており、
上記圧縮部材が溝を有しており、
上記シェルの溝および上記圧縮部材の溝に収納されるリング部材をさらに備えている、請求項1に記載の人工関節アセンブリ。
【請求項11】
上記支持部材が、互いに間隔をあけて配置されている、環状の第1の凹部および第2の凹部を規定し、
第1の圧縮部材および第2の圧縮部材をさらに備えており、
第1の圧縮部材は上記第1の凹部に配置されており、かつ環状の溝を規定し、
第2の圧縮部材は上記第2の凹部に配置されている、請求項1に記載の人工関節アセンブリ。
【請求項12】
リング部材と、該リング部材を収納する溝が形成された内面を有するシェルとを備えている人工関節アセンブリの、ライナーアセンブリであって、
外面を有する支持部材と、
圧縮部材とを備えており、
上記支持部材が、上記外面が上記シェルの上記内面と隣接するように上記シェルに収納されており、
上記圧縮部材が、上記支持部材の外面に強固に固定されており、上記支持部材と異なる材料から作製されており、上記リング部材を収納して上記支持部材と上記シェルとの間の相対的な回転を制限する溝を有している、ライナーアセンブリ。
【請求項13】
上記支持部材が金属から作製されており、上記圧縮部材がポリマーから作製されている、請求項12に記載のライナーアセンブリ。
【請求項14】
上記支持部材が凹部を有しており、
上記圧縮部材は、該圧縮部材の上記溝が上記凹部を取り巻いて延びるように上記凹部に配置されている、請求項12に記載のライナーアセンブリ。
【請求項15】
上記凹部が、上記リング部材の内部幅よりも大きい幅を有する下部リップを有している、請求項14に記載のライナーアセンブリ。
【請求項16】
シェル、支持部材および回転防止装置を備えている人工関節アセンブリであって、
上記シェルが、金属材料およびセラミック材料の少なくとも1つから作製されており、
上記支持部材が、金属材料およびセラミック材料の少なくとも1つから作製されており、かつ上記シェルによって収納されており、
上記回転防止装置が凸部および陥凹面を有しており、
上記凸部は、上記シェルおよび上記支持部材のうちの一方に固定されており、上記陥凹面は、上記シェルおよび上記支持部材のうちの他方に形成されており、上記凸部を収納して上記シェルと上記支持部材との間の相対的な回転を制限する、人工関節アセンブリ。
【請求項17】
上記凸部と上記陥凹面との間に配置されるように、上記シェルおよび上記支持部材のうちの少なくとも1つに強固に固定されている圧縮部材をさらに備えている、請求項16に記載の人工関節アセンブリ。
【請求項18】
上記圧縮部材の弾性係数が上記支持部材および上記シェルの弾性係数よりも低い、請求項17に記載の人工関節アセンブリ。
【請求項19】
上記圧縮部材が、上記支持部材の外面の一部のみを覆っている、請求項16に記載の人工関節インプラント。
【請求項20】
溝を有するシェルを選択する工程と、
支持部材と、圧縮部材とを備えているライナーアセンブリを選択する工程であって、該圧縮部材は、該支持部材と異なる材料から作製され、該支持部材の外面に強固に固定され、該外面の一部のみを覆い、溝を有している、工程と、
リング部材を有する上記シェル内に、該リング部材が該シェルの溝および上記圧縮部材の溝に配置されるように、上記ライナーアセンブリを固定する工程と包含する、人工関節アセンブリを組み立てる、方法。
【請求項21】
上記ライナーアセンブリに上記圧縮部材を強固に固定するために、上記圧縮部材を成形する工程をさらに包含する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
金属からなるシェルと、
金属からなる支持部材と、
回転防止装置と、
ポリマーからなる環状の第1の圧縮部材と、
ポリマーからなる環状の第2の圧縮部材と、
リング部材とを備えている人工関節アセンブリであって、
上記シェルが内面、溝およびリムを有しており、
上記支持部材が、外面、リムおよび頂部を有しており、該外面が上記シェルの内面に隣接するように上記シェルに収納されており、
上記回転防止装置が、上記シェルのリムから突出する凸部および上記支持部材のリム上に設けられている陥凹面を有しており、該凸部が、上記支持部材と上記シェルとの間の相対的な回転を制限するために、該陥凹面に収納されており、
第1の圧縮部材が、溝を有しており、上記陥凹面と上記凸部との間に配置されており、上記支持部材の上記外面のリムに強固に固定されており、上記シェルおよび支持部材の弾性係数よりも低い弾性係数を有しており、
第2の圧縮部材が、上記シェルおよび支持部材の弾性係数よりも低い弾性係数を有しており、上記支持部材の上記外面のうちのリムと頂部との間に強固に固定されており、
上記リング部材が、上記シェルの溝および第1の圧縮部材の溝の内部に配置されており、上記シェルから離れる方向への支持部材の軸方向移動を制限する、人工関節アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−131398(P2010−131398A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−278389(P2009−278389)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(504278927)バイオメット・マニュファクチャリング・コーポレイション (14)
【Fターム(参考)】