説明

メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法

【課題】ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドの還元的分解のための方法であって、必要な金属触媒のための更なる被毒防止試薬、例えば水、アルコール又は硫化水素を使用しないで、高い転化率を可能にする方法を提供する。
【解決手段】メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)を製造するにあたり、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドと水素及び遷移金属触媒とを溶剤中で、アルコール、HS又は水を添加せずに水素添加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
US6,147,242号から、3−メルカプトプロピル−トリエトキシシランを、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ジスルフィドの等方性分解によって製造する方法が知られている。その方法は、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ジスルフィドとアルカリ金属及びクロロシランとを反応させて、シリルアルキルスルファニルシラン中間生成物を製造し、引き続きこれをアルコールの存在下に所望のメルカプトアルキルシランに転化させることを含む。
該方法は、付加的な試薬(クロロアルキルシラン)を使用せねばならないという欠点を有し、危険なアルカリ金属を使用し、かつ廃棄する必要があり、そしてアルコール分解工程前にシリルアルキルスルファニルシラン中間生成物を単離する必要がある。
更にUS6,433,206号から、ケイ素含有のオルガノメルカプタンを、水、HSもしくはアルコールによって被毒から守らねばならない第VIII族の金属触媒の使用下にビス(オルガニルシリル)ポリスルフィドを水素添加させて製造する方法が知られている。
【0003】
この方法は、アルコキシシランの置換に使用されるアルコールとは異なる被毒防止剤(Vergiftungshemmer)もしくは触媒被毒防止試薬(Katalysatorentgiftungsreagenz)を使用する場合に、使用される出発材料と生ずる生成物のケイ素原子でのエステル交換が生じることがあるという欠点を有する。これにより、不所望な混合エステル化されたシラン生成物が生成する。従って被毒防止試薬の添加は、実際的かつ経済的な観点から、既にアルコキシシリル基として出発材料中に存在するようなアルコールに限定されている。
【0004】
該方法の更なる欠点は、長鎖アルコキシ置換基(>C)を有するアルコキシシランを使用する場合に、被毒防止試薬として必要とされるアルコールの後処理と蒸留による分離が一段とエネルギーを消費するものとなり、ひいてはより一層要求の多いものとなり、そうして費用がかかるようになることである。
【0005】
被毒防止試薬として機能するアルコールは、酸素求核性試薬として、あらゆる置換型を有するポリスルファンシランにとって水素化分解の間に不可欠な被毒防止試薬として使用できるわけではなく、もしくは望ましいわけではないのは、これらのアルコールが副生成物の形成を担うことがあるからである。
【0006】
可能な出発物質の選択は、被毒防止試薬としてのアルコールの不可欠な使用によって制限されることがある。更に、該公知法は、アルコールの代替物としてHS又は水しか使用できないという欠点を有する。HSは毒性の高いガスなので、その使用、貯蔵、配量及び廃棄は非常に慎重を要し、危険を冒す必要があり、設備の質と安全性に高い要求を課すものである。水は、アルコキシシランと同時に使用する場合には、出発化合物と生成化合物が加水分解下に分解するので回避すべきである。
【特許文献1】US6,147,242号
【特許文献2】US6,433,206号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドの還元的分解のための方法であって、必要な金属触媒のための更なる被毒防止試薬、例えば水、アルコール又は硫化水素を使用しないで、高い転化率を可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の対象は、メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法であって、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドと水素及び遷移金属触媒とを溶剤中で、アルコール、HS又は水を添加せずに水素添加させることを特徴とする方法である。
【0009】
溶剤は、0.1〜80質量%、有利には1〜50質量%、殊に有利には1〜30質量%の割合で使用できる。
【0010】
該反応は、有利には空気排除下及び水排除下に実施できる。
【0011】
使用される溶剤は、使用される触媒の寿命の延長をもたらしうる。使用される溶剤は、使用される触媒のより簡単な又は改善された取り扱いをもたらしうる。使用される溶剤は、使用される触媒の再利用性を高めることができる。
【0012】
使用される溶剤は、−50℃〜250℃、有利には0〜150℃、特に有利には20〜100℃の沸点を有してよい。
【0013】
溶剤としては、水及びHSの他に全ての非アルコール性化合物を使用できる。
【0014】
溶剤としては、有利には、酸素原子、硫黄原子、リン原子又は窒素原子を有する直鎖状、分枝鎖状又は環式の非アルコール性の化合物を使用できる。
【0015】
特に有利には、アルカン、エーテル、アミン、メルカプタン、ジアルキルスルフィド又はアルキルホスファンを使用できる。
【0016】
殊に有利には、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、二酸化炭素(液状又は超臨界流体として)、アンモニア、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、DMF又は生成物として生ずるメルカプトアルキル(アルコキシシラン)を使用できる。
【0017】
該溶剤は、イオン性液体又はイオン性液体の組合せ物又は混合物であってよい。
【0018】
使用されるイオン性液体は、助触媒としても作用しうる。
【0019】
使用されるイオン性液体は転化率の増加をもたらしうる。
【0020】
使用されるイオン性液体は活性の増加をもたらしうる。
【0021】
使用されるイオン性液体は選択性の増加をもたらしうる。
【0022】
使用されるイオン性液体は、0〜250℃、有利には50〜180℃、特に有利には80〜150℃の融点を有してよい。
【0023】
イオン性液体は、1種のカチオン型と1種のアニオン型を含有する均質化合物から形成できる。イオン性液体は、複数種のカチオン型と複数種のアニオン型を含有する化合物から形成できる。イオン性液体は、1種のカチオン型と複数種のアニオン型を含有する化合物から形成できる。イオン性液体は、複数種のカチオン型と1種のアニオン型を含有する化合物から形成できる。
【0024】
イオン性液体は1種の塩、すなわち選択された反応条件下で液状である少なくとも1種のカチオン型と1種のアニオン型からなってよい。
【0025】
イオン性液体は非常に低い蒸気圧(理論上ほぼ0)を有し、これは多くの用途に好ましい。
【0026】
イオン性液体は、有機塩、有利には複素環式の窒素化合物の塩からなってよい。
【0027】
イオン性液体は、アルキル化又は多アルキル化された複素芳香族化合物の塩を含有してよい。アルキル化又は多アルキル化された複素芳香族化合物は、アルキル化されたピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール又はトリアゾールであってよい。アルキル置換基は、C〜C40の鎖長を有してよく、そして直鎖状、分枝鎖状であるか、又は置換されていてよい。アルキル置換基は同一又は異なってよい。
【0028】
イオン性液体は、置換されたアンモニウムイオンN(アルキル)(R′)(+)、1,3−ジアルキルイミダゾリウムイオン又はホスホニウムイオンP(アルキル)(R′)(+)の塩からなってよい。
【0029】
カチオンとして、例えばカチオン型
bmim、bmim、emim、ommim、mmim、bupy、CPy、CPy、N8,8,8,1、N6,2,2,2、[MeNEt]、[MeNBu]、[MeNPent]、[MeNHex
を使用できる。
【0030】
これらのカチオンは、一価又は多価の正の電荷を有してよい。これらのアニオンは、一価又は多価の負の電荷を有してよい。
【0031】
アニオンとしては、ホスフェート、アミド、スルフェート、テトラクロロ(アルミナート)、スルファイト、ニトレート、ニトライト、アルキルスルフェート、アルキルスルホネート又はハロゲニドを使用できる。
【0032】
アニオンとしては、例えばクロリド、ブロミド、ヨージド、HSO(−)、BF(−)、BCl(−)、PF(−)、ASF(−)、SbF(−)、HCO(−)、ラクテート、サッカリネート、Al(Cl)(−)、Al(Cl)(−)、AlCl10(−)、CuCl(−)、CuCl(−)、CuCl(−)、SnCl(−)、SnCl(−)、CH−SO(−)、CH−CH−SO(−)、CF−SO(−)、CH−SO(−)、CF−COO(−)、C17−(SO(−)、C1633−(SO(−)、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、トシレートを使用してよい。
【0033】
イオン性液体としては、例えばLiAlCl−AlCl、NaAlCl−AlCl、KAlCl−AlCl、MgAlCl−AlCl、NaAlCl−KAlCl、NaAlCl−KAlCl−AlCl、NaAlCl−KAlCl−MgCl、KAlCl−Ca(AlCl又はNaAlCl−KAlCl−LiAlClの混合物を使用してよい。混合物の共融混合物又は共融点に近い混合物を有利には使用できる。
【0034】
イオン性液体としては、例えばLiAlCl、NaAlCl、KAlCl、Mg{AlCl又はCa(AlClを使用することができる。
【0035】
これらのカチオンとアニオンは、P.WasserscheidとW.Keim著のAngew. Chem. Int. Ed. 2000, 39, 3773に挙げられるものに相当しうる。
【0036】
これらのカチオンとアニオンはT.Welton著のChem. Rev. 1999, 99, 2071に挙げられるものに相当しうる。
【0037】
水素添加されるべきビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドは、極性又は非極性の、プロトン性又は非プロトン性の物質と混合されてよい。
【0038】
ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドは、一般式(I)
Z−A−S−A−Z (I)
[式中、
xは1〜14、有利には1〜8、好ましくは2〜4、特に有利には2〜2.6の数であり、
Zは同一又は異なるSiX又はSi(OCH−CH−)Nであり、かつ
、X、Xはそれぞれ互いに無関係に、ヒドロキシ(−OH)、
1〜18個の炭素原子(C10〜C18)、有利にはC〜C10を有する直鎖状又は分枝鎖状又は環式の炭化水素鎖、好ましくは、メチル、エチル、プロピル又はブチル、
アルキル酸置換基(C2y+1)−C(=O)O−(y=1〜25)、アルケニル酸置換基、例えばアセトキシCH−(C=O)O−、
5〜12個の炭素原子を有する置換されたアルキル酸置換基もしくはアルケニル酸置換基、シクロアルカン基、
ベンジル基、ハロゲン置換もしくはアルキル置換されたフェニル基、
直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素鎖を有するアルコキシ基、有利にはC〜C24−アルコキシ、特に有利にはメトキシ(CHO−)、エトキシ(CO−)、プロポキシ(CO−)、ブトキシ(CO−)、ドデシルオキシ(C1225O−)、テトラデシルオキシ(C1429O−)、ヘキサデシルオキシ(C1633O−)又はオクタデシルオキシ(C1837O−)、
〜C12−原子を有するシクロアルコキシ基、
ハロゲン置換もしくはアルキル置換されたフェノキシ基、
ベンジルオキシ基、
アルキルエーテル基(O−(CR−CR)−O−Alk)又は
アルキルポリエーテル基(O−(CR−CRO)−Alk)(式中、a=2〜25、有利にはa=2〜15、特に有利にはa=3〜10、殊に有利にはa=3〜6、Rは互いに無関係にH又はアルキル基、有利にはCH基であり、Alkは1〜30個の炭素原子(C〜C30)、有利にはC〜C20、特に有利にはC〜C18、殊に有利にはC〜C16を有する直鎖状又は分枝鎖状の、飽和又は不飽和のアルキル鎖である)を意味してよく、
Aは直鎖状又は分枝鎖状の、飽和又は不飽和の脂肪族の、芳香族の又は脂肪族/芳香族の混ざった二価の、C〜C30を有する炭化水素鎖、有利にはC〜Cを有する炭化水素鎖、特に有利には(−CH−)、(−CH−)、(−CH−)、(−CH(CH)−CH−)又は(−CH−CH(CH)−)である]の化合物に相当しうる。
【0039】
Aは直鎖状又は分枝鎖状であってよく、かつ飽和結合と同様に不飽和結合も有してよい。Aは、水素置換基を有する代わりに、非常に多様な置換基、例えば−CN、ハロゲン、例えば−Cl、−Br又は−F、アルコール官能性(−OH)、アルコキシドを備えていてよい。Aとして、有利には、CH、CHCH、CHCHCH、CHCH(CH)、CHCHCHCH、CHCHCH(CH)、CHCH(CH)CH、CHCHCHCHCH、CHCH(CH)CHCH、CHCHCH(CH)CH、CH(CH)CHCH(CH)又はCHCH(CH)CH(CH)を使用してよい。
【0040】
一般式(I)のシランとして、例えば以下の化合物を使用してよい:
[(MeO)Si(CH、[(MeO)Si(CH、[(MeO)Si(CH、[(MeO)Si(CH、[(MeO)Si(CH、[(MeO)Si(CH、[(MeO)Si(CH、[(MeO)Si(CH、[(MeO)Si(CH10、[(MeO)Si(CH11、[(MeO)Si(CH12、[(EtO)Si(CH、[(EtO)Si(CH、[(EtO)Si(CH、[(EtO)Si(CH、[(EtO)Si(CH、[(EtO)Si(CH、[(EtO)Si(CH、[(EtO)Si(CH、[(EtO)Si(CH10、[(EtO)Si(CH11、[(EtO)Si(CH12、[(EtO)Si(CH13、[(EtO)Si(CH14、[(CO)Si(CH、[(CO)Si(CH、[(CO)Si(CH、[(CO)Si(CH、[(CO)Si(CH、[(CO)Si(CH、[(CO)Si(CH、[(CO)Si(CH、[(CO)Si(CH10、[(CO)Si(CH11、[(CO)Si(CH12、[(CO)Si(CH13、[(CO)Si(CH14、[(C1225O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(OEt)]、[(C1225O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(OEt)]、[(C1225O)Si(CH]S[(CHSi(OEt)]、[(C1225O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1225O)(OEt)]、[(C1225O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1225O)(OEt)]、[(C1225O)Si(CH]S[(CHSi(C1225O)(OEt)]、[(C1225O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1225O)(OEt)]、[(C1225O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1225O)(OEt)]、[(C1225O)Si(CH]S[(CHSi(C1225O)(OEt)]、[(C1225O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1225O)]、[(C1225O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1225O)]、[(C1225O)Si(CH]S[(CHSi(C1225O)],
(C1429O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(OEt)]、[(C1429O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(OEt)]、[(C1429O)Si(CH]S[(CHSi(OEt)]、[(C1429O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1429O)(OEt)]、[(C1429O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1429O)(OEt)]、[(C1429O)Si(CH]S[(CHSi(C1429O)(OEt)]、[(C1429O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1429O)(OEt)]、[(C1429O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1429O)(OEt)]、[(C1429O)Si(CH]S[(CHSi(C1429O)(OEt)]、[(C1429O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1429O)]、[(C1429O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1429O)]、[(C1429O)Si(CH]S[(CHSi(C1429O)]、[(C1633O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(OEt)]、[(C1633O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(OEt)]、[(C1633O)Si(CH]S[(CHSi(OEt)]、[(C1633O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1633O)(OEt)]、[(C1633O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1633O)(OEt)]、[(C1633O)Si(CH]S[(CHSi(C1633O)(OEt)]、[(C1633O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1633O)(OEt)]、[(C1633O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1633O)(OEt)]、[(C1633O)Si(CH]S[(CHSi(C1633O)(OEt)]、[(C1633O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1633O)]、[(C1633O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1633O)]、[(C1633O)Si(CH]S[(CHSi(C1633O)]、[(C1837O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(OEt)]、[(C1837O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(OEt)]、[(C1837O)Si(CH]S[(CHSi(OEt)]、[(C1837O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1837O)(OEt)]、[(C1837O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1837O)(OEt)]、[(C1837O)Si(CH]S[(CHSi(C1837O)(OEt)]、[(C1837O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1837O)(OEt)]、[(C1837O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1837O)(OEt)]、[(C1837O)Si(CH]S[(CHSi(C1837O)(OEt)]、[(C1837O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1837O)]、[(C1837O)(EtO)Si(CH]S[(CHSi(C1837O)]又は[(C1837O)Si(CH]S[(CHSi(C1837O)]。
【0041】
出発材料として必要なビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドは、−S−乃至−S14−を有する種々のビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドからなる混合物又は1種の硫黄鎖長を有するビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドであってよい。
【0042】
有利には、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドとしては、S=S〜S2.7の平均鎖長を有するビス(アルコキシシリルオルガニル)ジスルフィド(xが2〜14である−S−はHPLC又はH−NMRによって規定できる)を使用してよい。
基Z=−SiXは、有利には−Si(OMe)、−Si(OEt)、−SiMe(OMe)、−SiMe(OEt))、−SiMe(OMe)、−SiMe(OEt)、−Si(OC1225、Si(OC1429、Si(OC1633、Si(OC1837、Si(OC1429(OC1633)、Si(OC1429(OC1837)、Si(OC1633(OC1429)、Si(OC1633(OC1837)、Si(OC1837(OC1633)又はSi(OC1429)(OC1837であってよい。
【0043】
ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドとして、デグサAG社のSi 266、Si 266/2、Si 261、Si 75及びSi 69、General Electric−Osi社のSilquest A 1589、Silquest A 1289又はSilquest A 15304、信越化学株式会社のKBE 846又はKBE 856、ダイソー株式会社のCabrus 4、Cabrus 2A又はCabrus 2B、又は、Hung Pai Chemical Company社のHP 669又はHP 1589を使用してよい。
【0044】
ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドは、製法により0.01〜5質量%の3−クロロオルガニル(アルコキシシラン)を含有してよい。
【0045】
ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドは、製法により0.001〜1質量%の元素の硫黄を含有してよい。
【0046】
ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドは、製法により0.001〜1質量%のアルコールを含有してよい。
【0047】
形成されるメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)は、一般式(II)
Z−A−SH (II)
[式中、Z及びAはそれぞれ互いに無関係に式(I)による意味を有する]の化合物であってよい。
【0048】
基−SiXは、式IIにおいては、有利には−Si(OMe)、−Si(OMe)OH、−Si(OMe)(OH)、−Si(OEt)、−Si(OEt)OH、−Si(OEt)(OH)、−SiMe(OMe)、−SiMe(OEt))、−SiMe(OH)、−SiMe(OMe)、−SiMe(OEt)、SiMe(OH)、−Si[−O(CO)CH、−Si(OC1225、Si(OC1429、Si(OC1633、Si(OC1837、Si(OC1429(OC1633)、Si(OC1429(OC1837)、Si(OC1633(OC1429)、Si(OC1633(OC1837)、Si(OC1837(OC1633)、Si(OC1429)(OC1837であってよい。
【0049】
形成されるメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)は、一般式(II)の化合物の混合物であってよい。
【0050】
例えば、一般式(II)のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)は以下のものであってよい:
3−メルカプトプロピル(トリメトキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジメトキシヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(トリエトキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジエトキシヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジエトキシメトキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(トリプロポキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジプロポキシメトキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジプロポキシヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(トリドデカンオキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジドデカンオキシヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(トリテトラデカンオキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(トリヘキサデカンオキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(トリオクタデカンオキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジドデカンオキシ)テトラデカンオキシシラン、
3−メルカプトプロピル(ドデカンオキシ)テトラデカンオキシ(ヘキサデカンオキシ)シラン、
3−メルカプトプロピル(ジメトキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(メトキシメチルヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(メトキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ヒドロキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジエトキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(エトキシヒドロキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(エトキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジプロポキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(プロポキシメチルヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(プロポキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジイソプロポキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(イソプロポキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジブトキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ブトキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジイソブトキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(イソブトキシメチルヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(イソブトキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジドデカンオキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ドデカンオキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジテトラデカンオキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(テトラデカンオキシメチルヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(テトラデカンオキシジメチルシラン)、
2−メルカプトエチル(トリメトキシシラン)、
2−メルカプトエチル(トリエトキシシラン)、
2−メルカプトエチル(ジエトキシメトキシシラン)、
2−メルカプトエチル(トリプロポキシシラン)、
2−メルカプトエチル(ジプロポキシメトキシシラン)、
2−メルカプトエチル(トリドデカンオキシシラン)、
2−メルカプトエチル(トリテトラデカンオキシシラン)、
2−メルカプトエチル(トリヘキサデカンオキシシラン)、
2−メルカプトエチル(トリオクタデカンオキシシラン)、
2−メルカプトエチル(ジドデカンオキシ)テトラデカンオキシシラン、
2−メルカプトエチル(ドデカンオキシ)テトラデカンオキシ(ヘキサデカンオキシ)シラン、
2−メルカプトエチル(ジメトキシメチルシラン)、
2−メルカプトエチル(メトキシメチルヒドロキシシラン)、
2−メルカプトエチル(メトキシジメチルシラン)、
2−メルカプトエチル(ジエトキシメチルシラン)、
2−メルカプトエチル(エトキシジメチルシラン)、
2−メルカプトエチル(ヒドロキシジメチルシラン)、
1−メルカプトメチル(トリメトキシシラン)、
1−メルカプトメチル(トリエトキシシラン)、
1−メルカプトメチル(ジエトキシメトキシシラン)、
1−メルカプトメチル(ジエトキシヒドロキシシラン)、
1−メルカプトメチル(ジプロポキシメトキシシラン)、
1−メルカプトメチル(トリプロポキシシラン)、
1−メルカプトメチル(トリメトキシシラン)、
1−メルカプトメチル(ジメトキシメチルシラン)、
1−メルカプトメチル(メトキシジメチルシラン)、
1−メルカプトメチル(ジエトキシメチルシラン)、
1−メルカプトメチル(エトキシメチルヒドロキシシラン)、
1−メルカプトメチル(エトキシジメチルシラン)、
3−メルカプトブチル(トリメトキシシラン)、
3−メルカプトブチル(トリエトキシシラン)、
3−メルカプトブチル(ジエトキシメトキシシラン)、
3−メルカプトブチル(トリプロポキシシラン)、
3−メルカプトブチル(ジプロポキシメトキシシラン)、
3−メルカプトブチル(ジメトキシメチルシラン)、
3−メルカプトブチル(ジエトキシメチルシラン)、
3−メルカプトブチル(ジメチルメトキシシラン)、
3−メルカプトブチル(ジメチルエトキシシラン)、
3−メルカプトブチル(ジメチルヒドロキシシラン)、
3−メルカプトブチル(トリドデカンオキシシラン)、
3−メルカプトブチル(トリテトラデカンオキシシラン)、
3−メルカプトブチル(トリヘキサデカンオキシシラン)、
3−メルカプトブチル(ジドデカンオキシ)テトラデカンオキシシラン、
3−メルカプトブチル(ドデカンオキシ)テトラデカンオキシ(ヘキサデカンオキシ)シラン、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリメトキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリエトキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジエトキシメトキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリプロポキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジプロポキシメトキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリドデカンオキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリテトラデカンオキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリヘキサデカンオキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリオクタデカンオキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジドデカンオキシ)テトラデカンオキシシラン、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ドデカンオキシ)テトラデカンオキシ(ヘキサデカンオキシ)シラン、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジメトキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(メトキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジエトキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(エトキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ヒドロキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジプロポキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(プロポキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジイソプロポキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(イソプロポキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジブトキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ブトキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジイソブトキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(イソブトキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジドデカンオキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ドデカンオキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジテトラデカンオキシメチルシラン)、又は
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(テトラデカンオキシジメチルシラン)、
[(C19O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)](MeO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)(MeO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)](EtO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)(EtO)Si(CH
SH、[(C19O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)(EtO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C19O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1225O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1327O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)Si(CHSH、[(C1429O−(CH−CHO)Si(CHSH又はHS−CH−CH−CH−Si(OCH−CH−)N。
【0051】
本発明による方法は、水素化分解条件下に実施してよい。
【0052】
その水素化は、5〜250バール、有利には10〜200バール、特に有利には10〜99バール、殊に有利には10〜75バールの過圧の水素圧で実施してよい。
【0053】
その水素化は、50〜250℃、有利には75〜199℃、特に有利には100〜175℃、殊に有利には110〜170℃の温度で実施してよい。
【0054】
水素化のための反応時間は、300分未満、有利には270分未満、特に有利には240分未満、殊に有利には210分未満であってよい。
【0055】
反応混合物には、反応前、反応中又は反応完了時に添加剤を添加してよい。
【0056】
添加剤は、使用される触媒の寿命の延長をもたらすことができる。添加剤は、使用される触媒のより簡単な又は改善された取り扱いをもたらしうる。添加剤は、使用される触媒の再利用性を高めることができる。添加剤は、本方法の経済性を改善することができる。
【0057】
添加剤は、硫黄有機化合物、チタンアルコキシラート、アミン、有機もしくは無機の酸又は塩基又はそれらの混合物であってよい。
【0058】
添加剤は、カルボン酸、DMSO、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン又はトリアルキルアミンであってよい。添加剤は、Ti(OC又はTi(OCであってよい。
【0059】
遷移金属触媒は、触媒活性成分が1種又は複数種の第VIII族の金属からなる触媒であってよい。触媒活性成分としては、ニッケル、コバルト、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、イリジウム又は白金を使用してよい。
【0060】
触媒活性成分は、更にドープされていても、もしくは付加的な成分、例えば
アルカリ金属、有利にはLi、Na、K又はRb、
アルカリ土類金属、有利にはBe、Mg、Ca、Sr又はBa、
第3主族の元素、有利にはB、Al、Ga又はIn、
第4主族の元素、有利にはC、Si、Ge、Sn又はPb、
第5主族の元素、有利にはN、P、As又はSb、
第6主族の元素、有利にはO、S、Se又はTe、
第7主族の元素、有利にはF、Cl、Br又はI、
副族元素、有利にはSc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn又はCdを含有してよい。
【0061】
有利なドーピング成分は、水酸化物、酸化物、ハロゲン化物、例えばフッ化物、塩化物、臭化物又はヨウ化物、硫化物又は窒化物であってよい。
【0062】
ドープされた遷移金属触媒は、ラネー型で、遷移金属及び/又は遷移金属化合物、例えばモリブデンでドープされた多孔質の骨格触媒であってよい。
【0063】
ドープされた遷移金属触媒は、ラネー型で、遷移金属及び/又は遷移金属化合物、例えばモリブデンでドープされた多孔質の活性化金属触媒であってよい。ドープされた遷移金属触媒は、有利には、ラネー型で、遷移金属及び/又は遷移金属化合物、例えばモリブデンでドープされた活性化ニッケル金属触媒であってよい。
【0064】
ドーピング成分の質量割合(元素として又は化学化合物として存在して)は、ドープされる遷移金属触媒の質量に対して、0.00001〜80質量%、有利には0.0001〜50質量%、特に有利には0.001〜15質量%、殊に有利には0.01〜7.5質量%であってよい。
【0065】
触媒活性成分は、微細な非担持の活性化金属からなってよい。非担持の活性化金属は、固体として、懸濁液中で又はワックス又は油中に埋包させて使用してよい。
【0066】
触媒活性成分は、周知慣用の触媒担体材料、例えば珪藻土、炭素、ケイ酸、活性炭、キーゼルグール、クレー又はアルミノケイ酸塩の1つに施与されていてよい。
【0067】
触媒活性金属に対する触媒濃度は、1gのビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドあたり0.0001〜1ミリモルであってよい。
【0068】
有利には、活性金属としてのコバルトについては、触媒活性金属に対する触媒濃度は1gのビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドあたり0.001〜1ミリモル、特に有利には0.008〜0.5ミリモル、殊に有利には0.01〜0.1ミリモルであってよい。
【0069】
有利には、活性金属としてのニッケルについては、触媒活性金属に対する触媒濃度は1gのビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドあたり0.001〜1ミリモル、特に有利には0.01〜1ミリモル、殊に有利には0.1〜0.9ミリモルであってよい。
【0070】
有利には、活性金属としてのルテニウムについては、触媒活性金属に対する触媒濃度は1gのビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドあたり0.001〜1ミリモル、特に有利には0.005〜0.5ミリモル、殊に有利には0.005〜0.1ミリモルであってよい。
【0071】
有利には、活性金属としてのロジウムについては、触媒活性金属に対する触媒濃度は1gのビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドあたり0.001〜1ミリモル、特に有利には0.005〜0.5ミリモル、殊に有利には0.005〜0.1ミリモルであってよい。
【0072】
有利には、活性金属としてのパラジウムについては、触媒活性金属に対する触媒濃度は1gのビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドあたり0.001〜1ミリモル、特に有利には0.005〜0.1ミリモル、殊に有利には0.05〜1ミリモルであってよい。
【0073】
有利には、活性金属としてのイリジウムについては、触媒活性金属に対する触媒濃度は1gのビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドあたり0.001〜1ミリモル、特に有利には0.005〜0.5ミリモル、殊に有利には0.005〜0.1ミリモルであってよい。
【0074】
有利には、活性金属としての白金については、触媒活性金属に対する触媒濃度は1gのビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドあたり0.001〜1ミリモル、特に有利には0.005〜0.5ミリモル、殊に有利には0.005〜0.1ミリモルであってよい。
【0075】
所定の温度T及び一定圧力pでの水素化分解の速度の比較のためのパラメータとして、“出発材料の転化率”/“ミリモル(触媒金属)”/“分”の関係によって定量的に表現できる転化率を用いることができる。
【0076】
より低温での転化率を高めることができれば、環境的、エネルギー的かつ経済的な観点で実質的な改善となる。該方法のエネルギー効率は、温度を低下させることで高まり、空時収量は転化率に伴い増加し、そしてしばしば温度又は圧力を下げると使用される物質と得られる物質の取り扱いの簡易化がもたらされる。工業的設備の負荷は温度と圧力を下げると低減する。
【0077】
転化率は、0.001〜10g(ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド)/1ミリモル(触媒活性金属)/分であってよい。
【0078】
有利には、活性金属としてのコバルトについて、転化率は、0.001〜10g、特に有利には0.01〜10g、殊に有利には0.1〜5g(ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド)/1ミリモル(触媒活性金属)/分であってよい。
【0079】
有利には、活性金属としてのニッケルについて、転化率は、0.001〜10g、特に有利には0.01〜10g、殊に有利には0.1〜5g(ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド)/1ミリモル(触媒活性金属)/分であってよい。
【0080】
有利には、活性金属としてのルテニウムについて、転化率は、0.001〜10g、特に有利には0.01〜5g、殊に有利には0.1〜3g(ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド)/1ミリモル(触媒活性金属)/分であってよい。
【0081】
有利には、活性金属としてのロジウムについて、転化率は、0.001〜10g、特に有利には0.01〜5g、殊に有利には0.1〜3g(ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド)/1ミリモル(触媒活性金属)/分であってよい。
【0082】
有利には、活性金属としてのパラジウムについて、転化率は、0.001〜10g、特に有利には0.01〜5g、殊に有利には0.1〜3g(ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド)/1ミリモル(触媒活性金属)/分であってよい。
【0083】
有利には、活性金属としてのイリジウムについて、転化率は、0.01〜10g、特に有利には0.1〜5g、殊に有利には0.15〜3g(ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド)/1ミリモル(触媒活性金属)/分であってよい。
【0084】
有利には、活性金属としての白金について、転化率は、0.01〜10g、特に有利には0.1〜5g、殊に有利には0.5〜5g(ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド)/1ミリモル(触媒活性金属)/分であってよい。
【0085】
所定の温度T及び一定圧力pでの水素化分解の速度の比較のためのパラメータとして、“形成された生成物のミリモル数”/“触媒金属”/“分”の関係によって定量的に表現できるモル転化率を用いることができる。
【0086】
モル転化率は、0.001〜50ミリモル(メルカプトオルガニル(アルコキシシラン))/1ミリモル(触媒活性金属)/分であってよい。
【0087】
有利には、鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、白金、イリジウム又はパラジウムを含有する遷移金属触媒について、モル転化率は、0.001〜50ミリモル、有利には0.01〜40ミリモル、特に有利には0.05〜30ミリモル、殊に有利には0.1〜20ミリモル(メルカプトオルガニル(アルコキシシラン))/1ミリモル(含有する第VIII族の遷移金属)/分であってよい。
【0088】
本発明による方法により、90質量%より多く、有利には92質量%より多く、特に有利には94質量%より多く、殊に有利には96質量%より多くの使用したビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドをメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)に転化させることができる。
【0089】
本発明による方法により、含有するビス(アルコキシシリルオルガニル)モノスルフィドの相対割合(モル%)は一定に保つことができる。
【0090】
本発明による方法により、含有するビス(アルコキシシリルオルガニル)モノスルフィドの相対割合(モル%)が増大することがある。
【0091】
本発明による方法により、含有するビス(アルコキシシリルオルガニル)モノスルフィドの相対割合(モル%)が低下することがある。
【0092】
本発明による方法では、出発材料中に含有するビス(アルコキシシリルオルガニル)モノスルフィドの相対割合は、<10質量%、有利には<8質量%、特に有利には<6質量%、殊に有利には<4質量%であってよい。
【0093】
本発明による方法は、回分法又は連続法であってよい。
【0094】
回分法は、例えば撹拌オートクレーブ又はバス反応器(Buss-Reaktor)中でのスラリー法又は懸濁液法であってよい。
【0095】
連続法は、連続的な液体供給及びガス供給を伴うスラリー法であってよい。
【0096】
連続法では、気/液/固−反応のための公知の反応器を使用できる。固定床反応器のための典型的な代替物は、トリクルベッド反応器及び液相反応器であってよく、懸濁液反応器のための典型的な代替物は、撹拌槽、気泡塔及び流動床であってよい。
【0097】
本発明による方法は、ポリスルフィドの水素化分解を、毒性の高いHS又はアルコールを使用せずに、先行技術によって記載される条件より緩慢な条件で効果的に実施できるという利点を有する。特定の被毒防止試薬を省くことにより水素添加に悪影響は認められない。
【0098】
本発明による方法では、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドを使用される触媒でHによって分解するために、満足のいく活性を達成できる。
【0099】
本発明による方法では、被毒防止試薬の使用を省くことができる。
【0100】
先行技術と比較して、被毒防止試薬を用いずに塊状でビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドを水素添加することは、ルテニウムについては、例えば二倍だけ高い転化率を得ることができる。前記のより高い転化率は、今まで先行技術で被毒防止試薬を用いないポリスルファンシラン系について記載された条件より温度及び圧力に関して緩慢な反応条件下でさえも得ることができる。より高い転化率によって、空時収量がかなり改善されるだけでなく、メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)をHによる還元的分解によってビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドから製造するためのエネルギー消費比も低くなる。エネルギー消費が低くなり、そして反応条件がより緩慢になることで、設備に課される要求が低くなり、とりわけ摩耗が少なくなる。メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造時のエネルギー消費をより低減させることによって、プロセスのエネルギー収支が改善され、そして環境への負荷も低くなる。
【実施例】
【0101】
第1表では、US6,433,206号からの比較例をめとめている。ポリスルファンシランとして、詳細に特定されていないが、主にビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを含有するジスルファンシラン混合物が使用される。
【0102】
副生成物の形成に関しては記載されていない。生成物分析は詳細に記載しないが、ガスクロマトグラフィー法によって行われる。
【0103】
第1表 − 比較例
【0104】
【表1】

【0105】
第2表、第3表及び第4表では、ジスルファンシランを基礎とする本発明による実施例をまとめている。油浴により加熱される8機の並列のオートクレーブからなり、それらの反応器容量が20mlであり、かつ錨形状のマグネットスターラーを備え、それが反応器中央に存在する固定軸上を1300回転/分で回転する、Chemscan社製の装置中で、第2表、第3表及び第4表中の条件に従いSi266(デグサAG社製の市販製品/[ビス(アルコキシシリルオルガニル)ジスルフィド])を接触水素化する。
【0106】
該反応を指示された時間後に完了させる。
【0107】
第2表、第3表及び第4表中の欄“生成物組成”では、成分として、
メルカプトプロピル(トリエトキシシラン)、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド及び
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
だけが考慮される。ビス(トリエトキシシリルプロピル)モノスルフィド及び3−クロロプロピル(トリエトキシシラン)は無視する。
【0108】
生成物組成は、H−NMRによって測定する。
【0109】
該試験に使用されるSi266は、GC/HPLCとNMR−分析との組合せによれば
1.7質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)モノスルフィド、
84質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、
12質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド及び
1質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
を含有する。
【0110】
測定されたポリスルファン混合物の平均鎖長は、約2.14(S2〜S8の平均値を考慮したにすぎない)である。使用されるSi266中には、0.8質量%の3−クロロプロピル(トリエトキシシラン)が含まれている。
【0111】
第2表
【0112】
【表2】

【0113】
第3表
【0114】
【表3】

【0115】
第4表
【0116】
【表4】

【0117】
第5表において、テトラスルファンシランを基礎とする本発明による実施例をまとめている。油浴により加熱される8機の並列のオートクレーブからなり、それらの反応器容量が20mlであり、かつ錨形状のマグネットスターラーを備え、それが反応器中央に存在する固定軸上を1300回転/分で回転する、Chemscan社製の装置中で、第5表中の条件に従いSi69(デグサAG社製の市販製品/[ビス(アルコキシシリルオルガニル)テトラスルフィド])を接触水素化する。
【0118】
該反応を指示された時間後に完了させる。
【0119】
第5表中の欄“生成物組成”では、成分として、
メルカプトプロピル(トリエトキシシラン)、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド及び
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
だけが考慮される。ビス(トリエトキシシリルプロピル)モノスルフィド及び3−クロロプロピル(トリエトキシシラン)は無視する。
【0120】
挙げられる生成物組成は、H−NMRによって測定する。
【0121】
該試験に使用されるSi69は、GC/HPLCとNMR−分析との組合せによれば
0.1質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)モノスルフィド、
17質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、
27質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、
25質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及び
約29質量%の、xが5以上の−S−を有するビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド
を含有する。
【0122】
測定されたポリスルファン混合物の平均鎖長は3.75である。Si69中には、1.4質量%の3−クロロプロピル(トリエトキシシリル)が含まれている。
【0123】
第5表
【0124】
【表5】

【0125】
前記の表中に含まれる略語は以下のものを意味する:
SH=3−メルカプトプロピル(トリエトキシシラン)、
S2=ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、
S3=ビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、
S4=ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド。
【0126】
Si69[ビス(アルコキシシリルオルガニル)テトラスルフィド]及びSi266[ビス(アルコキシシリルオルガニル)ジスルフィド]は、デグサAG社の市販のビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドである。
【0127】
コード番号H 105 BA/W 5% Ruを有する触媒、コード番号E 105 RS/W 5% Pdを有する触媒、コード番号CE 105 R/W 5% Pd+0.5% Moを有する触媒及びコード番号E 105 Y/W 5% Pdを有する触媒は、貴金属成分、例えばルテニウム又はパラジウムを多孔質の高表面積の担体材料上に施与することによって製造される貴金属粉末触媒である。貴金属成分の割合は、この場合に触媒の乾燥質量に対して5質量%である。触媒は、粉末形で流動性の固体として使用される。前記の触媒は活性炭上に担持されている。
【0128】
コード番号B 111 Wを有する触媒は、微細な元素ニッケルを水溶液中に懸濁させることによって製造される活性化金属触媒である。該触媒は、金属成分の分離後に粉末形の固体として使用される。
【0129】
前記のコード番号を有する触媒は、以下の量の活性金属を含有する:H 105 BA/Wは5%のRuを含有する、E 105 RS/Wは5%のPdを含有する、CE 105 R/Wは5%のPdと0.5%のMoを含有する、E 105 Y/Wは5%のPdを含有する、そしてB 111 Wは100%のニッケルを含有する。G−96 B及びT 8027といった触媒は、Sued−Chemie社の市販製品である。触媒G−96 Bは、66%のニッケルとアルカリ性促進剤を含有する。
【0130】
触媒T8027は52%のニッケルと2.4%のジルコニウムを含有する。
【0131】
生成物の分析のためには、とりわけBruker社のDRX500NMR装置を当業者に公知の通則及び使用上の指示に従って使用する。測定周波数は29Si核については99.35MHzであり、そしてH核については500.13MHzである。参照としてテトラメチルシラン(TMS)を用いる。
【0132】
ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド及びメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)及びその混合物の分析はGC、HPLC及びNMRによって行ってよい(U. Goerl, J. Muenzenberg, D. Luginsland, A. Mueller Kautschuk Gummi Kunststoffe 1999, 52(9), 588、D. Luginsland Kautschuk Gummi Kunststoffe 2000, 53(1-2), 10、M. W. Backer et al, Polmer Preprints 2003, 44(1), 245)。
【0133】
本発明による方法では、被毒防止試薬の使用を省くことができる。
【0134】
先行技術と比較して、被毒防止試薬を用いずに塊状でビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドを水素添加することは、ルテニウムについては二倍だけ高い転化率を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法であって、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドを、溶剤中で、水素及び遷移金属触媒を用いて、アルコール、HS又は水を添加せずに水素添加させることを特徴とする方法。
【請求項2】
ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドが一般式(I)
Z−A−S−A−Z (I)
[式中、
xは1〜14の数であり、
Zは同一又は異なるSiX又はSi(OCH−CH−)Nであり、
、X、Xはそれぞれ互いに無関係に、ヒドロキシ(−OH)、
1〜18個の炭素原子(C〜C18)を有する直鎖状又は分枝鎖状又は環式の炭化水素鎖、アルキル酸置換基(C2x+1)−C(=O)O−、アルケニル酸置換基、置換されたアルキル酸置換基もしくはアルケニル酸置換基、5〜12個の炭素原子を有するシクロアルカン基、
ベンジル基、ハロゲンもしくはアルキルで置換されたフェニル基、C〜C24−アルコキシを有し、直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素鎖を有するアルコキシ基、
〜C12原子を有するシクロアルコキシ基、
ハロゲンもしくはアルキルで置換されたフェノキシ基、ベンジルオキシ基、
アルキルエーテル基O−(CR−CR)−O−Alk又は
アルキルポリエーテル基O−(CR−CRO)−Alk(式中、a=2〜25、Rは互いに無関係にH又はアルキル基であり、Alkは1〜30個の炭素原子(C〜C30)を有する直鎖状又は分枝鎖状の、飽和又は不飽和のアルキル鎖を意味してよく、
Aは直鎖状又は分枝鎖状の、飽和又は不飽和の、脂肪族、芳香族又は脂肪族/芳香族の混ざった二価の、C〜C30を有する炭化水素鎖である]の化合物である、請求項1記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項3】
ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドが、一般式1の化合物の混合物である、請求項1記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項4】
水素添加されるべきビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドと極性又は非極性のプロトン性又は非プロトン性の物質とを混合する、請求項1記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項5】
水素添加を10〜250バールの圧力で実施する、請求項1記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項6】
水素添加を50〜250℃の温度で実施する、請求項1記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項7】
触媒が、触媒活性成分としてニッケル、コバルト、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、イリジウム又は白金を含有する、請求項1記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項8】
触媒活性成分は、付加的にドープされているか、もしくは付加的な成分を含有する、請求項1記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項9】
触媒活性成分が、1種又は複数種のアルカリ金属、アルカリ土類金属、第3主族の元素、第4主族の元素、第5主族の元素、第6主族の元素、第7主族の元素又は副族元素を含有する、請求項8記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項10】
触媒活性金属に対する触媒濃度が、0.0001〜1ミリモル/1g(ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド)である、請求項1記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項11】
方法を回分方式で実施する、請求項1記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項12】
方法を連続方式で実施する、請求項1記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項13】
反応混合物が添加剤を含有する、請求項1記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。

【公開番号】特開2006−77009(P2006−77009A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259002(P2005−259002)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【Fターム(参考)】