説明

メタルマスク、メタルマスク位置アラインメント方法及び装置

【課題】 複数のマスク部2を有するメタルマスク1にテンションを加えた状態で枠状のフレームに固定するに際し、各マスク部の位置を正確に位置決めする技術を提供する。
【解決手段】 メタルマスク1の各辺を、複数のテンションユニット13で把持して引っ張り、メタルマスク1にテンションを加えると共に、そのメタルマスク1にガラススケール25を重ね合わせ、メタルマスク1に形成したアラインメント用マーク6の原点が、ガラススケール25に形成した基準マークの基準点に一致するように、テンション調整することで各マスク部2の位置を正確に位置決めする構成とし、アラインメント用マーク6として、ハーフエッチングで形成した十字マークと4対の円形マークを用いることで、位置決め作業を容易とすると共に各アラインメント用マークが示す原点の位置精度を高め、高精度のアラインメントを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、有機EL素子製造工程で使われる蒸着マスクに使用される、多数の微少な細長い開口部を備えたマスク部を有するメタルマスクのような、極く薄い且つ剛性の異なる領域を備えたメタルマスクをゆがみのない平坦な状態で枠状のフレームに固定するに際し、メタルマスク内の複数箇所の位置を高精度で所定の位置に位置決めするアラインメント技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機EL素子製造において真空蒸着が行われており、その蒸着マスクとして、蒸着を許容する多数の細長い微少な開口部を備えたマスク部を有するメタルマスクが使用されている。そして蒸着に当たってはそのメタルマスクを、前記マスク部よりも大きい開口を備えた剛性の大きい枠状のフレームに磁石等によって取り付けていた。しかしながら、近年、パターニングの微細化が進み、マスク部に形成している開口部が微細になり且つメタルマスクの板厚自体も薄くなってくると、メタルマスクを単に枠状のフレームに磁石等を用いて固定しただけでは、マスク部にゆがみやたるみが生じ、開口部の精度が維持できなくなるという問題が生じた。
【0003】
そこで、本出願人はこの問題を解決すべく検討の結果、極く薄い金属板製の且つ複数のマスク部を形成した構造の多面付けのメタルマスクでも、メタルマスクの4辺のそれぞれを、複数のクランプで把持し、各クランプによって前記メタルマスクにテンションを加え、かつそのテンションを各クランプごとに調整することで、メタルマスクをしわやたるみの無い平坦な状態とし、各マスク部の開口部を直線状に且つ一定ピッチに保持できること及びその状態で枠状のフレームにスポット溶接等によって固定することで、クランプを外した後においてもメタルマスクをテンションが掛けられ平坦となった状態に保持でき、従って、単純な構造のフレームを用いて多面付けマスクをゆがみやたるみの無い状態に保持できることを見出し、そのメタルマスクをゆがみやたるみの無い状態で枠状のフレームに固定する方法及び装置を開発した(特開2004−311335号公報参照)。
【0004】
ところが、この方法及び装置にも更に改良すべき点のあることが判明した。すなわち、メタルマスクの4辺のそれぞれにテンションを加えてフレームに固定する際、単にメタルマスクにゆがみやたるみが無いようにテンションを調整しただけでは、メタルマスクに生じる伸びが必ずしも均一とはならず、そのためメタルマスクに形成している複数のマスク部の位置が適正な位置からずれてしまうことがあった。例えば、有機EL素子製造に用いる蒸着用の多面付けマスクの場合、各マスク部の位置に関して±10μm以下のトータルピッチが求められることがあるが、メタルマスクに対するテンションの掛け具合によっては、そのピッチの誤差が大きくなるとか、全体的にねじれたような配置になることがあった。これを防ぐには、メタルマスクにテンションを加えた状態で、いくつかのマスク部の位置を、X−Y方向(縦横方向)の位置を高精度(ミクロンオーダー)で測定可能な測長装置を用いて測定し、適正な位置となるようにテンションを調整するという方法を採ればよい。しかしながら、この方法には、(1)測長装置は高価である、(2)測長に時間を要するため、作業効率が悪い、(3)一度に複数箇所の位置管理ができない等の問題があった。
【特許文献1】特開2004−311335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らは、高価な測長装置を用いることなく、簡単な操作でメタルマスク内の複数箇所の位置を高精度で適正な位置となるように管理することを可能とするため、メタルマスクの複数箇所の位置を定めるための基準マークを形成したガラススケールを用いることに着目し、メタルマスクには予め複数箇所にアラインメント用マークをハーフエッチングによって形成しておき、メタルマスクにテンションを付加する際に、そのメタルマスクにガラススケールを重ねて位置させ、ガラススケールの基準マークとメタルマスクのアラインメント用マークをCCDカメラなどの撮像装置で監視しながら、ガラススケールの基準マークに、メタルマスクのアラインメント用マークを合わせ込むようにテンション調整を行うことで、メタルマスク内の複数箇所の位置を高精度で適正な位置に位置決めする構成のメタルマスク位置アラインメント方法及び装置を開発した。
【0006】
ところが、この方法及び装置にも更に改良すべき点のあることが判明した。すなわち、先に開発した方法及び装置では、メタルマスクに形成するアラインメント用マークとして、図12(a)に示すように、幅が50μm程度、長さが250μm程度の直線を交差させた形状の十字マーク56を用いるつもりであるが、実際には、ハーフエッチングで形成した十字マーク56は、図12(b)で示すように、コーナー部が湾曲形状となるとか、端部がマッチ棒状になるといった形状変化を生じてしまい、マークの寸法精度が低く、高精度化への問題点となっていた。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、ハーフエッチングで形成したにも係わらず、高精度で特定の位置を指示可能なアラインメント用マークを備えたメタルマスクを提供することを課題とする。また、本発明は、そのメタルマスクの面内位置を高精度でアラインメントすることの可能なメタルマスク位置アラインメント方法及び装置を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1に係る発明は、メタルマスクの複数箇所に形成するアラインメント用マークとして、ハーフエッチングで形成された1個の十字マークとその十字マークの4個の先端に向かい合う領域に形成された4対の円形マークを備えた構成とし、その4対の円形マークをそれぞれ、前記十字マークの直交する2本の中心線のうち、対応する中心線を等距離で挟むように配置するという構成としたものである。
【0009】
本願請求項2に係る発明は、上記した請求項1記載のメタルマスクにおいて、前記アラインメント用マークを、前記メタルマスクの有効領域の四隅近傍にそれぞれ形成しておくという構成としたものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記した請求項1又は2記載のメタルマスクを所定の位置にアラインメントする方法であって、そのメタルマスクの4辺のそれぞれを、複数のクランプで把持し、各クランプによって前記メタルマスクにテンションを加える張り工程と、前記メタルマスクに付与している複数箇所のアラインメント用マークに対する基準位置を示す十字状の基準マークを有するガラススケールを前記メタルマスク上面に近接した計測位置に配置する工程と、前記メタルマスクの複数箇所に形成されているアラインメント用マークの十字マークと前記ガラススケールの基準マークとを目視で検査し、両者を合わせ込むように前記複数のクランプによるテンションを調整する第一テンション調整工程と、前記メタルマスクの複数箇所に形成されているアラインメント用マークの4対の円形マークと前記ガラススケールの基準マークとを撮像する工程と、撮像して得た画像を処理し、演算して、前記アラインメント用マークの十字マークの直交する中心線の交点である原点を求め、且つ前記十字状の基準マークの直交する中心線の交点である基準点を求め、前記原点と基準点とのずれ量を求める画像処理及び演算工程と、前記ずれ量が許容範囲内に入るように前記複数のクランプによるテンションを調整する第二テンション調整工程とを有するという構成としたものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、上記した請求項1又は2記載のメタルマスクを位置アラインメントする装置であって、そのメタルマスクの4辺の各々の複数箇所を把持してテンションを加えることができるように配置された複数のテンションユニットと、前記メタルマスクに付与している複数のアラインメント用マークに対する基準位置を示す基準マークを有するガラススケールと、該ガラススケールを保持し、前記複数のテンションユニットに保持されている前記メタルマスクの上方に離れた待機位置とメタルマスク上面に近接した計測位置とに昇降させるガラススケール保持移動装置と、前記メタルマスクの複数箇所に形成されているアラインメント用マークと前記ガラススケールの基準マークの重なり部分を撮像する撮像手段と、撮像して得た画像を処理し、演算して、前記アラインメント用マークの十字マークの直交する中心線の交点である原点を求め、且つ前記十字状の基準マークの直交する中心線の交点である基準点を求め、その原点と基準点とのずれ量を求める画像処理及び演算手段と、前記複数のテンションユニットが付与するテンションを個々に調整可能な調整手段とを有するという構成としたものである。
【発明の効果】
【0012】
上記した本発明のメタルマスクは、アラインメントに用いるアラインメント用マークとして、中心に配置された十字マークと、その周囲に配置された4対の円形マークを用いており、これらをハーフエッチングで形成すると、中央の十字マークはエッチングの進行に伴って形状変化を生じて寸法精度が低下するとしても、4対の円形マークは、エッチング進行量が変化して形状の大小が生じるとしても重心位置はほとんど変化せず、正確な位置を保っている。従って、4対の円形マークの重心位置を基準として定まる、十字マークの直交する中心線の交点はきわめて高精度で所定位置に位置しており、この交点をアラインメント用マークの原点とすれば、その原点は、アラインメント用マークのエッチング時におけるエッチングの進行量にばらつきがあっても、高精度で所定の位置に位置することとなる。このため、メタルマスクにガラススケールを重ね合わせ、そのガラススケールに形成している十字状の基準マークと、メタルマスクのアラインメント用マークの4対の円形マークを撮像し、画像処理して、前記基準マークの直交する中心線の交点である基準点と、アラインメント用マークの4対の円形マークで定まる原点を求め、両者を一致させるようにメタルマスクのアラインメントを行うことで、きわめて高精度でのアラインメントを行うことができる。なお、基準マーク及び4対の円形マークを撮像し、画像処理して基準点及び原点を求めるには、基準マークとアラインメント用マークとのずれ量が或る程度、小さくなっている必要があり、そのためには、あらかじめ目視によって複数箇所のアラインメント用マークをガラススケールの基準マークに合わせるようにメタルマスクの大まかなアラインメントを行う必要があるが、その場合、4対の円形マークのみでは、その原点位置がどこにあるのか分かりにくく、このため、基準マークに合わせることが困難である。そこで、本発明では、アラインメント用マークとして、4対の円形マークに加えて、十字マークを設けており、十字マークはきわめて見やすいので、その十字マークをガラススケールの十字状の基準マークに合わせるように目視しながらメタルマスクのアラインメントを行うことで、容易にメタルマスクの大まかなアラインメントを行うことができ、その後、上記したように4対の円形マークを用いたアラインメントを行うことで、高精度のアラインメントを行うことができる。
【0013】
本発明の方法及び装置によれば、メタルマスクの4辺にテンションを加えた状態でその上面にガラススケールを近接して位置させ、メタルマスクの複数箇所に形成されているアラインメント用マークの十字マークと前記ガラススケールの基準マークとを目視で検査し、両者を合わせ込むようにメタルマスクに加えるテンションを調整することで、メタルマスクの大まかなアラインメントを行うことができ、次いで、メタルマスクの複数箇所のアラインメント用マークとガラススケールの基準マークの重なり合った領域を撮像し、画像処理することでメタルマスクのアラインメント用マークの4対の円形マークで定まる原点の座標と基準マークの基準点の座標を算出し、両者の差を計算することで、アラインメント用マークの原点と基準マークの基準点のずれ量を数値で表示することができ、このずれ量が小さくなるようにメタルマスクに付与するテンションを調整することで、メタルマスク内の複数箇所の位置を高精度で適正となる位置に合わせ、アラインメントを取ることができ、例えば、メタルマスクに複数のマスク部が形成されている場合において各マスク部の位置を高精度で所定の位置に位置決めすることができる。また、アラインメント用マークの原点と基準マークの基準点のずれ量を数値で表示することができるため、目標寸法に対して誤差を定量的に確認することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のメタルマスク位置アラインメント装置は、ゆがみやたるみのない平坦な状態に保持する必要がある任意のメタルマスクに対して使用可能であるが、特に精密さを要求される有機EL素子製造用の蒸着用多面付けマスクとして使用するメタルマスクに使用することが好ましい。以下、有機EL素子製造における蒸着用多面付けマスクとして使用するメタルマスクを例にとって本発明の好適な実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係るメタルマスク位置アラインメント装置(以下アラインメント装置と略称する)の主要部分の概略斜視図、図2、図3はそのアラインメント装置を異なる作動状態で示す概略断面図、図4はそのアラインメント装置に設けている複数のテンションユニット及びそれに保持されているメタルマスクを示す概略平面図、図5はテンションユニットの概略側面図、図6は本発明の実施の形態に係るメタルマスク及びそれを固定する枠状のフレームを示す概略斜視図、図7はフレームにメタルマスクを取り付けて形成した蒸着マスクユニットを示す概略斜視図である。
【0015】
図6において、1は蒸着マスクとして使用する直角四辺形状のメタルマスクであり、複数のマスク部2を縦横に並べて形成している。各マスク部2は、蒸着を許容する多数の微少な開口部を備えたものである。各マスク部2における開口部の形状、配列は任意であり、例えば、細長いスリット状の開口部を平行に並べたもの、スロット状の開口部を縦方向に並べると共に平行にも並べたもの等を挙げることができる。3はメタルマスク1を取り付けるための剛性の大きいフレームであり、メタルマスク1の多数のマスク部2を形成した領域(有効領域という)を包含する大きさの開口4を備えている。メタルマスク1は、フレーム3よりも縦横両方向ともに大きいサイズに作られており、フレーム3の外周縁にほぼ対応する位置に、折り曲げることで容易に切断可能な易切断線5を形成している。なお、易切断線5は、メタルマスク1をフレーム3に取り付ける工程においてメタルマスク1に加える引張力には耐え得る強度を備えたものである。更に、メタルマスク1には、複数のマスク部2を形成している有効領域の4隅の近傍にアラインメント用マーク6を形成している。このアラインメント用マーク6の詳細は後述する。メタルマスク1の厚さ、マスク部2の寸法、それに形成した多数の微少な開口部の寸法等は特に限定するものではないが、代表的なものとして、メタルマスク1の厚さは30〜200μm、マスク部2の寸法は長さが50〜70mm、幅が30〜50mm、開口部の幅が40〜100μm、平行に配列された開口部間の無孔部分の幅が80〜200μm等を例示できる。
【0016】
図1〜図4において、全体を参照符号10で示すアラインメント装置は、支持台11と、その支持台11に、上面12aが水平となるように保持されたX、Y、θステージ12と、そのX、Y、θステージ12の上面12aに、メタルマスク1の4辺の各々の複数箇所を把持してテンションを加えることができるように配置された複数のテンションユニット13を備えている。X、Y、θステージ12は、水平な上面12aを、水平面内で縦方向(X方向)、横方向(Y方向)に位置調整することができると共に中心の垂直な軸線を中心として回転方向(θ方向)にも位置調整することができるものである。
【0017】
各テンションユニット13は、図5に拡大して示すように、ベース部材15と、そのベース部材15に直動案内16を介して移動可能に保持されたクランプ17と、クランプ17を往復動させる駆動手段18等を備えている。ここで、駆動手段18にはエアシリンダが用いられているが、エアシリンダに代えて、油圧シリンダ、サーボモータ等を用いてもよい。クランプ17は、固定爪17aと、可動爪17bと、可動爪17bを固定爪17aに強く押し付けて両者の間にメタルマスク1を把持するよう可動爪17bを旋回させ且つ閉位置に保持するトグル機構及びエアシリンダ(共に図示せず)等を備えている。各テンションユニット13は、図4から良く分かるように、メタルマスク1の各辺をそれぞれ複数のテンションユニット13で把持してその辺に直角方向にテンションを加えることができるように配置されている。更に、メタルマスク1の各辺を把持するように配置されている複数のテンションユニット13のクランプ17は、メタルマスク1のマスク部2と非マスク部に合わせて配置されており、従って、メタルマスク1のマスク部2を形成した縦方向に延びる領域及び横方向に延びる領域と、マスク部の無い縦方向に延びる領域及び横方向に延びる領域とを、それぞれ別個のクランプ17で引っ張ってテンションを付与することが可能である。
【0018】
複数のテンションユニット13にそれぞれ設けられている駆動手段18には、メタルマスク1に付与するテンションを個々に調整できるよう、その駆動手段による駆動力を個々に調整する調整手段(図示せず)が設けられている。更に具体的には、駆動手段18を構成するエアシリンダにはエア供給配管が接続されており、そのエア供給配管に、各エアシリンダへの供給圧力を個々に調整可能なレギュレータが調整手段として設けられている。なお、全部のテンションユニット13の駆動手段(エアシリンダ)18を同時に作動させることができるよう、これらのエアシリンダに連結されているエア供給配管には共通の開閉弁を介してエアが供給されるようになっており、且つ各エアシリンダの作動タイミングを調整することができるよう各エアシリンダへのエア供給配管にスピードコントローラも設けられている。
【0019】
図2、図3、図5等において、テンションユニット13のベース部材15には、フレーム3を支持するフレーム支え20が設けられている。このフレーム支え20は、その上にフレーム3を乗せることで、フレーム3を水平面内の所定位置に位置決めすると共にフレーム3の上面が、クランプ17に把持されてテンションを付与されているメタルマスク1にほぼ接する位置となるように上下方向にも位置決めすることができるように配置されている。
【0020】
図1〜図4において、アラインメント装置10は更に、支持台11に固定されている側枠22に水平に移動可能に保持された移動台23と、その移動台23を、テンションユニット13に保持されているメタルマスク1の上方の所定位置と、メタルマスク1の上方を離れる待機位置とに往復動させる移動装置(図示せず)と、その移動台23に保持された基準位置指示装置24と、移動台23に保持された4個の撮像手段30と、その撮像手段30で得た撮像画像を画像処理し、且つ演算することで、アラインメント用マーク6の原点及び後述するガラススケールに形成した十字状の基準マークの基準点を求め、その原点と基準点とのずれ量を求める画像処理及び演算手段(図示せず)と、撮像画像並びに演算結果を表示する表示手段(図示せず)等を備えている。
【0021】
基準位置指示装置24は、メタルマスク1に形成しているアラインメント用マーク6の適正位置を示すためのもので、ガラススケール25と、そのガラススケール25を保持して昇降させるガラススケール保持移動装置27等を備えている。ガラススケール25は、図8(b)に示すように、ガラス板などの透明板の表面に多数の基準ライン28を縦横に一定ピッチ(例えば10mmピッチ)で格子状に形成し、縦横の基準ライン28が交差して形成する十字状の部分を位置決め用の基準マークとしたものであり、基準ライン28を形成した面がメタルマスク1に面する側となるように配置されている。基準ライン28の線幅は、特に限定するものではないが、5〜20μm程度に定められている。本実施の形態では、領域A、B、C、Dにある基準ライン28の十字状の部分がメタルマスク1に形成しているアラインメント用マーク6の基準位置を示す基準マークとして使用される。また、図10に示すように、交差する基準ライン28で形成される十字状の部分(基準マーク)の、各基準ライン28の中心線の交点Oが、基準マークの基準点として使用される。
【0022】
図8(a)に示すように、メタルマスク1には、多数のマスク部2を配置した有効領域の四隅近傍に、アラインメント用マーク6が形成されている。アラインメント用マーク6は、図9に拡大して示すように、ハーフエッチングで形成された十字マーク6jと、その十字マーク6jの4個の端部に向かい合った領域に形成された4対、計8個の円形マーク6a〜6hで形成されている。十字マーク6jは直交するように配置された2本の直線状マーク6ja、6jbで形成されている。なお、十字マーク6jは本来は、図12(a)に示す十字マーク56のように、直交する2本の長方形状のマークで形成されるものであるが、ハーフエッチング時にエッチング進行量が場所によって異なり、図9に示すように、コーナー部が湾曲形状となるとか、端部がマッチ棒状になるといった形状変化を生じているが、支障はない。十字マーク6jを形成する直線状マーク6ja、6jbの寸法としては、幅30〜50μm、長さ150〜300μm程度が好ましい。
【0023】
4対の円形マーク6a〜6hの各々は、十字マーク6jの直交する2本の中心線53、54のうち、対応する中心線を等距離で挟むように配置されている。すなわち、第一の対の円形マーク6a、6bは、図9で垂直方向に延びる中心線53を、十字マーク6jの上側で等距離ではさむように、すなわち各円形マーク6a、6bの重心から中心線53までの距離dが互いに等しくなるように(円形マーク6a、6bの中点C1 が中心線53上に位置するように)配置されており、第二の対の円形マーク6c、6dは、図9で水平方向に延びる中心線54を、十字マーク6jの左側で等距離ではさむように(円形マーク6c、6dの中点C2 が中心線54上に位置するように)配置されており、第三の対の円形マーク6e、6fは、図9で垂直方向に延びる中心線53を、十字マーク6jの下側で等距離ではさむように(円形マーク6e、6fの中点C3 が中心線53上に位置するように)配置されており、第四の対の円形マーク6g、6hは、図9で水平方向に延びる中心線54を、十字マーク6jの右側で等距離ではさむように(円形マーク6g、6hの中点C4 が中心線54上に位置するように)配置されている。4対の円形マーク6a〜6hをこのように配列したことで、4対の円形マーク6a〜6hから中心線53、54を特定し、その交点Pを特定することができるので、本発明ではこの交点Pを4対の円形マークからなるアラインメント用マーク6の位置を示す原点とする。
【0024】
ここで、アラインメント用マーク6に、4対の円形マーク6a〜6hを用い、且つ各対では円形マークを互いに離した位置に配置する構成としたのは次の理由による。第一には、メタルマスク位置アラインメントを行う際には、メタルマスク1とガラススケール25を重ね合わせ、アラインメント用マーク6と基準ライン28の十字状の部分(基準マーク)の重なった領域を撮像し、画像処理して位置を求めるが、その際、図11に示すように、得られた画像において、アラインメント用マーク6の円形マーク6a〜6hと、基準ライン28との重なりを回避し、それぞれを別個に抽出して画像処理することができるようにするためである。このように、アラインメント用マーク6の円形マーク6a〜6hを基準ライン28に重ならない状態として画像処理することができれば、中心線53、54及び原点Pを高精度で求めることができる。第二には、ハーフエッチングでマークを形成した際のマークの重心位置のずれを無くすためである。ハーフエッチングを行う場合、形状によっては、エッチングの進行速度の差などによって形状が変化することがあるが、円形マークでは、円形マークの直径に大小が生じることはあっても、円形は保たれている。このため、円形マークをハーフエッチングで形成した場合、各円形マークの重心位置にはずれが生じることはほとんどなく、高精度で所定の位置となっている。従って、4対の円形マーク6a〜6hを撮像した画像を処理して各円形マークの重心位置を求め、それを基準とすることで中心線53、54及び原点Pをきわめて高精度で求めることができる。
【0025】
図9において、アラインメント用マーク6に用いている円形マーク6a〜6hは、後述するようにCCDカメラで撮像し、画像処理して重心位置を求めることができるものであればよく、直径は20〜80μm程度が好ましい。各組の円形マーク間の間隔eは、ガラススケール25の基準ライン28が円形マークに重ならない状態で位置することができるように定めるものであり、基準ライン28の線幅の5〜20倍程度が好ましい。各対の円形マークと原点Pとの距離fは、各円形マークの直径の3〜20倍程度が好ましい。なお、図面の実施の形態では、各組の円形マークと原点Pの距離fを等しくしているが、これに限らず、異ならせても良い。
【0026】
メタルマスク1に形成されるアラインメント用マーク6の位置は、各アラインメント用マーク6の原点Pを、ガラススケール25の領域A、B、C、Dにある基準ライン28の十字状の部分(基準マーク)の基準点Oに合わせることで、メタルマスク1の面内位置をアラインメントすることができるように定められている。従って、メタルマスク1に加えるテンションを調整して、メタルマスク1の4箇所のアラインメント用マーク6の原点Pを、ガラススケール25の領域A、B、C、Dにある基準ライン28の十字状の部分の基準点Oに合わせることで、メタルマスク1をゆがみやたわみの無い状態に張り且つ各マスク部2を所定の位置に位置決めすることができる。ここで、アラインメント用マーク6の形成位置は、図8(a)に示すように、多数のマスク部2を形成している有効領域の4隅近傍とすることが、有効領域全体の伸び及び位置を高精度で適正に調整でき、且つ各マスク部2の位置も適正に調整できるので好ましいが、この位置に限定されるものではない。また、メタルマスク1に形成するアラインメント用マーク6の個数も適宜増減可能である。
【0027】
図1〜図3において、ガラススケール保持移動装置27は、ガラススケール25を、その下方に位置しているメタルマスク1に平行になるように保持し、そのガラススケール25をメタルマスク1の上方に離れた待機位置(図2に示す位置)とメタルマスク1の上面に近接した測定位置(図3に示す位置)に昇降させるためのものである。このガラススケール保持移動装置27は、移動台23に固定された支持板32と、その支持板32に設けられた直動軸受(図示せず)に垂直方向に即ちクランプ17で保持されたメタルマスク1に直角方向に移動可能に案内されたガイドロッド33と、その下端に固定された保持部材34と、その保持部材34をメタルマスク1に直角方向に往復動させる電動アクチュエータなどの往復駆動機構36等を備えており、その保持部材34をガラススケール25上面の中央領域に固定することでガラススケール25を保持している。
【0028】
上記したように、ガラススケール保持移動装置27はガラススケール25を、図2に示す待機位置と図3に示す測定位置とに往復移動させることができる。ここで、ガラススケール25を測定位置に降下させた時、そのガラススケール25がメタルマスク1に接触してトラブルを生じることがないよう、測定位置はガラススケール25がメタルマスク1に非接触な位置とするが、ガラススケール25の下面側に形成している基準ライン28とメタルマスク1のアラインメント用マーク6を同時に撮像手段30で撮像可能なように、極力近づけておく。測定位置に降下したガラススケール25とメタルマスク1の間隔としては、50〜200μm程度に設定することが好ましく、更には、50〜100μm程度に設定することが一層好ましい。
【0029】
撮像手段30は、ガラススケール25の基準ライン28とメタルマスク1のアラインメント用マーク6を同時に撮像可能なものであり、この実施の形態ではCCDカメラが用いられている。CCDカメラ30は、4箇所のアラインメント用マーク6及びそれに対応するガラススケール25の基準ライン28の十字状の部分(図8に示す領域A、B、C、Dの十字状の部分)を撮像することができる位置にそれぞれ設けられており、且つ、その焦点深度は、メタルマスク1のアラインメント用マーク6と測定位置にあるガラススケール25の基準ライン28を同時に撮像できるように定められている。
【0030】
撮像手段30に接続されている演算手段(図示せず)は、図11に示すように、撮像して得た画像から、アラインメント用マーク6の4対の円形マーク6a〜6hをドット抽出エリア58で抽出し、画像処理して、X−Y座標上における各円形マーク6a〜6hの重心位置Ga〜Ghを求め、対になった2個の重心位置Ga、Gbから中点C1 を、重心位置Gc、Gdから中点C2 を、重心位置Ge、Gfから中点C3 を、重心位置Gg、Ghから中点C4 を求め、中点C1 、C3 から中心線53を、中点C2 、C4 から中心線54を求め、両者の交点である原点Pの座標を求める機能、基準ライン28をエッジ抽出エリア59で抽出し、画像処理して、直交する基準ライン28、28それぞれの中心線及びその交点(基準マークの基準点)Oの座標を求める機能、及び、求めた原点P及び基準点Oの座標値から、原点Pの基準点Oに対するX方向、Y方向のずれ量(ΔX、ΔY)を、また、求めた中心線53、基準ライン28の中心線から、基準ライン28に対する中心線53の傾斜角Δθを求める機能、並びに、演算によって求めた結果を撮像画像と共に表示手段に表示する機能等を備えている。
【0031】
次に、上記構成のアラインメント装置10によるアラインメント動作を説明する。ガラススケール25を保持している移動台23がX、Y、θステージ12の上方を外れた待機位置にある状態で、複数のテンションユニット13のフレーム支え20にフレーム3を保持させ、次いで、その上にメタルマスク1を乗せ、その4辺を複数のテンションユニット13のクランプ17で把持させる。この状態が図4に示す状態である。この際、複数の位置決めピン(図示せず)を用いてフレーム3に対してメタルマスク1を位置決めしておく。次に、移動台23がX、Y、θステージ12の上方に移動してきて、所定位置に停止する(図2参照)。次に、各クランプ17に連結している駆動手段(エアシリンダ)18に加圧エアを送って各クランプ17を、メタルマスク1を引っ張る方向に移動させ、メタルマスク1に多数のクランプによって縦横両方向に小さいテンションを加え、メタルマスク1を張った状態とする。その後、位置決めピンを外してメタルマスク1に大きいテンションを支障なく加えることができるようにする。なお、メタルマスク1から位置決めピンを外しても、フレーム3に対するメタルマスク1の位置はあまり変動することはなく、メタルマスク1のフレーム3に対する所望の位置決め精度は保たれる。
【0032】
次に、図3に示すように、ガラススケール保持移動装置27がガラススケール25をメタルマスク1の上面に近接した測定位置に降下させ、その位置に停止させる。この状態で、まずメタルマスク1の複数箇所に設けているアラインメント用マーク6のうちの十字マーク6jと、ガラススケール25の基準ラインの十字状の部分(基準マーク)との重なり状態を目視しながらX、Y、θステージ12を調整してメタルマスク1の位置をX方向、Y方向、θ方向に移動させ、粗位置決めする。次いで、十字マーク6jの、基準ライン28の十字状の部分(基準マーク)に対するずれ量の目視検査して、メタルマスク1の全体的なゆがみやずれを確認し状態を把握する(図10参照)。その後、複数のテンションユニット13の駆動手段18の駆動力を個々に調整してメタルマスク1の必要な部位に必要なテンションを加え、各アラインメント用マーク6の十字マーク6jを、ガラススケール25の基準ライン28の十字状の部分(基準マーク)に合わせてゆく。そして、図11に示すように、十字マーク6jが概ね、ガラススケール25の基準ライン28の十字状の部分(基準マーク)に合った時点で目視によるアラインメント動作を終了する。ここで、十字マーク6jと基準ライン28の十字状の部分とのずれ量やずれている方向は目視により容易に判断できるので、メタルマスク1の全体的なゆがみやずれを容易に判断でき、このため、上記したテンション調整作業は容易に且つ短時間で行うことができる。
【0033】
次に、CCDカメラ30による撮像を行い、図11に示すような、得られた画像を表示装置に表示すると共にその画像を画像処理し且つ演算を行ってアラインメント用マーク6の中心線53、54及び原点Pを求め且つ基準ライン28の中心線及びその交点(基準点)Oを求め、更に、原点Pの基準点Oからのずれ量(ΔX、ΔY)、基準ライン28に対する中心線53の傾斜角Δθを求め、そのずれ量(ΔX、ΔY)及び傾斜角Δθを表示させる。また、その結果を確認しながら、複数のテンションユニット13の駆動手段18の駆動力を個々に調整してメタルマスク1に加えるテンションを調整し、ずれ量(ΔX、ΔY)及び傾斜角Δθを0に近づけてゆく。そして、全部のアラインメント用マーク6についてのずれ量(ΔX、ΔY)が所定の許容範囲内に入ると、メタルマスク1に形成されている複数のマスク部2がそれぞれ所定の位置に位置決めされたこととなる。また、メタルマスク1はゆがみやたるみのない平坦な状態で且つマスク部2の多数の開口部が平行に引き揃えられた状態となる。すなわち、メタルマスク位置アラインメントが完成する。
【0034】
その後は、メタルマスク1にテンションを加えた状態で、ガラススケール25を上方の待機位置に戻し、且つ移動台23もメタルマスク1の上方を外れた待機位置に戻し、メタルマスク1をフレーム3にレーザ等(図示せず)を用いてスポット溶接(図4の符号45参照)し、固定する。その後、メタルマスク1をクランプ17から外し、メタルマスク1の周縁部分を易切断線5を利用して除去する。以上により、図7に示すように、フレーム3にメタルマスク1を多数のスポット溶接部45で固定した構成の蒸着マスクユニット8が製造される。
【0035】
得られた蒸着マスクユニット8では、メタルマスク1がゆがみやたるみの無い状態で且つマスク部2の多数の開口部が正確に平行に揃った状態に保たれており、且つ各マスク部の位置も所定の寸法精度内に保たれている。かくして、この蒸着マスクユニット8を用いて蒸着を行うことにより、微細なパターンの蒸着を多面付けで正確に行うことができる。例えば、この蒸着マスクユニット8にガラス基板等の被蒸着基材を取り付け、蒸着機にセットし、有機EL素子の有機層又はカソード電極の蒸着を行うことで、微細なパターンの蒸着を位置精度良く行うことができ、高品質の有機層又はカソード電極を形成できる。
【0036】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲内で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、CCDカメラ30を4箇所のアラインメント用マーク6に対応して設けているが、これに限らず、1個或いは2個のCCDカメラ30を用い、そのCCDカメラ30を撮像すべき位置に移動させて用いる方法を採っても良い。ただし、図示の実施の形態のように、各アラインメント用マーク6に対応してCCDカメラ30を設けておくと、全部のアラインメント用マーク6を監視しながらテンション調整を行なうことができ、テンション調整を容易に且つ敏速に行なうことができる利点が得られる。
【0037】
更に、上記した実施の形態では、ガラススケール25に、基準マークとして多数の基準ライン28を格子状に形成しているが、ガラススケール25に設ける基準ライン28はこのように多数設ける必要はなく、図8(b)のA、B、C、Dの領域のみを通る基準ライン28を設けたものを用いても良く、更には、図8(b)のA、B、C、Dの領域のみに十字状のマークを形成して基準マークとしてもよい。なお、図示したガラススケール25のように、多数の基準ライン28を格子状に形成したものを用いると、種々なサイズのメタルマスクに対応できる利点が得れらる。
【0038】
更に、上記した実施の形態では、メタルマスク1の4箇所にアラインメント用マーク6を形成しているが、アラインメント用マークの形成箇所は適宜増減可能であり、例えば、メタルマスクの縦方向のみ、或いは横方向のみの位置決めで十分な場合には、縦方向に離れた2箇所のみ、或いは横方向に離れた2箇所のみにアラインメント用マークを形成するように変更してもよい。
【0039】
更に上記した実施の形態では、メタルマスク1とガラススケール25の粗位置決めを行なうために、メタルマスク1を支持するテンションユニット13をX、Y、θステージ12に保持させているが、この代わりに、ガラススケール25を備えた基準位置指示装置24をX、Y、θステージに保持させ、ガラススケール25の位置を調整するようにしてもよい。また、場合によっては粗位置決めを省略し、テンション調整のみでアラインメント用マークと基準ラインの位置合わせを行なうようにしてもよい。ただし、実施の形態で説明したように、粗位置合わせを行なっておくと、アラインメント用マークと基準ラインの位置合わせのためのテンション調整が容易となる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係るアラインメント装置の主要部分の概略斜視図
【図2】図1に示すアラインメント装置を、ガラススケールを上方の待機位置とした状態で示す概略断面図
【図3】図1に示すアラインメント装置を、ガラススケールをメタルマスク上面に近接した測定位置とした状態で示す概略断面図
【図4】図1に示すアラインメント装置に設けている複数のテンションユニット及びそれに保持されているメタルマスクを示す概略平面図
【図5】テンションユニットの概略側面図
【図6】本発明の実施の形態に係るメタルマスク及びそれを固定する枠状のフレームを示す概略斜視図
【図7】メタルマスクをフレームに固定して形成した蒸着マスクユニットの概略斜視図
【図8】(a)はメタルマスクの概略平面図、(b)はガラススケールの概略平面図
【図9】アラインメント用マークを拡大して示す概略平面図
【図10】アラインメント用マークと基準ラインの重なり部分を拡大して示す概略平面図
【図11】目視によるアラインメントを行った後のアラインメント用マークと基準ラインの重なり部分を拡大して示す概略平面図
【図12】(a)は十字状のアラインメント用マークを示す概略平面図、(b)は実際にハーフエッチングで形成したアラインメント用マークを示す概略平面図
【符号の説明】
【0041】
1 メタルマスク
2 マスク部
3 フレーム
4 開口
5 易切断線
6 アラインメント用マーク
6a、6b、6c、6d、6e、6f、6g、6h 円形マーク
6j 十字マーク
8 蒸着マスクユニット
10 アラインメント装置
11 支持台
12 X、Y、θステージ
13 テンションユニット
15 ベース部材
16 直動案内
17 クランプ
18 駆動手段(エアシリンダ)
20 フレーム支え
22 側枠
23 移動台
24 基準位置指示装置
25 ガラススケール
27 ガラススケール保持移動装置
28 基準ライン
30 撮像手段(CCDカメラ)
36 往復駆動機構
45 スポット溶接部
53、54 中心線
58 ドット抽出エリア
59 エッジ抽出エリア
O 基準マークの基準点
P 原点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数箇所にアラインメント用マークを備えたメタルマスクであって、前記アラインメント用マークの各々が、ハーフエッチングで形成された1個の十字マークとその十字マークの4個の先端に向かい合う領域に形成された4対の円形マークを備えており、4対の円形マークはそれぞれ、前記十字マークの直交する中心線のうち、対応する中心線を等距離で挟むように配置されていることを特徴とするメタルマスク。
【請求項2】
前記アラインメント用マークを、前記メタルマスクの有効領域の四隅近傍にそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1記載のメタルマスク。
【請求項3】
請求項1又は2記載のメタルマスクの4辺のそれぞれを、複数のクランプで把持し、各クランプによって前記メタルマスクにテンションを加える張り工程と、前記メタルマスクに付与している複数箇所のアラインメント用マークに対する基準位置を示す十字状の基準マークを有するガラススケールを前記メタルマスク上面に近接した計測位置に配置する工程と、前記メタルマスクの複数箇所に形成されているアラインメント用マークの十字マークと前記ガラススケールの基準マークとを目視で検査し、両者を合わせ込むように前記複数のクランプによるテンションを調整する第一テンション調整工程と、前記メタルマスクの複数箇所に形成されているアラインメント用マークの4対の円形マークと前記ガラススケールの基準マークとを撮像する工程と、撮像して得た画像を処理し、演算して、前記アラインメント用マークの十字マークの直交する中心線の交点である原点を求め、且つ前記十字状の基準マークの直交する中心線の交点である基準点を求め、前記原点と基準点とのずれ量を求める画像処理及び演算工程と、前記ずれ量が許容範囲内に入るように前記複数のクランプによるテンションを調整する第二テンション調整工程とを有するメタルマスク位置アラインメント方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載のメタルマスクの4辺の各々の複数箇所を把持してテンションを加えることができるように配置された複数のテンションユニットと、前記メタルマスクに付与している複数のアラインメント用マークに対する基準位置を示す十字状の基準マークを有するガラススケールと、該ガラススケールを保持し、前記複数のテンションユニットに保持されている前記メタルマスクの上方に離れた待機位置とメタルマスク上面に近接した計測位置とに昇降させるガラススケール保持移動装置と、前記メタルマスクの複数箇所に形成されているアラインメント用マークと前記ガラススケールの基準マークの重なり部分を撮像する撮像手段と、撮像して得た画像を処理し、演算して、前記アラインメント用マークの十字マークの直交する中心線の交点である原点を求め且つ前記十字状の基準マークの直交する中心線の交点である基準点を求め、前記原点と基準点とのずれ量を求める画像処理及び演算手段と、前記複数のテンションユニットが付与するテンションを個々に調整可能な調整手段とを有するメタルマスク位置アラインメント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−169716(P2007−169716A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369030(P2005−369030)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】