説明

メチルイソブチルケトンおよびジイソブチルケトンの製法

水素とDMKおよび/またはIPAとを含む気体混合物を、アルドール縮合触媒の存在下において、反応させることによる、DMKおよび/またはIPAからMIBKおよびDIBKを製造する改良された方法。その改良は、MIBK/DIBK比率を増加させるために、207kPa(30psig)より高い反応圧力を使用することである。さらに、本質的にDMKおよび/またはIPAならびに所望により水からなる気体混合物をアルドール縮合触媒の存在下において反応させることによってMIBKおよびDIBKを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセトン(DMK)および/またはイソプロピルアルコール(IPA)の触媒反応による、メチルイソブチルケトン(MIBK)およびジイソブチルケトン(DIBK)の製造に関する。より明確には、本発明は、反応圧力を調節することによって、生成されるMIBKとDIBKの比率を変更する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MIBKおよびDIBKは重要な工業用溶剤である。米国特許第5,925,796号明細書(引用によって完全にここに組込まれる。)に議論されているように、水素とDMKおよび/またはIPAとの触媒反応によって、MIBKおよびDIBKは同時生産することができる。典型的には、アルドール縮合触媒が使用される。DIBKに対するMIBKの比率は一定でなく、反応物の転化率を増加させることによってMIBKの生成を増加させる手段が取られると低下する。この現象は、米国特許第5,925,796号明細書の図面において例証されており、その図面は生成されたMIBKの関数としてDIBK/MIBK比率を描く経験的に決定した近似曲線を示している。不運にも、市場の需要は必ずしも化学の自然な傾向に合致していない。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5925796号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、市場需要を満たすためにMIBKの生成を増加させることが望まれるならば、過剰量のDIBKが生成されるかもしれず、その結果、DIBKのいくらかを貯蔵しまたは廃棄しそして関連する原料の非効率およびエネルギー損失を受け入れる必要が生じる。したがって、DIBK/MIBK比率がより容易に制御され、製造操作が望まれるいずれか物質の量を変えて、より望まれる量の他方の物質もまた得るのを事実上許し、それによってこれらの2つの生成物の生成水準の間の通常の関係を「切り離す(de-coupling)」方法を有することは非常に望ましいであろう。米国特許第5,925,796号明細書は、前述の課題に対する1つの解決策を開示している。本発明はこの課題に対する代替または追加の解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、水素ならびにDMKおよび/またはIPAを含む気体混合物を、アルドール縮合触媒の存在下に反応させることによって、DMKおよび/またはIPAからMIBKおよびDIBKを製造するための改良された方法である。その改良は、207kPa(30psig)を超える反応圧力からなる。そのような反応圧力の使用は、MIBKおよびDIBKへのDMKおよび/またはIPAの転化率を増加させ、任意の所定の転化率で生成されるMIBK/DIBK比率を増加させる。別の実施態様においては、本発明は、本質的にDMKおよび/またはIPAならびに所望により水からなる気体混合物を、アルドール縮合触媒の存在下に反応させることによってMIBKおよびDIBKを製造する方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
いかなる特定の化学理論に縛られずに、IPAおよび/またはDMKからのMIBKおよびDIBKの同時生産は、次の反応を含むと考えられている。
【0007】
【化1】

【0008】
ここで、IPAはイソプロピルアルコール(イソプロパノール)であり、DMKはアセトン(ジメチルケトン)であり、DAAはジアセトンアルコールであり、MSOはメシチルオキシドであり、MIBKはメチルイソブチルケトンであり、DIBKはジイソブチルケトンであり、そしてI−DIBKはiso−DIBKである。
【0009】
MSOおよびDIBKの異性体が存在し、化学的混合物で存在し得ることに注意されたい。しかし、それらは本発明にとって重要な意義を持つとは考えられず、ここではそれぞれ普通のMSOおよびDIBKと見なす。
【0010】
本発明の改良の基になる技術水準は、米国特許第5,925,796号明細書に記述されている。上に概説された反応化学から明らかなように、水素は、その系において、生成物でもあり反応物でもある。過剰の水素が常に維持されることが好ましい。この条件は、好都合なことに、水素バランスと呼ばれる。当業者には認識されるように、所望の水素含有量は、新鮮な水素を供給するまたは未使用の水素もしくはIPAの脱水素から生成された水素を再循環するようなプロセス手段によって達成することができる。
【0011】
縮合/水素化/脱水素/脱水反応を行なうことができる多機能銅系触媒が本方法に好ましくは使用されるが、本発明の有益な効果は特定の触媒組成物に依存するとは考えられない。したがって、本発明は、IPAおよび/またはDMKから、MIBKおよび/またはDIBKの製造に有用ないかなる触媒にも適用可能なものとして理解すべきである。そのような触媒の中には、金属状態および/または可変的な酸化物状態の1族〜15族の元素を主成分とするものがある。好ましくは、多機能触媒は、Pd、Ni、Pt、Co、Cu、Cr、Mo、W、Zn、P、As、Sb、Si、Ge、Sn、Al、Ga、Ti、Zr、およびHf、ならびにアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、CaおよびSrの1種以上の金属状態および/または可変的な酸化物状態のものを含有するであろう。触媒の複数の成分は、望むならば、アルミナ、リン酸塩、シリカ、ゼオライト、粘土などのような、当技術分野においてよく知られたありふれた担体に担持することができる。いかなる特定の化学理論にも縛られずに、(単独でまたは組み合わせて)アルカリ金属、アルカリ土類金属および/または他の様々な酸化物状態の金属(たとえばZr、Ti、Al)は縮合触媒として機能し、そして金属状態または様々な酸化物状態のPd、Cu、Cr、Niのような金属の組み合わせは水素化/脱水素触媒として機能すると考えられている。脱水工程は、熱反応として起こることができ、または上述の触媒成分および/または担体の1つまたはそれ以上によって促進されるとも考えられている。
【0012】
反応温度の選択は、選択された触媒の温度操作範囲(envelope)内において、それほど重要ではなく、触媒の種類にも依存するが、典型的には約80〜約300℃、好ましくは約180〜約270℃、より好ましくは約200〜約245℃の範囲内で選択することができる。約250℃より高い温度は、使用する特定の触媒の熱的安定性にも依存するが、好ましくは、金属焼結による触媒の失活を最小限にするために回避される。270℃より低い温度が、多くの場合、好ましい。従来技術においては、転化率は、温度、触媒の種類および使用の程度にもよるが、20〜35%の範囲内であり、典型的には25%である。本発明の方法は転化率を5%以上増加させる。
【0013】
驚いたことに、反応圧力の選択は本発明において重要である。本発明において用いられる慣習によれば、圧力はすべてゲージ圧で表わされる。したがって、0kPa(0psig)の圧力は大気圧である。驚いたことに、207kPa(30psig)より高い反応圧力を用いると、MIBKおよびDIBKへのDMKおよび/またはIPAの転化率が増加し、そして生成されるMIBK/DIBK比率が任意の所与の転化率において増加することが見いだされた。本発明の最大圧力は未知であるが、3450kPa(500psig)以上と考えられる。下記の実施例のデータは、反応圧力が0kPa(0psig)〜2070kPa(300psig)の範囲内のものである。好ましくは、本発明の反応圧力は、207kPa(30psig)超、1380kPa(200psig)以下の範囲内(たとえば211kPa(30.6psig)、214kPa(31psig)、276kPa(40psig)または345kPa(50psig))である。最も好ましくは、本発明の反応圧力は、207kPa(30psig)超、690kPa(100psig)以下の範囲内(たとえば211kPa(30.6psig)、214kPa(31psig)、276kPa(40psig)または345kPa(50psig))である。しかし、反応物が、本質的に、DMKおよび/またはIPAならびに所望により水の気体混合物からなるときは、反応圧力は、207kPa(30psig)を超えてもよいが、207kPa(30psig)未満であってもよい。
【0014】
本発明の方法に使用される触媒は、定期的な再生を必要とする。触媒は、典型的には、10〜15回再生することができ、その後、取り替えられる。新たに再生された触媒は、典型的には、一両日の間は「超活性」であり、望むよりも多くのDIBKを生成し、その後、落ち着き、触媒再生が必要とされるほどに低い水準に触媒活性が落ちるまで、望まれるMIBKをより多く生成する。本発明のより高い反応圧力の使用の予期しない利点は、生産性を維持しながらより低い反応温度を使用することができること、そして触媒の再生と再生の間の有用寿命がより長くなり、それによってその方法がより高い比率のMIBKを生成している時間を著しく増加させ、触媒の取り替えの経費が著しく減ることである。
【0015】
本発明の方法において使用される反応温度は、先行技術の米国特許第5,925,796号明細書に記載された広い範囲内にある。しかし、本発明のより高い圧力を使用すると、同一の転化率で、多少低い反応温度(例えば240℃から210℃への反応温度の低下)で、MIBK/DIBK比率が改善されることが見いだされた。
【0016】
反応器中の流量はそれほど重要ではなく、典型的にはLHSVが約0.4〜約10.0、好ましくは約0.1〜約3.0の範囲である。用語「LHSV」は、液時空間速度を意味し、それはよく使用される尺度であって、反応器の体積当たりの液体状態の供給原料の体積流量に等しい。(下記の実施例において使用されるように、LHSVの測定は液体状態でなされるが、反応は気相でそして圧力下で行なわれることが指摘されるべきである。)好ましくは、流量は、LHSVが約0.5〜約1.5の範囲、そしてより好ましくはLHSVが約0.75〜約1.25の範囲にあるであろう。
【実施例】
【0017】
試験反応器装置
長さ38cm、外径1.3cmのステンレス鋼U字管(肉厚0.89mm)からなる実験室反応器を組み立てる。反応器には、最初に触媒を充填し、次に1〜2mmのガラスビーズを充填し、そして最後に封じ込めのためにガラスウールの小さな栓を詰める。ガラスビーズは、最大蒸気速度を維持しそして分子間物質移動抵抗を減らすために、触媒床の隙間の空間を満たすのに用いられる。圧力は背圧調整器によって制御される。反応器の温度は電気加熱炉で制御される。反応器をアルミニウム導管の内部に入れ、そして、入熱が均一に分布し続けるのを支援するために、その組立品を炉の内部に入れる。
【0018】
液体の供給原料は供給ポンプによって送られる。液体および気体の供給原料は、炉域において熱いガラスビーズにぶつかったときに完全に蒸発する。蒸気の生成物は、反応器を出て、フリードリヒ型ガラス凝縮器で凝縮され、そして冷却ループまたは冷水の流れのいずれかで冷却される。凝縮した生成物は、集められ、DB WAX 30m×0.32mm×0.25μmキャピラリーカラムを装備したHP6890ガスクロマトグラフによって分析される。生成物中の水はカールフィッシャー滴定によって分析される。
【0019】
実施例1
リン酸ジルコニウム・パラジウム触媒の調製
75.1gのZrOCl2・8H2Oを、1.8Lの1N−HClに溶解させる(溶液A)。34.8gの85%H3PO4を1.6Lの蒸留水に加え、この混合物を5分間かけて溶液Aに加える。白色沈殿が生成する。添加が完了した後、混合物は4時間攪拌したままにする。撹拌機を止め、混合物を16時間放置する。その後、沈殿は、ブフナー漏斗およびワットマンのNo.4濾紙を用いて濾過によって集められる。ゲルは回収され、2Lの蒸留水でスラリーにされ、前のように濾過される。この工程を濾液のpHが4になるまで繰り返した。ゲルは吸引しながら風乾され、単離され、次に、110℃で48時間乾燥される。乾燥後、固形物は8〜10メッシュにふるい分けされる。24.4gのふるい分けされた物質に、17mlの脱イオン水に0.42gのPd(NO32・xH2Oを溶解した溶液を、初期湿り度によって(by incipient wetness)含浸する。生じた燐酸ジルコニウムは0.7質量%のPdを含有し、110℃で24時間乾燥する。
【0020】
リン酸ジルコニウム・パラジウム触媒を用いたDMKの縮合
燐酸ジルコニウム触媒20.9gを反応器に充填する。反応器は105℃に加熱され、N2で約620kPa(90psig)に加圧され、LHSV=1.0hr-1で48時間アセトン(DMK)を供給する。その後、アセトンの供給を止め、触媒は、90℃で、N2:H2=2:1の気体混合物を55ml/分で3時間流して還元される。還元後、アセトン:水=97:3の混合物をLHSV=1.0hr-1で反応器に供給する。H2流量=38ml/分。触媒床温度は、触媒床が配置された炉の温度を制御することによって、90〜110℃の範囲内で変えられる。反応圧力の影響を図1に示す。
【0021】
用語「DIBK」は図1(および他の図)において両方の異性体を含むことに注意すべきである。図1中の菱形の点のデータは、552kPa(80psig)の反応器圧力で集めたものである。図1中の三角形の点のデータは、138kPa(20psig)の反応器圧力で集めたものである。図1のデータは、C3(DMKおよびIPAの合計)転化率が約26〜約38質量%の範囲で、138kPa(20psig)の従来技術の反応圧力に比較して、552kPa(80psig)の反応圧力を用いると、MIBK/DIBK比率が著しく改善されたことを示している。
【0022】
実施例2
アルミナ担持ジルコニウム/パラジウム触媒1の調製
Pdを0.05質量%含有するG55Bアルミナ(ジュート・ヒェミー社(Sud Chemie))24.95gに、15mlの脱イオン水に10.13gのZrOCl2・8H2Oを溶解した溶液を、初期湿り度によって含浸する。得られた固形物を、25℃で1時間、その後110℃で16時間乾燥する。その固体のペレットを、空気中で450℃で3.5時間焼成する。酸化物基準での最終担持量は、Zr=13.5質量%およびPd=0.044質量%である。
【0023】
アルミナ担持ジルコニウム/パラジウム触媒1を用いたDMKの縮合
反応器に、20mlの触媒を充填する。触媒は、150℃で、N2:H2=2:1の気体混合物を75ml/分で流しながら1時間、続けてN2:H2=1:1の気体混合物を100ml/分で流しながら1時間、そしてその後H2を50ml/分で流しながら1時間、還元する。H2流量を38ml/分に減らし、アセトン:H2O=97:3をLHSV=1hr-1で供給する。反応温度は、転化率を変えるために、触媒床が配置された炉の温度を制御することによって、100〜150℃の間で変化させる。反応圧力の影響を図2に示す。図2において、DIBKは両方の異性体を含む。
【0024】
図2中の丸い点のデータは、965kPa(140psig)の反応器圧力で集めたものである。図2中の×の点のデータは、689kPa(100psig)の反応器圧力で集めたものである。図2中の四角の点のデータは、103〜138kPa(15〜20psig)の反応器圧力で集めたものである。図2中の菱形の点のデータは、0kPa(0psig)の反応器圧力で集めたものである。図2のデータは、C3転化率が12〜36%の範囲で、従来技術の反応圧力に比べて、本発明の反応圧力を用いると、MIBK/DIBK比率が著しく改善されたことを示している。
【0025】
実施例3
アルミナ担持ジルコニウム/パラジウム触媒2の調製
25.02gのCS350アルミナ(ジュート・ヒェミー社)に、次のように2工程で、ZrOCl2・8H2Oを合計7.31g含浸する。5mlの脱イオン水に5.34gのZrOCl2・8H2Oを溶かした溶液を25gのアルミナに加える。固形物を1時間転がし(rolled)、その後、105℃の乾燥器の中に16時間置いた。回収された固形物に、5mlの脱イオン水に1.96gのZrOCl2・8H2Oを溶解した第2の溶液を含浸させ、1時間転がし、その後、105℃で4.5時間乾燥する。回収された固形物を、550℃で3.0時間焼成する。焼成した固形物に、5mlの脱イオン水にPd(NO32を溶かした10質量%溶液の0.23mlを含浸し、1時間転がし、その後、105℃で一晩乾燥する。固形物を550℃で3時間焼成する。酸化物基準での最終担持量は、Zr=10質量%、Pd=0.05質量%である。
【0026】
アルミナ担持ジルコニウム/パラジウム触媒2を用いたDMKの縮合
反応器に20mlの触媒を充填する。触媒を、150℃で、N2:H2=2:1の気体混合物を75ml/分で流しながら1時間、引き続いてN2:H2=1:1の気体混合物を100ml/分で流しながら1時間、そしてその後H2を50ml/分で流しながら1時間、還元する。H流量を38ml/分に減らし、アセトン:H2O=97:3をLHSV=1hr-1で供給した。反応温度は、転化率を変えるために、100〜150℃の間で変える。0〜2068kPa(0〜300psig)の圧力範囲についての結果を図3に示す。図3中の三角形の点のデータは、2068kPa(300psig)の反応器圧力で集めたものである。図3中の×の点のデータは、1276〜1379kPa(185〜200psig)の反応器圧力で集めたものである。図3中の四角の点のデータは、689kPa(100psig)の反応器圧力で集めたものである。図3中の+の点のデータは、345kPa(50psig)の反応器圧力で集めたものである。図3中の菱形の点のデータは、0kPa(0psig)の反応器圧力で集めたものである。図3のデータは、C3転化率が12〜32%の範囲において、反応器圧力が増加するにつれてMIBK/DIBK比率が増加することをはっきりと示している。
【0027】
実施例4
酸化ジルコニウム/銅/クロム触媒の調製
22.9gのZrO2(デグサ社から入手した1/8インチペレット)に、70℃の脱イオン水4mlに7.01gのCu(NO32・3H20および0.72gのCr(NO33・9H2Oを溶解させた溶液を含浸する。その固形物を1時間転がし、その後105℃で一晩乾燥する。その後、その固形物を450℃で3時間焼成する。
【0028】
酸化ジルコニウム/銅/クロム触媒を用いたアセトン/イソプロパノールの縮合
反応器に触媒14.4mlを充填する。触媒を、150℃で、N2:H2=2:1の気体混合物を75ml/分で流しながら1時間、引き続いてN2:H2=1:1の気体混合物を100ml/分で流しながら1時間、そしてその後H2を50ml/分で流しながら1時間、還元する。気体の流れを止め、アセトン:イソプロパノール:H2O=52:40:8をLHSV=1hr-1で供給する。実験データを図4に示す。
【0029】
図4中の菱形の点のデータは、241kPa(35psig)の反応器圧力で集めたものである。図4中の+の点のデータは、0kPa(0psig)の反応器圧力で集めたものである。図4のデータは、C3転化率が22〜38%の範囲において、従来技術の反応器圧力に比べて、本発明の反応器圧力を用いると、MIBK:DIBK比率がより良いことをはっきりと示している。
【0030】
実施例5
アルミナ担持銅/クロム/カルシウム触媒を用いたアセトン/イソプロパノールの縮合
反応器に、公称金属担持量がCu=10質量%、Cr=0.4質量%およびCa=1.1質量%のCu−Cr−Ca−Al23触媒20mlを充填する。触媒を、150℃で、N2:H2=2:1の気体混合物を75ml/分で流しながら1時間、引き続いてN2:H2=1:1の気体混合物を100ml/分で流しながら1時間、そしてその後H2を50ml/分で流しながら1時間、還元する。気体の流れを止め、その後、アセトン:イソプロパノール:H2O=52:40:8をLHSV=1hr−1で供給する。実験データを図5に示す。
【0031】
図5中の丸い点のデータは、517kPa(75psig)の反応器圧力で集めたものである。図5中の+の点のデータは、345kPa(50psig)の反応器圧力で集めたものである。図5中の四角の点のデータは、241kPa(35psig)の反応器圧力で集めたものである。図5中の×の点のデータは、103kPa(15psig)の反応器圧力で集めたものである。図5中のデータは、C3転化率が22〜35%の範囲において、反応器圧力が増加するにつれてMIBK:DIBK比率が増加することをはっきりと示している。
【0032】
結論
本発明をその好ましい実施態様に従って上述したが、それはこの開示の精神および範囲内で変更することができる。したがって、本出願は、ここに開示された一般的な原理を用いて、本発明のいかなる変形、使用または改作をも包含するように意図されている。さらに、本出願は、本開示からのそのような逸脱が、本発明が属する技術分野の既知または慣習的な実施の範囲内に来るものとして、そして特許請求の範囲内に入るものとして、包含すると意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例で詳細に議論したような、MIBK/DIBK比率のデータを転化率の関数として示す。
【図2】MIBK/DIBK比率のデータを転化率の関数として示す。
【図3】MIBK/DIBK比率のデータを転化率の関数として示す。
【図4】MIBK/DIBK比率のデータを転化率の関数として示す。
【図5】MIBK/DIBK比率のデータを転化率の関数として示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DMKおよび/またはIPAならびに所望により水を含む気体混合物を触媒量のアルドール縮合触媒の存在下に反応させることによる、DMKおよび/またはIPAならびに所望により水からMIBKおよびDIBKを製造する方法であって、反応圧力が207kPa(30psig)より高いことを特徴とする方法。
【請求項2】
反応圧力が214kPa(31psig)より高いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応圧力が276kPa(40psig)より高いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
反応圧力が345kPa(50psig)より高いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
反応温度が80〜300℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
反応圧力が3450kPa(500psig)未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
本質的にDMKおよび/またはIPAならびに所望により水からなる気体混合物をアルドール縮合触媒の存在下に反応させることによってMIBKおよびDIBKを製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−509968(P2009−509968A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532474(P2008−532474)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/037266
【国際公開番号】WO2007/038440
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508168701)ダウ テクノロジー インベストメンツ リミティド ライアビリティー カンパニー (19)
【Fターム(参考)】