説明

メディアコンバータ

【課題】 光ファイバーケーブルにとって好ましくない小さい配線曲げ半径を避けた配線が容易となるメディアコンバータを提供する。
【解決手段】 ケース2の周壁8は、光信号端子4が設けられた第1の側壁11と、第1の側壁11に対して対向し電気信号端子5が設けられた第2の側壁12とを有している。第1の側壁11と第2の側壁12とは、非平行とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば電気信号ケーブルと光ファイバケーブルとの接続のように異なる種類の伝送媒体を接続するためのメディアコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
電気信号ケーブルと光ファイバケーブルとの接続を行うメディアコンバータとして、底壁、頂壁および周壁を有するケースと、ケース内部に設けられた電子回路基板と、周壁の所要箇所に設けられた光信号端子および電気信号端子とを備えているものが知られている。特許文献1のものでは、電気信号ケーブルの取出し方向と光ファイバケーブルの取出し方向とを垂直にすることが可能なメディアコンバータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−122514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のメディアコンバータによると、従来、電気信号ケーブルの取出し方向と光ファイバケーブルの取出し方向とが平行(同方向か反対方向)に限定されていたものが、取出し方向90°が可能になるという利点を有している。しかしながら、ケースが直方体状とされて、この限定の下に、光信号端子および電気信号端子が設けられているので、電気信号ケーブルの取出し方向と光ファイバケーブルの取出し方向とが平行とされているものと同様に、設置場所によっては、光ファイバーケーブルにとって好ましくない小さい配線曲げ半径を余儀なくされ、光通信の妨げになることがあるという問題があった。
【0005】
この発明の目的は、光ファイバーケーブルにとって好ましくない小さい配線曲げ半径を避けた配線が容易となるメディアコンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明によるメディアコンバータは、底壁、頂壁および周壁を有するケースと、ケース内部に設けられた電子回路基板と、周壁の所要箇所に設けられた光信号端子および電気信号端子とを備えているメディアコンバータにおいて、ケースの周壁は、光信号端子が設けられた第1の側壁と、第1の側壁に対して非平行となるように対向し電気信号端子が設けられた第2の側壁とを有しており、第1の側壁と第2の側壁とがなす角が8〜60°とされていることを特徴とするものである。
【0007】
従来のメディアコンバータでは、ケースが直方体状とされており、光信号端子が設けられた第1の側壁と電気信号端子が設けられた第2の側壁とは、互いに対向しかつ平行または互いに連なってかつ垂直とされているのに対し、この発明によるメディアコンバータでは、第1の側壁と第2の側壁とは、対向はしているが、非平行(第1の側壁と第2の側壁とがなす角が8〜60°、より好ましくは15〜50°)とされている。
【0008】
電子回路基板は、略円形であることが好ましい。従来の電子回路基板は、方形とされており、このため、光信号端子および電気信号端子の設置方向が限定され、これに伴って、方形の電子回路基板を収容する直方体状ケースにおいて、光信号端子が設けられた第1の側壁と電気信号端子が設けられた第2の側壁がなす角が0°または90°に限定されていたが、電子回路基板を略円形とすることで、ケースの周壁の形状を変更することが容易となり、光信号端子が設けられた第1の側壁と電気信号端子が設けられた第2の側壁とのなす角を所定値(8〜60°)に設定することが容易となる。
【0009】
ケースの周壁は、具体的には、光信号端子が設けられた第1の側壁とこれに連なる第3の側壁とによって形成された第1の角部と、電気信号端子が設けられた第2の側壁とこれに連なる第4の側壁とによって形成された第2の角部と、第1の側壁と第4の側壁とをつなぐ第1の曲面部と、第2の側壁と第3の側壁とをつなぐ第2の曲面部とを有しているものとされることが好ましい。第1の角部および第2の角部は、ちょうど直角の角部とされてもよく、鈍角とされても鋭角とされてもよい。第1および第2の曲面部は、同じ中心を持つ円の円弧とされる。
【0010】
この形状のケースにおいて、光信号端子が設けられた第1の側壁と第4の側壁とのなす角が100〜160°(より好ましくは、105〜140°)とされていることがあり、また、光信号端子が設けられた第1の側壁と第4の側壁とのなす角が30〜80°(より好ましくは、40〜70°)とされていることがある。
【発明の効果】
【0011】
この発明のメディアコンバータによると、光信号端子が設けられた第1の側壁と電気信号端子が設けられた第2の側壁とが非平行となるので、光ファイバーケーブルにとって好ましくない小さい配線曲げ半径を避けた上での配線が容易となり、配線の作業性が向上するとともに、光通信の妨げになる配線も防止される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、この発明によるメディアコンバータの第1実施形態を示す正面図である。
【図2】図2は、第1実施形態のものを向きを変えて使用する場合の1例を示す正面図である。
【図3】図3は、この発明によるメディアコンバータの第2実施形態を示す正面図である。
【図4】図4は、第2実施形態のものを向きを変えて使用する場合の1例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0014】
この発明によるメディアコンバータ(1)の第1実施形態は、図1および図2に示すように、底壁(図示略)、頂壁(7)および周壁(8)を有する合成樹脂製ケース(2)と、ケース(2)内部に設けられた略円形の電子回路基板(3)と、周壁(8)の所要箇所に設けられた光信号端子(4)、電気信号端子(5)および発光ダイオード(6)とを備えている。
【0015】
光信号端子(4)には、光ファイバケーブル(POF)(9)が接続され、電気信号端子(5)には、LAN用の電気信号ケーブル(10)が接続される。
【0016】
ケース(2)の周壁(8)は、光信号端子(4)が設けられた平坦状の第1の側壁(11)と、第1の側壁(11)に対して非平行となるように対向し電気信号端子(5)が設けられた平坦状の第2の側壁(12)と、第1の側壁(11)とこれに連なる平坦状の第3の側壁(13)とによって形成された第1の角部(15)と、第2の側壁(12)とこれに連なる平坦状の第4の側壁(14)とによって形成された第2の角部(16)と、第1の側壁(11)と第4の側壁(14)とをつなぐ第1の曲面部(17)と、第2の側壁(12)と第3の側壁(13)とをつなぐ第2の曲面部(18)とからなる。
【0017】
光信号端子(4)が設けられた第1の側壁(11)と第4の側壁(14)とのなす角は、鈍角(例えば105°)とされており、これにより、第1の側壁(11)と第2の側壁(12)とが非平行、すなわち、第1の側壁(11)と第2の側壁(12)とのなす角が0°でない大きさ(例えば15°)を有しているようになっている。
【0018】
なお、第1の角部(15)は、直角よりわずかに大きい鈍角とされ、第2の角部(16)は、直角とされている。
【0019】
このメディアコンバータ(1)は、例えば、壁面と床面との間において壁面の下部に沿って設けられた巾木部分に水平方向の配線を行うのに適しており、図1においては、電気信号端子(5)が設けられた第2の側壁(12)が床面に垂直となるように、第4の側壁(14)が床面に載置されている。これにより、第1の側壁(11)と床面のなす角は、鈍角となり、光信号端子(4)は、斜め下を向くようになっている。また、図2においては、第3の側壁(13)が床面に載置されている。これにより、第1の側壁(11)に設けられた光信号端子(4)は、第1の角部(15)が直角よりわずかに大きい鈍角をなしているため、わずかに斜め下を向くようになっている。そして、電気信号端子(5)が設けられた第2の側壁(12)と床面のなす角は、鋭角となり、電気信号ケーブル(10)を上方に取り出しやすくなっている。
【0020】
上記メディアコンバータ(1)は、巾木の他、机の上面、棚、壁面上部などに取り付けることももちろん可能であり、この場合、第1の側壁(11)と第2の側壁(12)とが非平行となされているので、電気信号ケーブル(10)を所定の方向に取り出すとともに、これに合わせて光ファイバケーブル(9)の方向を変更する際、光ファイバーケーブル(9)にとって好ましくない小さい配線曲げ半径を容易に避けることができる。
【0021】
上記において、例えば、壁面に垂直方向の配線を行う場合などでは、光信号端子(4)と電気信号端子(5)とを逆にすることができる。すなわち、図3および図4に示すように、第2実施形態のメディアコンバータ(1)では、ケース(2)の周壁(8)は、光信号端子(4)が設けられた平坦状の第1の側壁(21)と、第1の側壁(21)に対して非平行となるように対向し電気信号端子(5)が設けられた平坦状の第2の側壁(22)と、第1の側壁(21)とこれに連なる平坦状の第3の側壁(23)とによって形成された第1の角部(25)と、第2の側壁(22)とこれに連なる平坦状の第4の側壁(24)とによって形成された第2の角部(26)と、第1の側壁(21)と第4の側壁(24)とをつなぐ第1の曲面部(27)と、第2の側壁(22)と第3の側壁(23)とをつなぐ第2の曲面部(28)とからなる。
【0022】
光信号端子(4)が設けられた第1の側壁(21)と第4の側壁(24)とのなす角は、鋭角(例えば70°)とされており、これにより、第1の側壁(21)と第2の側壁(22)とが非平行、すなわち、第1の側壁(21)と第2の側壁(22)とのなす角が0°でない大きさ(例えば15°)を有しているようになっている。第1実施形態との相違点は、これを図1と同様に配置した場合に、光信号端子(4)が上を向くようになっている点である。なお、第1の角部(25)および第2の角部(26)は、ともに直角とされている。
【0023】
この実施形態においても、第1の側壁(21)と第2の側壁(22)とが非平行となされているので、電気信号ケーブル(10)を所定の方向に取り出すとともに、これに合わせて光ファイバケーブル(9)の方向を変更する際、光ファイバーケーブル(9)にとって好ましくない小さい配線曲げ半径を容易に避けることができる。
【符号の説明】
【0024】
(1) メディアコンバータ
(2) ケース
(3) 電子回路基板
(4) 光信号端子
(5) 電気信号端子
(7) 頂壁
(8) 周壁
(11)(21) 第1の側壁
(12)(22) 第2の側壁
(13)(23) 第3の側壁
(14)(24) 第4の側壁
(15)(25) 第1の角部
(16)(26) 第2の角部
(17)(27) 第1の曲面部
(18)(28) 第2の曲面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁、頂壁および周壁を有するケースと、ケース内部に設けられた電子回路基板と、周壁の所要箇所に設けられた光信号端子および電気信号端子とを備えているメディアコンバータにおいて、
ケースの周壁は、光信号端子が設けられた第1の側壁と、第1の側壁に対して非平行となるように対向し電気信号端子が設けられた第2の側壁とを有しており、第1の側壁と第2の側壁とがなす角が8〜60°とされていることを特徴とするメディアコンバータ。
【請求項2】
ケースの周壁は、第1の側壁とこれに連なる第3の側壁とによって形成された第1の角部と、第2の側壁とこれに連なる第4の側壁とによって形成された第2の角部と、第1の側壁と第4の側壁とをつなぐ第1の曲面部と、第2の側壁と第3の側壁とをつなぐ第2の曲面部とを有している請求項1のメディアコンバータ。
【請求項3】
第1の側壁と第4の側壁とのなす角が100〜160°とされている請求項2のメディアコンバータ。
【請求項4】
第1の側壁と第4の側壁とのなす角が30〜80°とされている請求項2のメディアコンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−32491(P2012−32491A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170387(P2010−170387)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】