説明

メタルバック付き蛍光面とその製造方法および画像表示装置

【課題】平滑で反射性が良好なメタルバック層を有する蛍光面を形成し、画像表示装置の輝度を向上させる。
【解決手段】本発明のメタルバック付き蛍光面においては、メタルバック層を構成する金属膜と蛍光体層の上面との間に、1〜10μmの空隙を設ける。光吸収層の層厚を蛍光体層の層厚よりも厚く形成し、かつ光吸収層の上面に平滑性樹脂層を介して金属膜を密接して設けることにより実現することができる。また、光吸収層の上に耐熱性無機微粒子から成る抵抗調整層を形成し、この抵抗調整層の上面に平滑性樹脂層を介して金属膜を密接・形成することで、前記空隙を形成することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルバック付き蛍光面とその製造方法、およびメタルバック付き蛍光面を有する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代の画像表示装置として、多数の電子放出素子を画像表示面と対向配置させた平面型画像表示装置の開発が進められている。電子放出素子にはさまざまな種類があるが、いずれも基本的には電界による電子放出を利用したものであり、これらの電子放出素子を用いた表示装置は、一般にフィールド・エミッション・ディスプレイ(以下、FEDと示す。)と呼ばれている。FEDのうちで、表面伝導型電子放出素子を用いた表示装置は、表面伝導型電子放出ディスプレイ(SED)とも呼ばれている。本発明においては、SEDをも含む総称として、FEDという用語を用いる。
【0003】
一般にFEDは、所定の間隔をおいて対向配置されたフェースプレート(前面基板)とリアプレート(背面基板)とを有している。これらの基板は、それぞれの周縁部を矩形枠状の側壁を介して接合され、真空外囲器を構成している。真空外囲器の内部は、真空度が約10−4Pa以下の高真空に維持されている。
【0004】
フェースプレートの内面には、赤、青、緑にそれぞれ発光する蛍光体層と光吸収層(遮光層)をそれぞれ含む蛍光面が形成されている。また、実用的な表示特性を得るために、蛍光面上にはメタルバック層と呼ばれるアルミニウム薄膜が形成されている。さらに、真空外囲器の内部に残留するガスおよび各基板から放出されるガス(例えば、水素、メタン、酸素、二酸化炭素、水蒸気など)を吸着するために、ゲッタ層と呼ばれるガス吸着特性を有する金属薄膜、例えばBa(バリウム)、V(バナジウム)、Ti(チタン)、Ta(タンタル)などの薄膜が、メタルバック層上に蒸着されている。そして、蛍光体を励起して発光させるための電子を放出する多数の素子が、リアプレートの内面に設けられている。
【0005】
FEDにおいて、蛍光体層およびメタルバック層を含む画像表示面には、数kVから10kV以上のアノード電圧が印加される。そして、電子放出素子から放出された電子ビームが、アノード電圧により加速されて蛍光面に衝突することにより蛍光体が発光し、この蛍光体の発光により画像表示面に画像が表示される。このように構成されるFEDでは、フェースプレートとリアプレートとの間隔(隙間)を数mm程度に設定することができるので、現在テレビやコンピュータのディスプレイとして使用されている陰極線管(CRT)と比べて、大幅な軽量化、薄型化を達成することができる。
【0006】
ところで、近年薄型ディスプレイの普及が拡大し、付加価値を高めるために高画質化の要求が強まっている。高画質化の中でも高輝度化は、明室コントラストの改善を図るうえで重要な項目となっている。
【0007】
自発光型ディスプレイであるFEDにおいては、メタルバック効果を高めることで輝度を改善することが行われている。例えば、熱可塑性樹脂を含有する蛍光体層を加熱しながら加圧することで、蛍光体層表面を平滑化し、メタルバック層の成膜性および密着性を向上させる提案がなされている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−343248公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された蛍光面の形成方法においては、光吸収層と蛍光体層の厚さが異なり各層の上面に段差がある場合に、以下に示す問題を生じることがあった。すなわち、光吸収層の厚さに比べて蛍光体層の厚さが薄い場合、光吸収層の上面より蛍光体層の上面が低い位置にあるため、光吸収層の側壁部が障害となり、加熱・加圧により蛍光体層の表面を平滑化することが難しかった。
【0009】
また、光吸収層の各パターンの層厚にばらつきがあると、蛍光体層とともに光吸収層が加熱・加圧された際に、層厚が厚い光吸収層に隣接する蛍光体層の平滑化が不十分になるばかりでなく、層厚が厚い光吸収層にも欠けやシワなどの損傷が生じることがあった。
【0010】
本発明はこれらの問題を解決するためになされたもので、平滑で反射性が良好なメタルバック層を有する蛍光面を得ることを目的とする。また、そのようなメタルバック付き蛍光面を備え、輝度の高い画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様のメタルバック付き蛍光面は、フェースプレート内面に少なくとも光吸収層と蛍光体層が形成された蛍光面を有し、この蛍光面上に平滑性樹脂層を介して形成された金属膜からなるメタルバック層を有するメタルバック付き蛍光面であり、前記金属膜と、該金属膜より低い位置にある前記蛍光体層の上面との間に、空隙が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様のメタルバック付き蛍光面の製造方法は、フェースプレート内面に、所定のパターンを有する光吸収層と該光吸収層よりも薄い層厚を有する蛍光体層をそれぞれ形成し、蛍光面を形成する工程と、ベースフィルム上に少なくとも剥離剤層と平滑性樹脂層および接着剤層が形成された転写フィルムを、前記平滑性樹脂層が前記接着剤層を介して前記蛍光面上に接するように配置し、転写ローラーにより加熱しながら押圧して接着した後前記ベースフィルムを剥ぎ取ることにより、前記平滑性樹脂層を転写する工程と、前記蛍光面上に転写された前記平滑性樹脂層上に金属膜を形成する工程と、前記金属膜が形成されたフェースプレートを加熱処理し、有機分を分解・除去する工程を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の態様のメタルバック付き蛍光面の製造方法は、フェースプレート内面に、所定のパターンを有する光吸収層とその上に積層された耐熱性無機微粒子を主体とする抵抗調整層とから成る光吸収積層部を形成する工程と、前記光吸収積層部が形成されたフェースプレート内面に、該光吸収積層部よりも薄い層厚を有する蛍光体層を形成し、該蛍光体層と前記光吸収積層部とから成る蛍光面を形成する工程と、ベースフィルム上に少なくとも剥離剤層と平滑性樹脂層および接着剤層が形成された転写フィルムを、前記平滑性樹脂層が前記接着剤層を介して前記抵抗調整層に接するように配置し、転写ローラーにより加熱しながら押圧して接着した後前記ベースフィルムを剥ぎ取ることにより、前記平滑性樹脂層を前記蛍光面上に転写する工程と、前記蛍光面上に転写された前記平滑性樹脂層上に金属膜を形成する工程と、前記金属膜が形成されたフェースプレートを加熱処理し、有機分を分解・除去する工程を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の画像表示装置は、フェースプレートと、該フェースプレートと対向配置されたリアプレートと、前記リアプレート上に形成された多数の電子放出素子と、前記フェースプレート上に前記リアプレートに対向して形成され、前記電子放出素子から放出される電子線により発光する蛍光面とを備え、前記蛍光面が上記した第1の態様のメタルバック付き蛍光面であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光吸収層の上面あるいはその上にさらに積層された抵抗調整層の上面に、平滑性樹脂膜を介して金属膜が形成されており、この金属膜とそれより低い位置にある蛍光体層の上面との間に空隙が設けられているので、金属膜にはピッチの長い緩やかな起伏が形成され、蛍光体層の表面(上面)の微小な凹凸に対応した凹凸が形成されることがない。その結果、メタルバック層の反射面の拡散反射が低減され正反射成分が増加される。また、金属膜に亀裂やピンホールなどが生じることがなく、光透過率が低く抑えられるので、輝度が向上する。したがって、このようなメタルバック付き蛍光面を備えることで、輝度の高い画像表示装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態であるメタルバック付き蛍光面を示す断面図であり、図2は図1の要部を拡大して示す断面図である。これらの図において、符号1はフェースプレートを構成するガラス基板を示す。このガラス基板1の内面には、カーボン等の黒色顔料からなる所定のパターン(例えば、ドット状やストライプ状)の光吸収層2が設けられている。また、光吸収層2のパターンの間には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の蛍光体層3のパターンが設けられており、これら各色の蛍光体層3と光吸収層2により蛍光面(蛍光体スクリーン)が構成されている。ここで、各色の蛍光体層3の厚さはそれぞれが等しくなるように形成されている。また、これらの蛍光体層3の厚さは光吸収層2の厚さよりも薄くなるように形成されている。
【0018】
また、このように構成される蛍光体スクリーンの上に、Al膜のような金属膜から成るメタルバック層4が形成されている。メタルバック層4を構成する金属膜は光吸収層2の上面に密接されており、この金属膜と、光吸収層2の上面より低い位置にある蛍光体層3の上面との間には、空隙5が形成されている。この空隙5の厚さ方向の寸法Dは1〜10μmの範囲であることが望ましい。
【0019】
このように構成される第1の実施形態のメタルバック付き蛍光面においては、メタルバック層4を構成する金属膜と、蛍光体層3の上面との間に空隙5が形成され、金属膜が蛍光体層3の表面の微小な凹凸に密接されていないので、金属膜の反射面は微小な凹凸を持たず平滑に形成される。したがって、メタルバック層4の反射面における拡散反射が低減され、正反射成分が増大されるので、輝度が向上する。
【0020】
なお、蛍光体層3とメタルバック層4を構成する金属膜との間の空隙5が1μm未満の場合には、後述する金属膜を焼成する工程で、金属膜に生じた撓みあるいは弛みにより、金属膜が蛍光体層3に接触しやすくなる。そして、金属膜が蛍光体層3に接触すると、蛍光体層3表面の凹凸(蛍光体粒子の粒径に起因する)に金属膜が追従する結果、メタルバック層4の表面に微小な凹凸が生じる。そのため、メタルバック層4の拡散反射が増大し反射性が損なわれる。蛍光体層3とメタルバック層4を構成する金属膜との間の空隙5を1μm未満(例えば0)としたメタルバック付き蛍光面を、図3に示す。この図に示すように、メタルバック層4を構成する金属膜が蛍光体層3に接しているので、蛍光体層3表面の凹凸によりメタルバック層4の表面に微小な凹凸が生じ、拡散反射が増大するため、高輝度が得られない。
【0021】
また、メタルバック層4を構成する金属膜と蛍光体層3の上面との間の空隙は、以下に示す理由により10μm以下にすることが好ましい。すなわち、蛍光体層3と金属膜との間の空隙5を10μmより大きく設定するには、蛍光体層3の厚さを薄くするか、あるいは蛍光体層3に隣接する光吸収層2の厚さを厚くする必要がある。蛍光体層3の層厚は、発光輝度を最大にするために、7μmから13μmの範囲(より好ましくは10μm前後)に設定する必要があり、蛍光体層3の層厚を10μm前後から大きく変えることは好ましくないため、蛍光体層3と金属膜との空隙5を10μmを超えて設定するには、実用上蛍光体層3に隣接する光吸収層2の層厚を20μm以上にする必要がある。黒色顔料からなる光吸収層2の層厚を20μm以上に上げると、フォトマスクを介して露光を行う際に、光(一般に紫外光)が光吸収層2の底部まで到達せずに硬化不足を招き、所定の開口部を形成することが困難になる。
【0022】
第1の実施形態のメタルバック付き蛍光面は、以下に示すように製造することができる。すなわち、まず図4Aに示すように、フェースプレートを構成するガラス基板1の内面に、ドット状またはストライプ状の黒色顔料から成る光吸収層2を、例えばフォトリソ法により形成した後、その上に、ZnS系、Y系、YS系などの各色の蛍光体を含む樹脂ペーストを、所定パターンを施されたスクリーン版を用いて印刷(スクリーン印刷)し乾燥する。こうして、光吸収層2のパターンの間に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体層3のパターンを、それぞれが隣り合うように配列して形成し、蛍光体スクリーンを形成する。このとき、蛍光体層3の層厚が光吸収層2の層厚より1〜10μm薄くなるように、厚さを調整して形成する。なお、光吸収層2の形成をスクリーン印刷により行うことができ、また、各色の蛍光体層3の形成をスプレー法やフォトリソ法により行うことができる。
【0023】
次いで、こうして形成された蛍光体スクリーンの上に、図4Bに示すように、平滑性樹脂層6を形成する。第1の実施形態のメタルバック付き蛍光面を簡易に製造するために、平滑性樹脂層6の形成は、以下に示すような転写方式により行うことが好ましい。
【0024】
平滑性樹脂層6の形成のための転写フィルムは、ポリエステル樹脂などから成るベースフィルムの上に、離型剤層、平滑性樹脂層および接着剤層が順に積層された構造を有している。
【0025】
ここで、ベースフィルムの膜厚は、後述する転写工程で転写ローラーによる加熱・押圧を効果的に行うために、5〜50μmとすることが望ましい。離型剤としては、酢酸セルロース、ワックス、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、ロジン、アクリル樹脂、シリコーン、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの中から、ベースフィルムおよび平滑性樹脂層との剥離性に応じて、適宜選択して使用される。
【0026】
離型剤層の上に形成される平滑性樹脂層は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等をベースとするものであることが望ましく、より具体的には、アクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル−メラミン共重合体樹脂、メラミン−尿素共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース類、ビニル系樹脂などから選ばれる1種または2種以上の樹脂を主体として構成される。
【0027】
また、平滑性樹脂層は柔軟剤を含有することが望ましい。柔軟剤としては、リン酸エステル、脂肪族一塩基酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、二価アルコールエステル、オキシ酸エステル、オレイン酸ブチル、アジピン酸ジブチル、塩化パラフィン、トルエンスルフォンエチルアミド、トルエンスルフォンメチルアミド、アミノベンゼンスルフォンアミド化合物、アビエチン酸メチル、ジノニルナフタレン、アセチルクエン酸トリブチル、アミノトルエンスルフォンアミド化合物、N−ブチルベンゼンスルフォンアミドなどが例示される。柔軟剤の含有割合は、平滑性樹脂層を構成する材料全体に対して1〜30重量%の割合とすることが望ましい。柔軟剤の含有割合が30重量%を超えると、転写性が悪化して好ましくない。
【0028】
接着剤としては、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸樹脂、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸三元重合体樹脂等が使用される。
【0029】
このような転写フィルムを、接着剤層が蛍光体スクリーンの光吸収層2の上面に接するように配置する。そして、転写ローラーにより加熱しながら押圧して平滑性樹脂層6を光吸収層2の上に接着した後、ベースフィルムを剥ぎ取る。
【0030】
転写ローラーとしては、例えば、金属製の芯材の上に、天然ゴムやシリコーンゴムなどの被覆層を有するゴムローラーが使用される。そして、この転写ローラーを、押圧部であるゴム層表面の温度が70〜240℃になるように加熱し、転写フィルムのベースフィルム面上を1〜10kgf/cmの押圧力で押圧しながら1〜20m/分の速度で移動させる。転写ローラーの表面温度および押圧速度についての前記条件は、平滑性樹脂層6が蛍光体スクリーン面に転写されるために必要かつ十分な条件であり、この範囲を外れると、光吸収層2と平滑性樹脂層6との間の密着性が不足し、転写不良やベーキング後の亀裂が発生するおそれがある。
【0031】
すなわち、転写ローラーの表面温度が高すぎたり押圧速度が遅すぎたりすると、ベースフィルムが加熱され過ぎて軟化乃至溶融する。その結果、表面平滑な樹脂層が転写・形成されない。また、転写ローラーの表面温度が低すぎたりあるいは押圧速度が速やすぎたりすると、接着剤の加熱が不十分となり、平滑性樹脂層6の接着が不十分となる。その結果、部分的に転写されないなどの転写不良が生じるため好ましくない。
【0032】
なお、このような転写ローラーによる押圧においては、被押圧部であるフェースプレート側を固定し転写ローラーを移動させる態様の他に、転写ローラーの位置を固定し、フェースプレート側を移動・走行させる態様を採ることもできる。したがって、転写ローラーによる押圧速度は、転写ローラーと被押圧部との相対的な移動速度を意味するものとする。
【0033】
こうして、蛍光体スクリーン上に平滑性樹脂層6を転写した後、さらにプレスローラーにより加熱しながら押圧することができる。このようなプレス処理を行い、平滑性樹脂層6を光吸収層2の表面に加圧して密接することにより、平滑性樹脂層6と光吸収層2との接着性をより高めることができる。
【0034】
プレスローラーとしては、転写ローラーと同様に、金属製の芯材の上に、天然ゴムやシリコーンゴムなどの被覆層を有するゴムローラーを使用することができる。そして、このプレスローラーを、押圧部であるゴム層表面の温度が70〜250℃になるように加熱した状態で、平滑性樹脂層の上を1〜10kgf/cmの押圧力で押圧しながら1〜20m/分の速度で移動させる。なお、プレスローラーによる押圧においても、被押圧部であるフェースプレート側を固定しプレスローラーを移動させる態様の他に、プレスローラーの位置を固定し、フェースプレート側を移動・走行させる態様を採ることができる。
【0035】
このような転写方式を用いることで、平滑性樹脂層6を蛍光体スクリーンの光吸収層2の上面にのみ密接させ、光吸収層2のパターンの間に弛みなく張られた状態で形成することができる。したがって、光吸収層2に比べて1〜10μm薄く形成された蛍光体層3の上面と、平滑性樹脂層6との間には、前記厚さの差に相当する空隙5が形成される。
【0036】
次いで、こうして転写・形成された平滑性樹脂層6の上に、図4Cに示すように、Al膜のような金属膜7を形成する。金属膜7の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などの一般的な乾式の金属薄膜形成方法を採ることができる。メタルバック効果の点から、金属膜7の膜厚は80〜150nmとすることが好ましい。すなわち、金属膜7の膜厚を80nm未満とした場合には、メタルバック層にピンホールが発生しやすく、光透過性が高くなるため、蛍光体層3から発した光を反射する性能が劣化し、輝度が低下してしまう。また、金属膜7の膜厚が150nmを超えると、デッドヴォルテージ(発光に必要な電子線加速電圧の下限値)が高くなりすぎるため、メタルバック層に放電現象が発生しやすくなる。このような理由から金属膜7の膜厚は80nm乃至150nmの範囲にすることが好ましい。
【0037】
その後、金属膜7が形成されたフェースプレート全体を、約500℃の温度に加熱・焼成(ベーキング)して有機分を分解・除去する。なお、この焼成時に平滑性樹脂層6も分解されて消失するので、蛍光体スクリーン上には、図4Dに示すように金属膜7のみが残留する。この金属膜7は、光吸収層2の上面にのみ密接し、光吸収層2のパターン間に弛みなく張られた状態で配置されており、この金属膜7と蛍光体層3の上面との間には、1〜10μmの空隙5が保持されることになる。
【0038】
こうして、亀裂、しわ、弛みなどがなく、ほぼ平らで緩やかな起伏を有するメタルバック層4が形成され、反射特性に優れたメタルバック付き蛍光面が得られる。
【0039】
次に、本発明のメタルバック付き蛍光面の第2の実施形態について説明する。
【0040】
図5は、本発明の第2の実施形態であるメタルバック付き蛍光面を示す断面図であり、図6は図5の要部を拡大して示す断面図である。図5および図6において、第1の実施形態を示す図1および図2と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
第2の実施形態においては、蛍光体層3の厚さが光吸収層2の厚さよりも厚くなるように形成されている。なお、蛍光体層3の厚さを光吸収層2の厚さと等しく形成してもよい。そして、光吸収層2の上に、メタルバック層4の電気抵抗値を制御するための抵抗調整層8が形成され、光吸収層2と抵抗調整層8により光吸収積層部9が構成されている。光吸収積層部9の厚さは蛍光体層3の厚さよりも厚くなるように調整されている。
【0042】
抵抗調整層8は耐熱性無機微粒子を主体として構成された層である。耐熱性無機微粒子としては、電気絶縁性を有しかつ封着工程などの高温加熱に耐えるものであれば、特に種類を限定することなく使用することができる。例えば、SiO,TiO,Al,Feなどの金属酸化物の微粒子が例示され、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。抵抗調整層8の形成は、前記耐熱性無機微粒子を含む樹脂ペーストをスクリーン印刷する方法で行うことができる。
【0043】
そして、メタルバック層4を構成するAl膜のような金属膜は、光吸収積層部9の抵抗調整層8の上面に密接されており、この抵抗調整層2の上面より低い位置にある蛍光体層3の上面と金属膜との間には、空隙5が形成されている。この空隙5の厚さ方向の寸法Dは、1〜10μmの範囲とすることが望ましい。
【0044】
このように構成される第2の実施形態のメタルバック付き蛍光面を製造するには、まず、フェースプレートを構成するガラス基板1の内面に、ドット状またはストライプ状の黒色顔料から成る光吸収層2を形成し、その上に耐熱性無機微粒子を主体とする抵抗調整層8を形成して光吸収積層部9を形成した後、この光吸収積層部9のパターンの間に、3色の蛍光体層3のパターンを形成し、蛍光体スクリーンを形成する。次いで、この蛍光体スクリーンの上に、第1の実施形態の製造と同様にして、転写方式で平滑性樹脂層を形成した後、この平滑性樹脂層の上に金属膜を形成し、しかる後金属膜を有するフェースプレートを加熱・焼成して有機分を分解・除去する。
【0045】
この第2の実施形態においても、メタルバック層4を構成する金属膜と蛍光体層3の上面との間に空隙5が形成されており、金属膜が蛍光体層3の表面の微小な凹凸に密接されていないので、金属膜の反射面は凹凸がなく平滑に形成される。したがって、メタルバック層4の反射面の拡散反射が低減され正反射成分が増大されるので、輝度が向上する。
【0046】
次に、本発明の第3の実施形態であるFEDについて説明する。このFEDは、図7に示すように、ガラス基板1上に前記した第1の実施形態あるいは第2の実施形態のメタルバック付き蛍光面が形成されたフェースプレート11と、基板12上にマトリックス状に配列された多数の電子放出素子13を有するリアプレート14とが、1mm〜数mm程度の狭い間隔をおいて対向配置され、これらのプレートの間に5〜15kVの高電圧が印加されるように構成されている。なお、図中符号15は蛍光体スクリーンを示し、16はメタルバック層を示す。また、符号17は支持枠(側壁)を示す。
【0047】
この実施形態のFEDでは、メタルバック層16を構成する金属膜と、それより低い位置にある蛍光体層の上面との間に空隙が設けられているので、亀裂がなく、起伏が緩やかでほぼ平滑なメタルバック層16が得られており、反射特性が向上している。すなわち、メタルバック層16の反射面の拡散反射が低減され正反射成分が増大されているので、輝度が向上される。また、メタルバック層16に亀裂やピンホールなどがなく、光透過率が低く抑えられているので、高輝度で信頼性に優れた表示を実現することができる。
【0048】
次に、本発明をFEDに適用した具体的実施例について説明する。
【0049】
実施例1
黒色顔料を、Bi、ZnO、Al、Bから成るガラスフリット粉末に混合し、これにブチルカルビトールアセテートおよびα−テルピネオールの混合溶剤と感光性アクリル樹脂を混合して黒色顔料ペーストを調製した。このペーストを、フェースプレートを構成するガラス基板上にスクリーン印刷し乾燥した後、所定パターンが描画されたフォトマスクを用い、積算光量500mJ/cm(照度8mW/cm)で露光し、炭酸ナトリウム0.2重量%水溶液により未露光部を溶解・除去して、蛍光体層を形成すべき開口部を形成した。次いで、純水によりリンスした後、500℃で加熱・焼成し、有機分を除去した。こうして、15μmの厚さを有するストライプ状の光吸収層を形成した。
【0050】
次に、ZnS系、Y系、YS系などの蛍光体を含むペーストを使用し、光吸収層のパターンの所定部に埋め込むようにスクリーン印刷を行い、乾燥した。こうして、光吸収層のパターンの間に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体層をそれぞれが隣り合うように形成し、蛍光体スクリーンを作製した。次いで、フェースプレート内面で、このような蛍光体スクリーンの周りの非表示領域に、黒色顔料からなる周辺ブラックマトリクスおよび銀ペースト膜からなる外枠部を順に形成した後、500℃で加熱・焼成を行った。こうして、層厚が10μmとなる蛍光体層を形成した。
【0051】
次に、こうして形成された蛍光体スクリーンを有するフェースプレートにおいて、前記周辺ブラックマトリクスおよび外枠部を厚さ12μmのポリエステルフィルムでマスキングした後、ポリエチレンテレフタレート基材のベースフィルム(厚さ12μm)上に離型剤層、ニトロセルロース樹脂からなる平滑性樹脂層、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とした接着剤層が順に積層された転写フィルムを、接着剤層が蛍光体スクリーンの光吸収層の上面に接するようにして載せた。そして、ベースフィルムの上からシリコーンゴムローラーにより加温加圧した。すなわち、表面温度150℃に加熱された硬度80度のシリコーンゴムローラーを、毎分2mの速度および2.5kgf/cmの圧力でベースフィルムの上を走らせて加圧し、次いでベースフィルムを剥離することにより、平滑性樹脂層を光吸収層の上面に密着させた。こうして、平滑性樹脂層が、光吸収層の上面にのみ密接し、蛍光体層の上方では膜状に張られた状態で形成された。
【0052】
次いで、表面温度80℃に加熱された硬度80度のシリコーンゴムローラーを、平滑性樹脂層の上を毎分2mの速度で1kgf/cmの圧力で走らせた。こうして平滑性樹脂層を加温加圧し、光吸収層と平滑性樹脂層との密着性を高めるとともに、平滑性樹脂層をさらに平滑化した。
【0053】
その後、平滑化された平滑性樹脂層の上に、120nmの厚さのAl膜をスパッタリングにより形成した後、フェースプレート全体を500℃の温度で焼成(ベーキング)して平滑性樹脂層を含む有機分を分解・除去した。こうして、図1および図2に示す構造を有し、蛍光体層3の上面と金属膜(Al膜)との間の空隙5の寸法Dが4〜5μmであるメタルバック付き蛍光面を備えたフェースプレートを3枚作製した。
【0054】
実施例2
黒色顔料を、Bi、ZnO、Al、Bから成るガラスフリット粉末に混合し、これにブチルカルビトールアセテートおよびα−テルピネオールの混合溶剤と感光性アクリル樹脂を混合して黒色顔料ペーストを調製した。このペーストを、フェースプレートを構成するガラス基板上にスクリーン印刷し乾燥し、乾燥後の厚さが10μmの光吸収層を形成した。次いで、SnOおよびSbの導電層を表面被覆したルチル型球状TiOから成る金属酸化物微粒子に、Bi、ZnO、Al、Bから成るガラスフリット粉末を混合し、さらにブチルカルビトールアセテートおよびα−テルピネオールの混合溶剤と感光性アクリル樹脂を混合して成るペーストを、前記光吸収層の上にスクリーン印刷・乾燥し、抵抗調整層を形成した。なお、乾燥後の光吸収積層部(光吸収層と抵抗調整層との積層部)の層厚が20μmになるように抵抗調整層を形成した。
【0055】
次いで、所定パターンが描画されたフォトマスクを用い、積算光量500mJ/cm(照度8mW/cm)で露光し、炭酸ナトリウム0.2重量%水溶液により未露光部を溶解・除去して、蛍光体層を形成すべき開口を形成した。次いで、純水によりリンスした後、500℃で加熱・焼成し有機分を除去した。こうして、光吸収層と抵抗調整層とを合わせた層厚が15μmとなるストライプ状の光吸収積層部が得られた。
【0056】
次に、ZnS系、Y系、YS系などの各色の蛍光体を含むペーストを使用してスクリーン印刷を行い、乾燥させた。こうして、光吸収積層部の間に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体層をそれぞれが隣り合うように形成し、蛍光体スクリーンを作製した。次いで、フェースプレート内面で、このような蛍光体スクリーンの周りの非表示領域に、黒色顔料からなる周辺ブラックマトリクスと銀ペースト膜からなる外枠部を順に形成した後、500℃で加熱・焼成を行った。こうして、厚さが10μmとなる蛍光体層を形成した。
【0057】
次に、こうして形成された蛍光体スクリーンを有するフェースプレートにおいて、前記周辺ブラックマトリクスおよび外枠部を厚さ12μmのポリエステルフィルムでマスキングした後、ポリエチレンテレフタレート基材のベースフィルム(厚さ12μm)上に離型剤層、ニトロセルロース樹脂からなる平滑性樹脂層、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とした接着剤層が順に積層・形成された転写フィルムを、接着剤層が蛍光体スクリーンの光吸収積層部(抵抗調整層)の上面に接するようにして載せた。そして、ベースフィルムの上から、表面温度150℃に加熱された硬度80度のシリコーンゴムローラーを毎分2mの速度および2.5kgf/cmの圧力で走らせて加圧・圧着し、次いでベースフィルムを剥離することにより、平滑性樹脂層を抵抗調整層の上面に密着させた。こうして、こうして、平滑性樹脂層が、抵抗調整層の上面にのみ密接し、蛍光体層の上方では膜状に張られた状態で形成された。
【0058】
次いで、平滑性樹脂層の上を、表面温度80℃に加熱された硬度80度のシリコーンゴムローラーを、毎分2mの速度で1kgf/cmの圧力で走らせた。こうして平滑性樹脂層を加温加圧し、光吸収積層部(抵抗調整層)と平滑性樹脂層との密着性を高めるとともに、平滑性樹脂層をさらに平滑化した。
【0059】
その後、平滑化された平滑性樹脂層の上に、スパッタリングにより120nmの厚さのAl膜を形成した後、フェースプレート全体を500℃の温度で焼成(ベーキング)し、平滑性樹脂層を含む有機分を分解・除去した。こうして、こうして、図5および図6に示す構造を有し、蛍光体層3の上面と金属膜(Al膜)との間の空隙5の寸法Dが4〜5μmであるメタルバック付き蛍光面を備えたフェースプレートを3枚作製した。
【0060】
比較例1
実施例1において、焼成後の層厚が10μmとなるように塗布厚を調整して、光吸収層を形成した後、焼成後の層厚が同じく10μmとなるように塗布厚を調整して、蛍光体層を形成した。それ以外は実施例1と同様にして、蛍光体層の上面とAl膜とが密着した構造のメタルバック付き蛍光面を作製した。
【0061】
比較例2
実施例2において、焼成後の層厚が10μmとなるように塗布厚を調整して、光吸収層と抵抗調整層との積層部を形成した後、焼成後の層厚が同じく10μmとなるように塗布厚を調整して、蛍光体層を形成した。それ以外は実施例2と同様にして、蛍光体層の上面とAl膜とが密着した構造のメタルバック付き蛍光面を作製した。
【0062】
次に、実施例1,2および比較例1,2で得られたメタルバック付き蛍光面を有するフェースプレートの各サンプル(試料)をそれぞれ使用し、以下に述べる手順でFEDを作製した。まず、基板上に多数の表面伝導型電子放出素子が形成された電子発生源をガラス基板に固定し、リアプレートを作製した。次いで、このリアプレートと実施例1,2および比較例1,2で得られたフェースプレートとを、支持枠およびスペーサを介して対向配置し、フリットガラスにより封着した。その後、封止、排気など必要な処理を施し、10型カラーFEDを完成した。
【0063】
得られた10型カラーFEDを、電子線加速電圧10kVで白色ラスター表示させ、画面の輝度をそれぞれ測定した。そして、比較例1および2で得られたFEDの輝度を基準にして、実施例1および2で得られたFEDの相対輝度を求めた。なお、相対輝度はそれぞれ次式を用いて算出した。結果を表1に示す。
実施例1の相対輝度=(実施例1のFEDの輝度)÷(比較例1のFEDの輝度)
実施例2の相対輝度=(実施例2のFEDの輝度)÷(比較例2のFEDの輝度)
【0064】
【表1】

【0065】
表1から明らかなように、実施例1および2で得られたメタルバック付き蛍光面を備えたFEDは、蛍光体層の上面とメタルバック層とが密着した従来構造のメタルバック付き蛍光面を備えた比較例1および2のFEDに比べて、輝度が22%から27%上昇している。また、実施例1および2のFEDについて、電子線加速電圧5kVで1000時間駆動試験を行ったが、放電現象は発生しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、反射特性に優れ光透過率が低く抑えられたメタルバック層を有し、輝度の高いメタルバック付き蛍光面を得ることができる。したがって、このようなメタルバック付き蛍光面を備えることで、輝度の高い画像表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施形態であるメタルバック付き蛍光面を示す断面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】従来構造である、蛍光体層とメタルバック層(金属膜)との間に空隙がないメタルバック付き蛍光面を示す断面図である。
【図4A】第1の実施形態のメタルバック付き蛍光面を製造する工程を示す断面図である。
【図4B】第1の実施形態のメタルバック付き蛍光面を製造する工程を示す断面図である。
【図4C】第1の実施形態のメタルバック付き蛍光面を製造する工程を示す断面図である。
【図4D】第1の実施形態のメタルバック付き蛍光面を製造する工程を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態であるメタルバック付き蛍光面を示す断面図である。
【図6】図5の要部を拡大して示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態であるFEDの構造を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1…ガラス基板、2…光吸収層、3…蛍光体層、4,16…メタルバック層、5…空隙、6…平滑性樹脂層、7…金属膜、8…抵抗調整層、11…フェースプレート、13…電子放出素子、14…リアプレート、15…蛍光体スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェースプレート内面に少なくとも光吸収層と蛍光体層が形成された蛍光面を有し、この蛍光面上に平滑性樹脂層を介して形成された金属膜からなるメタルバック層を有するメタルバック付き蛍光面であり、
前記金属膜と、該金属膜より低い位置にある前記蛍光体層の上面との間に、空隙が設けられていることを特徴とするメタルバック付き蛍光面。
【請求項2】
前記光吸収層の層厚が前記蛍光体層の層厚よりも厚く形成され、かつ前記光吸収層の上面に前記平滑性樹脂層を介して前記金属膜が密接されていることを特徴とする請求項1記載のメタルバック付き蛍光面。
【請求項3】
前記光吸収層の上に、前記メタルバック層の電気抵抗値を制御するための耐熱性無機微粒子を主体とする抵抗調整層を有し、かつこの抵抗調整層の上面に前記平滑性樹脂層を介して前記金属膜が密接されており、該金属膜と前記蛍光体層の上面との間に空隙が設けられていることを特徴とする請求項1記載のメタルバック付き蛍光面。
【請求項4】
前記蛍光体層の上面と前記金属膜との間に設けられた空隙が、厚さ方向の寸法で1〜10μmの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のメタルバック付き蛍光面。
【請求項5】
前記金属膜の膜厚が、80〜150nmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のメタルバック付き蛍光面。
【請求項6】
前記平滑性樹脂層が、アクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル−メラミン共重合体樹脂、メラミン−尿素共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース類、ビニル系樹脂から選ばれる1種または2種以上の樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のメタルバック付き蛍光面。
【請求項7】
フェースプレート内面に、所定のパターンを有する光吸収層と該光吸収層よりも薄い層厚を有する蛍光体層をそれぞれ形成し、蛍光面を形成する工程と、
ベースフィルム上に少なくとも剥離剤層と平滑性樹脂層および接着剤層が形成された転写フィルムを、前記平滑性樹脂層が前記接着剤層を介して前記蛍光面上に接するように配置し、転写ローラーにより加熱しながら押圧して接着した後前記ベースフィルムを剥ぎ取ることにより、前記平滑性樹脂層を転写する工程と、
前記蛍光面上に転写された前記平滑性樹脂層上に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜が形成されたフェースプレートを加熱処理し、有機分を分解・除去する工程を備えることを特徴とするメタルバック付き蛍光面の製造方法。
【請求項8】
フェースプレート内面に、所定のパターンを有する光吸収層とその上に積層された耐熱性無機微粒子を主体とする抵抗調整層とから成る光吸収積層部を形成する工程と、
前記光吸収積層部が形成されたフェースプレート内面に、該光吸収積層部よりも薄い層厚を有する蛍光体層を形成し、該蛍光体層と前記光吸収積層部とから成る蛍光面を形成する工程と、
ベースフィルム上に少なくとも剥離剤層と平滑性樹脂層および接着剤層が形成された転写フィルムを、前記平滑性樹脂層が前記接着剤層を介して前記抵抗調整層に接するように配置し、転写ローラーにより加熱しながら押圧して接着した後前記ベースフィルムを剥ぎ取ることにより、前記平滑性樹脂層を前記蛍光面上に転写する工程と、
前記蛍光面上に転写された前記平滑性樹脂層上に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜が形成されたフェースプレートを加熱処理し、有機分を分解・除去する工程を備えることを特徴とするメタルバック付き蛍光面の製造方法。
【請求項9】
前記平滑性樹脂層は、アクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル−メラミン共重合体樹脂、メラミン−尿素共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース類、ビニル系樹脂から選ばれる1種または2種以上の樹脂を含むことを特徴とする請求項7または8記載のメタルバック付き蛍光面の製造方法。
【請求項10】
前記接着剤層が、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸樹脂、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸三元重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリブテン樹脂、ポリアミド樹脂から選ばれる1種または2種以上の樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項記載のメタルバック付き蛍光面の製造方法。
【請求項11】
転写された前記平滑性樹脂層上に、蒸着法あるいはスパッタリング法により前記金属膜を形成することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項記載のメタルバック付き蛍光面の製造方法。
【請求項12】
フェースプレートと、該フェースプレートと対向配置されたリアプレートと、前記リアプレート上に形成された多数の電子放出素子と、前記フェースプレート上に前記リアプレートに対向して形成され、前記電子放出素子から放出される電子線により発光する蛍光面とを備え、前記蛍光面が、請求項1乃至6のいずれか1項記載のメタルバック付き蛍光面であることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−226745(P2008−226745A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66075(P2007−66075)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】