説明

メチオニンを含むインスリン製剤

本発明は、インスリン、インスリン類似体又はインスリン誘導体、及びメチオニンを含む水性医薬製剤、並びにその調製、糖尿病を治療するためのその使用、並びに糖尿病を治療するための薬剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン、インスリン類似体又はインスリン誘導体、及びメチオニンを含む水性医薬製剤;並びにまた、その調製、糖尿病を治療するための使用、並びに糖尿病を治療する薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病を患う人の数は、世界中で増えている。それらの多くはI型糖尿病患者と称するものであって、患者にとっては、内分泌性インスリン分泌不全の代替が、今のところ唯一可能な治療である。罹患した患者は、通常1日数回、死ぬまでインスリン注射に依存する。II型糖尿病は、インスリンの欠乏が、必ずしもあるわけではない点でI型糖尿病と対照的であるが、多くの場合、特に進行期には、必要に応じて、経口抗糖尿病薬と組み合わせたインスリンによる治療が、最も有益な治療形態と考えられる。
【0003】
健常人では、膵臓によるインスリンの放出は、血糖濃度と厳密に結びついている。食後に生じるような高められた血糖レベルは、インスリン分泌の対応する上昇によって急速に補われる。絶食状態では、血漿インスリンレベルは、インスリン感受性器官及び組織へのグルコースの連続的供給を確保するため、そして夜間の肝臓グルコース産生を低く保つために十分なベースライン値(base line value)まで低下している。外因性、通常、インスリンの皮下投与による内因性インスリン分泌の代替は、上記の血糖の生理学的調節の質に近付いていない。血糖が上方又は下方へ逸脱する場合がしばしばあり、そしてその最もひどい形では、これらの場合は致命的となりうる。しかしながら、さらに、初期症状なしに数年にわたって上昇した血糖値は、相当な健康リスクとなる。米国における大規模なDCCT研究(非特許文献1)は、慢性的に高い血糖値が後期糖尿病性合併症(late diabetic complications)を発症する原因となることを明白に示した。後期糖尿病性合併症は、網膜症、腎症又は神経障害として特定の状況で現れ、そして失明、腎不全、及び四肢の喪失に至り、そしてさらに心臓血管障害のリスク上昇に関連する微小血管及び大血管の損傷である。このことから推測することができるのは、糖尿病の改善された治療は、血糖をできるだけ生理学的範囲内の近くに保つことを主な目的にしなければならないということである。強化インスリン療法の概念によれば、これは、速効型及び遅効型インスリン製剤の1日数回の注射によって達成される。速効型処方物は、血糖の食後上昇を補うために食事時に与えられる。遅効型基礎インスリンは、低血糖にならないよう、特に夜間にインスリンの基礎供給を確保するためである。
【0004】
インスリンは、2つのアミノ酸鎖:21個のアミノ酸を有するA鎖及び30個のアミノ酸を有するB鎖に分けられる51個のアミノ酸からなるポリペプチドである。鎖は、2本のジスルフィド架橋によって結合している。インスリン製剤は、糖尿病治療において長年にわたって用いられてきた。このような製剤では、自然分泌インスリン(naturally occurring insulins)だけでなく、つい最近では、インスリン誘導体及びインスリン類似体も用いられている。
【0005】
インスリン類似体は、自然分泌インスリン、すなわち、ヒトインスリン又は動物インスリンの類似体であり、これは、本来存在する少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸で置換されている及び/又は少なくとも1つのアミノ酸残基が付加/欠失していることで、その他の点では同一の対応する自然分泌インスリンとは異なる。また、当該アミノ酸は、天然に存在しないアミノ酸であってもよい。
【0006】
インスリン誘導体は、化学修飾によって得られる、自然分泌インスリン又はインスリン類似体の誘導体である。化学修飾は、例えば、1つ又はそれ以上のアミノ酸への1つ又はそれ以上の定義された化学基の付加であってもよい。一般に、インスリン誘導体及びインスリン類似体の活性は、ヒトインスリンと比べていくらか変化している。
【0007】
作用開始が早められたインスリン類似体は、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載されている。特許文献1は、中でも、B27及びB28の置換に関する。特許文献3は、B29位においてグルタミン酸でなく異なるアミノ酸、好ましくはプロリンを有するインスリン類似体を記載している。特許文献2は、B28にリシン又はアルギニンを有するインスリン類似体を包含し、それはまた、B3及び/又はA21で場合により修飾されてもよい。
【0008】
特許文献4は、B3におけるアスパラギンの修飾及びA5、A15、A18又はA21位での少なくとも1つのさらなるアミノ酸の修飾によって化学修飾により保護されたインスリン類似体を記載している。
【0009】
一般に、インスリン誘導体及びインスリン類似体は、ヒトインスリンと比べていくらか変化した作用を有する。
【0010】
特許文献5は、B1〜B6位における少なくとも1つのアミノ酸がリシン又はアルギニンによって置換されたインスリン類似体を記載している。このようなインスリンは、特許文献5によれば、延長された効果を有する。また、遅延された効果は、特許文献6に記載されたインスリン類似体によって示されている。強化インスリン療法の概念は、基礎インスリンを早めに投与することで血糖値の安定な制御を目指すことによって健康に対するリスクを低下させることである。一般的な基礎インスリンの一例は、薬物ランタス(登録商標)(活性成分:インスリングラルギン=Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン)である。一般に、新しい改善された基礎インスリンの開発における目的は、低血糖事象の数を最小限にすることである。理想的な基礎インスリンは、少なくとも24時間、各患者において安全に作用する。理想的には、インスリン効果の開始が遅く、そしてかなり平らな時間/活性プロファイルを有し、それによって糖の短期的な供給不足のリスクを有意に最小限にし、そして食物が予め摂取されていなくても投与が可能である。基礎インスリンの供給は、インスリン活性ができるだけ長い間一貫して続く、すなわち、体に一定量のインスリンが供給されるときに有効である。その結果、低血糖事象のリスクは低くなり、そして患者に特有の及び日中に特有の(day-specific)変動性が最小限になる。そのため、理想的な基礎インスリンの薬物動態学的プロファイルは、遅延された作用開始及び遅延された作用、すなわち、長期持続性及び均一な作用を特徴としていなければならない。
【0011】
市場にあるインスリン置換のための自然分泌インスリンの製剤は、インスリンの由来(例えば、ウシ、ブタ、ヒトインスリン)、そしてまたそれらの組成において異なるため、活性プロファイル(作用開始及び時間)は影響を受けることがある。異なるインスリン製品の組み合わせを通して任意の非常に広く多様な活性プロファイルを得、非常に広い生理学的血糖値を用いることができる。今日では、組換えDNA技術により、この種の改質インスリンの製造が可能である。それには、延長された作用時間を有するインスリングラルギン(Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン)が含まれる。インスリングラルギンは、透明な酸性溶液の形態で注射され、そしてその溶解性に基づいて、皮下組織の生理学的pH範囲では安定な六量体会合体として沈殿する。インスリングラルギンは、1日1回注射され、そしてその平らな血清プロファイル、及びそれに伴う夜間低血糖のリスク低下のため他の長時間活性なインスリンと比較して注目すべきである(非特許文献2)。これまで記載された製剤と対照的に、作用時間が持続するインスリングラルギンの特定製剤は、酸性pHを有する透明溶液を特徴としている。しかしながら、インスリンは、特に酸性pHで安定性の低下、そして熱的及び物理的機械的負荷下で凝集傾向の増加を示し、そしてそれは混濁及び沈殿の形態(粒子形成)を呈することがある(非特許文献3)。
【0012】
このようなインスリン類似体では、インスリン類似体が、
・B鎖末端がリシン又はアルギニンアミドのようなアミド化された塩基性アミノ酸残基からなる、すなわち、B鎖末端のアミド化された塩基性アミノ酸残基において、末端アミノ酸のカルボキシル基がそのアミド化形態にあり、そして
・インスリンA鎖のN末端アミノ酸残基がリシン又はアルギニン残基であり、そして
・アミノ酸A8位がヒスチジン残基によって占有されており、そして
・アミノ酸A21位がグリシン残基によって占有されており、そして
・A5、A15、A18、B−1、B0、B1、B2、B3、及びB4位のそれぞれにおいて、酸性アミノ酸による中性アミノ酸の2つの置換、負に荷電されたアミノ酸残基の2つの付加、又は1つのこのような置換及び1つのこのような付加がある
という特性を特徴とするときに、記載された所望の基礎時間/活性プロファイルとなることが見出された。
【0013】
インスリン、インスリン類似体及びインスリン誘導体のすべて水性処方物に共通するのは、記載されたタンパク質が、化学的に完全に安定なわけではないが、その代わりに、処方物が影響を受ける時間、保存温度及び運動並びにさらに多くのものの関数として、処方物の品質にとって有害である、インスリン、インスリン類似体及びインスリン誘導体に影響を与えうるさまざまな分子過程がある。インスリン、インスリン類似体及びインスリン誘導体の化学安定性を損なう1つの物質は、酸素であり、当該処方物と酸素の接触は、特に複数回投与用のパック中の処方物の場合、空気中に酸素が存在するため不可避である。とりわけ、酸素の酸化的可能性が化学安定性に障害をもたらすと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】EP 0 214 826
【特許文献2】EP 0 375 437
【特許文献3】EP 0 678 522
【特許文献4】EP 0 419 504
【特許文献5】WO 92/00321
【特許文献6】EP−A 0 368 187
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】The Diabetes Control and Complications Trial Research Group (1993), N. Engl. J. Med. 329, 977-986
【非特許文献2】Schubert-Zsilavecz et al., 2:125-130 (2001)
【非特許文献3】Brange et al., J. Ph. Sci 86:517-525 (1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
さて、驚くべきことに、インスリン、インスリン類似体、及びインスリン誘導体の処方物にアミノ酸メチオニンを加えると、これらのタンパク質の一部において安定性が改善されることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明はインスリン、インスリン類似体若しくはインスリン誘導体、又はその薬理学的に許容しうる塩、及びメチオニンを含む水性医薬製剤を提供する。
【0018】
さらに、本発明は、インスリンがヒトインスリン、ブタインスリン及びウシインスリンを含む群から選ばれる、前記の医薬製剤を提供する。
【0019】
さらに、本発明は、インスリン類似体が、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン、Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン、Asp(B28)ヒトインスリン、Lys(B28)Pro(B29)ヒトインスリン、Des(B30)ヒトインスリン及び式Iのインスリン類似体を含む群から選ばれ、
【化1】

ここで、
A0は、Lys又はArgであり;
A5は、Asp、Gln又はGluであり;
A15は、Asp、Glu又はGlnであり;
A18は、Asp、Glu又はAsnであり;
B−1は、Asp、Glu又はアミノ基であり;
B0は、Asp、Glu又は化学結合であり;
B1は、Asp、Glu又はPheであり;
B2は、Asp、Glu又はValであり;
B3は、Asp、Glu又はAsnであり;
B4は、Asp、Glu又はGlnであり;
B29は、Lys又は化学結合であり;
B30は、Thr又は化学結合であり;
B31は、Arg、Lys又は化学結合であり;
B32は、Arg−アミド、Lys−アミド又はアミノ基であり、
ここで、A5、A15、A18、B−1、B0、B1、B2、B3、及びB4を含む群の2つのアミノ酸残基は、同時に、互いに独立して、Asp又はGluであり、特に、ここにおいて、インスリン類似体は、
【0020】
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Asp(A18),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Asp(A18),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Asp(A18),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Asp(A18),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Glu(A15),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Glu(A15),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Asp(B3),Glu(B4),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Asp(B3),Glu(B4),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Asp(B1),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Asp(B1),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Asp(B1),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Asp(B1),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Asp(B1),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Asp(B1),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B0),Asp(B1),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B0),Asp(B1),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B30),Arg(B31)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B30),Lys(B31)−NH2ヒトインスリン
を含む群から選ばれる、前記の医薬製剤を提供する。
【0021】
さらに、本発明は、インスリン類似体が式IIのインスリン類似体を含む群から選ばれ、
【化2】

ここで、
A−1は、Lys、Arg又はアミノ基であり;
A0は、Lys、Arg又は化学結合であり;
A1は、Arg又はGlyであり;
A5は、Asp、Glu又はGlnであり;
A15は、Asp、Glu又はGlnであり;
A18は、Asp、Glu又はAsnであり;
A21は、Ala、Ser、Thr又はGlyであり;
B−1は、Asp、Glu又はアミノ基であり;
B0は、Asp、Glu又は化学結合であり;
B1は、Asp、Glu、Phe又は化学結合であり;
B3は、Asp、Glu又はAsnであり;
B4は、Asp、Glu又はGlnであり;
B29は、Arg、Lys又はアミノ酸Phe、Ala、Thr、Ser、Val、Leu、Glu若しくはAspを含む群から選ばれるアミノ酸、又は化学結合であり;
B30は、Thr又は化学結合であり;
B31は、Arg、Lys又は化学結合であり;
B32は、Arg−アミド又はLys−アミドであり、
ここで、A5、A15、A18、B−1、B0、B1、B2、B3及びB4を含む群からの1つを超えないアミノ酸残基は、同時に、互いに独立して、Asp又はGluであり、特に、ここにおいて、インスリン類似体は、
【0022】
Arg(A−1),Arg(A0),Glu(A5),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),Glu(A5),His(A8),Gly(A21),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),Glu(A15),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),Glu(A15),His(A8),Gly(A21),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),Asp(A18),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),Asp(A18),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B0),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Asp(B3),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B4),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Glu(A5),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Glu(A5),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Asp(A18),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Asp(A18),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Glu(A15),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Glu(A15),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Arg(A1),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Arg(A1),His(A8),Gly(A21),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン
を含む群から選ばれる、前記の医薬製剤を提供する。
【0023】
さらに、本発明は、インスリン誘導体が、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−ミリストイルヒトインスリン、B29−N−パルミトイルヒトインスリン、B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン、B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン、B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン、B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン、B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B39)ヒトインスリン、B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンを含む群から選ばれる前記の医薬製剤を提供する。
【0024】
さらに、本発明は、
0.001〜0.2mg/mlの亜鉛、
0.1〜5.0mg/mlの保存剤、及び
5.0〜100mg/mlの等張化剤を含み、そして
5又はそれ未満のpHを有する
前記の医薬製剤を提供する。
【0025】
さらに、本発明は、フェノール、m−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、及びパラベンを含む群から選ばれる保存剤を含む前記の医薬製剤を提供する。
【0026】
さらに、本発明は、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、デキストロース、トレハロース、塩化ナトリウム、及びグリセリンを含む群から選ばれる等張化剤を含む前記の医薬製剤を提供する。
【0027】
さらに、本発明は、pH2.5〜4.5、好ましくはpH3.0〜4.0の範囲、より好ましくはpH3.75付近のpHを有する前記の医薬製剤を提供する。
【0028】
さらに、本発明は、インスリン、インスリン類似体及び/又はインスリン誘導体が240〜3000nmol/mlの濃度で存在する前記の医薬製剤を提供する。
【0029】
さらに、本発明は、20〜30mg/mlの濃度でグリセリンを含む前記の医薬製剤を提供する。
【0030】
さらに、本発明は、25mg/mlの濃度でグリセリンを含む前記の医薬製剤を提供する。
【0031】
さらに、本発明は、1〜3mg/ml、好ましくは2mg/mlの濃度でm−クレゾールを含む前記の医薬製剤を提供する。
【0032】
さらに、本発明は、0.01又は0.03又は0.08mg/mlの濃度で亜鉛を含む前記の医薬製剤を提供する。
【0033】
さらに、本発明は、グルカゴン様ペプチド−1(GLP1)若しくはその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3及び/若しくは−4、若しくはそれらの類似体、若しくは誘導体、好ましくはエキセンジン−4をさらに含む前記の医薬製剤を提供する。
【0034】
さらに、本発明は、エキセンジン−4の類似体が
H−desPro36−エキセンジン−4−Lys6−NH2
H−des(Pro36,37)−エキセンジン−4−Lys4−NH2及び
H−des(Pro36,37)−エキセンジン−4−Lys5−NH2
若しくはそれらの薬理学的に許容しうる塩を含む群から選ばれるか、又はエキセンジン−4の類似体が
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O225,Asp28]エキセンジン−2(1−39)、
desPro36[Trp(O225,IsoAsp28]エキセンジン−2(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)及び
desPro36[Met(O)14Trp(O225,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
又はそれらの薬理学的に許容しうる塩
を含む群から選ばれる前記の医薬製剤を提供する。
【0035】
さらに、本発明は、ペプチドLys6−NH2が、エキセンジン−4の類似体のC末端に結合している前記の医薬製剤を提供する。
【0036】
さらに、本発明は、エキセンジン−4の類似体が
H−(Lys)6−des Pro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
des Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−
4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36[Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−des Asp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O225]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O225、Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
des Met(O)14Asp28 Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−Asn−(Glu)5 −des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36[Met(O)14,Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
des Asp28 Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O225]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又はそれらの薬理学的に許容しうる塩
を含む群から選ばれる前記の医薬製剤を提供する。
【0037】
さらに、本発明は、Arg34,Lys26(Nε(γ−グルタミル(Nα−ヘキサデカノイル)))GLP−1(7−37)[リラグルチド]又はその薬理学的に許容しうる塩をさらに含む前記の医薬製剤を提供する。
【0038】
さらに、本発明は、10mg/mlまで、好ましくは3mg/mlまでの濃度範囲のメチオニンを含む前記の医薬製剤を提供する。
【0039】
さらに、本発明は、
(a)水溶液中に成分を導入する工程、及び
(b)pHを調整する工程
を含む、前記製剤を調製する方法を提供する。
【0040】
さらに、本発明は、糖尿病を治療するための製剤の使用を提供する。
【0041】
本発明は、製剤から構成される糖尿病を治療するための薬剤を提供する。
【0042】
以下、本明細書を多くの実施例に関して説明するが、それらは、なんら限定的な効果を有することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ラットにおける式Iの新たなインスリン類似体の血糖低下効果を示す図である。
【図2】イヌにおける式Iの新たなインスリン類似体の血糖低下効果を示す図である。
【図3】イヌにおけるYKL205の血糖低下効果を示す図である。
【図4】イヌにおけるYKL205の血糖低下効果の亜鉛依存性を示す図である。
【図5】ラットにおける本発明の式IIのインスリン類似体の血糖低下効果を示す図である。
【図6】ラットにおけるインスリングラルギンの血糖低下効果を示す図である。
【実施例】
【0044】
以下の実施例は、本発明の概念を説明することを意図しており、なんら効果を限定するものではない。
【0045】
実施例1:窒素、酸素を用いた溶液の調剤及び標準条件下での調剤における研究
約25%の0.1M HClを入れ、そして0.2%のポリソルベート20保存溶液を加えることによって溶液を調製した。続いて、SAR161271及び塩化亜鉛保存溶液を加え、そして撹拌した。pH2のpHで1M HClを加えてSAR161271を溶解した。溶液を撹拌し、次いで1M NaOHを加えてpHをpH4.0に調整した。注射グレードの水を用いてバッチサイズの90%まで満たした。この溶液に、撹拌しながら、連続的にグリセリン85%及びm−クレゾールを加えた。注射グレードの水を用いて所望の最終質量にした。シリンジ上のフィルターアタッチメントを用いて溶液を濾過した。バッチを、ガス未処理(参照として)、窒素ガス処理及び酸素ガス処理(陽性対照として)の3つに分けた。ガス処理は、当該ガスのブランケットによって行った。
【0046】
未処理
SAR161271の量
1M+5℃:3.67mg/ml
1M+25℃:3.46mg/ml
1M+37℃:3.41mg/ml
不純物
1M+5℃:3.0%
1M+25℃:3.6%
1M+37℃:5.6%
高分子量タンパク質
1M+5℃:0.2%
1M+25℃:0.3%
1M+37℃:1.4%
【0047】
窒素処理
SAR161271の量
1M+5℃:3.73mg/ml
1M+25℃:3.50mg/ml
1M+37℃:3.35mg/ml
不純物
1M+5℃:3.1%
1M+25℃:3.5%
1M+37℃:5.2%
高分子量タンパク質
1M+5℃:0.2%
1M+25℃:0.3%
1M+37℃:1.2%
【0048】
酸素処理
SAR161271の量
1M+5℃:3.54mg/ml
1M+25℃:3.34mg/ml
1M+37℃:3.26mg/ml
不純物
1M+5℃:3.2%
1M+25℃:3.9%
1M+37℃:7.2%
高分子量タンパク質
1M+5℃:0.2%
1M+25℃:0.5%
1M+37℃:2.9%
【0049】
窒素を用いた調剤の場合、未処理サンプルと比較して1ヵ月後に不純物における明瞭な低下がなかった。酸素を用いた調剤の場合、わずかにより高い不純物及び高分子量タンパク質が明らかに見られた。これらの結果に基づいて、標準条件下での調剤を選択した。
【0050】
実施例2:3種の異なる抗酸化剤を用いた安定性の研究
実施例1に記載したように溶液を調製した。さらに、酸化的副生成物のレベルを低下させるために、グリセリン85%とm−クレゾールの添加の間に、抗酸化剤−メチオニン又はグルタチオン又はアスコルビン酸を処方物に加えた。グルタチオン(0.183mg/ml)又はアスコルビン酸(0.105mg/ml)を含む処方物は、ちょうど3ヵ月保存後に明瞭な変色を示した。メチオニン(0.089mg/ml)を含む処方物は、全く変色を示さず、そして5℃で1ヵ月保存後、安定であった。
【0051】
SAR161271の量
1M+5℃:3.43mg/ml
1M+25℃:3.43mg/ml
1M+37℃:3.53mg/ml
不純物
1M+5℃:2.9%
1M+25℃:3.4%
1M+37℃:5.7%
高分子量タンパク質
1M+5℃:0.2%
1M+25℃:0.3%
1M+37℃:1.1%
【0052】
実施例3:アミド化インスリン誘導体の処方物
実施例3〜7は、式Iのインスリン類似体の生物学的、薬理学的、及び物理化学的性質の測定にのみ役立ち、最初にその処方物の供給(実施例3)、次いで対応する試験の実施(実施例4〜7)が含まれる。化合物を含む溶液は、以下のように調製した:本発明のインスリン類似体を80μg/ml亜鉛(塩化亜鉛として)入りの1mM塩酸中240±5Mの目標濃度で溶解した。
【0053】
溶解媒体として用いた組成物は、以下の通りであった:
a)1mM塩酸
b)1mM塩酸、5μg/ml亜鉛(塩化亜鉛又は塩酸として加えた)
c)1mM塩酸、10μg/ml亜鉛(塩化亜鉛又は塩酸として加えた)
d)1mM塩酸、15μg/ml亜鉛(塩化亜鉛又は塩酸として加えた)
e)1mM塩酸、30μg/ml亜鉛(塩化亜鉛又は塩酸として加えた)
f)1mM塩酸、80μg/ml亜鉛(塩化亜鉛又は塩酸として加えた)
g)1mM塩酸、120μg/ml亜鉛(塩化亜鉛又は塩酸として加えた)
【0054】
この目的のため、分子量及び目標濃度に基づいて必要な量より約30%多い量の凍結乾燥物質を最初に計量した。その後、既存濃度を分析HPLCによって測定し、次いで、80μg/ml亜鉛入り5mM塩酸を用いて溶液を目標濃度の達成に必要な体積にした。必要に応じて、pHを3.5±0.1に再調整した。HPLCによる最終分析により240±5Mの目標濃度を確認した後、完成した溶液を、0.2μmフィルターアタッチメントを有するシリンジを用いて滅菌バイアル中に移し、これを隔壁及びクリンプキャップで閉じた。本発明のインスリン誘導体の短期の単一試験では、例えば等張化剤、保存剤又は緩衝物質の添加に関して処方物の最適化を行わなかった。
【0055】
実施例4:ラットにおける新たなインスリン類似体の血糖低下作用の評価
選ばれた新たなインスリン類似体の血糖低下効果を健康な雄血糖正常ウィスターラットにおいて試験した。雄ラットに用量9nmol/kgのインスリン類似体の皮下注射を行った。インスリン類似体の注射直前、そして注射後8時間までの間に一定間隔で血液サンプルを動物から採取し、そしてそれらの血糖含量を測定した。実験は、本発明のインスリン類似体が作用開始を有意に遅らせ、そして作用時間をより長く均一にすることを明らかに示している(図1参照)。
【0056】
実施例5:イヌにおける新たなインスリン類似体の血糖低下作用の評価
選ばれた新たなインスリン類似体の血糖低下効果を健康な雄血糖正常ビーグルにおいて試験した。雄の動物に用量6nmol/kgのインスリン類似体の皮下注射を行った。インスリン類似体の注射直前、及び注射後48時間までの間に一定間隔で、血液サンプルを動物から採取し、そしてそれらの血糖含量を測定した。実験は、使用した本発明のインスリン類似体が作用開始を有意に遅らせ、そして作用時間をより長く均一にすることを明らかに示している(図2参照)。
【0057】
実施例6:2倍増加した用量でのイヌにおける血糖低下作用の評価
選ばれた新たなインスリン類似体の血糖低下効果を健康な雄血糖正常ビーグルにおいて試験した。雄の動物に用量6nmol/kg及び12nmol/kgのインスリン類似体の皮下注射を行った。インスリン類似体の注射直前、及び注射後48時間までの間に一定間隔で、血液サンプルを動物から採取し、そしてそれらの血糖含量を測定した。実験は、使用した本発明のインスリン類似体が、用量依存的効果を有するが、用量を2倍増やしたにもかかわらず、効果プロファイルは平らであり、すなわち、顕著に低い点(最下点)が観察されなかったことを明らかに示している(図3参照)。このことから、本発明のインスリンは、知られているインスリンの遅延と比較して、低血糖事象が有意に少なくなることが推測されうる。
【0058】
実施例7:処方物中の異なる亜鉛濃度でのイヌにおける血糖低下効果の評価
実施例35に記載されたように実験を実施した。図4は結果を示す。それによれば、本発明のインスリン類似体の時間/活性曲線は、同濃度のインスリンを有する処方物において亜鉛イオンの量を通して影響を及ぼすことができ、このようなやり方では、0又は低い亜鉛含量では迅速な作用開始が観察され、そして作用が24時間にわたって持続するのに対して、より高い亜鉛量では、平らな作用開始が観察され、そしてインスリン効果が24時間よりかなり長く持続する。
【0059】
実施例8:アミド化インスリン誘導体の処方物
実施例8〜10は、式IIのインスリン類似体の生物学的、薬理学的及び物理化学的性質の測定にのみ役立ち、最初にその処方物の供給(実施例8)、次いで対応する試験の実施(実施例9及び10)が含まれる。本発明のインスリン類似体を、80μg/ml亜鉛(塩化亜鉛として)入りの1mM塩酸中240±5Mの目標濃度で溶解した。この目的のため、分子量及び目標濃度に基づいて必要な量より約30%多い量の凍結乾燥物質を最初に計量した。その後、既存濃度を分析HPLCによって測定し、次いで、80μg/ml亜鉛入りの5mM塩酸を用いて溶液を目標濃度の達成に必要な体積にした。必要に応じて、pHを3.5±0.1に再調整した。HPLCによる最終分析により240±5Mの目標濃度を確認した後、完成した溶液を、0.2μmフィルターアタッチメントを有するシリンジを用いて滅菌バイアル中に移し、これを隔壁及びクリンプキャップで閉じた。本発明のインスリン誘導体の短期の単一試験では、例えば等張化剤、保存剤又は緩衝物質の添加に関して処方物の最適化を行わなかった。
【0060】
実施例9:ラットにおける新たなインスリン類似体の血糖低下作用の評価
選ばれた新たなインスリン類似体の血糖低下効果を、健康な雄血糖正常ウィスターラットにおいて試験した。雄ラットに用量9nmol/kgのインスリン類似体の皮下注射を行った。インスリン類似体の注射直前、そして注射後8時間までの間に一定間隔で血液サンプルを動物から採取し、そしてそれらの血糖含量を測定した。実験は、本発明のインスリン類似体が作用開始を有意に遅らせ、そして作用時間をより長く均一にすることを明らかに示している(図5参照)
【0061】
実施例10:イヌにおける新たなインスリン類似体の血糖低下作用の評価
選ばれた新たなインスリン類似体の血糖低下効果を、健康な雄血糖正常ビーグルにおいて試験した。雄の動物に用量6nmol/kgのインスリン類似体の皮下注射を行った。
インスリン類似体の注射直前、及び注射後48時間までの間に一定間隔で、血液サンプルを動物から採取し、そしてそれらの血糖含量を測定した。実験は、本発明のインスリン類似体が平らな作用開始を有意に遅らせ、そして作用時間をより長く均一にすることを明らかに示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリン、インスリン類似体若しくはインスリン誘導体、又はその薬理学的に許容しうる塩、及びメチオニンを含む水性医薬製剤。
【請求項2】
インスリンが、ヒトインスリン、ブタインスリン及びウシインスリンを含む群から選ばれる、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
インスリン類似体が、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン、Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン、Asp(B28)ヒトインスリン、Lys(B28)Pro(B29)ヒトインスリン、Des(B30)ヒトインスリン及び式I
【化1】

(式中、
A0は、Lys又はArgであり;
A5は、Asp、Gln又はGluであり;
A15は、Asp、Glu又はGlnであり;
A18は、Asp、Glu又はAsnであり;
B−1は、Asp、Glu又はアミノ基であり;
B0は、Asp、Glu又は化学結合であり;
B1は、Asp、Glu又はPheであり;
B2は、Asp、Glu又はValであり;
B3は、Asp、Glu又はAsnであり;
B4は、Asp、Glu又はGlnであり;
B29は、Lys又は化学結合であり;
B30は、Thr又は化学結合であり;
B31は、Arg、Lys又は化学結合であり;
B32は、Arg−アミド、Lys−アミド又はアミノ基であり、
ここで、A5、A15、A18、B−1、B0、B1、B2、B3、及びB4を含む群の2つのアミノ酸残基は、同時に、互いに独立して、Asp又はGluである)
のインスリン類似体を含む群から選ばれる、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項4】
インスリン類似体が、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Asp(A18),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Asp(A18),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Asp(A18),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Asp(A18),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Glu(A15),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Glu(A15),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Asp(B3),Glu(B4),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Asp(B3),Glu(B4),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Asp(B1),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A5),Gly(A21),Asp(B1),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Asp(B1),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Glu(A15),Gly(A21),Asp(B1),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Asp(B1),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Asp(B1),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B0),Asp(B1),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B0),Asp(B1),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B30),Arg(B31)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Asp(A18),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B30),Lys(B31)−NH2ヒトインスリン
を含む群から選ばれる、請求項3に記載の医薬製剤。
【請求項5】
インスリン類似体が、式II
【化2】

(式中、
A−1は、Lys、Arg又はアミノ基であり;
A0は、Lys、Arg又は化学結合であり;
A1は、Arg又はGlyであり;
A5は、Asp、Glu又はGlnであり;
A15は、Asp、Glu又はGlnであり;
A18は、Asp、Glu又はAsnであり;
A21は、Ala、Ser、Thr又はGlyであり;
B−1は、Asp、Glu又はアミノ基であり;
B0は、Asp、Glu又は化学結合であり;
B1は、Asp、Glu、Phe又は化学結合であり;
B3は、Asp、Glu又はAsnであり;
B4は、Asp、Glu又はGlnであり;
B29は、Arg、Lys又はアミノ酸Phe、Ala、Thr、Ser、Val、Leu、Glu若しくはAspを含む群から選ばれるアミノ酸、又は化学結合であり;
B30は、Thr又は化学結合であり;
B31は、Arg、Lys又は化学結合であり;
B32は、Arg−アミド又はLys−アミドであり、
ここで、A5、A15、A18、B−1、B0、B1、B2、B3及びB4を含む群からの1つを超えないアミノ酸残基は、同時に、互いに独立して、Asp又はGluである)
のインスリン類似体を含む群から選ばれる、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項6】
インスリン類似体が、
Arg(A−1),Arg(A0),Glu(A5),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),Glu(A5),His(A8),Gly(A21),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),Glu(A15),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),Glu(A15),His(A8),Gly(A21),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),Asp(A18),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),Asp(A18),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B0),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Asp(B3),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B4),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Glu(A5),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Glu(A5),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Asp(A18),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Asp(A18),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Glu(A15),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Glu(A15),His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Asp(B3),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B4),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Glu(B0),Arg(B31),Lys(B32)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A−1),Arg(A0),His(A8),Gly(A21),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Arg(A1),His(A8),Gly(A21),Arg(B30)−NH2ヒトインスリン、
Arg(A0),Arg(A1),His(A8),Gly(A21),Lys(B30)−NH2ヒトインスリン、
His(A8),Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)−NH2ヒトインスリン
を含む群から選ばれる、請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項7】
インスリン誘導体が、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−ミリストイルヒトインスリン、B29−N−パルミトイルヒトインスリン、B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン、B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン、B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン、B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン、B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B39)ヒトインスリン、B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンを含む群から選ばれる、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項8】
0.001〜0.2mg/mlの亜鉛、
0.1〜5.0mg/mlの保存剤、及び
5.0〜100mg/mlの等張化剤を含んでなり、そして
5又はそれ未満のpHを有する
請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項9】
フェノール、m−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、及びパラベンを含む群から選ばれる保存剤を含んでなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
マンニトール、ソルビトール、ラクトース、デキストロース、トレハロース、塩化ナトリウム、及びグリセリンを含む群から選ばれる等張化剤を含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
pH2.5〜4.5の範囲のpHを有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
pH3.0〜4.0の範囲のpHを有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
pH3.75付近のpHを有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
インスリン、インスリン類似体及び/又はインスリン誘導体が、240〜3000nmol/mlの濃度で存在する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項15】
20〜30mg/mlの濃度でグリセリンを含んでなる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項16】
25mg/mlの濃度でグリセリンを含んでなる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項17】
1〜3mg/mlの濃度でm−クレゾールを含んでなる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項18】
2mg/mlの濃度でm−クレゾールを含んでなる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項19】
0.01又は0.03又は0.08mg/mlの濃度で亜鉛を含んでなる、請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項20】
グルカゴン様ペプチド−1(GLP1)若しくはその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3及び/若しくは−4、若しくはそれらの類似体、若しくは誘導体をさらに含んでなる、請求項1〜19のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項21】
エキセンジン−4をさらに含んでなる、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項22】
エキセンジン−4の類似体が、
H−desPro36−エキセンジン−4−Lys6−NH2
H−des(Pro36,37)−エキセンジン−4−Lys4−NH2及び
H−des(Pro36,37)−エキセンジン−4−Lys5−NH2
又はそれらの薬理学的に許容しうる塩を含む群から選ばれる、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項23】
エキセンジン−4の類似体が、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O225,Asp28]エキセンジン−2(1−39)、
desPro36[Trp(O225,IsoAsp28]エキセンジン−2(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)及び
desPro36[Met(O)14Trp(O225,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
又はそれらの薬理学的に許容しうる塩
を含む群から選ばれる、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項24】
ペプチドLys6−NH2が、エキセンジン−4の類似体のC末端に結合している、請求項23に記載の医薬製剤。
【請求項25】
エキセンジン−4の類似体が、
H−(Lys)6−des Pro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
des Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36[Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−des Asp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O225]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O225、Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
des Met(O)14Asp28 Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−Asn−(Glu)5 −des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36[Met(O)14,Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
des Asp28 Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O225]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O225,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又はそれらの薬理学的に許容しうる塩
を含む群から選ばれる、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項26】
Arg34,Lys26(Nε(γ−グルタミル(Nα−ヘキサデカノイル)))GLP−1(7−37)[リラグルチド]又はその薬理学的に許容しうる塩をさらに含んでなる、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項27】
最大で10mg/mlまでの濃度範囲のメチオニンを含んでなる、請求項1〜24のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項28】
最大で3mg/mlまでの濃度範囲のメチオニンを含んでなる、請求項25に記載の医薬製剤。
【請求項29】
(a)水溶液中に成分を導入する工程、及び
(b)pHを調整する工程
を含んでなる、請求項1〜26のいずれか1項に記載の製剤を調製する方法。
【請求項30】
糖尿病を治療するための、請求項1〜26のいずれか1項に記載の製剤の使用。
【請求項31】
請求項1〜26のいずれか1項に記載の製剤から構成される糖尿病を治療するための薬剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−532178(P2012−532178A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518919(P2012−518919)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059436
【国際公開番号】WO2011/003822
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】