説明

メルカプト官能性シラン

本開示は、メルカプタン官能性およびヒドロカルビル官能性および/またはヘテロカルビル官能性を有する、有機官能性シランおよび有機官能性シランの混合物に関する。これらのシランは、使用のあいだに揮発性有機化合物(VOC)の発生を削減するか除去し、充填剤入りエラストマー材料の加工を助け、充填剤入りエラストマーの最終用途の特性を高める。本開示はこのシランの組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は有機官能性シランに関し、また有機官能性シランの混合物にも関する。この開示はこれらのシランの組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
メルカプトシランと、これらをカップリング剤として充填剤入りのエラストマーで使用することは当業者に周知である。しかしながら、これらのシランは充填剤および有機重合体と非常に反応しやすく、充填剤入りのエラストマーを調製するのに使用するのは難しい。これらのシランを、重合体に対する充填剤の最適なカップリングを達成するのに必要なレベルで使用するとき、未硬化の充填剤入りのエラストマーは、スコーチ時間(scorch time)が短く、充填剤の分散も不充分である。長いスコーチ時間は、充填剤および他の成分と重合体との混合、未硬化のエラストマーの押出し、並びに時期尚早の架橋が起こらないかまたは高粘性化合物が生成しない物品の製造にとって必要である。充填剤の良好な分散は、耐候性、摩耗、耐引き裂き性などのような最終用途の特性を達成するために必要である。これらのシランは、製造中や使用中に揮発性有機化合物(VOC)放出を引き起こすモノオールの官能性アルコールからも誘導される。
【0003】
有機シランのグリコール誘導体は当業者に周知である。しかしながら、これらのシラン誘導体は、結果として粘度が高くなり、またゲル化して、エラストマー製造における有用性を制限することになる、環状構造に好都合な架橋構造をもっぱらまたは主として形成する傾向に悩まされる。
【0004】
無機充填剤入りのエラストマーを調製する際のVOCを削減する必要性に加えて、エラストマー組成物の加工性を維持する一方で、有機重合体における無機充填剤の分散を改善する必要性もある。分散が良好になると、ローリング抵抗、発熱性および摩耗が減少するので、タイヤのような硬化された物品の性能が改善される。
【0005】
最近、本発明者は、すべてが2006年2月21日に出願された米国特許出願第11/358,550;11/358,818;11/358,369;11/358,861号において、ブロックされたメルカプタン基とブロックされてない自由なメルカプタン基とを含む有機官能性シラン、または有機官能性シランの混合物を用いる充填剤入りエラストマーの、スコーチ、VOC放出およびカップリング性能に取り組んだ。さらに、本発明者は、2005年4月12日に出願された米国特許出願第11/104103号公報において、ジアルコキシシリル基を含む有機官能性シランを用いるVOC放出に取り組んだ。
【発明の概要】
【0006】
この開示は、一つの実施態様において、:
(i)少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有するメルカプトシラン、
(ii)少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有するヒドロカルビルシランまたはヘテロカルビルシラン、
(iii)メルカプトシラン単位のケイ素原子が架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、各シラン単位が少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を任意選択で有している、メルカプトシラン二量体、
(iv)ヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位のケイ素原子が架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、各シラン単位が少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を任意選択で有している、ヒドロカルビルシラン二量体および/またはヘテロカルビルシラン二量体、
(v)メルカプトシラン単位を有しているシラン二量体であって、これのケイ素原子が架橋ジアルコキシ基によってヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位のケイ素原子に結合されており、各シラン単位が少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を任意選択で有している、シラン二量体、
(vi)隣接するメルカプトシラン単位のケイ素原子が架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、末端メルカプトシラン単位が少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有している、メルカプトシランオリゴマー、
(vii)隣接するヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位のケイ素原子が架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、末端ヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位が少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有している、ヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランオリゴマー、
(viii)少なくとも一つのメルカプトシラン単位、および少なくとも一つのヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位を有するシランオリゴマーであって、隣接するシラン単位のケイ素原子が架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、末端シラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、シランオリゴマー
からなる群から選択される少なくとも一つの有機官能性シランを含有するメルカプト官能性シラン組成物を指向し、
ただし、組成物が(i)、(iii)および(vi)の一つもしくはそれ以上を含む場合、組成物は(ii)、(iv)、(v)、(vii)および(viii)の一つもしくはそれ以上をさらに含み、そして組成物が(ii)、(iv)および(vii)の一つもしくはそれ以上を含む場合、組成物は(i)、(iii)、(v)、(vi)および(viii)の一つもしくはそれ以上をさらに含む、という条件である。
【0007】
上の記述から認識される一つの他の実施態様において、ここに記載されるプロセスによって作製される組成物は、一つもしくはそれ以上のシラン二量体および/またはシランオリゴマーを含んでいてよく、ここで隣接するシラン単位は、例えばジオール(グリコール)、トリオール(triol)、テトロール(tetrol)などのポリヒドロキシ含有化合物から誘導される架橋ジアルコキシシラン構造によって互いに結合されており、それらすべてはポリヒドロキシ含有化合物のすべては、既知の有機シランによって放出されるメタノールおよびエタノールのような単純なモノヒドロキシ含有化合物と比較して揮発性が低い揮発性有機化合物(VOC)である。
【0008】
他の実施態様において、本発明の範囲内のプロセスによって作製される組成物のすべては、同一のシランに存在するかもしくは個々のシランの混合物に存在する、メルカプト官能性と、ヒドロカルビル官能性および/またはヘテロカルビル官能性との両方を含むことも認識されるだろう。メルカプタン官能性のみを有するシランはスコーチの傾向があることは知られているのに対して、メルカプタン官能性と、ヒドロカルビル官能性および/またはヘテロカルビル官能性との両方を含む本発明の組成物は、例えばブロックされたメルカプタン基のみもしくはポリスルフィド基のみを有するシランの組成物に近い、長いスコーチ時間を有するが、後者の組成物より著しく優れた性能を持つことは予想外であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに使用される「有機官能性シラン」の語句は、メルカプタン官能性およびヒドロカルビル官能性および/またはヘテロカルビル官能性、並びに、少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、そして二量体およびオリゴマーの有機官能性シランの場合には、隣接するシラン単位を結合するジアルコキシ架橋基を有する、非重合体、二量体、もしくはオリゴマーのシランを意味すると理解されるものとする。
【0010】
一つの実施態様において、すべての範囲は、その間に入るサブ範囲を含むと理解される。他の具体的な実施態様において、群の構成要素のすべての列挙は、この群の構成要素のうちの二つもしくはそれ以上の組み合わせをさらに含有してよいと理解される。他の実施態様において、本特許と同一の発明者により、本出願と同じ日付に出願され、「メルカプト官能性シランを作製するプロセス」、「メルカプト官能性シランを含有する流動性充填剤組成物」および「メルカプト官能性シランを含有するゴム組成物およびその物品」、と題した米国特許出願は、これらを引用することにより、総ての内容を本明細書の一部としてここに組み込まれるものと理解する。
【0011】
他の実施態様は、メルカプト官能性シランの調製プロセスであって:
a)
−(SiX (1)
[G−(YG−)Y]−G−(SiX(2)
からなる群から選択される少なくとも一つの有機官能性シラン、
並びに一般式
(HS)−G−(SiX (3)
(式中、
Yの各々は、多価の種、(−Q)−[C(=E)](A−)から独立して選択され、式中、原子(E)は不飽和炭素原子に結合され;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される一価基および多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から約30の炭素原子を有していてよく;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される二価基または多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から30の炭素原子を有していてよく;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される一価基および多価基からなる群から独立して選択され、Gが1から約30の炭素原子を有し、ただし、Gが一価の場合、Gは水素でもよい、という条件であり;
Xの各々は、−Cl、−Br、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、RN−、−Rからなる群から独立して選択され、式中、各Rは、水素、不飽和を含んでも含んでいなくてもよい直鎖、環状または分岐のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群から独立して選択され、ここで水素以外の各Rは1から18の炭素原子を有し;
Qの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)からなる群から独立して選択され、ただし、Qが硫黄であるとき、bは0である、という条件であり;
Aの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)からなる群から独立して選択され、ただし、Aが硫黄であるとき、bは0である、という条件であり;
Eの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)からなる群から独立して選択され;
下付文字、a、b、c、j、k、r、およびsは、aは0または1;bは0または1;cは0または1;jは約1から約3;kは約0から約15;rは約1から約3;そして、sは約1から約3、によって独立して与えられる整数であり、ただし、上記の構造(1)、(2)および(3)の各々は少なくとも一つの加水分解性のX基を含む、という条件である)
の少なくとも一つのメルカプト官能性シランと、
b)一般式
(OH) (6)
(式中、Gは1から約15の炭素原子の炭化水素基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を含む4から約15の炭素原子のヘテロカルビル基であり、そしてdは約2から約8の整数である)
の一つもしくはそれ以上のポリヒドロキシ含有化合物とを、エステル交換の条件下で反応させることを含有する調製プロセスである。
【0012】
一つの実施態様において、ここに記述された有機官能性シラン(i)−(viii)およびそれらの混合物は、とりわけ一般式
−(SiX (1)
[G−(YG−)Y]−G−(SiX (2)
(HS)−G−(SiX (3)
(式中、
Yの各々は、多価の種、(−Q)[C(=E)](A−)から独立して選択され、式中、原子(E)は不飽和炭素原子に結合し;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される一価基および多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から約30の炭素原子を有し;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される二価基または多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から30の炭素原子を有し;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される一価基および多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から約30の炭素原子を有し、ただし、Gが一価の場合、Gは水素でもよい、という条件であり;
Xの各々は、−Cl、−Br、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、RN−、−Rからなる群から独立して選択され、式中、各Rは、水素、不飽和を含んでもよい直鎖、環状または分岐のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群から独立して選択され、式中、水素以外の各Rは1から18の炭素原子を有し;
Qの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)からなる群から独立して選択され、ただし、Qが硫黄であるとき、bは0である、という条件であり;
Aの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)からなる群から独立して選択され、ただし、Aが硫黄であるとき、bは0である、という条件であり;
Eの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)からなる群から独立して選択され;
下付文字、a、b、c、j、k、r、およびsの各々は、aは0または1、より具体的には1;bは0または1、より具体的には0;cは0または1、より具体的には0;jは具体的には約1から約3、より具体的には約1から約2、最も具体的には1;kは具体的には約0から約15、より具体的には約0から約5、最も具体的には約0から約2;rは具体的には約1から約3、最も具体的には約1;そしてsは具体的には約1から約3、より具体的には約1、によって独立して与えられる整数であり、ただし、上記の構造(1)、(2)および(3)の各々は少なくとも一つの加水分解性のX基を含む、という条件である)
の一つもしくはそれ以上のシラン反応物から得ることができる。
【0013】
本発明の一つの特定の実施態様において、シラン反応物は一般式(4)および(5)の少なくとも一つによって表されるトリアルコキシシランである:
(RO)SiG (4)
(RO)SiGSH (5)
式中、各Rは、上述した意味のうちの一つを独立して有し、そして有利には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、またはsec−ブチル基であり;Gは1から約12の炭素原子のアルキレン基であり;そしてGは3から約18の炭素原子のアルキル基である。
【0014】
具体的な実施態様において、シラン単量体((1)、(2)および/または(3))の混合物を使用してよく、非限定的な例として、式(5)のメルカプトトリアルコキシシランの二つもしくはそれ以上、式(4)のヒドロカルビルトリアルコキシシランの二つもしくはそれ以上、および、式(5)のメルカプトトリアルコキシシランの一つもしくは以上と式(4)のヒドロカルビルトリアルコキシシランの一つもしくはそれ以上との混合物であり、これらのシランのR、GおよびGは、式(1)および(3)のシランで定義されたとおりである。
【0015】
一つの実施態様において、シラン二量体またはシランオリゴマーでは、二量体またはオリゴマーの各シラン単位は、選択されたシラン単量体と、一般式
(OH) (6)
(式中、Gは1から約15の炭素原子の炭化水素基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を含む4から約15の炭素原子のヘテロカルビル基であり、そしてdは、具体的には約2から約8まで、より具体的には約2から約4まで、最も具体的には約2の整数である)
の一つもしくはそれ以上のポリヒドロキシ含有化合物との反応から生成する架橋基を経て隣接するシラン単位に結合される。
【0016】
一つの実施態様において、式(6)のポリヒドロキシ含有化合物は、一般式(7)および(8)の少なくとも一つのジオール(グリコール)である:
HO(RCROH (7)
HO(CRCRO)H (8)
式中、Rは、Rとして上に記載した構成要素のうちの一つによって独立して与えられ、fは2から約15であり、そしてeは2から約7である。一つの実施態様において、そのようなジオールの非限定的な幾つかの代表的な例は、HOCHCHOH、HOCHCHCHOH、HOCHCHCHCHOH、HOCHCH(CH)CHOH、(CHC(OH)CHCH(OH)CH、CHCH(OH)CHCHOH;HOCHCHOCHCHOH、HOCHCHCHOCHCHCHOH、HOCHCH(CH)OCHCH(CH)OHのようなエーテル性酸素含有基を有するジオール、並びに非限定的な例としてHOCHCHOCHCHOCHCHOHのようなポリエーテル骨格を有するジオール、Rは水素またはメチルでありそしてeは3から約7である式(8)のジオールである。
【0017】
他の実施態様において、式(6)のポリヒドロキシ含有化合物は式(7)のジオールである。
【0018】
他の実施態様において、式(6)のポリヒドロキシ含有化合物は高次のヒドロキシ官能性を有し、例えば非限定的例として一般式(9)のトリオールまたはテトロールからなる群から選択される:
(OH) (9)
式中、Gは2から約15の炭素原子の置換炭化水素基、または4から約15の炭素原子の置換ヘテロ炭素であり、一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を含み;そして、dは3から約8の整数である。一つの実施態様において、高次のヒドロキシ官能性化合物(9)の非限定的な例の幾つかは、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、マンニトール、ガラクチコール、ソルビトール、およびそれらの組み合わせを含む。
【0019】
他の実施態様において、式(6)のポリヒドロキシ含有化合物の混合物も使用してよい。
【0020】
一つの実施態様において、有機官能性シラン(i)〜(viii)およびそれらの混合物は、一般式(1)、(2)および/または(3)
−(SiX (1)
[G−(YG−)Y]−G−(SiX(2)
(HS)−G−(SiX (3)
の一つもしくはそれ以上の少なくとも一つのシランを、一般式(6)
(OH) (6)
(式中、G、G、G、G、R、Y、X、a、b、c、d、j、k、r、およびsの各々は、先に定義されたとおりであり、ただし、Xの少なくとも一つは加水分解性基である、という条件であり、前述の各々は以前に述べた意味を有する)
の少なくとも一つのポリヒドロキシ含有化合物と、エステル交換の反応条件下で反応させることを含有するプロセスによって調製することができる。
【0021】
上述のプロセスの第一の実施態様において、式(1)の少なくとも一つのヒドロカルビルシランおよび/または式(2)のヘテロカルビルシランは、任意選択で触媒、例えばエステル交換触媒の存在下で、式(6)の少なくとも一つのポリヒドロキシ含有化合物によりエステル交換されて、一つもしくはそれ以上の有機官能性ヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシラン(ii)、(iv)および(vii)を提供し、そして式(3)のメルカプトシランは、任意選択で触媒、例えばエステル交換触媒の存在下で、式(6)の少なくとも一つのポリヒドロキシ含有化合物によりエステル交換されて、一つもしくはそれ以上の有機官能性シラン(i)、(iii)および(vi)を提供する、一部分もしくはそれ以上の部分または完全なメルカプトシランを提供し、任意のそれらは(ii)、(iv)および(vii)の一つ以上と混合されていて良い。
【0022】
上述のプロセスの第二の実施態様において、有機官能性シラン(i)、(iii)および(vi)は、有機官能性シラン(ii)、(iv)および(vii)によりさらにエステル交換されて、(v)または(viii)を生成するが、これは(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(vi)、および(vii)の一つもしくはそれ以上と混合されている。一つの実施態様において、ここに記述されたメルカプト官能性シラン組成物は、(i)と、(ii)、(iv)、(v)、(vii)および(viii)の一つもしくはそれ以上との混合物;(ii)と、(iii)、(v)、(vi)および(viii)の一つもしくはそれ以上との混合物;(iii)と、(v)、(vii)および(viii)の一つもしくはそれ以上との混合物;(iv)と、(v)、(vi)および(viii)の一つもしくはそれ以上との混合物;(v)と、(vi)および(vii)のどちらか一方もしくは両方との混合物;(vi)と、(vii)および(viii)のどちらか一方もしくは両方との混合物;並びに、(vii)と(viii)との混合物からなる群から選択される少なくとも一つの混合物を含有する。他の実施態様は、ここに記載されるメルカプト官能性シラン組成物であって、ここで(i)は、一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する;(ii)は、一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する;(iii)の各シラン単位は、一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する;(iv)の各シラン単位は、一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する;(v)の各シラン単位は、一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する;(vi)は、3から約20のメルカプトシラン単位を有し、末端メルカプトシラン単位は一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する;(vii)は、3から約20のヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位を有し、末端ヒドロカルビルシラン単位またはヘテロカルビルシラン単位は一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する;そして、(viii)は、3から約40のシラン単位を有し、そのうち1から約20はメルカプトシラン単位であり、そして1から約20はヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位であり、末端シラン単位は一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する。さらに他の実施態様は、ここに記載されるメルカプト官能性シラン組成物を提供し、ここで(i)は、一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する;(ii)は、一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する;(iii)の各シラン単位は、一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する;(iv)の各シラン単位は、一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する;(v)の各シラン単位は、一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する;(vi)は、3から約10のメルカプトシラン単位を有し、末端メルカプトシラン単位は一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する;(vii)は、3から約10のヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位を有し、末端ヒドロカルビルシラン単位またはヘテロカルビルシラン単位は一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する;そして、(viii)は、3から約20のシラン単位を有し、そのうちの1から約10はメルカプトシラン単位であり、そして1から約10はヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位であり、末端シラン単位は一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する。他の実施態様は、ここに記載するメルカプト官能性シラン組成物が提供され、ここで各混合物において、ヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基に対するメルカプタンの比は、約20:1から約0.05:1の範囲である。
【0023】
ここでの一般的な調製プロセスの、この第一実施態様の適用において、式(4)の少なくとも一つのヒドロカルビルトリアルコキシシランは、任意選択で非限定的な例としてパラ−トルエンスルホン酸のようなエステル交換触媒の存在下で、式(7)または(8)の少なくとも一つのジオールによりエステル交換されて、有機官能性シラン(vii)、すなわち、非限定的な例としてヒドロカルビルシランオリゴマーを提供し、式(5)のメルカプトトリアルコキシシランは、任意選択で例えば非限定的な例としてp−トルエンスルホン酸のようなエステル交換触媒の存在下で、式(7)または(8)の少なくとも一つのジオールによりエステル交換されて、有機官能性シラン(vi)、すなわち、非限定的な例としてメルカプトシランオリゴマーを提供し、その後、それは有機官能性シラン(vii)と混合されてさらにエステル交換され、任意選択でエステル交換触媒の存在下で、一つもしくはそれ以上の有機官能性シラン(viii)、すなわち、非限定的な例として一つもしくは以上のメルカプトシランおよび一つもしくはそれ以上のヒドロカルビルシランだけを、または一つもしくはそれ以上の他の有機官能性シラン(i)−(v)と組み合わせて含むシランオリゴマーを提供する。
【0024】
ここでの一般的な調製手順の第三の実施態様において、式(3)の少なくとも一つのメルカプトシランは、式(1)の少なくとも一つのヒドロカルビルシランおよび/または式(2)のヘテロカルビルシランと混合され、任意選択でエステル交換触媒の存在下で、式(6)の少なくとも一つのポリヒドロキシ含有化合物によりエステル交換されて、とりわけ、一つもしくは以上の有機官能性シラン(v)および/または(viii)、および/または有機官能性シランの他の混合物、非限定的な例としてシラン(i)および(ii);(i)および(v);(i)、(ii)および(v);(ii)および(viii);(ii)、(v)および(viii);(i)、(ii)、(v)、および(viii)などの混合物を提供する。
【0025】
一般的な調製プロセスの上述の第三の実施態様の一つの適用において、式(5)の少なくとも一つのメルカプトトリアルコキシシランおよび式(4)の少なくとも一つのヘテロカルビルトリアルコキシシランは、任意選択でエステル交換触媒の存在下で、式(7)の少なくとも一つのジオールによりエステル交換されて、一つもしくはそれ以上のシラン(v)および/または(viii)を提供する。
【0026】
一般的な調製プロセスの第四の実施態様において、式(3)の少なくとも一つのメルカプトシランは、任意選択でエステル交換触媒の存在下で、式(6)の少なくとも一つのポリヒドロキシ含有化合物によりエステル交換されて、少なくとも一つの二量体(iii)および/またはオリゴマー(vi)、またはメルカプトシラン(i)のみを提供するか、または二量体(iii)および/またはオリゴマー(iv)との混合で提供する。
【0027】
上述の一般的な調製プロセスの第四の実施態様の一つの適用において、式(5)の少なくとも一つのメルカプトトリアルコキシシランは、任意選択でエステル交換触媒の存在下で、式(7)の少なくとも一つのジオールによりエステル交換されて、メルカプトシラン二量体(iii)および/またはオリゴマー(vi)を提供する。
【0028】
一つの実施態様において、上述のプロセスの実施態様のうちの一つから得られたエステル化生成物の一部またはすべては、他のプロセスの実施態様のうちの一つから得られた生成物と組み合わせてよい、とここで理解されるべきである。したがって、非限定的な例として、第一の調製手順から生じるヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシラン二量体(iv)および/またはヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランオリゴマー(vii)は、メルカプトシラン二量体(iii)および/またはメルカプトシランオリゴマー(vi)と混合され、メルカプタン官能性と、ヒドロカルビル官能性および/またはヘテロカルビル官能性との両方を有する有機官能性シランの混合物を提供する。他の実施態様において、同様な方法で、一般的調製プロセスの一つの特定の実施態様のエステル化された生成物の単純な混合物は、一般的調製プロセスの他の実施態様のエステル化された生成物とを混合することができ、メルカプタン官能性と、ヒドロカルビル官能性および/またはヘテロカルビル官能性との両方を有する、本発明の範囲内のさらに他の組成物を提供する。
【0029】
一つの実施態様において、有機官能性シラン(i)〜(viii)およびそれらの混合物を調製するプロセスのための反応条件は、式(1)、(2)および(3)のシランの個々のモル寄与を加算することと、式(6)のポリヒドロキシ含有化合物によって決定され、具体的には式(1)、(2)および(3)のシランの個々の寄与を加算することにより決定されるシリル基の1モル当り式(6)の化合物の約0.1から約3モル、より具体的にはシリル基の1モル当り式(6)の化合物の約0.5から約2モル、最も具体的にはシリル基の1モル当り式(6)の化合物の約1から約1.5モルであるシランのモル比、約0℃から約150℃の温度、約0.1から約2,000mmHgの圧力;および触媒の存在の有無、溶媒などを含む。
【0030】
具体的な実施態様において、メルカプト官能性で、環状および/または架橋のジアルコキシシラン組成物は、
[G−(SiXαβθ[(HS)−G−(SiXαβθ (10)
および
[[G−(YGY]−(SiXαβθ[(HS)−G−(SiXαβθ (11)
(式中、
Yの各々は、多価の種(−Q)[C(=E)](A−)から独立して選択され、ここで原子(E)は不飽和炭素原子に結合し;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される一価基および多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から約30の炭素原子を有し;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される二価基または多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から30の炭素原子を有し;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される一価基および多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から約30の炭素原子を有し、ただし、Gが一価の場合、Gは水素でもよい、という条件であり;
αの各々は、−Cl,−Br,RO−,RC(=O)O−,RC=NO−,RNO−,RN−,−R,(HO)d−1O−,HO(CRO−,およびHO(CRCRO)−からなる群から独立して選択され、ここで各Rは、水素、不飽和を含んでもよい直鎖、環状または分岐のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群から独立して選択され、ここで水素以外の各Rは1から18の炭素原子を含み、Gは独立して2から約15の炭素原子の置換炭化水素基または約4から約15の炭素原子の置換ヘテロ炭素基であり、そして一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を含み、Rは、Rに関して列挙された構成要素のうちの一つによって独立して与えられ、fは2から約15であり、そしてeは2から約7であり;
Qの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)からなる群から独立して選択され、ただし、Qが硫黄であるとき、bは0である、という条件であり;
Aの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)から独立して選択され、ただしAが硫黄であるとき、bは0である、という条件であり;
Eの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)からなる群から独立して選択され、
βの各々は、二つのケイ素原子のあいだに架橋構造を形成するが、[−OG(OH)d−2O−]0.5、[−O(CRCRO)−]0.5および[−O(RCRO−]0.5からなる群から独立して選択され、ここでRの各々はRに関して上に列挙された構成要素のうちの一つによって独立して与えられ;そして、Gの各々は2から15の炭素原子の置換炭化水素基または4から15の炭素原子の置換ヘテロ炭素からなる群から独立して選択され、そして一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を含み;
θの各々は、ケイ素原子により環状構造を形成するが、−OG(OH)d−2O−,−O(CRCRO)−および−O(RCRO−により独立して与えられ、ここでRの各々は、Rについて上に記載された構成要素のうちの一つによって独立して与えられ;
下付文字a、b、c、d、e、f、j、k、m、n、r、s、u、v、およびwの各々は、独立して与えられる整数であり、aは具体的には0または1であり、より具体的には1であり;bは具体的には0または1であり、より具体的には0であり;cは具体的には0または1であり、より具体的には0であり;dは具体的には約2から約8であり、より具体的には約2から約4であり、最も具体的には約2であり;eは具体的には約2から約7であり、より具体的には約2から約4であり、最も具体的には約2であり;fは具体的には約2から約15であり、より具体的には約2から約4であり、最も具体的には約3であり;jは具体的には1から約3であり、より具体的には1から約2であり、最も具体的には1であり;kは具体的には0から約15であり、より具体的には約0から約5であり、最も具体的には約0から約2であり;mは具体的には約1から約20であり、より具体的には約1から約5であり、最も具体的には約2から約4であり;nは具体的には約1から約20であり、より具体的には約1から約5であり、最も具体的には約2から約4であり;rは具体的には1から約3であり、より具体的には約1であり、そしてsは具体的には1から約3であり、より具体的には約1であり、uは具体的には0から3であり、より具体的には約0から約2であり、最も具体的には約0から約1であり;vは具体的には0から3であり、より具体的には約0から約2であり、最も具体的には約0から約1であり;wは具体的には0から約1であり、より具体的には約1であり;ただし、u+v+2w=3、という条件であり;そして、ただし、上記の構造(10)および/または(11)の各々は少なくとも一つの加水分解性基、ZβまたはZθを含む、という条件である)
からなる群から選択される少なくとも一つのシランを含有して提供される。
【0031】
一つの実施態様において、構造、[−OG(OH)d−2(O−)]0.5は、3分の1のもしくはそれ以上のシリル基と反応して、架橋トリアルコキシシリル基、架橋テトラアルコキシシリル基などを生成し、そして[−OG(OH)d−3(O−)1/3、[−OG(OH)d−4(O−)1/4などによってそれぞれ表されると理解される。
【0032】
ここでの他の実施態様において、nに対するmの比は具体的には約20:1から約0.05:1であり、より具体的には約5:1から約0.2:1であり、そして最も具体的には約2:1から約0.5:1である。
【0033】
ここでの他の実施態様に従って、ヒドロキシアルキルオキシシリル基、環状および/または架橋のジアルコキシシリル基、および、ヒドロカルビル官能性基および/またはヘテロカルビル官能性基を含むメルカプト官能性シランの調製のプロセスは、式
−(SiX (1)
の少なくとも一つのヒドロカルビル官能性シランおよび/または式
[G−(YG−)Y]−G−(SiX(2)
のヘテロカルビル官能性シランと、式
(HS)−G−(SiX (3)
(式中、G、G、G、Y、X、j、k、r、およびsの各々は、上記の意味のうちの少なくとも一つを有し、ただし、Xの少なくとも一つは加水分解性基である、という条件であり)
の少なくとも一つのメルカプト官能性シランとを配合し、そして有利にはエステル交換触媒の存在下で、混合物を一般式(6)
(OH) (6)
(式中、Gおよびdの各々は上記の意味のうちの一つを有する)
の一つもしくはそれ以上のポリヒドロキシ含有化合物によりエステル交換させることを含有して提供される。
【0034】
ここでのさらに他の実施態様において、環状および/または架橋のジアルコキシシリル基、およびヒドロカルビル官能性および/またはヘテロカルビル官能性を含むメルカプト官能性シランの調製のプロセスは、式
−(SiX (1)
の少なくとも一つのヒドロカルビル官能性シランおよび/または式
[G−(YG−)Y]−G−(SiX (2)
のヘテロカルビル官能性シランと、式
(HS)−G−(SiX (3)
(式中、G、G、G、Y、X、j、k、r、およびsの各々は、上記の意味のうちの一つを有し、ただし、Xの少なくとも一つは加水分解性基である、という条件である)
の少なくとも一つのメルカプト官能性シランとを配合し、そしてこの混合物を一般式(7)および(8)の一つもしくはそれ以上ジオールによりエステル交換させることを含有して提供される。
HO(RCROH (7)
HO(CRCRO)H (8)
式中、R、eおよびfは上述の意味のうちの一つを有する。さらに他の実施態様において、ジオールはHO(RCROHであり、式中Rとfは上述された意味のうちの一つを有する。
【0035】
ここでの一つの実施態様において、式(10)および(11)のシランに関して、「ジオール」、および「二官能性アルコール」の用語は、式(7)の任意の構造を指す:
HO(RCROH (7)
式中、fとRは先に定義されたとおりである。一つの実施態様において、これらの構造は、二つの水素原子が上述の式(7)の化合物に従って−OHで置き換えられた炭化水素を表す。
【0036】
ここでの他の実施態様において、式(10)および(11)のシランに関して、「ジアルコキシ」および「二官能性アルコキシ」は、二つのOHの水素原子が除かれて二価のラジカルを与え、その構造が一般式
−O(RCRO− (12)
(式中、fとRは先に定義されたとおりである)
によって表される炭化水素系ジオールを指す。
【0037】
ここでのさらに他の実施態様において、式(10)および(11)のシランに関して、「環状ジアルコキシ」は、環化が二つの酸素原子によってケイ素でなされ、その各々は、ジオールで通常にあるように、同一の二価炭化水素基に結合されている、シランまたは基を指す。一つの実施態様において、この環状ジアルコキシ基はZθによって表される。一つの実施態様において、Zθの構造は、環状構造を形成するのに重要である。さらにもう一つの実施態様において、水素より立体的に込み入ったR基は、環状構造の形成を促進する。まださらに一つの実施態様において、式(7)のジオールのfの値が2または3であるとき、そしてより具体的には3であるとき、やはり環状構造の形成は促進される。
【0038】
ここでのさらに他の実施態様において、式(10)および(11)のシランに関して、「ジアルコキシの架橋」は、二つの異なるケイ素原子がそれぞれ一つの酸素原子に結合され、これが次に、ジオールで通常見出されるように、同一の二価炭化水素基に結合されている、シランまたは基を指す。架橋ジアルコキシ基は、Zβによって表される。ここでのさらにまた他の実施態様において、式(10)および(11)のシランに関して、「ヒドロキシアルコキシ」は、一つのOHの水素原子が除かれて一価のラジカルを提供し、この構造が一般式(13)、(14)および(15)
(HO)d−1O− (13)
HO(RCRO− (14)
HO(CRCRO)− (15)
(式中、G、e、fおよびRは先に定義されたとおりである。ヒドロキシアルコキシ基はXαによって表される)
によって表される、シランまたは基を指す。
【0039】
ここでのさらにまた他の実施態様において、式(10)および(11)のシランに関して、「炭化水素系ジオール」の用語は、炭化水素構造の一部として二つのOH基を含むジオールを指す。他の実施態様において、この炭化水素系ジオールにないのは、(OH基における酸素以外の)ヘテロ原子であり、特にエーテル基である。一つの実施態様において、酸素のようなヘテロ原子を含む炭化水素ジオールは式(8)によって表される:
HO(CRCRO)−H (8)
他の実施態様において、このジオールは、シリル基による環状構造を形成することはありそうにない。なぜならこの環のサイズは8原子であるか、またはより大きく、このような環は5原子または6原子の環よりも生成する可能性が小さいからである。
【0040】
さらにまた他の実施態様において、式(7)の構造は、ここでは二つのOH基をもっている特定の炭化水素基を接頭辞として付けた「適切なジオール」または「グリコール」と呼ばれる。一つの具体的な実施態様において、式(7)の非限定的な幾つかの例は、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールを含む。
【0041】
さらに他の特定の実施態様において、式(12)の構造は、ここでは二つのOH基をもっている特定の炭化水素基を接頭辞として付けた適切なジアルコキシと呼ばれる。したがって、一つの具体的な実施態様において、例えばネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオールおよび2−メチル−2,4−ペンタンジオールのジオールは、ここではネオペンチルグリコキシ、1,3−ブタンジアルコキシ、2−メチル−1,3−プロパンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシのジアルコキシ基にそれぞれ相当する。
【0042】
βのための他の実施態様において、[−OG(OH)d−2O−]0.5、[−O(RCRO−]0.5、および[−O(CRCRO)−]0.5の表記は、架橋ジアルコキシ基の半分を指し、これは式(10)および(11)のメルカプト官能性シランに存在する、異なったシリル基に結合することができる。一つの実施態様において、これらの表記はケイ素原子との接続に際して用いることができ、それらはここではジアルコキシ基の半分が特定のケイ素原子に結合していることを意味するとみなされる。このジアルコキシ基の他の半分は、記述されている全分子構造の他のどこかに存在するケイ素原子に結合していると理解される。したがって、一つの実施態様において、[−OG(OH)d−2O−]0.5、[−O(RCRO−]0.5、および[−O(CRCRO)−]0.5のジアルコキシ基は、二つの別個のケイ素原子が分子間に存在しても、または分子内に存在しても、二つの別々のケイ素原子を接続する化学結合を仲介する。一つの実施態様において、[−O(RCRO−]0.5および[−O(CRCRO)−]0.5の場合には、もし基(RCRおよび(CRCRO)が非対称なら、[−O(RCRO−]0.5および[−O(CRCRO)−]0.5のどちらか一方の端は、式(10)および(11)のシランの構造を完成するのに必要な二つのケイ素原子のどちらの一方に結合しても良い。
【0043】
ここでのさらに他の実施態様において、式(1)、(2)、(3)、(10)、および(11)のシランに関して、「アルキル」は直鎖、分岐および環状のアルキル基を含み;「アルケニル」は一つもしくはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含む任意の直鎖、分岐または環状のアルケニル基を含み、ここで置換の箇所は、基の炭素−炭素二重結合または他の場所のいずれかであってよく;そして「アルキニル」は、一つもしくはそれ以上の炭素−炭素三重結合、任意選択で一つもしくはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含む任意の直鎖、分岐または環状のアルキニル基を含み、ここで置換の箇所は、基の炭素−炭素三重結合、炭素−炭素二重結合または他の場所のいずれかであってよい。アルキルの具体的な例は、メチル、エチル、プロピル、およびイソブチルを含むが、これらに限定されない。アルケニルの具体的な例は、ビニル、プロペニル、アリル、メタリル、エチリデニルノルボルナン、エチリデンノルボルニル、エチリデニルノルボルネン、およびエチリデンノルボルネニルを含むが、これらに限定されない。アルキニルの具体的な例は、アセチレニル、プロパルギルおよびメチルアセチレニルを含むが、これらに限定されない。
【0044】
一つの実施態様において、式(1)、(2)、(3)、(10)、および(11)のシランに関して、「アリール」は、一つの水素原子が取り除かれた任意の芳香族炭化水素の基を非限定的に含む;「アラルキル」は、一つもしくはそれ以上の水素原子が同数の類似のおよび/または異なるアリール(ここで定義されたようなもの)置換基によって置換された任意の上述のアルキル基を含むが、これらに限定されず;そして、「アレニル」は、一つもしくはそれ以上の水素原子が同数の類似のおよび/または異なるアルキル(ここで定義されたようなもの)置換基によって置換された任意の上述のアリール基を非限定的に含む。アリールの具体的な例は、フェニルおよびナフタレニルを含むが、これらに限定されない。アラルキルの具体的な例は、ベンジルおよびフェネチルを含むが、これらに限定されない。アレニルの具体的な例は、トリルおよびキシリルを含むが、これらに限定されない。
【0045】
一つの実施態様において、式(1)、(2)、(3)、(10)、および(11)のシランに関して、「環状アルキル」、「環状アルケニル」および「環状アルキニル」は、二環式構造、三環式構造および高次の環状構造だけでなく、アルキル基、アルケニル基、および/またはアルキニル基でさらに置換された上述の環状構造をも含む。「環状アルキル」、「環状アルケニル」および「環状アルキニル」の代表的な例は、ノルボルニル、ノルボメニル、エチルノルボルニル、エチルノルボルネニル、エチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキセニル、シクロヘキシルシクロヘキシル、およびシクロドデカトリエニルを含むが、これらに限定されない。
【0046】
一つの実施態様において、本発明のシランに存在する官能基(−Y−)の幾つかの代表的な例は、カルボン酸エステル、−C(=O))−O−および−OC(=O)−(この官能基をもつ任意のシランは「カルボン酸エステルシラン」である);ケトン、−C(=O)−(この官能基をもつ任意のシランは「ケトンシラン」である);チオケトン、−C(=S)−(この官能基をもつ任意のシランは「チオケトンシラン」である);炭酸エステル、−O−C(=O)−O−(この官能基をもつ任意のシランは「炭酸エステルシラン」である);アミド、−C(=O)NR−および−NRC(=O)−(この官能基をもつ任意のシランは「アミドシラン」である);エーテル、−O−(この官能基をもつ任意のシランは「エーテルシラン」である);アミン、−NR−(この官能基をもつ任意のシランは「アミノシラン」である);尿素、−NRC(=O)NR−(この官能基をもつ任意のシランは「ウレイドシラン」である);チオ、−S−(この官能基をもつ任意のシランは「スルフィドシラン」である);そしてグアニジン、(−NR)C(=NR)NR−(この官能基をもつ任意のシランは「グアニジノシラン」である)を含むが、これらに限定されない。ここでの他の実施態様において、Yの各々は、−C(=NR)−;−(C=O)−;(−NR)C(=O)−;−OC(=O)−;−OC(=S)−;−OC(=O)O−;−C(=S)−;−C(=O)O−;(−NR)C(=O)(NR−);(−NR)C(=NR)(NR−);−O−;−S−;−SS−;および−NR−からなる群から独立して選択される。ここでのさらに他の実施態様において、Yは、−O−;−NR−;−C(=O)O−;−C(=O)NR−、および(−NR)C(=O)(NR−)からなる群から非限定的に選択される。
【0047】
ここでの他の実施態様において、シランは式(11)によって記述されたシランであり、ここでYは−O−または−NR−であり、Gは、C−C12のアルキルの置換によって誘導される二価基または多価基であり;Gは、水素またはCからC12の直鎖アルキルであり;Zβは、[−O(RCRO−]0.5であり、そしてZθは、−O(RCRO−であり、ここでRは水素またはメチルであり、そしてfは2または3であり、mとnは1から約5であり、kは1から約5であり、jは1であり、そしてrは1から約2である。
【0048】
ここでの他の実施態様において、シランは式(10)によって記述されるシランであり、ここでGは、C−C10アルキルから誘導される一価の直鎖基であり、そしてGは、C−C10のアルキルの置換によって誘導される二価基または多価基であり、Zβは、[−O(RCRO−]0.5であり、そしてZθは、−O(RCRO−であり、ここでRは水素またはメチルであり、そしてfは2または3であり、mおよびnは1から約5であり、そしてrは1から約2である。
【0049】
ここでのさらに他の実施態様において、シランは式(10)および(11)の両方が存在するシランであり;式(10)および(11)のシランの両方が混ぜ合わせられているようになっている。
【0050】
一つの実施態様において、Gの幾つかの代表的な例はCH(CH−、ここでgは1から約29である;ベンジル;2−フェニルエチル;シクロヘキシル;−CHCH−ノルボルナンの任意の異性体;−CHCH−シクロヘキサンの任意の異性体;例えばCH(CHCH(CHCH)CH−、CHCHCH(CHCH)CH−、CHCH(CH)CH−、CHCHCH(CH)CH−、およびCH(CHCH(CH)CH−のような非限定的な例を含む1から30の炭素原子の分岐アルキル基;および、ノルボルナン、シクロヘキサン、シクロペンタン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、またはシクロドデセンから一つの水素原子を除くことによって得ることのできる任意のモノラジカルを含むが、これらに限定されない。
【0051】
一つの具体的な実施態様において、Gの幾つかの代表的な例は、ジエチレンシクロヘキサン;1,2,4−トリエチレンシクロヘキサン;フェニレン;非限定的な例として−CHCH(C)CHCH−および−CHCH(C)CH(CH)−のような、ジビニルベンゼンから誘導可能な任意の構造、ここでCの表記は、二置換のベンゼン環を示す;非限定的な例として−CHCH(CH)(C)CH(CH)CH−のようなジプロペニルベンゼンから誘導可能な任意の構造、ここでCの表記は二置換のベンゼン環を示す;非限定的な例として−CHCHCHCH(CH)−、−CHCHCH(CHCH)−および−CHCH(CHCHCH)−のようなピペリレンから誘導可能な任意の構造;−CHCH−ノルボルニル−の任意の異性体;テトラヒドロジシクロペンタジエンまたはシクロドデセンから二つの水素原子を除くことによって得ることのできる任意のジラジカル;非限定的な例として−CHCH(4−CH3−1−C−)CHのようなリモネンから誘導可能な任意の構造、ここでCの表記は、2位で置換されていない、三置換のシクロヘキサン環の異性体を示す;非限定的な例として−CHCH(ビニルC)CHCH−および−CHCH(ビニルC)CH(CH)−のようなトリビニルシクロヘキサンから誘導可能な任意のモノビニル含有構造、ここでCの表記は三置換のシクロヘキサン環の任意の異性体を示す;非限定的な例として−CHCH[CHCHCH=C(CH]CHCH−、−CHCH[CHCHCH=C(CH]CH(CH)−、−CHC[CHCHCH=C(CH](CHCH)−、−CHCHCH[CHCHCH=C(CH]CH−、−CHCH(C−)(CH)[CHCHCH=C(CH]、および−CHCH[CH(CH)[CHCHCH=C(CH]]−のような三置換のC=Cを含むミルセンから誘導可能な不飽和が一つである任意の構造;そして、非限定的な例として−CHCH(CH=CH)CHCHCHC(CH−、−CHCH(CH=CH)CHCHCH[CH(CH]−、−CHC(=CH−CH)CHCHCHC(CH−、−CHC(=CH−CH)CHCHCH[CH(CH]−、−CHCHC(=CH)CHCHCHC(CH−、−CHCHC(=CH)CHCHCH[CH(CH]−、−CHCH=C(CHCHCHCHC(CH−、および−CHCH=C(CHCHCHCH[CH(CH]のような三置換のC=Cを含まないミルセンから誘導可能な不飽和が一つである任意の構造;−(CH−、ここでgは好ましくは1から30の整数であり、これは、もう一つの端でさらに置換された末端直鎖アルキルを表し、非限定的な例として−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、および−CHCHCHCHCHCHCHCH−のようなものであり、そして−CH(CHCH(CH)−のような、それらのベータ置換類似体であり、ここでiは好ましくは0から16である;非限定的な例として−CHCH−シクロヘキシル−、−CHCHC(CHCH−、−CHCH(CH)CH−、例えば−CHCH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH(CH)−、−CHC(CH)(CHCH)−、−CHCHCH(CH)CH−、−CHCHC(CH−、および−CHCH[CH(CH]−のようなイソプレンから誘導可能な任意の構造のようなメチル置換アルキレン基;メタリルクロリドから誘導可能な任意の構造;非限定的な例として−CHCHCHCH−、−CHCHCH(CH)−および−CHCH(CHCH)−のようなブタジエンから誘導可能な任意の構造;並びに、ノルボルナン、シクロヘキサンまたはシクロペンタンから二つの水素原子を除くことによって得ることのできる任意のジラジカルを含む群から選択される物質を含むが、これらに限定されない。
【0052】
ここでの他の実施態様において、Gの幾つかの代表的例は、水素、CH(CH−、ここでgは1から約29である;ベンジル;2−フェニルエチル;シクロヘキシル;−CHCH−ノルボランの任意の異性体;−CHCH−シクロヘキサンの任意の異性体;非限定的な例としてCH(CHCH(CHCH)CH−、CHCHCH(CHCH)CH−、CHCH(CH)CH−、CHCHCH(CH)CH−、CH(CHCH(CH)CH−のような1から30の炭素原子の分岐アルキル基、そしてノルボルナン、シクロヘキサン、シクロペンタン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、またはシクロドデセンから一つの水素原子を除くことによって得ることのできる任意のモノラジカルを含むがこれらに限定されない。
【0053】
ここでの他の実施態様において、式(10)および(11)のシランは、G基、G基およびG基における炭素原子を加算する事によって決定されるヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基の炭素原子の合計が、具体的には約3から約18まで、さらに具体的には約6から約14まで、および最も具体的には約8から約12まである構造を有する。一つの実施態様において、これらのフラグメントの炭素の量は、有機重合体への充填剤の分散を促進し、これによって硬化された充填剤入りゴムにおける特性のバランスが改善される。
【0054】
ここでのさらに他の実施態様において、GはCHCHCHCHCHCHCH−であり、Gは−CHCHCH−であり、rは1であり、そしてsは1である。
【0055】
さらに他の実施態様において、RとRの基の非限定的な幾つかの代表的な例は、水素、分岐と直鎖の1から18以上の炭素原子のアルキルなどであるが、またはさらに、非限定的な例としてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、オクテニル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリル、およびアリルのようなものである。
【0056】
一つの実施態様において、R基はCからCのアルキルおよび水素から選択され、そしてR基は水素、メチル、エチル、およびプロピルから選択される。
【0057】
一つの他の実施態様において、Xαの非限定的な幾つかの具体的な例は、メトキシ、エトキシ、イソブトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、アセトキシ、オキシマート、非限定的な例として2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ、3−ヒドロキシブトキシ、4−ヒドロキシ−2−メチルペンタ−2−オキシ、および4−ヒドロキシブト−l−オキシのようなジオールから誘導される一価のヒドロキシアルコキシ基−O(RCROHであって式中Rおよびfは先に定義されたとおりであるもの、そして一般式(16)、(17)および(18)の一価のエーテルアルコキシ基である:
(RO)d−1O− (16)
O(RCRO− (17)
O(CRCRO)− (18)
式中、Rは、1から18の炭素原子を含む、不飽和を含んでも含んで無くてもよい直鎖、環状、または分岐アルキル基、アルケニル基、アリール基およびアラルキル基からなる群から独立して選択され;そして、R、G、e、およびfは、ここで定義されるとおりである。一つの実施態様において、Xαは非限定的な例としてメチルおよびエチルのような一価のアルキル基であってよい。
【0058】
具体的な実施態様において、Xαは、非限定的にメトキシ、エトキシ、アセトキシ、メチル、エチル、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ、3−ヒドロキシブトキシ、4−ヒドロキシ−2−メチルペンタ−2−オキシ、および4−ヒドロキシブト−l−オキシのうちの一つである。
【0059】
一つの実施態様において、ZβおよびZθの非限定的な幾つかの具体的な例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、およびピナコールのようなジオールから誘導される、二価のアルコキシ基である。他の実施態様において、より具体的なZβおよびZθの非限定的な幾つかの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールから誘導される二価のアルコキシ基である。
【0060】
ここでの一つの具体的な実施態様において、ZβおよびZθは、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオール、およびそれらの組み合わせから誘導される二価のアルコキシ基である。一つの実施態様において、ここでのシランの環状ジアルコキシ含有量は、ゲル化につながる過度の架橋を防ぐために、存在する全ジアルコキシ含有量に対して充分に大きく保ったほうがよい。ここでの一つの実施態様において、シランの環状ジアルコキシシリルの含有量は、具体的にはシリル基の全濃度の約10から約100モルパーセント、より具体的には、シリル基の全濃度の約25から約90モルパーセント、そして最も具体的にはシリル基の全濃度の約50から約70モルパーセントであってよい。ここでの他の実施態様において、係数uによって示される、式(10)および(11)の構造におけるXαが具体的に例えば約1から約2であるように大きい場合においても、過度の架橋を回避することができる。一つの実施態様において、式(10)および(11)におけるvおよびwは、比v/wが具体的には0と1との間にあるような値である。他の実施態様において、uは1から約2であり、ただし、u+v+2w=3、という条件である。
【0061】
さらに他の実施態様において、環状および/または架橋のジアルコキシシリル基、メルカプト基、およびヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランを含むメルカプト官能性シランのここでの非限定的な幾つかの代表的な例は3−{4−メチル−2−[2−(4−メチル−2−ペンチル[1,3,2]ジオキサシロラン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−[1,3,2]ジオキサシロラン−2−イル}−プロパン−1−チオール;3−{2−[2−(2−メチル−[1,3,2]ジオキサシロラン−2−イルオキシ)−エトキシ]−[1,3,2]ジオキサシロラン−2−イル}−プロパン−1−チオール;3−[2−(3−メルカプト−プロピル[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]プロパン−1−オールと3−(2−ブチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−プロパン−1−オールとの混合物;4−{2−[3−(2−ブチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル}−ブタン−1−チオール;4−[2−(3−{2−[3−(2−メトキシ−エトキシ)−プロピル]−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ}−プロポキシ)−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル]−ブタン−1−チオール;4−[5−メチル−2−(2−メチル−3−{5−メチル−2−[3−(2−メチルアミノ−エチルアミノ)−プロピル]−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ}−プロポキシ)−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル]−ブタン−1−チオール;2−アセチルアミノ−N−[3−(2−{3−[2−(4−メルカプト−ブチル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロピル]−アセトアミド;(2−{3−[3−(2−{3−[2−(4−メルカプト−ブチル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロピル]−ウレイド−エチル)−尿素;4−アセトキシ−酪酸(3−(2−{3−[2−(4−メルカプト−ブチル)5,5−ジメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2,2−ジメチル−プロポキシ}−5,5−ジメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロピルエステル;炭酸2−[3−(2−{3−[2−(4−メルカプト−ブチル)−5,5−ジメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2,2−ジメチル−プロポキシ}−5,5−ジメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロポキシカルボニルオキシ]−エチルエステルメチルエステル;4−{[3−(2−ドデシル−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−1,1−ジメチル−ブトキシ]−ジメチル−シラニル}−ブタン−1−チオール;4−{[3−(2−ドデシル−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−1,1−ジメチル−ブトキシ]−ジエトキシ−シラニル}−ブタン−1−チオール;4−[ブチル−[3−(2−ドデシル−4,4,6−トリメチル−[1、3、2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−1,1−ジメチル−ブトキシ]−(4−メルカプト−ブチル)−シラニルオキシ]−2−メチル−ペンタン−2−オール;4−{(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(4−メルカプト−ブチル)−[2−メチル−3−(5−メチル−2−オクチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−シラニル}−2−メチル−ブタン−1−オール;3−{3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ−(4−メルカプト−ブチル)−[2−メチル−3−(5−メチル−2−オクチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−シラニルオキシ}−2−メチル−プロパン−1−オール;4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{3−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−オクチル−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−(4−メルカプト−ブチル)−シラニル]−2−メチル−ブタン−1−オール;3−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{3−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−オクチル−シラノキシ]−2−メチル−プロポキシ}−(4−メルカプト−ブチル)−シラノキシ]−2−メチル−プロパン−1−オール;3−[{3−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−メチル−オクチル−シラニルオキシ]−3−メチル−ブチル}−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−オクチル−シラニルオキシ]−2−メチル−プロパン−1−オール;4−((3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{3[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−オクチル−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−(3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチル−ブトキシ}−オクチル−シラニル)−2−メチル−ブタン−1−オール;(3−((3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{3−[(3ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−オクチル−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}―(3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチル−ブトキシ}−オクチル−シラニル)−2−メチル−プロパン−1−オール;4−(ベンジル−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{3−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−フェネチル−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−(3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチル−ブトキシ}−シラニル)−2−メチル−ブタン−1−オール;4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(4−{(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−[2−メチル−3−(4−メチル−2−フェネチル−[1,2]オキサシロラン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−シラニル}−2−メチル−ブトキシ)−ペント−4−エニル−シラニル]−2−メチル−ブタン−1−オール;4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(4−{(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−[2−メチル−3−(4−メチル−2−フェネチル−[1,2]オキサシロラン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−シラニル}−2−メチル−ブトキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチル−ブタン−1−オール;4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(4{(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−[2−メチル−3−(4−メチル−2−フェネチル−[1,2]オキサシロラン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−シラニル}−2−メチル−ブトキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチル−ブタン−1−オール;4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(4−{(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−[2−メチル−3−(4−メチル−2−オクチル−[1,2]オキサシロラン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−シラニル}−2−メチル−ブトキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチル−ブタン−1−オール;およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0062】
ここでのさらに他の実施態様において、環状および/または架橋のシリル基と、メルカプタン基とヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基の両方、とを含むここでの有機官能性シラン組成物では、個々のシラン内においてメルカプト基と、ヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基とが通常はランダムに分布している。しかしながら、ここでの一つの具体的な実施態様においては、メルカプタン基が偏在しているシランを調製してよい。さらに具体的な実施態様において、この偏在の結果、メルカプタン基への最隣接基が他のメルカプタン基であるか、またはヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基への最隣接基が他のヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基である組成物が生じる。一つの具体的な実施態様において、ヒドロカルビルおよび/またはヘテロカルビルの環状シランおよび/または架橋シランが、メルカプト官能性で、環状および/または架橋のシランと物理的に混合されたとき、メルカプタン基の偏在が起こりうる。
【0063】
さらに、ここでの他の実施態様において、これらシラン組成物は、単官能性アルコキシ基だけを含むメルカプト官能性で、ヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランの成分も含んでよいと理解される。ここでのさらに別の実施態様において、単官能性アルコキシ基だけを含む、メルカプト官能性シラン、ヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランは、ここでのシランの調製において試薬として使用してよい。しかしながら、一つの実施態様において、もしシランを加水分解すると生成する単官能性アルコールが室温で高い蒸気圧を有するなら、この単官能性アルコキシ基は、使用中、VOC放出に寄与しうると理解される。他の実施態様において、高沸点の単官能性アルコキシ基の非限定的な幾つかの例は、例えば構造が式
O(CRCRO)− (18)
(式中、R、Rおよびeは、ここで定義されるとおりである)
によって表されるアルコキシ基のようなものである。さらに、他の実施態様において、この環状および/または架橋のメルカプト官能性であるヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランの部分的な加水分解物および/または縮合物(すなわち、環状および/または架橋のジアルコキシメルカプト官能性であるヒドロカルビルまたはヘテロカルビルのシロキサンおよび/またはシラノール)も、ここでいうシランに含めてよいと理解されるが、これは、この部分的な加水分解物および/または縮合物が、ここに記述されたシランの多くの製造方法の副生成物であるか、または貯蔵中に、特に湿度の高い条件で生成するか、または調製の時から残っている残留水が調製の後で完全には除去されない条件下で生成するからである。
【0064】
さらに他の具体的な実施態様において、式(10)および(11)のシランの部分的なものから実質的な加水分解は、シロキサン結合、すなわちZβ=(−O−)0.5を含み、ここに記述したシランによって包含されるシランを生成し;そしてさらに具体的な実施態様において、それらは、シランに関してここに記述された調製法に、適切な化学量論のまたは過剰の水を取り入れることによって意図的に調製することができる。一つの実施態様において、加水分解物とシロキサンを包含するここでのシラン構造は、式(10)および(11)によって表される構造で記述され、ここでZβ=(−O−)0.5の下付文字vおよび/またはXα=OHの下付文字u、は実質的な値であり(すなわち、ゼロより実質的に大きい)、例えばここでvは具体的に約1から約2であり、より具体的には約1であり;および/または、ここでuは具体的に約0から約2、より具体的には約0から約1、最も具体的には約1であり、ただし、式(10)および(11)のシランは、少なくとも一つの[−OG(OH)d−2O−]0.5であるZβ、または少なくとも一つの−O(RCRO−であるZθを含む、という条件である。ここでの一つの実施態様において、ジオキシ架橋基、[−O(RCRO−]0.5に対するシロキサン架橋基、(−O−)0.5の比は、約0から約1の範囲内である。他の実施態様において、この比は約0から約0.2の範囲内である。さらに他の実施態様において、この比は0.05から約0.15の範囲内である。
【0065】
ここでの他の実施態様において、本発明の有機官能性シランは、それらの混合物を含めて、非限定的な例として多孔性重合体、カーボンブラック、シリカのような珪質材料などのような微粒子担体に担持させてよく、その結果、それらはゴム配合操作においてゴムに添加するための固体状になる。
【0066】
ここでの一つの実施態様は、メルカプト官能性シラン組成物を作製するプロセスであって、少なくとも一つのエステル交換可能なシリル基を有する少なくとも一つのメルカプト官能性なシランと、少なくとも一つのエステル交換可能なシリル基を有する少なくとも一つのヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランとを、少なくとも一つのポリヒドロキシ含有化合物とエステル交換反応条件下で反応させて、前記メルカプト官能性シラン組成物を得ることを含有するプロセスを提供し、ここで、前記メルカプト官能性シラン組成物は:
(i)少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有するメルカプトシラン
(ii)少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有するヒドロカルビルシランまたはヘテロカルビルシラン
(iii)メルカプトシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、各シラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を任意選択で有してもよい、メルカプトシラン二量体
(iv)ヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、各シラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を任意選択で有してもよい、ヒドロカルビルシラン二量体および/またはヘテロカルビルシラン二量体
(v)メルカプトシラン単位を有し、これのケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によってヒドロカルビルシラン単位またはヘテロカルビルシラン単位のケイ素原子に結合されており、各シラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を任意選択で有してもよい、シラン二量体
(vi)隣接するメルカプトシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、末端メルカプトシラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、メルカプトシランオリゴマー
(vii)隣接するヒドロカルビルシラン単位またはヘテロカルビルシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、末端ヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、ヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランオリゴマー、
並びに
(viii)少なくとも一つのメルカプトシラン単位、および少なくとも一つのヒドロカルビルシラン単位またはヘテロカルビルシラン単位を有し、隣接するシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、末端シラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、シランオリゴマー、
からなる群から選択される少なくとも一つの有機官能性シランを含み、
ただし、このプロセスから生成するメルカプト官能性シラン組成物が(i)、(iii)および(vi)の一つもしくはそれ以上を含む場合、組成物は(ii)、(iv)、(v)、(vii)および(viii)の一つもしくはそれ以上をさらに含み、そしてこのプロセスから生成するメルカプト官能性シラン組成物が(ii)、(iv)および(vii)の一つもしくはそれ以上を含む場合、組成物は(i)、(iii)、(v)、(vi)および(viii)の一つもしくはそれ以上をさらに含む、という条件である。
【0067】
ここでのさらに他の実施態様において、式(10)および(11)のここでのメルカプト官能性シランおよびそれらの混合物は、ここに記述された一般的な調製プロセスによって調製してよく、それについては多数の具体的な実施態様が存在する。一般に、一つの実施態様において、式(10)および(11)のシランの一つまたはそれらの混合物を作製するプロセスの実施態様は、式(1)、(2)および(3)の一つもしくはそれ以上のアルコキシシランと、式(6)、(7)または(8)の一つもしくはそれ以上のポリヒドロキシ含有化合物との間のエステル交換を含む。
【0068】
一つの実施態様において、式(10)および/または(11)のメルカプト官能性シランを調製するプロセスは、
a.)一般式(1)および/または(2)のヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランと、
−(SiX (1)
および/または
[G−(YGY]−G−(SiX (2)
一般式(3)
(HS)−G−(SiX (3)
のメルカプトシランとを混合するステップと
(式中、G、G、G、Y、X、j、k、r、およびsの各々は、ここで定義されるとおりであり、ただし、Xの少なくとも一つが加水分解性基である、という条件である)
b.)任意選択でエステル交換触媒の存在下で、この混合物を、構造G(OH)、HO(RCROH、またはHO(CRCRO)−Hを有する少なくとも一つのジオールによりエステル交換させ;生成したX−H基を除去する;ここでG、R、d、e、およびfの各々は、ここで定義されるとおりである、ステップ
を含有する。
【0069】
一つの実施態様において、第一の反応は、エステル交換されるシリル基1モル当り約0.1から約3.0モルのジオールというモル比で、メルカプト官能性アルコキシシランとヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランとの混合物をジオールと反応させることによって行ってよい。他の実施態様において、この比はトリアルコキシシリル基に対して約1.0から約2.5の範囲にあってよい。さらに他の実施態様において、この比はトリアルコキシシリル基に対して約1.5から約2.0の範囲にあってよい。一つの実施態様において、反応は、圧力を約0.1から約2000mmHg絶対圧の範囲内で維持しつつ、具体には約0から約150℃、より具体的には約25℃から約100℃、そして最も具体的には、約60℃から約80℃の範囲の温度で、およびその温度のあいだのすべてのサブ範囲の温度で行ってよい。一つの実施態様において、温度は、約30℃から約90℃およびその温度のあいだのすべてのサブ範囲であってよい。他の実施態様において、圧力は約1から約80mmHg絶対圧の範囲にあってよい。当業者は、一つの実施態様において、過剰ジオールを利用して反応速度を増加させることができることを認識するだろうが、それはコストを増加させる場合があるので、これらの条件下では必要ない。他の実施態様において、反応は、望みとする反応温度および真空度で、メルカプト官能性アルコキシシランとヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランとの混合物にジオールをゆっくりと添加することによって行なってよい。他の実施態様において、モノアルコールのような低沸点のX−H基が生成するが、これは蒸留サイクルによって反応混合物から取り除くことができ、そしてモノアルコールの除去は反応の終了を促進する。一つの実施態様において、反応は、任意選択でエステル交換触媒を用いて触媒されてよい。さらに他の実施態様において、適切なエステル交換触媒は、pKaが5.0未満である強プロトン酸;スズ、鉄、チタンの錯体のような遷移金属錯体;および他の金属触媒である。一つの実施態様において、これらの反応の適切な触媒は、M. G. Voronkov, V. P. Mileshkevich and Yu. A. Yuzhelevskiiの”The Siloxane Bond, Physical Properties and Chemical Transformations”(「シロキサン結合、物理的性質と化学的変換」)、Consultants Bureau, a division of Plenum Publishing Company, New York (1978)、の第5章に開示されており、この文献を引用することにより、総ての内容を本明細書の一部としてここに組み込む。さらに他の実施態様において、強塩基はメルカプト官能性基とジオールとの反応を促進して、スルフィドを生成させるため、エステル交換触媒として一般に不適当である。一つの実施態様において、酸触媒または金属触媒は、具体的には約10ppmから約2重量パーセント、より具体的には約20ppmから約1000ppm、そして最も具体的には約100ppmから約500ppmの範囲で使用してよい。
【0070】
さらに他の実施態様において、最終混合物は反応終了後に任意選択で緩衝液で処理してよい。一つの具体的な実施態様において、混合物を緩衝液で処理すると強プロトン酸が中和されるので、これにより金属をそれほど腐食せず、長期的な製品安定性を向上させる。さらに具体的な実施態様において、緩衝は当業者に既知の方法と化合物によって行ってよい。
【0071】
一つの具体的な実施態様において、メルカプト官能性で、ヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランのエステル交換の生成物は、低粘性反応生成物によって示されるように、二量体および他の環状および/または架橋のオリゴマーの生成に加えて、かなりの割合の単量体物質を含有することがあり得る。一つの具体的な実施態様において、単量体物質の割合は約1から約99モルパーセント、より具体的には約10から約50モルパーセント、そして最も具体的には約15から約25モルパーセントである。
【0072】
さらに他の実施態様において、ここでの有機官能性シラン組成物を製造するプロセスにおいては、任意選択で不活性溶媒を使用してよい。具体的な実施態様において、溶媒は、希釈剤、担体、安定剤、還流助剤、また加熱剤として役立ち得る。さらに具体的な実施態様において、一般に、反応に関与しないか、調製プロセスに悪影響を及ぼさない任意の不活性溶媒を使用してよい。一つの実施態様において、溶媒は標準状態で液体であり、約150℃未満の沸点を有する。より具体的な実施態様において、非限定的な幾つかの適切な溶媒の例は、トルエン、キシレン、ヘキサン、ブタン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、四塩化炭素、塩化メチレン、およびそれらの組み合わせのような芳香族または脂肪族の炭化水素、エーテル、非プロトン性、または塩素化炭化水素の溶媒を含む。
【0073】
ここでの一つの実施態様において、アルコキシシランをポリヒドロキシ含有化合物によりエステル交換するプロセスは、連続的に行なってよい。もう一つの実施態様において、連続作業の場合には、プロセスは
a)薄膜反応器中で、式(1)または(2)の少なくとも一つのシランと式(3)のメルカプトシランとの混合物を含有する薄膜反応媒体と、式(6)の少なくとも一つのポリヒドロキシ含有化合物および任意選択でエステル交換触媒と、反応させて、環状および/または架橋のジアルコキシ基を含むメルカプトおよびヒドロカルビルおよび/またはヘテロカルビルの官能性シラン、および副生モノアルコールを得るステップ;
b)反応を促進するために薄膜から副生モノアルコールを蒸発させるステップ;
c)任意選択で、凝縮により副生モノアルコールを回収するステップ;
d)有機官能性シラン反応生成物を回収するステップ;そして
e)任意選択で、そこでのメルカプト官能性シラン生成物の貯蔵安定性を向上させるために反応媒体を中和するステップ
を含有する。
【0074】
ここでの一つの実施態様において、連続薄膜プロセス中で使用されるメルカプトシランおよびヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランの混合物に対するポリヒドロキシ含有化合物のモル比は、ジオール(グリコール)の非限定的な例のように、ポリヒドロキシ含有基により置換することが望まれるアルコキシ基の数に依存する。一つのより具体的な実施態様において、理論上、モノアルコキシまたは他のX基のすべて置換するためには、エステル交換されるアルコキシシリル基1モル当り、約0.5モルの式(7)または(8)のジオールというモル比が必要である。ここでの他の実施態様において、アルコキシシリル基の1モル当り、約0.1から約1.0モルのジオールというモル比を使用してよい。ここでのさらに他の実施態様において、アルコキシシリル基の1モル当り、約0.5から約1.0モルのジオールというモル比を使用してよい。さらなる実施態様において、ある場合ではジオールの水酸基のうちの一つだけがアルコキシシリル基と反応することがあるため、多くの場合はジオールをさらに追加することが望ましい。一つの実施態様において、一つのシリル基だけと反応するこれらのジオールは、式(10)および(11)においてXαとして定義される。さらに他の実施態様において、ここに「ヒドロキシアルコキシ」と呼ばれるジオールは粘度を減少させ、シランのゲル化を抑制する。さらに他の実施態様において、そして当業者が容易に認識するように、過剰のジオールは反応速度を増加させるために利用してよい。
【0075】
一つの具体的な実施態様において、フィルムを形成する方法は当業者に既知の任意の方法でよい。より具体的な実施態様において、典型的な既知の装置は流下膜式(falling film)またはワイプト膜式(wiped film)の蒸発器を含むが、これらに限定されない。一つの具体的な実施態様において、最小膜厚および流量は、膜を形成する表面の最小ぬれ速度に依存するだろう。他の具体的な実施態様において、最大膜厚および流量は、膜と装置のフラッディング点(flooding point)に依存するだろう。さらに他の具体的な実施態様において、アルコールは、膜を加熱するか、膜上の圧力を低下させるか、または両方を組み合わせることによって膜から蒸発する。一つの実施態様において、穏やかな加熱と圧力の減少を利用してここに記述された構造を形成する。さらに他の実施態様において、ここに記述されたプロセスを実行するための最適温度および圧力(部分真空)は、プロセスで使用される具体的なメルカプト官能性またはヒドロカルビルシランまたはヘテロカルビルシランのアルコキシ基およびジオールに依存するだろう。さらにまた他の実施態様において、任意選択で不活性溶媒をプロセスで使用する場合、この選択は、用いる最適温度および圧力(部分真空)に影響するだろう。一つの具体的な実施態様において、そのような溶媒の非限定的な幾つかの例は、ここに記載されるものを含む。一つの実施態様において、膜から蒸発した単官能性アルコールのような副生成物X−Hは、標準的な部分真空生成装置によって反応的蒸留装置から除去され、そして他のプロセスに供給する原料として凝縮され、収集され、再利用される。一つの実施態様において、シラン生成物は標準的手段によって反応的蒸留装置から液相として回収される。他の実施態様において、不活性溶媒を使用した場合またはさらに精製が必要な場合、シラン製品は分離を達成するために類似の蒸留装置または蒸留塔に供給してよい。さらに他の具体的な実施態様において、エステル交換された反応生成物は、製品の貯蔵を改善するために任意選択で中和してよい。
【0076】
ここでの他の実施態様において、ヒドロカルビルシラン基および/またはヘテロカルビルシラン基を含むメルカプト官能性シランを調製するプロセスは、
a)
(HS)−G−(SiX (3)
(式中、G、X、r、およびsの各々は、ここで定義されるとおりであり、ただし、Xの少なくとも一つは加水分解性基である、という条件である)
の化学構造の少なくとも一つのメルカプト官能性シランを、任意選択で触媒の存在下で、ジオールまたはポリヒドロキシ化合物によりエステル交換するステップ;
b)任意選択でモノアルコールのような副生成物X−Hを除去するステップ;
c)
−(SiX (1)
および/または
[G−(YGY]−G−(SiX (2)
(式中、G、G、G、Y、X、j、k、およびsの各々は、ここで定義されるとおりであり、ただし、Xの少なくとも一つは加水分解性基である、という条件である)
の化学構造のヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシラン、またはそれらの混合物を、ジオール化合物またはポリヒドロキシ化合物により、任意選択で触媒の存在下でエステル交換させるステップ;
d)任意選択でモノアルコールのような副生成物X−Hを除去するステップ;
e)プロセス(a)または(b)からの化合物を、プロセス(c)または(d)からの化合物と、任意選択で所望の比率で混合するステップ;そして
f)プロトン性のエステル交換触媒を用いたとしたら、任意選択で塩基で中和するステップ
を含有する。
【0077】
一つの実施態様において、式(1)および/または(2)
−(SiX (1)
[G−(YGY]−G−(SiX (2)
の化学構造のヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランの量と、式(3)
(HS)−G−(SiX (3)
(式中、G、G、G、Y、X、j、k、r、およびsの各々は、先に定義されたとおりであり、ただし、Xの少なくとも一つが加水分解性基である、という条件である)
の化学構造のメルカプト官能性シランの量は、式(3)のシランに対する、式(1)および/または(2)のシランのモル比が、具体的には約20:1から0.05:1、さらに具体的には約5:1から0.2:1、そして最も具体的には約2:1から0.5:1の範囲で混合される。
【0078】
一つのより具体的な実施態様において、もしプロトン性触媒を、ジオールによるシランのエステル交換を促進するために使用する場合、その触媒を塩基で中和して生成物の安定性を改善することは有用かもしれない;しかしながら、プロトン性触媒を中和するためには化学量論的な量の塩基だけが要求される;大量の塩基を用いると、望ましくない副反応を促進することになる。
【0079】
一つの具体的な実施態様において、ヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基に対するメルカプト基の望ましい比率は、混合比によって決定されると理解される。他の具体的な実施態様において、調製されるシランの構造は、分布上バイモダルであるかもしれない。さらに具体的な実施態様において、生成するオリゴマーおよび重合体は、メルカプト基の最隣接基が他のメルカプト基であり、また同様にヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基の最隣接基が他のヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基であるセグメントを有することがあってよい。一つの実施態様において、メルカプト基およびヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基の分布は、それ故にランダムではない。
【0080】
さらに他の実施態様は、自由流動性の充填剤組成物は
a)少なくとも一つの微粒子充填剤;および、
b)メルカプト官能性シラン組成物であって、
(i)少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、メルカプトシラン
(ii)少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、ヒドロカルビルシランまたはヘテロカルビルシラン
(iii)メルカプトシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、各シラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を任意選択で有している、メルカプトシラン二量体
(iv)ヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、各シラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を任意選択で有している、ヒドロカルビルシラン二量体および/またはヘテロカルビルシラン二量体
(v)メルカプトシラン単位を有し、これのケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によってヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位のケイ素原子に結合されており、各シラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を任意選択で有している、シラン二量体
(vi)隣接するメルカプトシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、末端メルカプトシラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、メルカプトシランオリゴマー
(vii)隣接するヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、末端メルカプトシラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、ヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランオリゴマー、並びに
(viii)少なくとも一つのメルカプトシラン単位および少なくとも一つのヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位を有し、隣接するシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、末端シラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、シランオリゴマー
(ただし、組成物が(i)、(iii)および(vi)の一つもしくはそれ以上を含む場合、組成物は(ii)、(iv)、(v)、(vii)および(viii)の一つもしくはそれ以上をさらに含み、そして組成物が(ii)、(iv)および(vii)の一つもしくはそれ以上を含む場合、組成物は(i)、(iii)、(v)、(vi)および(viii)の一つもしくはそれ以上をさらに含む、という条件である)
の成分からなる群から選択される少なくとも一つの有機官能性シランを含有するメルカプト官能性シラン組成物と、
を含有して提供される。
ここでの一つの実施態様において、充填剤はメルカプト官能性シラン組成物との反応性を有する。ここでの一つの他の実施態様において、自由流動性の充填剤組成物は、ここに記述したエラストマー樹脂または有機重合体のような任意のエラストマーをここに記述した量でさらに含有してよい。
【0081】
上述の自由流動性の充填剤組成物の一つの実施態様において、メルカプト官能性シラン組成物は、:
[G−(SiXαβθ[(HS)−G−(SiXαβθ (10)
および
[[G−(YGY]−(SiXαβθ[(HS)−G−(SiXαβθ (11)
(式中:
Yの各々は、多価の種(−Q)[C(=E)](A−)から独立して選択され、ここで原子(E)は不飽和炭素原子に結合し;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される一価基および多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から約30の炭素原子を有してよく;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される二価基または多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から30の炭素原子を有してよく;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される一価基および多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から約30の炭素原子を有してよく、ただし、Gが一価の場合、Gは水素でもよい、という条件であり;
αの各々は、−Cl、−Br、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、RN−、−R、(HO)d−1O−、HO(CRO−、およびHO(CRCRO)−からなる群から独立して選択され、ここで各Rは、水素、不飽和を含んでいても含んでなくてもよい直鎖、環状または分岐のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群から独立して選択され、ここで水素以外の各Rは1から18の炭素原子を含み、Gは独立して約2から約15の炭素原子の置換炭化水素基または約4から15の炭素原子の置換ヘテロ炭素基であり、そして一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を含み、Rは、Rに関して列挙された構成要素の一つによって独立して与えられ、fは約2から約15であり、そしてeは約2から約7であり;
Qの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)基からからなる群から独立して選択され、ただし、Qが硫黄であるとき、bは0である、という条件であり;
Aの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)基からなる群から独立して選択され、ただし、Aが硫黄であるとき、bは0である、という条件であり;
Eの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)からなる群から独立して選択され;
βの各々は、二つのケイ素原子のあいだに架橋構造を形成するが、[−OG(OH)d−2O−]0.5、[−O(CRCRO)−]0.5および[−O(RCRO−]0.5からなる群から独立して選択され、ここでRの各々は、Rに関して上に列挙された構成要素の一つによって独立して与えられ;そして、Gの各々は、2から15の炭素原子の置換炭化水素基または4から15の炭素原子の置換ヘテロ炭素基からなる群から独立して選択され、そして一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を含み;
θの各々は、ケイ素原子により環状構造を形成するが、−OG(OH)d−2O−、−O(CRCRO)−および−O(RCRO−によって独立して与えられ、ここでRの各々は、Rに関して上に列挙された構成要素の一つによって独立して与えられ;
下付文字、a、b、c、d、e、f、j、k、m、n、r、s、u、v、およびwの各々は、独立して与えられる整数であり、aは具体的には0または1であり、より具体的には1であり;bは具体的には0または1であり、より具体的には0であり;cは具体的には0または1であり、より具体的には0であり;dは具体的には約2から約8であり、より具体的には約2から約4であり、最も具体的には約2であり;eは具体的には約2から約7であり、より具体的には約2から約4であり、最も具体的には約2であり;fは具体的には約2から約15であり、より具体的には約2から約4であり、最も具体的には約3であり;jは具体的には1から約3であり、より具体的には約1から約2であり、最も具体的には約1であり;kは具体的には0から約15であり、より具体的には約0から約5であり、最も具体的には約0から約2であり;mは具体的には約1から約20であり、より具体的には約1から約5であり、最も具体的には約2から4であり;nは具体的には約1から約20であり、より具体的には約1から約5であり、最も具体的には約2から約4であり;rは具体的には1から約3であり、より具体的には約1であり;そしてsは具体的には1から約3であり、より具体的には約1であり;uは具体的には0から3であり、より具体的には約0から約2であり、最も具体的には約0から約1であり;vは具体的には0から3であり、より具体的には約0から約2であり、最も具体的には約0から約1であり;wは具体的には0から約1であり、より具体的には約1であり;ただし、u+v+2w=3、の条件であり;そして、ただし、上記の構造(10)および/または(11)の各々は、少なくとも一つの加水分解性基、ZβまたはZθを含む)
の少なくとも一つを含有する。
一つの実施態様において、構造[−OG(OH)d−2O−]0.5は、3分の1またはそれ以上のシリル基とさらに反応して、架橋のトリアルコキシシリル基、テトラアルコキシシリル基などを生成すると理解され、これは[−OG(OH)d−3(O−)1/3、[−OG(OH)d−4(O−)1/4などによってそれぞれ表される。
【0082】
ここでの他の実施態様において、非限定的な例としてタイヤ、工業製品、靴底部、ホース、シール、ガスケット、およびケーブル外被からなる群から選択されるような製品が提供されるが、これらの少なくとも一つの成分は、ここに記述されたゴム組成物の硬化されたゴム組成物である。一つの実施態様において、ここでのシランおよび/またはシラン混合物は、ゴム製造中に、揮発性有機化合物(VOC)の放出を著しく削減させ、ゴム内の充填剤の分散を増加させ、そして有機重合体と充填剤との間の結合を改善する手段を提供する。
【0083】
ここでの他の実施態様において、ここに記述された、有機官能性のシラン系組成物は、エラストマー樹脂(すなわち、ゴム)と充填剤との間のカップリング試剤として有用である。一つの実施態様において、有機官能性シラン組成物は、メルカプタン基の高い性能を、高い処理粘性、望ましい水準以下の充填剤分散、時期尚早の硬化(スコーチ)、および臭気のような、メルカプトシランの使用に典型的に関連する有害な副作用を伴わないで利用ができる、という点で独特である。さらに他の実施態様において、これらの利点は、メルカプタン基が使用にあたってジオールまたは高次のポリヒドロキシ含有化合物を遊離する高沸点化合物の一部である、という理由で得られる。またさらに他の実施態様において、このシラン系組成物におけるメルカプト基およびヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基の組み合わせは、自由流動性の充填剤組成物の調製中に、そしてゴムの配合中に有機重合体へのカップリングの調製中に、充填剤が分散する量の制御を可能にする。さらにまた他の実施態様において、この非生産的な混合工程中に、環状および/または架橋のアルコキシシリル基は、充填剤と反応することができる。ここでの一つの実施態様において、メルカプトシラン組成物、自由流動性の充填剤組成物およびゴム組成物は、ここに記述したように、および/または当業者に知られている手順で、硬化することができる。
【0084】
ここでの他の具体的な実施態様において、メルカプト官能性シラン系組成物は、ゴム産業およびタイヤ産業で広範囲に使用されている従来のカップリング剤に比べて著しい利点を提供する。この従来のシランは、その分子構造中に通常は三つのアルコキシ基、例えばエトキシ基を各ケイ素原子上に有し、その結果、シランが充填剤にカップリングするゴム製造プロセスで、各シラン当量に対して3モルまでの単純な一価アルコール、例えばエタノール、を放出することになる。単純な一価アルコールの放出は大きな欠点である。なぜなら、それは可燃性なので火事の恐れがあるからであり、そしてそれは揮発性有機化合物(VOC)放出に非常に寄与するので、環境に対して潜在的に有害であるからである。
【0085】
ここでの一つの具体的な実施態様において、ここに開示された任意のシランおよび/またはシラン混合物の利用は、削減されたVOC放出という結果になり得る。一つの実施態様において、ここに開示されたシランまたはシラン混合物を含有する生成物/組成物からのVOC放出は、ここに開示された前記シランやシラン混合物を含まない等価な生成物/組成物におけるVOC放出より少なくなりうる。さらに他の実施態様において、削減されたVOC放出は、具体的にはメルカプト官能性シランの重量の約30重量パーセント未満、さらに具体的には、メルカプト官能性シランの約10重量パーセント未満、そして最も具体的にはメルカプト官能性シランの約1重量パーセント未満となる。一つの実施態様において、VOC放出は、Xα−H,G(OH)、(HO)(CROHおよびHO(CRCRO)OHからなる群から選択される少なくとも一つと定義され、どれも大気圧で180℃より高い沸点を有する。
【0086】
ここでの一つの実施態様において、ここに記述された有機官能性シラン系組成物は、揮発性のモノアルコール放出をシラン当量当りのモノアルコールが1モルだけ、1モル未満、そして実質的にゼロにさえまでに削減することによって、前述の問題を解決するか非常に緩和する。一つの具体的な実施態様において、シランアルコキシ基は、ポリヒドロキシアルコール、例えばジオールから導出された架橋基、によって置き換えられ、したがって、そのようなポリヒドロキシアルコールは、多くの、またはほぼすべての、放出されるモノアルコールの代わりに、ゴム製造プロセスのあいだに放出されるためにそれはこれを達成する。さらに他の具体的な実施態において、特にゴム加工温度より高い沸点を持つようなジオールを用いて調製されるシランに関してここでの有機官能性シランの利点について記述すると、(そのような利点はより高次のヒドロキシル官能性のポリヒドロキシ含有化合物で実現可能であるが)例えばエタノールを用いて調製されたシランのようにゴム製造プロセス中にゴムから蒸発するようなことはなく、高い極性によりシリカ表面へ移動し、シリカのような珪質の充填剤の表面に水素結合されてゴムによって保持される。他の実施態様において、シリカ表面上へのジオールの存在は、そのような存在が後続の硬化プロセスにおいてシリカ表面が硬化剤と結合して硬化を妨害するような現象を防止するという、(ゴム配合プロセスのあいだの揮発および放出により)エタノールでは得られないさらなる利点へと導く。ジオールに基づかない従来のシランでは、シリカとの結合による損失に対抗するためにより多くの硬化剤を必要とする。
【0087】
他の実施態様において、硬化剤の添加に先立っておよび/または同時に、ゴム配合調合物に炭化水素基系ジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物を添加するのは、非限定的な例としてアミン、アミド、スルフェンアミド、チウラム、およびグアニジンのような硬化剤、特に、および極性物質の効率的な利用に有利である。さらに他の実施態様において、ジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物が、ジヒドロキシまたはポリヒドロキシ誘導されたシランの形で、または遊離のジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物として、シランカップリング剤と組み合わせてもっぱら添加されるにしても、ジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物の極性は、ゴム配合プロセスにとって利点となる。もう一つの実施態様において、この極性物質は、充填剤との双極子相互作用が原因で充填剤表面へ移動する傾向があり;これにより、極性物質が有機重合体のマトリックスで利用できない結果になり、ここでこれらの機能は、自由流動性の充填剤組成物の分散、および硬化反応の促進または遅延を含む。一つの実施態様において、炭化水素系ジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物は、硬化剤がシリカ表面と結合する傾向を妨げ、それによってそれらをゴムマトリックスの中に押し込んでその機能を遂行させることによって、硬化剤の機能を高める。他の実施態様において、炭化水素系ジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物は、化合物自体が非常に極性であり、それによって化合物自体が充填剤表面に結合して硬化剤が充填剤に結合する余地を減らすことによってこれを成し遂げる。さらに具体的な実施態様において、炭化水素系ジオールは、このように充填剤から硬化剤を遠ざける試薬として働く。さらに他の具体的な実施態様において、炭化水素系ジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物の短い鎖は、キレート効果によって機能をさらに増強する。一つの実施態様において、ここでのZθおよび/またはZβのジアルコキシド基の間の炭素原子の数は重要であり、それは二価のラジカル−O(RCRO−および[−O(RCRO−]0.5によってそれぞれ定義され、ここでfの各々は2または3である。より具体的な実施態様において、ジオールの二つのOH基の間の二つまたは三つの炭素原子の鎖は、両方の酸素原子が式(10)および(11)のシランの共通のケイ素原子に結合しているとき、五員環または六員環の生成を促進する。さらにより具体的な実施態様において、同一の中心への、この二つの結合は、既知であり、ここではキレート効果というが、これは環状ジアルコキシシリル基の量を増加させ、そしてゲルの生成を妨げる。さらに具体的な実施態様において、ゴム配合工程においてシリカと反応した後、放出されたジオールは充填剤に対して高い親和性を有するが、それらが充填剤表面上の金属またはケイ素原子とキレートをつくり、これによって硬化剤が充填剤に結合するのを防ぐ能力を高めるからである。さらに具体的な実施態様において、ここに記述されたシランおよび/またはシラン混合物の重要な利点は、シランカップリングのプロセスの副生成物がそれ自体でゴム配合プロセスと、生成するゴム組成物および/またはゴム組成物を用いた製品の価値とを高める点で有益であることである。したがって、一つの実施態様において、シランおよび/またはシラン混合物(「シラン」)のヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基は、表面のヒドロキシまたは金属酸化物が充填剤粒子のあいだの水素結合を生成する能力を減少させ、これによって充填剤分散の容易さと完全さとを強め、そしてこのプロセスの逆、すなわち充填剤の再集塊(reagglomeration)を遅らせることによって、混合のあいだシランが重合体にカップリングするのを遅らせるだけでなく、混合のあいだ充填剤が重合体の中に分散するのを助ける。
【0088】
ここでの一つの実施態様において、(a)少なくとも一つのゴム成分、(b)少なくとも一つの微粒子充填剤、および(c)少なくとも一つのここに記述されるようなメルカプト官能性シランまたはメルカプト官能性シラン組成物を含有するゴム組成物を提供する。一つの実施態様において、ゴム組成物は、自由流動性の充填剤組成物、メルカプトシラン組成物、およびメルカプトシランの作製プロセスに関してここで論じた任意の実施態様を有し、その逆もまた同様である。
【0089】
一つの実施態様において、ここに記述されたシランの重要な利点は、シランカップリングのプロセスの副生成物がそれ自体でゴム配合プロセスと、生成するゴム組成物および/またはゴム組成物を用いた製品の価値とを高める点で有益であることである。したがって、他の実施態様において、ここでのシランのヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基は、表面のヒドロキシまたは金属酸化物が充填剤粒子のあいだの水素結合を生成する能力を減少させ、これによって充填剤分散の容易さと完全さとを強め、そしてこのプロセスの逆、すなわち充填剤の再集塊を遅らせることによって、混合のあいだシランが重合体にカップリングするのを遅らせるだけでなく、混合のあいだ充填剤が重合体の中に分散するのを助ける。
【0090】
一つの実施態様において、環状および/または架橋のジアルコキシシリル基と、メルカプト基およびヒドロカルビルおよび/またはヘテロカルビル基とを含む少なくとも一つの有機官能性シランカップリング剤は、有機重合体に充填剤を配合する前、配合中または配合の後で有機重合体と混合される。一つの実施態様において、シランは、これらシランが充填剤の分散を促進し改善するので、充填剤を有機重合体に配合する前、または配合中に加えられる。より具体的な実施態様において、生成するゴム組成物に存在するシランの合計量は、有機重合体の100重量部当り(phr)約0.05から約25重量部であろう。他の実施態様において、自由流動性の充填剤組成物に存在するメルカプト官能性シランの量は、自由流動性の充填剤組成物の全重量に基づいて約0.1から約70重量パーセントである。さらに他の実施態様において、自由流動性の充填剤組成物に存在するメルカプト官能性シランの量は、自由流動性の充填剤組成物の全重量に基づいて約0.5から約20重量パーセントである。一つの他の実施態様において、自由流動性の充填剤組成物の充填剤の量は、自由流動性の充填剤組成物の全重量に基づいて約99.9から約30重量パーセントである。さらに一つの他の実施態様において、自由流動性の充填剤組成物の充填剤の量は、自由流動性の充填剤組成物の全重量に基づいて約99.5から約80重量パーセントである。他の実施態様において、ゴムに存在するシランの量は約1から10phrである。さらに他の実施態様において、ゴムに存在するシランの量は約3から8phrである。一つの実施態様において、充填剤は、具体的には約5から約100phr、より具体的には約25から約80phr、そして最も具体的には約50から約70phrの範囲の量で使用してよい。
【0091】
一つの実施態様において、実際には、硫黄加硫ゴム製品は、典型的にはゴムおよび様々な成分を熱機械的に混合することによって連続的にステップワイズで調製され、その後に配合ゴムを成形して硬化することによって加硫製品を生成する。より具体的な実施態様において、最初に、ゴムおよび様々な成分の上述の混合のために、典型的には硫黄と硫黄の加硫促進剤(一括して「加硫剤」)を除外して、ゴムおよび様々なゴム配合成分は、通常少なくとも一つの、任意選択で(シリカを充填した低い転がり抵抗タイヤの場合は)二つもしくはそれ以上の熱機械的な予備混合段階において、適切なミキサーで混合される。さらなる実施態様において、そのような予備混合は非生産的な混合または非生産的な混合工程または段階と呼ばれる。より具体的な実施態様において、そのような予備混合は通常約140℃から約200℃まで、そしてしばしば約150℃から約180℃の範囲内で行われる。
【0092】
一つの実施態様において、そのような予備混合段階に続いて、しばしば生産的な混合段階と呼ばれる段階である最終混合段階において、硬化剤および必要なら一つもしくはそれ以上の追加成分が、しばしばゴム組成物のスコーチと呼ばれる硫黄硬化可能なゴムの時期尚早の硬化を防ぐか遅らせるために、予備混合段階中で利用される温度より低くしてある典型的には50℃から130℃の温度で配合ゴムまたは組成物と混合される。
【0093】
他の実施態様において、ゴム混合物は、しばしば配合ゴムまたはゴム組成物と呼ばれるが、これは典型的にはしばしば中間ミル混合のプロセスの後に、またはそのプロセスの間に、上述の様々な混合工程間において、例えば約50℃もしくはそれ以下に冷却される。
【0094】
ここでの他の実施態様において、ゴムを成型して硬化することを望むときは、ゴムは適切な鋳型に載置し、少なくとも約130℃および約200℃まで加熱するが、この加熱はメルカプトシラン上のメルカプト基およびゴム混合物中の任意の他の遊離硫黄源によってゴムの加硫を引き起こす。
【0095】
一つの実施態様において、熱機械的混合は、配合ゴムまたはゴムとゴム配合成分の組成物が、ゴム混合物中で、主としてゴム混合機中のゴム混合物内のせん断力および関連する摩擦が原因で、混合の結果自己の熱で加熱されるような高せん断状態下で混合されることを意味する。一つの実施態様において、幾つかの化学反応が、混合および硬化のプロセスの様々な工程で生じる場合がある。
【0096】
一つの実施態様において、第一の反応は比較的高速反応で、充填剤と、環状および/または架橋のジアルコキシでブロックされたメルカプト官能性シラン、−SiXαβθ、のアルコキシシリル基との間で起こるとここでは考えられる。さらなる実施態様において、そのような反応は、例えば約120℃のように比較的低温で生じ得る。さらなる実施態様において、第二の反応は、シランの硫黄を含む部分と硫黄加硫性ゴムとの間で、より高温、例えば約140℃を超える温度で起こる反応とここでは考えられる。
【0097】
一つの実施態様において、他の硫黄源を、例えばSのような元素硫黄の形で使用してもよい。より具体的な実施態様において、硫黄供与体は、約140℃から約190℃の温度範囲で、遊離した、または元素の硫黄を放出する、硫黄を含む化合物とここではみなされる。さらにより具体的な実施態様において、そのような硫黄供与体は、非限定的な例としてそのポリスルフィド架橋の中に少なくとも二つの連続する硫黄原子をもつポリスルフィド加硫促進剤のようなものであり得る。またさらにより具体的な実施態様において、混合物への遊離硫黄源の添加量は、選択の問題として前述の環状および/または架橋のジアルコキシメルカプト官能性シラン組成物の添加から比較的独立して制御するか、扱ってよい。
【0098】
したがって、一つの実施態様の中で、例えば硫黄源を別個に添加するときは、その添加量と、ゴム混合物への他の成分の添加と比べての添加の順序によって操作してよい。
【0099】
ここでの他の実施態様において、ゴム組成物は:
(a)少なくとも一つの予備混合工程において、140℃から200℃、代替的に140℃から180℃の温度で、2から20分、代替的に4から15分の全混合時間にわたり、そのような混合工程に関して:
i)共役ジエンの単独重合体および共重合体、および少なくとも一つの共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体から選択される少なくとも一つの硫黄加硫性ゴムの100重量部、
ii)微粒子充填剤の5から100phr、好ましくは25から80phr、ここで充填剤は好ましくは1から85重量パーセントのカーボンブラックを含み、および
iii)少なくとも一つのここに記述された組成物のメルカプト官能性の環状および/または架橋のジアルコキシシランの充填剤の0.05から20重量部;
を熱機械的に混合するステップと、
(b)続いて、最終的な熱機械的混合工程で、50℃から130℃の温度で、ゴムを混合するのに充分な時間、具体的には1から30分間、より具体的には1から3分間、そして0から5phrの加硫剤を上記に配合するステップ;並びに、
(c)任意選択で、前記混合物を約5から60分間、130から200℃の範囲の温度で硬化するステップ
の連続するステップを含有するプロセスによって調製される。
【0100】
一つの実施態様において、適切なゴム成分(a)(有機重合体)および充填剤は当業者に周知であり、多数のテキストに記述されているが、その中の二つの例は、R. F. Ohm, ed., The Vanderbilt Rubber Handbook, R. T. Vanderbilt Company, Inc., Norwalk, CT, 1990、および T.Kempermann, S. Koch, J. Sumner, eds, Manual For The Rubber Industry, Bayer AG, Leverkusen, Germany, 1993、である。さらにまた他の実施態様において、適切なゴム成分(a)(有機重合体)の非限定的な代表的な例は、溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SSBR)、乳化重合スチレン−ブタジエンゴム(ESBR)、天然ゴム(NR)、ポリブタジエン(BR)、エチレン−プロピレン三元重合体(EPDM)、およびアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)を含む。
【0101】
他の実施態様において、ゴム組成物成分(a)は少なくとも一つのジエン系エラストマー、またはゴムで構成される。さらにより具体的な実施態様において、ゴムの調製に適切な単量体は、非限定的な例としてイソプレンおよび1,3−ブタジエンのような共役ジエン;そして非限定的な例としてスチレンおよびアルファメチルスチレンのような適切なビニル芳香族化合物;そしてそれらの組み合わせである。したがって、より具体的な実施態様において、ゴムは硫黄硬化可能なゴムである。さらなる実施態様において、そのようなジエン系エラストマーまたはゴムは、非限定的な例としてシス−1,4−ポリイソプレンゴム(天然および/または合成、そして好ましくは天然ゴムである)、乳化重合で調製されたスチレン/ブタジエン共重合体ゴム、有機溶液重合で調製されたスチレン/ブタジエンゴム、3,4−ポリイソプレンゴム、イソプレン/ブタジエンゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエン三元重合体ゴム、シス−1,4−ポリブタジエン、中含量ビニルポリブタジエンゴム(35から50パーセントのビニル)、高含量ビニルポリブタジエンゴム(50から75パーセントのビニル)、スチレン/イソプレン共重合体、乳化重合で調製されたスチレン/ブタジエン/アクリロニトリル三元重合体ゴム、およびブタジエン/アクリロニトリル共重合体ゴムの少なくとも一つから選択してよい。乳化重合により誘導されたスチレン/ブタジエン(ESBR)は、20から28パーセントの結合スチレンという比較的汎用のスチレン含有量を有するESBRが、または用途によっては、中程度から比較的高い結合スチレン含有量、すなわち30から45パーセントの結合スチレン含有量を有するESBRが、ここでの使用にジエン系ゴムとみなされる。さらに具体的な実施態様において、三元重合体において2から40重量パーセントの結合アクリロニトリルを含む、乳化重合で調製されたスチレン/ブタジエン/アクリロニトリル三元重合体ゴムも、ここでの使用ではジエン系ゴムとみなされる。
【0102】
他の実施態様において、溶液重合で調製されたSBR(SSBR)は、具体的には約5から約50、より具体的には約9から約36、そして最も具体的には約20から約30の重量パーセントの範囲の結合スチレン含有量を典型的には有する。より具体的な実施態様において、ポリブタジエンエラストマーは、例えば少なくとも90重量パーセントのシス−1,4−含有量を有することによって好都合に特徴づけられよう。
【0103】
一つの実施態様において、適切な充填剤材料の非限定的な幾つかの代表的な例は、(熱的におよび沈殿で得られる)シリカ、二酸化チタン、アルミノケイ酸塩、およびアルミナのような金属酸化物、粘土および滑石を含む珪質の物質、およびカーボンブラックを含む。より具体的な実施態様において、微粒子の沈降シリカも、特にシランに関連して、そのような目的に使用されることがある。一つの実施態様において、充填剤は単独のシリカであるか、または一つもしくはそれ以上の他の充填剤との組み合わせである。幾つかの場合での他の具体的な実施態様において、シリカとカーボンブラックの組み合わせが、タイヤの接地面を含む様々なゴム製品用の強化充填剤のために利用される。一つの実施態様において、アルミナは、単独でまたはシリカと組み合わせて使用してよい。「アルミナ」の用語は、ここでは酸化アルミニウムまたはAlを意味してよい。さらに具体的な実施態様において、充填剤は水和されていても、無水の形でもよい。例えば、引用することにより、その内容を本明細書の一部としてここに組み入れる米国特許第5,116,886号および欧州特許第631982号に見られるように、ゴム組成物中でアルミナに使用することは公知である。
【0104】
一つの実施態において、ここに記述されたゴム組成物成分(a)、(b)および(c)の混合物のような、ゴム組成物を反応で生成する混合物に、ここに記述されるような少なくとも一つのメルカプト官能性シラン組成物を有効な量で添加することを含有する、ゴム組成物の調製プロセスがここで提供される。一つの実施態様において、ここに記述されるような、ゴム組成物を反応で生成する混合物におけるメルカプト官能性シラン組成物の効果的な量は、ゴム組成物を反応で生成する混合物の全重量に基づいて、具体的には約1から約20、より具体的には約3から約15、そして最も具体的には約5から約10重量パーセントのメルカプト官能性シランである。他の実施態様において、反応で生成する混合物は、ここに記述されるような充填剤を、ゴム組成物を反応で生成する混合物の全重量に基づいて、具体的には約2から約70、より具体的には約5から約50、そして最も具体的には、約20から約40重量パーセントの量でさらに含有する。さらに他の実施態様において、反応で生成する混合物は、ここに記述されるゴム成分(a)を、ゴム組成物を反応で生成する混合物の全重量に基づいて、具体的には約30から約98、より具体的には約50から約95、そして最も具体的には約60から約80重量パーセントの量でさらに含有してよい。一つの実施態様において、ここに記述されるようなゴム組成物は、ゴム成分を反応で生成する混合物のために記述されたような量の成分(a)、(b)および(c)を有してよい。
【0105】
一つの実施態様において、環状および/または架橋のジアルコキシシリル基ならびにメルカプト基とヘテロカルビル基および/またはヒドロカルビル基とを含む有機官能性シラン組成物は、充填剤粒子と前もって混合したり、または前もって反応させてもよく、またはゴムおよび充填剤の処理、または混合段階の間に、ゴム混合物に添加してもよい。他の実施態様において、シランと充填剤を、ゴムと充填剤の混合あいだ、または処理段階で、ゴム混合物に別々に加える場合、環状および/または架橋のジアルコキシシリル基と、メルカプト基およびヘテロカルビル基および/またはヒドロカルビル基とを含む有機官能性シラン組成物は、その場で充填剤に結合すると考えられる。
【0106】
ここでの一つの実施態様において、加硫ゴム組成物は、妥当な高さのモジュラスおよび高い引裂き抵抗に寄与するのに充分な量の充填剤を含む必要がある。具体的な実施態様において、充填剤の総重量は、約5から約100phrと少なくてよいが、より具体的には約25から約85phr、そして最も具体的には約50から約70phrである。
【0107】
一つの実施態様において、ここに使用されるような「充填剤」の用語は、エラストマーの量を増やすか、またはエラストマーの網目を強化するためにエラストマーに添加される物質を意味する。強化充填剤は、そのモジュラスがエラストマー組成物の有機重合体より高く、そしてエラストマーが変形したとき、有機重合体から応力を吸収できる物質である。一つの実施態様において、充填剤は、繊維、微粒子およびシート状構造を含み、無機鉱物、ケイ酸塩、シリカ、粘土、セラミックス、炭素、有機重合体、ケイソウ土からなってよい。一つの実施態様において、ここでの充填剤は、混合されるシランに対し本質的に不活性であってもよく、またはそれらとの反応性であってもよい。
【0108】
一つの実施態様において、ここに使用されるような「微粒子充填剤」の用語は、凝集体(aggregate)または集塊体(agglomerate)を生成する粒子または粒子のグループを意味する。一つの実施態様において、微粒子充填剤は、混合されるシランに対し本質的に不活性であってもよく、またはそれらと反応性であってもよい。
【0109】
一つの実施態様において、ここに使用されるような「担体」の用語は、高い吸着または吸収の能力を有し、その自由流動性および乾性を維持する一方で、75パーセントまでの液体のシランを担持することができる、多孔性または大表面積の充填剤を意味する。一つの実施態様において、担体充填剤は、シランに対し本質的に不活性であり、エラストマー組成物に添加されたとき、液体シランを放出するか、脱離することができる。
【0110】
一つの実施態様において、本発明の充填剤は、エラストマー用の液体シランおよび強化充填剤の担体として使用してよく、ここでメルカプト官能性シラン、より具体的には、メルカプト官能性シラン(10)または(11)は、その表面で反応するか結合することが可能である。一つの実施態様において、担体として使用される充填剤は、本発明のメルカプトシランと非反応性でもよい。一つの実施態様において、充填剤の非反応的な性質は、担持したシランの50パーセント以上のメルカプトシランが有機溶媒を用いて抽出される能力によって説明される。一つの実施態様において、抽出手順は米国特許第6,005,027号に与えられており、この特許を引用することにより、その内容を本明細書の一部としてここに組み入れる。一つの実施態様において、担体は、例えば多孔性の有機重合体、カーボンブラック、ケイソウ土およびシリカを含むが、この例に限定されず、これらは、米国特許第6,005,027号で記載されるように、105℃で測定された時および500℃で測定された時、シリカの3502cm−2における赤外線吸光度の差が1.3未満と比較的小さいことによって特徴づけられる。一つの実施態様において、担体に担持させることができるメルカプト官能性シランの量は、0.1と70パーセントの間である。他の実施態様において、メルカプト官能性シランは、10および50パーセントの間の濃度で担体上に担持される。さらに他の実施態様において、充填剤は微粒子充填剤である。
【0111】
ここでの一つの実施態様において、ここでの有用な強化充填剤は、シランが充填剤の表面と反応する充填剤を含む。一つの実施態様において、充填剤の幾つかの代表的な例は、無機充填剤、珪質充填剤、(熱的におよび/または沈殿で得られる)シリカのような金属酸化物、チタン、アルミノケイ酸塩およびアルミナ、粘土、そして滑石などを含むが、この例に限定されない。ここでの一つの実施態様において、微粒子の沈降シリカは、特にシリカが反応性の表面シラノールを有するとき、そのような目的に役立つ。本発明の一つの実施態様において、0.1から20パーセントのメルカプト官能性シラン、より具体的には、メルカプト官能性シラン(10)または(11)と、80から99.9パーセントのシリカまたは他の強化充填剤との組み合わせは、タイヤの接地面を含む様々なゴム製品を強化するために利用される。他の実施態様において、充填剤は、約0.5から約10パーセントのメルカプト官能性シラン、より具体的にはメルカプト官能性シラン(10)または(11)と、約90から約99.5重量パーセントの微粒子充填剤とを含有する。ここでの他の実施態様において、アルミナは、単独でメルカプト官能性シラン、より具体的にはメルカプト官能性シラン(10)または(11)と共に、またはシリカおよびメルカプト官能性シランと組み合わせて使用してよい。ここでの一つの実施態様において、「アルミナ」の用語は、ここでは酸化アルミニウムまたはAlを意味してよい。ここでのさらなる実施態様において、充填剤は水和物の形でよい。
【0112】
一つの実施態様において、充填剤は、カーボンブラックまたは有機重合体の場合がそうであるように、混合されるシランに対し本質的に不活性であってよく、または、例えば金属のヒドロキシ表面官能性を有する担体の場合、例えば表面のシラノール官能性を有するシリカおよび他の珪質の微粒子の場合、それらと反応性であってよい。
【0113】
ここでの一つの実施態様において、沈降シリカは充填剤として利用される。より具体的な実施態様において、ここでのシリカ充填剤は、具体的には約40から約600m/gの範囲の、より具体的には約50から約300m/gの範囲の、そして最も具体的には約100から約150m/gの範囲の、窒素ガスを使用して測定されたBET表面積を有することにより特徴づけられる。他の具体的な実施態様において、表面積を測定するBET法は、Journal of the American Chemical Society, Vol. 60, page 304 (1930)、に述べられており、これがここで使用した方法である。さらに他の具体的な実施態様において、シリカは、具体的には約100から約350、より具体的には約150から約300、そして最も具体的には約200から約250の範囲のジブチルフタラート(DBP)の吸収値を有することによっても典型的に特徴づけられる。またさらに具体的な実施態様において、さらに有用なシリカ充填剤は、前述のアルミナ充填剤およびアルミノケイ酸塩充填剤と同様に、約100から約220m/gの範囲のCTAB表面積を有すると期待してよい。さらに具体的な実施態様において、CTAB表面積は、pH9のセチルトリメチルアンモニウムブロミドによって評価される外部表面積であり;この方法はASTM D 3849に記述されている。
【0114】
一つの実施態様において、水銀多孔度表面積は、水銀圧入法によって決定される比表面積である。この技術において、水銀は揮発分を除去するための熱処理の後にサンプルの細孔に浸透される。より具体的な実施態様において、設定条件を適切に記述すると、100mgのサンプルを使用し;105℃および大気圧で2時間揮発分を除去し;そして大気圧から2000バールの圧力測定範囲である。他のより具体的な実施態様において、そのような評価は、Winslow, et al. in ASTM bulletin(ASTM公報), page 39 (1959)、またはDIN 66133に記載された方法に従って行なうことができる;そのような評価には、カルロ−エルバ多孔度計2000(CARLO−ERBA Porosimeter 2000)を使用してよい。一つの実施態様において、選択されたシリカ充填剤の平均水銀多孔度比表面積は、具体的には約100から約300m/g、さらに具体的には約150から約275m/g、そして最も具体的には約200から約250m/gの範囲にあってよい。
【0115】
一つの実施態様において、そのような水銀多孔度評価による、シリカ、アルミナおよびアルミノケイ酸塩の適切な細孔径分布は、細孔の5パーセント以下が約10nm未満の直径を有し;細孔の約60から約90パーセントが約10から約100nmの直径を有し;細孔の10から約30パーセントが約100から約1,000nmの直径を有し;細孔の5から約20パーセントが約1,000nmを超える直径を有するとここでは考えられる。第二の実施態様において、シリカは、電子顕微鏡によって決定される、例えば約0.01から約0.05μmの範囲の平均究極粒径(average ultimate particle size)を持つと予想することができるが、シリカ粒子の大きさはさらに小さく、または恐らくより大きくなりうる。一つの実施態様において、PPGインダストリーズ社(PPG Industries)からHI−SILの商標で入手可能なもの、特に、HI−SIL210および243;ローヌ・プーラン社(Rhone−Poulenc)から入手可能なシリカ、例えばZEOSIL1165MP;デグサ社(Degussa)から入手可能なシリカ、例えばVN2、VN3など、およびフーバー社(Huber)から利用可能なシリカ、例えばHUBERSIL8745のような様々な市販のシリカをここで使用することが考えられる。
【0116】
一つの実施態様において、シリカ、アルミナおよび/またはアルミノケイ酸塩のような珪質の充填剤と、さらにカーボンブラック強化顔料との両方を含むゴム組成物を、強化顔料として主としてシリカで強化したい場合、カーボンブラックに対するそのような珪質の充填剤の重量比は、より具体的には少なくとも3/1、そして好ましくは少なくとも10/1であり、したがって3/1から30/1の範囲である。より具体的な実施態様において、充填剤は約15から約95重量パーセントの沈降シリカ、アルミナおよび/またはアルミノケイ酸塩と、これに対応して約5から約85重量パーセントのカーボンブラックとを含有してよく、ここで、このカーボンブラックは、約80から約150の範囲でCTAB値を有する。一つの具体的な実施態様において、代替的に充填剤は、約60から約95重量パーセントの前記シリカ、アルミナおよび/またはアルミノケイ酸塩と、これに対応して約40から約5重量パーセントのカーボンブラックとを含有してよい。他の具体的な実施態様において、珪質の充填剤とカーボンブラックとを、あらかじめ混合するか、加硫ゴム製造中に混合してよい。
【0117】
一つの実施態様において、ここでのゴム組成物は、様々な硫黄加硫可能な成分ゴムと、例えば硫黄、活性剤、遅延剤、および促進剤のような硬化助剤;油、例えば粘着性を強める樹脂のような樹脂、シリカ、可塑剤、充填剤、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、酸化防止剤、およびオゾン劣化防止剤のような加工添加剤;素練り促進剤;ならびに、例えばカーボンブラックなどのような強化物質のような様々な一般に使用される添加物質とを混合するような、ゴム配合技術における既知の方法によって配合してよい。他の具体的な実施態様において、ここに記述した添加剤は、硫黄加硫可能なおよび硫黄加硫された物質(ゴム)の意図した用途に従って選択し、従来の量で一般に使用する。
【0118】
一つの実施態様において、加硫は、添加した硫黄加硫剤の存在下で行ってよい。一つの具体的な実施態様において、適切な硫黄加硫剤の非限定的な幾つかの例は、例えば元素硫黄(遊離硫黄)または、非限定的な例としてアミノジスルフィド、重合体のポリスルフィドもしくは硫黄−オレフィン付加物のような硫黄を供与する加硫剤とを含み、この硫黄加硫剤は、最終で生産的な、ゴム組成物混合工程で一般に添加される。他の具体的な実施態様において、硫黄加硫剤(これは当業者に公知である)は、約0.4から約3phrの範囲で、また状況によって約8phrまでの量で、約1.5から約2.5phrの範囲で、そしてあるケースでは最も具体的に約2から約2.5phrの範囲で、生産的な混合工程において使用されるか、添加される。
【0119】
一つの実施態様において、加硫促進剤、つまり添加される硫黄供与体も使用してよい。一つの実施態様において、それは、非限定的な例としてベンゾチアゾール、アルキルチウラムジスルフィド、グアニジン誘導体、およびチオカルバマートであってよいことが認識されるだろう。他の具体的な例において、そのような促進剤の代表例は、たとえば、メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ベンゾチアゾールジスルフィド、ジフェニルグアニジン、ジチオカルバミン酸亜鉛、アルキルフェノールジスルフィド、ブチルキサントゲン酸亜鉛、N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N,N−ジフェニルチオ尿素、ジチオカルバミルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、亜鉛−2−メルカプトールイミダゾール、ジチオビス(N−メチルピペラジン)、ジチオビス(N−ベータ−ヒドロキシエチルピペラジン)、ジチオビス(ジベンジルアミン)、およびそれらの組み合わせであるが、これらに限定されない。他の具体的な実施態様において、他の添加される硫黄供与体は、例えばチウラムおよびモルホリン誘導体を含む。より具体的な実施態様において、そのような供与体の代表例は、例えばジモルホリンジスルフィド、ジモルホリンテトラスルフィド、テトラメチルチウラムテトラスルフィド、ベンゾチアジル−2,N−ジチオモルホリド、チオプラスト、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、ジスルフィドカプロラクタム、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0120】
一つの実施態様において、促進剤は、加硫に必要な時間および/または温度を制御し、そして加硫物の特性を改善するために使用される。一つの実施態様において、単一の促進剤システム、つまり一次促進剤を使用してよい。他の実施態様において、従来はそしてより具体的には、一次促進剤は、約0.5から約4、好ましくは約0.8から約1.5phrの範囲の合計量で使用される。より具体的な実施態様において、一次促進剤と二次促進剤とを組み合わせて使用してよく、二次促進剤は加硫物を活性化し、そして加硫物の特性を改善する目的で、より少ない量(例えば約0.05から約3phr)で使用される。またさらなる実施態様において、遅延作用の促進剤も使用してよい。またさらなる実施態様において、加硫遅延剤も使用してよい。一つの実施態様において、適切なタイプの促進剤の非限定的な例は、アミン、ジスルフィド、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカルバマート、キサントゲン酸塩、およびそれらの組み合わせである。より具体的な実施態様において、一次促進剤はスルフェンアミドである。他の具体的な実施態様において、二次促進剤が使用される場合、その二次促進剤はより具体的にはグアニジン化合物、ジチオカルバマート化合物またはチウラム化合物である。一つの実施態様において、粘着付与剤樹脂の量の非限定的な例は、もし使用するなら、例えば約0.5から約10phr、通常は約1から約5phrであってよい。一つの具体的な実施態様において、典型的な加工助剤の量は約1から約50phrを含有する。他の具体的な実施態様において、そのような加工助剤は、非限定的な例として、芳香族、ナフテン系および/またはパラフィン系の加工油、およびそれらの組み合わせを含んでよい。一つのより具体的な実施態様において、典型的な酸化防止剤の量は約1から約5phrである。一つの他の具体的な実施態様において、代表的な酸化防止剤は、非限定的な例としてジフェニル−p−フェニレンジアミン、および、例えばVanderbilt Rubber Handbook, pages 344−346 (1978)、に開示されたものを含む。さらに他の実施態様において、典型的なオゾン劣化防止剤の量は、約1から約5phrである。さらにもう一つの実施態様において、非限定的な例としてステアリン酸を含んで良い脂肪酸は、もし使用するとき、典型的な量は、約0.5から約3phrまでである。さらにもう一つの実施態様において、酸化亜鉛の典型的な量は約2から約5phrである。さらにまた他の具体的な実施態様において、ワックスの典型的な量は約1から約5phrである。一つの実施態様において、しばしば、微結晶ワックス(microcrystalline wax)が使用される。他の実施態様において、素練り促進剤の典型的な量は約0.1から約1phrである。またさらなる実施態様において、典型的な素練り促進剤は、非限定的な例としてペンタクロロチオフェノール、ジベンズアミドジフェニルジスルフィドおよびそれらの組み合わせを含む。
【0121】
一つの実施態様において、ここに記述されたゴム組成物は様々な目的に使用することができる。一つの具体的な実施態様において、ゴム組成物は、非限定的な例として様々なタイヤ用ゴム、靴底部、ホース、ケーブル外被、ガスケット、およびその他の工業物品に使用してよい。より具体的な実施態様において、そのような製品は、当業者には容易に明らかになることであるが、様々な公知で従来の方法によって組み立てられ、形作られ、成型され、そして硬化されてよい。一つのより具体的な実施態様において、ここでのゴム組成物の一つの特に有用な用途はタイヤ接地面の製造向けである。一つの実施態様において、ここでのゴム組成物から誘導される製品のタイヤ、タイヤ接地面または他の製品の利点は、その耐用期間の間と使用中でのVOCの放出がより少ない点にあり、これは既知で現在使われている技術の配合ゴムに比較して残存のシランエトキシ基をより少なく含む配合ゴムから製造された結果である。より具体的な実施態様において、これは、現在知られ、実用されている技術でアルキルシランおよびメルカプトシランのカップリング剤の配合物に比較して、ケイ素上のエトキシ基がわすかであるか、または実質的に無しであるジアルコキシ官能性シランカップリング剤を製造に使用した直接的な結果である。一つの実施態様において、用いるカップリング剤においてエトキシシラン基がないか、または減少するので、製品が製造された後で、ケイ素上に残存するエトキシ基がわずかであることになり、使用中に製造品の水への接触による残余のエトキシシラン基の加水分解では、エタノールがわずかに放出されるか、または放出されない。
【0122】
ここで引用されたすべての文献は、これを参照することにより、その内容を本明細書の一部としてここに組み入れる。
【0123】
本発明は、下記の実施例を参照することによって一層よく理解することができる。実施例中では特に指示がない限り、部と百分率は重量による。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0124】
比較例1
200mlのガラス瓶に、n−オクチルトリエトキシシラン(66.5グラム、0.241モル)および3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(15.5グラム、0.065モル)を入れた。瓶を乾燥窒素でパージして密閉し、次に1分間振とうして二つの成分を徹底的に混合した。n−オクチルトリエトキシシランと3−メルカプトプロピルトリエトキシシランはそれぞれSILQUEST(登録商標)A−137シランおよびSILQUEST(登録商標)A−1891シランの商品名でGEアドバーンストマテリアルズ・シリコーン社(GE Advanced Materials−Silicones)から入手した。
【0125】
比較例2
100mlのガラス瓶に、SILQUEST(登録商標)A−1230シランの商品名でGEアドバーンストマテリアルズ・シリコーン社から入手したポリアルキレンオキシドアルコキシシラン(48.7グラム)およびメルカプトプロピルトリエトキシシラン(8.2グラム、0.034モル)を入れた。瓶を乾燥窒素でパージして密閉し、次に1分間振とうして二つの成分を徹底的に混合した。ポリアルキレンオキシドアルコキシシランおよび3−メルカプトプロピルトリエトキシシランは、それぞれSILQUEST(登録商標)A−1230シランおよびSILQUEST(登録商標)A−1891シランの商品名でGEアドバーンストマテリアルズ・シリコーン社から入手した。
【0126】
実施例3
n−オクチルトリエトキシシラン(219グラム、0.792モル)および3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(81グラム、0.34モル)を、マグネチックスターラー、短い凝縮器およびフラスコ受器を備えた500mlの丸底フラスコに加えた。硫酸(0.3g)を反応フラスコに加え、混合物を50torrの真空下で50℃に加熱した。2−メチルプロパン−1,3−ジオール(306グラム、3.395モル)を、滴下ロートを介して加えた。エタノール(155グラム、3.37モル)を捕集した。ナトリウムエトキシド(1.45g)の21%のエタノール溶液を添加して触媒を中和した。
【0127】
実施例4
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(272グラム、1.143モル)をマグネチックスターラー、短い凝縮器およびフラスコ受器を備えた500mlの丸底フラスコに加えた。硫酸(0.19g)を反応フラスコに加え、混合物を50torrの真空下で50℃に加熱した。2−メチルプロパン−1,3−ジオール(308グラム、3.42モル)を、滴下ロートを介して加えた。エタノール(152g)を捕集した。ナトリウムエトキシド(0.72g)の21%のエタノール溶液を添加して触媒を中和した。
【0128】
実施例5
SILQUEST(登録商標)A−1230シランの商品名でGEアドバーンストマテリアルズ・シリコーン社から入手したポリアルキレンオキシドアルコキシシラン(557グラム)を、マグネチックスターラー、短い凝縮器およびフラスコ受器を備えた丸底フラスコに加えた。硫酸(0.41g)を反応フラスコに加え、混合物を50torrの真空下で50℃に加熱した。2−メチルプロパン−1,3ジオール(287グラム、3.18モル)を滴下ロートを介して加えた。メタノール(58グラム、1.8モル)を捕集した。ナトリウムエトキシド(1.35g)の21%のエタノール溶液を添加して触媒を中和した。
【0129】
実施例6
100mlのガラス瓶に、実施例4からのシラン(62.9グラム)および実施例5からのシラン(19.7グラム)を入れた。瓶を乾燥窒素でパージして密閉し、次に1分間振とうして二つの成分を徹底的に混合した。
【0130】
実施例7
SILQUEST(登録商標)A−1230シランの商品名でGEアドバーンストマテリアルズ・シリコーン社から入手したポリアルキレンオキシドアルコキシシラン(746グラム)と3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(157グラム、0.80モル)とを、マグネチックスターラー、短い凝縮器およびフラスコ受器を備えた丸底フラスコに加えた。硫酸(0.76g)を反応フラスコに加え、混合物を50torrの真空下で50℃に加熱した。2−メチルプロパン−1,3−ジオール(594グラム、6.59モル)を、滴下ロートを介して加えた。メタノール(157グラム)を捕集した。ナトリウムエトキシド(1.45g)の21%エタノール溶液を添加して触媒を中和した。
【0131】
比較例8および9、実施例10および11
プラーク状の硬化ゴム組成物(比較例8および9では、それぞれ比較例1および2のシランを使用し、実施例10および11では、それぞれ実施例3および6のシランを使用した)を調製し、物理的および力学的性質を測定した。
【0132】
典型的なシリカ−ゴムSBR調合物は、下の表1に述べるように使用した。混合は1550mlのクルップ社(Krupp)の噛み合いミキサーで行った。シランの量は8.2phrであった。
【0133】
【表1】

【0134】
単一の非生産的な混合物を調製するために使用された手順を、下表2に示す。
【0135】
【表2】

【0136】
単一の生産的な混合物を調製する手順では、硫黄および促進剤(一次および二次)は、65から70℃で、二本ロールミルで、表2に記載したように調製したマスターバッチへ添加した。すべてのシリカ充填剤、シランおよび油を調合物に組み入れた後、ロータの毎分回転数は、望むシラン化の温度を達成するように上昇させた。次に、調合物を同温度で8分間保持した。混合の手順を上の表2に示す。
【0137】
硬化されたプラーク状のゴム組成物の硬化および試験を、ASTM基準に従って行った。さらに、小さな歪の力学的試験をレオメトリックス社(Rheometrics Inc.)のレオメトリックス動的分析器(Rheometrics Dynamic Analyzer;ARES)を用いて行った。具体的な硬化手順、測定および測定手順は下記のとおりであった:
硬化手順/測定 試験標準
ムーニー粘度およびスコーチ ASTM D1646
振動ディスクレオメトリー ASTM D2084
テストプラークの硬化 ASTM D3182
応力−歪特性 ASTM D412
発熱性 ASTM D623
【0138】
動的な機械的特性:
ペイン効果歪掃引(Payne effect strain sweeps)を、10Hz、60℃で剪断歪振幅が0.01%から約25%までの動的歪振幅で行った。動的パラメータ、G’initial、ΔG’,G’’max,tanδmaxは、小さな歪みで配合ゴムの非線形応答から抽出した。幾つかの場合において、tanδの定常値は35%の歪振幅(60℃で)で15分間の動的な振動の後に測定した。動的性質の温度依存性も、10Hzの周波数での小さな歪み振幅(1または2%)で約−80℃から+80℃まで測定した。比較例8および9、実施例10および11の配合ゴムのレオロジー的、物理的および動的性質を表3に示す。
【0139】
【表3】

【0140】
本発明は多くの典型的な実施態様を参照して記述されているが、本発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更を行なうことができ、また、等価物をその要素の代わりに用いることができることは当業者によって理解されるだろう。さらに、特別の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、発明の本質的な範囲から逸脱せずに、多くの修正をなすことができる。したがって、本発明がここに開示された特別な典型的な実施態様のいずれにも限定されることはない、と意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メルカプト官能性シラン組成物であって、:
(i)メルカプトシランであって、少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、メルカプトシラン、
(ii)ヒドロカルビルシランまたはヘテロカルビルシランであって、少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、ヒドロカルビルシランまたはヘテロカルビルシラン
(iii)メルカプトシラン二量体であって、メルカプトシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、各シラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を任意選択で有している、メルカプトシラン二量体
(iv)ヒドロカルビルシラン二量体および/またはヘテロカルビルシラン二量体であって、前記ヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、各シラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を任意選択で有している、ヒドロカルビルシラン二量体および/またはヘテロカルビルシラン二量体
(v)シラン二量体であって、メルカプトシラン単位を有し、これのケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によってヒドロカルビルシラン単位またはヘテロカルビルシラン単位のケイ素原子に結合されており、各シラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を任意選択で有している、シラン二量体
(vi)メルカプトシランオリゴマーであって、隣接するメルカプトシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、末端メルカプトシラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、メルカプトシランオリゴマー
(vii)ヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランオリゴマーであって、隣接するヒドロカルビルシラン単位またはヘテロカルビルシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、末端ヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、ヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランオリゴマー、および
(viii)シランオリゴマーであって、少なくとも一つのメルカプトシラン単位、および少なくとも一つのヒドロカルビルシラン単位またはヘテロカルビルシラン単位を有し、隣接するシラン単位のケイ素原子は架橋ジアルコキシ基によって互いに結合されており、末端シラン単位は少なくとも一つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有する、シランオリゴマー
からなる群から選択される少なくとも一つの有機官能性シランを含有し、
ただし、組成物が(i)、(iii)および(vi)の一つもしくはそれ以上を含む場合、組成物は(ii)、(iv)、(v)、(vii)および(viii)の一つもしくはそれ以上をさらに含み、そして組成物が(ii)、(iv)および(vii)の一つもしくはそれ以上を含む場合、組成物は(i)、(iii)、(v)、(vi)および(viii)の一つもしくは以上をさらに含む、という条件である、
メルカプト官能性シラン組成物。
【請求項2】
(i)と、(ii)、(iv)、(v)、(vii)および(viii)の一つもしくはそれ以上との混合物;(ii)と、(iii)、(v)、(vi)および(viii)の一つもしくはそれ以上との混合物;(iii)と、(v)、(vii)および(viii)の一つもしくはそれ以上との混合物;(iv)と、(v)、(vi)および(viii)の一つもしくはそれ以上との混合物;(v)と、(vi)および(vii)のどちらか一方または両方との混合物;(vi)と、(vii)および(viii)のどちらか一方または両方との混合物;ならびに、(vii)と(viii)との混合物からなる群から選択される少なくとも一つの混合物を含有する、請求項1に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項3】
(i)が一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有し;(ii)が一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有し;(iii)の各シラン単位が一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有し;(iv)の各シラン単位が一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有し;(v)の各シラン単位が一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有し;(vi)が3から約20のメルカプトシラン単位を有し、末端メルカプトシラン単位は一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有し;(vii)が3から約20のヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位を有し、末端ヒドロカルビルシラン単位またはヘテロカルビルシラン単位は一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有し;そして、(viii)が3から約40のシラン単位を有し、このシラン単位の1から約20はメルカプトシラン単位であり、そして1から約20はヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位であり、末端シラン単位は一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する、請求項1に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項4】
(i)が一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有し;(ii)が一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を有し;(iii)の各シラン単位が一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有し;(iv)の各シラン単位が一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有し;(v)の各シラン単位が一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有し;(vi)が3から約10のメルカプトシラン単位を有し、末端メルカプトシラン単位が一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有し;(vii)が3から約10のヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位を有し、末端ヒドロカルビルシラン単位またはヘテロカルビルシラン単位は一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有し;そして、(viii)が3から約20のシラン単位を有し、このシラン単位は1から約10がメルカプトシラン単位であり、そして1から約10がヒドロカルビルシラン単位および/またはヘテロカルビルシラン単位であり、末端シラン単位は一つまたは二つのヒドロキシアルコキシシリル基および/または環状ジアルコキシシリル基を独立して有する、請求項2に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項5】
各混合物において、ヒドロカルビル基および/またはヘテロカルビル基に対するメルカプタンの比率が、約20:1から約0.05:1の範囲である、請求項2に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項6】
メルカプト官能性で、環状および/または架橋のジアルコキシシラン組成物であって、:
[G−(SiXαβθ[(HS)−G−(SiXαβθ (10)
および
[[G−(YGY]−(SiXαβθ[(HS)−G−(SiXαβθ (11)
(式中、
Yの各々は、多価の種(−Q)[C(=E)](A−)から独立して選択され、ここで原子(E)は不飽和炭素原子に結合し;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される一価基および多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から約30の炭素原子を有してよく;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される二価基または多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から30の炭素原子を有してよく;
の各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの置換によって誘導される一価基および多価基からなる群から独立して選択され、ここでGは1から約30の炭素原子を有してよく、ただし、Gが一価の場合、Gは水素でもよい、という条件であり;
αの各々は、−Cl、−Br、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、RN−、−R、(HO)d−1O−、HO(CRO−、HO(CRCRO)−からなる群から独立して選択され、ここで各Rは、水素、不飽和を含んでいても含んで無くてもよい直鎖、環状または分岐のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群から独立して選択され、ここで水素以外の各Rは1から18の炭素原子を含み、Gは独立して約2から約15の炭素原子の置換炭化水素基または約4から約15の炭素原子の置換ヘテロ炭素基であり、そして一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を含み、Rは、Rに関して列挙された構成要素の一つによって独立して与えられ、fは2から約15であり、そしてeは2から約7であり;
Qの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)基からからなる群から独立して選択され、ただし、Qが硫黄であるとき、bは0である、という条件であり;
Aの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)基からなる群から独立して選択され、ただし、Aが硫黄であるとき、bは0である、という条件であり;
Eの各々は、酸素、硫黄および(−NR−)からなる群から独立して選択され;
βの各々は、二つのケイ素原子のあいだに架橋構造を形成し、[−OG(OH)d−2O−]0.5、[−O(CRCRO)−]0.5および[−O(RCRO−]0.5からなる群から独立して選択され、ここでRの各々は、Rに関して上に列挙された構成要素の一つによって独立して与えられ;そして、Gの各々は、2から15の炭素原子の置換炭化水素基または4から15の炭素原子の置換ヘテロ炭素基からなる群から独立して選択され、そして一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を含み;
θの各々は、ケイ素原子により環状構造を形成し、−OG(OH)d−2O−、−O(CRCRO)−および−O(RCRO−によって独立して与えられ、ここでRの各々は、Rに関して上に列挙された構成要素の一つによって独立して与えられ;
下付文字、a、b、c、d、e、f、j、k、m、n、r、s、u、v、およびwの各々は、独立して与えられる整数であり、aは0または1であり;bは0または1であり;cは0または1であり;dは約2から約8であり;eは約2から約7であり;fは約2から約15であり;jは1から約3であり;kは0から約15であり;mは約1から約20であり;nは約1から約20であり;rは1から約3であり;そしてsは1から約3であり;uは0から3であり;vは0から3であり;wは0から約1であり、ただし、u+v+2w=3、という条件であり;ただし、上記の構造(10)および/または(11)の各々は、少なくとも一つの加水分解性基、ZβまたはZθを含む、という条件である)
からなる群から選択される化学構造を有する少なくとも一つのメルカプト官能性シランを含有する、
メルカプト官能性で、環状および/または架橋のジアルコキシシラン組成物。
【請求項7】
Yが、−C(=NR)−;−(C=O)−;(−NR)C(=O)−;−OC(=O)−;−OC(=S)−;−OC(=O)O−;−C(=S)−;−C(=O)O−;(−NR)C(=O)(NR−);(−NR)C(=NR)(NR−);−O−;−S−;−SS−;および−NR−からなる群から選択される、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項8】
Yが、−O−;−NR−;−C(=O)O−;−C(=NR)−、および(−NR)C(=O)(NR−)からなる群から選択される、請求項7に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項9】
式(11)において、Yが−O−または−NR−であり、GがC−C12のアルキルの置換によって誘導される二価基または多価基であり;Gが水素またはCからC12の直鎖アルキルであり;Zβが[−O(RCRO−]0.5であり、そしてZθが−O(RCRO−であり、式中、Rは水素またはメチルであり、そしてfは2または3であり、mおよびnは1から約5であり、kは1から約5であり、jは1であり、そしてrは1から約2である、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項10】
式(10)において、GがC−C10のアルキルから誘導される一価の直鎖基であり、そしてGがC−C10のアルキルの置換によって誘導される二価基または多価基であり、Zβは[−O(RCRO−]0.5であり、そしてZθは−O(RCRO−であり、式中、Rは水素またはメチルであり、fは2または3であり、mおよびnは1から約5であり、そしてrは1から約2である、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項11】
式(10)および(11)のシランの両方が存在する、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項12】
各Gが、独立してCH(CH−、gは1から約29;ベンジル;2−フェニルエチル;シクロヘキシル;−CHCH−ノルボルナンの任意の異性体;−CHCH−シクロヘキサン;1から30の炭素原子の分岐アルキル基;または、ノルボルナン、シクロヘキサン、シクロペンタン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、またはシクロドデセンから一つの水素原子を除くことによって得られる任意のモノラジカルである、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項13】
1から30の炭素原子の分岐アルキル基が、CH(CHCH(CHCH)CH−,CHCHCH(CHCH)CH−,CHCH(CH)CH−,CHCHCH(CH)CH−,およびCH(CHCH(CH)CH−からなる群から選択される、請求項12に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項14】
各Gが、ジエチレンシクロヘキサン;1,2,4−トリエチレンシクロヘキサン;フェニレン;ジビニルベンゼンから誘導可能な任意の構造;ジプロペニルベンゼンから誘導可能な任意の構造;ピペリレンから誘導可能な任意の構造;−CHCH−ノルボルニル−の任意の異性体;テトラヒドロジシクロペンタジエンまたはシクロドデセンから二つの水素原子を除くことによって得ることの出来る任意のジラジカル;リモネンから誘導可能な任意の構造;トリビニルシクロヘキサンから誘導可能なモノビニル含有の任意の構造;三置換のC=Cを含むミルセンから誘導可能な不飽和が一つである任意の構造;そして三置換のC=Cを含まないミルセンから誘導可能な不飽和が一つである任意の構造;−(CH−、式中、gは好ましくは1から30の整数であるが、これは他の端で末端がさらに置換された末端直鎖アルキルを表し、そしてこれらのベータ置換の類似体:メチル置換アルキレン基;メタリルクロリドから誘導可能な任意の構造;ブタジエンから誘導可能な任意の構造;および、ノルボルナン、シクロヘキサンまたはシクロペンタンから二つの水素原子を除くことによって得ることのできる任意のジラジカルからなる群から独立して選択される、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項15】
各Gが、独立して水素、CH(CH−、式中、gは1から約29;ベンジル;2−フェニルエチル;シクロヘキシル;−CHCH−ノルボルナンの任意の異性体;−CHCH−シクロヘキサンの任意の異性体;1から30の炭素原子の分岐アルキル基;または、ノルボルナン、シクロヘキサン、シクロペンタン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、またはシクロドデセンから一つの水素原子を除くことによって得ることのできる任意のモノラジカルである、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項16】
式(10)および/または(11)において、G基、G基およびG基のヒドロカルボニル基および/またはヘテロカルビル基における炭素原子の合計が約3から約18である、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項17】
基、G基およびG基のヒドロカルボニル基および/またはヘテロカルビル基における炭素原子の合計が約6から約14である、請求項16に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項18】
がCHCHCHCHCHCHCH−であり、Gが−CHCHCH−であり、rが1であり、そしてsが1である、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項19】
式(10)および(11)において、vおよびwが、比率v/wが0と1との間にあるような値である、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項20】
uが1から約2であり、ただし、u+v+2w=3、という条件である、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項21】
環状および/または架橋のジアルコキシシリル基、メルカプト基、およびヒドロカルビルシランおよび/またはヘテロカルビルシランを含む請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物であって、
3−{4−メチル−2−[2−(4−メチル−2−ペンチル−[1,3,2]ジオキサシロラン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−[1,3,2]ジオキサシロラン−2−イル}−プロパン−1−チオール;3−{2−[2−(2−メチル−[1,3,2]ジオキサシロラン−2−イルオキシ)−エトキシ]−[1,3,2]ジオキサシロラン−2−イル}−プロパン−1−チオール;3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−プロパン−1−オールと、3−(2−ブチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−プロパン−1−オールとの混合物;4−{2−[3−(2−ブチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル}−ブタン−1−チオール;4−[2−(3−{2−[3−(2−メトキシ−エトキシ)−プロピル]−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ}−プロポキシ)−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル]−ブタン−1−チオール;4−[5−メチル−2−(2−メチル−3−{5−メチル−2−[3−(2−メチルアミノ−エチルアミノ)−プロピル]−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ}−プロポキシ)−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル]−ブタン−1−チオール;2−アセチルアミノ−N−[3−(2−{3−[2−(4−メルカプト−ブチル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロピル]−アセトアミド;(2−{3−[3−(2−{3−[2−(4−メルカプト−ブチル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロピル]−ウレイド}−エチル)−尿素;4−アセトキシ−酪酸3−(2−{3−[2−(4−メルカプト−ブチル)5,5−ジメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2,2−ジメチル−プロポキシ}−5,5−ジメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロピルエステル;炭酸2−[3−(2−{3−[2−(4−メルカプト−ブチル)−5,5−ジメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2,2−ジメチル−プロポキシ}−5,5−ジメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロポキシカルボニルオキシ]−エチルエステルメチルエステル;4−{[3−(2−ドデシル−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−1,1−ジメチル−ブトキシ]−ジメチル−シラニル}−ブタン−1−チオール;4−{[3−(2−ドデシル−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−1,1−ジメチル−ブトキシ]−ジエトキシ−シラニル}−ブタン−1−チオール;4−[ブチル−[3−(2−ドデシル−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−1,1−ジメチル−ブトキシ]−(4−メルカプト−ブチル)−シラニルオキシ]−2−メチル−ペンタン−2−オール;4−{(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(4−メルカプト−ブチル)−[2−メチル−3−(5−メチル−2−オクチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−シラニル}−2−メチル−ブタン−1−オール;3−{(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(4−メルカプト−ブチル)−[2−メチル−3−(5−メチル−2−オクチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−シラニルキシ}−2−メチル−プロパン−1−オール;4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{3−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−オクチル−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−(4−メルカプト−ブチル)−シラニル]−2−メチル−ブタン−1−オール;3−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{3−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−オクチル−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−(4−メルカプト−ブチル)−シラニルオキシ]−2−メチル−プロパン−1−オール;3−[{3−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−メチル−オクチル−シラニルオキシ]−3−メチル−ブチル}−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−オクチル−シラニルオキシ]−2−メチル−プロパン−1−オール;4−((3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{3−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−オクチル−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−(3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチル−ブトキシ}−オクチル−シラニル)−2−メチル−ブタン−1−オール;(3−((3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{3−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−オクチル−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−(3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチル−ブトキシ}−オクチル−シラニル)−2−メチル−プロパン−1−オール;4−(ベンジル−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−{3−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−フェネチル−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−(3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチル−ブトキシ}−シラニル)−2−メチル−ブタン−1−オール;(4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(4−{(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−[2−メチル−3−(4−メチル−2−フェネチル−[1,2]オキサシロラン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−シラニル}−2−メチル−ブトキシ)−ペント−4−エニル−シラニル]−2−メチル−ブタン−1−オール;4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(4−{(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−[2−メチル−3−(4−メチル−2−フェネチル−[1,2]オキサシロラン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−シラニル}−2−メチル−ブトキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチル−ブタン−1−オール;4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(4−{(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−[2−メチル−3−(4−メチル−2−フェネチル−[1,2]オキサシロラン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−シラニル}−2−メチル−ブトキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチル−ブタン−1−オール;4−[(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−4−{(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−[2−メチル−3−(4−メチル−2−オクチル−[1,2]オキサシロラン−2−イルオキシ)−プロポキシ]−シラニル)}−2−メチル−ブトキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチル−ブタン−1−オール;およびそれらの組み合わせ、
からなる群から選択される、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項22】
VOCのレベルが削減された、請求項1に記載のメルカプト官能性シラン組成物。
【請求項23】
VOCのレベルが削減された、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン組成物。

【公表番号】特表2010−500408(P2010−500408A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524647(P2009−524647)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/017901
【国際公開番号】WO2008/021308
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(508229301)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】