説明

メダル及び店舗特定方法

【課題】スロットマシンなどの遊技機に用いられ、利用されていた店舗の特定を容易に行うことができ、追跡可能性(トレーサビリティ)を向上することができるメダル、及びメダルを利用していた店舗を容易に特定することができる店舗特定方法を提供する。
【解決手段】円板体1の表面側に、遊技を提供する提供者の名称及びマーク等を印した刻印部2を形成し、裏面側に遊技の提供を行う都道府県を識別するための"都道府県番号"及び遊技の提供を行う店舗を識別するための"店舗番号"を印した刻印部3を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンなどの遊技機による遊技に用いられ、追跡可能性(トレーサビリティ)の高いメダルに関し、また、このメダルを用いて遊技を提供する店舗を特定する店舗特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットマシンなどの遊技機にて使用されるメダルには、表裏面に遊技を提供する店又は企業等の名称又はマーク等が刻印として形成してある。これらは、製造工程にてメダルのプレス加工を行う際に形成されるものであり、遊技を提供する店又は企業等の名称などが凹状又は凸状に形成される。メダルに形成される刻印は、遊技を提供する店又は企業等のPRなどを目的としている場合が多い。
【0003】
特許文献1においては、円環状の金属板内に円板状の樹脂板を設けるか、又は円板状の金属板の外周に円環状の樹脂板を設けるかし、樹脂板に店名又はキャラクターの図形等を印刷したメダルが提案されている。このメダルは、メダルの重量感を保持したままで、コンピュータチェック又は各店・各商品の差別化等を行うことができる自由且つ多彩なデザイン又は着色を施したメダルを提供することができる。
【0004】
一方、近年においては、製品の追跡可能性、所謂トレーサビリティが重視されている。トレーサビリティとは、製品の生産段階から流通・販売を経て廃棄段階まで、「いつ」「だれが」「どのように」この製品に対する処理を行ったかなどの履歴情報を追跡できることである。このような情報を追跡可能とすることにより、不具合が発生したときの原因探求及び犯罪の抑制等に効果がある。
【0005】
特許文献2においては、遊技メダルに店舗固有のID情報を付加し、スロットマシン又はメダル計数機のメダル投入口に連通したメダル導入路の途中に設置したID読取装置により遊技メダルのID情報を常時読み取り監視し、スロットマシン又はメダル計数機にLAN接続されたサーバに登録されたID情報と比較を行い、未登録のID情報の遊技メダルが検出された場合に不正が行われたと判断してカウンターに通知するパチスロ用遊技メダルの不正防止システムが提案されている。ID情報の付加は、IDタグチップを遊技メダルに固設するか、又はID情報を有したホログラム印刷板を遊技メダルに固設することにより行う。
【特許文献1】特開平5−49509号公報
【特許文献2】特開2004−89462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のメダルは、樹脂板に店名又はキャラクターの図形等を印刷するのみであるため、トレーサビリティにおける履歴情報の追跡には不十分である。特許文献2に記載のパチスロ用遊技メダルの不正防止システムは、遊技メダルの不正使用の監視を目的としたものであるため履歴情報の追跡には不十分であり、また、遊技メダルにIDタグチップ又はホログラム印刷板を固設する必要があるため、遊技メダル自体のコスト上昇及び遊技メダルの製造工程の複雑化による製造コストの上昇等を招来すると共に、遊技メダル同士の衝突によってIDタグチップ又はホログラム印刷板が破壊される虞があるという問題がある。
【0007】
よって、従来のメダルは、上述のようにメダルの履歴情報を容易に追跡できるものではない。特に、全国的に店舗を設置したチェーン店の場合には、メダルに印された店名又は企業名等のみからメダルがいずれの店舗で使用されていたものであるかを追跡することは不可能である。メダルの不法投棄の防止及び規格外のメダルを用いた不正遊技に対する監視等を実現するために、容易に且つ安価にメダルの履歴情報を追跡可能とすることが求められている。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、円板体の一面又は両面に形成された凹状又は凸状の刻印部に、遊技の提供を行う店舗を識別する識別子を印す構成とすることにより、利用されていた店舗の特定を容易に行うことができるメダルを提供することにある。
【0009】
また本発明の他の目的とするところは、円板体の一面又は両面に形成された凹状又は凸状の刻印部に、遊技の提供を行う店舗に係る識別子及び店舗の所在地に係る識別子を印す構成とすることにより、利用されていた店舗及びこの店舗の所在地の特定を容易に行うことができるメダルを提供することにある。
【0010】
また本発明の他の目的とするところは、都道府県又は市町村毎に付された地域番号を所在地に係る識別子として印した刻印部を形成する構成とすることにより、所在地の特定を容易に行うことができると共に、刻印部の形成を容易に行うことができるメダルを提供することにある。
【0011】
また本発明の他の目的とするところは、店舗毎に付された店舗番号を店舗に係る識別子として印した刻印部を形成する構成とすることにより、店舗の特定を容易に行うことができると共に、刻印部の形成を容易に行うことができるメダルを提供することにある。
【0012】
また本発明の他の目的とするところは、識別子を印した刻印部を円板体の一の面に形成する構成とすることにより、他の面に遊技を提供する提供者又は企業等の名称などを印すことができるメダルを提供することにある。
【0013】
また本発明の他の目的とするところは、店舗に係る識別子等を印した刻印部を円板体の一の面に形成した場合に、円板体の他の面には遊技の提供者に係る識別子を記した刻印部を形成する構成とすることにより、遊技の提供者の特定を容易に行うことができるメダルを提供することにある。
【0014】
また本発明の他の目的とするところは、遊技の提供者に係る識別子を刻印部に印す構成とすることにより、遊技の提供者の特定を容易に行うことができるメダルを提供することにある。
【0015】
また本発明の他の目的とするところは、メダルの刻印部に遊技を提供する提供者に係る識別子、遊技の提供を行う店舗毎に付された店舗番号、及びこの店舗が所在する都道府県又は市町村毎に付された地域番号を印しておくと共に、これらの識別子、店舗番号及び地域番号と提供者、店舗及び都道府県又は市町村との対応関係をコンピュータに記憶させておき、メダルの識別子、店舗番号及び地域番号を入力することでコンピュータにこのメダルを用いて遊技を提供していた店舗を特定させる構成とすることにより、店舗の特定を容易に行うことができる店舗特定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1発明に係るメダルは、遊技に用いられ、円板体の一面又は両面に凹状又は凸状の刻印部を備えるメダルにおいて、前記刻印部には、前記遊技の提供を行う店舗を識別する識別子が印してあることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、メダルの円板体の一面又は両面に、遊技の提供を行う店舗を識別する識別子が印された刻印部を形成する。これにより、メダルが不法投棄された場合又は不正使用された場合等に、刻印部に印された識別子を基にして、このメダルが利用されていた店舗を容易に特定することができる。
【0018】
また、第2発明に係るメダルは、遊技に用いられ、円板体の一面又は両面に凹状又は凸状の刻印部を備えるメダルにおいて、前記刻印部には、前記遊技の提供を行う店舗に係る識別子と、前記店舗の所在地に係る識別子とが印してあることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、メダルの円板体の一面又は両面に、遊技の提供を行う店舗に係る識別子と、この店舗の所在地に係る識別子とが印された刻印部を形成する。これにより、メダルが不法投棄された場合又は不正使用された場合等に、刻印部に印された識別子を基にして、このメダルが利用されていた地域及び店舗等の情報を容易に特定することができる。
【0020】
また、第3発明に係るメダルは、前記所在地に係る識別子が、都道府県又は市町村毎に付された地域番号であることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、店舗の所在地に係る識別子として、都道府県又は市町村毎に付された地域番号を刻印部に印す。都道府県名又は市町村名は漢字で構成される場合が多く、刻印部が不鮮明となる虞があるが、識別子を番号とすることにより、刻印部が不鮮明となることを防止でき、また、刻印部の形成を簡単に行うことができる。
【0022】
また、第4発明に係るメダルは、前記店舗に係る識別子が、店舗毎に付された店舗番号であることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、店舗に係る識別子として、店舗毎に付された店舗番号を刻印部に印す。漢字又は仮名文字等を含む店舗名などを刻印部に印す場合と比較して、識別子として番号を形成するのみでよいため、刻印部を簡単に形成することができる。また、複雑な形状の文字を刻印部として形成した場合には、刻印部が不鮮明となる虞があるが、これを防止できる。
【0024】
また、第5発明に係るメダルは、前記刻印部の前記識別子が、前記円板体の一の面に印してあることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、識別子を印した刻印部をメダルの円板体の一の面に形成する。円板体の両面に識別子を印した刻印部を形成する場合と比較して、刻印部を一の面のみとすることにより、他の面には任意の文字又は図形等を印すことができる。よって、提供者又は企業等の名称などをPR用に他の面に印すことができ、また、キャラクターなどの図形を他の面に印すことができる。
【0026】
また、第6発明に係るメダルは、前記円板体の他の面に、前記遊技の提供者に係る識別子を印した刻印部を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明においては、店舗に係る識別子等を印した刻印部を円板体の一の面に形成した場合に、円板体の他の面には遊技の提供者に係る識別子を記した刻印部を形成する。提供者に係る識別子として、提供者の名前若しくは名称、又は提供者を識別できる記号若しくは図形等を刻印部に印すことによって、遊技の提供者を確実に特定できると共に、刻印部を提供者のPRとして利用することができる。また、提供者に係る識別子を名前又は図形等で印し、他の識別子を番号で印した場合に、提供者に係る識別子を他の識別子と別の面に印すことによって、他の面の美観を損なうことがない。
【0028】
また、第7発明に係るメダルは、前記刻印部には、前記遊技の提供者に係る識別子が印してあることを特徴とする。
【0029】
本発明においては、刻印部に、遊技の提供者に係る識別子を更に印す。これにより、遊技の提供者を確実に特定できると共に、刻印部を提供者のPRとして利用することができる。
【0030】
また、第8発明に係る店舗特定方法は、円板体の一面又は両面に凹状又は凸状の刻印部を有するメダルを用いて遊技を提供する店舗を特定する店舗特定方法であって、前記メダルの刻印部に、前記遊技を提供する提供者に係る識別子、前記提供者が前記遊技の提供を行う店舗毎に付された店舗番号、及び前記店舗が所在する都道府県又は市町村毎に付された地域番号を印しておき、前記識別子、前記店舗番号及び前記地域番号と、前記提供者、前記店舗及び前記都道府県又は市町村との対応関係をコンピュータに記憶させておき、前記メダルの刻印部に印された前記識別子、前記店舗番号及び前記地域番号の入力をコンピュータに受け付けさせ、受け付けた前記識別子、前記店舗番号及び前記地域番号と前記対応関係とを基に、前記メダルを用いてパチンコ遊技を提供する店舗をコンピュータに特定させることを特徴とする。
【0031】
本発明においては、メダルの刻印部に遊技を提供する提供者に係る識別子、遊技の提供を行う店舗毎に付された店舗番号、及びこの店舗が所在する都道府県又は市町村毎に付された地域番号を印しておく。また、例えばメダルの製造会社などのコンピュータに、メダルの刻印部に印した識別子、店舗番号及び地域番号と提供者、店舗及び都道府県又は市町村との対応関係をデータベースとして記憶させておく。メダルについてこれを利用していた店舗を特定する場合には、刻印部に印された識別子、店舗番号及び地域番号をコンピュータに入力して特定させる。全国に多数存在する店舗を容易に且つ高速に特定することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
第1発明による場合は、メダルの円板体の一面又は両面に、遊技の提供を行う店舗を識別する識別子が印された刻印部を形成する構成とすることにより、刻印部の識別子を基にして、このメダルが利用されていた店舗を容易に特定することができるため、メダルの追跡が可能となる。よって、メダルに不具合などが発生した場合の原因探求を容易に行うことができ、また、メダルの不法投棄又は不正使用等の犯罪を抑制することができる。
【0033】
また、第2発明による場合は、メダルの円板体の一面又は両面に、遊技の提供を行う店舗に係る識別子と、この店舗の所在地に係る識別子とが印された刻印部を形成する構成とすることにより、刻印部の識別子を基にして、このメダルが利用されていた地域及び店舗等の情報を容易に特定することができるため、より確実にメダルの追跡が可能となる。よって、メダルに不具合などが発生した場合の原因探求を容易に行うことができ、また、メダルの不法投棄又は不正使用等の犯罪を抑制することができる。
【0034】
また、第3発明による場合は、店舗の所在地に係る識別子として、都道府県又は市町村毎に付された地域番号を刻印部に印す構成とすることにより、漢字で構成されることが多い都道府県名又は市町村名を刻印部に印す場合と比較して、番号を印すのみでよいため、刻印部の識別子が不鮮明となることを防止でき、刻印部の識別を容易に行うことができる。よって、遊技の提供を行う店舗の所在地を容易に且つ確実に特定できるため、より確実にメダルの追跡が可能となる。また、メダルの製造工程にて刻印部の形成を容易に行うことができるため、メダルの製造コストの増加を抑制できる。
【0035】
また、第4発明による場合は、店舗に係る識別子として、店舗毎に付された店舗番号を刻印部に印す構成とすることにより、漢字又は仮名文字等を含む店舗名などを刻印部に印す場合と比較して、番号を印すのみでよいため、刻印部の識別子が不鮮明となることを防止でき、刻印部の識別を容易に行うことができる。よって、遊技の提供を行う店舗を容易に且つ確実に特定できるため、より確実にメダルの追跡が可能となる。また、メダルの製造工程にて刻印部の形成を容易に行うことができるため、メダルの製造コストの増加を抑制できる。
【0036】
また、第5発明による場合は、識別子を印した刻印部をメダルの円板体の一の面に形成する構成とすることにより、他の面には任意の文字又は図形等を印すことができる。よって、PR用に提供者又は企業等の名称などを円板体の他の面に印すことができ、また、キャラクターなどの図形を円板体の他の面に印すことができるため、メダルの美観を高めることができる。
【0037】
また、第6発明による場合は、店舗に係る識別子等を印した刻印部を円板体の一の面に形成した場合に、円板体の他の面には遊技の提供者に係る識別子を記した刻印部を形成する構成とすることにより、遊技の提供者を確実に特定できるため、メダルの追跡が可能となる。また、提供者に係る識別子を名前又は図形等で記し、他の識別子を番号で印した場合に、提供者に係る識別子を他の識別子と別の面に印すことによって、他の面の美観を損なうことがなく、他の面の刻印部を提供者のPRとして利用することができる。
【0038】
また、第7発明による場合は、遊技の提供者に係る識別子を刻印部に更に印す構成とすることにより、刻印部の識別子を基にして、遊技の提供者を確実に特定できるため、より確実にメダルの追跡が可能となる。よって、メダルに不具合などが発生した場合の原因探求を容易に行うことができ、また、メダルの不法投棄又は不正使用等の犯罪を抑制することができる。
【0039】
また、第8発明による場合は、メダルの刻印部に遊技を提供する提供者に係る識別子、店舗毎に付された店舗番号、及び店舗が所在する都道府県又は市町村毎に付された地域番号を印しておくと共に、これらの識別子、店舗番号及び地域番号と提供者、店舗及び都道府県又は市町村との対応関係をコンピュータに記憶させておき、メダルの識別番号、店舗番号及び地域番号を入力することでコンピュータにこのメダルを用いて遊技を提供していた店舗を特定させる構成とすることにより、全国に多数存在する遊技を提供する店舗の特定を容易に且つ高速に行うことができるため、メダルに不具合などが発生した場合の原因探求を容易に行うことができ、また、メダルの不法投棄又は不正使用等の犯罪を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係るメダルの構成を示す模式図である。なお、図示のメダルは例えばスロットマシンを用いた遊技に使用されるものであり、(a)にはメダルの表面側を図示し、(b)にはメダルの裏面側を図示してある。
【0041】
図において1は、ステンレス又は真鍮等の金属材料から成形される円板体であり、円板体1の表面側には、表面の略中央に略星型の凸状の隆起部分を形成し、この隆起部分に「ナノテック」の文字が凹状に刻印された刻印部2が形成してある。刻印部2に印された文字は“店名”であり、例えばスロットマシンによる遊技を提供する提供者(会社又は企業等)の名称である。また、略星型の隆起部分は、例えば提供者を示すマークである。メダルの円板体1の表面側に、提供者を識別することができる名称及びマーク等を刻印部2として印すことにより、メダルの提供者を容易に特定することができる。
【0042】
円板体1の裏面側には、6桁の数字を刻印した刻印部3が形成してある。図示の例では「02・0003」の数字が刻印してあるが、刻印部3の6桁の数字は、上位2桁の数字と下位4桁の数字とに「・」の記号で区切られており、上位2桁の数字が”都道府県番号”であり、下位4桁の数字が”店舗番号”である。なお、”都道府県番号”は、日本の都道府県毎に付された2桁の番号である。また、”店舗番号”は、同一の提供者によって管理又は経営等がなされ、同一の都道府県内に存在する複数の遊技の提供店舗を識別するための4桁の番号である。”都道府県番号”及び”店舗番号”の詳細については後述する。また、「・」の記号は、”都道府県番号”及び”店舗番号”の区切りを明確にするためのものであり、他の記号であってもよく、省略してもよい。
【0043】
メダルを製造する場合には、まず、金属製の板体を略円形に打ち抜いてメダルの円板体1をなす無地の円板を形成し、次いで無地の円板にプレス加工を施すことにより、表裏面に凹凸状の模様を形成するようにしてある。刻印部2及び刻印部3はこのときのプレス加工により形成されるものである。ただし、刻印部2の提供者名及び刻印部3の”都道府県番号”並びに”店舗番号”等の円板体1に凹状に印される文字又は数字等については、プレス加工を行う工程の終了後に、刻印を形成する工程を別に設けて刻印を行ってもよい。
【0044】
プレス加工により円板体1の表面側に形成される刻印部2には、提供者の名称として任意の文字列を印すことができる。例えば、片仮名、平仮名、数字、アルファベット又は漢字等を任意に組み合わせた文字列を印すことができる。また、刻印部2には、提供者のマークのみでなく、他の記号又はキャラクターの図形等を、凸状又は凹状に形成することができる。なお、刻印部2に提供者の名称及びマークの両方を印すのではなく、いずれか一方のみを記す構成であってもよい。
【0045】
図2は、本発明に係るメダルの刻印部3に印される都道府県番号の一例を示す図表である。刻印部3に印される”都道府県番号”は2桁の番号であり、例えば東京は”01”に対応付けられ、大阪は”02”に対応付けられ、福岡は”03”に対応付けられている。このようにして、日本の47の都道府県について01〜47の番号がそれぞれ対応付けられている。図1に示す例では、刻印部3に”都道府県番号”として「02」が印されているため、このメダルは大阪に存在する店舗で利用されるものであると判断することができる。
【0046】
図3は、本発明に係るメダルの刻印部3に印される店舗番号の一例を示す図表である。刻印部3に印される”店舗番号”は4桁の番号であり、遊技の提供者及び”都道府県番号”の組み合わせ毎に、店舗に対する”店舗番号”の対応付けを行うようにしてある。図示の例では、遊技の提供者が「ナノテック」であり、”都道府県番号”が「02」である場合の”店舗番号”、即ち提供者のナノテックが”大阪”にて経営する店舗の”店舗番号”が一覧として示してある。例えば大阪の中央店は”0001”に対応付けられ、北店は”0002”に対応付けられ、西店は”0003”に対応付けられ、東店は”0004”に対応付けられている。このようにして、遊技の提供者が”大阪”にて経営する各店舗に対して店舗番号が付してある。図1に示す例では、刻印部3に”店舗番号”として「0003」が印されているため、このメダルは提供者のナノテックが”大阪”にて経営する”西店”で利用されるものであると判断することができる。
【0047】
刻印部3に印す番号の他の例を以下に示す。
(1) 02・0002
(2) 01・0001
(3) 03・0012
(1)は”大阪”の”北店”にて利用されるメダルに印される番号であり、(2)は”東京”の1番目の店舗にて利用されるメダルに印される番号であり、(3)は”福岡”の12番目の店舗にて利用される番号である。
【0048】
また、例えばメダルの製造会社においては、刻印部2、3に印された”都道府県番号”を基にメダルの納入先の都道府県を管理することができ、“店名”及び”店舗番号”を基にメダルの納入先の店舗を監視することができる。この場合、図2及び図3に示すような“店名”、“店舗番号”及び“都道府県番号”と遊技の提供者、店舗名及び都道府県名との対応関係をデータベースとしてコンピュータに予め記憶させておく。例えば、不具合が生じたメダル又は不正使用されたメダル等の刻印部2、3に印された“店名”、“店舗番号”及び“都道府県番号”を製造会社の管理者がコンピュータに入力することで、記憶したデータベースを基にコンピュータがこのメダルが用いられていた店舗を特定し、管理者へ特定結果を出力する。全国には遊技を提供する店舗が多数存在するが、このようにコンピュータに簡単なデータベースを記憶しておくのみでメダルを用いていた店舗の特定を行うことができる。更に、メダルを納入した年月日及び納入数等をコンピュータに記憶させておくことにより、メダルに関する情報をより詳細に管理することが可能となる。
【0049】
以上の構成のメダルにおいては、刻印部2、3に印された文字及び番号等を調べることによって、このメダルを利用して遊技を提供する店舗の特定を行うことができる。よって、例えば、他の店舗から持ち込まれて不正に使用されたメダル、又は規格外のメダル等を各店舗にて監視することができる。スロットマシン又はその他の遊技機に刻印部2、3の文字及び番号等を識別する機能を搭載して、これらのメダルを自動的に排除することも可能である。また、メダルが不法投棄された場合に店舗の特定を行うことができるため、これを抑止することができる。
【0050】
なお、本実施の形態においては、メダルの表面側の刻印部2に提供者の名称又はマーク等を印し、裏面側の刻印部3に”都道府県番号”及び”店舗番号”を印す構成としたが、これに限るものではなく、”都道府県番号”を表面側の刻印部2に印す構成、又は”店舗番号”を表面側の刻印部2に印す構成等の他の構成としてもよい。提供者の名称又はマーク等、”都道府県番号”及び”店舗番号”の全てを円板体1の同一面に記す構成としてもよい。
【0051】
また、メダルに提供者の名称又はマーク等、”都道府県番号”及び”店舗番号”を印す構成としたが、これに限るものではなく、例えば製造のロット番号を刻印するなど、更に他の識別子を刻印してもよい。また、一の都道府県にのみ店舗が存在する場合には”都道府県番号”を省略するなどの構成としてもよい。また、都道府県毎に番号を付すのではなく、市町村毎に番号を付してもよく、その他の地域別に番号を付してもよい。また、”都道府県番号”を2桁とし、”店舗番号”を4桁としたが、これに限るものではなく、何桁であってもよい。また、図1に示すメダルのデザインは一例であって、これに限るものではない。
【0052】
また、刻印部2の提供者の名称と、刻印部3の”都道府県番号”及び”店舗番号”とを円板体1に凹状に形成する構成としたが、これに限るものではなく、凸状に形成する構成としてもよい。また、メダルの刻印部2又は刻印部3に着色を施す構成としてもよく、この場合にはメダルの製造年月日又はロット番号等に応じて別の色を着色する構成とすることにより、メダルに更に多くの履歴情報を付与することができ、より確実にメダルの追跡が可能となる。また、本発明に係るメダルは、スロットマシンに用いられるメダルに限らず、他の遊技機に用いるメダルについても同様の構成を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るメダルの構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係るメダルの刻印部に印される都道府県番号の一例を示す図表である。
【図3】本発明に係るメダルの刻印部に印される店舗番号の一例を示す図表である。
【符号の説明】
【0054】
1 円板体
2、3 刻印部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に用いられ、円板体の一面又は両面に凹状又は凸状の刻印部を備えるメダルにおいて、
前記刻印部には、前記遊技の提供を行う店舗を識別する識別子が印してあること
を特徴とするメダル。
【請求項2】
遊技に用いられ、円板体の一面又は両面に凹状又は凸状の刻印部を備えるメダルにおいて、
前記刻印部には、
前記遊技の提供を行う店舗に係る識別子と、
前記店舗の所在地に係る識別子と
が印してあることを特徴とするメダル。
【請求項3】
前記所在地に係る識別子は、都道府県又は市町村毎に付された地域番号である請求項2に記載のメダル。
【請求項4】
前記店舗に係る識別子は、店舗毎に付された店舗番号である請求項2又は請求項3に記載のメダル。
【請求項5】
前記刻印部の前記識別子は、前記円板体の一の面に印してある請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のメダル。
【請求項6】
前記円板体の他の面に、前記遊技の提供者に係る識別子を印した刻印部を備える請求項5に記載のメダル。
【請求項7】
前記刻印部には、前記遊技の提供者に係る識別子が印してある請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のメダル。
【請求項8】
円板体の一面又は両面に凹状又は凸状の刻印部を有するメダルを用いて遊技を提供する店舗を特定する店舗特定方法であって、
前記メダルの刻印部に、前記遊技を提供する提供者に係る識別子、前記提供者が前記遊技の提供を行う店舗毎に付された店舗番号、及び前記店舗が所在する都道府県又は市町村毎に付された地域番号を印しておき、
前記識別子、前記店舗番号及び前記地域番号と、前記提供者、前記店舗及び前記都道府県又は市町村との対応関係をコンピュータに記憶させておき、
前記メダルの刻印部に印された前記識別子、前記店舗番号及び前記地域番号の入力をコンピュータに受け付けさせ、
受け付けた前記識別子、前記店舗番号及び前記地域番号と前記対応関係とを基に、前記メダルを用いてパチンコ遊技を提供する店舗をコンピュータに特定させること
を特徴とする店舗特定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−123372(P2008−123372A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308305(P2006−308305)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(391066205)株式会社光新星 (3)
【Fターム(参考)】