説明

メディアストリーム加工システム、メディアストリーム加工方法、コンポーネント実現装置

【課題】複数メディアサーバのメディアストリーム加工機能間の連携を実現する。
【解決手段】コンポーネント実現部103上に各メディアサーバ104a、104bの持つメディアストリーム加工機能141a〜141dに対応するコンポーネント131a〜131cをAPI132によって生成する。コンポーネント実現部103は、メディアサーバ104a、104b上のメディアストリーム加工機能141a〜141dをメディアストリーム加工機能表133により管理する。アプリケーションサーバ106からのコンポーネント生成API呼び出しに対して、指定された種別のメディアストリーム加工機能を持つメディアサーバ104a、104b上に、対象メディアストリーム加工機能のオブジェクトを生成し、指定された種別のコンポーネントオブジェクトをコンポーネント実現部103上に生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信事業者以外を含むサービス提供者が、通信事業者の次世代ネットワークにおけるメディアサービスを開発するための、メディアストリーム加工システム、メディアストリーム加工方法、コンポーネント実現装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リアルタイムにメディアストリームの加工を行うサービスを開発する際、メディアストリーム加工機能を持つメディアサーバ等の装置が用いられる。ここで言うメディアストリーム加工機能とは、メディアストリームの1つないし複数の入力に対し、1つないし複数のメディアストリームの出力を行うものを指す。
【0003】
これらのメディアサーバの特つメディアストリーム加工機能を制御しサービスを開発する方法として、VoiceXML(Voice Extensible Markup Language:非特許文献1)や、CCXML(Cal1 Control Extensible Markup Language:非特許文献2)、MSCML(Media Server Control Markup Language:非特許文献3)等、標準化された音声メディアサーバ制御言語や、メディアサーバ毎に独自の制御インターフェースが用いられている。また、非特許文献4には、SIP端末等の通信端末間の接続に用いられるParlayXについて記載されている。
【0004】
図6は、従来のメディアサーバにおける機能構成例を示すものである。図6において、メディアサーバ501はメディアの再生や記録等を行う複数のメディア制御機能511a、511bの他に、複数のメディアストリーム加工機能512a〜512cを持つ。これらのメディアストリーム加工機能512a〜512cは、制御インターフェース513を介して、サービスシナリオ514a〜514cから利用される。
【0005】
制御インターフェース513は、このメディアサーバ501の機能の制御のみを目的としており、他のメディアサーバの機能を制御することはできない。そのためメディアストリーム加工機能512a〜512c間での組み合わせは可能でも、外部のメディアサーバの持つメディアストリーム加工機能との組み合わせを行うことはできない。
【0006】
なお、一般には、メディアストリーム加工機能に加えて様々なメディアの制御(再生、録音等)を行うものをメディアサーバと呼ぶが、以下の説明では、これらのメディアサーバと、メディアストリーム加工機能のみを持つ装置をともにメディアサーバと呼ぶ。
【非特許文献1】“Voice Extensible Markup Language (VoiceXML) Version 2.0, W3C Recommendation 16 March 2004”、「online」、「平成19年8月13日検索」、インターネット<URL:http://www.w3.org/TR/voicexml20/>
【非特許文献2】“Voice Browser Call Control: CCXML Version 1.0, W3C Working Draft 19 January 2007”、「online」、「平成19年8月13日検索」、インターネット<URL:http://www.w3.org/TR/ccxml/>
【非特許文献3】“Media Server Control Markup Language (MSCML) and Protocol”、「online」、「平成19年8月13日検索」、インターネット<URL:http://www.ietf.org/rfc/rfc4722.txt>
【非特許文献4】“ETSI ES 202 391-2 V1.2.1(2006-12), Open Sercice Access(OSA);Parlay X Web Services; Part 2:Third Party Copy(Parlay X2)”、「online」、「平成19年8月13日検索」、インターネット<URL:http://webapp.etsi.org/action%5CPU/20061219/es_20239102v010201p.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の非特許文献で示されるようなインターフェースは特定のメディアサーバ装置上のメディアストリーム加工機能を利用するためのものであり、メディアストリーム加工機能に対し外部のメディアストリームを入力する手段や、メディアストリーム加工機能から外部にメディアストリームを出力する手段が設けられていない。このため、複数のメディアサーバ上の複数のメディアストリーム加工機能を組み合わせて利用することはできなかった。
【0008】
例えば、あるメディアサーバの持つメディアストリーム加工機能AとBを組み合わせて利用することはできても、このAやBと他のメディアサーバの持つメディアストリーム加工機能Cとを組み合わせて利用することはできなかった。このため、メディアストリームの加工を行うメディアサービスを開発する際は、ある特定のメディアサーバに対象を絞り、そのメディアサーバ上で提供されているメディアストリーム加工機能のみを用いる必要があった。
【0009】
対象として選んだメディアサーバだけでは、目的とするサービスを実現するメディアストリーム加工機能を満足できない場合は、複数のメディアサーバ製品を用意し、直接メディアサーバプログラムを改変するか、あるいは独自に複数メディアサーバのメディアストリーム加工機能の相互利用を可能とするプログラムを開発する必要があった。
【0010】
後者の場合も、対象のメディアサーバだけを考慮して相互利用プログラムを開発するだけでは、更に別のメディアストリーム加工機能を持つメディアサーバが必要となった際に、これを追加することが難しい状況が発生するというように接続性に欠け、汎用的なメディアストリーム加工機能間の連携方法が無い。
【0011】
そこでこの発明は、複数メディアサーバのメディアストリーム加工機能間の連携方法を実現することができるメディアストリーム加工システム、メディアストリーム加工方法、コンポーネント実現装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するために、本発明は、呼制御用ネットワークに接続されている端末と、複数のプロトコルのストリームデータの加工機能を有する複数のメディアサーバと、端末と、複数のメディアサーバとの間に設けられ、各メディアサーバの持つメディアストリーム加工機能に対し、対応するコンポーネントを生成し、アプリケーションからこのコンポーネントの組み合わせを指定することでメディアストリーム加工処理を行うコンポーネント実現部とを有することを特徴とするメディアストリーム加工システムである。
【0013】
本発明において、コンポーネント実現部は、コンポーネントに対応するメディアストリーム加工機能の種類と、それを提供するメディアサーバのアドレスとが対応付けられて記述されたメディアストリーム加工機能表を有することを特徴とする。
【0014】
本発明は、端末と、複数種類のプロトコルのストリームデータの加工機能を有する複数のメディアサーバとの間にコンポーネント実現部を設け、コンポーネント実現部により、各メディアサーバの持つメディアストリーム加工機能に対し、対応するコンポーネントを生成し、アプリケーションからこのコンポーネントの組み合わせを指定することでメディアストリーム加工処理を行うようにしたことを特徴とするメディアストリーム加工方法である。
【0015】
本発明は、端末と、複数種類のプロトコルのストリームデータの加工機能を有するメディアサーバとの間に設けられるコンポーネント実現装置であって、各メディアサーバの持つメディアストリーム加工機能を実現するためのアプリケーションインターフェースの提供手段と、各メディアサーバの持つメディアストリーム加工機能に対し、対応するコンポーネントを生成する手段と、アプリケーションからこのコンポーネントの組み合わせを指定することでメディアストリーム加工処理を行う手段とを備えるようにしたコンポーネント実現装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数のメディアストリーム加工機能を組み合わせて利用するメディアサービスを実現できる。これにより、メディアサーバ自体への機能追加を必要とせずに、メディアサービスにおいてリアルタイムかつ多彩なメディアストリームの加工を可能とし、その表現の幅を広げるとともに、迅速なメディアサービス開発が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態のネットワーク構成を示すものである。
この実施形態では、メディアストリーム加工方法として、コンポーネント間及び端末間の接続形式としてSIP(Session initiation Protocol)を使用し、サービスからコンポーネント実現部のAPI(Application Programming Interface)の実行にSOAP(Simple Object Access Protocol)を用いる構成としている。
【0018】
SIPは次世代ネットワークにおけるセッション制御に用いられる標準技術であり、端末間や、端末とアプリケーションサーバ間での接続等に用いられる。SOAPはWebサービスを呼び出す際に用いられる標準形式の一つである。
【0019】
図1において、101a、101b、101cは端末である。端末101a、101b、101cは、SIPプロトコルによりセッションを確立でき、SIP端末となる。端末101a、101b、101cは、呼制御用ネットワーク102を介して、コンポーネント実現部103に接続されている。
【0020】
104a、104bはメディアサーバである。メディアサーバ104a、104bは、複数のプロトコルで、データのストリーミングサービスを提供している。メディアサーバのプロトコルとしては、VoiceXML,CCXML,MSCML等が想定される。メディアサーバ104a、104bは、制御インターフェース140a、140bと、メディアストリーム加工機能141a及び141b、141c及び141dとを備えている。各メディアサーバ104a、104bは、それぞれ、メディア制御用ネットワーク105a、105bを介して、コンポーネント実現部103に接続されている。
【0021】
103はコンポーネント実現部である。コンポーネント実現部103は、複数のメディアサーバ104a、104b上のメディアストリーム加工機能間の連携を実現するために、呼制御用ネットワーク102と各メディアサーバ104a、104bのメディア制御用ネットワーク105a、105bとの境界に設置される。コンポーネント実現部103は、当該コンポーネント実現部103上に、各メディアサーバ104a、104bの持つメディアストリーム加工機能141a及び141b、141c及び141dに対応するコンポーネント131a、131b、131cを、API132によって生成し、これを公開している。コンポーネント実現部103は、接続されたメディアサーバ104a、104b、上にどのようなメディアストリーム加工機能が存在するかを、コンポーネント実現部103上のメディアストリーム加工機能表133によって管理している。このメディアストリーム加工機能表133には、各メディアストリーム加工機能の種類と、それを提供するメディアサーバ104a、104bのアドレスとが対応付けられて記述されている。
【0022】
106はアプリケーションサーバである。アプリケーションサーバ106は、アプリケーション処理部160を有している。アプリケーションサーバ106は、情報ネットワーク107を介して、コンポーネント実現部103に接続されている。アプリケーションサーバ106は、コンポーネント131a、131b、131cの間を接続するアプリケーションを提供している。
【0023】
アプリケーションサーバ106からのコンポーネント生成API呼び出しに対して、このAPI呼び出しで指定された種別のメディアストリーム加工機能を持つコンポーネントが生成され、指定された種別のコンポーネント131a、131b、131cがコンポーネント実現部103上に生成される。
【0024】
生成されたコンポーネント131a、131b、131cは、対応するメディアサーバ104a、104b上のメディアストリーム加工機能オブジェクトのアドレスを持ち、セッション接続時に実際のメディアストリームがこのアドレスから流れるよう指示される。
【0025】
コンポーネント実現部103に情報ネットワーク107によって接続されたアプリケーションサーバ106上のアプリケーションから、生成された複数のコンポーネント131a〜131cを接続するAPIがコンポーネント実現部103に対して呼び出されると、コンポーネント実現部103で、これらのコンポーネント131a〜131cの間でセッションが確立される。
【0026】
コンポーネント実現部103のAPI132は、以下の3つのサービスを利用可能としている。
【0027】
・コンポーネント生成API
コンポーネント実現部103に接続されたメディアサーバ104a、104bの持つメディアストリーム加工機能141a及び141b、141c及び141dに対応するコンポーネントを生成し、メディアサーバのリソースを確保する命令である。メディアストリーム加工機能の指定と、その細かい動作指定等をパラメータとして与える。1つのメディアストリーム加工機能に対し複数のコンポーネントを生成することが可能である。
【0028】
・コンポーネント破棄API
上記コンポーネント生成APIによって生成されたコンポーネントを破棄し、コンポーネント実現部103上のリソース及び破棄対象コンポーネントの生成時に確保したメディアサーバのリソースを解放する命令である。
【0029】
・コンポーネント間接続API
コンポーネントとコンポーネントの間にセッションを確立する命令である。実際のメディアストリームは、コンポーネントの対応するメディアストリーム加工機能141a及び141b、141c及び141dを持つメディアサーバ104a、104b間で送受信される。
【0030】
また、本発明の実施形態のメディアストリーム加工方法における最も基本的なコンポーネントとして、次の種類を挙げる。これらの機能は一般のメディアサーバにおいて提供されている基本的なメディアストリーム加工機能を5種類に分類したものである。
【0031】
・ミキサ
ミキサコンポーネントは、複数のメディアストリームの入力を複合し、一つのメディアストリームとして出力するものである。例えば、音声の場合であれば、入力ストリームの全波形を重ね合わせた波形を出力する、あるいは最も音量の大きな音を選択する等の動作をアプリケーションの指定によって行う。映像の複合については、様々な方法(一方の映像に半透明にしたもう一方の映像を重ね合わせて二重化する方法や、一方の映像の特定の領域にもう一方の映像を映し出す方法等)が考えられ、複合の方法はメディアサービスから指定するものとし、ここではそれら全てを一括してミキサと呼ぶ。
【0032】
・ディストリビュータ
ディストリビュータコンポーネントは、単一のメディアストリームの入力を複数の出力として分配する機能である。
【0033】
・マルチプレクサ
マルチプレクサコンポーネントは、音声と映像の一体となった入力メディアストリームに対し、そのうちの音声のみのストリームと、映像のみのストリームという2種類の出力を行う機能である。同時に、音声のみ出力する側のコンポーネントから入力された音声と、映像のみ出力する側のコンポーネントから入力された映像とを一体とした出力を、映像と音声が一体となった入力側に対して出力を行う。
【0034】
・カンファレンス
従来の電話会議で用いられているように、音声については出力対象のコンポーネントからの入力を除いた全ての入力に対してミキサコンポーネントと同様のミキシング処理を行う。映像については入力メディアストリームのうち、音声について最大の音量を持つストリームの映像のみを全コンポーネントに出力する方法や、画面を接続コンポーネント数だけ分割して全入力メディアストリームの映像を複合する方法等のうち、サービスから指定した動作を行う。一般にミキサやディストリビュータという形でメディアストリーム加工機能が提供される場合は少なく、多くはカンファレンス機能のみが提供される。ミキサは出力対象が1つで、それ以外の出力が無効化されたカンファレンスと捉えることができ、ディストリビュータは入力が1つで、それ以外の入力が無効化されたカンファレンスと捉えることができる。
【0035】
・スイッチ
スイッチコンポーネントは、通常のセッション制御によって接続されたコンポーネント同士が互いに入力と出力の対象となっている点に対し、入力と出力の対象をそれぞれ別のコンポーネントに振り分ける機能である。接続された3つのコンポーネントをそれぞれA,B,Cと置く場合、Aからのスイッチヘの入力をBに出力し、Cからのスイッチヘの入力をAへと出力する形となる。
【0036】
・フィルタ
フィルタコンポーネントは、1つの入力メディアストリームに対し、このメディアストリームの内容に変更を加えたものを1つ出力する機能である。一般に「メディアの加工」と呼ばれる音声へのエコーや残響音の付与、あるいは映像の回転や拡大縮小、色調補正といったエフェクトの類は全てこのフィルタコンポーネントにあたる。これらのフィルタの種類は、コンポーネント毎にサービスによって指定する。
【0037】
アプリケーションサーバ106上のアプリケーション処理部160が実際にこれらの制御を行うには、情報ネットワーク107を介してコンポーネント実現部103のAPI132を呼び出す。
【0038】
図2は、コンポーネント実現部103の詳細の機能構成例を示すものである。
【0039】
図2において、メディアストリーム加工機能表133は、コンポーネント実現部103に接続された全てのメディアサーバ104a、104bの持つ全てのメディアストリーム加工機能141a〜141dの表を持つ。ここでは基本的なメディアストリーム加工機能として、ミキサ311、ディストリビュータ312、マルチプレクサ313、カンファレンス314、スイッチ315、フィルタ316、317等を例として表に持つとしている。
【0040】
API132には、コンポーネント生成API321、コンポーネント破棄API322、コンポーネント間接続API323等が含まれる。
【0041】
コンポーネント生成API321が呼び出されると、指定されたコンポーネント種別に対応するメディアストリーム加工機能141a〜141dを持つメディアサーバ104a、104b上に、制御インターフェース140a、140bによってメディアストリーム加工機能を利用可能とする初期化処理が行われる。この初期化処理の後、コンポーネントがコンポーネント実現部103上に生成される。
【0042】
コンポーネント破棄API322によって、これらの生成されたコンポーネントオブジェクトを破棄することができる。
【0043】
生成されたコンポーネントオブジェクト間の接続には、コンポーネント間接続API323が用いられる。本実施形態例では、コンポーネント間の接続形式にSIPを想定しているため、ここではSIP端末間の接続に用いられるParlayX(非特許文献4)のmakeCall命令に相当するAPIを提供するものと考えることができる。このコンポーネント間接続API323は、呼制御用ネットワーク102を介してコンポーネント間の接続を行う。
【0044】
アプリケーション処理部160の指定したコンポーネント間の接続が全て完了されると、サービスの提供準備が整った状態となり、端末101a〜101cから呼制御用ネットワーク102を介してサービスが公開されるSIP URIを持つコンポーネントに対して、接続が行われる。
【0045】
図3により、基本的なコンポーネント種別のメディアストリーム加工機能を説明する。ここで、コンポーネントに接続される他のコンポーネント(図1におけるコンポーネント131a〜131cに対応)やSIP端末(図1における端末101a〜101cに対応)は、等しくSIPで接続されるSIP UA(UserAgent)であることから、これらを一括して単にSIP UAと呼ぶ。
【0046】
ミキサC10は、ミキサC10に接続されたSIP UA C11〜SIP UA C13のメディアストリームを複合して接続し、SIPUA C14に出力する。
【0047】
ディストリビュータC20は、ディストリビュータC20に接続されたSIP UA C21からのメディアストリームを、SIP UA C22〜SIP UA 24に分配する。
【0048】
マルチプレクサC30は、SIP UA C31からの映像と音声が一体となった入力から、映像のみを分離したものを別のSIP UAC32と、音声のみを分離したものを更に別のSIP UA C33とを出力する。また、SIP UA C32から入力された映像メディアストリームと、SIP UA C33から入力された音声メディアストリームをと複合し、映像と音声が一体となったメディアストリームをSIP UA C31を出力する。
【0049】
カンファレンスC40は、SIP UA C41に対してはSIP UA C42、SIP UA C43から入力されたメディアストリームを複合したものを出力し、同様にSIP UA C42に対しては、SIP UAC41、SIP UA C43からの入力を複合したもの、SIP UA C43に対してはSIP UA C41,SIP UA C42からの入力を複合したものを出力するというように、出力対象の入力以外の入力を複合したものを出力する。
【0050】
スイッチC50は、SIP UA C51からの入力はSIP UA C53に出力し、別のSIP UA C52からの入力をSIP UA C51に出力する。
【0051】
フィルタC60は、SIP UA C61からの入力メディアストリームに対し様々な変更を加えた後に、SIP UA C62へと出力する。
【0052】
図4は、コンポーネントと端末間のセッション制御に対し、実際のメディアストリームがどう送受信されるかを表す。ここでは、例としてメディアサーバA40、A41、A42(図1のメディアサーバ104a、104bに対応する)の3つを使い、メディアサーバA42の提供する映像コンテンツに、CM映像を縮小したものを合成してSIP端末A10(図1の端末101a〜101cに対応する)に出力するサービスを挙げる。
【0053】
この例では、コンポーネント実現部上にコンポーネントが2つ生成されている(ミキサA20とフィルタA21)。これらと、SIP端末A10及びメディアサーバA42の持つSIP UA(CM映像A30と映像コンテンツA31)が図のようにセッション確立されている。CM映像A30の映像メディアストリームが拡大縮小を行うフィルタA21に渡され、縮小された映像メディアストリームがミキサA20へと渡される。ミキサA20へは映像コンテンツA31の映像メディアストリームも入力されており、これら2つの映像メディアストリームを複合したものを、SIP端末A10へと出力する。実際のメディアストリームは、メディアサーバA42からメディアサーバA41を介してメディアサーバA40へと渡されるもの(CM映像)と、メディアサーバA42からメディアサーバA40へと直接渡されるもの(映像コンテンツ)との2つの流れがあり、これらがメディアサーバ A40上で複合されたものが、メディアサーバA40からSIP端末A10へと出力される形となる。
【0054】
図5に、4つのコンポーネントを組み合わせることで、遠隔地点のSIP端末を用いるサービス利用者同士が、カラオケを行うことのできるサービス例を示す。ここでは、サービス提供者の持つメディアサーバから、歌い手の指定した楽曲の字幕映像(映像メディアストリーム)X20とカラオケ楽曲(音声メディアストリーム)X21とがそれぞれ別のSIP UAから出力されると考える。字幕映像X20とディストリビュータX31を介して分配されたカラオケ楽曲X21の映像と音声のメディアストリームが、マルチプレクサX30によって映像と音声が一体化した一つのメディアストリームとして扱われる。歌い手の端末X10には、スイッチX32を介してこのメディアストリームが入力され、端末X10上にて再生される。この再生された字幕(歌詞)映像とカラオケ楽曲に合わせて歌い手が歌う入力(映像プラス音声)は、スイッチX32を介してカンファレンスX33へと出力される。カンファレンスX33にはディストリビュータX31によって分配されたカラオケ楽曲X21の音声メディアストリームも入力され、これらと聴き手の端末X11,X12からの音声入力とが複合され、聴き手の端末X11,X12へと出力され、端末X11,X12上で再生される。
【0055】
本発明によりコンポーネントの入出力形式が共通化されたため、この図5のようにコンポーネントの組み合わせを、コンポーネントとその間の接続を有向グラフによって表現することが可能となる。このような表現によるGUI(グラフィカルユーザインタフェース)でのコンポーネントの制御を可能とすることにより、サービス開発者はコンポーネントの組み合わせを直感的に指定することが可能になる。
【0056】
以上説明したように、本発明の実施形態では、コンポーネント実現部103を設けることで、複数のメディアサーバの持つメディアストリーム加工機能を組み合わせて利用することを可能としている。その方法として、メディアサーバの持つメディアストリーム加工機能を機能毎にコンポーネントと呼ぶ抽象的な機能ブロックと関連付け、この個々のコンポーネントの組み合わせによって、サービス事業者が複数のメディアサーバの持つメディアストリーム機能を組み合わせることを可能としている。
【0057】
サービス開発者は、これらのコンポーネントを生成し、その間を接続することで、複数のメディアサーバ上のメディアストリーム加工機能を、実際のメディアサーバの種類の差異を意識することなく組み合わせて利用することが可能となる。また、これらのコンポーネント間の接続方式に、通常の端末間での接続方式に用いられるセッション制御技術を利用することで、端末との接続時に特殊なゲートウェイ等が必要とならず、また、端末同士のセッションの間に配置することでメディアストリームの加工を行うような他のシステムをもコンポーネントの1つとして組み合わせることが可能となる。メディアサービスの利用者は、端末(電話機、TV等)からサービス提供者が公開したコンポーネントのアドレスに対してセッション接続を行うことで、これらのメディアストリーム加工機能の組み合わせを行ったサービスを利用することができる。
【0058】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態のネットワークの機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態におけるコンポーネント実現部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態における基本的なコンポーネントの説明図である。
【図4】本発明の実施形態においてコンポーネントとSIP端末間の接続とメディアストリームの流れを示す説明図である。
【図5】カラオケサービスにおけるコンポーネントの組み合わせ例を示す説明図である。
【図6】従来のメディアサーバの説明図である。
【符号の説明】
【0060】
101a〜101c・・・端末
102・・・呼制御用ネットワーク
103・・・コンポーネント実現部
104a、104b・・・メディアサーバ
104a・・・各メディアサーバ
105a、105b・・・メディア制御用ネットワーク
106・・・アプリケーションサーバ
107・・・情報ネットワーク
131a〜131c・・・コンポーネント
133・・・メディアストリーム加工機能表
140a、140b・・・制御インターフェース
141a〜141d・・・メディアストリーム加工機能
160・・・アプリケーション処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプロトコルのストリームデータの加工機能を有する複数のメディアサーバと、
呼制御用ネットワークに接続されている端末と、前記複数のメディアサーバとの間に設けられ、前記各メディアサーバの持つメディアストリーム加工機能に対し、対応するコンポーネントを生成し、アプリケーションからこのコンポーネントの組み合わせを指定することでメディアストリーム加工処理を行うコンポーネント実現部と
を有することを特徴とするメディアストリーム加工システム。
【請求項2】
前記コンポーネント実現部は、前記コンポーネントに対応するメディアストリーム加工機能の種類と、それを提供するメディアサーバのアドレスとが対応付けられて記述されたメディアストリーム加工機能表を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のメディアストリーム加工システム。
【請求項3】
端末と、複数種類のプロトコルのストリームデータの加工機能を有する複数のメディアサーバとの間にコンポーネント実現部を設け、
前記コンポーネント実現部により、各メディアサーバの持つメディアストリーム加工機能に対し、対応するコンポーネントを生成し、アプリケーションからこのコンポーネントの組み合わせを指定することでメディアストリーム加工処理を行うようにしたことを特徴とするメディアストリーム加工方法。
【請求項4】
端末と、複数種類のプロトコルのストリームデータの加工機能を有するメディアサーバとの間に設けられるコンポーネント実現装置であって、
各メディアサーバの持つメディアストリーム加工機能を実現するためのアプリケーションインターフェースの提供手段と、
前記各メディアサーバの持つメディアストリーム加工機能に対し、対応するコンポーネントを生成する手段と、
アプリケーションからこのコンポーネントの組み合わせを指定することでメディアストリーム加工処理を行う手段と
を備えるようにしたコンポーネント実現装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−49641(P2009−49641A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212862(P2007−212862)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】