説明

メタン発酵システム

【課題】廃坑や廃油田などの地下空隙の新たな利用法として、地下空隙を利用して、メタン発酵を行うメタン発酵システムを提供すること。
【解決手段】廃坑や廃油田などの地下空隙部1に、炭素源及び水素源である有機性廃棄物を供給する有機性廃棄物供給設備2を有し、該有機性廃棄物供給設備2から、前記地下空隙部1に有機性廃棄物を供給し、前記地下空隙部1で生成するメタンガスを地上に回収する回収設備3を有することを特徴とするメタン発酵システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地下空隙の利用法に関し、詳しくは地下空隙を利用してメタン発酵を行い、メタンを回収するメタン発酵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃坑や廃油田などの地下空隙は、一部でCOなどの貯蔵処理に利用される動きがあるが、ほとんどは、貯蔵の際のコールベッドメタン回収のように一時的なメタン回収を除いて、利用されていないのが現状である。
【特許文献1】特開2004−323339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、廃坑や廃油田などの地下空隙の新たな利用法を提供するものであり、本発明の課題は、地下空隙において、メタン生成菌の代謝によってバイオガスを連続的に回収するメタン発酵システムを提供することにある。
【0004】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0006】
(請求項1)
廃坑や廃油田などの地下空隙部に炭素源及び水素源である有機性廃棄物を供給する有機性廃棄物供給設備を有し、該有機性廃棄物供給設備から前記地下空隙部に有機性廃棄物を供給し、生成するメタンガスを地上に回収する回収設備を有することを特徴とするメタン発酵システム。
【0007】
(請求項2)
前記有機性廃棄物供給設備は、有機性廃棄物を粉砕する粉砕機と、スラリーの含水率を調整する水分調整装置との前処理設備を備えることを特徴とする請求項1記載のメタン発酵システム。
【0008】
(請求項3)
前記地下空隙部から回収するメタン含有ガス中の可燃性ガス濃度又はCO濃度を計測して、該回収するガス量、有機性廃棄物供給量の少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項1又は2記載のメタン発酵システム。
【0009】
(請求項4)
前記地下空隙部に蓄積している液の性状をモニタリングして供給物を制御すると共にメタン発酵を制御するに際して、前記液のpHが5.5〜9.5の範囲となるように有機性廃棄物供給量を調整してメタン発酵を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のメタン発酵システム。
【0010】
(請求項5)
前記地下空隙部に蓄積している液の性状をモニタリングして供給物を制御すると共にメタン発酵を制御するに際して、前記液のpHが5.5〜9.5の範囲となるように有機性廃棄物供給量を調整し、酸化還元電位が水素電極電位基準で−500mVより卑となるように調整してメタン発酵を制御することを特徴とする請求項4記載のメタン発酵システム。
【0011】
(請求項6)
前記地下空隙部から回収するメタン含有ガスから凝縮水あるいはガスを吸収した液を生成し、該凝縮水あるいはガスを吸収した液の性状をモニタリングして有機性廃棄物供給量を制御すると共にメタン発酵を制御するに際して、前記凝縮水あるいはガスを吸収した液のpHが4.0以上になるように供給物の負荷量を調整し、メタン発酵を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のメタン発酵システム。
【0012】
(請求項7)
前記地下空隙部から回収するメタン含有ガスから凝縮水あるいはガスを吸収した液を生成し、該凝縮水あるいはガスを吸収した液の性状をモニタリングして有機性廃棄物供給量を制御すると共にメタン発酵を制御するに際して、前記凝縮水あるいはガスを吸収した液のpHが4.0以上になるようにアルカリ性物質を供給してメタン発酵を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のメタン発酵システム。
【0013】
(請求項8)
前記地下空隙部から回収するメタン含有ガスから凝縮水あるいはガスを吸収した液を生成し、該凝縮水あるいはガスを吸収した液の性状をモニタリングして有機性廃棄物供給量を制御すると共にメタン発酵を制御するに際して、前記凝縮水あるいはガスを吸収した液のpHが4.0以上になるように有機性廃棄物供給量を調整すると共にアルカリ性物質を供給してメタン発酵を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のメタン発酵システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、地下空隙を利用して、メタン発酵を行うメタン発酵システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、メタン発酵システムの一例を示す概略断面図である。
【0017】
図1において、1は地下に形成されている廃坑や廃油田などの地下空隙部であり、この地下空隙部1は、例えば石炭層11などに沿って層状に積層して形成されている。
【0018】
層状に形成されている地下空隙部1は、水を含浸している場合が多く、地下にあるため加圧状態である。
【0019】
2は前記地下空隙部1に有機性廃棄物を供給する有機性廃棄物供給設備であり、有機性廃棄物供給設備2は有機性廃棄物タンク20と、スネークポンプ21と、地下空隙部1への供給管22を備えており、供給管22を介して地下空隙部1に供給される。
【0020】
有機性廃棄物としては、例えば食品加工残渣(例えば魚くず、カマボコくず等の水産加工残渣;野菜くず;鳥唐揚げなどを含む食肉加工残渣;パンやラーメンくず;大豆やデンプンくずなど)、有機性汚泥(例えば下水処理汚泥やし尿処理汚泥など)、間伐材などの緑農廃棄物、畜産廃棄物(例えば牛、羊、山羊、ニワトリなどの家畜糞尿)などを挙げることができる。
【0021】
有機性廃棄物タンク20に供給される有機性廃棄物は、図示しない前処理設備によってスラリー状にしておくことが好ましい。
【0022】
前処理設備は、有機性廃棄物を粉砕する粉砕機と、スラリーの含水率を調整する水分調整装置を備え、ここで、スラリーは地下空隙部の状況に合わせて含水率が調整されるが、一般的な含水率としては、通常のバイオガスプラントと異なり、必ずしも十分な流動性を必要としないため、50%〜90%程度までの広い範囲で対応が可能で、好ましくは60%〜85%の範囲である。
【0023】
また、スラリーの粒径も、流動性の点で数cm〜数μmまで対応が可能であり、細粒化しておくことが発酵を速やかに進める上で好ましく、一般的には粒径として数mm〜数μmレベルである。
【0024】
本発明では、有機性廃棄物に加えて調整剤を投入することもできる。有機性廃棄物に含まれる有機性窒素は地下でアンモニアとなって数%程度の濃度になると、発酵阻害を引き起こす。このような発酵阻害は調整剤の投入によって沈殿系を作り、緩和することができる。かかる調整剤としては、マグネシウムを含有しているドロマイト系鉱物の粉末などが好ましい。沈積物は例えば重金属の硫化物、アンモニアを含有するマグネシウム塩などである。
【0025】
また硫黄分は高濃度になると発酵阻害を引き起こす場合があるが、酸化ストレス低減のためにあえて加えることもできる。
【0026】
有機性廃棄物のメタン発酵残渣である消化液は、地下空隙においては、加圧状態であるので、ポンプなどの手段を設ける必要がなく取り出すことができる。
【0027】
消化液の排出管は、新たに排出管として設置することもできるし、後述の地下供給物採取管40を消化液排出管として兼用することもできる。
【0028】
3は地下空隙部1内で生成したバイオガスを地上に回収する回収設備であり、図示の例では回収ホルダー30、回収管31を備え、この回収管31の一部に制御弁32とガス計測手段33を設けて、回収ガス量を制御しつつ、良好な組成(発熱量)のガスを回収することができる。
【0029】
ガス計測手段33としては、前記地下空隙部から回収するメタン含有ガス中の可燃性ガス濃度又はCO濃度を計測する手段が挙げられる。可燃ガス濃度は、半導体のガスセンサ、FID検知器やTCDなどの検出器を有するプロセスガスクロマトグラフなどにより測定でき、通常のガス検知方式によっても測定できる。COの濃度は、半導体のガスセンサ、TCDなどの検出器を有するプロセスガスクロマトグラフなどにより測定でき、通常のガス検知方式によっても測定できる。空隙部内のガスを地上部に抜き出し地上部に検出部分を設置することにより計測することが好ましい。
【0030】
4は前記地下空隙部1内に蓄積している液の性状をモニタリングするモニタリング装置であり、温度、pH、酸化還元電位などを測定する。
【0031】
本発明では、前記地下空隙部に蓄積している液の性状をモニタリングして有機性廃棄物供給量(以下、供給物と称する場合がある)を制御すると共にメタン発酵を制御する。
【0032】
モニタリング装置4では、地下供給物採取管40により採取した供給混合物あるいは発酵液などを採取し、前記液のpHが好ましくは5.5〜9.5の範囲となるように供給物の負荷量を調整してメタン発酵を制御する。かかる制御によって、メタン生成菌が活動し得るようになる。pHが6.5〜8.5の範囲になるように供給物の負荷量を制御することはより好ましいことである。
【0033】
また本発明では、モニタリング装置4で酸化還元電位を測定し、酸化還元電位が、水素電極電位基準で−500mVより卑(還元雰囲気)となるように調整してメタン発酵を制御することが好ましい。特に酸化還元電位はガスの発熱量を監視する上で重要である。
【0034】
酸化還元電位の計測手段としては、白金等貴金属類、炭素などを指示電極とし、対極として銀・塩化銀電極などを用いる通常の測定手段を採用できる。空隙部1内の液を地上部に抜き出して計測することが好ましい。
【0035】
更に、本発明では、前記地下空隙部1に蓄積している液の性状をモニタリングして供給物を制御すると共にメタン発酵を制御するに際して、液のpHが5.5〜9.5の範囲となるように供給物の負荷量を調整すると共に酸化還元電位が、水素電極電位基準で−500mVより卑(還元雰囲気)となるように調整してメタン発酵を制御することが好ましい。
【0036】
以上の態様では、地下空隙部1に蓄積している液の性状をモニタリングする手法であるが、これに代えて、地下空隙部1から回収するメタン含有ガスから生成する凝縮水あるいはガスを吸収した液をモニタリングする手法を採用することもできる。
【0037】
ここで、凝縮水とは、ガスから回収したもので、次の場合に得られるものをいう。地下空隙部1の温度が地表のバイオガス回収部の温度よりも高い場合、地表に回収されたバイオガスから凝縮水が分離される。この分離が加圧下で行われれば、CO2やH2Sは多くが凝縮水中に吸収される。この凝縮水中のプロピオン酸、酪酸等の揮発性有機酸量を測定することによって、メタン生成反応が起こっている地下空隙部の状態(負荷のレベル)を知り、投入物の制御を行うものである。
【0038】
具体的には、始めに、地下空隙部1から回収するメタン含有ガスから凝縮水あるいはガスを吸収した液を生成する。この生成手法は特に限定されない。
【0039】
次いで、凝縮水あるいはガスを吸収した液の性状を図示しないモニタリング装置でpHをモニタリングする。凝縮水あるいはガスを吸収した液のpHが4.0以上になるように供給物の負荷量を調整しメタン発酵を制御する。
【0040】
本発明では、凝縮水あるいはガスを吸収した液のpHが4.0以上になるように前記地下空隙部にアルカリ性物質を注入したり、あるいはアルカリ性物質の注入を調整すると共に供給物の負荷量を調整することも好ましい。
【0041】
添加するアルカリ性物質としては、炭酸ソーダなどのアルカリ金属塩、例えば消石灰などのアルカリ土類金属塩などの液、あるいは固形物が好ましい。
【0042】
凝縮水あるいはガスを吸収した液の性状をモニタリングする意義は以下のように考えられる。即ち、地下空隙部1内の液相の揮発性有機酸濃度が上昇すると、液相のpHは低下し、その結果として回収ガス中にも有機酸が含まれるようになる。このガスを吸収した液のpH値は二酸化炭素溶解で低下する値よりさらに低下し、pH4.0より小さくなる。このようなときは、空隙部内に有機物を供給する量を減らし空隙部内の負荷を減らすか、あるいは、pH値をアルカリ性物質により上げて有機酸の分圧を低下させるとメタン濃度の高いガスを得ることできる。
【0043】
次に、地下空隙部1内でのメタン発酵について説明する。
【0044】
地下空隙部1内は加圧状態にあり、例えば数MPa〜数十MPaの範囲まで加圧されている。また地熱によって数十〜100℃程度の範囲に加温される。更に有機性廃棄物のスラリーによって内部は嫌気状態にある。従って、メタン発酵の条件としては、加圧、地温及び嫌気性を利用できる環境にある。
【0045】
メタン発酵技術は、常圧(大気圧)で、30〜45℃の中温、あるいは50〜60℃の高温メタン発酵を行う技術が主流であるが、本発明者らは、高温・高圧の条件のほうが高カロリーのバイオガスを得られることを実験によって確かめている。
【0046】
加圧された状態でのメタン発酵は、地上では耐圧式のメタン発酵槽を設けなければおこなうことができないが、地下空隙を発酵槽として利用すれば、加圧状態でのメタン発酵が容易に実現可能である。
【0047】
加圧条件下では、発生するバイオガスに含まれる水溶性である、アンモニアや硫化水素、COはメタン発酵消化液(発酵液)に吸収される一方で、メタンガスはほとんど水に溶けないため、メタンの割合が高い気体が得られるようになり、バイオガスの精製効果、高カロリー化が実現するのである。
【0048】
また、高圧下では液側に吸収されたCOの一部は、COを基質としてメタン生成を行うメタン生成菌の作用により、メタンに変換される。
【0049】
さらに、地下空隙部1にはメタン発酵に必要な加水分解菌、酸発酵菌、メタン生成菌が元来棲息しており、有機性廃棄物が供給されると、メタン生成反応が生起する。
【0050】
すなわち、有機性廃棄物は、一般にタンパク質、デンプン、脂肪、繊維質(セルロース)などを含むが、これらの基質は加水分解菌、酸発酵菌などにより低分子化され、メタン生成菌によりメタンへと変換される。
【0051】
メタン発酵を促進し、良好に進めるために、pH、酸化還元電位の監視により供給物の量を制御する方法を採用することは好ましいことである。
【0052】
たとえば有機性廃棄物の供給量は任意でよいが、前述した空隙部内部のpHと酸化還元電位が所定値に収まるように供給していく必要がある。電位の貴側移行やpHの低下は過負荷の可能性があり、供給量を減少(供給速度を減速)させる必要がある。本発明のシステムでは、特に攪拌操作を必要としない。
【0053】
なお、システム立ち上げ時に、加水分解菌、酸発酵菌、メタン生成菌を外部供給してもよい。例えば搾乳牛消化液などのメタン生成菌を含有する液を供給することもできる。
【0054】
回収設備3のガスホルダー30に回収されたバイオガスは、少ないながらもCOが含まれるので、COを分離する分離手段5を介在させて、更にバイオガス精製を行って、メタン濃度の高いガスをエネルギー資源として利用可能である。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明の効果を例証する。
【0056】
実施例1(高圧下、55℃でのメタン発酵)
搾乳牛糞尿を地下空隙模擬試験機(圧力容器)中で、嫌気条件下、55℃に維持したところ、搾乳牛糞由来の汚泥が得られ、メタンの産生が確認された。
【0057】
圧力容器からの排気量を調節し、排出量を少なくすると、メタン発酵によるバイオガス生成により、自然発酵圧によって加圧され発酵槽内の圧力が1MPa程度になったが、メタン発酵は行われた。この汚泥は1MPa下でのメタン発酵が可能であった。なお、発酵槽内圧力はゲージ圧である。
【0058】
実施例2
実施例1の条件でさらに圧力を上げて、2MPaの圧力を加えたが、メタン発酵が可能であった。
【0059】
比較例1
実施例1の条件で、圧力は常圧(大気圧)にしてメタン発酵を行った。メタン発酵は行われたがガス発生量が圧力下に比べて少なかった。
【0060】
実施例3(高圧下、65℃でのメタン発酵)
搾乳牛糞尿を地下空隙模擬試験機(圧力容器)中で、嫌気条件下、65℃に維持したところ、搾乳牛糞由来の汚泥が得られ、メタンの産生が確認された。
【0061】
実施例1と同様にメタン発酵による自然発酵圧によって加圧され発酵槽内の圧力が1MPa程度になったがメタン発酵は行われた。この汚泥は1MPa下、65℃でのメタン発酵が可能であった。
【0062】
実施例4
実施例3の条件でさらに圧力を上げて、1.3MPaの圧力を加えたが、メタン発酵が可能であった。
【0063】
実施例5(高圧下、85℃でのメタン発酵)
搾乳牛糞尿を地下空隙模擬試験機(圧力容器)中で、嫌気条件下、85℃に維持したところ、搾乳牛糞由来の汚泥が得られ、メタンの産生が確認された。
【0064】
実施例1と同様にメタン発酵による自然発酵圧によって加圧され発酵槽内の圧力が1MPa程度になったがメタン発酵は行われた。この汚泥は1MPa下、85℃でのメタン発酵が可能であった。
【0065】
実施例6
実施例5の条件でさらに圧力を上げて、1.3MPaの圧力を加えたが、メタン発酵が可能であった。
【0066】
(評価)
上記実施例及び比較例におけるメタンガス発生量、VS利用率、バイオガス中のメタン濃度と硫化水素濃度を各々求め、表1に示した。なお、表1においてガス発生量はNTP換算値である。
【0067】
また、VS利用率と圧力の関係を図2に示す。ここで、VS利用率=(投入バイオマス中VS値―発酵残渣中VS値)/投入バイオマス中VS値で表わされる。
【0068】
図2から、この汚泥は圧力が上がるにつれてVS利用率が向上し、さらに高温でVS利用率が高いことが明らかになった。
【0069】
その結果は、表1からも明らかである。また、相乗効果として、圧力によってバイオガス中の二酸化炭素や硫化水素が発酵残渣(消化液)中に吸収されるためバイオガス中の割合が減り、メタン濃度の割合が高くなることが指摘できる。
【0070】
この汚泥は圧力下でメタン発酵能力が高くなり、高温条件ではさらに発酵能力が優れていることが明らかになった。
【0071】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のメタン発酵装置の一例を示す概略図
【図2】VS利用率と圧力の関係を示すグラフ
【符号の説明】
【0073】
1:地下空隙部
11:石炭層
2:有機性廃棄物供給設備
20:有機性廃棄物タンク
21:スネークポンプ
22:供給管
3:回収設備
30:回収ホルダー
31:回収管
32:制御弁
33:ガス計測手段
4:モニタリング装置
40:地下供給物採取管
5:分離手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃坑や廃油田などの地下空隙部に炭素源及び水素源である有機性廃棄物を供給する有機性廃棄物供給設備を有し、該有機性廃棄物供給設備から前記地下空隙部に有機性廃棄物を供給し、生成するメタンガスを地上に回収する回収設備を有することを特徴とするメタン発酵システム。
【請求項2】
前記有機性廃棄物供給設備は、有機性廃棄物を粉砕する粉砕機と、スラリーの含水率を調整する水分調整装置との前処理設備を備えることを特徴とする請求項1記載のメタン発酵システム。
【請求項3】
前記地下空隙部から回収するメタン含有ガス中の可燃性ガス濃度又はCO濃度を計測して、該回収するガス量、有機性廃棄物供給量の少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項1又は2記載のメタン発酵システム。
【請求項4】
前記地下空隙部に蓄積している液の性状をモニタリングして供給物を制御すると共にメタン発酵を制御するに際して、前記液のpHが5.5〜9.5の範囲となるように有機性廃棄物供給量を調整してメタン発酵を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のメタン発酵システム。
【請求項5】
前記地下空隙部に蓄積している液の性状をモニタリングして供給物を制御すると共にメタン発酵を制御するに際して、前記液のpHが5.5〜9.5の範囲となるように有機性廃棄物供給量を調整し、酸化還元電位が水素電極電位基準で−500mVより卑となるように調整してメタン発酵を制御することを特徴とする請求項4記載のメタン発酵システム。
【請求項6】
前記地下空隙部から回収するメタン含有ガスから凝縮水あるいはガスを吸収した液を生成し、該凝縮水あるいはガスを吸収した液の性状をモニタリングして有機性廃棄物供給量を制御すると共にメタン発酵を制御するに際して、前記凝縮水あるいはガスを吸収した液のpHが4.0以上になるように供給物の負荷量を調整し、メタン発酵を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のメタン発酵システム。
【請求項7】
前記地下空隙部から回収するメタン含有ガスから凝縮水あるいはガスを吸収した液を生成し、該凝縮水あるいはガスを吸収した液の性状をモニタリングして有機性廃棄物供給量を制御すると共にメタン発酵を制御するに際して、前記凝縮水あるいはガスを吸収した液のpHが4.0以上になるようにアルカリ性物質を供給してメタン発酵を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のメタン発酵システム。
【請求項8】
前記地下空隙部から回収するメタン含有ガスから凝縮水あるいはガスを吸収した液を生成し、該凝縮水あるいはガスを吸収した液の性状をモニタリングして有機性廃棄物供給量を制御すると共にメタン発酵を制御するに際して、前記凝縮水あるいはガスを吸収した液のpHが4.0以上になるように有機性廃棄物供給量を調整すると共にアルカリ性物質を供給してメタン発酵を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のメタン発酵システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−110711(P2010−110711A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286760(P2008−286760)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(504300088)国立大学法人帯広畜産大学 (96)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】