説明

メモリアクセス制御回路とメモリアクセス制御方法

【課題】処理装置と同期式メモリの間のACタイミング条件を緩和することができるメモリアクセス制御回路等を提供する。
【解決手段】プロセッサ1の基準クロック信号CLKは位相調整部10,20に与えられ、それぞれ位相の遅れたクロック信号CKDと位相の進んだクロック信号CKLが生成される。クロック制御部30は、プロセッサ1からデータの読み出し要求が行われると、クロック信号CKLを選択してクロック信号CKを同期式SRAM2へ与えると共に、データ制御部40へ出力する。データ制御部40は、位相の進んだクロック信号CKに同期して同期式SRAM2から読み出されたデータ信号DT2を、このクロック信号CKに同期してデータ信号DT1としてプロセッサ1へ出力する。一方、同期式SRAM2へのデータ書き込み動作は、位相の遅れたクロック信号CKDに同期して行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期式メモリに対してデータを読み書きするためのアクセス制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
クロック信号に同期してデータの読み書きを行うメモリには、例えば同期式SRAM(Static Random Access Memory)がある。同期式SRAMに対するデータの書き込み及び読み出しのアクセス制御では、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置とこの同期式SRAMとの間にアクセス制御回路を設けることが一般的である。そして、同期式SRAMでは、このアクセス制御回路から供給されるクロック信号に同期してデータの読み書きを行うようになっている。
【0003】
同期式SRAMのアクセス制御では、処理装置と同期式SRAMの双方において、アドレス信号やデータ信号の受信におけるセットアップ時間やホールド時間等のACタイミング条件を満たす必要がある。同期式SRAMは、品種によってACタイミング条件が異なっているので、諸々の条件を考慮してACタイミング条件を満たすアクセス制御回路を選択する必要がある。
【0004】
処理装置と同期式SRAMの間で、データ信号を1サイクルシフト等の処理を行ったり、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)論理レベルとHSTL(High Speed Transceiver Logic)との間のレベル変換を行ったりする場合、PLD(Programmable Logic Device)等を用いた制御回路が用いられる。
【0005】
例えば、アドレス信号やデータ信号のセットアップ時間の条件は十分余裕を持って満たすが、ホールド時間の条件は満たせないといった場合には、DPLL(Digital Phase Locked Loop)を内蔵するPLDを使用し、このDPLLを調整することによって同期用のクロック信号の位相調整を行うことができる。
【0006】
DPLL等を用いてクロック信号の位相調整を行う場合、クロック信号の位相を遅らせると、アドレスや書き込みデータを受信する側の装置(同期式メモリ)でのセットアップ時間のマージンが増加する。一方、データを読み出す場合には、読み出しデータを出力するタイミングが遅くなるため、読み出しデータを受け取る側の装置(処理装置)でのセットアップ時間のマージンは減少する。
【0007】
逆にクロック信号の位相を早めると、読み出しデータを受け取る側の装置(処理装置)でのセットアップ時間のマージンは増加するが、アドレスや書き込みデータを受信する側の装置(同期式メモリ)でのセットアップ時間のマージンは減少する。従って、すべてのACタイミング条件を満たすように、適切に位相調整を行う必要がある。
【0008】
なお、下記特許文献1には、例えば段落0118及び図11等に、データ書き込み時にはメモリコントローラから出力されるクロック信号に同期し、データ読み出し時には内部クロックを使用するDRAM(Dynamic Random Access Memory)が記載されている。
【0009】
また、特許文献2には、例えば段落0005〜0006等に、クロックTCLKに同期してデータバスからデータを取り込み、クロックRCLKに同期してデータをデータバス上に出力するメモリモジュールが記載されている。
【0010】
【特許文献1】特開2008−123543号公報
【特許文献2】特許第3727778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、PLD等を用いてクロック信号の位相を調整する場合、処理装置と同期式メモリの双方で同時にセットアップ時間のマージンを増加させることは困難である。更に、PLD自体でも遅延時間が発生するため、書き込み及び読み出しのアクセスにおけるアドレス信号、データ信号、クロック信号等の遅延量が増加する。これは、処理装置で読み出しデータを受信する際のセットアップ時間のマージンが減少する方向に作用する。
【0012】
遅延量がある程度大きいPLDでは、このPLD内のセットアップ時間等の条件と、処理装置で読み出しデータを受信する際のセットアップ時間等の条件の両方を同時に満たすことが困難になる。このため、同期式SRAMや制御回路として使用するPLD等の選択範囲が限定されるという課題があった。また、場合によっては、セットアップ時間等の条件を満たすためクロック信号の速度が制限され、本来の処理能力が発揮できなくなるという課題があった。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、同期式メモリとPLD等の制御回路の選択範囲を拡大するために、ACタイミング条件を緩和することができるメモリアクセス制御回路と制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るメモリアクセス制御回路は、同期用クロック信号に同期してデータの書き込み及び読み出しを行う記憶装置と該記憶装置に対してデータの書き込み及び読み出しの要求を行う処理装置との間で、データの読み書きのタイミングを制御するメモリアクセス制御回路であって、前記処理装置から出力される基準クロック信号に基づいて、それぞれ位相の異なる第1及び第2のクロック信号を生成する第1及び第2の位相調整部と、前記処理装置から前記記憶装置に対してデータの書き込み要求が出されたときには前記第1のクロック信号を選択し、データの読み出し要求が出されたときには前記第2のクロック信号を選択し、前記同期用クロック信号として該記憶装置に供給するクロック制御部と、前記処理装置から前記基準クロック信号に従って出力される書き込みデータを取り込み、該取り込んだ書き込みデータを前記同期用クロック信号に同期して前記記憶装置に出力すると共に、該処理装置から該記憶装置に与えられるデータの読み出し要求に基づいて該記憶装置から出力される読み出しデータを、該同期用クロック信号に同期して該処理装置に出力するデータ制御部とを備えることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係るメモリアクセス制御方法は、同期用クロック信号に同期してデータの書き込み及び読み出しを行う記憶装置と該記憶装置に対してデータの書き込み及び読み出しの要求を行う処理装置との間で、データの読み書きのタイミングを制御するメモリアクセス制御方法であって、前記処理装置から出力される基準クロック信号に基づいて、それぞれ位相の異なる第1及び第2のクロック信号を生成するクロック生成処理と、前記処理装置から前記記憶装置に対してデータの書き込み要求が出されたときには前記第1のクロック信号を選択して、データの読み出し要求が出されたときには前記第2のクロック信号を選択し、前記同期用クロック信号として該記憶装置に供給するクロック選択処理と、前記処理装置から前記基準クロック信号に従って出力される書き込みデータを取り込み、該取り込んだ書き込みデータを前記同期用クロック信号に同期して前記記憶装置に出力すると共に、該処理装置から該記憶装置に与えられるデータの読み出し要求に基づいて該記憶装置から出力される読み出しデータを、該同期用クロック信号に同期して該処理装置に出力するデータ制御処理とを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、処理装置から出力される基準クロック信号に基づいて位相の異なる第1及び第2のクロック信号を生成し、処理装置から記憶装置に対してデータの書き込み要求が出されたときには一方のクロック信号を選択し、データの読み出し要求が出されたときには他方のクロック信号を選択して、同期用クロック信号として記憶装置に供給するようにしている。
【0017】
更に、処理装置から基準クロック信号に従って出力される書き込みデータを取り込み、この取り込んだ書き込みデータを同期用クロック信号に同期して記憶装置に出力すると共に、データの読み出し要求に基づいて記憶装置から出力される読み出しデータを、同期用クロック信号に同期したまま処理装置に出力するようにしている。
これにより、処理装置と記憶装置との間のACタイミング条件を緩和することができ、同期式メモリとメモリアクセス制御回路として使用するPLD等の選択範囲を拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態を示すメモリアクセス制御回路の構成図である。
このメモリアクセス制御回路は、CPU等の処理装置であるプロセッサ1と、同期式SRAM2との間に設けられ、クロック信号やデータ信号等のタイミングを制御するものである。なお、プロセッサ1から出力されるアドレス信号ADR、チップ選択信号/CS及び書き込み制御信号/WE(但し、「/」はレベル“L”でアクティブとなる反転論理を意味する)は、メモリアクセス制御回路を介さずに、同期式SRAM2に直接与えられている。
【0019】
図1に示すように、メモリアクセス制御回路は、例えばPLDを用いて構成されるもので、第1と第2の位相調整部10,20、クロック制御部30、及びデータ制御部40を備えている。
【0020】
位相調整部10は、プロセッサ1から出力される一定周期の基準クロック信号CLKの位相を若干遅延させて、クロック信号CKDを生成するものである。また、位相調整部20は、基準クロック信号CLKの位相を若干進めて、クロック信号CKLを生成するものである。これらの位相調整部10,20は、例えばそれぞれDPLLで構成することができる。
【0021】
クロック制御部30は、プロセッサ1から同期式SRAMに対してデータの読み出しが指示されたときに、位相調整部20から出力されるクロック信号CKLを選択し、クロック信号CKとして同期式SRAM2へ与えるものである。それ以外のとき、即ちプロセッサ1から同期式SRAMに対して、データの書き込みが指定されているときと、データの読み書きの要求が行われていないとき、クロック制御部30は、位相調整部10から出力されるクロック信号CKDを選択し、クロック信号CKとして同期式SRAM2へ与えるようになっている。
【0022】
クロック制御部30は、例えば、プロセッサ1から同期式SRAM2に対して出力されるチップ選択信号/CSと書き込み制御信号/WEをそれぞれ反転するインバータ31,32を有している。インバータ31の出力側は、2入力の論理積ゲート(以下、「AND」という)33,34の一方の入力側に接続されている。
【0023】
インバータ32の出力側は、AND33の他方の入力側に接続され、このAND33の出力側から書き込み制御信号WEが出力されるようになっている。また、AND34の他方の入力側には書き込み制御信号/WEが与えられ、このAND34の出力側から読み出し制御信号REが出力されるようになっている。
【0024】
AND34の出力側は、フリップフロップ(以下、「FF」という)35の入力端子Dに接続されている。FF35は、クロック端子Cに与えられるクロック信号CKDがレベル“L”からレベル“H”に立ち上がった時点で、入力端子Dに与えられている信号を保持して出力端子Qから出力するものである。FF35の出力端子Qは、FF36のデータ端子Dに接続されている。
【0025】
FF36は、FF35とは逆に、クロック端子Cに与えられるクロック信号CKDが“H”から“L”に立ち下がった時点で、入力端子Dに与えられている信号を保持するものである。FF36の出力端子Qの信号は、選択信号SELとしてセレクタ37の制御端子Sに与えられている。
【0026】
セレクタ37は、制御端子Sに与えられる選択信号SELのレベル(“L”または“H”)に従って、入力端子L,Hに与えられる信号を選択して出力するものである。セレクタ37の入力端子L,Hには、それぞれクロック信号CKD,CKLが与えられている。そして、このセレクタ37の出力側からクロック信号CKが出力され、同期式SRAM2とデータ制御部40に与えられている。
【0027】
データ制御部40は、プロセッサ1と同期式SRAM2との間で読み書きするデータの入出力タイミングを基準クロック信号CLKとクロック信号CKに基づいて制御するものである。即ち、プロセッサ1から同期式SRAM2に対する書き込みデータが、基準クロック信号CLKに同期してデータ信号DT1として出力されると、データ制御部40は、このデータ信号DT1の1サイクルシフト等の処理を行い、データ信号DT2として同期式SRAM2に出力する。
【0028】
また、プロセッサ1から同期式SRAM2に対する読み出し指示が行われると、データ制御部40は、クロック信号CKに同期してこの同期式SRAM2から出力されるデータ信号DT2を、データ信号DT1としてプロセッサ1側へ出力する。
【0029】
データ制御部40は、例えば、プロセッサ1から出力される書き込み用のデータ信号DT1を基準クロック信号CLKの立ち上がりのタイミングで保持して出力するFF41を有している。FF41の出力端子Qは、FF42のデータ端子Dに接続されている。FF42は、クロック端子Cに与えられる基準クロック信号CLKの立ち下がりのタイミングで、入力端子Dに与えられている信号を保持して出力端子Qから出力するものである。FF42の出力端子Qは、3ステートバッファ43を介して同期式SRAM2に接続されている。
【0030】
3ステートバッファ43は、制御端子に与えられる制御信号が“H”のときに、FF42の出力信号を書き込み用のデータ信号DT2として同期式SRAM2に出力するものである。3ステートバッファ43は、制御端子に与えられる制御信号が“L”のときには、出力側がハイインピーダンス状態となって、同期式SRAM2から電気的に切り離されるように構成されている。
【0031】
3ステートバッファ43の制御端子には、クロック制御部30のAND33から出力される書き込み制御信号WEが、縦続接続された3段のFF44,45,46を介して与えられている。FF44は、クロック端子Cに与えられる基準クロック信号CLKの立ち上がりのタイミングで、書き込み制御信号WEを保持して出力するものである。また、FF45,46は、いずれもクロック端子Cに与えられる基準クロック信号CLKの立ち下がりのタイミングで、入力端子Dの信号を保持して出力端子Qから出力するものである。
【0032】
更に、このデータ制御部40は、同期式SRAM2から読み出されて出力されるデータ信号DT2を、クロック信号CKに同期したデータ信号DT1としてプロセッサ1に出力するための3ステートバッファ47を有している。3ステートバッファ47の制御端子には、クロック制御部30のAND34から出力される読み出し制御信号REが、縦続接続された2段のFF48,49を介して与えられている。FF48は、クロック端子Cに与えられる基準クロック信号CLKの立ち下がりのタイミングで、FF49は、クロック端子Cに与えられるクロック信号CKの立ち下がりのタイミングで、それぞれ入力端子Dの信号を保持して出力端子Qから出力するものである。
【0033】
次に、図2及び図3を参照しつつ、図1の動作を説明する。
(1) 書き込み動作
図1において、位相調整部10から基準クロック信号CLKの位相が若干遅延されたクロック信号CKDが出力され、位相調整部20から基準クロック信号CLKの位相を若干進めたクロック信号CKLが出力される。
【0034】
プロセッサ1から同期式SRAM2に対する読み書きのアクセスが行われていないとき、チップ選択信号/CSは“H”である。従って、クロック制御部30における書き込み制御信号WEと読み出し制御信号REは、いずれも“L”である。これにより、FF36から出力される選択信号SELは“L”となり、セレクタ37によって位相調整部10のクロック信号CKDが選択され、クロック信号CKとして同期式SRAM2に与えられる。但し、この時点では、チップ選択信号/CSは“H”となっているので、同期式SRAM2の動作は行われない。
【0035】
図2の時刻t1において、書き込み要求の発生に伴い、基準クロック信号CLKの立ち下がりに同期して、プロセッサ1から出力されるチップ選択信号/CSと書き込み制御信号/WEが共に“L”に設定される。また、プロセッサ1からアドレス信号ADRとして、書き込み対象のアドレスA1が出力される。
【0036】
チップ選択信号/CSと書き込み制御信号/WEが共に“L”になったことにより、クロック制御部30の書き込み制御信号WEは、“H”に変化する。一方、読み出し制御信号REは、“L”のままである。従って、選択信号SELは変化せず、セレクタ37によって選択されたクロック信号CKDが、引き続きクロック信号CKとして出力される。
【0037】
時刻t2における基準クロック信号CLKの立ち上がりでは、チップ選択信号/CS、書き込み制御信号/WE及びアドレス信号ADRは変化しない。一方、データ制御部40のFF44では、基準クロック信号CLKの立ち上がりに従って書き込み制御信号WEが保持され、このFF44から出力される信号S44は“H”となる。
【0038】
時刻t3(時刻t1から1クロック周期後)において、基準クロック信号CLKが立ち下がると、チップ選択信号/CSと書き込み制御信号/WEが“H”に戻り、アドレス信号ADRは同期式SRAM2にとって無効な値となる。一方、プロセッサ1からデータ信号DT1として、同期式SRAM2のアドレスA1に書き込むべきデータD(A1)が出力される。また、チップ選択信号/CSと書き込み制御信号/WEが“H”に戻ったことにより、クロック制御部30の書き込み制御信号WEは、“L”に戻る。
【0039】
また、基準クロック信号CLKの立ち下がりにより、FF44に保持されている信号S44がFF45に転送され、このFF45から出力される信号S45が“H”となる。
【0040】
時刻t4(時刻t2から1クロック周期後)において、基準クロック信号CLKが立ち上がると、FF41によってデータ信号DT1が保持され、このFF41から出力される信号S41はデータD(A1)となる。一方、FF44では、書き込み制御信号WEが保持され、このFF44から出力される信号S44は“L”に戻る。
【0041】
時刻t5において、基準クロック信号CLKが立ち下がると、プロセッサ1からデータ信号DT1として出力されていたデータD(A1)は停止される。
【0042】
また、基準クロック信号CLKの立ち下がりにより、FF41に保持されているデータD(A1)がFF42に転送され、このFF42から出力される信号S42がデータD(A1)となる。一方、FF44に保持されている信号S44がFF45に転送され、このFF45から出力される信号S45が“L”となる。これと同時に、FF45に保持されている信号S45がFF46に転送され、このFF46から出力される信号S46が“H”となる。
【0043】
信号S46が“H”になると3ステートバッファ43が開き、FF42から出力される信号S42(即ち、データD(A1))が、この3ステートバッファ43を介してデータ信号DT2として同期式SRAM2へ出力される。
【0044】
時刻t6において、基準クロック信号CLKが立ち上がると、FF41によってデータ信号DT1が保持され、このFF41から出力される信号S41は無効な値となる。
【0045】
時刻t7において、基準クロック信号CLKが立ち下がると、FF41に保持されている無効な値がFF42に転送され、このFF42から出力される信号S42が無効な値となる。これと同時に、FF45から出力される信号S45がFF46に転送され、このFF46から出力される信号S46が“L”となる。信号S46が“L”になると、3ステートバッファ43が閉じ、この3ステートバッファ43の出力側はハイインピーダンス状態となる。
【0046】
これにより、3ステートバッファ43の出力側は同期式SRAM2から電気的に切り離され、この同期式SRAM2へ出力されるデータ信号DT2は停止する。以上の動作により、プロセッサ1から同期式SRAM2に対するデータの書き込み動作は完了する。
【0047】
(2) 読み出し動作
図3の時刻T1において、読み出し要求の発生に伴い、基準クロック信号CLKの立ち下がりに同期して、プロセッサ1から出力されるチップ選択信号/CSが“L”に設定される。なお、書き込み制御信号/WEは“H”である。これと同時に、プロセッサ1からアドレス信号ADRとして、読み出し対象のアドレスA1が出力される。
【0048】
チップ選択信号/CSが“L”になったことにより、クロック制御部30の読み出し制御信号REは“H”に変化する。一方、書き込み制御信号WEは、“L”のままである。この時点では、選択信号SELは“L”のままで、セレクタ37では位相調整部10のクロック信号CKDが選択され、クロック信号CKとして同期式SRAM2に与えられている。
【0049】
時刻T2において基準クロック信号CLKが立ち上がり、これよりも若干遅れて、時刻T2+においてクロック信号CKDが立ち上がると、FF35に読み出し制御信号REが保持され、このFF35から出力される信号S35が“H”となる。
【0050】
時刻T3において、基準クロック信号CLKの立ち下がりに同期して、プロセッサ1から出力されるチップ選択信号/CSが“H”になる。この基準クロック信号CLKの立ち下がりにより、データ制御部40のFF48には読み出し制御信号REが保持され、このFF48から出力される信号S48が“H”となる。一方、チップ選択信号/CSが“H”になったことで、クロック制御部30の読み出し制御信号REは“L”に戻る。
【0051】
時刻T3よりも若干遅れて、時刻T3+においてクロック信号CKDが立ち下がると、クロック制御部30のFF36に信号S35が保持され、このFF36から出力される選択信号SELが“H”となる。これにより、セレクタ37は、位相調整部20からのクロック信号CKLを選択するように切り替えられる。但し、この時点では、クロック信号CKLは既に“L”となっているので、セレクタ37から出力されるクロック信号CKは、クロック信号CKDの立ち下がりと同時に“L”になる。
【0052】
時刻T4の基準クロック信号CLKの立ち上がりに若干先立って、時刻T4−においてクロック信号CK(即ち、クロック信号CKL)が立ち上がる。
【0053】
時刻T4よりも若干遅れて、時刻T4+においてクロック信号CKDが立ち上がると、FF35に読み出し制御信号REが保持され、このFF35から出力される信号S35が“L”に戻る。
【0054】
時刻T5の基準クロック信号CLKの立ち下がりに若干先立って、時刻T5−においてクロック信号CKが立ち下がる。また、これに前後して同期式SRAM2から、アドレスA1に記憶されているデータD(A1)が、データ信号DT2として出力される。
【0055】
更に、クロック信号CKの立ち下がりにより、データ制御部40のFF48の保持データがFF49へ転送され、このFF49から出力される信号S49が“H”となる。信号S49が“H”になったことにより、3ステートバッファ47が開き、同期式SRAM2から出力されるデータ信号DT2(データD(A1))が、この3ステートバッファ47を介して、データ信号DT1としてプロセッサ1へ出力される。
【0056】
時刻T5において、基準クロック信号CLKが立ち下がると、FF48には“L”の読み出し制御信号REが保持され、このFF48から出力される信号S48は“L”に戻る。
【0057】
時刻T5よりも若干遅れて、時刻T5+においてクロック信号CKDが立ち下がると、クロック制御部30のFF36によって信号S35が保持され、選択信号SELは“L”に戻る。これにより、セレクタ37は、位相調整部10からのクロック信号CKDを選択するように切り替えられる。但し、クロック信号CKは、時刻T5−の時点から既に“L”となっているので、この時点では、“L”のままで変化しない。
【0058】
時刻T6で基準クロック信号CLKが立ち上がり、更に時刻T7よりも若干遅れて、時刻T7+においてクロック信号CKが立ち下がると、データ制御部40のFF48の保持データがFF49へ転送され、このFF49から出力される信号S49が“L”となる。信号S49が“L”になると、3ステートバッファ47が閉じ、この3ステートバッファ47の出力側はハイインピーダンス状態となる。これにより、3ステートバッファ47の出力側はプロセッサ1から電気的に切り離され、プロセッサ1へ出力されるデータ信号DT1は停止する。
【0059】
更に、時刻T7+におけるクロック信号CKの立ち下がりに前後して、同期式SRAM2からデータ信号DT2として出力されていたデータD(A1)が停止する。以上の動作により、プロセッサ1による同期式SRAM2からのデータの読み出し動作は完了する。
【0060】
以上詳細に説明したように、本実施形態のメモリアクセス制御回路によれば、同期式SRAM2へのデータ書き込み時と、この同期式SRAM2からのデータ読み出し時とで、位相の異なる2つのクロック信号CKD、CKLを同期用クロック信号CKとして使用することが可能である。従って、例えばデータ書き込み時には、同期式SRAMの書き込みデータ受信部におけるセットアップ時間のマージンを増加させるような位相のクロック信号を使用し、データ読み出し時には、読み出しデータ受信部におけるセットアップ時間のマージンを増加させるような位相のクロック信号を使用することで、ACタイミング条件を緩和することができる。これにより、同期式SRAM2及びメモリアクセス制御回路として使用するPLD等の選択範囲を拡大することができるという効果が得られる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、下記のような種々の変形が可能である。
(a) PLDを用いて構成されたメモリアクセス制御回路について説明したが、同様の機能をプロセッサ側に持たせることも可能である。
【0062】
(b) アドレス信号ADR、チップ選択信号/CS、書き込み制御信号/WE及びデータ信号DT1,DT2と、プロセッサ1側の基準クロック信号CLK及び同期式SRAM2側のクロック信号CKとのタイミング条件は、例示したものに限定されない。クロック制御部30やデータ制御部40の具体的な回路構成は、実際に適用するプロセッサ1や同期式SRAM2のタイミング条件に合致するように構成する必要がある。
また、アドレス信号ADRのタイミングを、PLD等で構成されるメモリアクセス制御回路で調整して同期式SRAM2へ与えるようにしても良い。
【0063】
(c) 同期式SRAMに限らず、同期式DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の同期式メモリに対しても、同様に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態を示すメモリアクセス制御回路の構成図である。
【図2】図1の書き込み動作時の信号波形図である。
【図3】図1の読み出し動作時の信号波形図である。
【符号の説明】
【0065】
1 プロセッサ
2 同期式SRAM
10,20 位相調整部
30 クロック制御部
31,32 インバータ
33,34 AND
35,36,41,42,44〜46,48,49 FF
37 セレクタ
40 データ制御部
43,47 3ステートバッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期用クロック信号に同期してデータの書き込み及び読み出しを行う記憶装置と該記憶装置に対してデータの書き込み及び読み出しの要求を行う処理装置との間で、データの読み書きのタイミングを制御するメモリアクセス制御回路であって、
前記処理装置から出力される基準クロック信号に基づいて、それぞれ位相の異なる第1及び第2のクロック信号を生成する第1及び第2の位相調整部と、
前記処理装置から前記記憶装置に対してデータの書き込み要求が出されたときには前記第1のクロック信号を選択し、データの読み出し要求が出されたときには前記第2のクロック信号を選択して、前記同期用クロック信号として該記憶装置に供給するクロック制御部と、
前記処理装置から前記基準クロック信号に従って出力される書き込みデータを取り込み、該取り込んだ書き込みデータを前記同期用クロック信号に同期して前記記憶装置に出力すると共に、該処理装置から該記憶装置に与えられるデータの読み出し要求に基づいて該記憶装置から出力される読み出しデータを、該同期用クロック信号に同期して該処理装置に出力するデータ制御部と、
を備えることを特徴とするメモリアクセス制御回路。
【請求項2】
前記第1の位相調整部は、前記基準クロック信号よりも位相が遅れた前記第1のクロック信号を生成し、
前記第2の位相調整部は、前記基準クロック信号よりも位相が進んだ前記第2のクロック信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリアクセス制御回路。
【請求項3】
前記クロック制御部は、前記処理装置から前記記憶装置に対してデータの読み書きの要求が行われていないときには、前記第1のクロック信号を選択して該記憶装置に供給する、
ことを特徴とする請求項2に記載のメモリアクセス制御回路。
【請求項4】
同期用クロック信号に同期してデータの書き込み及び読み出しを行う記憶装置と該記憶装置に対してデータの書き込み及び読み出しの要求を行う処理装置との間で、データの読み書きのタイミングを制御するメモリアクセス制御方法であって、
前記処理装置から出力される基準クロック信号に基づいて、それぞれ位相の異なる第1及び第2のクロック信号を生成するクロック生成処理と、
前記処理装置から前記記憶装置に対してデータの書き込み要求が出されたときには前記第1のクロック信号を選択し、データの読み出し要求が出されたときには前記第2のクロック信号を選択して、前記同期用クロック信号として該記憶装置に供給するクロック選択処理と、
前記処理装置から前記基準クロック信号に従って出力される書き込みデータを取り込み、該取り込んだ書き込みデータを前記同期用クロック信号に同期して前記記憶装置に出力すると共に、該処理装置から該記憶装置に与えられるデータの読み出し要求に基づいて該記憶装置から出力される読み出しデータを、該同期用クロック信号に同期して該処理装置に出力するデータ制御処理と、
を行うことを特徴とするメモリアクセス制御方法。
【請求項5】
前記第1のクロック信号は、前記基準クロック信号よりも位相が遅れたクロック信号であり、
前記第2のクロック信号は、前記基準クロック信号よりも位相が進んだクロック信号である、
ことを特徴とする請求項4に記載のメモリアクセス制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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