説明

メモリオーディオ再生装置

【課題】 メモリオーディオ再生装置の処理性能や処理状態に応じて自動で転送データ量を制御し、通信以外の処理への影響を低減すること。
【解決手段】 制御部90は、光ディスク40の再生制御をしている際は、メモリオーディオ10に低速でデータ転送するようメモリデバイスコントローラ30へ指示し、光ディスク40の再生制御をしていない際は、メモリオーディオ10に高速でデータ転送するようメモリデバイスコントローラ30へ指示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブルプレイヤーを接続可能なメモリオーディオ再生装置に関し、特にポータブルプレイヤーに保持された音楽ファイル等を通信により取得し再生するメモリオーディオ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンで作成した圧縮音楽ファイルやインターネットからダウンロードした圧縮音楽ファイルを再生可能なポータブルプレイヤーが広く普及し、車載オーディオ機器などのメモリオーディオ再生装置に接続して利用されることも多い。
【0003】
メモリオーディオ再生装置と接続するポータブルプレイヤーは、独自の通信フォーマットを有し、ポータブルプレイヤーから圧縮音楽ファイルを転送するだけでなく、メモリオーディオ再生装置の固有情報やメモリオーディオ再生装置に保持されている各種データ(タグ情報など)をポータブルプレイヤーに転送する機能も有している。
【0004】
その他、USBメモリに代表されるメモリデバイスとパソコンや音楽再生装置などのホスト装置との通信を高速で行うデータ転送手段と、低速で行うデータ転送手段を切り替えて使用するデータ装置がある。このデータ装置は、高速のデータ転送手段と低速のデータ転送手段を切り替えるスイッチを備え、ユーザーが使用目的、例えば大容量のデータを転送するときは高速のデータ転送手段に切り替え、例えば音楽データの再生など小容量のデータを転送するときは低速のデータ転送手段に切り替えることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−327247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術の通信速度の切り替えは、使用目的に応じてユーザーが手動で接続コネクタを差し替えるなどの操作をしなければならない。そのため、メモリオーディオ再生装置を含むホスト装置とメモリデバイス間の通信処理の負荷が、ホスト装置で実行する他の処理の実行を妨げてしまうことがある。
【0007】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたもので、メモリオーディオ再生装置の処理性能や処理状態に応じて自動でデータ転送量を制御するので、通信以外の処理への影響を低減することのできるメモリオーディオ再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、コネクタを用いて接続されたメモリオーディオへ各種データを送信および光ディスクに保持された音楽ファイルを再生するメモリオーディオ再生装置において、メモリオーディオへデータ転送するメモリデバイスコントローラと、光ディスクの再生制御、およびメモリデバイスコントローラへデータ転送の指示をする制御部とを有し、制御部は、光ディスクの再生制御をしている際は、メモリオーディオに低速でデータ転送するようメモリデバイスコントローラへ指示し、光ディスクの再生制御をしていない際は、メモリオーディオに高速でデータ転送するようメモリデバイスコントローラへ指示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動で転送データ量などを制御し通信に係る処理負荷を減らすので、例えば、通信以外の処理であるCD(compact disc)再生制御における音切れなどを低減するメモリオーディオ再生装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態におけるメモリオーディオ再生装置500の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態におけるメモリオーディオ10にデータ転送量を制御する手順を説明するためのフロー図
【図3】本発明の実施の形態における高速転送の処理状態を示す図
【図4】本発明の実施の形態におけるメモリオーディオに固有の通信フォーマット(高速転送)を示す図
【図5】本発明の実施の形態における低速転送の処理状態を示す図
【図6】本発明の実施の形態におけるメモリオーディオに固有の通信フォーマット(低速転送)を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係るメモリオーディオ再生装置500の構成を示すブロック図である図1を用いて説明する。
【0012】
メモリオーディオ再生装置500は、音楽データの再生機能を有するポータブルプレイヤーなどのメモリオーディオ10を接続するためのコネクタ20を備える。また、コネクタ20に接続されたメモリオーディオ10との通信制御を行うメモリデバイスコントローラ30と、CDなどの光ディスク40からデータを読み取るピックアップ50と、ピックアップ50を制御するためのサーボDSP60を有する。さらに、メモリオーディオ10および光ディスク40に保持されたオーディオファイルをオーディオ信号に変換するオーディオデコーダ70と、各種データを一時的に保持するRAM80とを備える。
【0013】
制御部90は、ROM100に格納されたプログラムを実行し、メモリデバイスコントローラ30とサーボDSP60とオーディオデコーダ70を含むメモリオーディオ再生装置500全体を制御する。
【0014】
次に、各構成について詳しく説明する。
【0015】
メモリオーディオ10は、ポータブルオーディオプレーヤなどであり、多くは固有の通信フォーマットにより他の機器と通信を行う。メモリオーディオ10がコネクタ20に接続されると、メモリデバイスコントローラ30は接続を検知し、制御部90に通知する。また、メモリデバイスコントローラ30は制御部90からの指令によりメモリオーディオ10固有の通信フォーマットで規定されたコマンドを用いた転送制御を行いデータの読み出し、書き込みを行う。
【0016】
コネクタ20は、メモリオーディオ10とメモリデバイスコントローラ30を物理的に接続するものであり、メモリオーディオ10の種類に応じた規格、例えばUSB規格やSD規格などにより形状が決められている。
【0017】
メモリデバイスコントローラ30は、メモリオーディオ10との通信を制御し、データの読み出しや書き込みを行う。例えば、制御部90より再生ファイルの指定を受け、メモリオーディオ10に保持されている圧縮オーディオファイルなどを読み出し、オーディオ
デコーダ70に転送する。
【0018】
光ディスク40は、例えばDVDやCDなどであり、その内周から外周に向けて螺旋状に記録領域を持つ。
【0019】
ピックアップ50は、光ディスク40に保持されたデジタルデータを取得し、サーボDSP60へ送る。
【0020】
サーボDSP60は、ピックアップ50のサーボ制御信号の生成を行うと同時に、ピックアップ50で読み取った光ディスク40のデジタルデータを復調する。
【0021】
オーディオデコーダ70は、メモリデバイスコントローラ30またはサーボDSP60で読み取ったファイルデータをオーディオ信号に変換し、図示しないアンプを介して図示しないスピーカーに出力する。
【0022】
RAM80は、メモリオーディオ10または光ディスク40から読み取った、ファイル情報、フォルダ情報、再生情報などのデータを一時保存すると共に、制御部90のワーキング用のメモリでもある。
【0023】
制御部90は、ROM100に格納されているプログラムを実行して、ユーザー操作を基にメモリデバイスコントローラ30、サーボDSP60、オーディオデコーダ70、RAM80を制御するための信号を生成し、メモリオーディオ10と光ディスク40の再生の切替、再生開始、停止、ポーズ、サーチ、曲選択、曲番号取得、再生経過時間の取得等を行う。
【0024】
また、ラジオなどの外部機器から取得した情報や、画像データをメモリオーディオ10に転送するために、メモリデバイスコントローラ30に対する制御信号を生成する。なお、外部機器から取得した情報には、アーティスト名やアルバム名などのTAG情報や、メモリオーディオ10の画面に表示させる画像データが代表的なものである。以降、メモリオーディオ10に転送する情報をタギング情報と呼ぶ。
【0025】
ROM100は、制御部90で実行するプログラムを格納している。
【0026】
次に、制御部90は、メモリオーディオ10にタギング情報を転送する際に、制御部90の処理状態により、転送速度を変える動作について説明する。具体的には、光ディスク40の再生制御を行っている場合と行っていない場合を例に、メモリオーディオ10にタギング情報を転送する速度を変える手順について図2を用いて説明する。
【0027】
図2は、制御部90の処理状態によって、制御部90がメモリオーディオ10へのデータ転送速度を切り替える処理を示すフロー図である。
【0028】
制御部90は、メモリオーディオ10へのデータ転送処理が発生した時(ステップS101)、ステップS102へ進む。
【0029】
ステップS102では、制御部90が光ディスク40を再生制御している際は、ステップS104の低速転送をメモリデバイスコントローラ30に指示し、ステップS105へ進む。制御部90が光ディスク40を再生制御していない際は、ステップS103の高速転送をメモリデバイスコントローラ30に指示し、ステップS105へ進む。
【0030】
ステップS105では、制御部90は、データ転送が完了するまで、ステップS102へ戻り、メモリオーディオ10へのデータ転送中も光ディスク40の再生制御中か否かに
応じて転送速度を切り替える。制御部90は、データ転送を完了したら終了する。
【0031】
次に、メモリオーディオ10へのデータ転送処理について図3を用いて説明する。
【0032】
図3は、図2のステップS103の処理の詳細を示している。制御部90が光ディスク再生制御を行っていないときのメモリオーディオ10への転送状態を示している。なお、制御部90が処理中である範囲を斜線で示している。
【0033】
制御部90は、光ディスク再生制御を行っていないとき、メモリオーディオ10に対して、メモリオーディオ10に固有の通信フォーマットに従いコマンドを生成する。そのとき、図4に示すように、1パケットに格納するデータ量を、通信フォーマットで規定された最大サイズに設定する。また、図3の右側に示すように、制御部90は、データを格納したパケットを連続的にメモリオーディオ10に対して送信するようメモリデバイスコントローラ30へ指示する。
【0034】
図5は、図2のステップS104の処理の詳細を示している。制御部90が光ディスク再生制御を行っているときのメモリオーディオ10への転送状態を示している。なお、図3と同様に、制御部90が処理中である範囲を斜線で示している。
【0035】
制御部90は光ディスク再生制御を行っているとき、メモリオーディオ10に対して、メモリオーディオ10に固有の通信フォーマットに従いコマンドを生成する。そのとき、図6に示すように、1パケットに格納するデータ量を、通信フォーマットで規定された最大サイズに対し、制御部90の処理能力超えない範囲のサイズに設定する。また、図5の右側に示すように、制御部90は、データを格納したパケットをメモリオーディオ10に対して送信するタイミングが、光ディスク再生制御中の制御部90の負荷が低い時となるよう、メモリデバイスコントローラ30を制御する。
【0036】
以上のように本発明の実施の形態によれば、制御部90が光ディスク再生制御中のときなど、メモリオーディオ10へのデータ転送処理以外に、制御部90が別処理を実行中にメモリオーディオ10へのデータ転送量やデータ転送のタイミングを変えることで、通信処理以外を確実に実行することが可能となる。つまり、従来の技術のように、使用目的に応じてユーザーが手動で操作する必要がない。従って、パソコンや音楽再生装置といったホスト側となる装置の処理性能や処理状態に応じて自動で通信速度を変えるなどして通信処理の負荷を減らし、通信処理以外の処理を確実に実行できる。特に、小型化や簡易な構造が求められるCDプレーヤにおいて、本実施の形態の構成は非常に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明にかかるメモリオーディオ再生装置は、ポータブル型オーディオプレイヤーに代表されるメモリオーディオに格納されている音楽ファイル等を再生する、メモリオーディオ再生装置として有用である。
【符号の説明】
【0038】
10 メモリオーディオ
20 コネクタ
30 メモリデバイスコントローラ
40 光ディスク
50 ピックアップ
60 サーボDSP
70 オーディオデコーダ
80 RAM
90 制御部
100 ROM
500 メモリオーディオ再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタを用いて接続されたメモリオーディオへ各種データを送信、および光ディスクに保持された音楽ファイルを再生するメモリオーディオ再生装置において、
前記メモリオーディオへデータを転送するメモリデバイスコントローラと、
前記光ディスクの再生制御、および前記メモリデバイスコントローラへデータ転送の指示をする制御部と、を有し
前記制御部は、
前記光ディスクの再生制御をしている際は、前記メモリオーディオに低速でデータ転送するよう前記メモリデバイスコントローラへ指示し、
前記光ディスクの再生制御をしていない際は、前記メモリオーディオに高速でデータ転送するよう前記メモリデバイスコントローラへ指示する、
メモリオーディオ再生装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記メモリオーディオに固有の通信フォーマットで規定された1パケットに格納するデータ量を少なくするよう前記メモリデバイスコントローラへ指示することで、低速でデータ転送することを特徴とする請求項1に記載のメモリオーディオ再生装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記光ディスクの再生制御の処理負荷が低下した際に、前記メモリオーディオにデータ転送するよう前記メモリデバイスコントローラへ指示することで、高速でデータ転送することを特徴とする請求項1に記載のメモリオーディオ再生装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記メモリオーディオに固有の通信フォーマットで規定された1パケットに格納する最大サイズのデータ量でデータを転送するよう前記メモリデバイスコントローラへ指示することで、高速でデータ転送することを特徴とする請求項1に記載のメモリオーディオ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−192332(P2011−192332A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55746(P2010−55746)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】