説明

メール管理システム及びメール管理方法

【課題】通信ネットワークを通じて送受信されるメールに含まれる表示情報の有効期限をサービス提供側において管理・制御する。
【解決手段】インターネット70を通じて送信されるメールに含まれる表示情報の有効期限を管理するメール管理システムであって、インターネット70を通じて、メールの送受信を行う機能を備えた携帯電話20aと、携帯電話20a宛に送信されたメールを一時的に蓄積した後、メールを通信端末に受信させるメールサーバ部130と、有効期限の到来を監視する有効期限監視部113bと、有効期限監視部113bが有効期限の到来を検出したときに、メールサーバ部130に蓄積されたメールに含まれる表示情報を変更する表示情報変更部113fと、メールを未受信状態に変更し、表示情報が変更されたメールを携帯電話20aに再受信させることで、表示情報を無効とするフラグ設定変更部113eとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを通じて送信されるメールに含まれる表示情報の有効期限を管理するメール管理システム及びメール管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年インターネットや携帯電話網に代表される通信ネットワークの普及に伴い、電子メールを通じて、コンビニエンスストアなどの店舗から割引のクーポン券やポイントが発行され、それらを店舗にてユーザが提示することにより代金が割り引かれるサービスを受けることができる。
【0003】
これについて、例えば、特許文献1に開示されているように、ユーザに対し、クーポンやポイントを、ネットワークを介して提供可能なシステムが提案されている。この特許文献1に開示されたシステムでは、利用者の携帯電話或いはPHS等の携帯端末の液晶画面に、割引クーポンやポイント等の各種情報を含むバーコードを、ネットワークを通じて表示させる。これにより、利用者は詳細な情報を非接触な形で店員に伝えることができるだけでなく、割引などの利点を得ることができる。
【0004】
特に、特許文献1に開示されたシステムでは、店舗に設置されたPOSシステムにおいて、携帯電話の画面に表示されたバーコード等の表示情報をバーコードリーダで読み取ることにより、自動的に本部のサーバシステムに情報が照会される。その結果、バーコードが認証され、ユーザにサービスが提供されるとともに、ユーザの情報が本部のサーバシステムに反映され、クーポンを利用したという情報がユーザの新たな情報として認識され、ユーザ情報データベースが更新される。
【特許文献1】特開2001−256388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されたシステムでは、一度、ユーザーに対して電子メールが送信された後には、その内容の有効性を、サービス提供側で制御できず、本部のサーバシステムに対して反映されない限り、店舗等においてはその有効性を確認できないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、通信ネットワークを通じて送受信されるメールにおいて、メールに含まれる表示情報の有効期限をサービス提供側において管理・制御することができるメール管理システム及びメール管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、通信ネットワークを通じて送信されるメールに含まれる表示情報の有効期限を管理するメール管理システムであって、通信ネットワークを通じて送信されたメールを一時的に蓄積するメールサーバ手段と、有効期限の到来を監視する有効期限監視部と、有効期限監視部が有効期限の到来を検出したときに、メールサーバ手段に蓄積されたメールに含まれる表示情報を変更するとともに、該メールを未受信状態に変更することで、表示情報を無効とする無効処理部とを有することを特徴とする。
上記発明では、通信ネットワークを通じて、メールサーバ手段に蓄積されたメールの受信を行う機能を備えた通信端末をさらに備え、無効処理部は、有効期限監視部が有効期限の到来を検出したときに、表示情報が変更されたメールを通信端末に再受信させ、該通信端末で既に受信済みのメールに、際受信されたメールを上書きさせることで、表示情報を無効とすることが好ましい。
【0008】
また、他の発明は、通信ネットワークを通じて送信されるメールに含まれる表示情報の有効期限を管理するメール管理方法であって、
(1)通信ネットワークを通じて送信されたメールを一時的に蓄積するメールサーバ手段と側において、有効期限の到来を監視する有効期限監視ステップと、
(2)有効期限監視ステップにおいて有効期限の到来が検出されたときに、メールサーバ手段に蓄積された前記メールに含まれる表示情報を変更するとともに、該メールを未受信状態に変更することで、表示情報を無効とする無効処理ステップと
を有することを特徴とする。
【0009】
上記発明では、上記(2)に先行させて、通信端末で、通信ネットワークを通じて、メールサーバ手段に蓄積されたメールの受信を行うメール受信ステップを行ってもよく、無効処理ステップでは、有効期限の到来を検出したときに、表示情報が変更されたメールを通信端末に再受信させ、該通信端末で既に受信済みのメールに、際受信されたメールを上書きさせることで、表示情報を無効とすることが好ましい。
【0010】
上記メール管理システムにおいて、通信ネットワークを通じて送信されるメールに含まれる表示情報の有効期限を管理するメール管理方法であって、
(1)メールサーバ手段側において、有効期限の到来を監視する有効期限監視ステップと、
(2)有効期限監視ステップにおいて有効期限の到来が検出されたときに、メールサーバ手段に蓄積されたメールに含まれる表示情報を変更するとともに、メールを未受信状態に変更し、表示情報が変更されたメールを通信端末に再受信させることで、表示情報を無効とする無効処理ステップと
を有する。
【0011】
ここで、前記メールに含まれる「表示情報」とは、数字や文字等のテキストの組み合わせでもよく、バーコードやQRコード等の文字列等のデータがコード化され、コードに対応した図形情報により示される情報である。
【0012】
なお、上記発明では、無効処理に際して、表示情報を変更するとき、変更前の表示情報のデータサイズと、変更後の表示情報のデータサイズとが変化しないように、表示される情報のみを変更することが好ましい。これにより、例えばメールサーバ手段に収納されているメールのサイズが変更されることにより、変更前と変更後のメールを別のメールとして認識して処理されるのを回避することができ、再受信による上書きを確実に実行させることができる。
【0013】
さらに、上記発明では、前記メールには、クーポンサービスの提供に関する情報が含まれ、表示情報には、クーポンサービスの提供が享受可能であることを保証する情報を含めることができる。この場合において有効期限監視では、クーポンサービスの利用処理も監視し、無効処理では、利用処理が実行された際に、無効処理を実行したり、有効期限監視で、メールの送信処理、及びクーポンサービスのメールが送信されてからの時間経過を監視し、無効処理では、メールが送信されてから所定時間が経過した際に、無効処理を実行するようにしてもよい。さらに、本発明では、有効期限は、クーポンサービスのメール毎に付与された期限とすることができ、各メールに付与された有効期限が経過した際に無効処理を実行するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信ネットワークを通じて送受信されるメールにおいて、例えば、店舗で利用可能なクーポン券等をメールで配信するような場合に、メールに含まれる表示情報の有効期限をサービス提供側において管理・制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(メール管理システムの構成)
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るメール管理サーバ10を含むメール管理システムの概略構成を示す機能ブロック図である。なお、図中に示す機能ブロックは、いわゆる機能モジュールであり、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0016】
同図に示すように、本実施形態に係るメール管理システムは、サービス提供事業者が管理運営を行うメール管理サーバ10を中心に構成され、主としてアプリケーション部110と、メールサーバ部130とを備えており、メールサーバ部130は、インターネット70に接続されている。
【0017】
インターネット70は、通信プロトコルTCP/IPを用いて種々の通信回線(電話回線やISDN回線、ADSL回線などの公衆回線、専用回線、無線通信網)を相互に接続して構築される分散型の通信ネットワークであり、この通信ネットワークには、10BASE−Tや100BASE−TX等によるイントラネット(企業内ネットワーク)や家庭内ネットワークのLANの他、各種IP網が含まれる。
【0018】
メールサーバ部130は、インターネット70上に常に接続され、自ネットワーク内のユーザの電子メールの送信や受信を行うサーバコンピュータ或いはその機能を持ったソフトウェアであり、ネットワークの他のユーザに電子メールを送信するSMTPサーバと、自ネットワーク内のユーザ宛に送られてきた電子メールを保管し、ユーザからの受信要求に対応するPOP3サーバやIMAP4サーバなどのサーバ群で構成されている。
【0019】
そして、本実施形態では、メール管理サーバ10側からクーポン等の有効期限付きの表示情報が含まれるメールを送信する場合を例に説明する。このクーポン券は、電子メールにてメール管理サーバ10からユーザーに配信され、その配信を受けたユーザーは、店舗Cにおいて、クーポン券に係る商品やサービスの提供を受けることができる。この場合は、ユーザーが店舗に赴いてクーポン券に係るサービスの提供を受けることになる。商品販売店舗Cは、サービス提供事業者とクーポン券に協力する契約を交わしており、ユーザーに受け渡した商品の対価の補償等について取決めがあるものとする。
【0020】
図1に示すように、ユーザーは、通信事業者Aが通信サービスを提供している携帯電話20aを用いて、インターネット70が利用可能になっている。商品販売店舗Cには、店舗従業員Cがおり、店舗従業員Cは、通信事業者Cが通信サービスを提供している携帯電話20cを用いて、インターネット70が利用可能になっている。携帯電話20cは、店舗従業員Cが所有する携帯電話であってもよいし、商品販売店舗Cが所有する携帯電話であってもよい。なお、上記各通信事業者は、本図のように異なる事業者であってもよいし、同一の事業者であってもよい。また、サービス提供事業者も通信事業者と別個の事業者でよい。
【0021】
携帯電話20a〜20cとしては、無線通信を利用した、携帯可能な電話機であり、基地局等の中継点と携帯電話機が無線で通信し、通話やデータ通信等の通信サービスを移動しつつ受けることができる。この携帯電話機の通信方式としては、例えば、FDMA方式、TDMA方式、CDMA方式、W−CDMAの他、PHS(Personal Handyphone System)方式等が挙げられる。また、この携帯電話機は、デジタルカメラ機能、アプリケーションソフトの実行機能、或いはGPS機能等の機能が搭載され、携帯情報端末(PDA)としての機能も果たすものであってもよい。
【0022】
また、メール管理サーバ10は、クーポン配信サービスを制御するためのソフトウェアで実現されるアプリケーション部110を備えている。アプリケーション部110には、クーポン券の送付に関するやり取りを行うクーポン券送付機能と、商品販売店舗Cでユーザーがクーポン券を利用した際の処理を行う引換管理機能とが含まれている。
【0023】
具体的に、アプリケーション部110は、ユーザーの携帯電話20aからのアクセスに対応して、ユーザーメールアドレスとクーポン券内容の指定を受け付け、携帯電話20aに固有のユーザー識別情報とともに、管理データベース160に記憶させるモジュールである。
【0024】
クーポン券送付機能は、クーポン券の発行元(サービス提供者)が要求するクーポンの配布先のリスト(メーリングリスト等)に列挙されたメールアドレスに、メールサーバ部130を通じて、メールを送信するモジュールである。このメールには、クーポン券IDに関連付けられた提供店舗(ここでは、店舗C)においてクーポン券内容の享受を保証する表示情報と、報告接続先情報と、クーポンIDとが含まれている。なお、本実施形態において「報告接続先情報」は、クーポンの管理を行う店舗用ページ群のURLである。
【0025】
引換管理機能は、クーポンIDを示した報告接続先情報(店舗用ページ群)へのアクセスを受け付けると、メールサーバ部130に格納されたメールに含まれるクーポン券利用を保証する画像を、保証を無効化する画像に更新するとともに、クーポンメールを未受信状態に変更することで、この画像を更新したクーポンメールをユーザーの携帯電話20aに再送信し、クーポン券利用についての保証(クーポン券享受保証)を無効化する機能を備えている。
【0026】
図2は、アプリケーション部110における上記クーポン券利用保証を無効化する機能に係るモジュールを示すブロック図である。
【0027】
本図に示すように、アプリケーション部110は、上記クーポン券利用保証を無効化するモジュールとして、無効処理決定部113aと、有効期限監視部113bと、アクセス監視部113cと、メール監視部113dと、フラグ設定変更部113eと、表示情報変更部113fと、表示情報蓄積部113gとを備えている。
【0028】
無効処理決定部113aは、クーポンID毎に、クーポン券利用保証を無効化する条件が満たされるのを監視し、無効化の条件が満たされた時点で、フラグ設定変更部113e及び表示情報変更部113fに対し、該当するクーポンIDに関する無効化処理の実行を指示するモジュールである。
【0029】
本実施形態における無効化の条件は、クーポンメールが送信されてからの経過時間(有効期限)、或いはクーポン券利用(サービス提供完了)処理が実行されたか否かとしている。このサービス提供完了処理が実行されたかどうかは、通常のPOSを通じての店舗からの引換完了報告の他、店舗Cの携帯電話20cから、店舗用ページ群への引換完了報告アクセスの有無や、メールサーバ部130経由で報告される引換報告メールの受信等により判断される。
【0030】
有効期限監視部113bは、クーポンID毎の有効期限の到来を監視するモジュールであり、無効処理決定部113aからの監視要求信号に含まれるクーポンIDに基づいて、要求に係るクーポン情報の引換有効期限情報(経過時間測定開始時刻、有効期間を含む。)を読み出し、測定開始時刻からの経過時間が、有効期間以上となっていないかを算出することにより有効期限の到来を判断する。この判断結果は、有効期限が到来したクーポンIDと共に無効処理決定部113aに随時通知される。
【0031】
例えば、クーポンメールの送信があった時点で無効処理決定部113aから当該クーポンメールのクーポンIDと紐付けられた監視要求信号が入力され、これに応じて、当該クーポンIDについての引換有効期限情報として経過時間測定開始時刻が記録される。そして、有効期限監視部113bは、監視要求があった全てのクーポンIDについて、ID毎の経過時間と有効期限との比較を行い、有効期限が到来したクーポンIDが出現した時点で、そのクーポンIDを無効処理決定部113aに通知する。無効処理決定部113aでは、この有効期限監視部113bからの通知に基づいて、有効期限が到来したクーポンメールの無効処理を実行する。
【0032】
また、無効処理決定部113aは、報告接続先情報(店舗用ページ群のURL)におけるクーポン券利用完了のためのアクセスを監視するアクセス監視部113cを備えている。そして、クーポン券利用のためのアクセスを検出した場合には、そのアクセス認証において特定されたクーポンIDを指定して、クーポン券利用完了系のモジュールにクーポン券利用完了処理の実行を指示するとともに、無効処理決定部113aでは、このクーポンIDに基づいて、クーポン券利用が完了されたとして無効処理を実行する。
【0033】
さらに、無効処理決定部113aは、クーポン券送付機能又はメールサーバ部130におけるクーポンメールや引換報告メールの送受信を監視するメール監視部113dを備えている。そして、クーポンメールの送信を検出した場合に、メール監視機能は、そのクーポンメールで特定されているクーポンIDに基づいて、当該クーポンIDに関する有効期限の監視を開始するため、有効期限監視部113bに対して監視要求信号を送出する。一方、引換報告メールの受信を検出した場合に、メール監視機能により、その引換報告メールで特定されているクーポンIDに基づいて、クーポン券利用が完了されたとして無効処理を実行する。
【0034】
フラグ設定変更部113eは、無効処理決定部113aの無効処理の決定に従って、メールサーバ部130に対し、メールサーバ部130に格納されたクーポンメールを未受信状態に変更する指示信号を送出するモジュールである。この指示信号は、クーポンIDを指定して送出され、メールサーバ部130では、指定されたクーポンIDを含む引換用メールを検出し、その引換用メールの受信済み・未受信のフラグを変更させることで、クーポンメールをユーザーの携帯電話20aに再送信し(或いは再受信させ)、ユーザーの携帯電話20aに格納されている先に受信されたクーポンメールを上書きさせる。このクーポンメールが上書きされることによって、クーポン券利用保証のためのバーコード等の表示情報を変更され、クーポン券利用保証が無効化される。
【0035】
表示情報変更部113fは、無効処理決定部113aの無効処理の決定に従って、メールサーバ部130に対し、メールサーバ部130に格納されたクーポンメールに含まれるクーポン券内容の利用を保証する表示情報を、保証を無効化する表示情報に更新させる指示信号を送出するモジュールである。この指示信号は、クーポンIDを指定して送出され、メールサーバ部130では、指定されたクーポンIDを含む引換用メールを検出し、その引換用メールに含まれる画像や文字列等の表示情報を差替える。この差替えられたクーポンメールは、フラグ設定変更部113eによって、引換用メールの受信済み・未受信のフラグが変更されることで、ユーザーの携帯電話20aで再受信される。
【0036】
表示情報蓄積部113gは、表示情報変更部113fで差替えられる表示情報(画像や文字列等)を蓄積する記憶手段であり、表示情報変更部113fからの読み出し制御信号に従って、指定された表示情報を表示情報変更部113fに出力する。この表示情報蓄積部113gには、クーポン券利用保証を無効化するための画像として、読取不能なバーコードや、文字列の他、有効期限が切れている旨をユーザーに通知する画像やメッセージ(文字列等)が含まれる。
【0037】
また、上記アプリケーション部110の各機能部は、管理データベース160を管理制御する。この管理データベースは、ユーザー情報や、クーポン情報などの複数のデータベースを相互に関連づけたリレーショナルデータベースである。
【0038】
具体的に、管理データベース160は、クーポン券サービスの提供対象となるユーザーに関する情報を管理するデータベースである。このユーザーに関する情報としては、ユーザー毎に、ユーザーID、氏名、メールアドレス、パスワード等の認証情報等を含めることができる。
【0039】
また、管理データベース160は、発行されたクーポン券に関する情報を管理するデータベースも含まれている。すなわち、ユーザーは、管理データベース160に記録されているクーポン券から任意のクーポン券を選択して、ユーザーに贈ることができる。なお、それぞれのクーポン券には価格が定められ、また、そのクーポン券を提供可能な店舗が定められている。ここで、クーポン券には具体的な商品が決定されているクーポン券と、商品を選択できるクーポン券がある。商品が決定されているクーポン券は、ユーザーが選んだクーポン券の商品がユーザーに贈られる。一方、商品を選択できるクーポン券は、ユーザーが選んだクーポン券範囲からユーザーが商品を選択することができる。
【0040】
さらに、管理データベース160は、発行元からユーザーにクーポン券を発行する一連の処理に関する情報を管理するデータベース装置であり、発行元識別情報とクーポン券内容とユーザーのメールアドレスとクーポン情報とを関連付けて、クーポンIDを付して記憶する。すなわち、発行元からユーザーへの1回のクーポン発行処理に対して、1組のクーポン管理用データが作成される。
【0041】
具体的に、管理データベース160には、クーポン券贈呈処理毎に、発行元を示す発行元識別情報や、クーポン券内容(クーポン券種別、クーポン券発行日時等)、ユーザーメールアドレス、送信用画像、コメント、クーポン情報(クーポンメール識別情報、クーポン券利用日時、引換有効期限情報(経過時間測定開始時刻、有効期間を含む)等)を一連のレコードとして記録し、これらのレコードそれぞれに固有のクーポン券情報識別子(クーポンID)が付与されている。
【0042】
ここで、送信用画像は、ユーザーにクーポン券が贈られたことを通知するメール上に表示される画像を示す情報である。この画像は、クーポン券の用途、目的等に応じて複数枚格納されており、発行元がクーポン券発行代行サービスを利用する際に選択することができる。
【0043】
コメントは、ユーザーにクーポン券が贈られたことを通知するメールに表示するコメントを示す情報である。このコメントは、発行元に対するコメントである。クーポンメール識別情報は、商品販売店舗で商品と引き換えることができる画像をユーザーに送った際のメールを識別するためのメッセージID等を示す情報である。
【0044】
図5は、クーポンメールの一例を示す図である。本図に示すように、このクーポンメールには、商品販売店舗Cで商品やサービスの提供を受けることができる旨の情報と、クーポンの内容を示す情報631と、バーコード632とが含まれている。ここで、バーコード632は、クーポンが利用されたことを報告するアクセス先(報告接続先情報)と、クーポンIDとがコード化されたものである。ここでの報告接続先情報には、メール管理サーバ10のURLが設定されている。
【0045】
なお、バーコードは1次元バーコードのみならず、QRコード等の2次元バーコード、その他の図形化コードを用いることができる。また、バーコードに加えて、メールの送信先とクーポンIDのコードを数字・文字で表した暗号情報も含めることもできる。後に説明するように、バーコード632は、商品販売店舗Cの店舗従業員Cの携帯電話20cに読み取られるが、近年普及している視野角制御フィルタが携帯電話に張られていると、バーコードの読取に支障が生じる場合がある。このような場合には、店舗従業員Cの携帯電話20cに数字・文字を入力すればよい。
【0046】
そして、表示情報変更部113fでは、表示情報の変更において、変更前の表示情報のデータサイズと、変更後の表示情報のデータサイズとが変化しないように、表示される情報のみを変更する。具体的には、表示情報変更部113fは、バーコードや文字列のバイト数を計測し、その計測されたバイト数と同様の画像や文字列を部分的に差替えて、無効化処理を行うようにしてもよい。これにより、例えばメールサーバ部130が、収納しているメールのサイズが変更されることにより、変更前と変更後のメールを別のメールとして認識して処理されるのを回避することができ、再受信による上書きを確実に実行させることができる。
【0047】
(メール配信方法)
以上の構成を有するメール管理システムを動作させることによって、本発明のメール配信方法を実施することができる。図3は、クーポン券利用保証の無効化モジュールの動作を示すフローチャート図であり、図4は、システム内でのシーケンス図である。
【0048】
先ず、クーポンメールが送信されるのを検出する(S101、S201)。具体的には、アプリケーション部110のメール監視機能で、クーポンメールの送信を監視する。そして、メールの送信が検出された場合、そのクーポンメールで特定されているクーポンIDを抽出し、このクーポンIDに基づいて、クーポン情報の特定を行うとともに、特定されたクーポン情報の有効期限が設定される(S102)。
【0049】
具体的に、かかるクーポン情報の特定は、クーポンメールに含まれるクーポンIDをキーにして管理データベース160からクーポン券情報データを参照することで行われる。そして、特定されたクーポン情報に基づいて、当該クーポン情報に関する有効期限の監視を開始するため、有効期限監視部113bに対して監視要求信号を送出する。有効期限監視部113bでは、監視要求信号に含まれている当該クーポンIDについての引換有効期限情報に、現在時刻が、経過時間測定開始時刻として記録される。
【0050】
そして、無効処理決定部113aにおいて、クーポンID毎に、クーポン券利用保証を無効化する条件が満たされるかどうかの監視が開始される。ここでは、無効化の条件として、クーポン利用処理が実行されたか否か(S103)、或いはクーポンメールが送信されてからの有効期限が到来したか否かとしている(S104)。
【0051】
クーポン利用が完了されたかどうかの判断は、具体的には、アクセス監視部113c及びメール監視部113dにより、クーポン利用のためのアクセスを監視するか、サービス提供完了報告の受信を監視することにより行う。具体的には、クーポン利用のためのアクセスや完了報告を検出した場合(図4:S202及びS203)、そのアクセス認証において特定されたクーポンIDを無効処理決定部113aで取得する。一方、サービス提供完了報告の受信を検出した場合には、その報告で特定されているクーポンIDを無効処理決定部113aで取得する。そして、無効処理決定部113aでは、クーポン利用が完了されたとして無効処理の実行を決定する(S105)。
【0052】
他方、クーポン利用処理の実行が検出されなかったときには、有効期限の到来についての判断を行う(S104)。具体的には、有効期限監視部113bで、監視要求があった全てのクーポンIDについて、ID毎の経過時間と有効期限との比較を行い、有効期限が到来したクーポンIDが出現した時点(S104:Yes、S204)で、そのクーポンIDを無効処理決定部113aに通知する。無効処理決定部113aでは、この有効期限監視部113bからの通知に基づいて、有効期限が到来したクーポンメールの無効処理の実行を決定する(S105)。
【0053】
その後、無効処理の実行が決定されたクーポン券情報について、クーポン券利用保証を無効化する処理(図4:S205)を開始する。
【0054】
先ず、送信画像の書き換えを行う(S106)。具体的には、表示情報変更部113fで、無効処理決定部113aの無効処理の決定に従って、メールサーバ部130に対し、メールサーバ部130に格納されたクーポンメールに含まれるクーポン券内容の利用を保証する表示情報を、保証を無効化する表示情報に更新させる指示信号を送出する。メールサーバ部130では、指定されたクーポンIDを含む引換用メールを検出し、その引換用メールに含まれる画像や文字列等の表示情報を書き換える。ここでは、この表示情報は、バーコード等の画像データや、暗号情報等のテキストデータであり、これらの画像データやテキストデータの一部又は全部を書き換え、これらバーコード等のデータを使用不能とする。
【0055】
次いで、受信済みフラグを未受信フラグに書き換える(S107)。具体的には、フラグ設定変更部113eにより、無効処理決定部113aの無効処理の決定に従って、メールサーバ部130に対し、メールサーバ部130に格納されたクーポンメールを未受信状態に変更する指示信号を送出する。メールサーバ部130では、指定されたクーポンIDを含む引換用メールを検出し、そのメールの受信済み・未受信のフラグを変更する。
【0056】
この結果、同一のメッセージIDで、書き換えられた画像を含むメールがユーザーの携帯電話20aに再送信(或いは再受信)され(S108、S206)、ユーザーの携帯電話20aに格納されている先に受信されたクーポンメールが上書きされる(S109、S207)。このクーポンメールが上書きされることによって、クーポン券利用保証のためのバーコード等の表示情報を変更され、クーポン券利用保証が無効化される(S110)。すなわち、このメールを受信したユーザーの携帯電話20aでは、同一のメッセージIDであるため、書き換えられた画像(表示情報)を含むメールで、クーポンメールが上書きされることになる。このため、クーポンメールを表示した場合には、バーコードリーダー等による読み込みが不能となり、エラーが発生されることとなる。
【0057】
以上説明した本実施形態によれば、通信ネットワークを通じて送受信されるメールについて、メールに含まれる表示情報の有効期限をサービス提供側において管理・制御することができ、サービス提供側の制御によって、例えば有効期限付きのクーポンなどを無効とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態に係るメール管理システムの構成を示す概要図である。
【図2】本実施形態においてメールの表示情報を無効化する機能に係るモジュールを示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係るクーポン券利用保証の無効化モジュールの動作を示すフローチャート図である。
【図4】本実施形態に係るメール管理システムの処理の流れについて説明するシーケンス図である。
【図5】本実施形態に係るメールの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
10…メール管理サーバ
20…携帯電話
70…インターネット
110…アプリケーション部
113a…無効処理決定部
113b…有効期限監視部
113e…フラグ設定変更部
113f…表示情報変更部
113g…表示情報蓄積部
130…メールサーバ部
160…管理データベース
630…クーポンメール
632…バーコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを通じて送信されるメールに含まれる表示情報の有効期限を管理するメール管理システムであって、
前記通信ネットワークを通じて送信されたメールを一時的に蓄積するメールサーバ手段と、
前記有効期限の到来を監視する有効期限監視部と、
前記有効期限監視部が有効期限の到来を検出したときに、前記メールサーバ手段に蓄積された前記メールに含まれる表示情報を変更するとともに、該メールを未受信状態に変更することで、前記表示情報を無効とする無効処理部と
を有することを特徴とするメール管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のメール管理システムであって、
前記通信ネットワークを通じて、前記メールサーバ手段に蓄積された前記メールの受信を行う機能を備えた通信端末をさらに備え、
前記無効処理部は、前記有効期限監視部が有効期限の到来を検出したときに、前記表示情報が変更されたメールを前記通信端末に再受信させ、該通信端末で既に受信済みのメールに、際受信されたメールを上書きさせることで、前記表示情報を無効とする
ことを特徴とするメール管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載のメール管理システムであって、
前記無効処理部は、前記表示情報の変更において、変更前の表示情報のデータサイズと、変更後の表示情報のデータサイズとが変化しないように、表示される情報のみを変更することを特徴とするメール管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載のメール管理システムであって、
前記表示情報は、当該表示情報を特定し、該表示情報に係る有効期限に関する情報がコード化されたバーコードであることを特徴とするメール管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載のメール管理システムであって、
前記メールには、クーポンサービスの提供に関する情報が含まれ、前記表示情報には、前記クーポンサービスの提供が享受可能であることを保証する情報が含まれ、
前記有効期限監視部は、前記クーポンサービスの利用処理も監視し、
前記無効処理部は、前記利用処理が実行された際に、前記無効処理を実行する
ことを特徴とするメール管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載のメール管理システムであって、
前記メールには、クーポンサービスの提供に関する情報が含まれ、前記表示情報には、前記クーポンサービスの提供が享受可能であることを保証する情報が含まれ、
前記有効期限監視部は、前記メールの送信処理、及び前記クーポンサービスのメールが送信されてからの時間経過を監視し、
前記無効処理部は、前記メールが送信されてから所定時間が経過した際に、前記無効処理を実行する
ことを特徴とするメール管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載のメール管理システムであって、
前記メールには、クーポンサービスの提供に関する情報が含まれ、前記表示情報には、前記クーポンサービスの提供が享受可能であることを保証する情報が含まれ、
有効期限は、前記クーポンサービスのメール毎に付与された期限であり、前記有効期限監視部は、各メールに付与された有効期限を監視し、前記無効処理部は、各メールに付与された有効期限が経過した際に前記無効処理を実行する
ことを特徴とするメール管理システム。
【請求項8】
通信ネットワークを通じて送信されるメールに含まれる表示情報の有効期限を管理するメール管理方法であって、
前記通信ネットワークを通じて送信されたメールを一時的に蓄積するメールサーバ手段と側において、前記有効期限の到来を監視する有効期限監視ステップと、
前記有効期限監視ステップにおいて前記有効期限の到来が検出されたときに、前記メールサーバ手段に蓄積された前記メールに含まれる表示情報を変更するとともに、該メールを未受信状態に変更することで、前記表示情報を無効とする無効処理ステップと
を有することを特徴とするメール管理方法。
【請求項9】
請求項8に記載のメール管理方法であって、
前記通信端末で、前記通信ネットワークを通じて、前記メールサーバ手段に蓄積された前記メールの受信を行うメール受信ステップをさらに備え、
前記無効処理ステップでは、前記有効期限の到来を検出したときに、前記表示情報が変更されたメールを前記通信端末に再受信させ、該通信端末で既に受信済みのメールに、際受信されたメールを上書きさせることで、前記表示情報を無効とする
ことを特徴とするメール管理方法。
【請求項10】
請求項8に記載のメール管理方法であって、
前記無効処理ステップでは、前記表示情報の変更において、変更前の表示情報のデータサイズと、変更後の表示情報のデータサイズとが変化しないように、表示される情報のみを変更することを特徴とするメール管理方法。
【請求項11】
請求項8に記載のメール管理方法であって、
前記表示情報は、当該表示情報を特定し、該表示情報に係る有効期限に関する情報がコード化されたバーコードであることを特徴とするメール管理方法。
【請求項12】
請求項8に記載のメール管理方法であって、
前記メールには、クーポンサービスの提供に関する情報が含まれ、前記表示情報には、前記クーポンサービスの提供が享受可能であることを保証する情報が含まれ、
前記有効期限監視ステップでは、前記クーポンサービスの利用処理も監視し、
前記無効処理ステップでは、前記利用処理が実行された際に、前記無効処理を実行する
ことを特徴とするメール管理方法。
【請求項13】
請求項8に記載のメール管理方法であって、
前記メールには、クーポンサービスの提供に関する情報が含まれ、前記表示情報には、前記クーポンサービスの提供が享受可能であることを保証する情報が含まれ、
前記有効期限監視ステップでは、前記メールの送信処理、及び前記クーポンサービスのメールが送信されてからの時間経過を監視し、
前記無効処理ステップでは、前記メールが送信されてから所定時間が経過した際に、前記無効処理を実行する
ことを特徴とするメール管理方法。
【請求項14】
請求項8に記載のメール管理方法であって、
前記メールには、クーポンサービスの提供に関する情報が含まれ、前記表示情報には、前記クーポンサービスの提供が享受可能であることを保証する情報が含まれ、
有効期限は、前記クーポンサービスのメール毎に付与された期限であり、前記有効期限監視ステップでは、各メールに付与された有効期限を監視し、
前記無効処理ステップでは、各メールに付与された有効期限が経過した際に前記無効処理を実行する
ことを特徴とするメール管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−277042(P2009−277042A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128112(P2008−128112)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(591280485)ソフトバンク株式会社 (4)
【Fターム(参考)】