メッシュおよびゴム切片の観察方法
【課題】延伸過程のゴム切片、さらには延伸過程から収縮過程のゴム切片の顕微鏡観察を可能にするメッシュおよび該メッシュを用いたゴム切片の観察方法を提供する。
【解決手段】延伸過程のゴム切片および収縮過程のゴム切片を顕微鏡により観察可能に支持するメッシュであって、中央部上面を前記ゴム切片10を固定する載置領域とすると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右固定部の間で且つ前記ゴム切片の載置位置に向けて前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の分断用スリット12a,12bが入れられ、前記試料ホルダ分離部による延伸方向への移動時に前記分断用スリットで左右に分断され、分断された左右両側部に固定される前記ゴム切片を延伸させる構成としている。
【解決手段】延伸過程のゴム切片および収縮過程のゴム切片を顕微鏡により観察可能に支持するメッシュであって、中央部上面を前記ゴム切片10を固定する載置領域とすると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右固定部の間で且つ前記ゴム切片の載置位置に向けて前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の分断用スリット12a,12bが入れられ、前記試料ホルダ分離部による延伸方向への移動時に前記分断用スリットで左右に分断され、分断された左右両側部に固定される前記ゴム切片を延伸させる構成としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡による観察時に試料を保持するメッシュおよび、試料となるゴム切片をメッシュで保持して観察する方法に関し、特に、延伸過程のゴム切片、さらには延伸過程から収縮過程のゴム切片を観察可能にするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、透過型電子顕微鏡(TEM)等の顕微鏡で試料を観察する場合には、予め試料を切断装置等で薄片化した後、メッシュと呼ばれる試料支持材に前記薄片化した試料を固定し、このメッシュを専用の試料ホルダに固定してから前記試料の観察を行っている。
通常、直径3mm程度の円盤形状を有するメッシュ1は、電子線を透過できるように、図10に示すような網目状開口2、細溝状開口3、単孔4等を備えており、図11に示すように、開口3を有するメッシュ1の中央部上面に薄片化した試料4が固定される。
【0003】
また、試料は電子線を透過しうる薄さに薄片化する必要があり、従来より、ミクロトームと呼ばれる装置を用いて試料を薄片化したり、収束イオンビーム加工法(FIB加工)によって試料の特定箇所を薄片化したりすることが知られており、特開平11−329325号公報には、前記FIB加工に適した特殊形状を有したメッシュが提案されている。
【0004】
試料がゴムの場合、延伸過程のゴム切片や、延伸過程から収縮過程(戻り過程)のゴム切片を観察することは、ゴムの破断発生解析や、ゴムの損傷、劣化、磨耗解析、ヒステリシスロス発生のメカニズムの解析などさまざまな解析、配合設計に有用である。
しかし、試料を固定した従来のメッシュを延伸させることはほとんど不可能であるため、延伸状態のゴム切片を観察することができないという問題がある。また、たとえメッシュを無理やり延伸させたとしても延伸量はわずかであると共に、メッシュは延伸によって変形して歪が残ってしまうため、メッシュ上で延伸されたゴム切片を元の状態に戻すことができず、収縮過程(戻り過程)のゴム切片を観察することができないという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開平11−329325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、延伸過程のゴム切片、さらには延伸過程から収縮過程のゴム切片の顕微鏡観察を可能にするメッシュおよび該メッシュを用いたゴム切片の観察方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、第一の発明として、延伸過程のゴム切片を顕微鏡により観察可能に支持するメッシュであって、
中央部上面が前記ゴム切片を固定する載置領域とされると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右の固定部の間の外縁より前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の拡開用スリットが所要長さで切り込まれており、
前記試料ホルダ分離部により前記固定部が離反方向へ移動された時に、前記拡開用スリットを外縁に向けて開いて前記延伸方向に伸長させ、前記固定部に左右両側が固定される前記ゴム切片を延伸させる構成としていることを特徴とするメッシュを提供している。
【0008】
前記構成によれば、メッシュには、前記試料ホルダ分離部への左右固定部の間の外縁より延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の拡開用スリットが所要長さで切り込まれているので、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を互いに離反させて延伸方向に移動させていくと、メッシュは前記拡開用スリットを開きながら延伸方向に均等に伸長され、メッシュに固定されたゴム切片もメッシュの伸長に伴って延伸されていくこととなる。よって、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させるだけで、ゴム切片を任意の延伸率に延伸することができ、任意の延伸率におけるゴム切片の状態をダイレクトに観察することができる。これによって、延伸過程のゴム切片の状態変化(モルフォロジー変化)の観察が可能となる。
【0009】
前記拡開用スリットは、メッシュを延伸方向に伸長させメッシュ上のゴム切片を延伸させていくことができれば、該スリットの寸法、位置、個数、切り込む方向など特に限定されるものでなく、メッシュの開口形状や、メッシュ上に固定されるゴム切片の形状、ゴム切片の固定位置などに応じて適宜設定することができる。
しかしながら、前記拡開用スリットはメッシュの中心を支点として左右方向に均等に延伸されるように、前記支点に対して左右対称位置に設けていることが好ましい。また、拡開用スリットによってメッシュを延伸方向に伸長させるためには、拡開用スリットをメッシュの上下の外縁より交互に複数個切り込んでおくことが好ましい。
【0010】
また、第二の発明として、延伸過程および収縮過程のゴム切片を顕微鏡により観察可能に支持するメッシュであって、
中央部上面が前記ゴム切片を固定する開口を有する載置領域とされると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右の固定部の間の外縁より前記ゴム切片の載置領域に向けて前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の分断用スリットが入れられ、
前記試料ホルダ分離部により前記固定部が離反方向に移動された時、前記分断用スリットで分断される前記固定部に左右両側が固定される前記ゴム切片を延伸させると共に、該延伸位置から前記試料ホルダ分離部により前記固定部が近接方向に移動された時、前記ゴム切片を収縮させる構成としていることを特徴とするメッシュを提供している。
【0011】
前記構成によれば、メッシュには、前記試料ホルダ分離部への左右固定部の間で且つゴム切片の載置位置に向けて、延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の分断用スリットが入れられているので、試料ホルダに設けられメッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させると、メッシュがゴム切片の載置位置にて延伸方向に左右2つに分断されて互いに離反し、この左右両メッシュに固定されるゴム切片はメッシュの分断、離間によって延伸方向に均等に延伸されることとなる。よって、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させるだけで、メッシュ自体を変形させることなくゴム切片を任意の延伸率に延伸させていくことができ、任意の延伸率におけるゴム切片の状態をダイレクトに観察することができる。これにより、延伸過程のゴム切片の状態変化(モルフォロジー変化)の観察が可能となる。
【0012】
さらに、前記延伸過程から、試料ホルダ分離部を左右の固定部を近接させる収縮方向へと移動させると、左右に分断されていたメッシュは互いに近接し、最終的にはメッシュ自体が歪みを残すことなく分断前の一体的なメッシュに戻すことができる。したがって、ゴム切片も延伸前の状態に戻すことができ、前記延伸過程のみならず、収縮過程(戻り過程)におけるゴム切片の状態も観察することが可能となる。
【0013】
前記のように、分断用スリットは延伸方向に対して直交方向あるいは傾斜方向に設けられていれば、メッシュの分断によりゴム切片を延伸方向に延伸させることは可能であるが、延伸方向に対して直交方向に分断用スリットを入れることが最も簡単であり、かつゴム切片を延伸方向に均等に延伸させやすいため特に好ましい。
また、分断用スリットが延伸方向に対して傾斜方向に設けられている場合は、延伸方向に対して10度以上傾斜していることが好ましい。
【0014】
前記ゴム切片の載置領域に網目状あるいは細溝状の開口が設けられ、これら開口を囲む周縁部に前記外縁より前記拡開用スリットあるいは分断用スリットが切り込まれている。
【0015】
前記のように、メッシュはゴム切片の載置位置に網目状開口が設けられているものでも、細溝状開口が設けられているものでもよい。
前記網目状開口が設けられているメッシュの場合には、該外周枠を構成する周縁部のみならず、網目穴を囲む網糸部分の周縁部にも前記拡開用スリットや分断用スリットが切り込まれていなければ、前記拡開用スリットを開いてメッシュを延伸方向に伸長させたり、メッシュを左右に分断させたりすることは困難な場合が多い。
一方、細溝状開口が設けられているメッシュの場合には、細溝状の開口を挟む上下に夫々拡開用スリットを1箇所ずつ設けるだけで、メッシュを延伸方向に大きく伸長させることも可能である。
【0016】
前記分断用スリットは、前記開口を介して前記載置領域を横断させて設けられている 例えば、該細溝状開口を囲む周縁部の上下に分断用スリットを1箇所ずつ設けるだけでメ
ッシュを左右に分断することができる。
なお、分断用スリットを設ける場合には、分断された左右のメッシュに間には延伸方向への離反移動時に開口が生じるため、前記載置領域には網目状や細溝状の開口を必ずしも設ける必要はない。
【0017】
前記第一の発明および第二の発明のメッシュは、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)に特に好ましく用いることができるが、その他、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、レーザ顕微鏡、光学顕微鏡等にも用いることが可能である。
【0018】
また、第三の発明として、第一の発明のメッシュの左右両側が固定された前記試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させて前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を延伸させ、延伸過程における前記ゴム切片を顕微鏡により観察することを特徴とするゴム切片の観察方法を提供している。
【0019】
前記第三の発明では、第一の発明の拡開用スリットが切り込まれたメッシュを用い、前記拡開用スリットを開いてメッシュを延伸方向に伸長させることによりゴム切片を延伸させているため、メッシュの伸長に伴いメッシュ自体に若干の歪みが残る。したがって、収縮過程(戻り過程)のゴム切片の観察ではなく、延伸過程のゴム切片の観察に適している。
【0020】
さらに、第四の発明として、第二の発明のメッシュの左右両側が固定された前記試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させることにより前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を延伸させ、延伸過程における前記ゴム切片を顕微鏡により観察し、引き続き、前記試料ホルダ分離部を収縮方向に移動させることにより前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を収縮させ、収縮過程におけるゴム切片を顕微鏡により観察することを特徴とするゴム切片の観察方法を提供している。
【0021】
前記第四の発明では、第二の発明の分断用スリットが入れられたメッシュを用い、メッシュを延伸方向に2つに分断、離間させることによりゴム切片を延伸するため、メッシュ自体が変形して歪みが残ることがない。したがって、延伸過程のゴム切片の観察だけでなく、収縮過程(戻り過程)のゴム切片の観察も行うことができ、ゴムの破断発生解析、損傷、劣化解析、磨耗解析、ポリマーやフィラーの補強メカニズムの解析、ヒステリシスロス発生のメカニズムの解析などのさまざまな解析や、これらの解析に基づく配合設計などに有効である。
【0022】
なお、前記第三および第四の発明のゴム切片の観察方法で用いられるメッシュの前記拡開用スリットや分断用スリットは、ゴム切片をメッシュの中央部上面に固定してからメッシュにカミソリやメス、カッター等で切り込まれることが好ましい。これにより、メッシュが延伸前にばらばらにならず取り扱いが容易となり、ゴム切片もメッシュに安定した状態で固定することができる。
【発明の効果】
【0023】
前述したように、第一の発明によれば、メッシュには、前記試料ホルダ分離部への左右固定部の間の外縁より延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の拡開用スリットが所要長さで切り込まれているので、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させていくと、メッシュは前記拡開用スリットを開きながら延伸方向に伸長され、メッシュに固定されたゴム切片もメッシュの伸長に伴って延伸されることとなる。よって、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させるだけで、ゴム切片を任意の延伸率に延伸することができ、第三の発明のように、延伸過程のゴム切片をダイレクトに観察することができる。
【0024】
さらに、第二の発明によれば、メッシュには、前記試料ホルダ分離部への左右固定部の間で且つゴム切片の載置位置に向けて、延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の分断用スリットが入れられているので、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させると、メッシュがゴム切片の載置位置にて延伸方向に左右2つに分断され、この左右両メッシュに固定されていたゴム切片はメッシュの分断、離間によって延伸方向に均等に延伸されることとなる。よって、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させるだけで、メッシュ自体を変形させることなくゴム切片を任意の延伸率に延伸させていくことができ、延伸過程のゴム切片をダイレクトに観察することができる。
【0025】
さらに、前記延伸過程から、試料ホルダ分離部を収縮方向へと移動させると、左右に分断されていたメッシュは互いに近接し、最終的にはメッシュ自体が歪みを残すことなく分断前の一体的なメッシュに戻すことができる。したがって、ゴム切片も延伸前の状態に戻すことができ、第四の発明のように、延伸過程のみならず、収縮過程(戻り過程)におけるゴム切片の状態も観察することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5に、本発明の第1実施形態を示す。
第1実施形態のメッシュ11は、ゴム切片10の載置領域11bに細溝状開口11aを備え、該細溝状開口11aに連通する分断用スリット12a、12bを備えた形状としている。
即ち、図1に示す中央に3本の細溝状開口11aを備えたメッシュ11に、図2に示す試料となるゴム切片10を前記メッシュ11の中央上面の載置領域11bに固定した後に、図3および図4に示すように、メッシュ11に順次分断用スリット12a、12bを切断刃(本実施形態ではカミソリ刃)を用いて形成している。
【0027】
以下に詳述すると、まず、表1に示す配合のゴム組成物から、ミクロトーム(図示せず、商品名:ウルトラミクロトームEM VC6、LEICA社製)を用いて薄片化したゴム切片10(縦1mm×横2mm×厚200nm)を作製する。
前記ゴム切片10を、図1に示す3本の細溝状開口11a(11a−1、11a−2、11a−3)を備えたメッシュ11(直径3mm)の中央部上面の載置領域11bに前記3本の細溝状開口11aを跨ぐように、専用のループ(図示せず)を用いてゴム切片10を載せて固定する(図2)。
【0028】
【表1】
【0029】
図4に示すように、メッシュ11を試料ホルダ13に載せ、メッシュ11の左右両側(固定部11d、11e)を試料ホルダ分離部13a、13bの押さえ板13a−1、13b−1に挟んでネジ13a−2、13b−2で固定する。
【0030】
続いて、メッシュ11の細溝状開口11aを囲む外周枠11cの図中上下中央に、切断刃(図示せず)を用いて、図3に示すような分断用スリット12a、12bを、ゴム切片10の延伸方向(左右方向)に対して直交方向に切り込むことにより、本実施形態のメッシュが得られる。
即ち、この分断用スリット12a、12bは、3つの細溝状開口11aのうち、中央の開口11a−2に連続するように切り込んでいる。
【0031】
前記のように、メッシュ11の中央の開口11a−2の上下周縁部に分断用スリット12b、12aを設け、この連続させた分断用スリット12a、開口11a−2、分断スリット12bをゴム切片10の載置部を横断させ、分断ラインSLを形成して、メッシュ11を左右の2つのメッシュ11A、11Bに分断している。
なお、分断用スリット12a、12bは図中において上下位置にあるが、メッシュ11は水平配置されるため、分断用スリット12a、12bは水平方向の開口11a−2の前後両側に位置することになる。
【0032】
前記のように分断ラインSLを境界として分断したメッシュ11A、11Bを、それぞれ試料ホルダ分離部13a、13bで固定しているため、試料ボルダ分離部13a、13bを延伸方向へ移動して離反すると、分断ラインSLの隙間が次第に拡大していき、メッシュ11Aと11Bに左右両側を固定したゴム切片10が図中左右方向に延ばされて延伸されることとなる。
【0033】
顕微鏡による観察工程は、具体的には、前記メッシュ11が固定された試料ホルダ13を透過型電子顕微鏡(図示せず)(H7100、加速電圧100KV、日立製)にセットして、延伸率0%のゴム切片10を観察する。
次いで、メッシュ11の左右両側11d、11eが固定された試料ホルダ分離部13a、13bのうち13b側を延伸方向(矢印A方向)に移動させることにより、ゴム切片10を延伸させ、延伸過程における延伸率50%、100%、150%のゴム切片10を観察する。
前記延伸過程での観察終了後に、試料ホルダ分離部13bを矢印B方向に移動させることによりメッシュ11A、11Bを互いに近接させて、ゴム切片10を収縮させ、収縮過程(戻り過程)における延伸率100%、50%、0%のゴム切片1を観察する。
【0034】
前記のように、本発明のメッシュ11には、試料ホルダ分離部13a、13bへの左右固定部11d、11eの間で且つゴム切片10の載置位置11bに向けて、延伸方向(左右方向)と直交方向の分断用スリット12a、12bが入れられているので、メッシュ11の左右両側11d、11eが固定された試料ホルダ分離部13a、13bのうち13b側を延伸方向(矢印A方向)に移動させると、メッシュ11がゴム切片10の載置位置11bにて左右2つのメッシュ2A、2Bに分断され、この左右両メッシュ2A、2Bに固定されていたゴム切片10はメッシュ11の分断、離間によって延伸方向に均等に延伸されることとなる。よって、メッシュ11の左右両側11d、11eが固定された試料ホルダ分離部13a、13bのうち13b側を延伸方向に移動させるだけで、メッシュ11自体を変形させることなくゴム切片10を任意の延伸率に延伸させていくことができ、延伸過程のゴム切片10をダイレクトに観察することができる。
【0035】
また、前記延伸過程から、試料ホルダ分離部13bを収縮方向(矢印B方向)へと移動させると、左右に分断されていたメッシュ11A、11Bは互いに近接し、最終的にはメッシュ11自体が歪みを残すことなく分断前の一体的なメッシュ11に戻すことができる。したがって、ゴム切片10も延伸前の状態に戻すことができ、延伸過程のみならず、収縮過程(戻り過程)におけるゴム切片10の状態も観察することが可能となる。
【0036】
前記延伸過程のゴム切片10および前記収縮過程(戻り過程)のゴム切片10を観察した結果は、下記の通りであった。
即ち、延伸率0%ではフィラーが凝集して存在していることが観察され、延伸していくと最初はフィラー粒子の凝集単位で変形が始まり、延伸率100%を超えると粒子単位の変形が観察された。また、応力集中が大きなフィラーやポリマーの界面では剥離も観察された。さらに、個々のフィラーは均質に伸びるのではなく、各歪に応じて段階的な変化が起きていることも明らかになった。
一方、収縮過程で延伸率を0%まで戻すと、元の凝集構造に戻る過程が観察された。
【0037】
図6(A)〜(C)に第1実施形態の変形例を示す。
図6(A)ではメッシュ11にゴム切片の載置位置に開口を設けず、延伸方向と直交方向の1本の分断用スリット12−1のみを設けている。
図6(B)では延伸方向と直交線に対して角度αが10度で傾斜させた1本の分断用スリット12−2のみを設けている。
このように、分断用スリットを設けると、開口を設けなくなくとも、分断されたメッシュの間に開口が生じるため、必ずしも開口を設ける必要はない。
図6(C)はメッシュ11は外周枠11cで繊維からなる網線100を保持し、網目状開口100aを設けている。このメッシュ11では、外周枠11cから網目線100に分断用スリット12−3を設けている。
【0038】
図7に第2実施形態を示す。
第2実施形態のメッシュ14は、1本の細溝状開口14aを備え、該細溝状開口14aは外周枠14cの下側縁を切り欠いて開口した形状であり、外周枠14cの上側縁に1個の分断用スリット15を形成し、細溝状開口14aと分断用スリット15とで分断ラインSLを形成している。
ゴム切片10をメッシュ14に固定し、メッシュ14の左右両側14d、14eを試料ホルダ分離部13a、13bに固定した後、前記延伸方向(左右方向)に直交方向の分断用スリット15を形成している。
【0039】
第2実施形態においても、試料ホルダ分離部13bの延伸方向への移動により、メッシュ14が左右に分断され、メッシュ14を変形させることなく、ゴム切片10を延伸方向に均等に延伸することができる。したがって、第1実施形態と同様、延伸過程のゴム切片10および伸縮過程(戻り過程)のゴム切片10の状態を観察することができる。
【0040】
図8に第3実施形態を示す。
第3実施形態のメッシュ16は、細溝状開口16aを囲む外周枠16cの上下に、細溝状開口16aと連通しない位置まで、延伸方向(左右方向)に直交方向の拡開用スリット17a、17b、17cを上下交互に設けている。
前記拡開用スリット17a、17b、17cも、メッシュ16にゴム切片10を固定し、メッシュ16の左右両側16d、16eを試料ホルダ分離部13a、13bに固定した後、形成している。その他は第1実施形態と同様としている。
【0041】
前記構成によれば、メッシュ16には、試料ホルダ分離部13a、13bへの左右固定部16d、16eの間の外周枠16cに延伸方向(左右方向)と直交方向の拡開用スリット17a、17b、17cが上下交互に切り込まれているので、メッシュ16の左右両側16d、16eが固定された試料ホルダ分離部13a、13bのうち13b側を延伸方向(矢印A方向)に移動させていくと、メッシュ16は拡開用スリット17a、17b、17cを開きながら延伸方向に伸長され、メッシュ16に固定されたゴム切片10もメッシュ16の伸長に伴って延伸されることとなる。
よって、メッシュ16の左右両側16d、16eが固定された試料ホルダ分離部13a、13bのうち13b側を延伸方向に移動させるだけで、ゴム切片10を任意の延伸率に延伸することができ、延伸過程のゴム切片10をダイレクトに観察することができる。
【0042】
なお、前記拡開用スリットを設けた場合、試料ホルダ分離部13a、13bを延伸方向に離反した後に、近接方向に移動させた場合、メッシュ16とゴム切片10との収縮率が同一でなければ、ゴム切片10に歪みが発生するため収縮過程での観察には用いることができない。
しかしながら、メッシュ16とゴム切片10との収縮率が略同一であれば、収縮過程の観察にも用いることができる。
【0043】
図9(A)(B)に第3実施形態の変形例を示す。
図9(A)のメッシュ16では、中央に左右方向に並列して多数の細溝状開口16aを設け、これら細溝状開口16aの上下方向に交互に拡開用スリット17を設けている。
図9(B)のメッシュ16では開口を設けず、上方から拡開用スリット17eを切り込み、下方から拡開用スリット17fを切り込み、夫々先端に球状に切り込んでいる。このように先端を球状とすると、メッシュ16の延伸作動時にメッシュ16がねじれるのを防止できる。
【0044】
なお、前記実施形態においては、いずれもメッシュにゴム切片を固定した後にスリットを入れているが、前記拡開用スリットの形成位置が、メッシュ16にゴム切片10を載置する領域と干渉しない位置とすれば、メッシュ16にゴム切片10を載置して固定する前に予め形成しておいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のメッシュは、ゴム切片の延伸過程および収縮過程での状態を顕微鏡で観察する時にゴム切片を保持するメッシュとして好適に用いられるが、試料はゴム切片以外にも、延伸する試料、例えば、樹脂製フィルム等の延伸過程および収縮工程の観察にも用いることができる。
また、本発明のメッシュは、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡、レーザ顕微鏡、光学顕微鏡等での観察時に試料保持材として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施形態における市販のメッシュを示す概略平面図である。
【図2】図1のメッシュにゴム切片を固定した状態を示す概略平面図である。
【図3】メッシュに分断用スリットが切り込まれた状態を示す概略平面図である。
【図4】メッシュを試料ホルダに固定した状態を示す概略平面図である。
【図5】試料ホルダ分離部を移動させてゴム切片を延伸させた状態を示す概略平面図である。
【図6】(A)〜(C)は第1実施形態の変形例のメッシュを示す平面図である。
【図7】第2実施形態におけるメッシュを示す概略平面図である。
【図8】第3実施形態におけるメッシュを示す概略平面図である。
【図9】(A)〜(C)は第3実施形態の変形例のメッシュを示す平面図である。
【図10】従来例を示す図である。
【図11】従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
10 ゴム切片
11、14、16 メッシュ
11a、14a、16a 細溝状開口
11b 載置領域
11c、14c、16c 外周枠
11d、11e、14d、14e、16d、16e 左右両側(固定部)
11A、11B 分断された左右のメッシュ
12a、12b、15 分断用スリット
13 試料ホルダ
13a、13b 試料ホルダ分離部
13a−1、13b−1 押さえ板
13a−2、13b−2 ネジ
17a、17b、17c、17e、17f 拡開用スリット
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡による観察時に試料を保持するメッシュおよび、試料となるゴム切片をメッシュで保持して観察する方法に関し、特に、延伸過程のゴム切片、さらには延伸過程から収縮過程のゴム切片を観察可能にするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、透過型電子顕微鏡(TEM)等の顕微鏡で試料を観察する場合には、予め試料を切断装置等で薄片化した後、メッシュと呼ばれる試料支持材に前記薄片化した試料を固定し、このメッシュを専用の試料ホルダに固定してから前記試料の観察を行っている。
通常、直径3mm程度の円盤形状を有するメッシュ1は、電子線を透過できるように、図10に示すような網目状開口2、細溝状開口3、単孔4等を備えており、図11に示すように、開口3を有するメッシュ1の中央部上面に薄片化した試料4が固定される。
【0003】
また、試料は電子線を透過しうる薄さに薄片化する必要があり、従来より、ミクロトームと呼ばれる装置を用いて試料を薄片化したり、収束イオンビーム加工法(FIB加工)によって試料の特定箇所を薄片化したりすることが知られており、特開平11−329325号公報には、前記FIB加工に適した特殊形状を有したメッシュが提案されている。
【0004】
試料がゴムの場合、延伸過程のゴム切片や、延伸過程から収縮過程(戻り過程)のゴム切片を観察することは、ゴムの破断発生解析や、ゴムの損傷、劣化、磨耗解析、ヒステリシスロス発生のメカニズムの解析などさまざまな解析、配合設計に有用である。
しかし、試料を固定した従来のメッシュを延伸させることはほとんど不可能であるため、延伸状態のゴム切片を観察することができないという問題がある。また、たとえメッシュを無理やり延伸させたとしても延伸量はわずかであると共に、メッシュは延伸によって変形して歪が残ってしまうため、メッシュ上で延伸されたゴム切片を元の状態に戻すことができず、収縮過程(戻り過程)のゴム切片を観察することができないという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開平11−329325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、延伸過程のゴム切片、さらには延伸過程から収縮過程のゴム切片の顕微鏡観察を可能にするメッシュおよび該メッシュを用いたゴム切片の観察方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、第一の発明として、延伸過程のゴム切片を顕微鏡により観察可能に支持するメッシュであって、
中央部上面が前記ゴム切片を固定する載置領域とされると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右の固定部の間の外縁より前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の拡開用スリットが所要長さで切り込まれており、
前記試料ホルダ分離部により前記固定部が離反方向へ移動された時に、前記拡開用スリットを外縁に向けて開いて前記延伸方向に伸長させ、前記固定部に左右両側が固定される前記ゴム切片を延伸させる構成としていることを特徴とするメッシュを提供している。
【0008】
前記構成によれば、メッシュには、前記試料ホルダ分離部への左右固定部の間の外縁より延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の拡開用スリットが所要長さで切り込まれているので、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を互いに離反させて延伸方向に移動させていくと、メッシュは前記拡開用スリットを開きながら延伸方向に均等に伸長され、メッシュに固定されたゴム切片もメッシュの伸長に伴って延伸されていくこととなる。よって、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させるだけで、ゴム切片を任意の延伸率に延伸することができ、任意の延伸率におけるゴム切片の状態をダイレクトに観察することができる。これによって、延伸過程のゴム切片の状態変化(モルフォロジー変化)の観察が可能となる。
【0009】
前記拡開用スリットは、メッシュを延伸方向に伸長させメッシュ上のゴム切片を延伸させていくことができれば、該スリットの寸法、位置、個数、切り込む方向など特に限定されるものでなく、メッシュの開口形状や、メッシュ上に固定されるゴム切片の形状、ゴム切片の固定位置などに応じて適宜設定することができる。
しかしながら、前記拡開用スリットはメッシュの中心を支点として左右方向に均等に延伸されるように、前記支点に対して左右対称位置に設けていることが好ましい。また、拡開用スリットによってメッシュを延伸方向に伸長させるためには、拡開用スリットをメッシュの上下の外縁より交互に複数個切り込んでおくことが好ましい。
【0010】
また、第二の発明として、延伸過程および収縮過程のゴム切片を顕微鏡により観察可能に支持するメッシュであって、
中央部上面が前記ゴム切片を固定する開口を有する載置領域とされると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右の固定部の間の外縁より前記ゴム切片の載置領域に向けて前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の分断用スリットが入れられ、
前記試料ホルダ分離部により前記固定部が離反方向に移動された時、前記分断用スリットで分断される前記固定部に左右両側が固定される前記ゴム切片を延伸させると共に、該延伸位置から前記試料ホルダ分離部により前記固定部が近接方向に移動された時、前記ゴム切片を収縮させる構成としていることを特徴とするメッシュを提供している。
【0011】
前記構成によれば、メッシュには、前記試料ホルダ分離部への左右固定部の間で且つゴム切片の載置位置に向けて、延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の分断用スリットが入れられているので、試料ホルダに設けられメッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させると、メッシュがゴム切片の載置位置にて延伸方向に左右2つに分断されて互いに離反し、この左右両メッシュに固定されるゴム切片はメッシュの分断、離間によって延伸方向に均等に延伸されることとなる。よって、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させるだけで、メッシュ自体を変形させることなくゴム切片を任意の延伸率に延伸させていくことができ、任意の延伸率におけるゴム切片の状態をダイレクトに観察することができる。これにより、延伸過程のゴム切片の状態変化(モルフォロジー変化)の観察が可能となる。
【0012】
さらに、前記延伸過程から、試料ホルダ分離部を左右の固定部を近接させる収縮方向へと移動させると、左右に分断されていたメッシュは互いに近接し、最終的にはメッシュ自体が歪みを残すことなく分断前の一体的なメッシュに戻すことができる。したがって、ゴム切片も延伸前の状態に戻すことができ、前記延伸過程のみならず、収縮過程(戻り過程)におけるゴム切片の状態も観察することが可能となる。
【0013】
前記のように、分断用スリットは延伸方向に対して直交方向あるいは傾斜方向に設けられていれば、メッシュの分断によりゴム切片を延伸方向に延伸させることは可能であるが、延伸方向に対して直交方向に分断用スリットを入れることが最も簡単であり、かつゴム切片を延伸方向に均等に延伸させやすいため特に好ましい。
また、分断用スリットが延伸方向に対して傾斜方向に設けられている場合は、延伸方向に対して10度以上傾斜していることが好ましい。
【0014】
前記ゴム切片の載置領域に網目状あるいは細溝状の開口が設けられ、これら開口を囲む周縁部に前記外縁より前記拡開用スリットあるいは分断用スリットが切り込まれている。
【0015】
前記のように、メッシュはゴム切片の載置位置に網目状開口が設けられているものでも、細溝状開口が設けられているものでもよい。
前記網目状開口が設けられているメッシュの場合には、該外周枠を構成する周縁部のみならず、網目穴を囲む網糸部分の周縁部にも前記拡開用スリットや分断用スリットが切り込まれていなければ、前記拡開用スリットを開いてメッシュを延伸方向に伸長させたり、メッシュを左右に分断させたりすることは困難な場合が多い。
一方、細溝状開口が設けられているメッシュの場合には、細溝状の開口を挟む上下に夫々拡開用スリットを1箇所ずつ設けるだけで、メッシュを延伸方向に大きく伸長させることも可能である。
【0016】
前記分断用スリットは、前記開口を介して前記載置領域を横断させて設けられている 例えば、該細溝状開口を囲む周縁部の上下に分断用スリットを1箇所ずつ設けるだけでメ
ッシュを左右に分断することができる。
なお、分断用スリットを設ける場合には、分断された左右のメッシュに間には延伸方向への離反移動時に開口が生じるため、前記載置領域には網目状や細溝状の開口を必ずしも設ける必要はない。
【0017】
前記第一の発明および第二の発明のメッシュは、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)に特に好ましく用いることができるが、その他、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、レーザ顕微鏡、光学顕微鏡等にも用いることが可能である。
【0018】
また、第三の発明として、第一の発明のメッシュの左右両側が固定された前記試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させて前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を延伸させ、延伸過程における前記ゴム切片を顕微鏡により観察することを特徴とするゴム切片の観察方法を提供している。
【0019】
前記第三の発明では、第一の発明の拡開用スリットが切り込まれたメッシュを用い、前記拡開用スリットを開いてメッシュを延伸方向に伸長させることによりゴム切片を延伸させているため、メッシュの伸長に伴いメッシュ自体に若干の歪みが残る。したがって、収縮過程(戻り過程)のゴム切片の観察ではなく、延伸過程のゴム切片の観察に適している。
【0020】
さらに、第四の発明として、第二の発明のメッシュの左右両側が固定された前記試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させることにより前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を延伸させ、延伸過程における前記ゴム切片を顕微鏡により観察し、引き続き、前記試料ホルダ分離部を収縮方向に移動させることにより前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を収縮させ、収縮過程におけるゴム切片を顕微鏡により観察することを特徴とするゴム切片の観察方法を提供している。
【0021】
前記第四の発明では、第二の発明の分断用スリットが入れられたメッシュを用い、メッシュを延伸方向に2つに分断、離間させることによりゴム切片を延伸するため、メッシュ自体が変形して歪みが残ることがない。したがって、延伸過程のゴム切片の観察だけでなく、収縮過程(戻り過程)のゴム切片の観察も行うことができ、ゴムの破断発生解析、損傷、劣化解析、磨耗解析、ポリマーやフィラーの補強メカニズムの解析、ヒステリシスロス発生のメカニズムの解析などのさまざまな解析や、これらの解析に基づく配合設計などに有効である。
【0022】
なお、前記第三および第四の発明のゴム切片の観察方法で用いられるメッシュの前記拡開用スリットや分断用スリットは、ゴム切片をメッシュの中央部上面に固定してからメッシュにカミソリやメス、カッター等で切り込まれることが好ましい。これにより、メッシュが延伸前にばらばらにならず取り扱いが容易となり、ゴム切片もメッシュに安定した状態で固定することができる。
【発明の効果】
【0023】
前述したように、第一の発明によれば、メッシュには、前記試料ホルダ分離部への左右固定部の間の外縁より延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の拡開用スリットが所要長さで切り込まれているので、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させていくと、メッシュは前記拡開用スリットを開きながら延伸方向に伸長され、メッシュに固定されたゴム切片もメッシュの伸長に伴って延伸されることとなる。よって、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させるだけで、ゴム切片を任意の延伸率に延伸することができ、第三の発明のように、延伸過程のゴム切片をダイレクトに観察することができる。
【0024】
さらに、第二の発明によれば、メッシュには、前記試料ホルダ分離部への左右固定部の間で且つゴム切片の載置位置に向けて、延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の分断用スリットが入れられているので、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させると、メッシュがゴム切片の載置位置にて延伸方向に左右2つに分断され、この左右両メッシュに固定されていたゴム切片はメッシュの分断、離間によって延伸方向に均等に延伸されることとなる。よって、メッシュの左右両側が固定された試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させるだけで、メッシュ自体を変形させることなくゴム切片を任意の延伸率に延伸させていくことができ、延伸過程のゴム切片をダイレクトに観察することができる。
【0025】
さらに、前記延伸過程から、試料ホルダ分離部を収縮方向へと移動させると、左右に分断されていたメッシュは互いに近接し、最終的にはメッシュ自体が歪みを残すことなく分断前の一体的なメッシュに戻すことができる。したがって、ゴム切片も延伸前の状態に戻すことができ、第四の発明のように、延伸過程のみならず、収縮過程(戻り過程)におけるゴム切片の状態も観察することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5に、本発明の第1実施形態を示す。
第1実施形態のメッシュ11は、ゴム切片10の載置領域11bに細溝状開口11aを備え、該細溝状開口11aに連通する分断用スリット12a、12bを備えた形状としている。
即ち、図1に示す中央に3本の細溝状開口11aを備えたメッシュ11に、図2に示す試料となるゴム切片10を前記メッシュ11の中央上面の載置領域11bに固定した後に、図3および図4に示すように、メッシュ11に順次分断用スリット12a、12bを切断刃(本実施形態ではカミソリ刃)を用いて形成している。
【0027】
以下に詳述すると、まず、表1に示す配合のゴム組成物から、ミクロトーム(図示せず、商品名:ウルトラミクロトームEM VC6、LEICA社製)を用いて薄片化したゴム切片10(縦1mm×横2mm×厚200nm)を作製する。
前記ゴム切片10を、図1に示す3本の細溝状開口11a(11a−1、11a−2、11a−3)を備えたメッシュ11(直径3mm)の中央部上面の載置領域11bに前記3本の細溝状開口11aを跨ぐように、専用のループ(図示せず)を用いてゴム切片10を載せて固定する(図2)。
【0028】
【表1】
【0029】
図4に示すように、メッシュ11を試料ホルダ13に載せ、メッシュ11の左右両側(固定部11d、11e)を試料ホルダ分離部13a、13bの押さえ板13a−1、13b−1に挟んでネジ13a−2、13b−2で固定する。
【0030】
続いて、メッシュ11の細溝状開口11aを囲む外周枠11cの図中上下中央に、切断刃(図示せず)を用いて、図3に示すような分断用スリット12a、12bを、ゴム切片10の延伸方向(左右方向)に対して直交方向に切り込むことにより、本実施形態のメッシュが得られる。
即ち、この分断用スリット12a、12bは、3つの細溝状開口11aのうち、中央の開口11a−2に連続するように切り込んでいる。
【0031】
前記のように、メッシュ11の中央の開口11a−2の上下周縁部に分断用スリット12b、12aを設け、この連続させた分断用スリット12a、開口11a−2、分断スリット12bをゴム切片10の載置部を横断させ、分断ラインSLを形成して、メッシュ11を左右の2つのメッシュ11A、11Bに分断している。
なお、分断用スリット12a、12bは図中において上下位置にあるが、メッシュ11は水平配置されるため、分断用スリット12a、12bは水平方向の開口11a−2の前後両側に位置することになる。
【0032】
前記のように分断ラインSLを境界として分断したメッシュ11A、11Bを、それぞれ試料ホルダ分離部13a、13bで固定しているため、試料ボルダ分離部13a、13bを延伸方向へ移動して離反すると、分断ラインSLの隙間が次第に拡大していき、メッシュ11Aと11Bに左右両側を固定したゴム切片10が図中左右方向に延ばされて延伸されることとなる。
【0033】
顕微鏡による観察工程は、具体的には、前記メッシュ11が固定された試料ホルダ13を透過型電子顕微鏡(図示せず)(H7100、加速電圧100KV、日立製)にセットして、延伸率0%のゴム切片10を観察する。
次いで、メッシュ11の左右両側11d、11eが固定された試料ホルダ分離部13a、13bのうち13b側を延伸方向(矢印A方向)に移動させることにより、ゴム切片10を延伸させ、延伸過程における延伸率50%、100%、150%のゴム切片10を観察する。
前記延伸過程での観察終了後に、試料ホルダ分離部13bを矢印B方向に移動させることによりメッシュ11A、11Bを互いに近接させて、ゴム切片10を収縮させ、収縮過程(戻り過程)における延伸率100%、50%、0%のゴム切片1を観察する。
【0034】
前記のように、本発明のメッシュ11には、試料ホルダ分離部13a、13bへの左右固定部11d、11eの間で且つゴム切片10の載置位置11bに向けて、延伸方向(左右方向)と直交方向の分断用スリット12a、12bが入れられているので、メッシュ11の左右両側11d、11eが固定された試料ホルダ分離部13a、13bのうち13b側を延伸方向(矢印A方向)に移動させると、メッシュ11がゴム切片10の載置位置11bにて左右2つのメッシュ2A、2Bに分断され、この左右両メッシュ2A、2Bに固定されていたゴム切片10はメッシュ11の分断、離間によって延伸方向に均等に延伸されることとなる。よって、メッシュ11の左右両側11d、11eが固定された試料ホルダ分離部13a、13bのうち13b側を延伸方向に移動させるだけで、メッシュ11自体を変形させることなくゴム切片10を任意の延伸率に延伸させていくことができ、延伸過程のゴム切片10をダイレクトに観察することができる。
【0035】
また、前記延伸過程から、試料ホルダ分離部13bを収縮方向(矢印B方向)へと移動させると、左右に分断されていたメッシュ11A、11Bは互いに近接し、最終的にはメッシュ11自体が歪みを残すことなく分断前の一体的なメッシュ11に戻すことができる。したがって、ゴム切片10も延伸前の状態に戻すことができ、延伸過程のみならず、収縮過程(戻り過程)におけるゴム切片10の状態も観察することが可能となる。
【0036】
前記延伸過程のゴム切片10および前記収縮過程(戻り過程)のゴム切片10を観察した結果は、下記の通りであった。
即ち、延伸率0%ではフィラーが凝集して存在していることが観察され、延伸していくと最初はフィラー粒子の凝集単位で変形が始まり、延伸率100%を超えると粒子単位の変形が観察された。また、応力集中が大きなフィラーやポリマーの界面では剥離も観察された。さらに、個々のフィラーは均質に伸びるのではなく、各歪に応じて段階的な変化が起きていることも明らかになった。
一方、収縮過程で延伸率を0%まで戻すと、元の凝集構造に戻る過程が観察された。
【0037】
図6(A)〜(C)に第1実施形態の変形例を示す。
図6(A)ではメッシュ11にゴム切片の載置位置に開口を設けず、延伸方向と直交方向の1本の分断用スリット12−1のみを設けている。
図6(B)では延伸方向と直交線に対して角度αが10度で傾斜させた1本の分断用スリット12−2のみを設けている。
このように、分断用スリットを設けると、開口を設けなくなくとも、分断されたメッシュの間に開口が生じるため、必ずしも開口を設ける必要はない。
図6(C)はメッシュ11は外周枠11cで繊維からなる網線100を保持し、網目状開口100aを設けている。このメッシュ11では、外周枠11cから網目線100に分断用スリット12−3を設けている。
【0038】
図7に第2実施形態を示す。
第2実施形態のメッシュ14は、1本の細溝状開口14aを備え、該細溝状開口14aは外周枠14cの下側縁を切り欠いて開口した形状であり、外周枠14cの上側縁に1個の分断用スリット15を形成し、細溝状開口14aと分断用スリット15とで分断ラインSLを形成している。
ゴム切片10をメッシュ14に固定し、メッシュ14の左右両側14d、14eを試料ホルダ分離部13a、13bに固定した後、前記延伸方向(左右方向)に直交方向の分断用スリット15を形成している。
【0039】
第2実施形態においても、試料ホルダ分離部13bの延伸方向への移動により、メッシュ14が左右に分断され、メッシュ14を変形させることなく、ゴム切片10を延伸方向に均等に延伸することができる。したがって、第1実施形態と同様、延伸過程のゴム切片10および伸縮過程(戻り過程)のゴム切片10の状態を観察することができる。
【0040】
図8に第3実施形態を示す。
第3実施形態のメッシュ16は、細溝状開口16aを囲む外周枠16cの上下に、細溝状開口16aと連通しない位置まで、延伸方向(左右方向)に直交方向の拡開用スリット17a、17b、17cを上下交互に設けている。
前記拡開用スリット17a、17b、17cも、メッシュ16にゴム切片10を固定し、メッシュ16の左右両側16d、16eを試料ホルダ分離部13a、13bに固定した後、形成している。その他は第1実施形態と同様としている。
【0041】
前記構成によれば、メッシュ16には、試料ホルダ分離部13a、13bへの左右固定部16d、16eの間の外周枠16cに延伸方向(左右方向)と直交方向の拡開用スリット17a、17b、17cが上下交互に切り込まれているので、メッシュ16の左右両側16d、16eが固定された試料ホルダ分離部13a、13bのうち13b側を延伸方向(矢印A方向)に移動させていくと、メッシュ16は拡開用スリット17a、17b、17cを開きながら延伸方向に伸長され、メッシュ16に固定されたゴム切片10もメッシュ16の伸長に伴って延伸されることとなる。
よって、メッシュ16の左右両側16d、16eが固定された試料ホルダ分離部13a、13bのうち13b側を延伸方向に移動させるだけで、ゴム切片10を任意の延伸率に延伸することができ、延伸過程のゴム切片10をダイレクトに観察することができる。
【0042】
なお、前記拡開用スリットを設けた場合、試料ホルダ分離部13a、13bを延伸方向に離反した後に、近接方向に移動させた場合、メッシュ16とゴム切片10との収縮率が同一でなければ、ゴム切片10に歪みが発生するため収縮過程での観察には用いることができない。
しかしながら、メッシュ16とゴム切片10との収縮率が略同一であれば、収縮過程の観察にも用いることができる。
【0043】
図9(A)(B)に第3実施形態の変形例を示す。
図9(A)のメッシュ16では、中央に左右方向に並列して多数の細溝状開口16aを設け、これら細溝状開口16aの上下方向に交互に拡開用スリット17を設けている。
図9(B)のメッシュ16では開口を設けず、上方から拡開用スリット17eを切り込み、下方から拡開用スリット17fを切り込み、夫々先端に球状に切り込んでいる。このように先端を球状とすると、メッシュ16の延伸作動時にメッシュ16がねじれるのを防止できる。
【0044】
なお、前記実施形態においては、いずれもメッシュにゴム切片を固定した後にスリットを入れているが、前記拡開用スリットの形成位置が、メッシュ16にゴム切片10を載置する領域と干渉しない位置とすれば、メッシュ16にゴム切片10を載置して固定する前に予め形成しておいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のメッシュは、ゴム切片の延伸過程および収縮過程での状態を顕微鏡で観察する時にゴム切片を保持するメッシュとして好適に用いられるが、試料はゴム切片以外にも、延伸する試料、例えば、樹脂製フィルム等の延伸過程および収縮工程の観察にも用いることができる。
また、本発明のメッシュは、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡、レーザ顕微鏡、光学顕微鏡等での観察時に試料保持材として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施形態における市販のメッシュを示す概略平面図である。
【図2】図1のメッシュにゴム切片を固定した状態を示す概略平面図である。
【図3】メッシュに分断用スリットが切り込まれた状態を示す概略平面図である。
【図4】メッシュを試料ホルダに固定した状態を示す概略平面図である。
【図5】試料ホルダ分離部を移動させてゴム切片を延伸させた状態を示す概略平面図である。
【図6】(A)〜(C)は第1実施形態の変形例のメッシュを示す平面図である。
【図7】第2実施形態におけるメッシュを示す概略平面図である。
【図8】第3実施形態におけるメッシュを示す概略平面図である。
【図9】(A)〜(C)は第3実施形態の変形例のメッシュを示す平面図である。
【図10】従来例を示す図である。
【図11】従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
10 ゴム切片
11、14、16 メッシュ
11a、14a、16a 細溝状開口
11b 載置領域
11c、14c、16c 外周枠
11d、11e、14d、14e、16d、16e 左右両側(固定部)
11A、11B 分断された左右のメッシュ
12a、12b、15 分断用スリット
13 試料ホルダ
13a、13b 試料ホルダ分離部
13a−1、13b−1 押さえ板
13a−2、13b−2 ネジ
17a、17b、17c、17e、17f 拡開用スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸過程のゴム切片を顕微鏡により観察可能に支持するメッシュであって、
中央部上面が前記ゴム切片を固定する載置領域とされると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右の固定部の間の外縁より前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の拡開用スリットが所要長さで切り込まれており、
前記試料ホルダ分離部により前記固定部が離反方向へ移動された時に、前記拡開用スリットを外縁に向けて開いて前記延伸方向に伸長させ、前記固定部に左右両側が固定される前記ゴム切片を延伸させる構成としていることを特徴とするメッシュ。
【請求項2】
延伸過程および収縮過程のゴム切片を顕微鏡により観察可能に支持するメッシュであって、
中央部上面が前記ゴム切片を固定する開口を有する載置領域とされると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右の固定部の間の外縁より前記ゴム切片の載置領域に向けて前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の分断用スリットが入れられ、
前記試料ホルダ分離部により前記固定部が離反方向に移動された時、前記分断用スリットで分断される前記固定部に左右両側が固定される前記ゴム切片を延伸させると共に、該延伸位置から前記試料ホルダ分離部により前記固定部が近接方向に移動された時、前記ゴム切片を収縮させる構成としていることを特徴とするメッシュ。
【請求項3】
前記ゴム切片の載置領域に網目状あるいは細溝状の開口が設けられ、これら開口を囲む周縁部に前記外縁より前記拡開用スリットあるいは分断用スリットが切り込まれている請求項1または請求項2に記載のメッシュ。
【請求項4】
前記分断用スリットは、前記開口を介して前記載置領域を横断させて設けられている請求項3に記載のメッシュ。
【請求項5】
請求項1に記載のメッシュの左右両側が固定された前記試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させて前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を延伸させ、延伸過程における前記ゴム切片を顕微鏡により観察することを特徴とするゴム切片の観察方法。
【請求項6】
請求項2に記載のメッシュの左右両側が固定された前記試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させることにより前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を延伸させ、延伸過程における前記ゴム切片を顕微鏡により観察し、引き続き、前記試料ホルダ分離部を収縮方向に移動させることにより前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を収縮させ、収縮過程におけるゴム切片を顕微鏡により観察することを特徴とするゴム切片の観察方法。
【請求項1】
延伸過程のゴム切片を顕微鏡により観察可能に支持するメッシュであって、
中央部上面が前記ゴム切片を固定する載置領域とされると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右の固定部の間の外縁より前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の拡開用スリットが所要長さで切り込まれており、
前記試料ホルダ分離部により前記固定部が離反方向へ移動された時に、前記拡開用スリットを外縁に向けて開いて前記延伸方向に伸長させ、前記固定部に左右両側が固定される前記ゴム切片を延伸させる構成としていることを特徴とするメッシュ。
【請求項2】
延伸過程および収縮過程のゴム切片を顕微鏡により観察可能に支持するメッシュであって、
中央部上面が前記ゴム切片を固定する開口を有する載置領域とされると共に、該載置領域を挟む左右両側が前記延伸方向に移動される試料ホルダ分離部への固定部とされ、該左右の固定部の間の外縁より前記ゴム切片の載置領域に向けて前記延伸方向と直交方向あるいは傾斜方向の分断用スリットが入れられ、
前記試料ホルダ分離部により前記固定部が離反方向に移動された時、前記分断用スリットで分断される前記固定部に左右両側が固定される前記ゴム切片を延伸させると共に、該延伸位置から前記試料ホルダ分離部により前記固定部が近接方向に移動された時、前記ゴム切片を収縮させる構成としていることを特徴とするメッシュ。
【請求項3】
前記ゴム切片の載置領域に網目状あるいは細溝状の開口が設けられ、これら開口を囲む周縁部に前記外縁より前記拡開用スリットあるいは分断用スリットが切り込まれている請求項1または請求項2に記載のメッシュ。
【請求項4】
前記分断用スリットは、前記開口を介して前記載置領域を横断させて設けられている請求項3に記載のメッシュ。
【請求項5】
請求項1に記載のメッシュの左右両側が固定された前記試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させて前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を延伸させ、延伸過程における前記ゴム切片を顕微鏡により観察することを特徴とするゴム切片の観察方法。
【請求項6】
請求項2に記載のメッシュの左右両側が固定された前記試料ホルダ分離部を延伸方向に移動させることにより前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を延伸させ、延伸過程における前記ゴム切片を顕微鏡により観察し、引き続き、前記試料ホルダ分離部を収縮方向に移動させることにより前記メッシュの載置領域に固定された前記ゴム切片を収縮させ、収縮過程におけるゴム切片を顕微鏡により観察することを特徴とするゴム切片の観察方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−96161(P2008−96161A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275543(P2006−275543)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】
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