説明

メマンチンの製剤組成物

本発明は、メマンチンまたはその製薬上許容可能な塩を含む製剤組成物、ならびにその製造方法を提供する。組成物の異なる処方物、それらの構造および好ましい形状も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分としてメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩を含む製剤組成物に、ならびに製剤組成物の製造方法に関する。好ましい組成物は、錠剤成形配合物の適切な流動性、組成物中の必要とされる内容物の均一性、そして最終生成物の所望の薬剤放出速度および安定性を保証する必要な製薬上許容可能賦形剤を使用する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、脳細胞(ニューロン)が劣化して、認知機能、主に記憶、判断および推理、運動協調性、ならびにパターン認識の損失を引き起こす不可逆性進行性障害である。疾患の進行段階で、すべての記憶および精神機能が失われ得る。アルツハイマー病者は、記憶、判断および思考に関する問題を有し、このことが、ヒトが働いたりまたは日々の生活を共にするのを難しくする。神経細胞の死は、数年の期間に亘って漸次起こる。それは、高齢に関連した精神機能低下(知的能力の損失)である老年性痴呆と関連する。老年性痴呆の2つの主な型が同定されている:即ち、全身性萎縮によるもの(アルツハイマー型)と血管性問題によるもの(主に卒中)である。老年性痴呆はしばしば、アルツハイマー病を指す場合に用いられる。アルツハイマー病は、おそらくは高齢者を襲う:80歳を超えるすべての人々のうちの20%がアルツハイマー病に罹患する。一般にアルツハイマー病に関する治癒はないが、しかし症候的利益を提供する薬剤は存在する。
【0003】
メマンチンは、中等度重症〜重症ADの治療のために欧州で、そして中等度〜重症ADの治療のために米国で、一般に認可されている。さらにメマンチンは、ドネペジルを摂取している中等度〜重症AD患者に投与される場合、プラセボを摂取しているAD患者と比較して、AD症候の予想外のより大きな軽減を生じた。この作用は、軽症〜中等度のADを有する患者では実証されておらず、この場合、メマンチンおよびADの治療に関して認可されたその他の製剤化合物の投与を包含する併用療法は、用いられる比較化合物と比較して如何なる利益も生じなかった。
【0004】
WO 2005/06790Bは、軽症〜中等度アルツハイマー病(AD)の治療方法であって、それを必要とする被験者に有効量のメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩を投与することを包含する方法を記載する。当該方法は、ナイーブ被験者、ならびにADの治療に関して認可された他の製剤化合物で予め処置されていたがしかしメマンチン投与の開始の1日前より以前にAChEI療法を中断していた被験者からなる群に向けられる。
【0005】
WO 2006/009769は、剤形投与後約4時間〜24時間、メマンチン放出速度を維持し得る製薬上許容可能な高分子マトリックス担体を記載する。しかしながら、ポリマー・マトリックスの形成のメカニズムは、薬剤放出特質に直接影響を及ぼす多数のプロセッシング変数によっている、ということが当該技術分野で既知である。これは、メマンチンが水溶性でありそして高浸透性であり、したがってマトリックス形成における任意の変動がおそらくは放出および吸収薬剤の両方の変動を生じるので、メマンチン組成物においては特に難しい。
【発明の概要】
【0006】
発明の説明
本発明の範囲内で、メマンチン組成物中の脂質性コアによる高分子マトリックスの置換は、メマンチン水溶性に関連した望ましくない作用を最小限にする、ということが判明した。したがって本発明は、メマンチンまたはその製薬上許容可能な塩、脂質性薬剤放出速度制御物質および適切な薬学的賦形剤を含む製剤組成物を提供することに向けられる。
【0007】
本発明の別の目的は、少なくとも約6時間および約30時間まで、好ましくは約28時間まで、さらに好ましくは約24時間までの長時間に亘ってメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩の持続性放出を提供する延長放出特性を有する製剤組成物を提供することである。組成物のこのような特性は、一般にそうであるように1日2または3回の代わりに、1日1回だけ、患者に薬剤を摂取させる。これは、患者の遵守を増大し、投薬を逸したり投薬時機を間違えたりすることによる負の結果の量を低減する。好ましい組成物は、1日投与量のメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩を含有するが、しかしメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩の実質部分を急速におよび一度に放出せず、しかし長時間に亘ってある放出速度でそれを放出する。放出速度は、組成物中に存在するメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩のせいぜい50重量%が、使用環境中への上記の組成物の加入後、最初の6時間に亘って、そして好ましくは最初の8時間に亘って、さらに好ましくは最初の12時間に亘って放出されるようであるべきである。さらに、放出速度は、組成物中に存在するメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩の少なくとも90重量%、好ましくは95重量%、さらに好ましくは99重量%が、使用環境中への上記の組成物の加入後、約16時間、好ましくは約24時間に亘って放出されるようであるべきである。
【0008】
メマンチンまたはその製薬上許容可能な塩は、水性媒質および極性溶媒中で高度に可溶性である。この組成物のための意図された使用環境は、水性環境である。メマンチンの高溶解性は、長時間に亘って一貫した薬剤放出速度を達成するのを難しくする。薬剤放出速度制御物質は、水性溶媒との直接的および即時的接触からメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩を保護し、したがって組成物からのメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩の全投与量の大部分の即時溶解による高用量放出の危険を防止する。
【0009】
本発明による脂質性薬剤放出速度制御物質は、メマンチンまたはその製薬上許容可能な塩が、少なくとも6時間および30時間まで、好ましくは少なくとも12時間および28時間まで、さらに好ましくは少なくとも16時間および24時間までの長時間に亘って放出されるよう、メマンチンまたはその製薬上許容可能な塩の放出を拡張するかまたは延長する機能を有するものである。脂質性薬剤放出速度制御物質の量は、処方物中のメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩の量、その他の賦形剤、および用いられる薬剤放出速度制御物質の種類によって変わる。脂質性薬剤放出速度制御物質は好ましくは疎水性であり、そしてコア形成物質として機能する。コア形成薬剤放出速度制御物質として用いられる好ましい脂質は、本発明によれば、35〜200℃の融解範囲を有する製薬上許容可能な脂質、例えば薬学的脂肪、脂肪酸、グリセリドおよび蝋から選択され得る。
【0010】
1つのみの脂質性薬剤放出速度制御物質を有する処方物を提供することが可能であり、1つまたは複数の異なる物質の組合せの使用が可能である。任意の付加的非脂質性薬剤放出速度制御物質が、本発明による組成物の範囲内で脂質性薬剤放出速度制御物質と組合せて用いられ得る。このような組合せは、より良好な薬剤放出速度制御を、そして薬剤放出時間間隔を調整し管理するためのより大きな可能性も提供する。非脂質性薬剤放出速度制御物質は、内側には存在しないか、あるいは混合されるかまたは任意の他の方法で脂質性コアの形成に関与する。好ましい非脂質性薬剤放出速度制御物質は、皮膜形成物質として機能するポリマーである。
【0011】
本発明による皮膜形成薬剤放出速度制御物質として用いられる好ましいポリマーは、セルロースベースのポリマー(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース)、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、キトサン、乳酸、乳酸およびグリコール酸のコポリマー、ポリメタクリレート、メタクリル酸コポリマー、ポリエチレングリコール、キサンタンゴム、グアーゴムおよびその組合せから成る群から選択される。
【0012】
所望の拡張された薬剤放出速度をそして異なる薬剤放出速度も達成するために、組成物は、選択薬剤放出速度制御物質によって別の仕方で構造化され得る。
【0013】
本発明の別の目的は、脂質性コア系として構造化される上記組成物を有することである。それは、好ましくは、コア形成物質としての脂質性薬剤放出速度制御物質の使用により得られる。このような組成物では、メマンチンまたはその製薬上許容可能な塩は、脂質性コア内に分散される。コア系の投与量放出特性は、脂質性コア中の活性成分の溶解性により得る。好ましくは脂質性コアは、脂質性マトリックスとして構造化される。メマンチン組成物中の脂質性マトリックスの混入は、メマンチン水溶性に関連した作用を最小限にする。このような組成物は、典型的には、湿式造粒、溶融造粒、乾式造粒、または脂質/薬剤混合物の直接圧縮のような一般に用いられる技法により形成される。
【0014】
本発明の別の目的は、複合「コア・レザバー」系として構造化される上記組成物を有することである。脂質性マトリックスとして構造化されている脂質性コアの好ましい場合では、当該系は、「マトリックス・レザバー」系とも呼ばれ得る。「コア・レザバー」系は、好ましくは、脂質性および付加的非脂質性薬剤放出速度制御物質の両方の使用により得られる。脂質性薬剤放出速度制御物質は、好ましくはマトリックスとして構造化されるコアを形成し、活性成分はその中に分散されており、活性成分は本発明によるメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩である。非脂質性薬剤放出速度制御物質は、脂質性マトリックスを完全に取り囲む皮膜を形成する。ポリマーコーティングはさらに、延長薬剤放出速度を可能にする。
【0015】
「拡張型放出特性」という用語は、メマンチン組成物が即時放出組成物としても遅延放出組成物としても処方されない、ということを意味する。その代わりに、それは、拡張期間に亘ってメマンチンの持続性放出を提供するよう延長方式で放出される活性成分を有するために処方される。この「拡張型」放出という用語は当該技術分野で既知であり、「延長」、「制御」および「持続性」放出と互換的に用いられ得る。
【0016】
「使用環境」という用語は、本明細書中および上記で用いる場合、ヒト消化管を意味する。組成物の好ましい投与経路は、本発明によれば、消化管の端から端までであり、したがってこれは、組成物のための使用環境であると考えられ得る。
【0017】
「環境」という用語は、媒質、ならびにヒト消化管またはその部分のいくつかに存在する条件と同一または実質的に同一の条件を意味する。
【0018】
「媒質」という用語は、消化管中に存在する異なる分泌物、例えば胃酸、異なる酵素、内因性因子または粘液を意味する。
【0019】
「条件」という用語は、上記の媒質の種々の物理的および化学的特性、例えば極性、酸性度(pH)、濃度または温度を意味する。
【0020】
好ましい使用環境は、胃液を含むヒトの胃の環境と同一または実質的に同一のものである。胃液は、強い胃酸(0.1 M塩酸)、消化酵素および粘液の水溶液であり、1〜3のpHを有する。組成物の開発中の実験およびin vitro試験の目的に関して、「使用環境」は、好ましくは、ヒトの胃中に存在する胃液を刺激する欧州薬局方5.05による錠剤およびカプセル(2.9.1)の崩壊に関する試験に記載されたような水または0.1 M塩酸、あるいは欧州薬局方5.08(1039900)に記載されたような人工胃液を意味する。
【0021】
「製剤組成物」という用語は、本明細書中および上記で用いる場合、安全且つ有効量のメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩、薬剤放出速度制御物質および製薬上許容可能な賦形剤からなる経口剤形を意味する。
【0022】
「安全且つ有効量」という用語は、本明細書中で用いる場合、妥当な医学的判断の範囲内で、治療されるべき症候および/または症状を有意に積極的に改質するには十分に高いが、しかし重篤な副作用を回避するには十分に低い(合理的利益/危険比での)化合物または組成物の量を意味する。本明細書中の本発明の方法に用いるための活性成分の安全且つ有効量は、治療されている特定症状、治療されている患者の年齢および身体状態、症状の重症度、治療の持続期間、同時併用療法の性質、用いられている特定活性成分、利用される特定製薬上許容可能な賦形剤、ならびに担当医の知識および経験の範囲内の同様の因子に伴って変わる。
【0023】
「製薬上許容可能な賦形剤」という用語は、本明細書中および上記で用いる場合、当該技術分野で既知の任意の生理学的不活性および薬理学的不活性物質(使用のために選択される特定のメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩の物理的および化学的特質と適合性である)を包含する。製薬上許容可能な賦形剤としては、ポリマー、樹脂、可素剤、充填剤、滑剤、崩壊剤、結合剤、固結防止剤、溶剤、緩衝系、界面活性剤、防腐剤、あるいは製薬等級の染料または顔料、および増粘剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
「約」という用語は、本明細書中および上記で用いる場合、所定の値または範囲の10%以内、好ましくは5%以内、さらに好ましくは1%以内を意味する。代替的には、「約」という用語は、平均の許容可能な標準誤差内を意味する。
【0025】
本明細書中に記載される製剤組成物は、0.5〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜20重量%のメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩から成る。さらに、本明細書中に記載される製剤組成物は、30〜80重量%、好ましくは35〜70重量%の1つまたは複数の薬剤放出速度制御物質を含み、その中に、それは好ましくは30〜70重量%、さらに好ましくは40〜65重量%の脂質性薬剤放出速度制御物質を、そして任意に10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%の非脂質性薬剤放出速度制御物質を含む。さらに、本明細書中に記載される製剤組成物は、20〜50重量%、好ましくは25〜45重量%、さらに好ましくは30〜40重量%の1つまたは複数の製薬上許容可能な賦形剤を含む。
【0026】
本発明の有益な組成物によれば、それは、1日2回、好ましくは1日1回投与されるべきである。したがってメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩の総量は、処方される1日投与量によっている。
【0027】
充填剤は、以下の:ラクトース一水和物、ラクトース無水物、デンプン、糖または糖アルコール(例えばグルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール)、セルロース(異なる型の粉末形態で(例えば微晶質セルロース))、リン酸二カルシウム・二水和物、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはその他のセルロースエーテル、ビニルピロリドン含有ポリマーのうちの1つまたは複数であり得る。好ましくはそれは、微晶質セルロースおよびラクトース一水和物である。最終組成物中に存在する充填剤の総量は、15〜55重量%、好ましくは20〜40重量%である。
【0028】
結合剤は、以下の:ポリビドン、セルロース誘導体、ポリメタクリレート、デンプンおよびデンプン誘導体、ゼラチン、スクロース、アラビアゴム、トラガカントゴムおよびアルギン酸ナトリウムのうちの1つまたは複数であり得る。好ましくはそれは、予ゼラチン化デンプンの形態のデンプンである。最終組成物中に存在する結合剤の総量は、1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。
【0029】
流動促進剤は、以下の:ステアリン酸、ステアリン酸金属塩(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸カルシウム)、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、一ステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、水添植物油およびタルクのうちの1つまたは複数であり得る。好ましくはそれはタルクである。最終組成物中に存在する流動促進剤の総量は、1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
【0030】
滑剤は、以下の:ステアリン酸、ステアリン酸金属塩(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸カルシウム)、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、一ステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、水添植物油およびタルクのうちの1つまたは複数であり得る。好ましくは滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。最終組成物中に存在する滑剤の総量は、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。
【0031】
上記から明らかなように、同一賦形剤は、多数の機能を有し得る。組成物中の特定賦形剤の一機能は、組成物中に存在する賦形剤のパーセンテージに、または考え得る相互作用に、または他の本発明の賦形剤との相互作用により得る、と当該技術分野では理解される。
【0032】
本発明の別の目的は、以下の形態:錠剤の形態、またはカプセル内部の錠剤の形態、またはカプセル内部の粉末の形態のうちの1つで所定の組成物を提供することである。
【0033】
好ましい形態は、錠剤の形態、さらに好ましくは皮膜被覆錠剤の形態である。錠剤は、所望により任意に刻み目を付けられたまたは印刻された側面を有する円形または長円両凸形のものである。錠剤の好ましい形状は、円形である。
【0034】
所定の組成物の処方物は、一般に用いられる技法、例えば乾式造粒、湿式造粒および溶融造粒により得られる。好ましくはそれは湿式造粒により調製される:その一方法は、以下の:
a.メマンチンまたはその製薬上許容可能な塩を1つまたは複数の充填剤、流動促進剤および滑剤と、ならびに1つまたは複数の脂質性薬剤放出速度制御物質と混ぜるステップ;
b.水あるいは適切な結合剤の水溶液の付加により混合し、造粒するステップ;
c.上記で得られた顆粒を乾燥し、粉砕するステップ;
d.付加的脂質性薬剤放出速度制御物質を任意に統合し、均質化するステップ;
e.最終配合物が錠剤に圧縮されるかまたはカプセル中に充填されるステップ;
f.組成物が錠剤である場合、付加的非脂質性薬剤放出速度制御物質を皮膜またはコーティングの形態で錠剤に適用するステップ
を包含する。
【実施例】
【0035】
実施例1:脂質性マトリックス系
【表1】

【0036】
顆粒を製造するのに十分な量の水を付加した高剪断ミキサー中でメマンチンを微晶質セルロース、ラクトースおよび三ステアリン酸グリセリルと混ぜて、造粒する。流動床乾燥器中で湿潤顆粒を乾燥し、20メッシュ(0.8 mm)スクリーンを通して粉砕する。
【0037】
顆粒を水添植物油NF I型、タルクおよびステアリン酸マグネシウムと混合し、15分間ホモジナイズする。最終配合物は、錠剤に圧縮されるかまたはカプセル中に充填され得る。
【0038】
実施例2:複合脂質性マトリックス-レザバー系
【表2】

【0039】
顆粒を製造するのに十分な量の水を付加した高剪断ミキサー中でメマンチンを微晶質セルロース、ラクトースおよび三ステアリン酸グリセリルと混ぜて、造粒する。流動床乾燥器中で湿潤顆粒を乾燥し、20メッシュ(0.8 mm)スクリーンを通して粉砕する。
【0040】
顆粒を水添植物油NF I型、タルクおよびステアリン酸マグネシウムと混合し、15分間ホモジナイズする。エチルセルロースの水性分散液を用いて錠剤を被覆する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メマンチンまたはその製薬上許容可能な塩、脂質性薬剤放出速度制御物質、および好適な薬学的賦形剤を含む製剤組成物。
【請求項2】
延長放出特性を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
メマンチンが少なくとも約6時間約30時間の長時間に亘って放出される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物中に存在するメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩が約28時間までの長時間に亘って放出される、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
組成物中に存在する多くても50重量%のメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩が使用環境中への前記組成物の加入後8時間に亘って放出される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物中に存在する少なくとも90重量%のメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩が使用環境中への前記組成物の加入後24時間に亘って放出される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物中に存在する少なくとも99重量%のメマンチンまたはその製薬上許容可能な塩が使用環境中への前記組成物の加入後24時間に亘って放出される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
0.5〜30重量%のメマンチンまたは製薬上許容可能な塩を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
脂質性薬剤放出速度制御物質が疎水性であり、そして35〜200℃の範囲の融解範囲を有するすべての製薬上許容可能な脂質、例えば薬学的脂肪、脂肪酸、グリセリドおよび蝋から選択され得る、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
脂質性コア系として構造化される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
脂質性薬剤放出速度制御物質がコア形成物質として用いられる、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
脂質性コア系がマトリックスとして構造化される、請求項10または11に記載の組成物。
【請求項13】
脂質性および非脂質性薬剤放出速度制御物質がともに用いられる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
非脂質性薬剤放出速度制御物質がポリマーである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
ポリマーがセルロースベースのポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、キトサン、乳酸、乳酸およびグリコール酸のコポリマー、ポリメタクリレート、メタクリル酸コポリマー、ポリエチレングリコール、キサンタンゴム、グアーゴムまたはその組合せから成る群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
複合コア・レザバー系として構造化される、請求項14または15に記載の組成物。
【請求項17】
非脂質性薬剤放出速度制御物質が皮膜形成物質である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
被覆系として構造化される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
メマンチンまたはその製薬上許容可能な塩が脂質性コア中に分散されている、請求項16または17に記載の組成物。
【請求項20】
30〜80重量%の1つまたは複数の薬剤放出速度制御物質を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
30〜70重量%の脂質性薬剤放出速度制御物質を含む、請求項に20に記載の組成物。
【請求項22】
40〜65重量%の脂質性薬剤放出速度制御物質を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
10〜30重量%の高分子薬剤放出速度制御物質を任意に含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
15〜25重量%の高分子薬剤放出速度制御物質を任意に含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記適切な薬学的賦形剤が以下の:充填剤、結合剤、流動促進剤および滑剤のうちの1つまたは複数を含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
充填剤が以下の:ラクトース一水和物、ラクトース無水物、デンプン、糖または糖アルコール(例えばグルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール)、セルロース、リン酸二カルシウム・二水和物、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはその他のセルロースエーテル、ビニルピロリドン含有ポリマーのうちの1つまたは複数であり得る、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
20〜40重量%の充填剤を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
結合剤が以下の:ポリビドン、セルロース誘導体、ポリメタクリレート、デンプンおよびデンプン誘導体、ゼラチン、スクロース、アラビアゴム、トラガカントゴムおよびアルギン酸ナトリウムのうちの1つまたは複数であり得る、請求項25に記載の組成物。
【請求項29】
1〜20重量%の結合剤を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
流動促進剤が以下の:ステアリン酸、ステアリン酸金属塩(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸カルシウム)、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、一ステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、水添植物油およびタルクのうちの1つまたは複数であり得る、請求項25に記載の組成物。
【請求項31】
1〜10重量%の流動促進剤を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
滑剤が以下の:ステアリン酸、ステアリン酸金属塩(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸カルシウム)、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、一ステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、水添植物油およびタルクのうちの1つまたは複数であり得る、請求項25に記載の組成物。
【請求項33】
0.1〜5重量%の滑剤を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
湿式造粒技法の使用により得られる、請求項1〜33のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項35】
錠剤の形態での、またはカプセル内部の錠剤の形態での、またはカプセル内部の粉末の形態にある、請求項1〜33のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項36】
錠剤の形態にある、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
皮膜被覆錠剤の形態にある、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
以下の:
a.メマンチンまたはその製薬上許容可能な塩を1つまたは複数の充填剤、流動促進剤および滑剤と、ならびに1つまたは複数の脂質性薬剤放出速度制御物質と混ぜるステップ;
b.水あるいは適切な結合剤の水溶液の付加により混合し、造粒するステップ;
c.上記で得られた顆粒を乾燥し、粉砕するステップ;
d.脂質性薬剤放出速度制御物質を任意に統合し、均質化するステップ;
e.最終配合物が錠剤に圧縮されるかまたはカプセル中に充填されるステップ;
f.組成物が錠剤である場合、非脂質性薬剤放出速度制御物質を皮膜またはコーティングの形態で錠剤に適用するステップ
を含む、請求項1〜35のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。

【公表番号】特表2010−511023(P2010−511023A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538765(P2009−538765)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004360
【国際公開番号】WO2008/065339
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(509152127)
【Fターム(参考)】